事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

NHK受信料:「死後も受信料の督促」「死亡と別世帯一人暮らしの証明で死亡月から解約」の真偽

f:id:Nathannate:20180702093831j:plain

 

被相続人が死亡した場合、相続人は死後のNHK受信料を解約の通知時点までの分も含めて支払う必要があるのか?

この問題について上記記事を書き、法的にはグレーであると書きました。そして、この時点でNHKに確認した結果は、「死後も受信料は発生する」というものでした。

しかし、ねとらぼさんによるNHK広報局に対する取材によると、現実にはそのような運用は行っていないという回答を得たとあります。

そこで再度、NHKに電話して聞いてみました。電話はこちらでも録音していますから、しかるべきところに渡すかもしれません。

まず架電した相手先はNHKふれあいセンター(通常、どこに連絡していいかわからないときに最初に第一にする場所)。ここは前回確認した電話先でもあります。

NHKふれあいセンターで別世帯一人暮らしの場合を確認

やりとりの大枠は以下です。

凡例:主⇒ブログ主Nathan(ねーさん)、N⇒NHKふれあいセンター

主:解約手続きに関してはこちらの窓口でよろしいでしょうか

N:はい

主:一般的な質問ですが、別世帯で一人暮らしの被相続人が死亡したあと、解約をせずに期間が経過した場合、相続人が支払うべき受信料はどのように扱っているのでしょうか

N:相続人様において、被相続人の方がお亡くなりになられてから解約のご連絡までの期間の受信料を払っていただくことになります

主:死亡の公的証明書を提示して死亡の時点がわかれば、死亡時で契約は終了するのではないのでしょうか

N:いえ、解約のご連絡を頂いた時点までの受信料をお支払い頂くことになっております。

主:そうですか。いや、実は7月1日にねとらぼという媒体でNHKの広報の部局で確認した結果が記事になってまして、そちらによると違う回答だったんですよ。

N:さようでございますか

主:はい。内容としては、「契約者の“死亡”と“一人暮らし”が確認できた場合は、亡くなった当月を解約扱いとするので、届け出までの期間の受信料は発生しない」というものでした。こちらが正しい案内ではないのでしょうか

N:確認しますので少々お時間頂けますでしょうか

主:はい

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

N:お待たせいたしました。

主:はい

N:私どもの窓口からは、先ほど申し上げた通りの案内となります

主:えっ。じゃあねとらぼさんに載っていた情報は違うということですか?

N:いえ、こちらのふれあいセンターではこれ以上詳細な回答ができかねる、という案内をさせていただいておりまして、具体的なことについては営業所にご確認いただくことになっております

主:でも、解約の手続ってこちらで行いますよね
※営業所経由でも可能

N:はい。そうなんですが、仰っていただいたような事例における詳細については、こちらでは先ほど申し上げた回答となりまして、詳細については営業所にお聞きいただくということになります。

主:わかりました。営業所に聞いて見ます。いや、NHKさん色んなところで叩かれててかわいそうなんで、こういうのもこの窓口で伝えた方が誤解がなくなると思うんですよ。ということを意見として言わせて頂きます

N:ご意見はありがたく承ります。

主:ありがとうございました。

 

オペレーターさんは確認してから上記回答をしたので、少なくとも「オペレーターレベルでは」嘘はついていないのかなと思います。

ということで、とある営業所で電話で確認してみました。これは必要な場合に議員事務所で相談するためにそうしました。

営業所へ死後の受信料につて聞いたら

全国の営業所の電話番号はこちらで確認できます。

凡例:主⇒ブログ主Nathan(ねーさん)、営⇒ある営業所

主:一般的な質問で恐縮ですが、別世帯で一人暮らしの被相続人が死亡したあと、解約をせずに期間が経過した場合、相続人が支払うべき受信料はどのように扱っているのでしょうか

営:そのような場合には、被相続人の方がお亡くなりになられた時点で解約ということになります

主:死亡時点や一人暮らしであることがわかるようなものを提出すれば良いということでしょうか。その間の受信料は発生しないということになるでしょうか。

営:さようでございます。事実がわかるものをご提示いただければ、お亡くなりになられた時点以降の受信料は頂かないということになっております

主:そうですか。そうすると確認ですけれども、たとえば1年前払いなどをしていて、その途中で死亡した場合には、返金されるという理解でよろしいでしょうか

営:おっしゃる通りでございます。そのようにさせていただいております。

主:わかりました。ありがとうございます。実はふれあいセンターに先に電話してまして、この場合について最初は「受信料が死亡後も発生する」という回答だったんですよ

営:さようでございますか

主:はい。そこで詳しく聞いたら営業所に連絡してくれと言われて、こちらに電話したらキチンと回答いただいたんですが、全く違う回答になってるんですよね。これってなんでふれあいセンターで回答できないのか不思議なんですよ

営:ええ

主:私は契約者ですからね、契約者が契約内容を確認するのは当然の権利なわけですから、それについて答えられないというのは、ましてや全く違う回答がなされるというのはおかしいじゃないですか。オペレーターさんも確認してからそう回答したので、その人の問題ではないと思うんですよ。こういう体制をとっていること自体がどうなんだ

営:ええ

主:正しい情報が広まればきちんと解約手続きをする人が増えますし、なによりNHKさんとしても無駄に請求書を送ったりする手間が省けますからね。ふれあいセンターの回答をしていると窓口担当の人も負担ですしNHKが叩かれるというのは良くないと思うんですよ。そういうことを意見として言わせて頂きます。

営:ご意見をありがたく承ります。

主:ありがとうございました。

 

文字にすると淡々とした印象ですが、ふれあいセンターも、営業所の方も、丁寧な感じで応対していただきました(営業所の方が「死亡」ワードを意識してか、かなり同意の感情が滲むような雰囲気)。「ええ」というのも「聞いてますよ」という相槌でした。

死亡月から解約扱いというのは営業所の運用

NHK組織図:広報局、営業局、受信料

参照元:https://www.nhk.or.jp/bunken/book/regular/nenkan/pdf14/14_723_724.pdf

以上、ねとらぼさんの記事にあったように、「契約者の“死亡”と“一人暮らし”が確認できた場合は、亡くなった当月を解約扱いとするので、届け出までの期間の受信料は発生しない」というのは正しかったということになります。

しかし、NHKふれあいセンターでの案内は、そうではないということです。ねとらぼさんが確認したのは広報局、営業所は営業局ですから、ふれあいセンターはまた別の部署だと思われます。

実は、部局間で「案内の範囲」が異なるというのはいろんな企業でよくある話ではあります。ただ、「案内が食い違う」というのは到底許されない行為です。本来は「ふれあいセンターでは回答いたしかねる内容のため営業所にご確認ください」とするべきものを、最初に営業所と矛盾する回答を行っている時点でアウトです。

このような案内をすることになっていることで、窓口のオペレーターには無用な負担がかかっていることに同情を禁じ得ません。これは確実に組織の問題です。

ただし、営業所によっては違った対応がされる場合があります。その場合にはねとらぼさんの記事やこの記事の内容を突き付けて反論してみてください。

ネット上のNHK受信料に関する情報について

こうしてみると、NHKにまつわる様々なマイナス情報は、集金人やNHKふれあいセンター、営業所の回答の矛盾が引き起こしている面が相当数あるのではないかと思われます。とりあえず集金人の言っていることは事後的に検証してから判断した方がいいでしょう。

NHKがそのような状況を放置しているのはなぜでしょうか?

そして、「解約してはいけない」と扇動するサイトがあるのはなぜでしょうか?

受信契約や受信料の支払い督促などの業務は別の業者がやっている例も多く、インターホンのカメラで業者の違法行為が撮影されていた、ということも多々発生しています。

こうした傾向を踏まえ、「死亡者の契約で相続人が解約を忘れているケースを(何らかの方法で)探しだし、払っていない受信料を集めることを「埋蔵金」として意図的に行われているのではないか」という見解もあります。

 

現場の方には大変申し訳ないですが、NHK全体をみると、どうも「埋蔵金」を作っているのではないかと思ってしまいます。

もっとも、NHKから国民を守る党も解約を推奨していませんが、これはNHKに対して解約の手続をしようとすると、前提知識がなければ解約にたどり着くことができず、無駄に面倒な手続きが発生するということが背景としてあるようですから、このような観点から解約を推奨していないところについてまで非難する意図はこの記事にはありません。

特に女性の1人暮らしでの解約手続きは非常に危険な場合も含まれる(室内を検査させる場合等)ので、こうした現実の負担を考慮している言説には正当性があるでしょう。

ただ、法的な原則は死亡時から通知時の受信料発生はグレーであり、運用上はそうならないようにしているのが基本ということは変わりありません。「原則」や「基本」を無視して「全て解約手続きを取らないのが正しい」と言及することは、私たち国民のためにも、NHKに関係する職員・会社員のためにもなりません。

録音した音声データはしかるべきところに渡すかもしれません。

以上

日本代表がポーランドに敗れ決勝トーナメント進出:フェアプレーか無気力試合か

 

サッカー日本代表西野監督ポーランド戦後記者会見

 

日本代表がフェアプレーポイントによって決勝トーナメントに進出しましたが、日本代表がワールドカップグループリーグ第三戦のポーランド戦で見せたプレーは無気力試合か?フェアプレーとは何か?という点が問題になっています。

これについては個人がそれぞれの考え方で肯定、否定することもいいですが、「規範=ルール」に則った場合にどのように解釈できるのかについて検討していきたいと思います。

FIFAフットボール行動規範

"Code of Conduct for Football"(FIFAフットボール行動規範)においては以下のように記述されています(魚拓:http://archive.is/3y9UV

1:Play to Win

Winningは全ての試合の目的である。決して負けるためではない。もしあなたが勝つためにゲームをプレーしなければ、それは対戦相手を惑わせ、観客を欺き、あなた自身を騙すことになる。強い相手を前にしても決して諦めてはならないし、決して弱い相手に情けをかけてはならない。それは相手が全力でプレーすることを侮辱することになる。最後の笛までプレーせよ。

ここでWinningをわざと「勝利」と訳さなかったのは、ここの意味するところが重要だからです。このWinningはその1試合での勝利のみを指すのか、それとも大会全体を通した勝利、つまり「優勝」も含むのかどうかという解釈問題があります。

英語でWinningと言うときは、その意味に「優勝」も含みますから、当然このような疑問が生じるわけです。さらに、それ以上の意味合いが含まれているのかどうかも検討しなければなりません。

では、それはどのように解釈するのかというと、まずは他のFIFAフットボール行動規範を見るべきということになると思います。

Promote the Interests of Football

FIFAフットボール行動規範には「フットボールの魅力を広めよう」という項があります。これが関連すると思います。

6:Promote the Interests of Football

フットボールは世界最高の競技である。しかし、そうであり続けるためにはあなたの助けが必要である。あなた自身の前に、フットボールの魅力を考えよ。あなたの行動がゲームの印象にどのように影響を与えるのかを考えよ。ゲームの肯定的な側面について語ろう。他の人にもその側面を見たり、公正にプレーすることを勧めよう。他の人があなたと同じくらいフットボールを楽しめるよう努めなさい。ゲームの大使になれ。

フットボールの魅力は1試合の攻防に限るものかどうか。大会のレギュレーションが得失点差やフェアプレーポイントによって決まるということであれば、そういった要素による決勝トーナメント進出の可能性を確保する行為もまたフットボール競技の一部であるという意見もあると思います。

日本代表対ポーランドのゲームの肯定的な側面があるとすれば、「恥を偲ぶ」という行為の意味について深い示唆を与えてくれたことである、とでも言えばいいのでしょうか?

競技規則"Laws of the Game"の精神

普段審判員が利用している競技規則の2017-2018には「将来に向けて」という項において、2017-2022戦略の一環として、競技の公平・構成と高潔性が強化されることが謳われ、協議の対象として「時間浪費への対抗措置」「より長いプレーイングタイムの確保」が言及されています。(JFA版は14頁)

今回の事案はピッチ内でのボール回しのためプレーイングタイムではありますが、実質的には「時間浪費」に類すると言えるので、議論の対象になるのではないでしょうか。

たとえば自陣内でのプレー時間に制限がかかるとか(草サッカーレベルでは不適切だとは思いますが)、他のスポーツ競技からの拝借も考えられるかもしれません。

競技規則のレベルでは無理であるならば、大会レギュレーションとしてフェアプレーポイントがあるのですから、あらゆる「時間稼ぎ」行為に対してはフェアプレーポイントの減点措置を取るということも検討されていくのではないでしょうか。

FIFAのサッカー普及活動:子ども向け「フェアプレー」

FIFAの子供向けのフェアプレーの説明文が表示されているWEBでは以下のように書かれています。(魚拓:http://archive.is/0v7Kh

Winningはあらゆるゲームの目標です。決して負けるようプレーしてはいけません。もし負けることになったとしても公平にプレーしなさい。そうすればあなたは尊敬を勝ち取ります。勝者を称えましょう、そして、次のゲームでの勝利に挑戦しましょう。

Play to lose=負けるようにプレーとはどういうことでしょうか。積極的に負けるようにプレーすることだけにとどまらず、勝つためのプレーをせず、負けている状況を維持することも含まれるように思います。

なお、引き分けの状況を維持することも含むでしょうか?

なでしこジャパンがワールドカップ予選のオーストラリア戦で引き分けの状況を維持するボール回しをしたときも激しく非難されました。これに対してFIFAは何ら罰を下していませんが、問題であることは間違いありません。

西野監督の記者会見

西野監督の発言は文字起こしをすると意味不明な日本語になるので、要約は以下

  1. チャンスがあれば、という判断をしていた段階があった
  2. しかし、万が一0-2になってしまう可能性を考えた
  3. 最終的に自分が送ったメッセージは「このままでいい」負ける情況をキープした。
  4. 選手は私のメッセ―ジを忠実に守っていた
  5. プランに無かった中で状況が求めていたのが「他力」
  6. 長谷部投入時点でメッセージを伝えた

「負ける情況をキープ」、「他力」と明言しているのがバカ正直と言うかなんというか。試合中もシュートに持っていくプレーが途中になかったのが悔やまれます。

JFA=日本サッカー協会の行動規範

JFAサッカー行動規範(魚拓:http://archive.is/1tPTx)では以下の記述があります。

最善の努力
どんな状況でも、勝利のため、またひとつのゴールのために、最後まで全力を尽してプレーする。

「一つのゴールのために」と言う文言があることから、今回の日本代表の行為、西野監督の方針は、明確にJFAの行動規範に反する行為です。

これは解釈の余地がありません。

Winnig=勝利とは何か

本来、西野監督もそのように発言し、日本代表も全ての時間をボールキープに使うのではなく、攻める姿勢も見せて欲しかったと思います。

たとえばこの試合が勝ち点6同士の試合であり、もう一方の試合で勝ち点3のチームが居た場合、両チームが引き分けを狙ってプレーしていたら、談合となり問題でしょう。

そのような行為を規制する意味でも、勝利に向かってプレーするということは、単一の試合において求められる規範と考えるのが妥当でしょう。

日本代表対ポーランドは無気力試合か?

バドミントンで支那や韓国の選手が無気力試合であるとして失格処分になったことも記憶に新しいと思います。これはルールでは規定されていない処置でしたが、失格処分となりました。

無気力試合とはどういうものでしょうか?

バドミントンの例で言えば、試合開始当初からわざとミスを連発するなど、試合を通して勝つ気のない行為があったということになります。

日本代表対ポーランド戦の場合、少なくとも長谷部投入の82分までは点を取りに行く方針だったのであり、実際にポゼッションし始めたのは84分以降です。これが無気力試合と表現してよいものか。言葉の意味からして疑問です。

無気力試合という表現はあたらないでしょう。

ただ、サッカー日本代表の行為がどのようにFIFAに判断されるのか分かりませんが、罰則が科されるまではいかないにしても、やはり今後の議論の対象となる行為であったことは間違いありません。

シセ監督のフェアプレーポイントへのコメント

シセ監督の以下のコメントがあります。

「我々はフェアプレーポイントの差で突破できなかった。わずかな差で、セネガルは突破できなかった。
なぜかといえば、我々はそれに値しなかったからだ。
それはルールの一つであるのだからね。我々はそれをリスペクトしなければならない。
もちろん、我々は違った形で大会を去ることを望んでいたよ。悲しいことだが、皆これがレギュレーションだとわかっていたんだ。

レギュレーションに沿った行為だから良いなどと言うつもりはありませんが、レギュレーションはレギュレーションであるというのもまた事実です。

シセ監督の振る舞いはまさしくフェアープレイを体現していると言えるでしょう。 

まとめ

  1. 日本代表の行為はFIFA行動規範に反している可能性が極めて高い
  2. FIFA子供向けフェアプレーの解説にも反している可能性が極めて高い
  3. JFAの行動規範には明確に反している
  4. 日本代表対ポーランドは無気力試合と言うことはできない

日本代表には、決勝トーナメントで是非ともサッカーの魅力を表現するプレーを期待したいと思います。

追記:私は規範に反してても勝てば結果オーライだとは思いません。しかし、同時に「勝ち上がる」という大切な結果を求めなければなりません。それが厳然たる事実です。西野監督の決断は正しいとか間違ってるとかの次元を遥かに超えた大博打であって、「規範に反してるから応援しない」とか、「正統性がない」などとは思いません。

この記事も樋渡さんとのツイッター上のやりとりを通じて、「フェアプレー」を取り巻くルールにはどういうものがあるのか、それに照らした場合にどうなりそうなのかをこの事案を契機に学ぶことは良いことだと思い、書きました。そこに日本代表を貶める意図はありません。

多くの方がそうであるように、私も批判はするときもありますが、同時に、どんなときでも応援しています。

ベルギー戦もがんばれ!日本代表!

以上

【NHKデマ】「受信契約は民法552条で死亡で当然解約」というデマとデマ拡散の作為性について

NHK受信契約は民法552条で解約というデマ拡散

私がこの記事の中で「NHK受信契約は民法552条で死亡で当然解約」というのがなぜデマなのかを説明しました。6月26日までに数万人に読まれ、ツイッターでも記事が拡散されました。

しかし、そのような事があったにもかかわらず、その後も以下のようなツイートが後を絶ちません。リツイートの数が異常です。

魚拓:http://archive.is/a2yVh

そして、恐ろしい出来事も私の身に対して起こりました。

このデマに関する事象について紹介していきます。

「民法552条で解約」は2007年から存在するデマ

魚拓:http://archive.is/93cgd

ここの最下部に2007年のyahoo知恵袋のベストアンサーが552条デマを発しているとしています。これが最古のものかはわかりませんが、少なくともこれ以降、デマが拡散されていきます。

魚拓:http://archive.is/X2G1M

コメント欄には突っ込みもありますが、知恵袋でベストアンサー以外を見る人は極々一部なので、気づく人はほとんどいないでしょう。

私Nathan(ねーさん)に対する嫌がらせ

最初のツイッターアカウントとは関係ありませんが、私の記事の内容を歪めてツイートするアカウントが多数存在していました。
※私のハンドルネームはこの時「@ロシアワールドカップ」を末尾につけています。

NHK受信契約についてのツイートの文を一部切り取ってシェア

魚拓:http://archive.is/hiZuA#selection-3439.0-3515.1

スペースを含めても116文字しかないので、この文の切り方は意図的です。

これは私のツイートをシェアしたものでしたが、元の文章は『「民法552条の定期贈与だから死亡で当然解約される」というデマを信じて何もしないと、最大5年分の受信料債権と延滞利息を支払うことになります』というものでした。

このような切り取り方をされるのは困るので、ツイートを削除しました。

削除前のツイートの魚拓:http://archive.is/50zvV

このアカウントはプロフィールではてなブックマークをツイートするとありますから、はてなブックマークからシェアした場合にどうなるかを確認しました。はてなブックマークのページにあるシェアボタンの画面を開くと以下のようになります。はてぶページの魚拓:http://archive.is/RN8SR

f:id:Nathannate:20180628223055j:plain

このように、全文がシェアされます。

にもかかわらず、上記ツイートでは文章を途中まで引用し、しかも丁寧に末尾を「”」で囲っているので、シェアをする際の自動表示というわけではないと言えるでしょう。

しかも、はてぶページに表示されている私のツイートも、途中で文が切れており、一見すると誤認する者が出てくるようになっていました。これは私に編集権限がありましたので、現在は表示を修正しています。

魚拓:はてなブックマーク - Nathan(ねーさん)@ロシアワールドカップさんのツイート: "NHKが死者の分も受信料請求:死亡後に相続人は解約手続をするべきか ネット上の「民法552条で当然解約」というデマに

同様のツイートをしているアカウントは以下です。

魚拓:http://archive.is/B1JUP

ブログのシェア時にブログ内容を誤認させる文章を記載してツイート

また、私のブログ記事を直接シェアした者もおり、ブログの内容を誤認させるツイートを意図的に行っています。

f:id:Nathannate:20180628223401j:plain

 

魚拓:http://archive.is/EpM0z

現在、元のツイートは削除されています。また、このアカウントから謝罪ツイートがなされ、誤認のないようにした訂正ツイートも出しています。

しかし、このようなシェアの仕方は明らかに意図的です。このブログのページからSNSシェアボタンを通じてシェアする場合には絶対にこの表記のような文章にはなり得ません。シェアする本人が文章を組み替えなければこのような表現にはなり得ません。

「NHK受信契約は民法552条で死亡で当然解約」というデマ拡散の作為性

NHK受信料が民法552条で死亡解約はデマ

以上みてきた通り、このデマはどうも、意図的に拡散されているようです。

しかも、相当数の者がツッコみを入れているにもかかわらず、その意見が存在しないかのように振る舞うアカウントも多数存在します。

ここで、このデマが拡散されることによる影響を考えてみます。

被相続人が死亡してもNHK受信契約を解約しないと、(争いはありますが)受信契約が継続していることになり、解約するまでの間は受信料債権が発生します。そして相続人は本来すぐに解約すれば払う必要のなかったNHK受信料を支払わなければならないということになります。

これはNHKを利する行為であることがわかります。
(もちろんそうはならないと言って争う余地はあります)

そもそも、電気、水道、ガスなどの公共料金も、被相続人死亡の後にすぐに解約しなければ、口座引き落としなら引き落としされ続けますし、そうでなく相続人がわかっているなら相続人に督促状が行きます。これは社会常識でしょう。

なぜNHKの場合には「絶対に」そうはならないと思わせているのか不思議です。

これを「死者にも請求するなんて酷い。〇〇〇はクソだ」と言う人が居ますが、契約当事者としては、相手が死亡しているかどうかなんて連絡をもらわない限りわかりません。当然、従来の通り請求をするのが当たり前です。

今回の場合に問題なのは、VHFというアナログ電波しか受信できない設備しかないのに、アナログ電波が停止した後の分も請求してきたと言うことです。もっとも、これも元々契約をしていた者がテレビを見れなくなったことを伝えなければ、NHKは相手がアナログ電波用のアンテナしか持っていないことは知る由もないですから、連絡するべきだったという事案です。その上で、死亡日時の証明を出しても死亡時点で支払いが止まるのではなく通知時点までの分が請求されることを問題視するべきなのです。

相続人であれば正当な手続きを踏むべき(回避方法を煽動することはしません)ですし、相続人でないならそもそも支払義務はないし、解約の手続もする必要ないです。相続人ではない者からの解約手続きをNHKが受け付けるとは思えませんし、もし仮にNHKから相続人ではない者に督促状が届けば、自分は相続人ではないことを伝えれば良い話です。

繰り返しますが、なぜ552条がデマなのかは、この記事で完全に論じています。

以上

【余命大量不当懲戒請求】弁護士に対する共同不法行為が成立するのか?

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余命大量不当懲戒請求事案の大きな論点に「共同不法行為は成立するのか?」というものがあります。

本稿ではこの点に絞って検討していきますが、細かい説明は省いていきます。

共同不法行為とは何か?

民法

第七百十九条 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
2 行為者を教唆した者及び幇ほう助した者は、共同行為者とみなして、前項の規定を適用する。

共同不法行為とは民法719条に定められているものです。

この領域はそもそも「共同不法行為とは何か?」というレベルで見解が定まっておらず、学者も各者各様の論じ方をしています。

典型的な想定例とされているのは、集団暴行で各人が別々の部位を負傷させた場合、傷害結果全体について加害者の全員が賠償責任を負うというもの(719条1項前段)、工場排水による河川の汚染において、一つの企業が輩出した汚水だけでは問題となる基準を超えるの汚染は引き起こされないが(誰による損害かが不明)、流域の企業全体が排出した汚水によって基準を超える汚染が引き起こされて被害が生じたような場合です(719条1項後段)。

共同不法行為のリーディングケースと呼ばれているのは最高裁判所第3小法廷昭和39年(オ)第902号 損害賠償請求事件 昭和43年4月23日の「山王川事件判決」です。しかし、この事件がリーディングケースであるとする位置づけに疑問を呈する見解も存在します。原審の認定によれば、被告(1社)の排水がなければ損害は生じなかったとされており、一般の不法行為(709条)でも処理する事もできたからです。

共同不法行為の事例はどれか?

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民法Ⅱ債権各論[第三版]内田貴533頁の図をもとに作成

問題状況を講学上の観点から類型化して共同不法行為なるものの中身を明らかにしていこうとする見解があります。

1番目は集団暴行の事例。2番目は河川の汚染の典型事例があてはまります。

3番目は独立の不法行為がたまたま同じ人に対して発生したに過ぎないような場合です。例えばAグループは公園でサッカーをしていたところ民家の1階の窓ガラスをサッカーボールで割り、Bグループは隣の空き地でサッカーをしていたところ同じ民家の2階の窓ガラスを割ってしまったような場合です。また、同時に同じガラスを割った場合もこれに含まれるとされます。

4番目は集団暴行で死亡者が出たが、誰の行為が死の結果に寄与したのかが不明の場合などです。

これらの内、共同不法行為の事例と想定されているのは1,2,4番の話です。3番目は共同不法行為とは想定されていないのが通説のようです。なぜなら、この場合は709条で各人に責任を負わせれば足りるのであり、わざわざ719条を規定した意味がなくなる上、各行為者の行為も客観的に関連共同していない(それぞれの損害とは無関係の別々の行為が行われているだけ)からです。

共同不法行為の効果

共同不法行為が認められると、加害者たちは賠償すべき損害全体について連帯して賠償する義務を負います。ここでの連帯は不真正連帯債務であると解されています。この不真正連帯債務の詳細は書きませんが、たとえば1人の加害者に対する免除の効力が他の加害者に及ばないという効果があるとする判例があります。

「余命3年時事日記」事例の行為について

余命大量不当懲戒請求東京弁護士会宛て

余命ブログからの懲戒請求の事案は、「殺到型不法行為」と呼ばれることがあります。今回の事案は、以下のような特徴があると言われています。

  1. 懲戒請求書のテンプレートを余命ブログ上で用意していた
  2. 余命ブログの名を冠した書籍にもテンプレートを附属させていた
  3. テンプレートは特定の弁護士の懲戒請求の目的と読める記述があった
  4. 大量の懲戒請求書は一度、余命氏の所在に送られた上でまとめて弁護士会に送付された
  5. 余命氏本人は懲戒請求をしていない

もちろん、これに当てはまらない懲戒請求もあったと思われますが、大枠としてはこのような理解でいいでしょう。この図だけを見ると、先に掲げた図の1番目の「加害行為一体型」或いは2番目の「損害一体型」の共同不法行為として捉えるべきということになりそうです。

しかし、懲戒請求の具体的文面を考えて記述したのは各請求者個人であると言えるとすれば(コピペがあったという事情はひとまず無視します)、懲戒請求の一つ一つは独立していると考えられます。そうすると、前掲図の3番目「独立不法行為競合型」と考えられ、共同不法行為の事例ではないという判断がなされる可能性もあります。

さらに言えば、被害弁護士が主張する内容によっては、「大量の」懲戒請求のうちの一つであるという事実が伏せられ、単に一つの懲戒請求による被害を訴えるものとされる可能性もあります。

共同不法行為成立の抗弁? 

こちらのエントリで、共同不法行為の構成を取る場合には請求認容額が少なくなること、共同不法行為の構成を取らない場合には請求認容額が弁護士の損害以上の過大なものになることをしてきしました。

そのため、弁護士側が共同不法行為の構成を取る「旨味」はないことになります。

同じ分析をしている以下のブログでは、次のように述べます。

魚拓:http://archive.is/02j5U

むしろ,​懲戒請求者側が「損害全体を一個の被害と捉えるべきで,既に他の人たちから和解金をもらっていて被害は全て回復されているからもう請求権なんか存在しない」​と主張する方が「まだあり得る」かもしれません。

どういうことかと言うと、弁護士から訴訟を起こされる懲戒請求者の側から、共同不法行為をいわば「抗弁」のように主張して、自らが支払うべき賠償額を減らそうとする主張をするのではないかということです。

このような主張をすることは自由ですが、弁護士側が共同不法行為を主張していない場合、裁判所が共同不法行為を認定することはできるのでしょうか?

仮に、弁護士が「大量の懲戒請求」の事実を前提に主張を組み立てており、しかし、共同不法行為の法的構成を取らないという場合、共同不法行為か否かは法的な判断のため弁論主義とは関係ないから、裁判所は共同不法行為の認定をすることに障害はないと思うのですが、どうなんでしょうか。

ここは多くの弁護士もどうなるかわからないと予想しています。

弁護士の提訴負担と訴訟の方針

このように、訴訟提起するにしても弁護士側の負担も相当なようです。

そのため、960人を一気に提訴するのではなく、数十人を選んで訴訟をし、その結果を待ってから和解に応じていない全員に訴訟提起する方針のようです。

高島弁護士の見立てでは、数十人単位で主観的併合の訴状を出すのではないかと考えられています。

まとめ

余命ブログの記述を発端にした大量懲戒請求事案の中で、記者会見動画をUPした佐々木・北弁護士の訴訟提起は6月末を予定しています。

そこで正確な主張がわかると思いますし、訴訟の進行によって新たな問題が出てくるかもしれません。裁判所の訴訟指揮によって当事者の主張も変化する可能性もあります。

殺到型不法行為の事案の公平な解決はどのようにするべきか、裁判所がどのように事件を扱うのかを追ってみるのは勉強になると思います。

以上

RADWIMPSのHINOMARUに対する抗議デモ者が道交法違反で逮捕:喜久山弁護士の主張の是非

RADWIMPS-HINOMARU抗議デモ道交法違反

RADWIMPSの歌曲「HINOMARU」の歌詞に対して、「ヘイトである」「HINOMARUを廃盤にしろ」という主張をしていたグループの男が違法停車の道交法違反で逮捕されました。

被逮捕者の弁護人である喜久山大貴氏が以下のように神戸警察の行為はおかしいと反論しています。

 魚拓:http://archive.is/Saest

ここではこの主張の当否を予想したいと思います。

喜久山弁護士の主張の概要

  1. 被逮捕者の行為は道路交通法違反ではない
  2. よって、道交法違反行為を前提とする免許証提示義務は不発生
  3. 免許証提示義務がないのだから免許証不提示による逮捕も理由がない
  4. また、逮捕にあたっての警察の手続もおかしい
  5. したがって、神戸警察の逮捕は不当かつ違法である

喜久山弁護士の主張を大雑把にまとめるとこんな感じです。

1番目の道路交通法違反があったかどうか?という点がこの事案のキーポイントです。

ここが崩れると、喜久山弁護士の立論は成立しなくなります。

道路交通法違反による逮捕に対する反論

ツイートの画像にある2ページ目の「4:道交法違反の不成立」以下の主張は大きく2つに分けられます。

  1. そもそも事件当時は当該場所は法的には「交差点」にあたらず、停車禁止ではない。
  2. 車の周囲に警察官が居たことから車を発進できなかったのであり、警察官と押し問答していたこと等で時間経過したのであって、7分の停車を理由とする逮捕は不当である

さて、事件当時、道路の状況はどうなっていたでしょうか?

RADWIMPS会場前の道路は「交差点」にあたるか?

HINOMARU抗議デモ喜久山弁護士

道路交通法

2条 -省略ー

五 交差点 十字路、丁字路その他二以上の道路が交わる場合における当該二以上の道路(歩道と車道の区別のある道路においては、車道)の交わる部分をいう。

第四十四条 車両は、道路標識等により停車及び駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。ただし、乗合自動車又はトロリーバスが、その属する運行系統に係る停留所又は停留場において、乗客の乗降のため停車するとき、又は運行時間を調整するため駐車するときは、この限りでない。
一 交差点、横断歩道、自転車横断帯、踏切、軌道敷内、坂の頂上付近、勾こう配の急な坂又はトンネル
二 交差点の側端又は道路のまがりかどから五メートル以内の部分

現地はT字路(丁字路)でした。

よって、普段は法的に交差点です。マップで確認できます。

喜久山弁護士は『普段はT字路であっても、交通規制で歩行者用道路になっている部分は車が通行できないのだから、その間はT字路ではなく「直進道路」と解すべき』と主張しています。

そのため、当該道路は当時は道交法上で停車禁止が求められる「交差点」ではなく、「道路のまがりかど」にも該当しないため、被逮捕者には道交法違反の事実はないという主張です。

さて、これはどう考えるべきでしょうか?

この点は正しい答え・解釈というものを見つけることができなかったので、一般的な妥当性の観点から私の考えを披歴することになります。

RADWIMPSのライブ会場に緊急車両が入る可能性

HINOMARU抗議デモ喜久山弁護士

道路交通法

第四十条 交差点又はその附近において、緊急自動車が接近してきたときは、路面電車は交差点を避けて、車両(緊急自動車を除く。以下この条において同じ。)は交差点を避け、かつ、道路の左側(一方通行となつている道路においてその左側に寄ることが緊急自動車の通行を妨げることとなる場合にあつては、道路の右側。次項において同じ。)に寄つて一時停止しなければならない。
2 前項以外の場所において、緊急自動車が接近してきたときは、車両は、道路の左側に寄つて、これに進路を譲らなければならない。

法的に「交差点」ではないというのであれば、緊急車両が来てもその場所からどく必要は無いということになります。

これは著しくおかしいですよね。裁判所がそんな解釈をするのでしょうか?

緊急車両だけでなく、ライブのために規制がかかっている歩行者用道路内に入る車は、他にも機材搬入車両や要人を乗せた車など、複数の可能性が考えられます。まったく歩行者用道路を通行しないということは考えられません。

規制がかかっている時間帯のみ「交差点」ではないと解釈すると、このように不都合が出てきます。

そもそも喜久山弁護士は、なぜ規制がかかると「交差点」ではなくなるのかという解釈を(ツイッター上では)行っていません。それはこれから行うのでしょうが、現時点での私の感想は以上の通りです。

被疑者の弁護人としての職務

喜久山弁護士の見解の当否はともかく、弁護士は被疑者の正当性を示すためならあり得る最大限の主張をするものです。確かに、道路交通法2条の「交差点」が規制中はその法的性質が変化するといえるかどうかは裁判例がなさそうなので、主張してみる価値は十分あるでしょう。

刑事弁護はスピードが命と言われますから、多少の詰めが荒くなっても主張を組み立てて正当化しなければならない場面は相当あると思われます。

そういった弁護人としての職務がある一方で彼を批判する者も居ますが、近時、大量の不当懲戒請求があったことを踏まえると、冷静になって頂きたいと思います。

「HINOMARUヘイト」事件の経過

 

身柄拘束は解かれたようです。

ただ、今後の在宅起訴の可能性はゼロではないということですね。

起訴されれば「交差点」の解釈を問題にするのでしょうが、起訴されなくても、それは「交差点」の解釈が正しいということにはならないので、注意です。

HINOMARU(日の丸)に対する「差別」の論評

ところで、喜久山弁護士のツイートでHINOMARUに対するスタンスが垣間見えるものがあったので参考にしていきます。

魚拓:http://archive.is/mTPMJ

魚拓:http://archive.is/8izC1

 魚拓:http://archive.is/5VtXn

 魚拓:http://archive.is/A3S4s 

魚拓:http://archive.is/mHNi5

被逮捕者のツイートキャスティングの動画では、「朝鮮学校の無償化反対に抗議する」とありました。RADWIMPS関係ないですよね。

喜久山大貴弁護士

喜久山大貴弁護士

喜久山大貴弁護士

弁護士にも表現の自由が保障されています。 

同時に、私たちにも表現の自由をはじめとする様々な権利が保障されています。

その権利を行使するかどうかは個人の自己判断であり、そこには責任が伴います。

弁護士としての言動に留まる限りにおいて、そこにおける表現であれば、それは尊重されなければならないと思うのです。

さて、ここに挙げた「表現」は弁護士としての行為として尊重されなければならないでしょうか?私は決してそうは思いません。

以上

NHK受信料:イラネッチケーの購入と設置の際の3つの注意点

「イラネッチケーという商品をテレビに取り付ければそれだけでNHK受信料は払わなくてよい」

このように思う方もいらっしゃいますが、この理解は危険です。

イラネッチケーについては、正確な理解をして処置を施さないとNHKに請求される可能性があります。

また、どうしても弊害の影響が出る可能性があるため、それを認識した上で購入するべきであるという点もここで整理していきます。

NHKから死後の請求が来た場合の対処法は以下を参照

受信契約をしていない人がNHKから訴訟提起された場合の理解は以下を参照。

イラネッチケーの購入方法

2018年6月現在タイガ商事がAmazonネット通販でのみ販売しています。

製品名称:iranehk 関東広域圏向け地上波カットフィルタ― (UHF26,27ch用) IRANEHK-AK27AB26N

製品ページの商品の説明欄に注意書きが書いてあるので、確認するといいでしょう。

また、iranehk 生駒山送信所向け地上波カットフィルタ―(大阪UHF13,24ch用) IRANEHK-BK24BB13NNも販売しています。

1:イラネッチケーが有効な地域

製品名に「関東広域圏向け」 「関西地域」とあることから、一部の地域でしか使えないということがわかります。

これは関東であれば東京スカイツリーのテレビ電波が届く地域、関西は生駒山の電波が届く地域でのみ有効ということであり、関東・関西であっても使えない地域はあります。

2:イラネッチケーで他の放送が見れなくなる可能性

製品の注意書きにもありますが、他の放送電波の受信に影響を与える場合があるようです。この場合の対処方法も増幅器を使うものなどいくらかあるようですが、具体的な対処方法についてはタイガ商事が個別に相談を受け付けています。

返品も受け付けていますが、製品の初期不良を原因とする場合のみ、商品到着から3日以内に連絡するようにと書いてあります

3:イラネッチケー設置で「受信機廃止等」になる?

NHK解約の条件は「受信機の廃止をすること等」です。

結論から言えば、イラネッチケーを完全強固に固定すれば「受信機の廃止をすること等」にあたるという見解が正当だと言える状況になっています。

しかし、100%言い切ることはできません。その点について確認していきます。

事実の問題

放送受信規約では「受信機の設置」をしている場合に契約しなければなりません。

解約は「受信機を廃止すること等」に行えます。イラネッチケーを取り付けてもたとえばイラネッチケー機器の不良でNHKが見れてしまう場合には事実として受信機の廃止「等」にならないと言えます。

この場合は理論上、受信料を払わなければならないでしょう。

法的な評価の問題:立花孝志氏の裁判での東京地裁の判断

法的に受信機廃止「等」と認定されない可能性もあります。

『イラネッチケーを取り付けて現実に視聴できなくても、受信機=テレビが存在するのは確かなのだから、「受信設備の設置」は未だ継続していることになる』

このような判断をしたのが東京地方裁判所 平成27年(ワ)第26582号 受信料等請求反訴事件 平成28年7 月20日です。

 放送法及び本件規約が受信設備の「設置」という外形的事実を基準として,これに当てはまる者に放送受信契約の締結を義務付け,その者が原告の放送を実際に視聴するか否かにかかわらず,等しく受信料の支払義務を負担させるものとしていることに照らすと,本件規約9条が定める同契約の解約の要件に当たるか否かについても,同様の外形的事実を基準として判断すべきものと解するのが相当である。

 被告は,本件工事を行ったことにより,本件受信機で原告の放送を受信することはできない状態にあると主張するが,被告の主張によっても,被告の自宅に原告の行う地上系によるテレビジョン放送を受信する機能を有するデジタル放送対応テレビが設置されているという外形的事実に変わりはなく,被告が本件工事の施工を依頼した者に復元工事を依頼するなどして本件フィルターを取り外せば,本件受信機で原告の放送を視聴することができるのであるから,本件フィルターが取り付けられたことにより原告の放送のデジタル信号が遮断されて現に原告の放送を視聴することができない状態にあるとしても,これをもって,被告が「受信機を廃止すること等により,放送受信契約を要しないこととなった」ということはできない。
 したがって,本件解約届の提出によって本件契約が解約されることはなく,被告は平成28年3月分の受信料の支払義務を免れない。

これはあの「NHKから国民を守る党」の立花孝志さんが債務不存在確認訴訟を起こした事例です。東京地裁は「受信機の設置」の有無という外形的事実を基準に契約義務の発生或いは解約の成立を判断するとしています。

本件ではイラネッチケーを付けていても受信機の設置という外形的事実は変わらず、立花さんが取り付けたイラネッチケー(本件フィルター)は取り外し可能だから放送を視聴できる可能性も変わりがないとして、立花さんに受信料の支払い義務があるとしました。

イラネッチケー設置方法:取り外し容易でなければ「視聴可能性無し」?

この判決を受けて、立花さんは次のように考えました

だったら取り外せなくすればいいんじゃね?

そして、平成28年8月29日に再度、債務不存在確認訴訟を東京簡易裁判所に提起しました。訴状の中で次のように処置を施したと書いています。

原告が、平成28年8月27日に原告現住所に設置した「テレビ2」は、被告の放送だけを遮断する機能を有したカットフィルタ(以下「イラネッチケー」と言う。)が、アンナナ入力端子から取り外し出来ないように、強力な接着剤と、一度締め付けたら緩めることが出来ないボルトで取り付けられています。この取り付け方法は、もしイラネッチケーをアンテナ入力端子から取り外そうとした場合、「テレビ2」の入力端子がつぶれてしまい、「テレビ2」は、被告の放送も民放の放送も受信出来なくなる(部品取り替え修理をしないとすべての放送の受信が出来ない程度の故障になる)ように取り付けられています。

魚拓:http://archive.is/dd3yA

「取り外しが容易か否か」 という基準は、いろんな法律の解釈の場面で登場します。

結局この訴訟は平成29年1月19日に債務は不存在であるという判決になったのですが、判示は以下のようになっています。

NHKは裁判で債務が存在しないことを争わないと主張していることをもって、原告(立花)の法律上の地位の危険や不安が終局的に除去され、裁判所が容認判決をせずに訴訟を終了させても、将来に禍根を残すことがないとまでは言えない。よって、原告(立花)の本件訴えは適法である。

どういうことか。

まず、この裁判の中でNHKは立花氏に債務は存在しないことは認めていました。しかし、そもそも裁判をするようなことではないため、訴えは訴訟要件を充たさず却下(門前払い)されるべきだ、と主張していたのです。

上記の判示も、立花氏の訴訟が訴訟要件を充たしているかどうかについての判断をしているだけであり、取り外そうとすると受信機が壊れるようにイラネッチケーを取り付けたことが「受信機の廃止をすること等」にあたるかどうかは判断していません

したがって、この判決を理由として「イラネッチケーを固定すれば大丈夫」と断言することは避けたいと思いますが、これはNHKの戦略だったのだろうと思います。

NHKとしては「そこを争点にすれば受信機の廃止をすること等にあたると認定されてしまう」という認識だったのでしょうから、このNHKの訴訟を通した態度をもって、「イラネッチケーを固定すれば大丈夫」と予測するのは十分あり得るものだと思います。

裁判の経過をまとめているブログがあるのでそちらで概要を知るといいでしょう。 

東京高裁の訴訟事例における受信契約の解釈

イラネッチケー裁判とNHK受信料

では、なぜNHKはイラネッチケーを完全強固に固定されれば「受信機の廃止をすること等」にあたると考えたのか?ヒントは過去の東京高裁の別の事案の判示にあると思います。「被上告人」がNHKです。

東京高等裁判所 平成23年(ツ)第221号 放送受信料請求上告事件 平成24年2月29日

(2) 被上告人はー中略ー放送受信契約が受信機設置の時から成立し、受信料債権も受信機設置の時から発生するから、受信料債権は受信機設置の事実に起因するものであり、基本権である定期金債権が存在せずー中略ー主張するが、いずれも理由がない。すなわち、ー中略ー受信料とは文字どおり受信(視聴可能性)の対価であり、受信と受信料に対価性があることは明白である。

東京高裁は受信料は「視聴可能性の対価」と言っています。

「電波を受信したこと」 でもなく「現実の視聴」でもなく「視聴可能性」です。

つまり、テレビを持っていてもなんらかの装置が壊れてNHKの映像が見れない(音声も聞けない)という場合には「電波は受信していると言い得るけれども視聴可能性が無い」のと同様に、イラネッチケーを完全強固に固定してしまえば仮に電波は受信していると言えても視聴可能性が無いと言ってしまっていいと思われます。

まとめ

  1. イラネッチケーが有効な地域で
  2. イラネッチケーが適切に機能しているとして
  3. イラネッチケーが完全強固に固定されている場合には
  4. NHKの放送の視聴可能性がないと判断される可能性が極めて高い

「イラネッチケーを完全強固に固定すれば受信料を支払わなくていいと裁判で判決が出た」というのは事実として違いますが、「NHKの態度からはイラネッチケーを完全強固に固定すれば受信料を支払わなくていいと推測される」というのは正当な認識です。

イラネッチケーは生産量を抑えているようなので、一時的に品切れになる場合があると思いますし、大量発注ができるかはタイガ商事に相談すれば良いと思います。

NHKの放送を受信しないテレビの販売可能性

魚拓:http://archive.is/LA6yD

ソニーの株主総会で株主からNHKだけが映らないテレビ、NHKだけが録画できないブルーレイ、NHKだけが接続できないプロバイダも検討して欲しいという要望が出されました。

現状は多くのテレビ製品がBCASカード付属のものがあり、テレビ購入=受信機設置=NHKとの契約義務発生根拠となっています。

この状況が改善されればイラネッチケーは不要になるかもしれませんが、業界が簡単に動くとは思えませんし、NHKもテレビの生産に関与しているので一筋縄ではいかないでしょう。

※追記:2020年6月26日、ここで予想したことが現実となり、NHK敗訴となりました。

以上