事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

日本維新の会の音喜多駿政調会長が若年被害女性等支援・困難女性支援に関する質問主意書を提出「Colaboは政治的中立性が明らかに欠けている」

ついにこういう展開になってきましたか。

日本維新の会音喜多政調会長がColaboに関する質問主意書を提出

日本維新の会音喜多政調会長が一般社団法人Colaboと仁藤夢乃氏に関する質問主意書を提出し、全文をWEBにUPしました。

次項で全文を掲載します。太字、下線は私が付け加えました。

そういうのが無いものは音喜多議員のブログで見れます。

日本維新の会の若年被害女性等支援・困難女性支援に関する質問主意書

若年被害女性等支援・困難女性支援に関する質問主意書

 本年一月四日、東京都は住民監査請求につき、「東京都若年被害女性等支援事業について当該事業の受託者の会計報告に不正があるとして、当該報告について監査を求める住民監査請求の監査結果」として、七年ぶりに「理由あり(認容)」との監査結果(以下「本件監査結果」という。)を公表した。住民監査請求が認容されることは極めて異例のことであり、税の使い道を正す必要性が強く示唆されるものである。

本件監査結果で指摘されている問題は、東京都が実施する東京都若年被害女性等支援事業(以下「都事業」という。)の会計報告上のものであり、一義的には事業の委託元である東京都及び受託した事業者である一般社団法人Colabo(法人番号一〇一一〇〇五〇〇五二五五の法人をいう。以下同じ。)の会計責任が問われるところではあるが、都事業は厚生労働省の事業である「若年被害女性等支援事業」(以下「本事業」という。)を通して行われているものであり、厚生労働省の要綱、通知、助言に基づいて実施され、事業の経費の一部を国が自治体に対して補助するものとなっている。さらに、本事業は令和四年度には更に国の補助が拡充された。自治体の事業にこのような国費補助を受けている以上は、当該自治体やその委託した事業者において仮に不当な会計が行われていた場合、厚生労働省の国庫金支出の責任も問われるところである。また、来年四月より施行される「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」(以下「困難女性支援法」という。)に基づく困難女性支援事業は、本事業と同じく自治体と民間団体との連携を基本とすることから、本事業を参考に設計されることが予想されるが、本件監査結果を踏まえれば、事業の透明性も求められるところである。

 右を踏まえて、以下質問する。

一 厚生労働省の若年被害女性等支援事業実施要綱(以下「本事業実施要綱」という。)では、本事業の目的について、「様々な困難を抱えた若年女性について、公的機関と民間団体が密接に連携し、アウトリーチから居場所の確保、公的機関や施設への「つなぎ」を含めたアプローチを実施することにより、若年女性の自立の推進に資すること」と示されている。ここで対象者としている「様々な困難を抱えた若年女性」とは具体的にどのような者を想定しているか。また、目標としている「若年女性の自立」とは、どのような状態となることを想定しているか

二 本事業は令和三年度から実施されているが、それに先駆けて、平成三十年度~令和二年度に「若年被害女性等支援モデル事業」(以下「モデル事業」という。)が実施されていた。平成三十年度にモデル事業を実施することとなった経緯やその趣旨は何か。

三 平成三十年度にモデル事業を実施することになった経緯の中で、政府・厚生労働省は、一般社団法人Colaboからモデル事業の実施及び事業内容に関する要望を受けた実績はあるか。

モデル事業の政策評価、実績の検証状況如何。また、モデル事業において何らかの成果があったと判断したため、令和三年度から本事業が実施されることになったと考えられるが、どのような観点から成果を判断したのか。モデル事業により得られた成果を具体的に示されたい。

五 本事業は、「児童虐待・DV対策等総合支援事業」の中の事業の一つとして実施されていることから、「児童虐待・DV対策等総合支援事業」全体に対する行政事業レビューは行われているものの、本事業に対する個別の行政事業レビューは行われていないものと承知している。全ての事業について点検・見直しを行うという行政事業レビューの趣旨からは、「児童虐待・DV対策等総合支援事業」の各事業について個別に点検を行う必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。また、今後、本事業に対する個別の行政事業レビューを実施する予定はあるか。

六 本事業に係る事前・事後の政策評価を実施しているか。また、本事業は、厚生労働省が行う婦人保護事業の施策の一つとして実施されている事業と承知しているが、婦人保護事業全体に対する政策評価は実施しているか。

七 本事業について、定量的な成果目標を設定しているか。

八 婦人保護事業全体に対する政策評価とは別に、独立して本事業に対する個別の政策評価を実施する必要性があると考えるが、政府の見解を示されたい。

九 令和三年度及び令和四年度において、本事業及び都事業の実施状況や実績について、東京都からどのように報告を受けているか。報告時期、報告項目等について具体的に示されたい。

十 令和三年度に本事業を実施した各自治体の実績について、国としての検証は行ったのか。令和三年度実績の検証結果は、令和四年度の本事業立案において反映されているのか。

十一 本事業における一箇所当たりの補助基準額について、令和三年度の「二千六百七十四万三千円」から、令和四年度は「四千五百六十三万四千円」に増額されたが、大幅に引き上げた理由、検討経緯について、具体的に示されたい。

十二 一般論として、定量的な成果目標が設定されていない事業において、翌年度に予算が変動する場合の理由はどのように説明されるか。政府の見解を示されたい。また、本事業については、どのような整理を説明してきたか。

十三 本事業は「児童虐待・DV対策等総合支援事業費国庫補助金」の中で行われているため、本事業のみの予算額が明示されていないところ、令和三年度及び四年度における本事業の予算額、予算積算上想定した実施自治体件数、民間団体への委託件数をそれぞれ明らかにされたい。

十四 令和三年度における本事業の執行総額、自治体ごとの補助額を示されたい。

十五 令和五年度においても本事業を継続するのであれば、本事業の予算額及び執行総額(予算・決算)について、ウェブサイトにおける情報公開を徹底し、透明性を高めるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

十六 「児童虐待・DV対策等総合支援事業費国庫補助金交付要綱」によれば、本事業における補助の対象経費は、「若年被害者女性等支援事業に必要な報酬、給料、職員手当等、賃金、報償費、謝金、旅費、需用費(消耗品費、印刷製本費、会議費、光熱水費、食糧費)、役務費(通信運搬費等)、委託料、使用料及び賃借料、備品購入費、共済費、扶助費、補助金」とされている。本事業において自治体が民間団体に事業を委託する場合、民間団体が要した経費が補助の対象経費に当たるか否かは、各自治体が個別に判断するのか。

十七 本事業において自治体が民間団体に事業を委託する場合、民間団体が行う独自の支援事業と、自治体から受託して行う当該事業の切り分けが難しいケースがあるのではないか。民間団体の独自事業に要した経費と、受託業務に要した経費の切り分けについて、国としてはどのような基準によるべきと考えているか。

十八 一連の支援の中で、休眠預金等活用法における指定活用団体である一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)から分配団体として指定されている公益財団法人パブリックリソース財団より、一般社団法人Colaboに対し女性用シェルターのアパート建設資金が助成されているが、仕入れられた土地及び建設されたアパートの外形的な評価額に比べても非常に高額な助成金額となっているのではないか。こうした福祉事業への資金分配について適切に執行されるべきではないか。国はそのための方策を検討し得るか。

十九 本事業と都事業との関係のように、国からの補助を受けて自治体が実施する事業につき、自治体が民間事業者に事業を委託して実施する場合において、国が自治体に対し是正勧告等を行う制度は存在するか。また、本事業について、国が自治体に是正勧告を行う仕組みはあるか

二十 本件監査結果を踏まえ、本事業につき、仮に制度が存しないとしても、実施自治体に対して委託費用の適切な執行を指導するべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

二十一 本件監査結果で指摘された一般社団法人Colaboについて、団体の代表者である仁藤夢乃氏が沖縄県辺野古米軍基地の建設反対活動に参画し、また、選挙において、一般社団法人Colaboの代表者であることを明かして特定政党の候補者への投票の呼びかけをした事実を把握しているか。

二十二 自治体が事業を委託する場合の民間団体について、本事業実施要綱では、「政治活動を主たる目的とする団体」は除くこととされている。しかし、団体の主たる目的が若年女性支援であるとしても、従たる目的が政治活動である場合、当該事業の政治的中立性が保たれないおそれがある。本事業実施要綱において、「政治活動を従たる目的とする団体」を委託対象から除外していない理由を示されたい。

二十三 本事業及び都事業において、政治的中立性が明らかに欠けている団体に国庫金及び公金が支出されていると考えるが、政府としての評価如何。

二十四 若年女性への支援を行っている民間団体が少ないことから、本事業を実施できる自治体が限られてしまうのではないか。本事業を継続するだけでは、限られた自治体において、限られた民間団体に対して業務を継続的に委託するための補助事業となり、国の予算配分の公平性の観点から望ましくないのではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

二十五 本事業実施要綱に、自治体が事業を委託する場合の民間団体について、より強い政治的中立性を求める条項を含めるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

二十六 婦人保護事業や困難な問題を抱える女性への支援に係る法制度等を検討するため、平成三十年に厚生労働省に設置された「困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会」(以下「同検討会」という。)について、若年女性支援を行っている団体の代表者である仁藤夢乃氏(一般社団法人Colabo代表者)のほかに、橘ジュン氏(特定非営利活動法人BONDプロジェクト代表)、近藤恵子氏(特定非営利活動法人全国女性シェルターネット理事)、村木太郎氏(一般社団法人若草プロジェクト理事)が検討会の構成員に選任されている。この中で、特に仁藤夢乃氏は沖縄県辺野古米軍基地の建設反対活動に参画し、日本共産党など特定の政党に資する言動を繰り返し行っているが、これらの人選の根拠及び妥当性の評価如何。

二十七 第四回同検討会(平成三十年十月二十四日)において、構成員から、若年女性への活動支援を展開するにあたり、具体的な金額を挙げて予算付けを要望する発言があり、また、然るべき法制度を検討するよう求めている。構成員が所属する団体への利益誘導であるとも考えられるところ、利益相反の観点から適切と言えるものと考えているか。政府の見解を示されたい。

二十八 困難女性支援法に係る基本方針、政令等については、厚生労働省の「困難な問題を抱える女性への支援に係る基本方針等に関する有識者会議」(以下「有識者会議」という。)において検討されているところ、有識者会議の構成員には同検討会における構成員が多く含まれており、前記二十六に挙げた人物は全員含まれている。この点の評価、これらの人選の根拠如何。

二十九 困難女性支援法に基づく困難女性支援事業においても、有識者会議の構成員である限られた者により、構成員が所属する団体にとって有利な形での制度設計がなされ、国庫金及び公金が支出されるおそれがあり、より利益相反の観点で問題が根深いと考えるが、政府の見解を示されたい。また、同観点からは、有識者会議の構成員の一新が求められると考えるが、政府の見解を示されたい。

 なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁を求めない。国会法七十五条に項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

 右質問する。

「Colaboは政治的中立性が明らかに欠けている」について

これらのうち、「政治的中立性」の部分に関しては一言触れたいと思います。

まず、Colaboが都から受託している若年被害女性等支援事業は、国から都へ補助金適正化法の対象となる補助金が交付されています。

が、いわゆる補助金適正化法と呼ばれる【補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律】では、補助金交付の条件として7条が定められていますが、政治的中立性を求める規定はありません。

そもそも本法の補助金等とは国が国以外の者に対して交付するものなので、都とColaboとの委託契約関係については、この法律は対象外です。加えて、東京都補助金等交付規則にも政治的中立規定はありません。

次に、都とColaboの委託契約のベースとなっている国の若年被害女性等支援事業実施要綱では「宗教活動や政治活動を主たる目的とする団体、暴力団及びその統制の下にある団体等を除く」とあります。

しかし、「主たる目的」ではなければ許されているわけで、やはり政治的中立性が求められているわけではありません。

法人の属性ではなく、「公金を受け取る者」すべてに政治的中立性を求めるというのは無理があると思われますが、どうも維新の平時からの発信をみていると、『税金で動く者には政治的中立性が求められる』といった漠然とした理念があるのかもしれません。

現行法上、一般職公務員には政治的中立性が要求されていますが、それは国家公務員法や地方公務員法で求められているからであって、「税金を扱うから」ではありません。

行政サービスの提供・法執行機関として国民全体を公平に扱う必要性から求められているものでしょう。

他方で、特別職の公務員には、政治的中立性が一律には求められていません。

当然でしょう。政策決定・立法論というのは政治そのものなのですから。

なので、質問主意書の22と23は、ネット上の言論に合わせた論調なのか、維新なりの政策論が反映されているのかわかりませんが、現行法の理解からすると、おかしい。

他の事項については概ね本件について生じている当然の疑問を捉えていると言えます。

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