5月11日に読売新聞、朝日新聞、日本経済新聞に掲載の宝島社の意見広告について。
- 宝島社意見広告「ワクチンもクスリも無く竹槍」
- 竹槍じゃなくて薙刀:「B29に竹槍」想起を狙ったか?
- 宝島社の広告意図「幼い女子まで竹槍訓練を強いられた」
- 「ワクチン」も「クスリ」も存在:錯誤に基づく政策批判
- ワクチンの供給や治療薬の認可が遅すぎる?
- なぜ薙刀と竹槍を間違えたか
- 立憲民主党の三角そうた氏の兄が担当した広告?
宝島社意見広告「ワクチンもクスリも無く竹槍」
5月11日掲載、宝島社の広告です。#新聞広告 pic.twitter.com/gxikZ6XDCH
— 「広告朝日」編集部 (@adv_asahi) 2021年5月10日
宝島社の意見広告「ワクチンも薬も無く竹槍」が掲載された事についてツイート。
ところがこの広告、不可思議な点があります。
竹槍じゃなくて薙刀:「B29に竹槍」想起を狙ったか?
https://www.library.pref.nara.jp/supporter/naraweb/tusaka.html
※リンク先に画像。
宝島社の意見広告の女子児童が扱っている得物は竹槍じゃなくて薙刀です。
明らかに形が違います。
宝島社の企業広告で「タケヤリの訓練」として使用されている写真は、山中恒『子どもたちの太平洋戦争』(岩波新書)中において、「薙刀の訓練(1941年)」(P62)として紹介されている。 pic.twitter.com/95n0JKKYQa
— 本ノ猪 (@honnoinosisi555) 2021年5月11日
「B29に竹槍」というナラティブを想起させることを狙ったんでしょうか?
宝島社の広告意図「幼い女子まで竹槍訓練を強いられた」
今の日本の状況は、
太平洋戦争末期、幼い女子まで竹槍訓練を強いられた、
非科学的な戦術に重なり合うと感じる人も多いのではないでしょうか。
宝島社の広告意図ページには「幼い女子まで竹槍訓練を強いられた」とあるので、竹槍と薙刀を混同していたことが伺えます。
残念ながら、「広告意図」に『幼い女子まで竹槍訓練を強いられた』とあるので、ただ単に竹槍と薙刀の区別が付いて無かったんだと評価せざるを得ないですね。 https://t.co/Z6iPgF2l6H pic.twitter.com/W6RjGIBlqq
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) 2021年5月11日
したがって、アクロバティック擁護することも不可能なように思われます。
そもそも、次項で述べるようにこの意見広告は「竹槍」以前の問題があるのです。
「ワクチン」も「クスリ」も存在:錯誤に基づく政策批判
コロナウイルスに対抗するには、科学の力(ワクチンや治療薬)が必要です。
そんな怒りの声をあげるべき時が、来ているのではないでしょうか。
宝島社の広告意図ページにはこのような文言があります。
しかし、新型コロナウイルスのワクチンは国内承認されて既に医療従事者の接種が開始され、高齢者相手の接種予約も開始されています。
クスリ=治療薬についても、国内でレムデシビル、デキサメタゾン、バリシチニブが承認されてます(中等症や重症患者相手を想定だが)。
つまり、「竹槍」の写真だったとしてもまったく意味が通らない広告なわけです。
ワクチンの供給や治療薬の認可が遅すぎる?
これに対しては「ワクチンの供給が遅すぎる!」
と聞こえてきそうですが、新型コロナの流行が世界的に見て大したことない国はイスラエルを除いて軒並み同様の状況です。
ワクチン開発国の接種率は別にして、台湾の接種率が0.1%の時期に日本は1%だったりと、感染がそれほど広がっていない国はそれなりにワクチンの供給も緩やかだということが分かります。
Covid vaccine development: The shots available and the doses administered | Financial Times
「確保」
— 崔碩栄 (@Che_SYoung) 2021年5月11日
韓国政府は去年12月ファイザーのワクチン1000万人分を「確保した」と発表したが、4月まで到着したのは75万人分
残りはいつ到着するのか?と日刊紙の記者が政府に「契約した数量、船積日、価格」の公開を要請したら、「秘密契約だ」と公開を拒否されたという
「いずれ買うよ=確保」?🙄
しかも、効果抜群のmRNAワクチンであるファイザービオンテック社のワクチンの「確保」については日本は他国よりも先行しています。
したがって、宝島社の広告は、錯誤に基づく政策批判なわけです。
「メディアによる政策批判はこんないいかげんな認識で行われている」
という皮肉ですかね ( ^ω^ )
宝島社は攻めるなぁ()
なぜ薙刀と竹槍を間違えたか
結構出まわっている写真なんですね。
— takagi.toshiyuki (@takagi_toshi) 2021年5月11日
画像検索するとあちらこちらで写真が転用されてましたけど、ぜんぶ「竹やり」という書かれ方してました。https://t.co/CKZerIaeYI
宝島社が使用した写真は毎日新聞も過去に使用していましたが、この毎日新聞記事の写真のキャプションには「戦争になると女子も竹やり訓練に動員された」とあります。
マスメディアの中で「この写真は竹槍訓練のものだ」という認識が流通していたために、宝島社やその広告担当もそれを信じて疑わなかったのでしょう。
「大手メディアが扱っている写真の説明が事実と異なっている」という現象はたくさんあるんだろうと思います。例えば、ちょっと前には以下のようにコピペによって人数が水増しされたプロパガンダ写真が、何らの注釈も無く「写真一杯になるような数の女子挺身隊が動員された」と読者が受け取れる扱い方が為されていました。
宝島社は、ある意味メディアによる「竹槍物語」の被害者と言えるでしょう。
立憲民主党の三角そうた氏の兄が担当した広告?
https://twitter.com/misumikouenkai1/status/1391967431350898689
なお、立憲民主党の三角そうた氏のアカウントからこのようなツイートがなされましたが、現在は削除済み、逃亡しています。
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