森友問題について状況を整理
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ポプテピピック9話「奇跡とダンスを」の解説です。
今回は「センター」と「時間」「動物」が隠しテーマでした。
それらの関連性を示したうえで、更なる隠しテーマについて考察してきます。
センター(中心)となる場所や要素
場所や要素に「中心」を意味するものが多数含まれていました。
タイムズスクエアとジャパリパーク
9話の象徴的な場所であるニューヨークの「タイムズスクエア(Times Square)」。シアターディストリクトと呼ばれる区画とほぼ一致するエリアであり、これから映画のパロディを行うぜ、という宣言のようにも思えます。
タイムズスクエア - Wikipedia
ここは「世界の交差点」とも呼ばれる場所です。看板にいろんなネタがありますが、注目すべきは上の写真の左上にある「〇〇〇RI PARK」という看板です。これは明らかにけものフレンズの「ジャパリパーク」を指していますね。
単なるサファリパークの可能性もありますが、ここの風景にはピチューの看板があったり悟空を思わせる風貌の人物が映っているなど、マンガやアニメのネタがたくさんあることからも間違いないでしょう。
ジャパリパークは『世界中の動物を集めることを目的に造られた巨大施設』です。世界中の物が集まるニューヨークでも世界中の広告や企業、観光客が集まる、まさに「世界の中心」と呼んでよい場所にとって、ジャパリパークはふさわしいと言えます。
セントラルパーク
ジョセフやポプ子らがキャンプをしていたのは、ニューヨーク・マンハッタンのセントラルパークです。まさに都会のど真ん中にある広大な公園です。
ワールドトレードセンター
ニューヨークの街に2つ高くそびえたつのは「ワールドトレードセンタービル」です。
2001年9月11日の同時多発テロ事件によって崩壊してからは「グラウンド・ゼロ」又は「ワールドトレードセンター・サイト(跡地)」と呼ばれました。現在は「1 ワールドトレードセンター」が建てられています。
この世界観は2001年以前という事になりますね。
ゲームセンターとゲームセンターCX
腕相撲の対戦相手のロボコップは、かつてゲームセンターに置かれていた「ARM CHAMPS」が元ネタ。
ということで、大川ぶくぶ先生の肩書「ゲーム実況者」は、「センター」繋がりで「ゲームセンターCX」を想起させるものであると考えられます。
ゲームセンターCXとは、フジテレビCSで放送中のゲーム番組ですが、いわゆる「実況ゲーム」の先駆けです。2003年にお笑いコンビ・よゐこの有野晋哉さんによるゲーム操作を番組で扱ったのが最初です。ゲーム実況動画は、2007年にサービス開始したニコニコ動画等の動画配信サービスが活発になってから盛り上がりを見せたものです。
ぶくぶ先生は「クリアするまで止められない」という縛りで実況をしたことがある、ということでしょうか?なんらかの実況をした実績はあるようです。
配信おわりました やっぱすごいゲームですねこれは・・・
— 大川ぶくぶ/bkub (@bkub_comic) 2017年9月30日
「中心」を想起させる心臓など
冒頭の「バラバラタイちゃん」では心臓が出てきました。人体の枢要部ということで、人間の要となる部位ですね。
また、「センターオブユニバース」「センターオブジアース」もありましたね。
Center of Universeという題名のMr Childrenの歌がありますが、ミスチルの歌詞はこの場面とは内容が合っていません。「Center of Someone's Universe」という形で「その人の人生において最も大切な」という意味があります。Center of the Universeという題名で無数の海外作品がヒットしますので、その内のどれかなのでしょう。
センターオブジアースはディズニーのアトラクションの名前がありますが、このアトラクションの元ネタはフランスのジュール・ヴェルヌの「地底旅行=Journey to the Center of the Earth」、原題:Voyage au centre de la terreという小説です。度々映画にもなっています。
さて、世界の中心が舞台となった「奇跡とダンスを」ですが、時代錯誤な表現がいくつもあります。それは「時間」を意識させるものでした。
時間にまつわる元ネタ
時間を認識させてくれる要素や、時間を巻き戻す・遡る物語がある元ネタが多数ありました。
バックトゥザフューチャー(Back To The Future)
ジョセフ(後のニューヨーク市長?)の履いている靴はバックトゥザフューチャー(Back To The Future)=BTTFの2作品目で登場した靴です。1985年から2015年の未来に飛んだマーティーマクフライが自動で靴ひもが締まる靴に驚いていましたが、現実世界でもナイキが「エアマグ」の名で発売しています。
ニューヨークの地下鉄は1980年代にはこの画像のように大変汚れており、危険な場所と言われていました。つまり今回のニューヨークは80年代のニューヨークを舞台としているという事ですね。ただ、ジョセフは2015年の靴を履いてますし、ポプ子とピピ美はなぜかスマホを持っています(笑)
ターミネーター
ロボコップを倒した後に登場するのは「ターミネーターのT-800」。アーノルド・シュワルツェネッガーでおなじみの、未来からジョンコナーを殺すためにやって来たアンドロイドですね。
FFXV(ファイナルファンタジー15)
ポプ子とピピ美が載っている車を押しているのは「ファイナルファンタジー15」のキャラクターです。FF15にも時間を巻き戻す描写があります。
時をかける少女
河川敷のシーンは、時をかける少女のパロディですね。
作中の時間表現:虫食いフィルム再び
第8話「飯田橋の昇竜」で使われた古いフィルムを回しているかのような描写として、「虫食いフィルム」がありました(私が勝手に使用している俗称です)。
第9話の他のパートと見比べてください。この話にしか、虫食いフィルムの表現は使われていません。これは、見ている映像が昔の物であることを表していると言えます。視覚をフルに働かせる必要がありました。
しかし、冒頭の海の映像はCGなのにフィルムの傷の表現を入れるという暴挙には笑ってしまいますね(笑)
ロレックス、鼓動、川の流れ、うさぎなど
タイムズスクエアという名称そのものが時に関係しますし、ブログ冒頭の画像には時計のロレックスをもじった広告がありました。アリスのうさぎも時計を強調した上に、実は時計の針が進んでいる音がずっと鳴っていました。また、ばらばらタイちゃんのコーナーでは、心臓の鼓動が鳴っていたことに気付いた方もいると思います(ヘッドフォンでないと聞こえづらいかもしれません)。更に、河川敷の場面では、川の流れる音もしっかりと入っていました。心臓の鼓動や川の流れというのは、時の経過を暗示させる要素ですね。それにしても、聴覚を酷使させる9話ですね(笑)。
また、今回は前半と後半とで音が異なる場面がいくつもありました。バラバラタイちゃんの観客の歓声が前半はあったのに後半はありませんでした。アイキャッチで女性と男性が入れ替わっている箇所もあります。
その他、ピピ美がボタンを押させる場面で「五億年ボタン」を想起した方もいらっしゃるかと思います。さすがにそれはポプテピピックと関連付けることは難しいと私は思うので、ご自身でググってどうぞ。概要としては、5億年をループするというホラーものです。
動物の鳴き声と五感
今回、アイキャッチ(タイトルコール)の場面も耳を休めることはできませんでした。
神城維来などポプピピ以外の人がコール
Aパートの大人ジョセフ役を務めた神城維来とは、"The Anime Man"の名前でユーチューバ―としても活動している方の日本名(本名のファーストネームはJoeyと思われる)。日本人とオーストラリアのハーフ。彼自身クリエイターとして作品制作をしています。バラバラタイちゃんのナレーション、8bitパートのアナウンスも担当していました。前回あれほどユーチューバ―に厳しかったのにこれだよ!
動物の鳴き声
「ポプテピピック」のアイキャッチ時に「動物の鳴き声」がしていた事に気づいているでしょうか?犬、猫、虎、鳥などの鳴き声がしました。これは、冒頭でジャパリパークがあることによると思われます。
※偶然にも、今回初参画の制作者として「ゴリラフィルム」が登場しましたね。進撃の巨人のプロモーションビデオや闇芝居のアニメ制作などを手掛けていました。
また、このように「音」に注意を促すことで、「聴覚」というキーワードを意識させるものだということに気づきました。
ポプテピピック9話は、日本語、沖縄語、英語、フランス語とただでさえ聴覚を酷使するものであるのに、更に聴覚に神経を使わせる要素があったということです。
嗅覚と味覚と触覚:フーチバー親方の新垣正弘
動物と言えば、嗅覚と味覚も敏感です。
JAPONーMIGNONでは、臭いがキツイ料理のネタがありました。それが嫌で店を変えたのに今度はラーメン屋というのも皮肉が利いています。また、沖縄語の監修を務めたのは、新垣正弘さんという方でした。沖縄では伝説的な芸人であり、「フーチバー親方」の異名があります。フーチバ―とは沖縄料理にかかせないヨモギのことです。クセの強い料理の「匂い消し」に使われています。
このように、味覚と嗅覚を強く意識させる要素もあったポプテピピック。
バラバラタイちゃん、では「手」が登場していたこと、ポプ子とピピ美がハグするシーンがあったことから「触覚」の要素も垣間見えたところです。
以上、これまで視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚を研ぎ澄ます必要があるネタがこれでもかという程、執拗にありました。五感に意識を向けさせたのはなぜでしょう?他に考えられるものはなんでしょうか?
ジョセフとシックスセンス
ジョセフは奇妙な存在であるということに気づきます。ここから映画のネタバレも含みます。
「奇跡とダンスを」の世界観とジョセフの立ち位置
既に述べたように、この話のニューヨークは1980年代であるにもかかわらず、ジョセフは2015年のシューズを履いています。どう考えても時代錯誤でおかしい。ジョセフはこの世界の住人ではないのではないか?という疑問が湧きます。
時空の交差点。タイムズスクエアは、エンドレスエイトを抜けた先のスタート地点なのでしょうか?
次に疑問なのは、なぜジョセフの語りという形式なのか?という点。実は、ジョセフという名前は作中で明らかになっていないのです。スタッフロールで初めて確認できます。奇妙なことに、作中で誰とも会話をしていないということに気づきます。
「実は会話をしていない」という展開が待ち受けているアメリカ映画として「シックス・センス」が挙げられます。ネタバレなのですが、シックスセンスの設定を思い出してください。
シックスセンスと中心、時間
製作会社 スパイグラス・エンターテインメント Kennedy/Marshall
配給:ブエナ・ビスタ 、東宝東和
ジョセフはポプ子とピピ美に何ら干渉しておらず、彼女らもジョセフに気付いている描写は皆無です。
ジョセフは自分のみたいものを見ていただけではないだろうか?その理想的な舞台設定として、世界の中心で時間軸も混ざっている世界をみていたのではないだろうか?だからこそ時代錯誤な物や存在が時空の交差点において共存していた。ジョセフがゴーストバスターズによって吸い込まれないのはなぜか?見たいものをみているからではないか。
ポプ子が現世の者とコミュニケーションをとれていたのはなぜか?それはジョセフとは異なる存在だからだろう。自由の女神像の上で写真を取っているのは、彼女らがジョセフとは異なる自由な存在という事を暗示しているのではないか?
※「半目」というのは、ポプ子役の中村繪里子さんは写真を撮られるとなぜか半目の確率が異様に高いという中の人ネタでした。
そして、ジョセフが市長になった後のシーンでも、なぜか「虫食いフィルム」の表現が残っていたことが思い出されます。この表現方法は第8回では「昔に作られた映像作品のパロディ」でした。しかし、今回の映像はそのような意味なのでしょうか?今回の「映画」の冒頭を思い出していただきたい。海の描写はCGであったという事を。よって、第9話における虫食いフィルムの表現は「昔に作られた映像作品」とは異なる意味ではないか?
さらに、市長になる前と後の両方のシーンでも「虫食いフィルム」の表現が使われていたことから、市長になる前と後の世界には連続性があるといえます。そうすると、市長の演説シーンは「ジョセフが見たいシーンを見ている」シーンであると言えないでしょうか?
虫食いのようなノイズが入っている理由は、ジョセフは「ニューヨークで夢を見ていた」から。これは深読みし過ぎでしょうか?
ボブネミミッミでは夢落ちが結末である不思議の国のアリスのネタだったのは偶然か?
シックスセンスとの関連性
第9回、4つ葉のクローバー、4HIT、タイムズスクエア。4と9。そしてバラバラになった人体のパーツと即身仏のおっさん。これは偶然だろうか?
特に格闘シーン。たった4HITで体力ゲージMAXからゼロまで減らされてはたまらない。第8回ではある程度削ってからピピ美の必殺技の9HITでHPを削りきったことと比較すると、これはいささか不自然です。「4HITに合わせなければならなかった」そう考えるのが自然ではないだろうか?
シックスセンスでは「死者」を予感させる場面では必ず「赤」い物が登場していました。物語の中で色がキーファクターになるというのは古今東西変わりなく普遍的なものであるということは8回の隠しネタ考察でも指摘しました。
「赤」のリュックを常に持っていたジョセフ。リュックが映ってないときは背後に「赤電話」。これも偶然でしょうか?もちろん、ポプテピピック9回ではアメリカらしく色が雑多な感じであり、赤の色が殊更多く使われていたと言う前回のようなことはありませんでした。
ただし、先述の「虫食いフィルム」や格闘ゲームのコーナーが第8話に続いて9話でも出現していることからは、第8話をいわば「チュートリアル」のようにして9話の隠しネタに気付かせようとしているとは言えないだろうか?8話と9話は類似性がある、という事は、自由の女神が両話において出現していることからも裏付けられます。
シックスセンスの主演はブルース・ウィルスでした。そう、前回の8話で前髪を揃えたポプピピの前に現れたのは、ブルース・ウィルス扮するダイ・ハードのマクレーンだったことが思い出されます。ポプテピピックは声優が担当している別の作品のキャラクターのパロディを良く行うということからは、今回もその点が意識されているとは言えないだろうか?
このように、ある類のモノに気付くセンサーを訓練をさせておいて、更なる隠しネタを仕込むという手法は第6話でもありました。
しかし、10人中1000人という点も含め、9話の謎は多く残されたままです。
ゴーストとシックスセンス
この場面、ジョセフのポーズは「ショーシャンクの空に」のパロディですが、ポプ子が触れているのは「ろくろ」。意識高い系の会話をしているのは、意識高い系の人物がしゃべるときになぜかろくろを回すかのような手のポーズを取るというのが元ネタ。
ニューヨークを舞台にした恋愛映画『ゴースト/ニューヨークの幻』(原題:Ghost)でも、ろくろを回すシーンがあるのでこれが元ネタと思われる。冒頭のゴーストバスターズといい、第9話は「ゴースト」にまつわる映画のパロディが複数あったと言える。
アマゾンプライムビデオでホラー検索すると……#ポプテピピック pic.twitter.com/a9mXqAnPpQ
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) 2018年3月6日
POP TEAM EPIC歌詞制作者視点考察:ポプテピピックOP最終回前考察
アニメポプテピピックの主題歌「POP TEAM EPIC」の考察をしていきます。最終回で何らかのネタバレがあるのではと言われていますので、その前に考えを披歴したいと思います。
まずは考察の前提を規定していきたいと思います。
※この考察は、他の角度・視点からの考察を否定するものではありません。あくまでも見方の一つを提示するものです。
- アニメの主題歌というもの
- 歌詞の主体は誰か?
- 根本テーマ『作り手による「世界」のリメイク』
- 監視されている「君」は誰?
- 「世界をリメイク」「隙間の無い狭苦しいお庭」
- 「壊さなきゃ」「ミラーシステム」
- 世界をリメイク
- アニメ・ポプテピピックという作品:最終回前の考察
アニメの主題歌というもの
アニメの主題歌の性質には複数の種類がありますが、歌詞が言及している対象という視点からは以下の3つに大別されると考えられます。
- 専らアニメ内部の事柄について言及するもの
例:ガッチャマンなど昔のアニメや、CHA-LA HEAD-CHA-LAなどファンタジー作品の場合 - アニメについて言及しているが、現実世界をも意識したもの
例:おジャ魔女どれみのおジャ魔女カーニバルなど基本的な世界観が現実世界の日常であるもの - アニメとは無関係に作られた楽曲をOPとして採用したもの
例:るろ剣のそばかす、エウレカの少年ハートやDAYSなど
ポプテピピックOPはどれでしょう?
"POP TEM EPIC"というタイトルと歌手が声優の上坂すみれであることからは、アニメ(原作)を意識していることは明らかです。
ただし、「打ち切り」という単語が気になります。これは物語作品の連載を打ち切るという半ば業界用語化した言葉であり、ポプテピピック原作が、まんがライフWINで打ち切られる度に復活している事を意識していると言えます。
そもそもポプテピピック原作自体が現実世界の時事問題の風刺等も含んだネタで満載ですので、現実世界との繋がりを絶って理解することはもったいない気がします。
よって、POP TEAM EPICは上記の枠で捉えるなら2番目の種類と言えるでしょう。
歌手:上坂すみれ 歌詞・楽曲:吟(BUSTED ROSE)
レーベル: キングレコード
POP TEAM EPIC 【初回限定盤】CD+DVD
歌詞の主体は誰か?
なぜこのような類型分けをしたのか?それは考察範囲を特定するためです。
POP TEAM EPICをアニメについて叙述したものと考え、いわゆる「ループ物」の物語の伏線を張っているとする解釈が多くみられます。それはそれで大変面白い考察で、最終回までの展開でその予想が当たっているのかどうかは興味があります。
ただ、せっかく現実世界と関係を深く持ってしまった作品なので、歌詞の内容は「アニメだけにとどまらない意味づけがなされている」と考えるのも一つの愉しみ方ではないでしょうか?
すると、主体は誰か?(歌っているのは誰か?)という事になります。現実世界での主体として第一に考えられるのは、アニメを見ている者自身、つまり「視聴者」という事になるんじゃないでしょうか。その観点からの考察も一部見られ、深い考察を見てみたいという思いはあります。しかし、仮にそうだとしても、私は単なる無属性の視聴者ではないと考える方が面白いと思います。
なぜか?やはりサビにある「打ち切り」という単語の異質さが際立つので、ここをベースにした方が良いのではと思うのです。
そこで、私はPOP TEAM EPICの主体は「作り手」という観点から考察していきます。ポプテピピックのアニメは既に見てきたとおり、各コーナーの制作者が誰かが冒頭に表示されており、ネット上でも制作者の過去作の発掘がなされるなどしているので、言及することには何らおかしい事は無いと思います。
念頭に置くのは「マンガやアニメの制作者」ですが、世の中全般における「作り手の立場に置かれる人たち」をも含むものと考えています。
根本テーマ『作り手による「世界」のリメイク』
POP TEAM EPICの歌詞の終盤を見ると以下のフレーズがあります。
キラキラの鏡ぶち壊して
新世界へ!
這い上がれ!
思い描くスピログラフ
一義的ではない用語を使って普遍的なテーマを叙述するというのは歌にはよくあることで、上に示したようなフレーズからは、なんとなく「現状を打破して次のステージに進む」というようなイメージがありますね。
それを「作り手」の文脈としてどう捉えればよいのか?というのがここでの課題です。
ここで、マンガ家は自分の思い通りの「世界」を自由自在に構築し得る存在であることが思い浮かびます。アニメ制作陣も原作の縛りはあれども、ポプテピピックはもはや原作無視でも成り立ってしまう勢いなので(笑)、アニメ制作陣も思い通りの「世界」を作れる存在と言えます。これはとてつもない力です。
『作り手による「世界」のリメイク』
これがPOP TEAM EPICの根本テーマであると決めつけていきます。
実はプロモの中に、そのプロモ自身のドラフトと思われるスケッチが一瞬だけ写っている場面があります。メタな描写がある=作り手を意識させている。そのようなプロモであることは間違いありません。
監視されている「君」は誰?
作り手が世界を作るとき、それは妄想だけに頼っていてはいけません。ファンタジー世界を描く漫画家でさえ、現実世界にあるモノに対する真摯な観察によって、その画風やストーリーを形作っていきます。
「見慣れた景色に潜むイデア」
何気ない物、風景、感覚、会話、音、社会情勢。見逃してしまいがちな「景色」から作品を生み出す要素を抽出する。これが作り手が行っている行為であると考えられます。すると、監視されている「君」は世の中のすべての事象ということになります。プロモーションムービーでも、冒頭に映るのは自然現象、動物、造形物などの森羅万象です。
しかし!作り手は果たして見るだけの存在なのでしょうか?
pixivで投稿しているアマチュア作家でさえ、作品を作って1人で満足している人なんていないのではないでしょうか?そこでは必ず「他者からの目線」を意識し、より面白い漫画、より共感が得られる画風、画力、構図、コマ割り、ストーリーを研究しているはず。
「他者からの目線」は商業的な作品を作る立場であればなおさら意識しなければならず、会社であれば更に同僚や上司、取引先などの目線が加わることになります。
『作り手は監視する者でもあり、監視される者でもある』
このような状況が、歌詞において苦悩を表す下敷きとなっているのだと思います。プロモでも、上坂すみれが目を動かす場面、PCに映る目、警備員に照らされる場面など、「見る」と「見られる」が同居している様が描かれています。歯磨きをする場面では自分を見ていることになります(一般的に歯磨きはどこでするものでしょうか?)
「世界をリメイク」「隙間の無い狭苦しいお庭」
監視されているということは、自分を律する効用がある一方で、自由が利かないということも意味します。Aサビではスピログラフを「思い描く」のですが、直後では「隙間の無い狭苦しいお庭」とあるように、窮屈さがある中での作業のような気がしてなりません。
Aサビはまるで出版社に読み切りを持っていくも受賞できなかったり、連載を勝ち取っても打ち切られてしまうマンガ家が、それでもまた題材を仕入れて(パラレルワールド旅して)新しい作品を生み出して(世界をリメイク)いく姿を想像させます。
パラレルワールドとは、マンガの世界と現実世界という意味でもあり、過去の作品と新しい作品という意味でもあるように思います。打ち切られなければ描き、表現できたであろう作者の願い。それを表現できる日を夢見て新作を作る。そんな心象風景が浮かび上がってくるようです。
打ち切り漫画というとこちらのシリーズが面白いので貼っておきます。
世界をリメイクする力がありながら「隙間の無い狭苦しいお庭」というのは、表現者ならだれもが通る道である、「マンネリ化」「陳腐化」の暗喩ではないでしょうか。
既に先駆者達が試行錯誤し尽くした表現方法。それを超える表現や新しい表現を生み出さなければいけないという思いと外部からの要請。それに失敗すれば「つまらない作品」として読者に飽きられるだけ。
ディストピアを越える。ディストピアとは、過剰に管理された窮屈な社会を言い表す語です。読者の評価、編集の介入、そういうものに打ち勝てず、好きな作品を描ききれない。打ち切られた。またお別れね。次の作品で読者に読んでもらうために頑張るから。
打ち切られた漫画なんて読者は覚えていない。私が作った作品の世界観、キャラクターたちも忘れ去られるだけ、思い出もなくなる。それでも私は懲りもせずライトの下で筆を振り、或いはマウスを走らせる。
「またお別れね」の部分のメロディはとても悲しい音になっています。しかし、その次の瞬間には再び力強い音で再始動するかのうように「次の世界で待ってるから」。諦めない精神を象徴するかのようであり、作者の宿命を綴った場面のように思います。Bサビはメロディは力強いですが、歌詞は郷愁すら感じられるものになっています。
「壊さなきゃ」「ミラーシステム」
後半部分からメロディが変調し、変化を予感させます。
自分の殻を破り、観賞用のフラワーアレンジメントと化した自分(或いは作品)を脱する。読者などの外部の評価を過剰に意識し過ぎたあまり、作品に力がなくなってはいないだろうか?予定調和を目指して安定するのではなく、これまでの枠を超える新世界へ!
こちらの隠しネタ考察でも説明しましたが、ミラーシステムとは、「他の個体の行動を見て、まるで自身が同じ行動をとっているかのように"鏡"のような反応をすること」です。8話でピピがレモンをすすったポプと同じようによだれを垂らすような状態もミラーシステムの一つです。
ただ、このままだと作り手の文脈では不適当ですね。意味が通らなくなります。ここでは「他者の期待を認識して同調すること。その結果、期待や予想に沿う作品を作るよう無意識に妥協してしまう」というような意味だと思います。他者に「監視」されている事の弊害の例ですね。
実際にものを見せてあげるまで、本当のところ、何が欲しいのかが消費者自身にもわからないことが多いんだ
スティーブ・ジョブズ
自由に作っているつもりが、「既存の枠にはめられた期待」によって「作らされている」のではないか?(ハムスターの回し車のように)ミラーシステムは作り手を窮屈な表現手法に縛ることになり、そのような状態に陥っていては、良い作品は作れない。鏡はキラキラしていて居心地はいいけれど、それに安住してはいけない。壊さなきゃ。バイバイ、シャバイパラダイス。
(版権元の権利問題でパロディが出来ない?許可とれ!ギリギリを攻めよう!)
世界をリメイク
これ以降、作者はパラダイムシフトを起こして独自の世界を真に自由な状態で作り出していく。このような意味と捉えるならば、CサビはAサビと同じ言葉を用いているのに、「一周回った」「乗り越えた」者が持ちうる力強さ、希望が感じられます。
ここでの「世界をリメイク」は、作品の世界観を設定し直すという意味であったものから、自分の立ち位置や作品の制作姿勢を作り直すという意味にも取れます。また、自分の作品が世の中の評価基準を変える、文字通り創作物をとりまく世界(業界)をリメイクするという意気込みすら感じられます。
もちろん、「完全な自由」はむしろ迷いを生じさせるためそのような状態ではないでしょう。一定の「縛り」や「規律」の中で試行錯誤、もがき苦しんできた末に壁を破った者こそが持ちうる「真の自由」。その強さを手に入れた作り手には、打ち切り後もまた別の作品であったり、別の形で作品に出会えるでしょう。前作は読み手の記憶に残り続ける。
アニメ・ポプテピピックという作品:最終回前の考察
私はこの作品を見て、初めてアニメーションの制作者に注目したと思います。
声優や音楽担当者は興味を持たれても、制作者はエンドロールで見向きもされない。しかし、ポプテピピックでは各コーナーの制作担当が明確になっており、冒頭に制作者名が表示されます。それによってポプテピピック以外に作られた制作者の作品にも出会うことができました。
素晴らしいサブカル制作者たちによる壮大なクソアニメをきっかけに、新たにクリエイターの道を目指す人も出てくるんじゃないでしょうか?
POP TEAM EPICは終わらない。
Twitter機能制限の種類:ツイートが見えない通知が来ない
※2020年10月16日のTwitter障害については以下で整理。
【2020年10月16日】Twitter障害について:「通知はまだ届いていません」
ツイッター機能制限の段階分け
- アカウント自動削除
- 永久凍結・凍結
- アカウント制限(ロック)
- 機能制限
ツイッターの制限は、上記の順番で重い処分となっていることが分かりました。
もっとも、このような類型分けは私が個人的につけたものなので、正式なものではりません。しかし、このような把握の仕方をすることで、自分の身に起きていることがどの程度の事なのか?を知ることができます。多くの場合は4番目の機能制限に留まり、よほどでない限り凍結にはなりません。
ただ、4番目の機能制限の中には、ツイッター社からの通知が来ないうちに規制がかかるものもあるため、制限の種類を知っておくことは自分の発信力の確保という観点から重要です。
順番に記述していきますが、原因がわからないのに「通知が来ない」「ツイートが表示されない」という人は4番の機能制限の項に目次から飛んで見ることをお勧めします。
- ツイッター機能制限の段階分け
- アカウント自動削除
- 永久凍結と凍結
- アカウント制限=アカウントロック
- 機能制限:3つの類型に大別される
- 処分ではない制限:特定の相手にのみ通知が発生しない
- おかしいと思ったらfrom:アカウント名検索
アカウント自動削除
アカウント自動削除の典型例は「5年間全くログインしなかった」などの場合です。
3年弱程度では削除はされないというのが2018年3月現在の相場です。それ以上の場合は不明ですが、一定の目安は「3年」と思われます。
なお、人種差別的なツイートや殺害予告のツイートで永久凍結に至った場合でも、アカウントの自動削除が為されるとは限りません。例えばこれです。
トップ画面魚拓:http://archive.is/sz6ZO
このアカウントは現在「凍結されています」と表示されますが、アカウントの削除までは至っていません。凍結期間が例えば5年経過すれば、アカウントが自動削除されるでしょう。
永久凍結と凍結
永久凍結と凍結、この二つはツイッター社において扱いに変遷があるため、現在は同一と見てよいです。が、過去の情報もあるのでそれも含めて説明していきます。
プロフィール画面での永久凍結と凍結
同じアカウントのプロフィール画面ですが、「永久凍結」と「凍結」の表記が異なっています。これはアクセスするプラットフォームによって生じる表記の違いです。ツイッターアプリからアクセスすると、「凍結」の表記になっていました。しかし、スマホのWEBブラウザなどでアクセスすると「永久凍結」という表記になっていたというブレがありました。
なお、現時点でスマホのGoogleアプリや、サファリ・Cromeなどのブラウザからアクセスしても「凍結」となっています。おそらく現在はどのプラットフォームからアクセスしても「凍結」となると思われます。
凍結になっても、復活の可能性があります。また、「永久凍結」という表記であっても、復活が100%不可能ということでもありませんでした。なので、両者を分ける必要性はないと判断されたものと考えられ、その運用が正当だと私も思います。
なお、凍結されたアカウントに対する他人のツイートは凍結後も見ることができます。
凍結された場合の解除方法
凍結された場合に送られてくるメールですが、文面が異なっています。
1,2年前のものですが、「復活されません」とある場合と無い場合があります。これは現在では差があるのかは未確認ですが、少なくとも過去にはこういった違いがあったということです。
このパターンでは、凍結解除することはないとありながら、解除されています。
凍結されても必要ならば、あきらめないで解除申請ができるということです。
解除申請の方法は年次を経るごとに変化しているので、WEBやツイッター上で検索するといいでしょう。ここでは省略します。
アカウント制限=アカウントロック
「アカウントロック」は、そもそも自分のアカウントのプロフィール画面にアクセスできなくなる処分の事です。大きく2パターンあります。
1:ツイートがポリシー違反と判断された。
この場合は「問題となるツイートはこれですよ」と教えてくれるので、このような画面からツイートを削除すればアクセス可能になります。一定時間の制限がある場合もあるようです。
2:API制限などに引っかかった
ツイッターはシステムに過剰な負荷をかけないために、1アカウントが単位時間あたりにツイートできる上限を決めています。その上限を超えた数のツイートをすると制限がかかります。1分間に数十のツイートをする、というものなので、ツールの設定を間違えたり無暗にツイートするなどしなければ制限にかかりません。
また、「フォロー返し」にも制限があり、一定時間に150フォローをしたときに制限がかかった場合があります。この場合は「電話番号を確認してください」などの指示に従えば再ログイン可能になります。
機能制限:3つの類型に大別される
「アカウントロック」とある人が言うとき、この機能制限を指している事があります。大きく3つの種類の制限があります。
1:主要機能の制限
このアカウントは「ロック」と言っていますが、「機能が制限」されているとあるので、これはアカウントロックではなく、「機能制限」の部類になります。つまりは、自分のアカウントのプロフィール画面にログインして一応の操作は可能だが、主要な機能についてできる事に制限が加わるということです。このアカウントが自分の状況をまとめていますが、おそらくは違反の程度によっては制限される機能に差があるのではないかと思います。まとめると以下になります。
- ツイート、いいね、リツイート、フォローができない
- 相互フォローの相手のみDM可能。ただし画像は送れない
- ツイートの削除、ブロックは可能
この制限の特徴は、「ツイートそのものが出来なくなる」というところにあります。
要するに、「情報の拡散能力がゼロになる」事を意味します。この点が次項以下で述べる機能制限と異なります。
ただし、ダイレクトメールは可能なので、既にフォロワーになっている相手に対しては情報交換はできるということです。この点がアカウントロックと異なります。
また、この状態は他の方からのリプライやいいねなどの通知も来なくなります。
なお、制限された場合の一般的な期間は1週間となります。他人がプロフィール画面にアクセスする場合は、「アカウントは一時的に制限されています」となります。
2:ステルスツイート
「ステルスツイート」は私の友人間での呼称なのですが、「ツイートが見えなくなる」という現象です。これも一種のAPI制限に引っかかった結果なのかなと思います。
具体的な状態
ツイートが見えなくなる、という状態がどういうものなのか想像もつかないと思いますので、画像などで説明します。上から順にツイートが連なっています。オレンジとグリーンの2人のアカウントの会話です。これは制限が解除されてからのものですので、通常の見え方になっています。
これがステルスツイートの制限を受けている状態だと第三者からは以下のような見え方になります。
1人で会話しているように見えています(笑)
これは「規制を受けているアカウントの最新のツイートしかそのツイートラインでは見えなくなる」という性質によるものです。
なお、ここでも指摘されていますが、制限を受けているアカウントのトップページに行けば他人でもすべてのツイートを見ることは可能です。
また、通知をどうしても受けたいということであれば、相手のプロフィール画面からモバイルに対する設定が可能です。アプリの場合はベルマークをタップすればOK.PCブラウザの場合はフォローボタンの右側のタブから「モバイル通知をONにする」とすればOKです。
ステルスツイート状態には突然なります。ツイッターからの事前通知はありません。この機能制限は24時間継続します。それを過ぎれば通常通りのツイートになります。リツイートやフォローは可能なので、ステルスツイートは、「ツイート単位に対する制限」であると言えるでしょう。
原因と改善方法
原因の一つに、ツイートに含まれる「#ハッシュタグ」が過剰である事があります。
ツイッターの推奨は1ツイートに2個ですが、もちろん3個#をつけたからといって制限があるわけではありません。制限を受けた方は、「1ツイートにハッシュタグを6つつけている別個の内容のツイートを30分以内に5回ツイートした。」という事がステルスツイートの制限を受けた理由です。
この方にはハッシュタグを減らした投稿をしたら制限がかからなくなり、元の個数に増やしたら制限がかかるということを確認して頂きました。「ハッシュタグ過剰によるスパム認定」というのが原因のようです。これはおそらく「同じツイートを連続する」「同じツイートを連続で引用リツイートする」「@を多数つけたツイートを連続する」というような場合でも適用されると予想されます。
また、1つのツイートに10数個以上もの#をつけるという行為もこの制限の対象となる場合があります。
この方もステルスツイートとなっていました。
要するに「通常行うようなものではない操作を行った場合」にこのような制限になる可能性が高いということですね。
3:自分のツイートで通知が行かない、通知が来ない、
最も軽い制限がこの状態です。「ツイートはできる」し、「他人がツイートを見ることは可能」ですが、ツイートをしたりいいねをしたりした場合の通知が相手に行かないという状況です。また、他人から自分にリプライやいいねが来た場合にも通知が来ません。
この状態になっているアカウントについて「from:アカウント名」で検索すると、ツイートがヒットしません。この法則は、これまで説明してきたすべての機能制限、アカウントロック、凍結を受けているアカウントに当てはまります。
当然ですが、from:アカウント名で検索してもヒットしないからといって、そのアカウントが機能制限等を受けているということにはなりません。
この状態だと誰かがリツイートしないかぎりタイムラインに自分のツイートが表示されなくなると思われます。ツイッターは本質的に「拡散力の制限」を規制手段として用いているので、自分のツイートに対して普段よりもいいねやリツイートが少なすぎると感じたら、機能制限の可能性を考えた方がいいでしょう。
処分ではない制限:特定の相手にのみ通知が発生しない
こちらでも説明しましたが、ツイッターの機能で不快な情報は自動的に表示させないというものがあります。ツイッターは常にアカウントのツイートのデータを採っているので、そこから当該アカウントが不快に思う発言を認識すると通知を送らないという事がしばしば発生しています。
また、これとは異なり、特定のアカウントを通報すると、その相手からのツイートの際に通知が来なくなったり、ツイートが見れなくなったりすることがあります。
これは見れなくなった、通知がこなくなったアカウントに対する処分ではなく、そのような仕様であるということです。
おかしいと思ったらfrom:アカウント名検索
- アカウント自動削除
- 永久凍結・凍結
- アカウント制限(ロック)
- 機能制限
これまで紹介してきた制限にかかっているアカウントは、すべて「from:アカウント名」検索をすることで判別可能です。上記の何らかの規制を受けているアカウントは、この検索結果でツイートがヒットしません。この仕様を利用して、おかしいと思ったら自分のアカウント名を上記の方法で検索してみましょう。
自分が何らかの規制にかかっていることがわかれば、あとは原因の特定です。ここまで紹介してきた規制の内、「機能制限」の一部については突然発生し、原因が特定できない場合があります。このような場合に「誰かから通報されているから」と決めつけると、何時まで経っても状況が改善しないので、自分のツイートに不自然なところがないか振り返ってみてください。
以上:はてなブックマークをして頂けると助かります。
ポプテピピック9話の前に:8話仁義なき戦い隠しネタ考察
8話のもう一つの隠し要素:騙す、欺く
前回8話の隠し要素について書きましたが、紙幅の関係で書けなかった隠し要素を改めて指摘していきます。
指定暴力団"bamboozle gang"
ポプテピピック8話の北米版では、竹生会は"bamboozle gang"と訳されていました。
"bamboozle"とは、「騙す、欺く」という意味があります。「竹」の"bamboo"と似ている単語がれっきとして存在するのは笑えますね(笑)
これは8話の主なパロディ元である「仁義なき戦い」の物語の根幹に関わってきます。
仁義なき戦いのストーリー
「仁義なき戦い」は、広島の暴力団抗争を描いたノンフィクション小説を基に作られた映画です。美能幸三が獄中で書いた手記を基にされています。いわゆる「任侠もの」のような義理人情に厚いヤクザという描き方はされず、社会悪としての実在のヤクザを描いた当時としては画期的な作品です。暴力や裏切り、金に汚い描写など、殺伐としたシーンが続きます。
「騙し、欺く」ことでしか暴力団員として生きていけない。最初は仁義があったが、そのような卑劣な手段が横行した結果、次第に仁義はなくなっていった。そんな悲しさも感じられる作品でした。
ポプテピピック8話の隠しネタ要素としても、騙す、欺く、ものが至る所で見つかりました。今回は前回の誌面には収まらなかったそれらをベースにして、9話以降の展開も予想してみたいと思います。
1「騙す」を暗示させるネタ
騙す、欺くを想起させるパロディ元があるネタが隠されていました。
声優の3人が諸葛孔明:孔明の罠
小野坂昌也さんは三国無双シリーズ
浪川大輔さんはFate Grand Orderの諸葛孔明(エルメロイⅡ世)
諸葛孔明〔エルメロイⅡ世〕 - TYPE-MOON Wiki
小西克幸さんは三国志大戦
なぜ諸葛孔明だと「騙す」なのか?史実において敵を欺き戦を勝利に導いていることからは自然と思われるが、ネット上で「孔明」と言えば「孔明の罠」であり、このせいである。
特にアクションゲームの動画などで「初見殺し」と呼ばれるような、隠されていたり予測しないと回避不可能であったりする罠など、理不尽なトラップに対して「孔明の罠」というワードが半ば作り手への賛辞の意味も込めて飛び交う。全編通じて孔明の罠ばかりのゲームは以下の動画が有名である。
カイジ:ざわ…ざわざわ…
ポプの葬式でピピが登場するシーンで組長らが「ざわ…」と言っていたのは賭博漫画「カイジ」シリーズの擬音語が元ネタ。
2:誤認、錯誤に基づく騙し
パロディ元があると言うよりは、相手方の認識に齟齬を生じさせるような行為が行われていました。
声優すら騙す?ポプテピピック制作陣
エイッサイー、ハラマスコイーをやりたくて、めちゃくちゃ練習していったのに、俺じゃ無かったんです。スタジオで、一人でやってました。
— NEW YOUNG(小野坂昌也) (@masayangest) 2018年2月24日
Aパートの五十嵐裕美さん、松嵜麗さんもエンディングで「何で私たちアニメに出てないの?」と言ってるように、声優すら騙していた(と思われる)ポプテピピック制作陣。敵を騙すにはまず味方から。まるで諸葛孔明ですね。
エンドレスエイトではなかった
アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」において8話連続で同じ場面を扱いながら微妙に異なる描写がされていたシーンのパロディだが、結局放送内容は変わらなかった。これに騙されて1時から5時までずっとポプテピをつけっぱなしだった者も多いだろう。
枯れ木に小麦粉、ポプ生き返る、など
花さかじいさんの原作では臼を燃やした灰を木に散りばめるのですが、小麦粉で騙していました。ポプも死んでいるのに生き返って葬式に集まった人を騙した形になりました。
3:複数の可能性を想定させて騙す
選択肢が多いと誤った結論を出してしまう可能性があります。
宮っこ、自由の女神
「宮っこ」は原作者大川ぶくぶ先生の地元である兵庫県西宮市の地域情報誌であることは前回示しましたが、もともとの意味は地域名に「宮」がつくところの住民である。大宮や宇都宮という選択肢はぶくぶ先生の出身県で対象から外れるとしても、三宮町や五色町都志大宮(ごしきちょうつしおおみや)、別宮(べっくう)など複数の候補が残っていた。
自由の女神も世界中にある。元はフランスに始まりアメリカ、日本にも複数存在する。日本国内においても東京お台場が有名だが横浜の鶴見や兵庫県の太陽公園内にも自由の女神がある。宮っこという事からここの自由の女神かと思われた。しかし、消防ヘリコプターの型式である「ドーファンⅡ」が神奈川県内の消防航空隊や兵庫県消防での配備が確認できないことからフェイクである。
正信偈は東本願寺のものではない
ポプの葬式シーンで読まれた読経は西本願寺の正信偈であると特定された。
正信偈(草譜) 浄土真宗本願寺派(西本願寺) お経 やや早め 聞き流し用 https://t.co/c36Bmt5u1i
— よしお@宝石の国 (@yoshiorfevre) 2018年2月24日
なお、ポプテピで流れてのこれですねwww 真宗大谷派とは違うんですよw
東本願寺においても正信偈は存在する。しかし、その読み方などで異なるという事が分かる人にはすぐにわかるらしい。
ボブネミミッミの隠しネタにおける騙し
ボブネミミッミでのエイサイハラマスコイ踊りは、背景にランドマークタワーが見えることから、有名な「山下公園」ではないかと思われた。実際に騙されたツイッターユーザーも確認できたが、赤レンガ公園であった。
ポプテピピック8話考察
— なかのひと (@yukkuriNANAYON) 2018年2月25日
①現在の車両は菱形パンタグラフに戻ってるけど、ポプテ側はシングルアーム
②ホーム中央の白い横向き看板には本来「銚子電鉄ホーム」と記載があるが、ポプテ側は無く位置も違う
③同ホームに現在LED街灯があるが、ポプテ側には無し#ポプテピピック #銚子電鉄 pic.twitter.com/DeJdRuItsn
また、逃げる際に使用した電車は「電鉄」とあることから、神奈川県の電鉄と言えば「江ノ島電鉄」を考えるのが当然であるところ、事実は千葉県の「銚子電鉄」であった。しかも色は実在していることが確認できない。
姫路-小豆島(福田港)フェリー時刻表/運賃料金 | 小豆島WEBマガジン
さらに、フェリーも山下公園のものかと思われたが、四国フェリー福田港の「第八おりいぶ丸」であった。
視聴者への攻撃と壮大な欺きの可能性
ポプテピピック8話の位置づけ
以上みてきたように、ポプテピピックは視聴者に対しても欺く攻撃を加えてきた。
竹生会を"bamboozle gang"と訳したのも、欺くという隠しテーマを意識してのものと考えざるを得ない。既に前回考察にて、ポプ仮釈放のときに「十月吉日」というテロップがOctober=8の月という隠しネタを見ている。よって、ポプテピピックはこのような意味づけをしかねない。
さて、ここで今回の騙しは第8話のみの話なのだろうか?という疑問がよぎる。その根拠は、AbemaTVにて8コマ連続放送という暴挙を行ったことである。これは表向き「エンドレスエイト」を想起させるものであるが、もっと身近に意味深な表現がある。
それがOPの主題歌「POP TEAM EPIC」の歌詞に含まれている。
POP TEAM EPICの歌詞とプロモーションムービー
歌:上坂すみれ。楽曲・歌詞:吟(BUSTEDROSE)
POP TEAM EPIC 【初回限定盤】CD+DVD
歌詞のサビ部分を抜粋する
繰り返し
思い描くスピログラフ
破壊と創造の幾何学模様
打ち切りの先でまた会えるよ
パラレルワールド旅して
散りばめる願いに気付いて
世界をリメイク
これまで世の中に存在しているアニメの展開を知っている者の中には、ここからポプテピピックは「ループ物」 であるという考察をする例も見られる。『今回のエンドレスエイトはポプテピピックは「ループ物」であることを暗示している』と。実際、ギャグ漫画なのに最後はシリアス展開で終わった作品や、最終話でメタ発言連発してループした「ヘボット!」というアニメも存在する。
そもそもエンドレスエイトは8を横にしたら「無限∞」を意味するというところから来ている。
キングレコードの公式アカウントが設置している上掲のプロモーションビデオでもハムスターの回し車が一瞬だけ意味深に写っている。したがって、制作陣は、視聴者が「ポプテピピックはループものではないか?」と考察するところまでは余裕で見越していると考えられる。パロディもののアニメが放送された際、検証・考察する存在がネットで登場したことも、当然にして制作陣は把握しているであろう。
実はこのプロモ、最後まで流れず中途半端に終わる。プロモの内容に「ネタバレ」が含まれているのではないか?と思わせる運用である。他にPOP TEAM EPICで検索してもプロモーションムービーがある動画がヒットしないのは、キングレコードが本気で消しにかかっているという事だろう。それは考察の答えを最後まで特定させない工作のように思える。
意味深な表現:マンダラ、ミラーシステム、無限
画面上部中央に注目。
格闘ゲームにおいて、この位置には制限時間が記述されているのが通常である。
しかし、今回は「無限∞」である。
そして、ポプ子にHITしたコンボの数は8ではなくなぜか「9」となっている。ここまで数多の「八」に関する描写をしてきたことに比較すると、奇妙である。これは、ここでは【「∞」は単なる「八」の隠しネタではない】という事を示唆するものと言えるだろう。
歌詞で言えば、「繰り返す」などに相当する。
こちらのシーン、背景にあるのは単純な構造ながら「スピログラフ」を思わせる幾何学模様である。そして、最終的には複数の顔が一面に集まる姿は、「曼荼羅(マンダラ)」のようである。そのための仏教描写。葬式ではフラワーアレンジメントが施されていた。
ポプが仮釈放されたとき、「娑婆(しゃば)の空気はいいねぇ」と言ったことも、歌詞の後半にある
バイバイ ララバイ バイバイ シャバイ ミライ
マイカイ ブレナイ バイバイ シャバイ パラダイス
というところに同じ表現が出ている。
こちらはピピに「ミラーシステム」(ミラーニューロンシステムとも)が発動している場面である。ミラーシステムとは、「他の個体の行動を見て、まるで自身が同じ行動をとっているかのように"鏡"のような反応をすること」である。
鏡はmirrorだが、millerは粉屋である。小麦粉が桜を咲かせたのは…
ミラーニューロン - Wikipedia
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcss/18/2/18_2_343/_pdf
そして、刑務所と言えば常に行動が管理されるディストピアの要素がある場所である。
ディストピアとは (ディストピアとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
歌詞の単語が散りばめられた8話
上記に挙げた他にも、ポプ子とピピ美が前髪を切ったのは「デザインを変えた」とも言える。ポプが生き返る時に引き金を引いた拳銃は薬室(Chamber=チェンバー)が外部から見える回転式拳銃である。最大で5~6発の弾を込められるのに、なぜか3発しか入っておらず、空の状態で引き金を引いて薬室が回る様子まで細かく描写されていた。
薬室 - Wikipedia
もうお分かりの通り、POP TEAM EPICの歌詞にある重要単語が、ポプテピピック第8話に散りばめられているのである。制作陣が8話をエンドレスエイトするのは、第8話が重要な回である、という考察は、的を射ていると言えよう。
これは私が確証バイアスにかかっているだけなのだろうか?
ポプテピピック9話以降の展開
さて、いろいろと指摘をしてきたが、上記の要素に視聴者が気づくのも
「お釈迦様の掌の上」であろう。
ポプテピピック制作陣は、そのように考察する視聴者を「騙し、欺いている」。8話の仁義なき戦いに通底するテーマからは、そう言えないだろうか?
9話以降、ループ物をほのめかす描写が度々出てくると思われるが、エンドレスエイトからループ物を想起する我々視聴者に対して
「あ、だぁ~まさぁ~れた~。これただのクソアニメだっつ~のぉ~」
などと、ほくそ笑むに違いない。
#ポプテピピック考察班 っていうタグがあるけど、ループ物の予想が話題になっているらしい。でも、私はPPTP制作陣はこの考察を読んでいて、考察が当たっているか外れているか議論が勃発するような終わり方をすると思っている。
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) 2018年2月27日
【明確な答えは示さない】
これがPPTPの表現方針ですからね。
もしかしたらヒントはDVDのメイキング等でほのめかされるのかもしれませんね。
ポプテピピック8話元ネタ隠しテーマ考察:西宮と正信偈
飯田橋の昇竜と隠しテーマ
飯田橋の昇竜とはポプテピピック原作を出版している竹書房の所在地が飯田橋からきている。住所も飯田橋2-7-3なので、竹生会会長の名前「二七三」もここから。壁に掛けてある標語も現実の竹書房のものと全く同じです。
今回は第8回目ということで「八」に関連する事柄が多かったですね。これは犬が西向きゃ尾は東です。また、隠しテーマとして「西」「赤・火」という要素がありました。テーマに沿ってみていきます。
今回は頭の片隅に「Youtuber」を入れておくといいでしょう。
- 飯田橋の昇竜と隠しテーマ
- 小西克幸と8人の声優
- ワニブックスにも連載
- ぶくぶ先生は宮っこ
- 西本願寺の正信偈
- 赤い物:ベーコンむしゃむしゃ君、火サスだけじゃない
- 花さかじいさんの砂絵パート担当の佐藤美代
- 「八」
- ポプテピピックDVD、ブルーレイ
小西克幸と8人の声優
実は今回、本編でのポプ子とピピ美を担当をする4人に加え、エンディングで歌う役の4人が別途存在していたという超豪華な声優布陣でした。
中でも小西克幸さんはなんと一人で六役もの担当をしていました!
八面六臂の大活躍ですね!
Aパート 田所あずさ 諸星すみれ 五十嵐裕美 松嵜麗
Bパート 浪川大輔 小野坂昌也 増田俊樹 羽多野渉
このような布陣となっていました。
本編でアイカツ声優を使い、ネタにプリパラを使い、エンディングにアイマスを使うポプテピピック
— たまごまご・オブ・ザ・デッド (@tamagomago) 2018年2月24日
ワニブックスにも連載
鰐=ワニブックス。ぶくぶ先生はワニブックスのコミックガムで「リスボックリ」をポプテピピックと同時並行で連載してました。作風はポプテピと似ており何らかのパロディが含まれているものが多いが、切り込むネタのヤバさはポプテピを凌ぐことも。
竹書房のまんがライフWINとワニブックスのコミックガムの両誌で連載…
後はわかりますね?
ぶくぶ先生は宮っこ
オープニングでのぶくぶ先生の肩書は「宮っこ」。宮っことは、地域名に「宮」がつく場所の人間を指しますが、原作者の大川ぶくぶ先生は兵庫県出身ということなので、十中八九、西宮市を指すものであることは間違いないでしょう。
西宮市で長年発行されている雑誌が「宮っこ」というもので、その地域では有名です。西宮コミュニティ協会が発行する地域情報誌です。
ちなみに、広島県にも三原市西宮という地名があります。
これは飯田橋の昇り竜~復讐のピピ~のネタ元である「仁義なき戦い」の舞台でもあった広島ということで、関係があると思います。
そして、広島はもう一つ「西」の要素に関係します。
西本願寺の正信偈
パロディで話題のポプテピピックですが、ここで流れるお経は正信偈(しょうしんげ)と言って、実際にあります。歌詞カード置いときます #ポプテピピック pic.twitter.com/s02vtaxtgW
— くぅ~疲れましたw (@kutsuka_bb) 2018年2月24日
正信偈(草譜) 浄土真宗本願寺派(西本願寺) お経 やや早め 聞き流し用 https://t.co/c36Bmt5u1i
— よしお@宝石の国 (@yoshiorfevre) 2018年2月24日
なお、ポプテピで流れてのこれですねwww 真宗大谷派とは違うんですよw
ポプの葬式の時に読まれていた読経は「西本願寺の正信偈」という事ですね。東本願寺のものではないという特定もなされています。すごい。ポプ子は浄土真宗だったのか。
このように、「西」というキーワードを軸として、浄土真宗=安芸門徒=広島と、広島と縁が深い今回の隠しネタでした。
阿弥陀仏を意味する西ノ主という言葉も見つかりました。
赤い物:ベーコンむしゃむしゃ君、火サスだけじゃない
OP前のベーコンむしゃむしゃ君も赤い身であり、焼いているベーコンを獲ろうとして火傷してます。飯田橋の昇竜の最後の効果音は火曜サスペンス劇場のものでした。それ以外にも「赤・火」の要素があるので見ていきます。
赤レンガパーク:エイサイハラマスコイ
ボブネミミッミのエイサイハラマスコイ踊り、場所は神奈川県横浜市中区にある公園ですが、公園の名前が「赤レンガパーク」となっています。
はい、爪も赤いですね。靴も茜色です。
銚子電鉄2000系:江ノ電ではないだと?
茜色の電車はおそらく元京王電鉄2010系の銚子電鉄2000系と思われる。同形状かつ同色の機体の存在は確認できない。よって、この配色は意図的である。そもそも赤レンガ公園の最寄駅はみなとみらい線なのでなぜこのチョイスをしたのかは全く不明である。
ポプテピピック8話考察
— なかのひと (@yukkuriNANAYON) 2018年2月25日
①現在の車両は菱形パンタグラフに戻ってるけど、ポプテ側はシングルアーム
②ホーム中央の白い横向き看板には本来「銚子電鉄ホーム」と記載があるが、ポプテ側は無く位置も違う
③同ホームに現在LED街灯があるが、ポプテ側には無し#ポプテピピック #銚子電鉄 pic.twitter.com/DeJdRuItsn
自由の女神:消防ヘリコプター
消防ヘリコプターの機種は「AS365N3型 ドーファンⅡ」である。日本国内の各都市の消防局において利用されている。
配色が異なるものがあるが、元の機体はドーファンⅡである。
なお、この自由の女神の場所は東京お台場と思われる。兵庫県にも「太陽公園」に自由の女神像があるが、ドーファンⅡは兵庫県で配備が確認できない上に自由の女神像の形状等から否定されると思われる。ドーファンⅡは東京消防庁では配備されており、ペイントされている機体中央の日の丸と尾翼の家紋から、国内の場面と推測できる。よって、アメリカやフランスの自由の女神ではないと言えないだろうか。
※どうみてもニューヨークのものですw。が、お台場ということでw
Youtuberの炎上が炎上
これも元ネタがある。あるユーチューバ―が生配信においてオイルマッチでタバコに火をつけて喫煙していたが、火の不始末で火事になる様を晒してしまったことが愚かだとして炎上したのが元ネタ
「AS365N3型 ドーファンⅡ」で消火してもらわねば!
焼却されたVHSと8ミリビデオ
赤いドラム缶にVHSビデオを投げ入れて焼却するボブ子。
VHSーDVD-Blu-rayという順序で映像記録媒体の進化を目の当りにしてきた者にとっては郷愁に駆られる遺物である。テープ型の記録媒体においても規格争いがあり、VHSに比して小型な8ミリビデオが流通していた事を思い出す方も多いと思われる。
背景が裾野広がりの山が2つ配置されているのが意味深であるが、もちろん「八」を意識させている。まるで規格競争に敗れた8ミリビデオがVHSビデオの焼かれる姿を見て喜んでいるようだ。
花咲かじいさんと炎上
花咲かじいさんの物語では、犬を大事に扱う花さかじいさんと、いじわるな隣の爺さんが(現代の比喩的に)「炎上」する様子が対比的に描かれている。
花咲か爺 - Wikipediaより抜粋して表現修正
ある山里に心優しい老夫婦と、欲張りで乱暴な隣人夫婦がいました。
優しい夫婦が傷ついた子犬を見つけて飼うことにし、わが子のように大切に育てていました。あるとき犬は畑の土を掘りながら「ここ掘れワンワン」と鳴き始めます。驚いた爺さんが鍬で畑を掘ったところ、大判小判がざっくざく。老夫婦は喜んで近所にも振る舞い物をしました。
それをねたんだ隣の夫婦は、無理やり犬を連れ去り、財宝を探させようと虐待します。しかし、指し示した場所からは期待はずれのガラクタばかり。隣の夫婦は激怒して犬を殺害し、老夫婦にも悪態をつきました。
悲嘆に暮れる夫婦は庭に墓を作って犬を埋め、雨風から墓を守るため傍らに木を植えました。木は短い年月で大木に成長し、やがて夢に犬が現れてその木を伐り倒して臼を作るように助言します。夫婦が臼を作り、それで餅を搗くと、なんと財宝があふれ出ました。
再び隣人夫婦は難癖をつけて臼を借り受けるものの、出てくるのは汚物ばかり。激怒した隣人夫婦は斧で臼を打ち割って薪にして燃やしてしまいます。優しい夫婦は灰を返してもらって大事に供養しようとします。すると再び犬が夢に出てきて桜の枯れ木に灰を撒いてほしいと頼んできました。「枯れ木に花を咲かせましょう」そういって夫婦が灰を撒くと花が満開になりました。そのとき、たまたま通りがかった 大名は感動し、老人をほめて褒美を与えました。
やはり隣人夫婦がまねをします。しかし、花が咲くどころか大名の目に灰が入ってしまい、隣人は無礼をとがめられて罰を受けてしまいましたとさ。
昨今、Youtuberに限らずあらゆる情報発信媒体での個人の言動が「炎上」する現象がおきています。中には「炎上商法」として意図的に過激な表現・活動をする者が出てくる始末。Youtuberの基本的な広告収入は全盛期の20分の1程度にまでなっている。簡単に利益を得ようとした末端Youtuberはそれこそ火の車になり、大物ユーチューバ―であっても赤字を出す例が出ている(某マックスむらいなど)。現代では子供の将来の夢の上位にユーチューバ―がランクインしている。原作からユーチューバ―に厳しいポプテピピックは、そういった「火遊び」をするとベーコンむしゃむしゃ君みたいにやけどするぜ、と警鐘を鳴らしているのではないだろうか?
そして、「赤」というのはこのような危機的状況にあることの暗喩でもある。
ここで述べたような意味かは意見が分かれるが、夏目漱石の「それから」の最後の描写はそれまで度々出現していた「赤」を強調しているのが印象的であるので見てみてほしい。著作権切れなのでネットで無料で見れます。
この場面が砂という燃えない物質で作ったサンドアートという事には、それなりの意味が込められていると思います。
花さかじいさんの砂絵パート担当の佐藤美代
新美南吉原作のアニメーション「きつね憑き」(2015)を制作。国内外の映画祭で上映される。
ペイント・オン・グラス(ガラスの上に絵の具でコマ撮り)や砂絵アニメーションからデジタル作画の作品まで技法や幅広いジャンルで制作する。
Web制作会社のクリエイターを経て、2017年からフリーランス活動開始。
佐藤美代氏は砂絵アニメーションだけでなくいろんなジャンルの映像作品で受賞歴がある「ガチでやべー奴」。フリーランスで活動してるというのはスキルが半端ないということですね。受賞歴はこれだけにとどまりません。彼女のHPにも作品例がありますが、昔話にまつわる作品はこちら。
ポプテピピックは声優だけでなく制作陣も豪華。委員会方式を採用しているのではないのにこのオールスター感はすごいですね。
「八」
八を表す描写も無数にあったポプテピピック第8話。いくつか触れていきます。
禿げ
禿げ ハゲ 禿げ ハゲ 禿げ ハゲ
ちなみに背番号7番は元鹿島アントラーズ所属のサッカー選手「アルシンド」
名古屋グランパスエイトには所属したことは無いので注意。
額
アレを寄せてますね。
十月吉日ポプ仮釈放
10月=October。October=8月。よって、10月=8月。証明終わり。ってあれ?
ラテン語圏では、昔の暦は3月始まりの10か月しかありませんでした。8番目の月を意味するのがOctoberでした。Octopus=タコは8本脚ですよね。
10月 - Wikipedia
エンドレスエイト
AbemaTVでは「エンドレス放送」と銘打って初回放送から連続8回の放送をしていました。元ネタはアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」において、第1話~第8話がほぼ同じ内容であるというループものである。登場人物がループに気づき、脱出するまでに要した話数が8話ということで、「エンドレスエイト」と呼ばれている。つまり、同じ時間軸で同じ出来事が扱われるが、全てが同じ描写ではないということ。
エンドレスエイトとは (エンドレスエイトとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
ポプテピピック8話でも「まさか微妙に変化を加えた8話が放送され、ループを抜ける話なのか!?」と騒然とする界隈があったものの、そんなことは全くなかった。前回の7話でAC部が前半と後半で声を入れ替えていたという前例があったことから疑心暗鬼になった視聴者が多かった。
ただ、これを受けて「ポプテピピックはループ物」という筋の考察班が活気づいており、その妄想力の逞しさはこのブログの比ではない。
※ちょっと異なるが、螺旋(らせん)の「螺」は「ニシ」とも読みます。
螺旋 - Wikipedia
小豆島急行フェリー「おりいぶ丸」
出典:姫路-小豆島(福田港)フェリー時刻表/運賃料金 | 小豆島WEBマガジン
四国フェリーグループ小豆島急行フェリー株式会社が運航する「おりいぶ丸」。ボブネミミッミで出てきたのは予備船の「第八おりいぶ丸」。予備船なのであまり出てこない。小豆島は「しょうどしま」と読む。
八の字の逃亡
関東レベルの八の字
ボブ子の経路は以下
横浜の赤レンガ公園ー(徒歩)ー銚子駅ー外川ー(東京湾アクアライン)ー東海道線へ
作中では明らかではないが、ボブ子は赤レンガ公園から徒歩で銚子駅に向かっていることになるから、徒歩ではアクアラインは通っていないはずである。銚子から四国の小豆島までの移動経路は不明だが、徒歩と同じ経路で逃げるのは避けていると考えられる。このようにして、関東レベルで八の字を描いて逃げていることになる。
瀬戸内海レベルの八の字
出典:のりば案内 – 小豆島へは四国フェリー 四国フェリーグループ
関東から東海道線を使って姫路まで逃げてきたボブ子はここで小豆島を逃げ回る。
四国フェリー路線図と合わせると、ボブ子の経路は以下である。
姫路ー福田港ー北廻り福田線経由ー土庄ー高松ー宇野ー新岡山ー土庄ー南廻り福田線等経由ー福田港ー姫路
これで瀬戸内海レベルでの八の字の逃走経路になる。
全国レベルの八の字
姫路ー大阪ー木津ー亀山ー名古屋ー塩尻ー東京ーお台場
ボブ子は関東に戻る際には東海道本線ではなく中央線を用いて帰っているハズ。すると、ボブ子は全国レベルでも八の字に移動していたことになる。
なぜそのように言えるのか?「PPTP制作陣ならやりかねない」 という以外には根拠は無い。
その他の「八」
ここに挙げたもの以外にも「八」を意識した描写は枚挙に暇がないです。
ご自身の眼で発見してみてください。
ポプテピピックDVD、ブルーレイ
ポプテピピックの元ネタ分析は具体的なネタ、声優のカップリング、ゲーム業界や出版業界の揶揄など、各方面からの検討がなされていて面白いですね。
DVD版やブルーレイディスク版での種明かしはあるのでしょうか?今から楽しみです。