事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

安倍首相「全電源崩壊は起こりえない」議事録削除というデマの発信源

安倍首相「全電源崩壊は起こりえない」議事録削除はデマ

『安倍首相が「全電源崩壊は起こりえない」と言った議事録が削除されている』

これはデマであり、フェイクです。

「全電源崩壊は起こりえない」出所は金子勝のツイート

魚拓1 魚拓2

この話の出どころは金子勝の2014年のツイートです。

『2006年12月に安倍首相は国会で「全電源崩壊は起こりえない」と答弁した福島事故最大の責任者と指摘してきたが、答弁書が衆議院議事録から削除』

これは勘違いがいくつもあります。

「国会で」ではなく答弁書「議事録」は最初から無い

金子氏が上記ツイートで言っている内容は、吉井英勝議員提出の【巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書】に対する答弁書です。

この答弁書は平成十八年十二月二十二日=2006年12月に閣議決定されています。

つまり、国会議事堂において発言した内容ではありません。

ですから、「議事録」というのは最初から存在していません。

おそらくですが、「国会会議録検索システム」で質問主意書も検索できる仕様であるため、質問主意書に対する答弁書も「議事録」と呼んでいるのではないでしょうか?

それはちょっと言葉遣いが乱暴すぎます。

「削除された」は、たまたま移行期間だった

魚拓

金子氏の上記ツイートのリンク先は表示されなくなっていますが、近い時期に他のユーザが閲覧可能なURLをリプライで教えています。

金子氏ツイートのURLでは、かつては答弁書の内容が表示されていました:魚拓

URLが若干変わっているのです。

旧:http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b165256.htm

現:http://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b165256.htm

しかし、内容を比べてみればわかりますが、両者に文言の不一致はありません。

つまり、「削除された」は、たまたま移行期間だったものを金子氏が勘違いしたに過ぎないということです。

「全電源喪失はありえない」「全電源崩壊は起こりえない」という文言は答弁書にも存在しない

安倍首相が原発事故前に「全電源喪失はありえない」と地震対策を拒否していた|LITERA/リテラ

同様の観点から安倍総理を批判しているリテラの記事を見ると

「外部電源から電力の供給を受けられなくなった場合でも、非常用所内電源からの電力により、停止した原子炉の冷却が可能である。」「我が国において、非常用ディーゼル発電機のトラブルにより原子炉が停止した事例はなく、また、必要な電源が確保できずに冷却機能が失われた事例はない。」

これらの答弁書の記述をもって『安倍首相は「全電源喪失はありえない」と言った』などとしているのがわかります。

趣旨としてはそのようなものと捉えて結構ですが、その通りの文言があるわけではないのです。

そのため、真偽を検証・拡散する者があまり出てこなかったものと思われます。

『安倍首相が「全電源崩壊は起こりえない」と言った議事録を削除』はデマ

『安倍首相が「全電源崩壊は起こりえない」と言った議事録を削除』はデマです。

全ては金子氏の早とちりから始まっています。

それが6年程も放置されている状況は異常というか、アチラ側の頭の悪さを思い知りました。※「全電源崩壊は起こりえない」がツイッターで拡散されている様子はこちら

以上