これはやりかねない
- 小池都知事会見で福祉保健局廃止・福祉局と保健医療局へ再編
- 都の組織再編方針と福祉保健局解体準備決定に関する時系列
- メール廃棄などの公文書廃棄の前科からくる証拠隠滅のおそれ
- 福祉保健局が重要文書搬送事務員の採用募集:その心は?
- 東京都組織条例の改正可能性:都議会会派の議席は都ファ立憲共産で過半数
小池都知事会見で福祉保健局廃止・福祉局と保健医療局へ再編
令和5年1月27日、小池都知事定例記者会見にて、福祉保健局を廃止し「福祉局と保健医療局」に再編する旨を述べました。
福祉保健局というのは、現在Colabo問題と呼ばれている、暇空茜氏による都の若年被害女性等支援事業に関する都への住民監査請求+住民訴訟で問題視されている会計不正疑惑の中心となる部局です。
そのため、不信感を覚える内容ですが、まずは時系列を確認します。
都の組織再編方針と福祉保健局解体準備決定に関する時系列
平成31年第1回定例会(第3号) 本文 2019-02-26
22 : ◯知事(小池百合子君) ~省略~
一方、大規模な条例局の再編につきましては、平成十六年度に都市整備局や福祉保健局などを設置して以降、実施しておりません。
近年、都政を取り巻く環境は急激に変化していることに加えまして、東京二〇二〇大会後には、本格的な人口減少社会を迎えます。そして、都政に求められる役割や都庁の職員構成も大きく変化する見込みでございます。
そのため、東京二〇二〇大会後の組織全体のあり方につきましては、将来的な東京のあるべき姿を見据えまして、十分に検討、議論しながら、来年度中を目途に方向性をお示ししてまいりたいと考えております。
都の部局の組織再編については、従前から構想としては持っていたようです。
平成31年2月26日には「東京オリンピック・パラリンピック後に方向性を示す」と、この時点では言っていましたが、新型コロナ禍による大会の1年延期に伴ってその時期がずれたようです。
東京都議会令和3年第3回定例会(第18号)
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) 2023年1月28日
都の福祉保健局について肥大化してるから解体しろ、という要求があったようですね。小池都知事は具体的な部署名は言ってませんでしたが一般的に再編があり得るとは言ってました。 pic.twitter.com/uIjVhRC6t3
2021年10月5日には公明党の東村邦浩議員から、新型コロナウイルス感染症の対応のため、現在の福祉保健局では組織母体があまりにも大きく、迅速かつ柔軟な対応が難しい状況であるから、これを分割・再編成すべきであると主張されていました。
これを受けた小池都知事の答弁は従前の一般的な組織再編方針を述べるだけで、この時点では福祉保健局の再編を明言していませんでした。
その方針が明確になるのが2022年12月1日の所信表明です。
「保健医療部門と福祉部門に独立」「来年7月の再編・設置」
この後の12月7日の都議会でも同様の方針を述べています。
この時期というのは、暇空茜氏による2回目の住民監査請求が11月2日付けで受け付けられ、12月29日に「理由あり」との結果が通知される間の期間です。
この間には暇空氏による都への文書開示請求に対する非開示処分や、Colaboによる貸借対照表の公告義務違反が発覚するなどいろいろな動きがありました。
そして今回の「福祉局と保健医療局」という名称の部局へ再編する旨の発表。
こうした経緯のため、従前から都の組織全般に関して組織再編をする方針があり、福祉保健局についても解体の必要性が問われていたとしても、タイミングから見るとどうも不審に思わざるええない事情があります。
特に、都には複数の「前科」がありますから。
メール廃棄などの公文書廃棄の前科からくる証拠隠滅のおそれ
直近では、東京都において開示請求対象となったDVセーフティネット強化支援補助金に関する文書で、暇空茜氏への非開示決定の場合は存在する前提で別の理由で通知がなされていたが、浜田聡参議院議員秘書の末永ゆかり氏が同じ資料を開示請求したところ、「廃棄済み」として通知されていた問題があります。
このメール廃棄は2022年4月に「東京都生活文化局」が「オリパラ準備局」を合併して「生活文化スポーツ局」に組織再編した際に発生しています。
※追記※
1月28日の川松真一朗都議の説明によると、暇空氏に不開示とした生活文化スポーツ局のメールとされたものはColaboと都とのメールの文面ではなく、【Colaboが東京都以外の者と行ったメールのやり取りだった】、という説明がなされているとのことです。
Colabo側が都に対して提出した資料の一部に、今回黒塗りで不開示となったメールのやりとりの文書があった、という説明がなされています。
これを合理的に理解するとすれば、末永氏の開示請求対象は「都とColaboとのやりとりのメール」だったのに対して、暇空氏の開示請求の範囲はそれにとどまらなかったために、その範囲外のメールの「文面」が黒塗りで非開示とされた、ということになるハズです。
それはColabo側が都に対して「他の団体?とこういうやりとりがあった」ということを証明するために出した資料である、という説明がなされていました。
これは宛先も発信者もすべて黒塗りの非開示の状態では、判別が付かない話です。この理解は、都側の説明(を川松議員が再説明したこと)を信じた上で初めて成り立つものですから、それが正しかったのかも含めて開示請求訴訟で明らかにされていくものと思われます。
※※追記終わり※※
そして、福祉保健局はそれ以前にも2020年のコロナ対応に関するメールについて、「算出根拠が不十分な作業途中のもので、組織としての利用を想定していない」から「公文書ではない」とし、5月に情報開示請求を受けた後の6月に「メールの容量がいっぱいだったので削除した」などと言っていたことがありました。
都が感染状況の予測文書2通を廃棄 1通は本紙の情報公開請求後に<新型コロナ> :東京新聞 TOKYO Web
したがって、メール廃棄などの公文書廃棄の前科からは、今回の組織再編のゴタゴタに乗じた証拠隠滅のおそれが否定できないと言わざるを得ないでしょう。
福祉保健局が重要文書搬送事務員の採用募集:その心は?
福祉保健局総務部 会計年度任用職員(重要文書搬送事務員)の募集 東京都福祉保健局
気になる動きとして、福祉保健局が『重要文書搬送事務員』の採用募集をしています。
任期は「令和5年4月1日から令和6年3月31日まで」となっています。
前年度などは同種の事務員の募集がありません。よって、今般の組織再編によって生じる文書管理の移管の必要性から来るものと思われます。
この任期1年の職員にすべてをおっかぶせようとしている…?
それとも、外部からプロフェッショナルな人を呼んで、「変な事」が起きないように監視させるものも含むのでしょうか?それならば歓迎なのですが…
東京都組織条例の改正可能性:都議会会派の議席は都ファ立憲共産で過半数
福祉保健局を解体するには東京都組織条例1条を改正する必要があります。
都ファ+立憲民主党+共産党+3(元都ファ)で議席の過半数です。
なお、当選後に選挙活動中の無免許運転が検挙された木下氏は議員辞職しています。
木下ふみこ議員が容疑を認め当て逃げと無免許運転6件で警視庁が立件 - 事実を整える
立憲民主党も共産党も、Colabo擁護側です。
また、先述の通り、従前から福祉保健局の規模を縮小すべきではという問題意識をもって質疑をしていたのは公明党の議員ですから、この類の組織再編自体には抵抗がないものと思われます。
したがって、議会での障害というのは無いものと考えられ、福祉保健局の再編は既定路線なのではないでしょうか。
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