事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

石丸伸二「どう喝」訴訟、二審広島高裁も市議への名誉毀損認め安芸高田市に賠償命令、個人への請求も控訴棄却

求償権行使してほしいですね。

石丸伸二「どう喝」訴訟、二審広島高裁も市議への名誉毀損認め安芸高田市に賠償命令

石丸伸二市長(当時)から執拗に「山根温子議員の恫喝発言」について議会の内外で発信が為されたため山根議員が石丸氏個人と安芸高田市を提訴した「石丸市長「どう喝」訴訟」。*1

7月3日に二審広島高裁の判決が出ており、一審と同様、市議への名誉毀損認め安芸高田市に賠償命令が出ています。

【速報】安芸高田市・石丸伸二前市長の「どう喝」訴訟 二審も市議への名誉棄損認める 安芸高田市に損害賠償支払い命じた一審判決を支持 広島高裁

広島県安芸高田市の石丸伸二前市長に「恫喝された」と虚偽の発言をされて名誉を傷つけられたとして、市議が石丸前市長や市に対して損害賠償を求めた裁判の控訴審判決が3日、広島高裁でありました。広島高裁は、安芸高田市に損害賠償の支払いを命じた一審判決を支持し、控訴を棄却しました。

本件の事案の発端や関連ツイート、なぜ石丸氏個人ではなく市の責任となったのか、訴訟の請求の構造などの地裁判決の内容については以下でまとめています。

個人への請求も控訴棄却:安芸高田市は石丸伸二個人に求償権行使をするのか?できるのか?

【速報】安芸高田市・石丸伸二前市長の「どう喝」訴訟 二審も市議への名誉棄損認める 安芸高田市に損害賠償支払い命じた一審判決を支持 広島高裁

一方、石丸前市長個人の賠償責任については、控訴審でも棄却されました。
決後、記者会見した山根議員は「安芸高田市はこの判決で、認められた賠償額をしっかりと求償権を使って石丸前市長に請求を行うべきだと考えています」と述べ、自身は上告は行わない考えを示しました。

一方、安芸高田市は「判決文の内容を精査し、今後の対応を検討する」とコメントしています。

本件は石丸氏個人への請求も為されていましたが、そちらの請求は国賠法の規定上、一審と同様に退けられ控訴棄却となりました。

そこで、【安芸高田市は国賠法1条2項に基づいて石丸伸二個人に求償権行使をするのか?できるのか?】という問題が発生します。

既に石丸氏は都知事選出馬にあたって安芸高田市長を辞職しており、安芸高田市長選には出馬せず、同市長選は7月7日であるため、市長が変わることが既定路線です。

さて、国賠法の規定を再確認します。

第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
② 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

安芸高田市が責任を負うとされたのは石丸氏に故意か過失があったからですが、公共団体が石丸氏に対して求償権を行使する(本件の場合は、山根議員に支払うこととなった33万円+遅延損害金を石丸氏に請求すること)ためには、故意か重過失があった場合に限定されます。

ところが、地裁判決では明示的には「故意or重過失」が認定されていません。

地裁判決は「国賠法1条1項にいう違法な行為があったものといえる」*2としか書いていません。

単なる過失とされたのか否かによって、求償権行使の成否が変わってきます。

他方で、地裁判決においても「被告石丸の市長としての立場や影響力に鑑みれば、被告石丸は、Twitter上で広報活動をするに当たり、市長として職務上当然に尽くすべき注意義務を尽くさなかったといえる。」という判示があります。

高裁ではこの点が明示されたのかはわかりませんが、この書きぶりからは故意乃至は重過失が認定されたと考えることもできます。

石丸側から「求償権行使の要件を満たしていない」とゴネられて訴訟をする可能性はあります。

ただ、市側が求償権行使を渋っても住民訴訟で「市に対し、石丸伸二氏に対して求償権行使をすることを求める請求」*3が為される可能性もあります。有名なのが東京都国立市の上原公子市長の行為に関して為された住民訴訟です。

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*1:「居眠り議員」に触れて「恥を知れ恥を」と議会で発言したことが話題になった件が発端。当該議員は脳梗塞の症状による意識喪失だった。

*2:市長の議会における発言の裁量逸脱の問題であるからか、一般論として原告がこの点を詳細に主張しないことが多いということが本件でも存在していたからなのかは不明

*3:地方自治法242条の2第1項3号4号