事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

新元号の原案や考案者名を漏洩させたのは誰か?

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官邸が新元号の原案や考案者名は公開しない方針であったにもかかわらず、新元号発表の翌日にはマスメディアにリークされています。

漏洩させたのは誰でしょうか?

新元号の原案や考案者名「関係者の話などから判明」

元号の原案や考案者についての各社の報道を並べます。

NHKの記事

新元号の原案 政府6案示す | NHKニュース

新元号 6原案中4つは 「英弘」「広至」「万和」「万保」 | NHKニュース

新元号 6案すべて判明 「令和」考案は中西進氏か | NHKニュース

NHKの記事は、誰から聞いたか書いてなかったり、「関係者の話で分かりました」「関係者の話などから」という表現でした。

「関係者」という言葉が気になります。

毎日新聞の記事

 

「英弘」「久化」「広至」「万和」「万保」 新元号原案の全6案判明 - 毎日新聞

なお、毎日新聞は6案の名称については「政府関係者」と「政府」がついてますが、それ以外の事項(考案者名など)は「関係者」という表現になっています。

産経新聞の記事

元号原案「英弘」「久化」、広至、万和、万保も 六つ全て判明 - 産経ニュース

こちらも「関係者」が明らかにしたと書いてます。

朝日新聞の記事

新元号、政府提示6案に英弘・広至など 典拠に古事記も [令和]:朝日新聞デジタル

朝日新聞の記事だけ異様で、「複数の政府関係者」が「朝日新聞の取材に答えた」としています。

まるで朝日がスクープしたと言いたげのようですが、配信時間を見ると別にそんなことはなさそうです。

日経新聞の記事

「令和」考案者は中西進氏 国書・漢籍、3案ずつ (写真=共同) :日本経済新聞

日経新聞も「関係者」です。

東京新聞の記事

東京新聞:新元号 原案全て判明 「英弘」「久化」「広至」「万和」「万保」:政治(TOKYO Web)

東京新聞も「関係者」です。

なお、読売は新元号の原案についての記事がWEB上では見つかりませんでした。

 

「政府関係者」や「政府筋」ではないのか?

普段、報道で目にするのは「政府関係者」や「政府筋」といった表現が多いです。

しかし、今回の報道では「政府」が抜けている報道が多いのが気になります。

「政府」とは、一般的には行政府の側の人間を指す言葉であり、典型的には内閣を構成する閣僚や中央官庁の職員を指します。

ただ、政府 - Wikipediaを見ても分かるように、広義の意味においては、国家統治に関わる立法・司法・行政すべての機関および機構の総称を指す場合もあるようです。

朝日新聞(と毎日新聞)だけが「政府関係者」という表現を使っているのは他紙と意味合いが違うのかもしれません。

よって、関係者ないし政府関係者と言っても、それは内閣の閣僚のみを指すと断定するのはかなり危険であると言えます。

漏洩したのは誰か?新元号の選定に関わる人物たち

そうすると、新元号の選定に関わった人物は誰か?という話になってきます。

新元号選定手続きの運び

こちらの記事でも紹介しましたが、昭和54年10月23日閣議報告によると

  1. 候補名の考案
  2. 候補名の整理
  3. 原案の選定
  4. 新元号の決定

このような流れがありました。

候補名の考案者

官邸は特定個人と元号との結びつきを避けるため非公開としています。

しかし、こちらは現時点で何名かの方が考案者ではないかと報道されています。

新元号「天が決める」=考案者?の中西進氏:時事ドットコム

ただ、考案者ではないかと言われてる中西進氏は「元号は中西進という世俗の人間が決めるようなものではなく、天の声で決まるもの。考案者なんているはずがない」と述べています。

懇談会の有識者

新元号の選定について | 首相官邸ホームページ

上田良一  日本放送協会会長
大久保好男 一般社団法人日本民間放送連盟会長
鎌田薫   日本私立大学団体連合会会長
榊原定征  一般社団法人日本経済団体連合会名誉会長
白石興二郎 一般社団法人日本新聞協会会長
寺田逸郎  前最高裁判所長官
林真理子  作家
宮崎緑   千葉商科大学国際教養学部長
山中伸弥  京都大学iPS細胞研究所所長

マスコミ関係者3名、学術関係者1名、司法関係者1名、民間有識者3名

このような人員構成だったということがわかります。

内閣

内閣総理大臣、内閣官房長官、内閣法制局長官、全閣僚=大臣が、手続において関与しています。

ただ、当然この役職の人間には複数の秘書官らがいるので、そのような者たちの中に情報が入っているという可能性は否定できないでしょう。

衆参両議院の議長及び副議長

内閣だけでなく立法府の人間も新元号の原案について意見をすることとなってました。

現時点での衆参両議院の議長及び副議長の構成員は以下です。

  • 衆議院議長:大島理森(自民党)
  • 衆議院副議長:赤松広隆(立憲民主党)
  • 参議院議長:伊達忠一(自民党)
  • 参議院副議長:郡司彰(※民主党⇒民進党⇒無所属)

「野党の国会議員」も新元号の原案について意見を述べる機会があったという事です。

新元号情報漏れ対策で赤松副議長が官房長官に苦言 - 毎日新聞

「携帯電話を預かる」とした文書に赤松副議長が抗議したということもありました。

しかし、今現在こうして情報が漏えいしていることを考えると、このような措置を考えたのは当然だろうと思いますね(結局は食事会という事実上の軟禁)。

メディアにリークしたのは誰か?

「政府関係者」という用語の理解がかなり幅広い可能性があり、多くのメディアは「関係者」という非限定の言葉を用いているため、「内閣」の人間が漏洩したと即断することはできません。

それにしても、メディアは原案の候補は何があったのか?や、候補名の考案者は誰か?については異様な執念をもって詮索するのに、「誰がリークしたのか?」については触れないのは、一体なんなんでしょうか?

以上