事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。リンク切れに備えて魚拓を活用しています。

世耕経産大臣が輸出管理・ホワイト国除外について会見:韓国のWTO意見書に反論

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7月24日、世耕経産大臣が輸出管理・ホワイト国除外について会見しました。

韓国の産業通商資源部長官が記者会見で主張した内容が、WTO意見書の内容と重複しているので、それについて世耕大臣が反論したのでその概要を整理します。

世耕経産大臣がホワイト国除外について会見

  1. 韓国側の輸出管理制度の根拠条文が不明確
  2. 日韓の政策対話を巡る経緯について韓国側が主張していた内容が事実と異なるものだったのが、正しい認識になった。しかし、日本側から日程の連絡をするようにと主張した部分はおかしい

大枠で言うとこの2点です。

2つ目は常識の話なので改めて触れません。

1つ目の根拠条文が不明確であるという点について焦点を絞ります。

世耕弘成経済産業大臣:韓国のWTO意見書に反論

法的根拠が不明確という点については分かりにくいので具体的に指摘します。

本当は日本の制度と一緒に見た方が分かりやすいので詳しくは以下でまとめてありますが、改めて韓国法令を抜粋します。

韓国のキャッチオール制度の根拠条文はミサイルと大量破壊兵器等のみ

韓国側がキャッチオール規制の法的根拠であると主張しているのは対外貿易法19条と戦略物資輸出入告示50条です。何が「不明確」なのでしょうか?

対外貿易法 自動翻訳

第19条(戦略物資の通知および輸出許可等)

①産業通商資源部長官は、関係行政機関の長と協議して、大統領令で定める国際輸出管理体制(以下「国際輸出管理システム」という。)の原則に基づいて国際平和と安全の維持と国家安全保障のために輸出許可等の制限が必要な物品等(大統領令で定める技術を含む。以下この項において同じ。)を指定して告示しなければならない。 

②第1項の規定により指定及び告示された物品等(以下「戦略物資」という。)を輸出(第1項の規定による技術が次の各号のいずれかに該当する場合であって大統領令で定める場合を含む。以下第19条第3項から第5項まで、第20条、第23条、第24条、第24条の2、第24条の3、第25条、第28条、第29条、第31条、第47条から第49条まで、第53条第1項及び第53条第2項第2号から第4号までにおいて同じ。)しようとする者は、大統領令で定めるところにより、産業通商資源部長官や関係行政機関の長の許可(以下「輸出許可」という。)を受けなければならない。ただし、「防衛事業法」 第57条第2項に基づいて許可を受けた防衛産業の材料および国防科学技術が戦略物資に該当する場合には、この限りでない。
省略
③戦略物資に該当しないか、大量破壊兵器とその運搬手段であるミサイル(以下「大量破壊兵器等」という。)の製造・開発・使用または保管などの用途に転用される可能性が高い物品などを輸出しようとする者は、その物品等の輸入者やエンドユーザーがその物品等を大量破壊兵器などの製造・開発・使用または保管などの用途に転用する意図があることを知っていたか、その輸出が次の各号のいずれかに該当し、そのような意図があると疑われる場合は、大統領令で定めるところにより、産業通商資源部長官や関係行政機関の長の許可(以下「状況許可」という。)を受けなければならない。

世耕大臣が「韓国のキャッチオール制度は大量破壊兵器とミサイルが対象」と言っているのはこの部分を根拠としています。

大統領令というのが戦略物資輸出入告示です。 

韓国政府の法令データベースは法令の文言上にリンクが貼ってあって、関連の規定にすぐに飛べるようになっていて便利です。

戦略物資輸出入告示 自動翻訳

第50条(状況許可の対象) ①戦略物資に該当しないか、大量破壊兵器等の製造・開発・使用又は保管等の用途に転用される可能性が高い物品等(以下「大量破壊兵器関連物品等」という。)を別表6の"や"地域に輸出しようとする者は、当該物品等の購入者は、最終荷受人またはエンドユーザーがその物品等を大量破壊兵器等の製造・開発・使用又は保管等の用途に転用する意図があることを知っていたか、そのような意図が疑われる、次の各号のいずれかに該当する場合には、許可機関の長に状況許可を申請しなければならない。

別表6の「や地域」というのは、要するに日本で言うホワイト国相当の国ではない国と地域ということです。

戦略物資に該当しないが、大量破壊兵器等の製造等につながる物については一定の場合には許可が必要ですよ、と書いてることがわかります。

これらの規定ぶりから、「通常兵器等」はどこ行った?という話になるのです。

韓国側がキャッチオール規制では通常兵器等の扱いが不明

つまり、「韓国側がキャッチオール制度の根拠条文としている規定は、大量破壊兵器等だけを対象にしているようだけど、通常兵器等はどうなってるんだ?これでは全然「オール」じゃないではないか」というのが日本政府・世耕大臣の指摘ということです。

もちろん、実際上は韓国がキャッチオール規制を行っているのは確かだけれども「根拠条文が本当にこれでいいの?」という状況では、改正等があったときに不安ですよねと。

輸出企業としても、韓国の法令をチェックする際にどこを見ればいいの?と。

世耕大臣が「条文等の法的根拠を欠いた状態で「効果的に運用」と言われても意味不明である」と言うのも仕方がないと言えます。

まとめ:日本メディアはWTOルールの報道もしっかりしろ

この問題は日本のメディアの報道(特に新聞)が不正確かつ分かりにくものであるために、韓国側の誤解がますます進んでいる感があります(積極的に誤解してる感もありますが)。

韓国メディアは自国領土だと主張している竹島の領空をロシア機が侵犯したという報道をする際にも日本の防衛省の写真を利用(権利的には問題ない)しているように、日本側の情報に頼り切っているようですから。

また、WTOルールについてなぜか日本のGATT21条の例外事由の主張が認められるか?という視点ばかりが報じられていますが、最初に韓国側がGATT1・11条の事由を立証しないといけないということはほとんど報じられていません。

こういった報道の歪みが日韓関係をどんどん歪ませていると思います。

以上