事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

テレビ朝日障害者採用ページに検索回避のメタタグ:その理由に「だがちょっと待ってほしい」

f:id:Nathannate:20180831235302j:plain

朝日新聞に続き、朝日新聞が筆頭株主であるテレビ朝日の障害者採用ページに検索回避のメタタグ(noindex,nofollow)が記述されていたことが分かりました。

最初の発見者は8月30日にはネット上の私人が発見したことが騒がれていましたが、テレビ朝日に取材した結果を掲載したのは産経新聞が最初だと思います。
※実際には8月28日に発見されていました。

なぜテレビ朝日は障害者採用ページに検索回避のメタタグを付けたのか?

その理由がちょっと不可思議であり、もしかしたらテレビ朝日の回答にはとんでもない矛盾があるかもしれません。

募集期間外に「誤って応募することがないよう」設置?

産経新聞の取材に対して朝日新聞は以下説明しています。

障害者採用が不定期だった頃、募集期間外に「誤って応募することがないよう」設置し、そのままにしていた

だがちょっと待ってほしい、その説明は説得力が無いのではないか?

検索回避のメタタグであってアクセスできないのではない

noindex等のメタタグをつけるのはGoogleで検索されないようにするためであり、インターネット上からそのページの存在を消し去るわけでも、別の方法によるアクセスを禁止することでもありません。

たとえば、採用ページを「お気に入り」登録していたり、URLをどこかに保存しておいた場合にURLを直接入力すれば、noindexがついていようがダイレクトにアクセスすることが可能です。

すると、募集期間外であってもそのページにアクセスできるので、無意味です。

「募集期間外に誤って応募することが無いように」ということであれば、面倒な設定をすることなく、単に「募集期間外」であることを明示すればいいだけの話です。

こう考えると、テレビ朝日の説明は、まったく不可思議です。

テレビ朝日障害者採用ページはポータルサイトからも可

テレビ朝日の障害者採用ページポータルサイト

http://company.tv-asahi.co.jp/contents/saiyo/

また、上記産経新聞の報道によるとテレビ朝日はこうも言っています。

「『テレビ朝日 障がい者 採用』で検索すると、当社の『採用情報』のポータルページがヒットする」とし、「検索を回避しようとしているわけではない」と反論した。

ポータルサイトは上の画像ですが、たしかにこちらに障害者採用ページへのリンクがあります。

だがちょっと待ってほしい、ここで疑問が湧きます。

  1. ポータルサイトを経由させないといけない必然性はあるのか?
  2. 障害者採用ページとポータルサイトが併存してはいけないのか?

企業によっては障害者採用ページは設けず、一般の採用と同じラインで採用するところもありますから、テレビ朝日は別枠であることを示す意味はあるでしょう。

しかし、必ずポータルサイトを経由させないといけない理由としては薄いです。このページから行けるページにIR情報など重要なものがありますが、応募者は障害者採用ページしか見ないということは無いでしょう。

障害者採用ページとポータルサイトが併存することでのデメリットですが、まったく思いつきません。noindexタグ等を使用する理由としてよく言われるのが「質の低いページをクロールさせないことで、検索順位が下がるのを防ぐ」というものがありますが、これは今回には当てはまらないでしょう。

障害者採用ページが「質の低いコンテンツ」かどうかは分かりませんが、仮に質が低いとしても致命的な内容や構成ではないと思われます。朝日新聞ほどの力のあるドメインに対して検索結果に上がらなくなるようなペナルティが課されるとは思えません。現にテレビ朝日はそのような「SEO」の観点からの理由づけを産経新聞に回答していません。
※ここは昔のGoogleの検索アルゴリズムが関係するので軽々には断定できませんが

障害者採用が通年となった後の開設ページにnoindex?

テレビ朝日の障害者採用ページポータルサイト

https://web.archive.org/web/20071031223739/http://company.tv-asahi.co.jp:80/contents/saiyo/

障害者採用ページのInternet Archive上の魚拓の最古のものは2008年9月3日のものです。

こちらのページのソースには既にnoindex,nofollowがついています。

このページ、どうやら2008年の間に初めて作成されたようです。現に、2007年10月31日のポータルサイトの魚拓では、障害者採用は専用ページへのリンクが貼っておらず、ポータルサイトに応募のための情報が載っています。

しかも、障害者採用が通年募集を行っているという文言は、2007年以降ずっと存在しています。

ということはですよ。

【障害者採用が通年になった後に作成されたページに、最初からnoindex等のメタタグがついていた】

ということになるのではないでしょうか?それとも、元々別々に存在していて募集が併存していたが、統一化したということでしょうか?他の可能性はあるのでしょうか?

上記の結論が正しいとすると、テレビ朝日が『障害者採用が不定期だった頃、募集期間外に「誤って応募することがないよう」設置し』と言っていることと矛盾します。

これはどういうことなんでしょうか?

仮に障害者採用専用ページが障害者採用が通年になる前に作成されていたとしても、少なくともこのページは何度も内容が書き換わっていたわけで、その都度メタタグを消し忘れていたということになりますね。

※そのウェブページが最初にリリースされた本当の日時は実はよくわからないという点は注意。

まとめ:だがちょっと待ってほしい:検索回避目的否定は信用できるのか?

テレビ朝日は産経新聞の取材に対して検索回避目的を否定しましたが、これまで検討してきたように、それは信用に足るものなのでしょうか?

「だがちょっと待ってほしい。果たしてそのような言い分を何ら検証もなく信じるのは軽率ではないか?」

テレビ朝日は財務省の福田事務次官のセクハラ疑惑を報道している際、自社社員に対するセクハラ疑惑が持ち上がりました。

「しかし、だからといってテレビ朝日の説明が嘘であると決めつけることはできないはずだ。」

政府の障害者雇用の情報が水増しされていたことを追及している中で、テレビ朝日の障害者採用ページの検索避けのメタタグが発見されました。

「この件については議論が尽くされておらず、国民の合意が得られているとは言い難い」

筆頭株主の朝日新聞は慰安婦訂正ページに検索回避のメタタグが仕込まれていたことが明るみになったばかりです。

「筆頭株主の性質とテレビ朝日のそれを安易に結びつけることはあまりにも乱暴だ。いまこそ冷静な議論が求められる」

以上:はてなブックマークをお願いします