事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

4月の外国人渡航者(訪日外客)数が前年比99.9%減少:日本政府観光局JINTOが公表

4月の外国人訪日数が99.9%減少

「日本政府観光局(JNTO)



4月の外国人訪日客が前年比で99.9%減少しました。

報道のもとになってる日本政府観光局=JINTOの公表資料を見てみましょう。

4月の訪日外客数が99.9%減少

日本政府観光局(JNTO) - Japan National Tourism Organization

4月の外国人訪日客が99.9%減少とされたのはJINTO(日本政府観光局)のプレスリリースにある【訪日外客数2020年4月推計値を発表 前年同月比99.9%減の3千人】と題される「訪日外客数(2020 年 4 月推計値)」という資料です。

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の拡大により、多くの国において海外渡航制限や外出禁止等の措置が取られていること、また、日本においても検疫強化、査証=ビザの無効化等の措置の対象国が拡大されたこと等が要因であるとされています。

「訪日外客数」の意味

この資料でも書かれていますが、訪日外客とは【国籍に基づく法務省集計による外国人正規入国者から、日本を主たる居住国とする永住者等の外国人を除き、これに外国人一時上陸客等を加えた入国外国人旅行者のことである。駐在員やその家族、留学生等の入国者・再入国者は訪日外客に含まれる。なお、上記の訪日外客数には乗員上陸数は含まれない。】とあります。

  1. 観光目的の者に限らない
  2. 日本を主たる居住国とする永住者等を含まない
  3. 乗員上陸数は含まれない

このようにまとめることができます。

中国・韓国の訪日客はどうか

4月の訪日外客数が99.9%減少

「日本政府観光局(JNTO)

特定界隈は「中国・韓国の訪日客はどうか」と思ってるので言及します。

4月の数値としてはアメリカ・台湾・韓国が300人で同程度、次いでチャイナ・ベトナムが200人、インドネシアが100人となっています。

余りに全ての国からの人数が減りすぎてあまり実感が湧きませんが、最も減り幅が多いのは中国、そして台湾・香港・タイ・韓国であると言えるでしょう。

日本が査証の無効化の対象としていなかったのは台湾・アメリカ・カナダ・オーストラリアでしたが、先方も日本への渡航警戒レベルを上げたことが影響しているとされています。

ビザの効力停止や入国拒否対象地域については変遷がありますが、4月上旬までの更新状況を反映しているのは以下。

 新型コロナ後の観光政策はどうあるべきか?

観光政策については何度か記事を書いていますが、韓国人旅行者の客単価(1回の旅行における1人当たりの消費額のこと・1宿泊数における1人当たりの消費額で計算してはいけない)は著しく低いため、それに頼らない観光政策を構築するべきだと言っています。チャイナに対しても基本的には同じです。

新型コロナによって観光政策が一度リセットされた形になったと言えるので、従来の方針に拘泥せず、日本国にとって利益となる体制にシフトして行ってほしいと思います。

以上

【注意】モーニングショー「撮り鉄がキハ40系のために駅に密集」の一部画像が緊急事態宣言中のものではない件

モーニングショーキハ40系の蘇我駅の密集の捏造

【注意】

5月20日の羽鳥慎一モーニングショーで「19日に撮り鉄がキハ40系のために駅に密集」とする報道内容のうち、一部画像が緊急事態宣言中のものではなかったとして番組中に謝罪されましたが、すべてがフェイクだという理解は危ういので整理します。

5月20日の羽鳥慎一モーニングショーでキハ40系を撮る鉄道ファンが密集していると報道

5月20日の羽鳥慎一モーニングショーでキハ40系を撮る鉄道ファンが密集していると報道されました。

※当該映像は著作権法41条の「時事の事件の報道のための利用」に該当すると判断しています。【映像それ自体が事件=画像が緊急事態中の5月19日の状況を示していると報道している証拠】なので。

「撮り鉄がキハ40系のために駅に密集」番組冒頭の8時から紹介

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この件については番組冒頭の朝8時から報道されています。

「緊急事態の中」「外出自粛が続く中」というテロップに続いて

ナレーション(ネットの声)「朝ラッシュかな?」

ナレーション(ネットの声)「密密」

ナレーション(ネットの声)「地獄やん」

ナレーション「集まったのは撮り鉄の集団」

レポーター「脚立がずらりと並べられて人がギュッと集まっています」

ナレーション 「その目的は」「車両を撮影するために駅はパニック状態に」

といった具合に紹介されています。

一部画像が緊急事態宣言中のものではない件

8時12分頃から始まった映像を確認すると、以下の構成だと分かります。

  1. 局のレポーターや市民が映っている映像部分⇒昨日の様子を局が直接映像に収めたもの
  2. 「鉄道ファン」の声としてインタビューをしている音声⇒昨日のキハ40系に関するもの
  3. 「一般人S」の画像⇒詳細不明
  4. 「視聴者撮影」の画像⇒緊急事態中のものではない

今回、モーニングショーが謝罪したのは「視聴者撮影」の画像として3月中のものが使用されていた部分です。これは緊急事態中のものではなく、3月にインドネシアのジャカルタ首都圏鉄道に譲渡するため車両輸送した際の写真とみられます。

ただ、それ以外の部分については(「一般人S」の画像については確認できなかったが)5月19日の「キハ40系」に関連した状況を表しているのだろうと言えます。

番組のレポーターが鉄道ファンにインタビューをしたものが複数の映像があるので、現地取材をしていることは確認できるからです。

実際、蘇我駅の構内に人が密集していることを指摘している人がいました。

バイキングの方が悪質

5月20日のモーニングショーは、「キハ40系の撮影のために鉄道ファンが駅に多数集まっていた事実」を報道している中で、その一部の画像が当日のものではないというものでした。

他方、5月19日のフジテレビバイキングは報道が「緊急事態宣言解除前に街が人で溢れている事実」として3月中の原宿竹下通りの映像を流していたので、「街(原宿竹下通り)が映像のような人の往来であった事実それ自体が番組中で示された情報では不存在」になります。

番組後半で当該場所について2月2日と比べて人の往来が35.9%であり、5月3日と比べて9.7ポイント増えていることを伝えている場面があり、人の往来が増えているのは確かですが、それと映像の雰囲気が合致しているとは言えないでしょう。

なので、バイキングの方が悪質であり、こちらは捏造と言う他はありません。

モーニングショーのはまだ「ミス」と言い得る余地がありますが(当日の番組中に謝罪訂正している)、これだけワイドショーの画像・映像の扱いが杜撰だと疑いの目で見られても仕方がないと思います。

テレビ局の取材班も集まってるのになぜ"撮り鉄"を取り上げるのか?

人が集まっていることをわざわざ報じるためにテレビ局の取材班も現地に行っているわけです。殊更に撮り鉄を取り上げるのは自分らを棚に上げてるとしか思いません。

駅構内から撮影すると「メディアの人間もそこに足を運んだ」と思われて嫌なので外部者からの提供を受けた(そういう体にしているだけなんじゃないの?と邪推してしまう)のでしょうが、そのせいで画像のチェックを怠ったということになると思います。

以上

国家公務員の定年の引上げ法案の見送りは英断になる可能性

国家公務員法改正案の審議が見送られましたが、これは良い事です。

多くの人は批判の仕方を間違えているのではないかと思うのです。

野田内閣時代にではなく福田内閣時代から

国家公務員法改正の定年65歳野田内閣

人事院の意見の申出

平成30年8月10日定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出のポイント

 

最初に指摘しておきますが、国家公務員の定年を65歳に段階的に引き上げをする方針は、2008年の福田内閣時代から議論されてきたものです。

平成23年9月30日定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出

この画像が出回って「民主党政権時代に提言されたものであり立憲民主党が反対するのはブーメランだ」などという底辺層が居ます(立憲民主党自体は当該法案審議の当初から検察庁法から切り離して国家公務員法改正案の成立を目指していた)。

そういう低レベルの「ブーメランだー」はいい加減やめましょう。

というわけで次から本題です。

国家公務員法改正案の定年上限を65歳に引き上げる意味

第201回 通常国会|内閣官房ホームページ

国家公務員法改正案では、定年上限が現在の60歳から65歳になることとなっていました。

公務員の定年については公的年金の支給が65歳からとされていることとの均衡から是正されるべきだという議論がありました。また、民間が65歳定年なのに公務員が60歳では天下りが起きるのでそれ自体は正当なものとされてきました。

ところが、状況が変わりました。

上記の論は、国会に提出されたのが3月13日ですが、この時点では雇用する側の方で人手が不足している状況での話です。

コロナ禍の影響下では話が変わります。

コロナ禍により若者雇用が壊滅的になる予測

「国民にバレたらまずい」安倍政権が検察庁法改正を急ぐもう一つの理由 民間での大失業が予測されるなか… (4/4) 磯山友幸| PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

だが、これは、あくまで人手不足が続いていた環境での話だ。安倍首相も国会答弁で、「高齢職員に活躍してもらう」点を定年延長の理由として繰り返し発言しているが、それは未曾有の人手不足が続いていた時の話だろう。目前に大失業の大津波が迫っている中で、公務員だけ定年延長を急げば大きな禍根を残すことになる。

定年が延びればどうなるか。財政が厳しい中で、総人件費を膨らませないようにしようと思えば、新規採用数を減らすことになる。特に財政状態の悪い地方自治体は新規雇用を抑えざるを得なくなるだろう。そうなれば若者の就職機会は減ることになる。

新規採用を絞らないとすれば、定年が延びる分、人件費は膨らむことになる。そのツケは税金の形で国民や住民にいずれ回ってくる。60歳時の7割に設定すれば、当然、新卒採用の賃金を大きく上回る。退職金も民間企業以上に手厚く支払われ、年金も保証されている公務員をさらに定年延長で優遇することで守る必要が本当にあるのだろうか。

高齢職員が職場に残り続けることで、組織の活力が失われる危険性もある。そうでなくても中央省庁では若手職員の退職・転職が相次いでいた。いつまで経っても責任を持たされない働き方に嫌気がさしているという。定年延長が、ますます優秀な若者人材を集められなくするかもしれない。

5月末に総務省統計局が毎月発表する「労働力調査」が公表され、新型コロナの影響を受けた数字が出てきます。それは最悪の数字が出てくることが予想されるため、それが公務員の定年上限の引き上げと関係してくる、薄井氏は書いてます。

「定員が延びても新規採用の間口を狭めなければ良い」 

などというのは理想論であり、現実には予算の制限からくる「総定員枠」の設定や「級別定数」があるので、年長者が増えれば若年者が圧迫されます。

「予算を増やせばよい」と言うことができますが、果たして「民間で仕事が無い中で公務員だけ予算を増やして人を囲う」ことに国民の理解が得られるでしょうか?

能力実績主義の仕組みなどの導入

そして、仮にそうしても現在の働き方では若者が忌避する結果になってしまうおそれも指摘されています。

よって、国家公務員の定年上限の引き上げについてはより議論を深めるべきであるということは論を待たないでしょう。

秋の国会で継続審議するようなので、その観点から改善を求めていくべきです。

安倍内閣・立憲民主党や自治労に対する批判方法

立憲民主党は国家公務員法等の改正案の審議の当初から、検察庁法から切り離して国家公務員の定年の引き上げの成立を目指していました。

で、この期に及んでもまだ同じ主張(現行法案をそのまま成立)をしています。

よって、安倍内閣・立憲民主党や自治労に対する批判の仕方としては「検察庁法改正案を叩いたため公務員の雇用が犠牲になった」ではなく

「現在の公務員」の雇用を守ろうとして現行のままの国家公務員法改正案に賛成するのは、「これから雇用されるべき若者の機会」を奪うものであるから、政権はコロナ禍の影響を考慮して見直しをするべき】ということだと思います。

内閣が提出した法案を見直すのは英断では?

「検察庁法の改正案と一体になってるから国家公務員法改正案もひっこめなければならなかった」と言い訳を唱える人が居ますが、本当に国家公務員法改正案を通そうとするならテクニカルな制約など嘘なので「やれよ」で終わり。それが仕事。

しかも内閣自身が提出した法案なので「立憲民主党や共産党が検察庁法改正案を攻撃したから~」などというのは理由にならない。それを自民党支持者らも気づいていないのが彼らの脳死状態を見せつけられているわけですが。

そうではなくて、安倍内閣(安倍総理が判断したのかは知らん)がコロナ禍の影響を受けて日本社会全体の雇用状況を考慮して国家公務員法改正案を審議しなおす方針にしたとすれば、それは英断ではないでしょうか。

現時点ではまだわかりません。単に検察庁法改正がポシャって同時にひっこめたくらいにしか思われません。

※追記:廃案の方針が固まったという報道がありました。安倍総理も「この法案を作ったときと違い、今社会的な状況は大変厳しい。そうしたことを含め、しっかり検討していく必要がある」と発言しています。これで検察庁法改正とは関係ない判断になりました。

《独自》国家公務員法改正案、政府が廃案方針固める - 産経ニュース

以上

フジテレビバイキングで「原宿竹下通りの混雑風景」が捏造される

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2020年05月19日の「バイキング」で「17日の竹下通りの人混み」とする画像が流れましたが、これは3月以前の画像である捏造だと分かりました。

バイキングで「原宿竹下通りの混雑風景」が捏造される

東京神奈川大阪を始めとする特定警戒都道府県の緊急事態宣言が解除されるかどうかが判断されるまであと2日、

しかし、その判断の前に街は…さらに行楽地は…夜8時を過ぎた繁華街でも…人!人!人!

バイキングで「原宿竹下通りの混雑風景」の映像が流されている際のナレーションはこのようなもので、明らかに5月19日時点の情報として報じています。

これは2点から捏造と言えます。

5月17日の東京の日中は20度超え

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https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/hourly_s1.php?prec_no=44&block_no=47662&year=2020&month=5&day=17&view=

5月17日の東京の日中は20度超えでした。

そのため、バイキングの番組で流れた映像に出てくる人らの服装は明らかにこの日ではありません。見た目は10度~15度前後の冬~春の服装とみられます。

マクドナルドの「てりたまキャンペーン」は4月以前のもの

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画像の左側にマクドナルドの幟があり、「てりたま」について書かれています。

マクドナルドの「てりたまキャンペーン」は3月4日以降から4月上旬までの期間限定で行われていました。

ニュースリリース | McDonald's Japan

そのため、バイキングで流れた映像は4月上旬以前のものであると言えます。

フジテレビバイキングの映像は3月中のものか

竹下通りを歩く人の服装を見ると、3月中の服装のように思います。

「17日竹下通り」というテロップがあるので、3月17日の原宿竹下通りの映像なのではないかと推測されますが、映像のナレーションは明らかに5月の時点のものとして言及されているので、捏造となります。

なぜこんなことをするのでしょうか?

映像なんていくらでもあるでしょうに。

「敢えて危機感を煽って人込みを減らそうとした」などと上から目線での方針だというなら、それは意識の高い日本人に対しては無用であり、いい迷惑だと言っておきましょう。

以上

安倍総理「黒川人事は法務省が提案」は2月に国会答弁:桜井よしこ番組関係なし

安倍総理櫻井よしこ番組

検察庁法改正案に関連して安倍総理が「黒川人事は法務省が提案」と櫻井よしこ氏運営の言論テレビ上で発言したことについて、「嘘」「切り捨て」などと言う者が居ますが、完全にフェイクなので気を付けてください。

2月に答弁してるのですから。

桜井よしこ氏の番組で安倍総理「黒川人事は法務省が提案」

安倍晋三・内閣総理大臣 | 櫻LIVE - 櫻井よしこ | 言論テレビ

動画の44分くらいから。

櫻井 黒川人事は法務省の側が持ってきたというのは本当ですか。

安倍 まったくその通り。法務省の側がこういう人事案で行きたいというものを持ってきてそれを我々が承認をするということです。

櫻井 黒川人事は法務省の官房長が官邸にもっていって頼んだということは本当ですか?検事総長の稲田さんがおやめにならないから黒川さんの定年延長を頼んだと推測されるのですが。

安倍 私も詳細については承知をしていないのですが、基本的には検察庁の人事については検察のトップも含めた総意でこういう事で行くと求められて我々は承認をしているということです

櫻井 官邸が介入をしてそれを変えるとかそういうことは…

安倍 それはあり得ないですね

  1. 黒川人事は法務省の側が持ってきたのか
  2. 官邸が介入しているのか

これらは一応別問題とした上で、ここで問題にするのは1番の事実です。

実はこれは既に国会で答弁した通りのことであり、発言を覆したとか、この段階で新しい事実をいきなり言い出したというものではないのです。

「言論テレビのアーカイブが隠蔽」も嘘

「言論テレビのアーカイブが隠蔽」などという一部ツイートが拡散されましたが、先に示したリンクで閲覧可能です。 

安倍総理「黒川人事は法務省が提案」は2月に国会答弁していた

第201回国会 衆議院 予算委員会 第5号 令和2年2月3日

○渡辺(周)省略
 それで、総理にもう一つ聞きたいんですけれども、このような中国マネーによる政界汚染のさなかに、気になるニュースがございました。それは、東京高検の検事長が、先週、閣議の場において定年が延長されたということでございます。
 多分、見ていらっしゃる方には何のことかよくわからないと思うんですが、この方は、黒川さんという方、一九五七年の二月八日のお生まれです。ですから、あと五日で誕生日。この方が、一週間ほど前に定年の延長が急遽決まりました。
 これについて、何でこんな不自然な駆け込みの定年の延長などということが閣議決定で行われたのかということについて、これからちょっと大きな問題になっていくのではないかと思われます。
 その点について、総理、これはどうしてこの方がこんな駆け込みで定年延長されたんですか。総理。

○安倍内閣総理大臣 法務省の人事でございますので、法務大臣から答弁させます。

○森国務大臣 お答え申し上げます。
 黒川検事長については、検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、法務大臣である私から閣議請議を行って閣議決定され、引き続き勤務させることとしたものでございます。

○安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、この人事においては、法務省の中において決定し、閣議の請議をされ、そして閣議決定したところでございます。

2月3日の時点で森法務大臣から「法務大臣である私から閣議請議を行って」とあります。

閣議請議とは内閣法4条3項「各大臣は、案件の如何を問わず、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めることができる」の規定に基づき、各主任の大臣が内閣総理大臣に閣議を求める手続きをすることです。参考:内閣制度の概要 | 首相官邸ホームページ

しかも、このことは何回も答弁しています。

第201回国会 衆議院 予算委員会 第16号 令和2年2月26日

○安倍内閣総理大臣 御指摘の黒川東京高検検事長の勤務延長については、検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、検察庁を所管する法務大臣から閣議請議により閣議決定されたものであると何回か答弁をさせていただいておりますが、何ら問題ないものと考えておりますし、また、法務省としての考え方につきましては、法務大臣が既に累次答弁をしているとおりでございます。

まとめ:「トカゲのしっぽ切り」などと言われるが

 

このように、桜井番組での安倍総理の発言は、既に2月の国会答弁で発言したことと同じことです。

しかも、菅官房長官が1月31日にも同じことを言っていました。

参考:黒川東京高検検事長、勤務を延長 政府が閣議決定: 日本経済新聞

さらに、櫻井よしこ氏は突っ込んで官房長から持ってきたのかということを聞いたのですが、それを安倍総理は「詳細は招致をしていない」と明言しませんでした。

これは奇妙です。

誰が持ってきたのかは知っているハズですから。

ということは、むしろ櫻井番組では安倍総理は具体的な人物名を挙げておらず、「トカゲのしっぽ切り」とは逆の回答をしているのです。

他方、官邸が介入しているのか?についても安倍総理は否定しましたが、これは今の所否定していいものかわかりません。

しかし、少なくとも「安倍総理が櫻井番組で法務省に責任を擦り付けた」などというような評価は間違いだということは明らかです。

以上

「検察庁法改正の立法事実は黒川人事以外にないと森法相が矛盾答弁」はフェイクニュースの手法なので覚えましょう

5月15日の衆議院内閣委員会での後藤祐一議員の質疑(2回目)に関して「森法相が矛盾答弁」「検察庁法改正の立法事実は黒川人事以外にないと言った」などという言説が広まっています。

これは明確にフェイクニュースです。

典型的な手法なので、その手法ごと覚えましょう。

森法務大臣の矛盾答弁と呼ばれる質疑

実際のやりとりは以下です。

後藤 水曜日の議事録、一昨日の武田大臣の答弁です。昨年の10月の段階までの話として、検事長が63歳以降も居座れる規定を作らなくても公務の運営に著しい支障が生じるような事例は見当たらなかったと武田大臣は答弁しています。事例が見当たらなかったと言うことでございますと明確に答弁しています。森大臣、同じことを確認までに同じことを伺います。昨年10月までは、検事長が63歳以降も居座れる規定を作らなくても公務の運営に著しい支障が生じるような事例は見当たらなかったという武田大臣の答弁と同じでいいですか? 

森 検察官に勤務延長の適用が無いことにより、公務の運営に著しい支障が生じた特段の事例は見当たりませんでした。

後藤 同じ水曜日の質疑で昨年10月以降、63歳以降も検事長が居座らなければいけないような立法事実がまさに体現化された具体的な人事ケースは、私の承知しているところについていえば黒川さんの件以外にありませんと武田大臣答弁しております。森大臣に伺いますが、63歳以降も検事長が居座らなければいけないような立法事実がまさに体現化された具体的な人事のケースは、黒川さんの人事の件以外にないということでよろしいですか?

森 はい、具体例はございませんでした。

後藤 黒川さんの件はそうだけど、黒川さんの件以外は無いということでよろしいですか?

森 その通りでございます。

後藤 ということは、検察庁法改正案の立法事実は黒川さんの件しかないということをまさに森大臣が認めたと言うことじゃないですか。

(関係ないじゃないかというヤジ・その後別の話に質疑は移っていく)

まず、「昨年10月まで」の話と「昨年10月以降」の話が分かれています。

その上で、後藤祐一議員が質問しているのは「具体的な事例についてです。

森法相も、「具体的な事例」について答弁をしています。

にもかかわらず、後藤祐一議員は答弁を聞いた後に「立法事実は黒川さんの件しか無いと森大臣が認めた」と勝手に言い換えています。

これが国会で何度も行われてきた典型的な煽動・印象操作の手法です。

「立法事実」は具体的な事実に限らない

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「立法事実」は現実社会において発生した具体的な事実とは限りません。

よって、「具体的な事実が無い」からといって、「立法事実」が無いとは言えません

上掲の記事で詳細に論じたので、意味が分からない人には必ず読んで頂きたいです。

この違いを利用した誤魔化し・印象操作が国会質疑において、そしてそれを報じるマスメディアの側において常態化している、という事に気づくセンサーが身に付きます。

自衛隊関連法やいわゆる共謀罪法案の審議の際にも同じ誘導が行われていることを紹介しています。

これに騙されてしまうようでは、憲法改正の際にも報道によって認識を歪められてしまいます。

「検察庁法改正の立法事実は黒川人事以外にないと森法相が矛盾答弁」はフェイクニュース

私がこの事案を取り上げたのは森法相を擁護するためではありません。

私の検察庁法改正についての立場は以下で述べた通りです(タイトルで判断しないでね)。

森法相は「10日まで」と「10日以降」の違いも明確せず、不用意に「その通りです」などと脳死状態で答えているせいで印象操作に利用されてしまうのです。

こんなことでは他の法案審理の際にも印象操作され放題です。

以上