事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

安藤裕議員(京都6区)「松井吉村のクロス選は脱法的行為」と言う者の評判

魚拓:http://archive.is/sT414

自民党安藤裕衆議院議員(京都6区)のツイートがトンデモなので取り上げます。

今更こんなことを言い出してるんですが、読めば読むほどスルメのように汚濁汁が出てくるツイートです。(スルメはおいしいです、誤解なきよう)

安藤裕(京都6区)「松井吉村のクロス選は脱法的行為」

脱法的行為」とは、以下のような意味のようです。

  • 公職選挙法259条の2では、首長が任期途中で自ら退職した場合において、当該自治体の新たな首長を決める選挙に立候補して(出直し選挙とも言う)当選した場合、その者の任期は従来の任期までとなる、と定められている
  • これは「現職首長が対立陣営の準備不足を狙って不意打ち的に選挙を行うことで有利に進め、さらに当選後の新たな4年の任期を確保する」のを防ぐ趣旨である 
  • しかし、別の自治体の首長に立候補して当選した場合にはそのような縛りはない
  • ただ、大阪府知事と大阪市長は同じ維新の会という政党に属する者だったため、歩調を合わせてしまえば任期の縛りをすりぬけることができる。
  • これは公職選挙法の趣旨に反する

というものです。

しかし、住民は首長に対して「任期を全うすること」を期待してるのではありません首長に対して住民にとってプラスになる政策を実行することを期待しているのです。

それが現状ではできないと判断したために行う退職と立候補の正当性は、まさに選挙で住民の信を問えばよい

それが民主政の本来の姿でしょう。そもそも出直し選挙自体は禁止されてないのです。

ただ、選挙を濫用する者が出てきたから公職選挙法で規制されたに過ぎません。

さらに言えば、吉村洋文氏は大阪府知事としては「新人」です。同様に松井一郎氏も大阪市長としては「新人」です。「現職」が有利という指摘は当てはまりません。

タイミングの問題は、単に対立陣営の準備不足です。

出直し選挙が規制しているのは、「不意打ちの旨味をもって元の職において新たな4年の任期を確保」することです。指揮命令系統や人間関係が維持されることで権力構造が固定化されるからダメなんでしょう。

職場が変わる今回の選挙には当てはまりません。

したがって、法の趣旨に反するということにはなりません。

「出直し選挙論」はあんどう裕の意見ではなく朝日新聞の記事?

「朝日新聞の記事の記述の紹介であり、安藤裕の意見ではない」

と反論してくることも考えられます。

でもそれをやってしまったなら、新聞記事に仮託して自分の見解を暗に伝えていたということになります。それは言葉で勝負する政治家としては最もやってはいけない事と言うか、自分の価値を自ら貶めることになってしまうので、言ってこないでしょう(たぶん)。

このツイートのリプ欄や、直後のツイートにこの記事についての論評が書かれたものはありません。ですから、「紹介」という理屈は通りません。

まぁ、もしかしたら自分の意見であるとすると理屈が弱いと思ったから新聞記事の引用をしただけなのかもしれませんが。

「法律で禁止されてないからいいのか!?」への評価

「法律で禁止されていないとしても、任期途中で投げ出すことを正当化し、再び権力の座に居座ろうとすることができるのが問題だ!」

このような論者に3点のツッコみ所があります。

1:知事と市長の入れ替え戦で必ず勝てるという見込みはどこにもない。

そんなデータ、無いでしょう。

そもそも政党が同じとはいえ、選挙時期を人為的に調整できるほどの連携ができるところがいったいどれほどあるというのでしょうか?

むしろそれ自体は非難されるようなものでもなく、むしろ調整が上手くいっているという評価も成り立つわけです。

2:元々「統一地方選」だった。

「ダブル選挙は税金の無駄だ」 とかいうとんでもないアホが居ましたが、逆でした。

知事選挙、府議選挙、市長選挙、市議選挙を同日にするから統一地方選なんです。

選挙事務を行う自治体の職員の負担や投票所に足を運ぶ住民負担を考えればよろしい。

1日で4選挙を扱うのは、その日の業務量は多くなりますが、仮に4日に分けたとしてその方がいちいち設営するのが面倒です。住民は4回も投票所に行かなければなりません(地方だと歩いていけない距離のところもある)。選挙管理委員会だって待機時間が多くなるでしょう。

今回の松井・吉村コンビの辞職⇒選挙は、そのような意味でも妥当性があるということになります。他の自治体と同じように考えることはできません。もちろん、この点は蛇足ですが。

3:総理大臣の衆議院解散権は?

「任期途中の解散」がダメであるというなら、総理大臣が衆議院を解散するのはダメだということになりますね。

あなた自分のところの大将に弓引いてどうするんですか?

さて、「突っ込み所」ではないですが、以下のような論があり得ます。

立法論として任期途中の解散はすべてダメだという人へ

「総理大臣の衆院解散も本来はダメだ」と言う人も居ると思います。

同じようなことを既に言いましたが、国民は政権に対して「任期を全うすること」を期待してるのではありません。国民のためになる政策を実行することを期待しているのです。

また、選挙はどうしても政治の空白を生む面があります。

その空白の期間が固定化されているならば、いろんな勢力がその期間を狙っていろいろ仕掛けてくることも可能になるでしょう。任期途中の解散は許されないという者は、そういった勢力に加担してるんですか?

なお、内閣は衆院解散が為されても、次の内閣が発足するまでは存続しますので、たとえ衆参ダブル選挙になったとしても政治が完全に空白になるということはありません。

MMT(現代貨幣理論)論者の安藤裕衆議院議員の評判

魚拓:http://archive.is/QaMgV

【日本の解き方】米財政赤字容認する「MMT」は数量的でなく“思想優先”の極論 日本財政は標準理論で説明可能 (2/2ページ) - zakzak

 

支離滅裂であるということも分からずに安易に朝日新聞の記事をツイートする人間が提唱するMMT(現代貨幣理論)も、大層なものではないですね。「TPP亡国論」の中野剛志が飛びついてる論ですよ。

以上