琉球新報が安倍総理の「サンゴ移植発言」に疑義を呈する記事を1月8日に報道しました。その上で、1月9日の社説において「フェイク」と断定しました。
結論から言えば、琉球新報の記事は印象操作であり、社説はフェイクでした。
JCASTニュースが既に検証取材をしていたので、私も取材しました。
- 安倍首相のサンゴ移植発言は事実か
- 安倍首相のNHKでの発言
- 「埋立予定地」と現在埋立をしている辺野古地区の違い
- 琉球新報は辺野古埋立区域2-1になぜか限定
- 沖縄県水産課に取材した結果
- まとめ:安倍総理のサンゴ移植発言は正しい
安倍首相のサンゴ移植発言は事実か
全文表示 | 「辺野古のサンゴ」は本当に移植されたのか 安倍首相発言の真偽、地元に聞いた : J-CASTニュース:魚拓はこちら。
沖縄防衛局の広報担当者は7日、安倍首相がウソを言っているというのは誤解があり、埋め立てしている辺野古地区については、発言の内容に間違いはないと取材に説明した。
J-CASTニュースが既に沖縄防衛局の認識を確認していました。
では、なぜ琉球新報とは認識が異なっているのでしょうか?
安倍首相のNHKでの発言
安倍総理の発言は、1月6日放送のNHK「日曜討論」でのものでした。
辺野古移設に関する安倍首相発言全文 - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース:魚拓はこちら。
土砂を投入していくに当たって、あそこのサンゴについては移している。また絶滅危惧種が砂浜に存在していたが、これは砂をさらってしっかりと別の浜に移していくという環境の負担を抑える努力もしながら行っている。もちろん沖縄の皆さんの気持ちに寄り添っていくことも大切ですし、理解を得るようさらに努力をしていきたい。
安倍総理は「全部を移している」などとは断言していません。
「努力もしながら行っている」との発言からは現在進行形を滲ませていると言えます。
そして、重要なのが安倍総理は『どこのサンゴについて語っているか?』です。
「埋立予定地」と現在埋立をしている辺野古地区の違い
全文表示 | 「辺野古のサンゴ」は本当に移植されたのか 安倍首相発言の真偽、地元に聞いた : J-CASTニュース:魚拓はこちら。
沖縄県の水産課は1月7日、J-CASTニュースの取材に対し、絶滅危惧種になっているオキナワハマサンゴについては移植の事実はあると答えた。
その説明によると、国の沖縄防衛局が埋め立て予定地で9群体を確認しており、県が2018年7月13日に特別採捕許可を出し、7月末ごろに近隣の同様な環境にある海に移植された。許可の条件とされた週2回のモニタリング調査も行われており、最新となる12月25日の調査では、9群体とも生息しているとする写真などでの報告が県にあった。
埋め立て予定地には、ほかに大小のサンゴ約7万4000群体があると防衛局の調査が出ているが、これらはすべて、現在埋め立てしている辺野古地区ではなく、岬の反対側の大浦湾地区にあるという。
このうち約4万群体について、県は9月3日、埋め立て承認の撤回で必要性がなくなったと国の申請を不許可にしている。これに対し、防衛局が12月6日に再申請して、19年1月7日現在も審査中だ。
その意味では、埋め立て予定地のすべてでサンゴの移植が終わったわけではない。
【埋め立て予定地】には『辺野古地区』『大浦湾地区』などがあります。
上図の左側が辺野古地区です。
安倍総理が言及したのは【埋め立て予定地全体】についてです。
ここに、からくりがあったのです。
「辺野古地区2-1のサンゴは移植していない」というのは事実です。
それは【元々移植対象となるサンゴが存在していないから】です。
したがって、安倍総理の発言とは矛盾しないということです。
琉球新報は辺野古埋立区域2-1になぜか限定
辺野古埋め立て 首相が「あそこのサンゴは移植」と発言したが…実際は土砂投入海域の移植はゼロ - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース:魚拓はこちら。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に伴う埋め立てに関し、安倍晋三首相は6日に放送されたNHKのテレビ番組「日曜討論」で事実を誤認して発言した。安倍首相は「土砂投入に当たって、あそこのサンゴは移植している」と述べたが、現在土砂が投入されている辺野古側の海域「埋め立て区域2―1」からサンゴは移植していない。
埋め立て海域全体では約7万4千群体の移植が必要だが、7日までに移植が終わっているのは別海域のオキナワハマサンゴ9群体のみにとどまっている。
沖縄防衛局は、土砂投入の海域付近にあった準絶滅危惧のヒメサンゴ1群体を当初移植する方針だった。県から移植に必要な特別採捕許可が得られなかったことから、特別な装置を用いてサンゴを囲み、移植を回避するよう工法を変更した経緯がある。
首相の発言について玉城デニー知事は7日、ツイッターに「安倍総理…。それは誰からのレクチャーでしょうか。現実はそうなっておりません。だから私たちは問題を提起しているのです」と投稿した。
サンゴの生態に詳しい東京経済大学の大久保奈弥准教授は「発言は事実と異なる。サンゴを移植しても生き残るのはわずかで、そもそも環境保全策にはならない」と指摘した。
沖縄防衛局は、サンゴの移植は1メートル以上の大きさを対象とし、1メートルより小さいサンゴは移植していない。
これまでに移植したオキナワハマサンゴ9群体はいずれも「埋め立て区域2―1」ではない場所に位置していた。
琉球新報の記事では「埋め立て区域2-1」の話であると曲解しています。
ただ、この記事の中に嘘は含まれていません。
しかし、事実を用いながらも「安倍総理が事実と異なる発言をした」と印象操作をしているということは明らかでしょう。
大久保教授の発言は移植の事実ではなく、どうも別の内容の質問に対するもののように感じます。大久保教授に対してどのような質問がなされたのか?は不明です。
<社説>首相サンゴ移植発言 フェイク発信許されない - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース:魚拓はこちら。
NHK解説副委員長の質問に対して首相は、土砂を投入している区域のサンゴは移植しており、砂浜に生息する絶滅危惧種を砂ごと移す努力もしていると述べた。これらは事実ではない。
社説では安倍総理の発言を勝手に「土砂を投入している区域」に限定しています。
その上で「事実ではない」と断定しています。
これこそフェイクでしょう。
沖縄県水産課に取材した結果
私自身も沖縄県水産課に取材しました。
- 移植対象となるサンゴは、0.2ha以上密集しているものについては10センチ以上のものを対象とする
- 密集していなくとも1メートル以上のものは移植対象とする
- 上記に当たらなくとも絶滅危惧種のオキナワハマサンゴは9群体移植した
なお、オキナワハマサンゴ9群体のうち、1群体は辺野古地区に存在していたが、それは現在周囲を囲って埋め立てをしている場所の外側に在ったものであるとのことでした。
辺野古2-1の地区は沖縄防衛局が調査した結果、移植対象となるサンゴは存在していなかったと判断されたようです。
NHKの放送では土砂を投入している映像に触れて安倍総理が「あそこのサンゴ」と言っていますが、元々移設対象となるサンゴが存在していない以上、「あそこのサンゴ」は埋め立て区域全体を指していると考えるのが筋でしょう。
工事の規模も現在進行形の区域は予定している場所の極々一部であって、総理大臣がいちいち具体的な区域を指定していると考えるのは異常です。
まとめ:安倍総理のサンゴ移植発言は正しい
- 辺野古埋め立て予定地全体の話で言えば、サンゴ移植の事実はあった
- 現在進行中の埋め立ては「辺野古2-1」で、琉球新報はそこに限定して言及している
- 辺野古2-1には移設対象となるサンゴは存在していない
- そのため、辺野古2-1においては「サンゴは移設していない」は当たり前
- したがって、安倍総理の発言は事実と異ならない
- 琉球新報の1月8日の記事は事実を報じているが、印象操作
- 琉球新報の1月9日の社説は安倍総理の発言を「フェイク」と断定しているので、そちらがフェイクである。
騙されないようにしましょう。
以上