事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

新5000円札の津田梅子の肖像画が左右反転で「左前」というデマ

f:id:Nathannate:20190417121645j:plain

魚拓:http://archive.is/WLTWi

財務省が公表した新5000円札の見本において津田梅子の肖像が左右反転をしているだけであり「左前だ」と言う人が居ます。

それは事実に反します。

着物の前合わせが左前とはどういう状態か?

着物は「右前」で着るのが正しいです。

ここでいう「前」とは、「時間的に先である」という意味です。

正面から見て前合わせの部分が「y」の形に見えるのが正しい着方です。

着物を着るときに、右側の見頃を先に肌に重ねるので、そのように呼ばれています。

すると、着物における「左前」は「着物の前合わせについて、着物を着ている人から見て左側の見頃(着物の部分の呼称)が自分の肌に近い(手前)重ね方をしている」という状態を指します。

この用語法から勘違いしている人が多そうですが、いろいろと理由がありそうでした。

着物の「上前(うわまえ)」「下前(したまえ)」

着物の用語で、「上前(うわまえ)」「下前(したまえ)」という言葉があります。

これは着物を正しい順番に着た場合、つまり右前にした場合の見頃の部位の呼称です。

右手に持つ見頃が重なった着物の布部分の下側に来るので「下前」と言います。

左手に持つ見頃が上側にくるので「上前」といいます。 

この用語法と混同して勘違いする人がそれなりにいそうです。

洋服と混同して覚えている

あとは洋服との混同があるのではないでしょうか。

  • 男性:ボタンが自分から見て右側(左の見頃が上)
  • 女性:ボタンが自分から見て左側(右の身頃が上)

これを着物の場合にも同様に考えてしまう人がいますが、関係ありません。

着物は男女ともに、「右前」(右の見頃が下)です。

新5000円札は津田梅子の写真を左右反転しただけではない

f:id:Nathannate:20190417121753j:plain

新しい日本銀行券及び五百円貨幣を発行します : 財務省

どう見ても右前です。単純に左右反転しただけということではなかったようです。

発表時点の魚拓を見ても現在と変わりありません。

魚拓:http://archive.is/to8l9

魚拓:http://archive.is/IxYaw

魚拓:http://archive.is/JI6YQ

魚拓:http://archive.is/5Q7Yb

どう見ても右前です。本当にありがとうございました。

報道で左右反転された新紙幣の画像を見て「左前だ!」と思ったのでしょう。

f:id:Nathannate:20190417124939j:plain

当たり前です。左右反転してるんだから。

まとめ:左右反転でも着物が直ってれば問題ないし見本でしかない

写真の通りにお札に印刷すれば、顔が外側を向くことになります。

それはデザイン的におかしいでしょう。

左側に配置すれば解決しますが、他のお札とのデザインの統一性の観点から、肖像部分は右側にするということが決まっているのでしょう。

そもそも見本でしかありませんし、現段階で殊更に問題視する意味が分かりません。

メディアはこんなことを報じてないで仕事しろよと思います。

以上