【ネット・ゲーム条例】【独自速報】
— コンテンツ文化研究会 (@iccjapan) 2020年1月20日
本日(1月20日)に提案された、新素案を入手いたしましたので、ここに公開いたします。
第6回検討委員会の資料です。
検討委員会の公開は、報道記者のみに制限され、傍聴はかないませんでした。
詳細は、リンク先をご参照ください。https://t.co/b4wKouEcWz pic.twitter.com/9GDb9caMyN
香川県ネット・ゲーム依存症対策条例の素案が修正されたものが検討されたようですが、むしろ悪化しているという指摘が相次いでいます。
香川県議会のゲーム依存症対策検討委員会は非公開なので、コンテンツ文化研究会様が入手した条例素案の修正案を見ていきます。
- 香川県ネット・ゲーム依存症対策条例修正案の新旧対照表
- 学習除外規定は設けられずむしろ悪化している…
- オンラインゲームの定義が酷い
- 保護者にさらなる努力義務が課せられる…
- ゲームは1日1時間の根拠はいまだ不明
香川県ネット・ゲーム依存症対策条例修正案の新旧対照表
コンテンツ文化研究会 / Institute of Contents Culture
第6回検討委員会(2020年1月20日開催)対照表.pdf - Google ドライブ
学習除外規定は設けられずむしろ悪化している…
最初の素案の時から指摘されていた通り、学習用途での利用の場合に除外する規定が無いため、条例の文言上はこの場合も1日1時間等の制限に該当することになります。
報道では学習用途は除くとされるようだとしていますが、要するに自分たちの匙加減で運用をいくらでも変えることができるということになり、だったら条例化する必要があるの?という本末転倒な話になると思います。
しかも前文の「進次郎構文」もそのままです。
細かい点としては前回の記事「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例素案が危険すぎる 」で指摘した「協力するものとする」などの表現が「努力する」などの表現に緩和されていることが挙げられ、この点は改善と言えますが、これは最低限の話に過ぎません。
オンラインゲームの定義が酷い
条例素案修正2条3項ではオンラインゲームの定義として
【インターネットなどの通信ネットワークを介して行われるコンピューターゲーム】
などという強烈な文言が放たれました。
しかも条例素案上「オンラインゲーム」という用語は2か所でしか使われていませんので、無理やりねじ込んだ感があります。
いわゆる自機の結果をランキング登録できるに過ぎないものも含むのか、ゲーム進行を共有するものに限るのか、この定義では判然としません。
保護者にさらなる努力義務が課せられる…
条例素案修正18条3項には
保護者は子どもがネット・ゲーム依存症に陥る危険性があると感じた場合には、速やかに、学校等及びネット・ゲーム依存症対策に関連する業務に従事する者等に相談し、子どもがネット・ゲーム依存症にならないように努めなければならない。
という新たな努力規定が設けられました。
悪化してますね。
業者の仕事を増やすためのものという印象しかありません。
ゲームは1日1時間の根拠はいまだ不明
条例に書くことではありませんが、未だに「ゲームは1日1時間」の根拠が不明です。
「ゲームと覚醒剤は同じ」大山一郎香川県議 - 井出草平の研究ノートによると、香川県議会議長の大山一郎議員が「ゲームは覚せい剤と同じ量のドーパミンが出る」などと発言したことについて、Koepp et al.(1998)の論文を紹介していますが、ゲームに特異なことではなく、運動などの場合にも分泌されるということを示しています。
また、高橋名人も「1日1時間」に根拠がないと言ったとか言わないとか。
私が調べた限りでも、ワインスタインらのインターネットベースのゲームについての論文では
- インターネットゲーム障害の人口比は0.3から1%と推計
- インターネットゲームの依存性はギャンブルよりもはるかに中毒性が低い
などとされていましたし
パーキンソン病患者を支援するためのニンテンドーWii™対Xbox Kinect™という論文では「ニンテンドーWii™を使用している人だけが、シングルおよびデュアルタスク歩行テストでパフォーマンスを大幅に改善し、不安レベルを減らし、記憶力、注意力、および可逆性を改善しました」という研究が為されているように、ゲームの負の側面だけではなく正の側面をきちんと認識していることを条文上にも反映させるべきだと思います。
以上