事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

秋篠宮悠仁親王殿下の机に刃物:お茶の水女子大付属中で

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秋篠宮悠仁親王殿下が通学されているお茶の水女子大付属中において、授業で教室が開いていた間に、悠仁親王殿下の机に刃物が置かれていたというあってはならない事件がありました。

秋篠宮悠仁親王殿下の机に刃物:お茶の水女子大付属中で

悠仁さまの机に刃物 東京・文京区の中学校 防犯カメラに不審な男 - 産経ニュース

秋篠宮家の長男の悠仁さまが通われる東京都文京区の中学校で、悠仁さまの机に刃物が置かれていたことが27日、警視庁への取材で分かった。防犯カメラ画像に26日正午ごろ、不審な男が侵入する姿が写っていた。同庁は建造物侵入容疑などで男の行方を追っている。

学校の警備はいったいどうなっているのでしょうか?

なぜ、机の場所が特定できたんでしょうか?

通常の学校でもとんでもない話ですが、悠仁親王殿下が通学されている学校においては、絶対にあってはならないことでしょう。

建造物侵入容疑:不審な男の脅迫罪の成立可能性は? 

脅迫罪(刑法222条)は成立するのでしょうか?

脅迫罪の脅迫は「害悪の告知」が必要ですが、告知の対象は生命・身体・自由・名誉・財産に対するものである必要があります。

告知の方法は文書や口頭によるものである必要はなく、態度で示す場合も含まれます。

また、加害の告知は黙示的であってもよいとされていますから、はっきりとしたメッセージでなくとも、その内容が読み取れれば成立します。

害悪の告知が脅迫にあたるかは、相手方の属性や公知の客観的状勢に照らして普通一般人の誰れもが畏怖を感ずるものである必要があります(最判昭和29年6月8日刑集8巻6号846頁参照)。

ただ、単に刃物を置いた行為が脅迫罪になった事例はちょっと調べただけでは見つかりませんでした。判例上は「村八分の決議をして対象者が知った」ことや、『「出火お見舞い申し上げます。火の元にご用心」と書いたハガキを特定人宛てに投函して特定人が受領した』ことが脅迫罪とされています。

仮に今回の刃物を置いた行為が脅迫罪になるとすれば、「中学校において、特定人が不知の間に、(ある状態の)刃物を特定人の机に置く行為は、当該特定人の身体を刃物によって傷害する旨を黙示的に告知して特定人が知るところとなった」という判断になるのでしょうか?

刃物」の種類や状態(断ち切りばさみが開いた状態・ナイフが剥き出しなど)によっても結論が左右されそうな気がします。

悠仁さまの学校の席に包丁 何者かが侵入か | NHKニュース:NHKによれば、「包丁2本がポールのようなものにくくりつけられていて、悠仁さまと隣の生徒の席の間にまたがるように置かれていた」ようです。

なお、容疑は建造物侵入罪ですが、これは警察実務上、成立しやすい罪を嫌疑の罪状にしようとしているためであり、それ以外の罪の成立可能性を排除しているわけではありません。

包丁以外に過去にも:悠仁さまを載せた車が追突事故

【八木秀次教授・寄稿】紀子さまと悠仁さまをお乗せの車が追突事故 「将来の天皇」に相応しい処遇を 問題は警備態勢と予算 (1/3ページ) - 産経ニュース

2016年11月には秋篠宮妃紀子妃殿下と、悠仁親王殿下が乗られたワゴン車が中央自動車道で追突事故を起こしています。

幸いけが人もなく、悠仁殿下も特にお体には問題がなかったようです。

実は、天皇や皇太子に比して秋篠宮家は潜在的に事故が起こりやすい環境にあるのです。

天皇や皇太子が車で移動する際には先導車がいて交通規制もして信号も切り替わったりしますが、秋篠宮家の場合にはそういったことがないのです。

これは皇室の予算編成の問題です。

まとめ:内廷皇族以外の皇族の待遇改善を

悠仁殿下の身の回りにこういった事件が多いのは、皇室の予算編成が異常な低額になっていることが原因でしょう。

こんな状態であってよいのでしょうか。

皇室典範や関係法令の改正が必要だと思います。

以上

交通事故と走行距離・走行時間の関係:若者と高齢者の事故率統計における意味

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年代別の交通事故率について記事を書いたら以下のコメントが散見されました。

「走行距離や走行時間あたりの事故率を見ないと意味ないよ」

「若者は仕事で走行距離が長いんだから単純比較するのはフェアじゃない」

でも、それって意味あるんでしょうか?

交通事故と「個人の」走行距離・走行時間の関係の統計

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平成30年中の交通事故の発生状況

警察庁 統計表のページに交通事故の統計がまとまっています。

  • 交通事故一般については、10代、20代の方が他の年代に比べて事故率が高い(上図)
  • 死亡事故率については、10代と80歳以上の高齢者が突出して高く、75~79歳、20~24歳が続く

結論としてはこのような結果が読み取れます。

しかし、交通事故と個人の走行距離・時間との関係について述べた統計はありません

そんなことをしても無意味ですからね。

走行距離が長ければ事故率が高いなら北海道はどうなる?

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平成30年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について

都道府県別の人口10万人当たりの事故件数(つまり事故率)と事故件数のデータ。

これを見る限り、広大な土地を誇る北海道事故率は決して高くありません。

厳密に測定しているわけではないのですが、北海道は走行距離が長くなるはずですから、この結果は走行距離の長短と事故率は影響しないということを示唆していると言えるでしょう。

むしろ、道路事情や地域特性が大きな因子だというこということが言えます。

静岡・佐賀・宮崎・群馬の事故発生件数の存在感が大きいのが分かります。

運転距離・運転時間を問題視する者へ:本質は疲労

「走行距離や走行時間が多いと事故率が高くなる」と考えている人は

『走行距離や走行時間が多いと疲労する』ということを前提にしているハズです。

だから本質は『(眠気含む)疲労状態での運転』であって「走行距離等」ではない。

日常生活で疲労していたなら、走行距離が短くても事故は起こりやすくなりますよね?

ですから、運転にかかった距離・時間のみを取り上げても意味がないのです。

飛行機や電車は個人毎の走行距離・走行時間のデータを取っているが

自動車の機構や部品が原因の事故であれば走行距離や走行時間そのものに意味がありますが、運転者に焦点を当てた話ではそれ自体は意味を成しません。

「飛行機や電車は走行距離等のデータを取ってるから自動車もそうするべきだ」

という人が居ますが、飛行機や電車の場合には1運行あたりの正確なデータが取れますが、自動車の場合には一般人の行動も含まれ、データ収集は困難でしょう。

データ採れって言ってる人は、人にチップ埋め込んですべてを管理するディストピアを目指してるんでしょうか?

若者・高齢者の比較で走行距離等を因子に加える意味

また、仮に年代別の比較において「若者は走行距離等が長いから事故を起こしやすい」と言えるとします。

その場合に「だから高齢者よりも事故率が高いわけではない」というような比較評価をするのは、単に高齢者の運転に嫌悪感を持つ者による自己論理の正当化に過ぎないでしょう。

その論理を持ち出したら、逆に「若者は運転を多くするから若者の運転は危険だ」ということになりますし、「だったら若者の運転を減らすべきだ」という方向の議論になってしまうんじゃないでしょうか。

先述の通り、走行距離等が運転に影響を与える本質は「疲労」なのですから、それを分析の因子に加えてしまうと、現役世代は働いていて疲れているから事故を起こしやすい、ということも言えてしまうのです。

でも、そういう方向の分析はおかしいですよね?

若者に限らず全ドライバーがこまめに休息を取るなどして気をつけるべき話でしょう。

社会全体の走行距離と事故率の統計について

多くの人が勘違いしてそうなこととして

【社会全体における事故率と走行距離との関係】

についての統計から、走行距離を分析因子に加えるべきと考えてる人が居るんじゃないでしょうか?たとえば以下のようなデータです。

自動車運送事業に係る交通事故要因分析検討会報告書(平成24年度)

http://nissintaxi.co.jp/25hp_pdf/20nen10mankir.pdf

この場合の「走行距離」は「世の中で使用される自動車の台数が増え」たり、「高速道路の延伸等で「交通の便が良くなった」場合に増えることになります。

このような分析をしている資料の中で、確かに「走行距離が増えたため、事故が増えた」のような記述がある場合があります。

これは非常にマクロな視点から分析しているものであって、年代別の個人の走行距離と事故率や事故原因とは連動しない性質の統計データです。

まとめ

  1. 走行距離等が長いと事故率が上がるなら、北海道の事故率が他の自治体より高くないのは辻褄が合わない
  2. 走行距離等が長いことが運転に影響を与えることの本質は「疲労が蓄積すること」
  3. 疲労は運転しない日常生活においても溜まる
  4. よって、走行距離等を年代別の事故率比較のために見ることは意味がない

交通事故はいつでも起こり得ます。

走行距離が100メートルでも走行時間が1分でも、ほんの不注意で事故が起きます。

もちろん、走行距離や走行時間について、特定の事故原因の分析において使わない、ということではありません。

あくまで年代別の事故率の比較において意味のある因子かという視点でのみの話です。

また、たとえば年代別の事故率と社会的コストを考える際に走行距離等を考慮することも、否定しているわけではありません。

以上

総務省に確認:青山繁晴現代アート展でブルーリボンバッジを16万円で販売の違法性について

青山繁晴現代アート展ブルーリボンバッジ16万円

青山繁晴参議院議員が2017年1月12日から21日まで、「大雅堂」にて【現代アートに挑戦する青山繁晴展】を開いた際に、アート作品に値が付けられて販売されていたことが極一部のネット界隈で問題視されています。

どうやら切り取り・印象操作が行われているようなので、情報を整理します。

「ブルーリボンバッジを販売した」?

青山繁晴、ブルーリボンバッジ販売

こちらは実際のアート展の写真ですが、確かにこのブルーのものについて、「ブルーリボンバッジ」と呼んでいる者は、当時の青山さんのブログのコメントにいくつもありました。

これが実際に展示されていたことについてはこちらの動画を参照:青山繁晴 個展「現代アートに挑戦する青山繁晴展」(本人解説あり)2017/01/12@京都・大雅堂 - YouTube

縁のシルバーが角度を変えると見え方が変わることから絵であるようには見えません。

ブルーリボンバッジのアートに値段を付けて販売するのはけしからん?

★たいせつな追加 ( 先ほどのエントリー「きのう、今朝、この昼と午後、今夜、あした」に補足 )|青山繁晴の道すがらエッセイ/On the Road

 (値付けは、画廊の担当責任者と、青山千春博士が協議して決めました。今後も開催ができるようにするためです。ぼくらは利益を目的としていません。ぼく自身は値付けに一切、タッチしていません)

虎ノ門ニュースでも青山議員本人が値段設定に関わったことは無いと言っていました。

では、ブルーリボンバッジという拉致被害者奪還の意志を表明するためのものを、元の値段以上で販売するという行為の正当性はどうでしょうか?

実際に買った方が、青山さんのブログに書き込んでいます。

サイン|青山繁晴の道すがらエッセイ/On the Road魚拓はこちら

あなたに会えてよかった。【風街Kobeより】
ー省略ー

ただ一点、どうしても気になって頭から離れない作品がありました。
「拉致事件’17」です。
描きかけ?なのか未完成な朱色の「蘇」の字の上にブルーリボンバッチ

そうか、拉致事件が解決してないから未完成なのか。
早く完成した「蘇」になればいいな。
とその時は軽い気持ちで大雅堂を後にしました。

ところが
大雅堂を後にしてチョコの美味しい店に行っても
チョコの美味しさが半分にしか感じないくらいあの「蘇」の作品のことが
気になって仕方ないのです。

その気持ちは月曜になっても火曜になっても寝ても覚めても
気になって冷めてゆくどころかますます強くなっていきました。

17日に仲間のご夫婦が大雅堂さんを再訪したので
あの「蘇」の作品がまだ売約されてないか確認したところ
夕方の時点でまだ売約されてないとのことでしたので
立て替えて買っておきましょうか?の親身なご提案を
「明日、私が行ってまだあったならば縁を感じて買います。」とお断りをしました。

18日の昼に大雅堂に行くとまだそれはありました。
大雅堂の方は15日に行った私の顔を覚えててくださってて、
どうしても頭から離れないからと購入の意向を伝えると
「これはもっと早く売れると思っていたんです。なぜ残っているのか?
きっと貴男に買って頂くものだったんでしょう。」と。。。

その後、青山さんが来られあの作品の解説をお聞きした途端に
正直言って購入したことを一旦、後悔しました。
なぜなら
私が思ってた以上のあの作品への青山さんの重い重い覚悟と想いを
知ってしまったからです。

サインを頂くのに並んでいると私の前の方へのサインが
目に飛び込んできました。
「祖国は甦る」
蘇るではなく、甦る。
そうだ、青山さんはいつも「祖国は甦る」と言う。
じゃぁ「蘇る」っていうのは。。。。

青山さんに『ぼくらの哲学』に「脱」のサインを頂く順番になった際、
まっさきに出た私の言葉が
「とんでもないものを買わせて頂くことになりました。」でした。

青山さんの
「あの作品が最後まで残ってたらショックで。
拉致被害者の方々に申し訳ない。
IDCの方に買って頂けて本当に嬉しいです。」
の言葉で先程までの一旦の後悔はばっと晴れたのです!

言うまでもなく、青山さんのブログは本人が何度となく「全部見て公開・非公開を判断」していると言っています。よって、このコメントは青山さんから見て致命的な事実誤認は無いということでしょう。

そして、青山さんが値段をつけていないものの、売れることを期待していたということが伺えます。

気になるのは青山さんがどういう解説をしたのかということ。

芸術作品の解説を本人が展示の場でするというのはかなり異例だなとは思います。

これはなかなか判断が難しいですね。

青山さんと画廊との契約内容がどうなっていたのか、正直わかりません。

画廊の大雅堂側(青山千春博士もですが)による値付けについては口を出さないことになっていたのかもしれませんし、アート作品の全てに値段をつけることが決まっていたなら、ブルーリボンバッジのアートのみの値付けの撤回を求めるのは均衡を欠くと判断したのかもしれません。

青山さんがこの作品に込めた想いがどういうものか、知る由もありませんが、個人的には、ブルーリボンバッジという国民全員のメッセージが込められた物に対して、個人が追加的な意味合いを付加して値段を上乗せして販売するというのは避けるべきだったと思います。

政治家の寄附行為として公職選挙法違反?

さらに、公職選挙法では、公職者による選挙区内の方への寄附が禁止されているところ、青山さんが作品を画廊に「提供した」ことがこれに抵触するのではないか?という疑念を持つ者も居ました。

アート作品の提供については事案を伏せて総務省に確認しましたが、明確な判断は得られませんでした。総務省には、「寄附」に関連する条文について確認したのみに終わりました。

公職にある者の寄附の制限については公職選挙法199条の2に規定されています。

(公職の候補者等の寄附の禁止)
第百九十九条の二 公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。以下この条において「公職の候補者等」という。)は、当該選挙区(選挙区がないときは選挙の行われる区域。以下この条において同じ。)内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附をしてはならない。ただし、政党その他の政治団体若しくはその支部又は当該公職の候補者等の親族に対してする場合及び当該公職の候補者等が専ら政治上の主義又は施策を普及するために行う講習会その他の政治教育のための集会(参加者に対して饗きよう応接待(通常用いられる程度の食事の提供を除く。)が行われるようなもの、当該選挙区外において行われるもの及び第百九十九条の五第四項各号の区分による当該選挙ごとに当該各号に定める期間内に行われるものを除く。以下この条において同じ。)に関し必要やむを得ない実費の補償(食事についての実費の補償を除く。以下この条において同じ。)としてする場合は、この限りでない。

まず、青山さんは参議院の比例区選出の議員です。

ですので、日本全国において、寄附が禁止されます。

アート展は青山さん個人の名において、現代アートを展示する目的で一般に対して公開されたものですから、但書きに該当するような事情もありません。

すると、残る問題は「寄附」に該当するのか?ということになります。

自己のアートを画廊に「提供」することは寄附になるのか

公職選挙法で禁止されている「寄附」とは以下のようなものです。

(収入、寄附及び支出の定義)
第百七十九条 この法律において「収入」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の収受、その収受の承諾又は約束をいう。
2 この法律において「寄附」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付、その供与又は交付の約束で党費、会費その他債務の履行としてなされるもの以外のものをいう。
3 この法律において「支出」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付、その供与又は交付の約束をいう。
4 前三項の金銭、物品その他の財産上の利益には、花輪、供花、香典又は祝儀として供与され、又は交付されるものその他これらに類するものを含むものとする。

青山さんと大雅堂との間でどのような契約が交わされたのか、分かりません。

ただ、青山さんのブログに、「作品提供」の法的性質を示唆する記述があります。

★たいせつな追加 ( 先ほどのエントリー「きのう、今朝、この昼と午後、今夜、あした」に補足 )|青山繁晴の道すがらエッセイ/On the Road

画廊からの連絡によると、朝のオープンと同時に、どっと沢山の方が来られているそうです。

おそらくご存じなのでしょう。大半の作品が、今日を限りに見られなくなることを。
ぼくは75点の作品を出しました。
そのうち7割以上が、すでに個人によって購入されています。(値付けは、画廊の担当責任者と、青山千春博士が協議して決めました。今後も開催ができるようにするためです。ぼくらは利益を目的としていません。ぼく自身は値付けに一切、タッチしていません)
すなわち、多くの作品は今日の午後6時を過ぎると、個人蔵になります。
特別の事情などがない限り、一般には二度と公開されません。
ぼく自身も、見ることはできなくなります。

ぼく自身は、本であっても、完成した瞬間から読者の手で別の生きものとして新しく生きると考えていますから、現代アート作品や、水彩抽象画などについても同じ考えです。
だから、自作との別れをあらかじめ受容しています。

 「個人蔵」とはどういう意味でしょうか?

美術家が説明しているものを見つけました。

作家蔵」とは異なるものですし、本人も見ることができないと言っているのですから、所有権は青山さんには無いのでしょう。

とにかく、アート作品の扱いがどうなってるのか判然としません。

青山さんからアートが「無償で大雅堂に譲渡された」(つまり所有権が大雅堂に移った)のちに個人が購入したのか?

この場合には「青山さんが作成したアート作品は、寄附が禁止されているモノにあたるのか?」という問題になります。

または、青山さんは作品を出展する、大雅堂はそれをコーディネートして展示する。そのような関係において、何らかの債務の履行として大雅堂へ一旦は提供されたのかもしれません。

大雅堂は作品の譲渡を受けておらず、法的には直接販売していたのか?

それとも青山さんに所有権は残ったままで大雅堂は単に展示方法をコーディネートしただけであり、直接青山さんから個人へ売買により所有権が移ったという性質のものなのでしょうか?

ちなみに、公職の者が自分の持ち物を売却してはいけないという規定はありません。

そんなことをしたらブックオフに本を売るということもできません。
(国会議員がブックオフというのもそれはそれでなんかいやですが…)

ですからその場合には公職選挙法上の「寄附」にはあたらないということになります。

この場合は売れ残った作品は青山さんの手元に返還されたはずですが、どうなんでしょう?ちょっと可能性としては薄い気がします。

まとめ:違法ではないと思う

青山さんのアート作品群が「無償で大雅堂に譲渡された」としても、それが禁止されている寄附に当たるのかどうかは不明です。

青山さんの発言からは、アート作品はいったん大雅堂に譲渡されているように思います。

ただ、その場合であってもアート作品を展示するという、いわば債務を大雅堂が負っているようなものであって、公職選挙法が禁止しているような、相手方が単純に寄附を受けて利益を得るような状況とは一線を画している気がします。

私としては、これは違法でもなんでもないと思います。

以上:はてなブックマークをして頂けると助かります。

【上級外国人】外交官車両が駐車違反金の踏み倒しの外交特権

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外交官車両、特にチャイナとロシアの外交官が駐車違反金を踏み倒ししていることが分かりました。外交官特権とその扱いについて整理します。

上級外国人:外交官車両が駐車違反金を踏み倒し

【独自】外交官車が駐車違反金“踏み倒し” 悪用される「外交特権」(フジテレビ系(FNN)) - Yahoo!ニュース

東京都内で駐車違反をした外国の外交官ナンバーの車が、放置違反金の支払いを無視し、時効を迎えたケース、「踏み倒し」が、年間3,000件にのぼる
ー中略ー
国内の外交官ナンバーの登録台数は、およそ2,000台。
年間に踏み倒された件数は、その1.5倍になる。

外交官ナンバーが放置違反金を踏み倒した割合は、一般の車の280倍にのぼる計算。

さらに、1件あたりの違反金を1万5,000円とすると、踏み倒しの総額は4,500万円にのぼる。

また国別では、踏み倒し3,000件のうち、ロシアがおよそ25%(約750件)中国がおよそ20%(約600件)を占めていたこともわかった。

一般の車の280倍って、それでも事実上許されている(許されてないが)のは特権ですね。まさに【上級外国人】。時効が成立しているものもあるようです。

外交官特権・外交特権とは

外交特権は以下の条約で決まっています。

【外交関係に関するウィーン条約:Vienna Convention on Diplomatic Relations

「領事関係に関するウィーン条約」とは別ものです。

外交官="diplomatic agent"については、身体の不可侵(逮捕・抑留・拘禁の禁止)刑事裁判権の免除等が規定されています。

外交特権を有する者に対する警察の取り締まりについては、別途通達が出ています。

たとえば以下です。

外交特権等享有者並びに米軍及び米軍構成員等に対する駐車対策法制適用要領の制定について(通達)(平成 28 年 6 月 21 日岡指第 359 号警察本部長例規)

外交特権を有する者に対する交通反則通告制度の適用 

外交官車両については、違反金を滞納した場合には滞納処分はできませんが、「車両の使用制限命令」が出せるそうです。 

外交特権等享有者並びに米軍及び米軍構成員等に対する駐車対策法制適用要領の制定について

7 滞納処分及び車両の使用制限命令
(1) 外交ナンバー車両の使用者に対して車両の使用制限の命令を執行する場合は、事前に警察庁交通局交通指導課から外務省に通知することから、時間を要することに留意するとともに、外交使節団等の長の同意を得ずに大使館等の公館に立ち入り、又は当該使用者の同意を得ずにその住居に立ち入らないこと。

実効性があるのか疑わしいのですが、 実際に車両使用制限命令を発出したことってあるんでしょうか?

外交官車両の特徴・見分け方

日本のナンバープレート - Wikipediaの記述に即すると、外交官の車両のナンバープレートは青地の板(「ブルーナンバー」と呼ばれたりする)に、白色で「外」または「領」や「代」の一文字と4桁または5桁のアラビア数字が記されており、例を挙げると、外交官車両のナンバープレートは「外‒8276」のようになります。

私も都内で見かけたことがありますが、サイドミラー付近に日本国旗と当事国旗が付けられていました。これが必ず掲揚しなければならないことなのかは分かりません。

「外交官車両を見かけたら注意しろ」という話を聞いたこともあります。

事故を起こされても賠償請求できないからです(任意の支払いの可能性はあるが)。

でも、最近は救済手段が用意されているようです。 

西野法律事務所 外交官ナンバー

現在、日本の外務省では青ナンバー発行に際しては「任意保険の加入」を義務付けています。青ナンバーを付けて運転をしている、という事は「任意保険に加入していて、日本国内の道路交通法も守るし、損害賠償もする」という意思表示に他なりません。

まとめ:「上級国民」よりも重大

現在、池袋の交通事故の犯人の扱いを巡って「上級国民」という標語を用いて、犯人が優遇されているとして非難が湧き起っています。

しかし、それよりも外交官車両の駐車違反金の踏み倒しの方が重大事案のハズです。

なぜなら、「上級国民」の事例は罪証隠滅逃亡のおそれが無いとして逮捕していない可能性も多分にしてある一方、「上級外国人」の事案は、外交車が違反金の踏み倒ししてるのは明らかに故意ですし、にもかかわらず優越的な立場を利用して不払いを続けていることもハッキリしていますからね。

「上級国民ガー!」って騒いでる人で外交官車両の件は怒らないというのは、事故が凄惨なものであるから騒いでるってことですかね?

本質は【社会的地位の悪用ないし国家権力の過度な配慮】のハズでは?

以上

【平成30年版】高齢者の交通事故は若者より多いのか?:年齢別統計データ

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高齢者の運転ミスによる痛ましい事故が起こる度に話題になる高齢者の交通事故率。

果たして他の年代よりも多いのでしょうか?

警察庁の交通事故統計表から平成30年度の最新データを抽出していきます。

警察庁の交通事故統計表について

警察庁 統計表のページに交通事故の統計がまとまっています。

この中で、年齢別の事故の傾向を知るには「年報」欄のデータを見ると良いです。

その中でも「事故を引き起こした運転者」に焦点を当てているのが【交通死亡事故の特徴について】と【交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について】です。

それ以外のデータは「被害者」の視点から論じているものもありますので、今回のように運転者の年齢別によって事故の確率はどう違うのかを調べるには少し手間がかかるものになっています。

また、【交通死亡事故の特徴について】は年度毎にテーマが決まっているのか、年度によって詳細に論じている内容が変化しています。

 

年齢層別の免許保有者の交通事故件数

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平成30年中の交通事故の発生状況

年齢層別、免許保有者10万人当たりの交通事故件数の推移グラフです。

上から16~19歳、20~29歳、80歳以上が事故件数が多いです。

それ以外の年代毎の差異はほとんど無いのが分かります。

このグラフを見ると、「高齢者よりも若者の方が事故を起こしやすい」という結論になるでしょう。少なくとも高齢者の方が事故を起こしやすいという傾向は、このデータからは読み取れません。

ここで疑問に思う人が居るんじゃないでしょうか?

おかしいな?高齢者の事故の方が多く報道されているような気がするぞ?

おそらくこれには理由があると思います。

高齢者が運転する交通死亡事故の特徴

高齢者の運転による交通事故と死亡者

平成29年における交通死亡事故 の特徴等について:https://www.npa.go.jp/toukei/koutuu48/H29siboubunnseki.pdf

現在「交通事故 高齢者」などで検索するとこの図があるページと上記のグラフがあるページがヒットすると思います。

このデータは「死亡事故」に絞ったデータであることに注意です。

これを見ると、免許人口10万人当たりの死亡事故件数は80歳以上と16~19歳の年代が突出して多いのが分かります。

5年ごとに年代を区切ったグラフであり、免許人口について10万人当たりの数値を出していますから、各年代ごとの人口比は無関係に理解できます。

上記グラフは平成29年度のものですが【平成30年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について】においても折れ線グラフとテーブルデータがあります。

さて、交通事故が起きても大々的に報道されるのは大抵が痛ましい事故」です。

ですから、死亡事故を多く起こす高齢者が運転者である事故が比較的多く報道されているのではないか?という仮説が立てられます。

もちろん、報道各社毎に交通事故の加害者の年齢層毎に報じられた件数を調べる、なんていう面倒なことはできないので確定的なことは言えませんが、可能性としては在り得ると言えるでしょう。

さて、もう一つ思い浮かぶ可能性として「高齢社会だし、高齢者は人口構成比が多いから事故も多いのでは?」というものがありそうですが、そちらはどうでしょうか?

高齢者の交通事故「件数」は若者より多いのか?

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平成30年中の交通事故の発生状況

こちらは「件数」について示したグラフです。

20代から70代までは10年分の年代ですがそれ以外の年代は単純比較できません。

とはいえ、やはり年代別に事故件数が多いのは20代、30代、40代の順になっているので、「高齢者が人口構成比で多いから…」というのは誤りと言えるでしょう。

人口構成については総務省統計局のこちらを参照

さて、高齢者の事故は増えてるのでしょうか?

また、なぜ高齢者は事故を起こすのでしょうか?

高齢者のドライバーが事故を起こす理由・原因

高齢者による事故について集中的に分析を加えている平成29年における交通死亡事故の特徴等についてから抜粋します(平成30年のものは分析が充実していない)。

  1. 75歳以上、80歳以上の高齢運転者ともに、免許人口当たり死亡事故件数は減少傾向にある
  2. 一方、75歳以上、80歳以上の高齢運転者は、75歳未満の運転者と比べて約 2.1倍、約 2.9倍高い水準にあり、高齢運転者ほど死亡事故を起こしやすい傾向が続いている
  3. 高齢運転者による死亡事故件数と全体に占める割合は増加の傾向
  4. 75歳以上の高齢運転者は、操作不適による事故が最も多い
  5. そのうち、ブレーキとアクセルによる踏み間違い事故は、75歳未満が全体の0.8%に過ぎないのに対し、75歳以上の高齢運転者は6.2%

ブレーキとアクセルの踏み間違いが高齢運転者では全体の8倍程度あるということから、死亡事故が多いというのは頷ける結果でしょう。

まとめ:老人と十代、二十代の比較データは複数ある

  1. 交通事故一般については、10代、20代の方が他の年代に比べて事故率が高い
  2. 死亡事故率については、10代と80歳以上の高齢者が突出して高く、75~79歳、20~24歳が続く
  3. 高齢者の免許人口当たり死亡事故は減少傾向にあるが、死亡事故の件数と全体に占める割合は増加傾向
  4. ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故が高齢者は多い

老人の交通事故については「若者よりも多い・若者より少ない」という主張がなされることがありますが、それは見ているデータの対象が違うために認識にずれがある可能性があります。

ネット上では死亡事故と事故一般の両方を比べて検討しているところは少ないと思われますから、ここで認識を合わせてほしいと思います。

以上

モラ―(ムラー)特別検察官の報告書全文:トランプ大統領のロシア疑惑に関するMuller Report

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トランプ大統領の大統領選に際するロシア疑惑について、モラ―(ムラー)特別検察官の報告書が公開されました。

報告書全文の所在と簡単なガイダンスを付け加えます。

モラ―(ムラー)特別検察官の報告書全文

Read the Mueller Report: Searchable Document and Index - The New York Times
魚拓はこちら

ニューヨークタイムズのページに455ページの全文が公開されています。

インデックスもついていて、ジャンプすることもできます。

ただ、約10%は黒塗りになっています。

報告書についての大枠は以下でまとめられています。

See Which Sections of the Mueller Report Were Redacted - The New York Times

Mueller Reveals Trump’s Efforts to Thwart Russian Inquiry in Highly Anticipated Report - The New York Times

トランプ大統領のロシア疑惑に関する解説

“ロシア疑惑” 特別検察官の報告書には何が | NHKニュース魚拓はこちら

報告書は3部構成です。

  1. ロシア疑惑(共謀)の有無
  2. 司法妨害の有無
  3. 大統領の書面回答

このうち、本丸はロシア疑惑についてです。

細かい事実が認定されていますが、最終的には共謀は認められないと結論付けました。

司法妨害の有無についても同様です。

ただ、これについてもトランプ大統領は「フェイクだ」と主張しています。

モラ―レポート(Muller Report)はフェイクニュースだ

特定の人々によって為された私についての声明がトンチキなモラ―報告書にあり、報告書は民主党の怒り狂ったトランプヘイター18名によって書かれている。当該文書は、それ自体が捏造されており、完全に虚偽である。

私は証言することに同意しなかったので、私についての「報告書」に書かれた声明に答える必要はなかった。そのうちのいくつかは全部デタラメか、他の誰かさんを見栄え良くするため(或いは私を印象悪くするため)だけに書かれている。これは決して起こらなかったはずの違法なデマである。

具体的な部分がわかりませんが、モラ―レポートでは「共謀」は認定されなかったものの、トランプ陣営の者がロシア側と接触したということ等を認定しています。そういった部分について言っているのでしょうか?

また、2つ目のツイートは「大統領の書面回答」についてのものでしょう。

「大統領だから告訴されない」というデマ

「アメリカ大統領は任期中に告訴されないという紀律があるから告訴されないだけだ」

このようなことを言っている者がいますが、デマです。

報告書ではロシア疑惑(共謀)も、司法妨害の事実も認定されていません。

ですから、大統領だから告訴できないと言うための前提が欠如しています。

TVやネットメディアでは「むしろトランプの疑惑が認定された」と言っている者もいますが、疑惑は疑惑でしかないのであり、現時点での資料によっては法的な責任を問うことのできる実体的事実は見つからなかったということが報告されています。

まとめ:不起訴であり、無罪である

トランプ大統領のロシア疑惑についてはメディアが正確に報じていません。

そういうこともあってか、ニューヨークタイムズは全文を公開しているのでしょう。

別件で「選挙時にトランプが女優に口止め料を支払ったことが認定されれば訴追される」というデマもありますが、以下で示したようにたとえ口止め料支払の事実が認定されても違法の評価を受けるようなものではありません。

トランプ大統領の元顧問弁護士マイケルコーエンに有罪判決:司法取引報道のフェイク 

以上