事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

「菅義偉が旧皇族の復帰を否定したソース」と「旧宮家の皇籍復帰の意思確認を考えてない」の意味

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ソースとされるものについて。

菅義偉官房長官「旧宮家の皇籍復帰の意思確認は考えてない」

第201回国会 衆議院 予算委員会 第10号 令和2年2月10日

○山尾委員 ー省略ー
 もう一つ、国民として生まれ育った旧皇族の子孫の方々に皇族になっていただくという案がよく出てくるというか、ありますね。それについてちょっとお伺いしますけれども、この今問題にしている、いわゆる政府部内の検討の中にあったかどうかは別として、質問します。
 これまで、当事者の方々の意向は確認をしていないというのが総理の答弁でもありました
 長官に確認しますけれども、今現在においても、こういった旧宮家の子孫の方々の皇籍取得、この意向を政府として確認したことはありませんね。

○菅国務大臣 ありません。

○山尾委員 これからこうした御意向を確認する具体的な予定はありますか。

○菅国務大臣 まず私どもがやらなきゃならないのは、国会の附帯決議、それに基づいてのことであるというふうに思っています。ですから、今までやっておりませんし、そこは考えておりません。

2020年2月10日に菅義偉官房長官(当時)が「旧宮家の皇籍復帰の意思確認は考えない」 と答弁しています。

これが「菅義偉が旧皇族の復帰を否定したソース」と言われているものです。

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https://archive.is/wip/l1AQF

菅義偉の「考えてない」は「現時点では考えない」の意味

山尾しおり議員の「これから意向確認する予定はあるか?」と聞かれて菅義偉官房長官が「そこは考えてない」と返答したことが「今後一切、意向確認するつもりはない」と変換して読む人がおります。

これは共同通信産経新聞が今後も予定はない」と記事に書いた認識に引きずられていると言えるでしょう。

皇位継承策検討、4月以降と明言 菅氏、旧宮家復帰の意思確認せず 2020/2/10 17:43 (JST)

菅官房長官、皇位継承策の本格検討は4月以降と明言 識者聴取すでに着手 - SankeiBiz(サンケイビズ)

 菅義偉官房長官は10日の衆院予算委員会で、国会から求められている安定的な皇位継承策について、本格的な検討は4月19日からの「立皇嗣の礼」の終了後になるとの見通しを初めて明言した。男系維持のための継承策として有力視される旧宮家(旧皇族)の皇籍復帰をめぐっては、男系男子子孫に復帰の意思確認をしていないと明らかにした。今後も予定はないという。

しかし、2月10日の答弁は「まず私どもがやらなきゃならないのは、国会の附帯決議、それに基づいてのことである」とした上での発言でした。

つまり、「有識者を呼んで論点整理するのが先で、今現在は旧皇族方の意思確認をする予定は存在していないから、考えていない」という意味。

現に、令和3年(2021年)2月26日では「現時点では」と明確化されました。

旧宮家の皇籍復帰意向確認「現時点で考えず」 加藤官房長官 - 産経ニュース

旧宮家の意思確認は考えず 官房長官、皇籍復帰巡り:中日新聞Web

2020年2月の衆院予算委では、当時官房長官の菅義偉首相が旧宮家への意思確認について「今までしていないし、考えていない」と強調。加藤氏は「菅氏の答弁は『慎重かつ丁寧に継承策を検討する必要がある最中で、そうしたことは考えていない』との趣旨だ。その点は変わりない」とした。

旧皇族に意思確認をしないのが正当

さて、ここまで「意思確認についての政府の予定・認識」を扱ってきました。

しかし、本来は旧皇族に意思確認をしないのが正当です。

なぜなら、それでは旧皇族から「皇族にさせろ」と要求させることになるからです。

たとえ本人らが邪な考えを持っていなくとも、形式上、そのように受け止められる危険性が非常に高い事態になってしまいます。

そういう事を危惧していたからなのかは不明ですが、旧皇族に皇籍復帰の意思確認をしても、これまでは【回答しない】と意思統一されていたことも分かっています。

「旧皇族(旧宮家)は復帰の意思は無いと回答」「旧皇族復帰は竹田恒泰が皇族になる」という話の実際

旧宮家に皇籍復帰の意思を確認する=復帰を求めること

政府が制度面・人員・施設面でも体制を整えた上でお願いに上がるのが本来の筋。

そのときに初めて旧皇族の意思が問題になります。

「旧皇族に意思確認をしない」が本当だとしても、それは政府が復帰を求める前の段階では、という意味であり、旧皇族の皇籍復帰を否定することにはならないということ。

政治力学的には皇室典範改正前に意思確認をするしかない、ということになるかもしれませんが、基本的な考え方としては上述の通りです。

以上