名古屋市の河村市長が表現の不自由展の再開に抗議するために会場の外で座り込みを実施しました。
その手段を疑問視する人も居ますが、河村市長としては「昭和天皇の肖像を燃やした作品があることを問題視している」という事を全国民に伝えるために行ったのだろうと思います。
- 河村市長「陛下の肖像を燃やすな」「マスコミは事実を報道しろ」
- 昭和天皇の肖像を含むものが燃やされ踏みつけられた映像作品
- 表現の不自由展「過去に展示拒否された作品」⇒実際は新規の作品が
- 「重要なことを隠してやった」
- マスメディアの表現の不自由展に関する報道ぶり
- テレビでは昭和天皇の映像はほとんど報道されず
- まとめ:河村市長の座り込み抗議の目的は果たされたのか?
河村市長「陛下の肖像を燃やすな」「マスコミは事実を報道しろ」
河村たかし市長がトリエンナーレ会場前で座り込みしています。#表現のこれから pic.twitter.com/sHmGjmRl7W
— 中村かさね Kasane Nakamura/ハフポスト (@Vie0530) October 8, 2019
マスコミは表現の自由を言う前には、まず知る権利に奉仕せにゃいかんの。そのためには事実を報道せにゃいかん。当然でしょ。ここにありますように、陛下への侮辱をよ、本当にゆるさないぞと。ありゃーいかんですよ。陛下でなくともですね、亡くなった方の写真を燃やして足で踏みつけちゃいかんですよ。それを重要なことを隠してやったというのはどういうことなんだこれ。隠してやったということ。
河村市長としてはマスメディアに「昭和天皇の肖像を燃やした作品が問題になっているということを(もっと)きちんと報道してもらう」ために座り込みをしているということがわかります。
そのためにその旨を書いたプラカードを持って「絵」に映るようにしてるのでしょう。
実は、マスメディアの報道は「少女像」にばかりフォーカスされていて「昭和天皇の肖像を含むものが燃やされたこと」については報道が不十分です。
昭和天皇の肖像を含むものが燃やされ踏みつけられた映像作品
昭和天皇の肖像を含むものが燃やされ踏みつけられた映像作品とは何かがわからない人はこちらやKBSの映像などを見るといいでしょう。
また、この作品の背景にある事件については以下で説明しています。
表現の不自由展「過去に展示拒否された作品」⇒実際は新規の作品が
見落とされがちですが、表現の不自由展は「過去に展示拒否された作品」を展示する目的で企画されていました。
しかし、捏造慰安婦像や昭和天皇作品については新規の作品が展示されています。
捏造慰安婦像はミニチュアの展示が東京美術館で撤去されましたが、実物大の大きさのものは展示されたことはありませんでした。
昭和天皇作品は、「天皇コラージュ」と呼ばれる絵の図録が焼却されましたが、作品そのものは焼却されていません。映像作品も新たに制作されています。
これは当初の予定からは外れているということは芸術監督の津田大介の弁や検証委員会の検証でも明らかになっています。
「重要なことを隠してやった」
議事概要(あいちトリエンナーレのあり方検証委員会 第3回会議) の中間報告では捏造慰安婦像=少女像や昭和天皇の肖像を含むものがガスバーナーで燃やされる作品について、どのような経緯だったのかが書かれています。後者については大村知事が把握したのはトリエンナーレ開催後の8月4日であると示されています。
そして、河村市長が大村知事に宛てた公 開 質 問 状では捏造慰安婦像=少女像の展示は文化庁への補助金申請時に隠されていた疑惑が示されています。
マスメディアの表現の不自由展に関する報道ぶり
毎日新聞、朝日新聞、産経新聞、東京新聞、日経新聞のデジタル版、時事通信、共同通信のサイトを「昭和天皇 肖像」などで検索した結果を参考にしていきます。
「昭和天皇の肖像を素材にした映像作品」「燃やしているように見える」
河村名古屋市長「暴力的で大変なこと」 表現の不自由展再開で - 毎日新聞などの記事で見られるように、「昭和天皇の肖像を素材にした映像作品」「燃やしているように見える」という表現が用いられています。
毎日新聞は他にも「表現の不自由」考:肖像燃やす作品「天皇制批判の意図なし」 制作の大浦信行さん - 毎日新聞において「昭和天皇の肖像を燃やしているように見える美術家の大浦信行さん(70)の映像作品」などと報じています。
「昭和天皇を含む肖像群が燃える映像作品」とハッキリ書いてる産経新聞と朝日新聞
「昭和天皇を含む肖像群が燃える映像作品」或いは「昭和天皇の肖像群が燃える作品」と一貫して言及しているのが朝日新聞デジタルです。
産経新聞は基本的に「昭和天皇の肖像画を燃やすような動画」という表現を用いていますが、社説では「昭和天皇の肖像をバーナーで燃やす映像」という表現も見られます。
【主張】愛知の企画展 反省なき再開は通らない - 産経ニュース
軍歌や朝鮮民謡などが流れ、昭和天皇の肖像写真がメラメラと燃えていく-。今回の展示で、批判の多かった動画作品のひとつだ。
また、中にはこのような具体的な表現もありました。
不自由展、作品に「不快」批判 天皇肖像燃やす表現 来場者「悪意に満ちていた」 愛知の芸術祭、企画展中止(1/3ページ) - 産経ニュース
「焼かれるべき絵」
問題の動画は、先の大戦を連想させる映像や音声が流れる中、コラージュ画に使われた昭和天皇の肖像を大写しにして、ガスバーナーで燃やしていく-という内容。燃え残りの灰を足で踏みつぶすシーンもある。
企画展が中止となる前日の3日、動画を流すモニターの前には人だかりができ、来場者が顔をしかめたり、スマートフォンで撮影したりする姿もみられた。
説明書きなどによると、昭和61年、富山県立近代美術館(当時)に展示された昭和天皇の写真と女性のヌード写真などを合成したコラージュ画が県議会で「不快」と批判され、美術館は作品を売却するとともに図録を焼却処分した。それが今回、燃やすシーンを挿入した理由とみられる。
モニターの近くには「焼かれるべき絵」とのタイトルで、昭和天皇とみられる軍服姿の、顔の部分が剥落した銅版画も掲げられていた。
「昭和天皇の肖像をコラージュした自作を燃やす映像作品を展示した」
東京新聞:表現の不自由展中止 津田大介さん「回復の手だて全力で探る」:社会(TOKYO Web)
東京新聞の記事でヒットしたのはこれだけでした。
中日新聞は「昭和天皇の肖像をコラージュした版画を燃やす場面を含んだ映像作品」という表現がある記事が見つかりますが、検索が奏功しないので見つけるのは困難でした。
「天皇 肖像」などではヒットしない日経新聞、共同通信、時事通信
日経新聞では、表現の不自由展についての記事はいくつもありますが、「天皇 肖像」
「天皇 燃」などで検索してもまったくヒットしません。
共同通信の47NEWSでは「天皇 肖像」という検索クエリでは上記中日新聞の記事がヒットするだけでした。
時事通信はまったくヒットしませんでした。
テレビでは昭和天皇の映像はほとんど報道されず
私の知る限り、テレビメディアが昭和天皇の肖像を含むものが燃やされている場面を映像で紹介している場面は見たことがありません。
ただ一つを除いては。
そう、韓国のKBSです。
もともとこの騒動は韓国メディアが映像・画像を報道し、それが日本のSNSを通じて内容が広まったという背景があります。
まとめ:河村市長の座り込み抗議の目的は果たされたのか?
ネットメディアでは既に河村市長の座り込みが報道されています。
ただ、動画が添付されてはいるものの、記事本文では「昭和天皇をモチーフにした作品」などという説明になっています。
他のメディアがどう報じるのか注視していくべきでしょう。
以上