女系天皇と女性天皇の違いについて簡単に説明します。
女性宮家については以下
- 皇統・女系天皇とは:サザエさんでわかりやすく
- 女系天皇・女性天皇の定義
- 女系天皇と女性天皇の違い:歴史上の例があったか否か
- 女性天皇の特徴とは:中継ぎの役割
- 「女系天皇」「女系継承」なるものは存在しない
- 世論調査での女系天皇賛成者は意味を理解してるのか?
- 追記:FNNの調査「意味を理解してる者が半数も居ない」
- まとめ:女系天皇アンケートの問題が浮き彫りに
皇統・女系天皇とは:サザエさんでわかりやすく
【父親の尊属(祖先)を辿っていくと、そのすべてが神武天皇を祖先に持つ者】
このような系譜が「皇統」であり、この系譜を有する者が「男系」です。
女系天皇とは、そういった系統ではない者が天皇になった場合の仮定の呼称です。
「サザエさん」における磯野家の視点で表すとこの通りになります。
青枠が磯野藻屑源素太皆(いそのもくずみなもとのすたみな)に連なる男系です。
女性であってもなぎえやワカメは男系です。
女系天皇・女性天皇の定義
これに対して、「女系天皇」とは
【母のみが皇統(天皇の血統)に属する天皇】を指す呼称です。
【父親が皇統に属さない天皇】という言い方でも良いです。
上図でいえば、赤枠で囲われたキャラが女系です。
男性のノリスケやタラオも女系になることがわかります。
「女性宮家」は、この図で言えば「なぎえ」や「サザエ」が該当します。
その子供の父親を辿ってもスタミナに辿り着けません。
他方、「女性天皇」は、読んで字のごとく、性別が女性の天皇です。
- 女性天皇は性別のみで呼び方が決まる
- 女系天皇は父方の祖先が皇統に属するか否かで呼び方が決まる
女系天皇と女性天皇の違い:歴史上の例があったか否か
女系天皇と女性天皇の定義について書きました。
本質的な違いは「歴史上の例があったか否か」です。
女性天皇は8名10例の先例がありました。
(一人が譲位後に再度天皇に即位することがあったため)
これに対して、女系天皇は、これまで先例がありません。
この違いが最も重要です。
女性天皇の特徴とは:中継ぎの役割
歴代の女性天皇はすべて、独身か未亡人です。
皇后の地位にあった間に出産した例はありますが、天皇の即位した後に出産したことはありません。
最初の女性天皇である推古天皇、2度目の即位だった斉明天皇と称徳天皇以外は、すべて譲位によって天皇から退いています。
皇位継承権争いなど政治的な緊張を緩和するために即位したり、男子の後継者が幼年であった場合に成長を待つために即位したりしていました。
また、女性天皇しか即位できない、というような場合には決して即位しませんでした。
例えば後桃園天皇が崩御した際、近親では皇女の欣子内親王しか皇位継承権者はいませんでした。彼女は生後10か月程でした。
結局、共通の祖先である東山天皇の4世孫であった光格天皇を養子に迎え入れて即位させました。光格天皇は当時8歳でした。
このように、女性天皇は「中継ぎ」としての役割であり、他の条件が整わない限りは決して即位しないこととなっていました。
「女系天皇」「女系継承」なるものは存在しない
「女系天皇」という語は、元々存在しなかった語です。
なぜなら、(いわゆる)男系継承で皇統を保ってきたのが天皇だからです。
いちいち「男系」という修飾語をつける必要はありません。それが基本形だからです。
そして、「女系天皇」という存在は本来はあり得ません。
母のみが皇室に属する者だけで代々「皇位継承」(仮にこう呼ぶとして)をしていくということは考えられないからです。
結局、男系なのか女系なのか正体不明な、「長いこと続いてきたナニカ」になります。
ファンタジー世界のアマゾネスのような場合にしか「女系継承」はありえないのです。
世論調査での女系天皇賛成者は意味を理解してるのか?
天皇陛下に「親しみ」82% 女性継承賛成79%、共同通信 | 共同通信
共同通信社が1、2両日実施した全国緊急電話世論調査によると、即位された天皇陛下に82.5%が「親しみを感じる」と回答した。「親しみを感じない」は11.3%にとどまった。皇室典範で「男系男子」に限るとした皇位継承を巡り、女性天皇を認めることに賛成は79.6%で、反対の13.3%を上回った。
タイトルにだけ「女性継承」という意味不明な用語を使って世論誘導していますね。
この手のアンケートは何度も取られています。
平成17年の皇室典範に関する有識者会議報告書の参考資料においても、時事通信の世論調査結果が掲載されていました。
この時点での調査結果はこのようになっていますが、詳しい調査方法は不明です。
調査方法も面接方式であり、電話方式とは異なります。
男系継承の方法として旧皇族の皇籍復帰や養子縁組という先例があるということなども知っていた者が回答したら、異なる結果になったでしょうね。
追記:FNNの調査「意味を理解してる者が半数も居ない」
【世論調査】男系女系、女性天皇の違い分かってなかった:旧皇族の復帰も賛成が上回る - 事実を整える
2019.5.13 11:38【安倍政権考】「女性」「女系」の違い分からず容認論拡大 FNN調査で明らかに - 産経ニュース(魚拓)
女性天皇と女系天皇の違いについては「よく理解している」が10・6%、「ある程度理解している」は33・4%。「あまり理解していない」は31・6%、「全く理解していない」は20・3%で、合わせると半数を超えた。
合同世論調査は今回から固定電話に加え、携帯電話を対象に加えた。調査対象は1000、固定・携帯の比率は4対6とした。
このように、世論調査の認識を重視するのは非常に危うい結果になるということ。
皇室の法は臣民の法と異なる。
江戸時代に新井白石など「臣民」が閑院宮家創設に繋がる提言をしているなどはあったが、基本的に戦前は天皇・皇族がイニシアティブを持って皇室法に関して決定していたということは大事。
天皇陛下に皇位継承とジェンダー平等を質問する記者をどう視るべきか?|Nathan(ねーさん)|note
まとめ:女系天皇アンケートの問題が浮き彫りに
結局、この問題は女系天皇と女性天皇の違いを理解しているのかということに加え、男系継承を維持するための方法論とその可能性・伝統との距離などについて、しっかりと理解していないと判断がつきません。
アンケートを取ること自体は否定しません、それは死刑制度などの法制度においても行われています。
ただ、それが十分な理解のもとに行われた結果なのかについて疑義がある現状では、重視する意義がないように思われます。
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