事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

北朝鮮韓国支那中国の記事は消されやすいのか?ドンキホーテで万引き目的で来日した韓国人が大量窃盗

指定されたページを表示できませんでした。指定されたURLは存在しませんでした。

魚拓:http://archive.is/liYV3

8月11日に報道された万引き目的で来日した韓国人による窃盗事件。もしかしたらテロ等準備罪が初めて適用される事件になるかもしれません。

それにしても、北朝鮮韓国支那中国に関する犯罪事件は消されやすいのでしょうか?検証してみます。

ドンキホーテで万引き目的で来日した韓国人が医薬品を大量万引き

8月11日の13時台にUPされたニュース記事。

紙媒体の朝刊には載っていたのでしょうか?

記事を要約すると

  1. 犯人は韓国籍
  2. 万引き目的で来日した
  3. 日本や母国で転売しようと思っていた
  4. ドンキホーテ道頓堀店で52点の計約12万円相当が被害に
  5. 同店では8月9日だけで150万円相当の被害に遭っている

これはおそろしい事件ですね。

150万円ということは、他にも犯行を行った者が居るということであり、これらの者の繋がりが当然懸念されます。そうすると、あのテロ等準備罪が初めて適用される事件になるかもしれません。

ライブドアニュース、yahooニュース、MBSでも当該記事が載せられています。

魚拓:https://web.archive.org/web/20180812105950/http://news.livedoor.com/article/detail/15145482/

魚拓:http://archive.is/mm3RZ

魚拓:https://web.archive.org/web/20180812113947/https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E3%83%BB%E9%81%93%E9%A0%93%E5%A0%80%E3%81%AE%E3%83%89%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%81%A7%E5%8C%BB%E8%96%AC%E5%93%81%E3%82%92%E5%A4%A7%E9%87%8F%E4%B8%87%E5%BC%95%E3%81%8D-%E5%AE%B9%E7%96%91%E3%81%AE%E9%9F%93%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%AB%E9%80%AE%E6%8D%95%E3%80%8C%E8%BB%A2%E5%A3%B2%E7%9B%AE%E7%9A%84%E3%81%A7%E7%9B%97%E3%82%93%E3%81%A0%E3%80%8D%E4%BE%9B%E8%BF%B0-%E5%A4%A7%E9%98%AA%E5%BA%9C%E8%AD%A6/ar-BBLMbff?ocid=st

記事URLが日本語ドメインなので、こんな風に変換されてしまいます。

テロ等準備罪の適用対象犯罪に窃盗罪は入っている

テロ等準備罪=組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律を見て確認しましょう。

第六条の二 次の各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ。)の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
一 別表第四に掲げる罪のうち、死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められているもの 五年以下の懲役又は禁錮
二 別表第四に掲げる罪のうち、長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められているもの 二年以下の懲役又は禁錮

第六条の二第一項第二号の別表第四を見ていきましょう。

別表第四(第六条の二関係)
一 別表第三に掲げる罪(次に掲げる罪を除く。)

除外対象には窃盗罪は入っていませんので、別表第三を見ていきましょう。

別表第三(第六条の二関係)
一 省略
二 省略
 ネ 刑法第二百三十五条から第二百三十六条まで(窃盗、不動産侵奪、強盗)

別表第三第二号のネに規定されています。

では窃盗罪の刑の長期はいくらか?刑法235条を見てみます。

(窃盗)
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

長期が「十年以下」なので、「四年以上十年以下」の要件に該当していますね。

したがって、本件はもしかするとテロ等準備罪が初めて適用される事件になるかもしれません。

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律が適用になるためには

窃盗罪が同法の対象になるとしても、組織的犯罪集団の要件をみたすかが問題です。

第六条の二 次の各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ。)の団体の活動として

「団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるもの」

仮にそれらしい組織的な犯行という事実があったとしても、この解釈問題となることが予想されます。

日本の司法は同法の適用に消極的と思われるので、果たして適用はあるのか…

既に消されている記事

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180811-00023885-mbsnewsv-l27

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6293101

2018年8月12日20時時点。この二つは消されています。

ツイッターで検索すれば、当該事件についての記事だと分かります。

残念ながら魚拓は見つかりませんでした。

なお、読売新聞オンラインでは、当該記事は見当たりませんでした。紙媒体の朝刊か夕刊、明日の記事には載っているのでしょうか?

他の新聞、報道はどうか

産経新聞は基本的に記事URLを消さない(記事の内容の修正はするが)方針なので、数年前の記事でもリンクが有効です。

しかし、他の媒体では記事はいずれ削除する方針であるところが多く、数日後であっても消されている場合が多々あります。

そこで、現時点で有効ではあるが今後はどうなるかについて検証するためにリンクを貼り付けていきます。私がツイッター上で発見できた媒体だけを上げています。地方媒体も含めるともっともっと多いでしょう。

朝日新聞の韓国人カップル医薬品大量窃盗事件の報道

魚拓:https://web.archive.org/web/20180812111103/https://www.asahi.com/articles/ASL8C3T3BL8CPTIL00D.html?iref=pc_ss_date

魚拓:http://archive.is/t3Iqu

朝日新聞はWayback Machineで魚拓を取るとサイトの表示が崩れるので2つ魚拓を取っています。

yahooニュースはこちら

魚拓:http://archive.is/chsXh

毎日新聞の韓国人カップル医薬品大量窃盗事件の報道

魚拓:https://web.archive.org/web/20180812110917/https://mainichi.jp/articles/20180811/k00/00e/040/299000c

MBSNEWSはこちら

魚拓:https://web.archive.org/web/20180812113410/https://www.mbs.jp/news/kansainews/20180811/GE000000000000023885.shtml

時事通信の韓国人カップル医薬品大量窃盗事件の報道

魚拓:https://web.archive.org/web/20180812110445/https://www.jiji.com/jc/p?id=20180811125310-0027917589

魚拓:https://web.archive.org/web/20180812110455/https://www.jiji.com/jc/article?k=2018081100335&g=soc

こちらの記事が12時37分と、全国的なメディアとしてはウェブ上での最速なのだろうと思います。

ちなみに時事通信はニュースサイトのyahooにも当該記事を載せています

魚拓:http://archive.is/f5rX0

Wayback Machineでは魚拓が採れなかったため、archive.isにしました。

読売テレビ

魚拓:http://archive.is/NxM6d

関西テレビ

魚拓:http://archive.is/v3RFR

神戸新聞NEXT

魚拓:http://archive.is/Z3Jex

他の内容の事件ではどうか?群馬のヘリ墜落事件

産経新聞は消えないのでいいとして

朝日新聞、毎日新聞、時事通信の自社サイトのみで検証していきます。

対象とした記事は、群馬のヘリ墜落事件です。

社会的関心が高い記事であること、事件という大きな属性で共通していることが理由です。

毎日新聞の群馬防災ヘリ墜落事件報道

魚拓:https://web.archive.org/web/20180812122652/https://mainichi.jp/articles/20180811/k00/00m/040/122000c

 

朝日新聞の群馬防災ヘリ墜落事件報道

魚拓:https://web.archive.org/web/20180812122701/https://www.asahi.com/articles/ASL8C55KVL8CUTIL00Z.html

魚拓:http://archive.is/iuNlI

魚拓:https://web.archive.org/web/20180812122913/https://www.asahi.com/articles/ASL8C1Q0LL8CUTIL003.html?iref=pc_extlink

魚拓:http://archive.is/rSKrX

時事通信の群馬防災ヘリ墜落事件報道

魚拓:https://web.archive.org/web/20180812123210/https://www.jiji.com/jc/article?k=2018081100250&g=soc

まとめ:北朝鮮韓国支那中国の記事は消されやすいのか?

サンプル数が少なすぎて、これだけでは判断できない、と言う人が居ると思いますが、そこまで暇じゃないので(興味がないので)これ以上のことはしません。

この記事は期間を開けてから見ると、消された記事が多くて味わい深いかもしれません。そのために魚拓です。 

以上

日刊ゲンダイフェイク:平野貞夫の「安倍総理を内乱罪で告発」が20万リツイートの嘘の論破を補強

平野貞夫フェイク

日刊ゲンダイが「平野貞夫のツイートが2日で20万件リツイート」とフェイクです。

日刊ゲンダイのフェイク記事:2018年8月12日

日刊ゲンダイ平野貞夫安倍告発内乱罪20万リツイートのフェイク

2018年8月12日の日刊ゲンダイ:http://archive.is/R8TrC

20万件を超えるリツイートがあったというから

伝聞調でゲンダイの責任を回避するかのような書きぶりですが、20万件もリツイートされる政治系のツイートはトランプ大統領くらいでないとありえないので、これは嘘だなとピンとくる人が大多数だと思います。

ツイッターのアクティブユーザー数4000万ってことを知ってるんでしょうか?

平野貞夫のツイートのリツイート数は約3000

日刊ゲンダイ平野貞夫安倍告発内乱罪20万リツイートのフェイク

魚拓:http://archive.is/moB6u

画像は8月12日の15時頃のものですが。日刊ゲンダイが記事にしてから時間が経っているとはいえ、3500リツイートです。

政治系のツイートとしては、結構多い数字で、バズったと言っていい数字です。

なぜこれを20万と盛る必要があったのか……

安倍総理を内乱罪で告発を引用リツイートしている数

魚拓:http://archive.is/NPLBd

引用リツイートの可能性もある!

「たしかに…」

などと思うわけも無く、ツイートに表示されるリツイート数を私は「単純リツイート」と呼んでいるんですが、単純リツイートよりも引用リツイートが多くなることはほぼ0です。リツイート数が多ければ多い程その可能性はなくなります。

引用リツイート数も含まれているとすれば、残りの19万7000ツイートはどうやって把握したんでしょうか?

ここで、引用リツイートを検索する方法があるので試してみました。

引用リツイートを検索する方法

【url:「ツイートのURLのうちの末尾の数字部分」】

これが引用リツイートを検索する方法です。

平野貞夫の当該ツイートは「url:1027375507224973314」これで検索できます。

なお、私の本アカウントである@Nathankirinohaは、安倍晋三氏が告発されると喜ぶ連中からブロックされている可能性が高いと思ったので、まったく政治的投稿をしていない別アカウントから検索しました。

結果、8月11日の23時59分までに引用リツイートされた数は約80でした。

なお、この方法でも「鍵アカ」は調べられません。

「鍵アカの引用リツイートが含まれている!」と主張したい人はどうぞ(笑)

ツイッターからフェイスブックの連携は、現在機能していない

それから致命的なことに、現在、ツイッター⇒フェイスブックの連携機能は働いていないんですよね(笑)

この記事で指摘していますが、8月3日以降、フェイスブック側の仕様変更によって、ツイッターの投稿がフェイスブックに自動送信されなくなっています。

ということで、ツイッターの投稿がフェイスブック等で拡散しているとしても、それはかなり限定されていると言えます。

そもそもゲンダイは「リツイート」って言葉を使用しているんですが、フェイスブックとかLINEで「リツイート」なんて言葉は使いませんから、専らツイッタランドの世界の話なんですが。

アクロバティック擁護しようとして無理な文章になっていますね。

まとめ:日刊ゲンダイの「20万リツイート」は完全フェイク

f:id:Nathannate:20180812152457j:plain

ちなみにこのアカウント、「肉球新党」と名乗っていました。これは政治的な集団です。ツイッタランドでちょくちょく見かけます。

LGBTのデモに肉球新党の幟を上げて参加していた連中ですから、安倍総理が告発される人間が多いとうれしいんでしょうね。

でも、アクロバティック過ぎる発言はあなたがたと同じ政治思想の人たちまで信憑性がなくなるので辞めた方がいいですよ。

なお、「インプレッション」であれば20万という数字は妥当かつ十分あり得る数字なので、ゲンダイが「インプレッションと間違えました」と訂正謝罪する可能性がありますが、上記のアクロバティック擁護は訂正のしようがありません。

以上

サマータイム反対/賛成論:NHKアンケート調査の質問文と経済効果試算

f:id:Nathannate:20180812113215j:plain

サマータイム実施について日本国内がざわついています。

サマータイム実施の問題点については各論者が説得力のある説明をしていますが、ここで一元化を図るとともに、元々の報道の理解と含めてまとめていきます。

サマータイム実施は導入方向と決まったわけではない

産経新聞2018年8月6日

五輪組織委員会の森喜朗会長は先月27日、首相官邸を訪れ、安倍晋三首相にサマータイムの導入を要請した。これを受け、政府・与党で検討したところ、国民生活に直結する案件だけに、政府提出法案ではなく、議員立法として超党派で成立を目指すべきだという方針に傾いたという。

森喜朗氏がサマータイム導入を要請したということ、政府与党は内閣提出法案ではなく、超党派で議論して議員立法のルートで行け、ということが分かります。

しかし、この報道は先走っていて、「政府としてサマータイム導入を目指すとの方針を決定したという事実はありません」「国民の日常生活に影響を生じ、大会までの期間が限られている」と2018年8月6日午前の菅官房長官の記者会見で菅義偉氏が明言しています。

安倍総理がサマータイム導入は国民の評価が高いと言ったか?

NHKは8月7日の昼のニュース番組と当日の記事でのみ『安倍総理が「サマータイムは国民の評価が高いと聞いている」と発言』と報じていますが、他の民放各社の報道では「国民の【関心】も高い」というものでした。

NHKが「評価が高い」と報じたのはこれのみで、それ以降は慎重な言い回しになっています。

NHKの報道には信憑性が欠けます。

したがって、サマータイムはネットでは大反対の嵐ですが、「安倍政権が推し進めようとしている、けしからん」といった批判はかなり論拠が危ないと思います。

議院内閣制を理解していないのか?

安倍総理はサマータイム法案をまずは超党派で議論するべきと言っています。

にもかかわらず、それを理解せずに「安倍総理」や「政権」「内閣」を非難している輩が多すぎて困ります。内閣=行政権の側と、内閣ではない国会議員=立法権の側という関係を理解してないですよね。

なお、「内閣としても検討するが」と言っているようですが、それは先行する自民党や各議員らでの議論の結果を受けての話なので、現時点で「内閣の側が推進しようとしている」という批判は的外れであると言うことは変わりありません。

NHKのアンケート調査の質問文

記事最下部ではサマータイム実施に賛成が51%、反対が12%、どちらともいえないが29%とあります。なんと賛成が多いということで、いったいどういう調査方法を行ったのかが気になりましたので調べました。

「2018年8月政治意識月例調査」調査結果】という資料を見てみます。

f:id:Nathannate:20180811152224j:plain

上図を見ると、『暑さ対策として』『夏に生活時間を早める「サマータイム」を導入すること』という言い方になっています。

「暑さ対策として夏に生活時間を早める」とだけ聞いて、欧米が実施しているところの「人間が活動する時間帯の日照時間を多くして社会全体が機械システムに含まれている時計そのものを変更する」という意味のサマータイムを認識した上で解答していた者がどれだけいたか、私は疑問です。

この調査はランダムに選択した固定電話と携帯電話に電話をかける「RDD」という方式が使用され、全国18歳以上の男女2162人が回答していますが、上記のような意味で受け取っていたでしょうか?

そもそも欧米がサマータイムを実施している目的は以下です

  1. 人間が活動している時間帯に日が出ている時間を多くすることで
  2. 照明用の電気使用の節約
  3. 交通事故や犯罪発生率の低下
  4. 活動時間の増加による経済活性化
  5. 余暇の充実

暑さを避けるため」という今回の目的とは全く異なる目的です。

そもそも欧米のサマータイムを知らなかった者も居るでしょうし、欧米のサマータイムを知っている人は、今回はそういうものではなく単に「人が行動する時間を意識するだけで変えよう」というものと認識していて、「機械システムに含まれる時間も変更する」というところまで頭が回っていた人が多かったか?というと、そうではないと思われます。

サマータイムについての議論が充実してきた段階で再度アンケートを実施すれば、全く違った結論になるのではないでしょうか?

なお、朝日新聞もRDD方式で調査を行っており、同じような結果となりましたが、質問に誘導が含まれているという指摘はNHKのものと同様です。

魚拓:https://web.archive.org/web/20180811072029/https://www.asahi.com/articles/ASL855GWDL85UZPS007.html

サマータイム実施の問題点

各所から日本におけるサマータイム実施の問題点が指摘されています。

サマータイム導入のコストと犠牲

上原哲太郎氏による日本におけるサマータイム実施の困難性についてのスライド。

  1. インフラ内時計の修正にSEが大量に必要、時間が足りない
  2. 世論の支持があるというのは誤解で、国民は理解していない
  3. 海外は情報機器が普及する以前に夏時間実施しておりプログラミング対応されている
  4. サイバーテロのおぜん立てになってしまう

これらがまとまっています。

SEの方々の観点からはかなり詳細な突っ込みがありますが、ここでは割愛させていただきます。 手頃な解説としては以下が私には分かりやすかったです。

サマータイム実施の経済効果の計算方法と根拠の不足

第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは、サマータイム導入で、個人消費が押し上げられ、年間7千億円の経済効果があると試算している。

経済系の方が試算をしているデータがありますが、それについてもいろんな突っ込みがきています。

第一生命経済研究所の永濱利広の試算

第一生命経済研究所の永濱利広氏の試算はこちら

魚拓:https://web.archive.org/web/20180812002629/http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/pdf/macro/2018/naga20180808summer.pdf

サマータイムの試算:第一生命研究所永浜利広

図をみればわかるのですが、サマータイムの経済効果の試算は「日照時間が増加することで余暇が増える」という大前提があり、それが崩れてしまっては成り立たないということです。

日本の夏の場合、他の国のように日陰に入れば湿度の低い快適な者ではありませんから、日照時間が増えることで余暇が増えるという理屈が成り立つのか疑問です。

ちなみにこの人の試算は「余暇が増えることが絶対条件」と本人が言っています。

本人もそんなに本気で試算通りの経済効果が出るとは思っていないんじゃないでしょうか?
※8月16日の「モーニングショー」の解説で永濱さんが出演し「サマータイムは反対です」と明言しました。

ちなみに日本の気候の海外との比較と経年変化については以下で一部まとめています。

永浜氏の「サマータイムの試算」は単なる日照時間増加の試算

上記の試算の評価を別の観点からすると、永浜氏が示しているのは日照時間と消費の関係のみであり、夏の場合にどうなるか、気温が高い場合にどうなるか、については全く触れていないということが言えます。

仮に夏は一年の中で日照時間が長いから消費が増えるというのであれば冬は消費が減るはずだが、決してそうではない。この点については他の論者も指摘しています。

魚拓:https://web.archive.org/save/http://wedge.ismedia.jp/articles/-/13646?page=3

過去に行われた試算

第一生命経済研究所では2005年にもサマータイムについて試算がなされていましたが、これについても疑問視されています。魚拓:https://web.archive.org/web/20180812003507/http://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2005_010.pdf

オリンピックに対する効果

当たり前な話として、サマータイムで時間を早めると、たとえば17時に行われる予定だった競技は15時という暑い時間帯に行われることになります。

こうした意見が起こったためか、なぜかオリンピック用に提唱されたサマータイムが恒久的な制度として設けようという意見があるかのように一部報道されているところです。

五輪サマータイム「党で議論を」|NHK 首都圏のニュース

会談のあと森会長は記者団に対し、「オリンピックでサマータイムを導入することを日本のレガシーとして使ってほしい」と述べた

これは囲み取材で発言していたので間違いないですが、早くも目的が揺らいでいておかしいです。

日本でサマータイムを導入する意義の薄さ

サマータイムは基本的に高緯度地域で導入されています。そのため、夏に時間をずらすことでの恩恵が得られやすいということがあります。日本の場合、北海道が欧州のフランスースペインあたりの緯度に相当するので、それ以外の地域ではあまり恩恵を受けられません。

日本ではかつてGHQ占領下でサマータイムが実施されていたが、不評だった。

占領解除のタイミングでサマータイムは廃止されたという事実があります。

海外でのサマータイム撤廃論議

サマータイム導入論議は海外の事例を参考にしていますが、その海外においてもサマータイムによる経済効果に疑問符がついており、撤廃するべきではないかという議論が湧き起こっています。

ここで紹介されている事例は白夜のあるフィンランドの事例です。

白夜地域の場合、ほぼ一日中日照時間があるので、わざわざサマータイムを実施しなくても日照時間は確保されている。単なる時計合わせの手間がかかるだけ、ということで、フィンランド国民からは不満だそうです。

結局のところ、その国の気候、諸条件を考慮してサマータイムの効果を考えないといけないということですね。

※追記:EU欧州委員長が夏時間廃止を検討

サマータイム廃止支持が84% EU欧州委 意見公募の暫定結果を発表 - 産経ニュース

EUはサマータイム「廃止目指す」 欧州委トップが表明 意見公募も8割超が「廃止」 - 産経ニュース

欧州委はこのため8月半ばまでの約1カ月間、意見公募を行い、過去最大の460万件以上の回答が寄せられた。正式な結果はまだ発表されていないが、独メディアは関係筋の話として8割以上がサマータイム廃止を支持したと伝えた。

サマータイム廃止は世界的流れなのかもしれません。 

まとめ:ITジャーナリストの宮脇睦を見よ

サマータイム実施は正しいか?

この答えはサマータイム実施に肯定的な論評を書いている自称ITジャーナリストの宮脇睦の論を見れば自明ではないでしょうか?

その完璧さを求める性向が、ひとつの不備を見つけると全体に当てはめ、そして「サマータイムにシステム改修が間に合わない」という暴論を新聞が拡散し、みなが根拠無く同意し、先送りされてきた。これが「平成サマータイム議論」です。

こうした日本人の性向、習性からサマータイムは難しいのですが、反面、本来的な日本人が兼ね備えている「不便を楽しむ」ことができればサマータイムなど難なく乗り切れることでしょう。

以上

NHKフェイク?『安倍総理が「サマータイム導入は国民の評価が高いと聞いている」と発言』

f:id:Nathannate:20180812074826j:plain

NHKが8月7日の昼のニュースで『安倍総理が「サマータイム導入は国民の評価が高いと聞いている」と発言』と報道しました。

しかし、この情報の信憑性には疑問が生じています。

他の報道機関の報道をまとめて整理していきます。

NHKの放送

 魚拓:http://archive.is/TTFrU

この投稿時間からわかるように、NHKが当該報道をしたのは8月7日の昼です。

なお、当日の朝と夜のニュースを確認しましたが(ニュース9、ニュース7)、この点についての放送は確認できませんでした。

『安倍総理が「サマータイム導入は国民の評価が高いと聞いている」と発言』はテロップのみ

気になるのは、NHKが報じたのは安倍総理の生の発言の音声ではなく、NHKの報道の中でテロップが表示されただけということです。

この「安倍総理の発言とされるもの」を取り上げている各所のニュースサイトやブログでは、NHKの報道のテロップ部分しか載せていません。

テロップ詐欺の手法は報道各社が一般的に行っているということを知っている人であれば、この情報の信憑性に疑問を持つのが自然です。

また、NHKは文章でも「国民の評価が高い」と報じています。

しかし、これ以降のNHKの放送や記事では、「国民の評価が高い」という言葉は出てきません。

他の放送局の報道は「国民の関心も高い」

f:id:Nathannate:20180812075701j:plain

 

 

 

「サマータイム導入は国民の関心も高いと聞いている」

サマータイム導入についての安倍総理の発言は、「国民の【関心】も高いと聞いている』という報道が圧倒的多数です。

FNNプライムオンライン

日テレNEWS24

ANNニュース

この発言は、森喜朗氏との会談の中で為されたものであるという点が重要です。

会談内容を誰かが把握し、それを報道各社に伝えたというのなら、NHKと民放が異なる認識になるはずがありません。「壁に耳」でNHKだけが「評価が高い」という発言を拾ったというのも非常に疑問です。

まとめ:NHKのフェイクか

サマータイム導入について、NHKのアンケート調査結果から「国民の評価が高い」と言うことは、そこまでおかしな話ではありません。

しかし、このアンケート自体に疑問点があるということについては別稿で論じます。

さらに、「安倍総理がそのような発言をしていた」ということについては、他の報道機関の報道を見る限り、やはり疑問です。

NHKがどういう意図であのようなテロップを表示したのかわかりませんが、6日午前の菅官房長官の記者会見では「政府としてサマータイム導入を目指すとの方針を決定したという事実はありません」「国民の日常生活に影響を生じ、大会までの期間が限られている」と発言しています。

このことからも、安倍総理が「評価が高い」と発言していたというのは信憑性にかけると言えるでしょう。

さらに、仮に安倍総理が「国民の評価が高い」と発言していたとしても、政府の方針としては何も決定していない、導入方向であると決定しているわけではないということは確実です。

「安倍晋三がサマータイム導入を進めている!けしからん!」

と言いたいがためにNHKのテロップを持ち出しているのは、恥ずかしいから辞めた方がいいんじゃないでしょうか?

以上

Twitterとはてなブログ投稿をFacebookに連動する方法(2018年8月)ポリシー変更によって自動送信ができない

f:id:Nathannate:20181129140932j:plain

ツイッターの投稿がフェイスブックに連動しなくなりました。

私の場合、8月2日を最後にツイッター投稿がフェイスブックに反映されなくなっています。

その原因と対処方法を調べた結果をまとめます。

2018年8月:Twitter投稿がFacebookに連動せず

フェイスブックとツイッター連携

私は8月3日以降もツイートをしていましたが、8月2日を最後にツイッター上の投稿がフェイスブックに反映されなくなっていることがわかります。

ツイートがフェイスブックに反映される設定の場所

facebook,twitterの連携、投稿反映

PCのウェブブラウザ版のツイッター上で右上のアイコンを推して【設定とプライバシー】を押すとこの画面に遷移します。

※スマホで各種ウェブブラウザから遷移することもできますが、スマホアプリからはこの画面は表示されません。

【アプリ連携】のタブを押すと連携しているアプリの画面が出てきますが、ここで【Facebookとの連携】という項目が見えます。

Facebookプラットフォームのポリシーが最近変更され、ツイートをFacebookのプロフィールやページに自動送信できなくなりました。

このような表示がなされるだけで、フェイスブックとの連携ができません。

しかたがないので【詳細はこちら】の画面に飛んでみます

「TwitterFacebookで利用する方法」とあるが

TwitterFacebookで利用する方法

この画面に飛ぶと、いかにも連携できそうな画面に飛びます。

しかし、説明文を読むと、先ほどのツイッター画面上でクリックすれば解決できると書いてあります。つまり、連携ができなくなる前に作成されたガイドページを見ているわけです。

これでは解決できないと思ったら、下部にこのような表記があります。

Facebookの最新情報をTwitterと連携させるには、Facebookのアプリケーション(https://www.facebook.com/twitter)をお使いください。

クリックしてみます。

Facebookの投稿をTwitterに反映させる方法

Facebookの投稿をTwitterに反映させる方法

この画面は少し違いますが、フェイスブックアプリを連動させる画面に遷移します。

そこで「連携させる」とすると、連携できますが…

これ、フェイスブックの投稿をツイッターに反映させるものに過ぎません。

矢印の向きが一方向であることに気づきます。

  • フェイスブック⇒ツイッター 〇
  • ツイッター⇒フェイスブック ×

結局、ツイッター上のツイートをフェイスブックに反映されることはできなくなりました。

ツイッターがフェイスブックと連携できなくなった原因

f:id:Nathannate:20180810141024j:plain

ツイッターのヘルプページを見ても、今回の事象を解決する記述はありませんでした。

フェイスブックの関連ページを見ると、上記画像のようなページに遷ります。

これが最新の情報のようですが、ここで言及されている内容が原因なのかは不明です。

結局のところ【フェイスブックの仕様変更のせい】としか言えません。

はてなブログ投稿について

はてなブログフェイスブック連携できない


はてなブログなど、各種ブログサービスもフェイスブックと連携しているところが多いと思います。

しかし、やはり連携設定はできないようです。

上記画像では、左側は「現在有効です」と書かれているものの、右側にはフェイスブックとの連携欄が削除されています。

はてなブログも、フェイスブックに投稿を自動送信することは現時点ではできないということになります。

まとめ:Twitter側、ブログサービス側にポリシー変更に合わせて自動送信機能を追加してもらうしかない

これはもうツイッター開発側、はてなブログ開発側に頑張っていただき、フェイスブックの仕様変更に合わせて再度連携設定を仕込んでもらうしかないようです。

それまでは我慢するしかないみたいですね。

以上

IRカジノがパチンコ・スロットに与える影響と北朝鮮との関係

f:id:Nathannate:20180809232746j:plain

IR政策とその中に位置づけられるカジノについて過去記事で整理しました。

また、巷でよく言われるデマについても解説しました。

この記事ではカジノが設置されることでパチンコ・スロット運営業界にどのような影響があるのかということと、オンラインカジノ(オンライン賭博)への影響についても触れてみます。

念頭に置くべきなのは、IR事業者とカジノ事業者の一体性・単一性です。これが分からないとIRカジノについてのいろんな物事が理解できず、誤解してしまいますので以下の記事を見ることをお勧めします。

IRカジノが直接パチスロ店経営に影響しないが

IR整備法ではIR区域とカジノについての定めが置かれているだけであり、パチスロについて何か規定しているわけではありません。

しかし、IRカジノにおいてなされる規制が将来的にはパチスロにも適用される流れになるというのは容易に予測できることでしょう。現にIRカジノの各種規制についての国会質疑において、各議員がパチスロにも適用すべきとの提案を国会において行っています。

直接的に影響があるのはギャンブル等依存症対策基本法であり、ギャンブル等依存症対策推進会議(今後は推進本部が設置される)が今後の議論でパチンコにおける規制を検討していきます。

近時行われた「出玉規制」(パチンコにおいて大当たり出玉の上限が2400個から1500個に引き下げられ、4時間打った際の儲けも以前の十数万円から5万円以内が目安になったこと等を指す)も、ギャンブル等依存症対策推進会議の議論によって、「より射幸性の低い遊技に」という目的があったからです。

もともとパチスロ業界の規模は「顧客が賭けた額=貸玉料」で計算される会計基準であらわされますが、約30兆円だった時代から現在は約20兆円となってます。店舗数も平成7年に約1万8000店だったものが現在は約1万2000店と減少傾向にあります。

これに加えて各種規制が今後も行われる流れにあるのですから、パチンコ・スロット業界の規模は今後も縮小していくことは避けられないでしょう。カジノが出来ることでのパチスロ業界への影響は、その前提に立って考えていく必要があると思います。

「カジノの前に今あるギャンブル依存症を考えるべきだ」

これは話が違っていて、IRカジノを考える中でギャンブル依存症対策が練られ、その影響を受けてパチンコ規制が強まっていくという因果関係があります。その逆もしかりであり、両者の議論は相互関連せざるを得ません。

1:北朝鮮への利益供給問題とギャンブル収益の使途

パチスロに関する代表的な問題として、北朝鮮への利益供給問題があります。

上記エントリでパチンコ業界と北朝鮮との関係についてエビデンスを付けて整理していますが、一定の利益供与がパチンコ業界の少なくとも一部から北朝鮮になされていたことは間違いの無い事実なわけです。

パチンコ業界の経営者の少なくとも60%が朝鮮半島系であるということから、その全てではないにしろ一定数からはパチンコの利益の一部が北朝鮮へ送金されているという予測はそれほどおかしな話ではありません。

したがって、カジノが出来ることで各種規制がパチスロ業界にも適用されるとパチスロ業界は縮小すると思われ、北朝鮮への利益供給の可能性も縮小すると言えます。

これが特定の界隈が一番恐れている事態です。 

IRカジノからの利益流出の可能性

では、IRカジノから利益が外部に流出する危険はあるのではないか?

この懸念を防ぐためにもIR(Integrated Resort)区域を整備する法体系の下にカジノがあるという制度設計になっていること、IR事業者とカジノ事業者の一体性、単一性の規制がかけられています。

概要は上記エントリで説明していますが、カジノ収益は他のIR施設に対して還元される仕組みになっています。ここまでなら海外のIRと同じです。

日本の場合はさらにIR事業者とカジノ事業者が同じでなければならないと法的に規定されています。さらに、海外のカジノでは、カジノの運営を統括する企業と具体的なカジノ行為を行う企業が別々の場合があり、カジノ行為の再委託が行われているケースもありますが、日本のカジノでは金の流れが追跡できるようにそうしたことができないようになっています。マネーロンダリングの項でも触れますが、いわゆる「ジャンケット」と呼ばれる、カジノ内での各種業務を外部に委託する行為は日本のカジノでは一切認められないということです。

「外資に売られる・乗っ取られる」という妄言

「外資系のカジノ企業に日本人の富が奪われるうぅー!」「老人がため込んでいるタンス預金が外資に狙われているうぅー!」などという妄言がありますが、カジノ収益はIR施設に還元される上に入場料とカジノ行為粗利益の30%は納付金として国に納めることになっていますので、そのような言説にはまったく理解に苦しみます。

そもそもIR・カジノ事業を行うにあたっては、地域住民や国民が初期投資をすることはありません(全く無いと観念的に言えるかは不明だが)。民間事業者がリスクを負って先行投資をすることになります。したがって、「国民の富を搾取する」などという構図にはそもそもなり得ません。

利用客は日本国民全員ではなく、ギャンブルに興味のある一定の収入のある日本人、外国人です。入場料が6000円も取られるのですから。要するに「お金がある人」(いわゆる富裕層だけではない)がお金を使うのであって、そうではない個人の富が奪われるというのは妄想の類です。

さらに、IRカジノが出来れば地元には雇用が創出されます。そこで日本人従業員が得た給料は当然日本人の利益になります。

「外資がー!」が如何に頭のおかしい人が唱える呪文か分かるでしょう。

「外資がー!」と言うのであれば、朝鮮半島系の経営者が少なくとも60%であるパチンコ業界は無視でしょうか?北朝鮮への利益供与が現実に行われていたことを無視していますよね?(現在もその可能性が極めて高いと予測される)

※道路建設などは住民負担になるではないかという意見について

IR事業はIR区域に指定された地域の道路交通網も含めて再開発することが必要となる場合もあると思われます。そのため、カジノ事業の開始自体には地域住民の税金が使われないと言えますが、IR事業のための道路建設等に対して地方自治体の予算が使われる場合、それは地域住民の税金からの出損、ということになります。

この点をあげつらって「私たちの税金が使われている!」と文句を言うのもいいでしょう。おそらくこの論点が最終的に反対派が仕掛けるロジックです。しかし、それは「地域が儲かる施設群」が出来ないと見込まれる場合に妥当する話です。IRが「地域が儲かる施設群」であるかどうかがより重要な論点であり、カジノという個別の施設の事業のために税金が使われる云々の話ではありません。

私も(というか世の健全な方々は)IR事業は地域が儲からなければ意味がないどころか有害だと思っています。IR事業を実施・維持する行政コストがメリットを上回るというのなら、無い方がマシです。そのような事にならないよう住民・自治体・国がチェックを入れる機会が設けられています。

しかし、最初から「カジノは儲からない・IRは儲からない」と決めてかかっているのは一体何を根拠にしているのでしょうか?海外の事例を出していても、それは比較可能なものなのでしょうか?この辺りは専門家の著書を見ることで評価の視点が得られるでしょう。

他のギャンブルの収益はどのように使われるのか

パチンコが北朝鮮に対する利益供与の足掛かりになっているのに対して、他のギャンブルはどうでしょうか?

広義の公営ギャンブルですが、たとえば宝くじの収益の使い道は参考になります。魚拓:収益金の使い道と社会貢献広報 | 宝くじ公式サイト

宝くじ収益内訳

http://www.takarakuji-official.jp/about/proceeds/

たとえば仙台市の消防ヘリコプターの購入や宮城県美術館の運営にも充てられています。

「ギャンブルは人を破滅させる!」「ギャンブルを収入源とするのはけしからん!」

と言う人は全国の自治体にケンカを売っているということで、それ以外の収入源を提案したいのであればどうぞご自由に。

IRカジノの入場料、納付金の使途は?

IR整備法には入場料と納付金の徴収について規定があります。

第百七十六条 国は、入場者(本邦内に住居を有しない外国人を除く。以下この節において同じ。)に対し、当該入場者がカジノ行為区画に入場しようとする時に、三千円の入場料を賦課するものとする。

第百七十七条 認定都道府県等は、入場者に対し、当該入場者がカジノ行為区画に入場しようとする時に、三千円の認定都道府県等入場料を賦課するものとする。

入場料は国と都道府県が3000円ずつの計6000円が徴収されます。

納付金は「カジノ行為粗利益」(店側が利益を得た分)に対して国と都道府県に15%ずつの計30%が入ります。納付金はIR地区に指定された基礎自治体に対して都道府県から分配することが法律上可能です。

国の収入分となった分は「一般財源」として利用可能です。つまりIR事業とは無関係な福祉事業にも使えるお金として機能するということです。

2:ギャンブル依存症への影響

ギャンブル依存症パチンコスロット割合

IRカジノにおいてなされるギャンブル依存症対策がパチスロにも適用されるべきだとする見解が各所からなされています。

ギャンブル依存症患者が多い原因のトップがパチンコ・スロットであるということは2018年3月9日の杉田水脈議員の衆議院内閣委員会(未だ公開されていない)での質疑で政府答弁においても示されています。厚生労働省の調査でも、病的ギャンブラーがプレーしているパチンコ・スロットの割合は9割を超えているということも分かっています。

また、国立病院機構久里浜医療センターの調査ではギャンブル等依存症が疑われる者は成人の0.8%であり、その内パチンコ・スロットに最もお金を使った者は9割を超えています。

パチンコを多くプレーしている人はギャンブルが好きなのではなく、パチンコが好きであると言えます。これはパチンコが1万店舗以上あり、駅前などアクセスしやすい場所にあることで利用しやすいこと、パチンコ店を認知しやすいので利用しようとするギャンブルの選択肢にパチンコが優先的に想起されるという面があります。

既に、カジノ規制がパチスロに適用されることでパチスロ業界は縮小し、店舗数が減少するということは示しました。したがって、「パチスロ業界の衰退=ギャンブル依存症対策」となる現状があります。

IRカジノがギャンブル依存症を生み出す可能性は

よく「IRカジノがギャンブル依存症を増やすからけしからん!」という主張を目にしますが

  1. パチンコが原因でギャンブル依存症になっている者が大多数であること
  2. IRカジノとパチンコではその環境と主な対象とする顧客層が異なっていること
  3. IRカジノではギャンブル依存症対策が法定され、具体策構築義務が事業者に課されていること

そうした論はこれらの事実を無視して行われています。

大雑把にIRカジノにおけるギャンブル依存症対策となる法定の施策としては以下のようなものがあります。

  1. 入場料の徴収(6000円)
  2. 入場回数制限(月10回、週3回まで)
  3. コンプ禁止
  4. クレジットカードによるチップ購入制限
  5. チップの譲渡・持ち出し禁止
  6. 入退場時のマイナンバーによる本人確認
  7. 広告規制
  8. ATM規制

入場回数制限は、週に3回、月に10回までという制限です。

クレジットカードによるチップ購入は日本人や日本在住の外国人は利用不可能です。

なお、貸付けは基本的に日本国内に住んでいない外国人にしか認められていませんので、たとえそういう外国人がギャンブル依存症になってもむしろ収益が増えて利益です。

これだけでギャンブル依存症対策が十分かというと、決してそうは言えないでしょう。多くはIRカジノ事業者が自主的に定める対策に依存しています。それはIRカジノ事業の認定の際にチェックを受けます。

ATM規制について

ATM規制については消費者金融からの借り入れができる(貸付機能がある)「キャッシング機能」がついているか、それとも単なる「引出し」機能がついているかどうかによっても異なります。参議院 内閣委員会 28号 平成30年07月17日では和田政宗議員がパチンコにおけるATMについて、熊野正士議員がIRカジノにおけるATMについて質疑をし、有益な答弁を引き出しています。

○和田政宗君 
 これは、内閣委員会の同僚の委員の方からも繰り返し質問などがございましたけれども、パチンコ店内のATMですね、これは、いわゆる、何というか、キャッシング機能、クレジットカードによるキャッシング機能、新たに借金を増やすということではなく、自分の預貯金の範囲内ということではあるわけですけれども、これは負けて、ATMあったら、次、更に一万円賭けたら、若しくは千円賭けたら当たるかもしれない、そう思ったら、やっぱり行って引き出しちゃいますよ。
 これ、頭をやはり冷やすというものが非常に重要であって、パチンコ店から一旦外に出て、でも、隣にあったらもう余り頭冷えないのかもしれないですけれども、そういう、パチンコ店から何メートル以内は置いちゃ駄目だとか、これ、ギャンブル依存症対策を本気でやるんだったら、私はそういったことも必要だというふうに思うんですけれども、これパチンコ店内へのATMの設置というのは禁ずべきではないかと思いますけれども、その点、いかがでしょうか。
○政府参考人(山下史雄君) 営業所内において銀行ATMを客に利用させるサービスを提供することにつきましては、風営適正化法上、規制があるものではございません。
 先ほど委員御指摘のとおり、現状におきましては、その当該ATMにつきましてはローンやクレジットカード等の利用はできないと承知をしております。また、利用額の上限を一日三万円、一か月八万円としているとも承知をしております。
 いずれにいたしましても、客の利用実態、また社会的な認識等につきまして、警察としても周知をしてまいりたいと考えております。

この議論はIRカジノでも妥当するということが分かると思います。

同日の公明党の熊野正士議員からは、IR整備法上どのようにATM規制が解釈できるのかについて質疑をしています。

○熊野正士君 公明党の熊野正士です。ATMの設置規制についてお伺いしたいと思います。このIR整備法の中では第九十四条の一のヘ、一のトで法定されているというふうに説明を受けたわけですけれども、この条項の中にはATMという文言は一切出てきておりません。これ、法文上どのように解釈するのかについてお教え願えますでしょうか。
○政府参考人(中川真君) お答え申し上げます。
 ATMの設置と今御提案申し上げているIR整備法案の関係、特に九十四条の解釈についてということでございますけれども、この整備法案の第九十四条では、そもそもカジノ事業者は一定の基準を満たす契約以外の契約を締結してはならないというふうにされております。
 また、その基準の一つとして、今、熊野委員御指摘の第九十四条第一号ヘにおきましては、カジノ事業者以外の者にカジノ施設において入場者に対する物品の給付又は役務の提供をさせる場合には、当該物品の給付又は役務の提供が入場者の利便性の向上を図るもの等としてカジノ管理委員会規則で定めるものであることという基準が示されております。
 カジノ施設内にATMを設置することはこの基準に該当しないというふうに考えておりまして、より具体的には、この九十四条一号ヘにあります入場者の利便性の向上を図るものとしてカジノ管理委員会規則で定めるものにATMの設置を含めないことによって、カジノ施設内のATMの設置を排除することを想定してございます。
 また、カジノ施設の周辺部分にキャッシング、クレジット機能の付いているATMを設置するのかしないのかという問題もございますけれども、これにつきましては、整備法案の第九十五条第一項第四号によって、カジノ事業者が行う施設の賃貸に係る契約はカジノ管理委員会の認可を必要とするということになっておりますけれども、カジノ施設を含むIR区域内でのATMの設置は当該認可の対象となるというふうに考えておりまして、その際には、法案の第九十四条第一号トに規定しますカジノ事業の健全な運営を図る見地から適当と認められることというカジノ管理委員会の認可基準に基づいて個別に判断をすることになります。例えばカジノ施設の周辺において貸付機能が付いたATMを設置することはこの基準には該当をしないというふうになるのではないかと、そういうふうに整理をしているところでございます。

その後の質疑でも詳しく言及されていますが、大まかな整理としては以下です。

  1. カジノ施設内のATM⇒排除
  2. カジノ施設周辺のATM⇒貸付機能のあるATMは排除
    ⇒通常の引き出し機能がついているのみの機種については、IR区域には設けるが、カジノに近い場所には設置しないようにすることになる

上記2番目の議論がパチンコでも適用されるべきなのではないか?というのが和田政宗議員の問題提起です。

ところで、和田政宗議員が主張しているのは駅前パチンコの周辺には当然金融機関の設置したATMが大量にありますから、それらを撤去せよという話でしょうか?

逆でしょう。

駅前にはATMが大量に設置されているから、パチンコ店は営業できないようにしようということです。

事後的な規制によって移転・廃業を求めるのは困難であるとしても、少なくとも和田議員の提案の通りになれば、駅前に「新たに」パチンコ店が出現するというようなことは無くなるわけです。

カジノの規制がパチンコにも波及するというのは、こういう事です。

ATMとパチンコ店:東和銀行とトラストネットワーク

紙幅の関係で詳しく書きませんが、公的資金を受けた東和銀行とIT大手の子会社のトラストネットワークという企業がATM設置を進めていることが過去に問題視されました。

平成27年当時の議論しか見つかりませんでしたが、情況は以下でした。

  1. 1000店舗程度の中にATMが設置されている
  2. のめり込み防止という題目で一日に三万円、月に十五万円の引出し上限を設定したと言っているが、効果は疑問
  3. ATM設置や上限額は風営法等の法制で規制されるものはなし

また、パチンコ店内にATMを設置するということは一つのビジネスになっており、ギャンブル依存症対策の観点からは懸念が示されています。

参議院 地方・消費者問題に関する特別委員会 4号 平成27年04月22日

○大門実紀史君 省略 このトラスト社はもっとすごいことを考えておりまして、もう景品を交換所に持っていって現金にしてもらうというのをやめて、景品交換所で金券を発行してもらうと。その金券をまたパチンコホールに戻ってさっきのATMに今度入れると、それが銀行の残高にカウントされるというシステムの特許を取ったわけですね。
 つまり、何がしたいかというと、まず、景品交換所に現金があるとよくこの間狙われていますから、現金を置かなくて済みますよと。これは景品交換所、まあホールといいますか、一体ですから事実上、にとってはメリットがあると。今度は、現金をもらえないで金券しかもらえないと、またホールに行ってそれをATMで入れて自分の口座を増やすと。それを今度は、パチンコどうしてもやりたいですから現金で引き下ろすと、手数料また払わなきゃならないというようなことを考えているわけですね。

この仕組みが実装されているのかはわかりませんが、パチンコ店内や周辺にATMを設置するということは、こういことになるということです。

3:パチスロからカジノへ産業構造への影響

パチスロ業界にパチスロ機器を設計製造して供給するものづくり企業があります。

単にパチスロ業界を衰退させると、そうした企業の仕事がなくなり製造業にダメージが発生します(パチスロ機器のみを製造している企業は極めて少数ですが)。しかし、カジノ需要ができることで製造業にとってはソフトランディングとなります。

また、パチスロ機器のような風俗営業適正化法の「遊技」として認められているものはカジノに設置しないという方針が示されているので、パチスロ業界に利益がある企業がそのままカジノ業界に食い込むという可能性もある程度は防いでいることになります。

そうするとカジノ向けの機器の設計製造需要が新規に発生しますが、製造業としてもパチスロ業界の仕事を取らなくても生きていける収益構造にできる可能性が増すということです。

パチンコ店は1万店舗以上、カジノは当面は3地域なので、パチンコ・スロット業界よりは必要な機器の数は極めて限定的です。ただし、影響力が小さいかというと必ずしもそうではなさそうだと言えます。

木曽崇カジノ合法化に関する100の質問:ジャンケットオペレータとルートオペレータ②魚拓:http://archive.is/Clglf

ここ10年ほどの間でマシンゲームの筐体価格はものすごい勢いで高騰している。単にリールが廻ってコインを吐き出せば良かった以前のマシンゲームと異なり、現在のマシンゲームは液晶タッチパネルの採用、TITOの導入、派手なギミックを使ったボーナス演出など、多様な機能が求められるようになった。それに伴いマシンゲームを構成するパーツ点数も格段に多くなり、マシンゲームメーカーにとっての製造原価が上昇する。そういった製造原価の上昇が、現在の筐体価格の高騰の原因である。

どうやら日本のパチスロのような変化がカジノのマシンゲームにも起きているようです。この記事は2010年に執筆されているのですが、現在はどうなっているでしょうか?

パチスロ機器などの「遊技」機器は設置しなくとも、同様の機能があるマシンゲームが導入されることは少なくとも公的なソースを漁った限りでは現時点で否定されていません。そのため、パチスロ機器設計製造業界(アプリケーション開発含む)がIRカジノのマシンゲーム開発に乗り出そうとすることは想像に難くなく、その動きは注視されるべきでしょう。

小括:北朝鮮への利益供給の可能性が増えることは無い

  1. パチンコ収益の外部流出の歯止め
  2. ギャンブル依存症患者の減少
  3. パチンコが無くなる際の産業構造へのインパクトの緩和

カジノが出来ることで、パチンコ業界には上記のような影響を与えることになります。当然、パチンコ業界(パチンコホール(店)営業)としてはそれは困るのでいろいろな手段を用いてカジノ設置阻止のために画策しているところです。

もちろん自治体によっては収益の可能性に疑問を感じている人も居るかもしれませんが、パチンコ業界の反発という影響があるという前提で各種情報を精査しないと、一定方向に誘導する情報ばかりインプットしてしまいますので気を付けなければなりません。 

IRカジノとマネーロンダリングについて

カジノのマネーロンダリング対策

弁護士法人三宅法律事務所渡邉雅之作成:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/ir_promotion/ir_kaigi/dai5/siryou4.pdf

世界を見ると、カジノはマネーロンダリング(マネロン)の温床になっています。そのため、マネロン対策を講じる必要性は議論されてきました。IR整備法を巡っても、マネロンについての危険が訴えられてきました。マネロンの危険は当然にしてあり得るため、どのような行為が想定されているのか、対策はどうするのかの議論は今後も必要です。

上図は特定複合観光施設区域整備推進会議の資料です。ここでは犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)による規制と、それがカバーしていない部分についてカジノ管理委員会規則で講じるべき対策について検討されています。

例えば事業者による高額取引の報告義務は犯収法では課されていませんが、カジノでは規制するようにするべきではないかという議論がなされています。

ジャンケット規制

ジャンケットとは:諸外国マカオシンガポール

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/ir_promotion/ir_kaigi/index.html

ジャンケットとは、カジノの事業主体(カジノオペレータ)から委託を受けた事業者、または委託を受けた事業者が行う事業を指すのが公約数的な理解です。

具体的には上図のような事業の種類がありますが、この言葉自体が揺れ動いてきたものなので、論者によって言及している内容が異なる場合があります。②のカジノ行為の実施(フロアを借りてジャンケット事業者が客にギャンブルをさせる等)のみを指すかのような説明をしている者も居ます。それはそれで間違いないですが、議論を噛み合わせるためには具体的な事業内容を指して論じるといいのでしょう。

日本のIRカジノでは、ジャンケットは一切行わないとしています。

196 参議院 内閣委員会 28号 平成30年07月17日

○政府参考人(中川真君) お答え申し上げます。
いわゆるジャンケット等と呼ばれる業者の業態は必ずしも一様ではございませんけれども、例えば、カジノ事業者からカジノフロアの一部を借り受け顧客にカジノ行為を行わせるような業態を我が国で認めることとなりますと、このIR事業を遂行するためIR事業者にのみカジノ事業を特別に容認するというカジノ事業免許制度の趣旨を没却させることになるというふうに整理をしております。
 したがいまして、このIR整備法案の中では、諸外国のようにカジノ事業者とは別にいわゆるジャンケット等という業の類型を設けることはせずに、ジャンケット等と言われる人たちがやっているような行為についてはカジノ事業に対する個別の規制によって対応するという整理をしております。例えば、カジノ行為業務の委託を禁止するとか、あるいはカジノ施設内でのカジノ事業者以外の者による貸付けは認めないと、そういう形で、個別の行為をカジノ事業者以外には認めないという形での規制をしいてございます。

IR整備法では93条でカジノ業務の委託を原則禁止しており、例外類型を定めています。当然、ギャンブルを客に行うカジノ行為の委託はIRカジノの趣旨から禁止されるということです。

ルートオペレータ(レベニューパーティシペーション)の仕組み

ルートオペレータという用語は木曽崇氏の説明を元にしているのですが、カジノ機器をカジノ事業者に貸与し、提供したカジノ機器から出た収益の一定割合を受け取ることで利益を得ている者を指します。要するにカジノのマシン機器を設計製造している企業がマシンの筐体を売って利益を得るのではなく、マシンにカジノ客がつぎ込んだ金の中から割合で利益を得ています。

主体の属性を指す言葉ですが、カジノ機器設計製造企業の収益構造(或いはカジノ事業者のコスト構造)を指している言葉であるとも言えます。カジノ機器のサプライヤーの報酬体系としてレベニュー・パーティシぺ―ションとも言われます。

ルートオペレータの仕組みがあることで、カジノとしては設備投資のコスト低減になり、カジノ機器の設計製造企業としては高騰しがちな筐体価格(そして新しい商品の性質)によって売りつける先が出てこない危険を避けることができます。顧客の反応を見ながらマシンの設定を変更できることも大きいと思います。

特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめではルートオペレータという単語は出てきませんが、同様の仕組みを導入する事について以下のように書かれています。

スロットマシーンのリース料について、カジノの粗収益(GGR:Gross
Gaming Revenue)に連動した報酬を支払うというレベニュー・パーティ
シペーションを認めることになれば、カジノ収益をIR 事業者の外に出すこ
とになってしまうので、このようなリース料の設定は、認めるべきではな
い。

小括:日本IRカジノのマネロン規制は既存カジノのイメージとは異なる

マネロン対策はカジノ業界の歴史でもあります。次々に新しいマネロン手法が出てきては、それを防止・発見する仕組みを構築するカジノ事業者の努力がありました。日本のIRカジノはそうした世界のカジノ事業者が直面した問題に向き合ってより規制を強めようとしていると言えます。

もちろん、まだまだ詰めの段階ではないですし、素人の私から見ても「これは防げるの?」というマネロン手法があります。

たとえばIRカジノでは「顧客同士のギャンブル」をカジノ事業者の管理の下で行うことができますが、顧客同士が共謀して一方がわざと負け、他方が利益を得ることで資金洗浄が可能になります。このようなマネロン手法を防ぐ手立ては今のところ公的なソースを見る限り議論すらされていませんが、カジノ管理委員会規則や事業者の対策に盛り込まれるのかどうかは気になります。

ただ、これまで見てきたように、既存のカジノのイメージで日本のIRカジノでマネロンが行われる危険を一般大衆に喧伝しているとすれば、それは明らかに間違いです。

パチンコ課税と北朝鮮

IRカジノで納付金が徴収されることから、今までは法人税や所得税などのみ徴収していたパチンコについても【パチンコ税】を設けて税収を増やそうという意見が見られます。

現状のパチンコ業界は法人税については脱税が多い業界のトップ10に入り続けているということは上記エントリで示していますから、一見すると税収増のため理に適っています。その分北朝鮮に渡る利益が少なくなりますからね。

ただし、単に「パチンコ課税」というだけでは正しく問題を把握できません。パチンコ店がギャンブル性認定を逃れているいわゆる「三店方式」についての理解が不可欠です。

パチンコ税の課税は利権につながる?財源化すれば廃止が困難?

三店方式パチンコ

パチンコ税を設けることによる弊害が指摘されることがあります。

魚拓:http://archive.is/LCbiV

「パチンコ税をかけると税収源としての利権が生まれるので課税すべきではない」

このような意見が散見されますが、果たしてそうでしょうか?

この主張は、パチンコの換金が政府答弁書によって実質的に合法化される以前に「課税すると換金が合法であると追認される。そのためパチンコを違法とできない。パチンコという存在が公的に認められてしまう」というような主張として構成されていたのではないかと思います。

この主張の前提としてあるのは、パチンコ店(パチンコホール)と換金所が一体であるという認識です。しかし、平成28年11月18日、緒方林太郎の質問主意書に対する答弁書、同月29日の再質問主意書に対する答弁書では三店方式についての質問に対して【パチンコ店の営業者以外の第三者が換金することは直ちに違法ではなく、実質的に一体である場合には風営法上違法であり、刑法上も違法となる可能性がある】とされました。

したがって、議論の前提条件が変わってしまったために、「パチンコ課税は利権を生む」論は論拠が崩壊するようになったのだろうと思います。

もしも上記以外のロジックでパチンコ課税が利権になるという主張をしているのであれば是非聞いてみたいですが、それらしい主張はいくら検索しても出てきません。

少し歩み寄りをすると、現時点ですら警察利権が食い込んでいるパチンコ業界ではありますが、課税すると利権が強化されるという側面はあると思います。そうすると、例えばATM規制をしようとしても現時点よりも強行な反発がなされると思われます。そうした反発を避けるために、「利権化」が起こってしまう課税をするのは最後の仕上げの段階で行うべきであるという論は、一部の理があると思います。それまでは近年行われた出玉規制や、今後検討されるATM規制などで徐々に真綿を締めるように規制をかけていくのだろうと思います。

どの部分に課税するのか?

f:id:Nathannate:20180802115542j:plain

「パチンコに課税」と一言で言っても、どこに課税するのでしょうか?

かつて「パチンコ課税」の創設が騒がれた時期がありました。

「パチンコ税」創設浮上、1%で財源2000億円試算 政府・自民、法人税率下げ減収の穴埋め

政府・自民党内で、安倍晋三首相の主導で政府が決めた法人税の実効税率の引き下げに伴う税収減の穴を埋める財源の一つとして、パチンコやパチスロの換金時に徴税する「パチンコ税」の創設が浮上していることが21日、分かった。1%で2千億円の財源が生まれるとの試算もある。ギャンブルとして合法化する必要があるため異論もあるが、財源議論が活発化する中、注目が集まりそうだ。

結局これは実現していません。

しかし、これはおかしな話です。パチンコ店は客が「貸玉」用にお金を支払った後は、単に景品を客に渡すに過ぎません。合法的な三店方式であればパチンコ店と換金所は別主体ですから、パチンコ店側はまったく課税されません。

当時の議論では、顧客が換金するに際して課税分が引かれるという負担が課されるような仕組みだったのです。要するにタバコと同じで消費者が負担する税です。パチンコ店は痛くもかゆくもありません(射幸性が微量ながら弱まるため理論上は集客力が微減すると言えそうですが無視できるレベルでしょう)。これについては木曽崇氏が2014年の当時に解説しています。

このように、いわゆる三店方式を理解していないと、「パチンコ課税」という単語だけでは実態を正しく把握できません。

貸玉料への課税によってはじめて北朝鮮への利益供与を阻止できる

その上で、現在主に議論されているのはパチンコ店の貸玉料(顧客が金を払って元手となる玉を借りた(表向き「購入」ではない)際に店側が得る利益)に対する課税です。

IRカジノではカジノ粗収益に対して30%の納付金が課されました。パチンコは法律上はギャンブルではないのでカジノと同じ税率にできるかはともかく、同様の課税がパチンコ店の貸玉料による利益に為されればどうでしょうか?

パチンコがギャンブルではないという位置づけであっても、特殊な課税をしようと思えばできる(相当ハードルは高いですが)ので実現を考える方はそれなりに居るようです。

まとめ:金融庁が北朝鮮への送金を調査してどうなるか

記事の魚拓:http://archive.is/29vXq

産経新聞平成30年6月22日

金融庁が北朝鮮との間で不正送金やマネーロンダリング(資金洗浄)行った疑いのある企業10社との取引について、国内すべての銀行、信用金庫、信用組合に対し、取引の確認と報告を求める命令を出したことが22日、分かった。命令は18日付。10社の口座情報や平成28年3月以降の取引記録の提出を命じた。

北朝鮮への収益の送金については、金融庁が日本と北朝鮮の合弁企業について裏で送金をしていたのではないかという疑惑について報告を求めたとのことで、今後調査して回答することになっています。

パチンコ店からダイレクトに北朝鮮に送金するというよりは、金融機関を通しての送金が現実的です。過去には足利銀行から北朝鮮に送金がされていたこともあり国会でも問題視されました。

IRカジノの設置とそれに並行して行われるギャンブル依存症対策の議論が、パチンコの廃絶、ひいては北朝鮮への利益供与を絶つことに結びついています。とはいえ、地域に利益を生まないIRを作ってはいけません。必要な議論が正しく一般に認識されるよう、情報が整理されていってほしいと思います。

以上