2018年9月18日、ツイッター上で「修士論文不要」がトレンド入りをしました。
これは「大学院、来年度から修士論文不要に」という日経新聞の記事が元なのですが、この記事、【2011年10月26日付】なんですよね。
どうしてこうなるのか?現在はどうなっているのか?を調べました。
- 実は数年置きに何回も拡散されている「修士論文不要」
- 日経新聞のサイトのつくりが誤解のもと?
- 現在の大学院の修士論文の審査はどうなっているのか?
- まとめ:博士論文研究基礎力審査を平成24年から実施しているところもある
実は数年置きに何回も拡散されている「修士論文不要」
"修士論文不要"になるという2011年に日本経済新聞で掲載された記事がなぜかバズってるけど、面白いのは、同様に2015年7月や2017年2月にもバズってたこと。
— きうい (@PNVvbTKQIZMvZQm) September 18, 2018
衝撃的だけど記憶に残るほどでもない記事は、みんな忘れてるよねー(笑)ぐらいの頃合いに改めてバズる。五輪批判の記事とかもそう。 pic.twitter.com/7qUQ5OV59h
2011年の記事がなぜか2015年、2017年にも拡散されていたというのは興味深い現象です。
「修士論文不要」がまたトレンドに上がってる(そして2011年の日経新聞記事がリンクされてる)けどこれは情報リテラシーの一斉テストかなんかなの?
— oʞɐsɐ ɐɹnıɯ (@asarin) September 18, 2018
この件でツイートしている人を見ると、50%は見出しだけ見てリンク先に飛んでいないと思われるものが占めます。
日経新聞のサイトのつくりが誤解のもと?
archive.isでは昨年、WaybackMachineでは魚拓は何回も取られています。おそらくツイッター上だけでなく色んなところで再拡散されているのでしょう。この件でアフィリエイトがはかどるわけもなく、この話をネタにしているサイトも見当たりません。
では、なぜこうなるのか?
一つには、日経新聞WEBの「つくり」が、読み手が誤解するところがあるからと思われます。
上図を見るとわかりますが、記事本文の日付はしっかりと2011年のものですが、「日本経済新聞」のタイトル下に本日の日付がついています。また、右側の株価表記の欄も、本日の日付です。
これが悪いということではなく、こういう表記によって、誤解する人が多いのではないかと思います。
それにしても、なぜこの記事だけが拡散されるのかは不明です。
現在の大学院の修士論文の審査はどうなっているのか?
平成24年から、博士課程履修者に向けた博士論文研究基礎力審査を実施することが可能な制度が導入されているようです。
これはかねてから存在していた「修士論文に代わる特定課題の研究成果の審査」とも別個のものです。「修士論文不要」はこの記事がリリースされる2011年の以前からも存在していたということです。
いずれにしても、すべての修士課程修了予定者が対象ではないということは注意が必要です。
まとめ:博士論文研究基礎力審査を平成24年から実施しているところもある
- タイトルだけで反応していないか
- 記事の日付を確認しているか
- 現行制度を確認しているか
ネット上をみると、「この制度は廃案になったのだろう」というものもあって気になって調べたらこの通りということです。
この記事に脊髄反射しているようではメディアや煽動者が行う【時系列詐欺】に騙されてしまうので、気を付けていきたいと思います。
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