「新型コロナウイルスにHIVタンパク質に似たものが挿入されている」という趣旨の論文がbioRxiv(バイオアーカイブ)という論文予稿の保管サイトにUPされていた件。
論文著者の一人が「現在のバージョンを撤回する」とコメントしました。
- インド工科大学の論文著者「新型コロナウイルスにHIVタンパク質に似たものが挿入」⇒誤解避けるため撤回方針
- 「HIVたんぱく質類似のもの」に過ぎず「人為的な挿入」とは言っていない
- 「新型コロナにHIVウイルスが人為的に挿入」はフェイク・デマ扱いでよい
インド工科大学の論文著者「新型コロナウイルスにHIVタンパク質に似たものが挿入」⇒誤解避けるため撤回方針
"Prashant Pradhan",という名前の論文の筆頭著者がbioRxivの論文ページのコメント欄に以下投稿しました。2月2日6:15:25 UTCの魚拓 撤回前の論文
This is a preliminary study. Considering the grave situation, it was shared in BioRxiv as soon as possible to have creative discussion on the fast evolution of SARS-like corona viruses. It was not our intention to feed into the conspiracy theories and no such claims are made here. While we appreciate the criticisms and comments provided by scientific colleagues at BioRxiv forum and elsewhere, the story has been differently interpreted and shared by social media and news platforms. We have positively received all criticisms and comments. To avoid further misinterpretation and confusions world-over, we have decided to withdraw the current version of the preprint and will get back with a revised version after reanalysis, addressing the comments and concerns. Thank you to all who contributed in this open-review process.
: Authors of the Manuscript
大要、「陰謀論に立ち入ることは意図していませんし、そんな主張はしていません、批判には感謝している、さらなる誤解や混乱を避けるために、プレプリント(査読前の予稿)である現在のバージョンを撤回し、再分析後、改訂版で戻ってきます。」と言っています。
「HIVたんぱく質類似のもの」に過ぎず「人為的な挿入」とは言っていない
上記でも指摘しましたが、仮にこの論文が正しくとも以下が言えます。
- 著者らは「HIVウイルスのタンパク質類似のもの」としか指摘していない
- 人為的に挿入されたとは書いていない(元々考察の部分での話)
論文が正しくても「HIVウイルスのタンパク質が挿入されている」という科学的事実が明らかになるわけではないし「人為的に挿入されている」という科学的事実が明らかになるわけではないということです。
「新型コロナにHIVウイルスが人為的に挿入」はフェイク・デマ扱いでよい
「新型コロナにHIVウイルスが人為的に挿入」は今の所は「フェイク」「デマ」の扱いです。元の論文ですらそんなことは言っていないのですから。
このような言説が広まったのは海外ではzerohedgeというツイッターから永久凍結を食らった悪質なブログが直接的な表現で、日本国内ではInDeepという陰謀論サイトが仄めかす形で拡散したからです。
このような情報の伝達の仕方からも、到底信用ならない「言説」であるということになります。
以上