事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

伊東正明「吉野家生娘シャブ漬け戦略」は女性差別?境野今日子「差別主義者が!」吉松隆「ジェンダーヤクザの言いがかり」

女性が二次被害ってのは意味が分からない。

伊東正明「吉野家生娘シャブ漬け戦略」は女性差別?

2022 年4月 19 日 株式会社 吉野家ホールディングス 当社役員の解任に関するお知らせ  

吉野家の常務取締役である伊東正明が早稲田大学の社会人向け「デジタル時代の総合マーケティング講座」にて吉野家の戦略を「生娘シャブ漬け戦略」と評した事件。

男性利用者が多い中、女性をターゲット層にし、吉野家が身近に無い地方出身の女性が都会に出てきて他の外食店舗を利用するようになる前に、如何に吉野家に引き込むか、という方針を示すために使われた比喩表現でしたが、余りにも不適切だということで解任されました。

解任理由
同氏は人権・ジェンダー問題の観点から到底許容することの出来ない職務上著しく不適任な言動があったため

また、実際に受講した人による抗議もあったことが明かされています。

吉野家シャブ漬け戦略受講者の抗議

他方で、本件に対する評価について反論を展開する者も出現しました。

境野今日子「差別主義者が!」吉松隆「人材業界にジェンダー論者は必要ありません」

魚拓

吉松隆

吉松隆

吉松隆と境野今日子

吉松隆と境野今日子

吉松隆

これだけだとよくわかりませんが、「声を上げた女性」というのは、前掲の画像で示した受講生・抗議者のことです。

https://www.facebook.com/ishihara.kayo/posts/4960058424088204

このFacebookの投稿に対して、コンサルタントのマキシマトレイル・プライベートリミテッド代表の吉松隆(よしまつりゅう)氏が返信欄で「ジェンダーの問題ではない」等と主張を展開したことに対する境野今日子氏の反応でした。

https://www.facebook.com/ishihara.kayo/posts/4960058424088204?comment_id=4965608970199816

私は、この件について「表現の自由が大事」論も不当だと思うし、「女性の二次被害」も意味不明だと思いますが。

女が男に奢ってもらう=性差別なのか?

さて、本件がジェンダーの問題とされることに私は異論はありませんが、その際に論じられる前提については疑義を呈しておきます。

石川佳世 氏の本件の抗議の行動を責める趣旨では無いですが、ここで言われている「生娘、女が男に奢ってもらう=性差別+人権侵害、しゃぶ漬け=犯罪。」という指摘のうち、「女性が男におごってもらう」という定式化は性差別ではないし、ジェンダー論上の問題でもない。

なぜなら、複数調査において、「デートで男性が女性に奢る傾向にある」というのは社会的事実として表れているからです。

<20・30代独身男女の意識調査>初デートのお会計はどうする?男性8割、女性7割が男性が多く支払うべきと回答|マッチアラーム株式会社のプレスリリース魚拓

デート費用はいくら?1回のデートで1人が支払う費用は平均5000円未満男女のデートの支払金額の差が縮まり、20代女性の4割以上が割り勘派|マーケットを読む・調査データ|リクルート ブライダル総研魚拓

彼・彼女との1回のデート代はどれくらい?-セキララ★ゼクシィ魚拓

それを前提として企業の売上向上戦略としてターゲットを絞り、対策を練るという話なのだから、それ自体は何も間違っていない。

ただ、「男に高い飯を奢って貰えるようになれば、絶対に食べない」というのも疑問。

その際の言葉遣いや話している際の口調から、女性に対する無用な思い込みが漏れ出ており、それを大学の講義の場で臆面も無く垂れ流すのは、そうした態度を取ることが何ら問題ないとの認識を助長しかねない、という懸念は正当だと思います。

吉松隆「ジェンダーヤクザの言いがかり」「人材業界にジェンダー論者は必要ありません」「女性の視点は人類への冒涜です」

吉松隆 氏は本件を過度に性差別だとかの男女の対立構造で論じる「ジェンダーヤクザの言いがかり」と評しており、境野今日子氏に対して「人材業界にジェンダー論者は必要ありません」とし、別の返信者にも「女性の視点は人類への冒涜です」などと発言。

確かに「ジェンダーヤクザ」とでも言い得るような、何でもかんでも性差別だとして、男女の差異を無視しつつ男女の対立構造を煽るかのような言説が振りまかれている例は多く、その点は賛同します。

ただ、「男女平等」をこうした形で理解されているのは、とても残念です。

以上:はてなブックマーク・ブログ・note等でご紹介頂けると嬉しいです。