事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

日韓輸出管理問題:WTO紛争解決機関でアメリカが日本の立場を支持

輸出管理問題、WTO紛争解決機関でアメリカが日本を支持

日本の韓国に対する輸出管理の強化をしたことに対し、韓国がWTOに提訴を試みていた事案で、先日、アメリカが日本の立場を支持する内容の発言をしていたことがWTOのHPで公開されました。

WTOでアメリカが日本の立場を支持していたと判明

8月3日に公開された7月29日のWTOのDSB(紛争解決機関)では、日本の輸出管理に関して韓国が異議申し立てをしていることについて、日韓両国が意見を表明した後、アメリカが言及したことが要約に記されています。

業界用語として不正確な箇所があるかもしれませんが、ざっと訳すと以下になります。

Panels established to review Indian tech tariffs, Japanese export restrictions, EU palm oil measures 29 JULY 2020

The US said only Japan can judge what is necessary to protect its essential security interests and that since the erroneous panel findings in “Russia — Measures Concerning Traffic in Transit” (DS512), several WTO members have rushed to challenge national security measures. This surge in litigation poses serious risks to the WTO, threatening to enmesh the organization in national security matters it has wisely avoided for over 70 years.

アメリカは日本国のみが日本の安全保障上の本質的利益を保護するために何が必要なのかを判断できるとし、さらに「ロシア-輸送中の交通に関する措置(DS512)での誤ったパネル調査結果以来、いくつものWTOメンバーが国家安全保障措置に異議を申し立てていると主張。この訴訟の急増はWTOに深刻なリスクをもたらし、70年以上にわたって賢明に回避してきた国家安全保障問題に組織を巻き込む恐れがあると指摘しました。

The DSB agreed to the establishment of a panel. The United States, the United Kingdom, Turkey, Chinese Taipei, Norway, Singapore, Ukraine, the EU, India, China, Brazil, Canada and Russia reserved their third party rights to participate in the proceedings.

DSB(紛争解決機関)はパネルの設置に同意しました。米国、英国、トルコ、チャイニーズタイペイ、ノルウェー、シンガポール、ウクライナ、EU、インド、中国、ブラジル、カナダ、ロシアは、訴訟に参加する第三者の権利を留保しました。

韓国政府の反応:日本についての言及部分は見ないふり

米国「日本の韓国輸出規制は安保措置」…WTO審理対象でない? | Joongang Ilbo | 中央日報

韓国政府は米国の今回の発言が日本という特定国を支持するためでなく、国家安保措置をWTOが審理できないという米国の従来の立場を明らかにしたにすぎないという立場だという。

韓国政府の方はというと、アメリカが指摘した2つ目の話だけ言及し、最初に言及されたことについては無視しているようです。

別の報道'수출규제 WTO 제소'서 日 편든 美..한일 분쟁 변수되나では、韓国人の弁護士や経済学の教授が「公式会議の席上で、米国が特定の事案について積極的に発言したことに注目しなければならない」「WTO内での米国の強い影響力を考慮すると、韓国としては否定的ニュースであることは明らかである」と分析していると紹介されています。

政府はともかく、民間は冷静のようです。

報道機関も韓国政府に対していささか冷淡な調子で報道しているように映ります。

日韓輸出管理問題

日本の韓国に対する輸出管理強化の方針については昨年まとめています。

韓国をホワイト国から除外、輸出管理の優遇廃止 カテゴリーの記事一覧 - 事実を整える

CISTECが怒りのパワポ解説:韓国向け輸出管理、ホワイト国、リスト規制、キャッチオール規制の誤解

以上