愛知県の芸術祭である「あいちトリエンナーレ」において表現の不自由展という展示が中止された件について、トリエンナーレの芸術監督の津田大介が外国特派員協会で記者会見をしました。
津田大介が外国特派員協会記者会見
45分から質疑応答が始まります。
気になった点を書いていきます。
菅官房長官ら政治家らの発言が問題だという主張
57分20秒頃に菅官房長官がトリエンナーレについて、補助金に言及したことについて津田大介が「驚いた」と言っていました。
詳細は上記で説明していますが、文化庁からの補助金交付の流は下図の通りです。
現在は補助金が「採択」はされましたが、交付は決定されていません。
補助事業実施後に実績報告書が提出され、それを審査した上で交付決定をするという運びになっています。
菅官房長官は、「事実を確認して適切に」としか言っておらず、当然のことを言っているに過ぎません。
表現の不自由展実行委員会側との協議が必要では?の質問
朝日新聞記者からの質問 1時間12分20秒くらい
「展示中止はどういうルールというか権限で行ったのか。展示中止には表現の不自由展実行委員会との協議が必要ではなかったのか、そのへんのルールはどうなっているのか」
津田「検証委員会でも瑕疵がなかったのかは検討中ですが、表現の不自由展実行委員会を中心としたグループは一作家としての立場でもある。そういう意味で、トリエンナーレ実行委員会は作家と直接契約は結んでいない」
「不自由展との協議も含め、安全に管理運営ができなかったのは契約に基づく判断だった」
要するに津田大介側としては、表現の不自由展側とは協議の上で決定したことであると認識しているということでしょう。この質問の前に、上記スライドで認識の違いについて説明していました。動画の時間としては1時間くらいのところです。
しかし、津田大介の説明だと、津田-大村-不自由展の3者しか登場人物が存在していません。上記の契約書ではチーフキュレーター・キュレーターも含めて協議することとされていることから、「契約上の協議」がなされているとは到底思えません。
大村知事は展示中止の判断はトリエンナーレ実行委員会規約の「会長の専決処分」として行ったと言っていますが、これはトリエンナーレ実行委員会の内部規約に過ぎず、表現の不自由展側に対して対抗できるものではないでしょう。
まとめ:検閲や表現の自由の問題ではない
あいちトリエンナーレの表現の不自由展の展示中止に関して、作品選考時の拒否は「検閲にあたるからできない」だとか、「展示中止は事後検閲だ」とか「政治家が内容に踏み込んで否定的な発言をするのは表現の自由の侵害だ」などと言われていますが、そんなものは全部フェイクです。
表現の不自由展側は、トリエンナーレ実行委員会から「作品の選考・制作・展示をする義務」が生じる(準)委任契約の受任者であり、単なる契約関係の問題です。
公立の場所を借りて芸術作品を展示している民間事業と同じように考えることは出来ません。
以上