事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

「次亜塩素酸水は有効」とメディア「空間噴霧は非推奨」を隠蔽して報道

6月26日、経産省・厚労省・消費者庁が合同で除菌剤の有効性評価を行った結果を発表しましたが、メディアが「次亜塩素酸水は有効」という言葉だけを報道し、「空間噴霧は非推奨」であるとしたことを隠蔽しています。

次亜塩素酸水の空間噴霧は非推奨

f:id:Nathannate:20200626205213j:plain

厚生労働省・消費者庁と合同で、新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について取りまとめました (METI/経済産業省)

新型コロナウイルスに有効な界面活性剤及び次亜塩素酸水を公表します(最終回) (METI/経済産業省)

  • 人が吸入しないように注意してください。人がいる場所で空間噴霧すると吸入する恐れがあります。
  • 空気中の浮遊ウイルスの対策には、消毒剤の空間噴霧ではなく、換気が有効です。

はっきりと、次亜塩素酸水の空間噴霧は非推奨であると明記してあります。
(安全性評価はしていないとも明記しているが、つまりは安全であるという確認が取れていないという事。安全であるという主張立証責任が空間噴霧推奨側に課せられている)

次亜塩素酸水だけでなく、今回検討された他の除菌製品のすべてにおいて非推奨です。

しかし、一部メディアはこの点を隠蔽して報道しています。

メディアは「空間噴霧は非推奨」を隠蔽して報道

「次亜塩素酸水」は有効、NITEが発表|TBS NEWS (魚拓

新型コロナウイルスに対する消毒効果の有無が議論になっていた「次亜塩素酸水」について、製品評価技術基盤機構=NITEが、一定濃度以上で十分な量を使用すれば有効であるとする検証結果を発表しました。

 「次亜塩素酸水」は、消毒液が不足する中、アルコールの替わりになるものとして利用が広がってきましたが、有効性についてのデータがなく、NITEが実際のウイルスを使用して調査を行ってきました。

 NITEによりますと、次亜塩素酸水は35ppm以上の濃度があれば、20秒後に99.99%以上のウイルスが死滅したと認められました。ただし、消毒する際に、まず表面の汚れをよく落とし、十分な量を使用する必要があるといいます。

 一方で、今回の調査では、安全性についての検証は行っていないとしています。

新型コロナの消毒に次亜塩素酸水は「有効」政府の委員会が結論 - ライブドアニュース(魚拓

これらの報道は、「次亜塩素酸水は有効」とだけ報じ、どういう場合に非推奨なのかを明示していません。次亜塩素酸水の空間噴霧を広めることで利益を得ようとする団体におとって都合の良い報道である反面、日本国民の生命身体に対して危険を与える有害な報道だと思います。

空間噴霧でなく、「流水でかけ流すとき」「拭き掃除」の場合には有効だということが確認されたということです。

他方で、NHKは「空間噴霧は非推奨」である旨も併記しており、これが今回の件について、本来報道されるべき内容です。

「次亜塩素酸水 一定濃度以上 十分な量使用で効果」経産省など | NHKニュース

一方、人がいる場所で空間に噴霧すると、吸入してしまうおそれがあるとして、人が吸入しないよう注意を呼びかけるとともに、空気中のウイルス対策には、消毒剤の噴霧ではなく、換気が有効だとしました。

特に人体に付着したウイルスの除去や感染予防を目的とする場合には、医薬品、または医薬部外品としての承認が必要ですが、現時点で、空間噴霧用の消毒剤として承認が得られた製品はない、ということです。 

「次亜塩素酸水」は多義的、空間除菌製品は成分表示がいいかげんな商品が溢れ

f:id:Nathannate:20200626205931j:plain

空間除菌を謳う商品は成分表示がいいかげんなものが溢れかえっています。

上記画像がその例です。「安定型複合塩素」って何でしょうか?

それが人体への使用が禁止されている「次亜塩素酸ナトリウム」だったらどうするんでしょうか?

一般に「次亜塩素酸水」と言うとき、その意味内容は多義的であり、国も【塩酸又は食塩水等を電解することにより得られる水溶液次亜塩素酸(HCLO)を主成分とする電解水】という公約数的理解を示しているだけです。

そのような認識がある中で、たとえ「次亜塩素酸ナトリウム」は除外したとしても、単に「次亜塩素酸水」とだけ書かれている製品は、その成分が不明であり、人体への安全性や、ウイルス対策の有効性に関して消費者の判断を誤らせる状況なので、注意喚起がなされています。

 「次亜塩素酸水」の使い方・販売方法等について(製造・販売事業者の皆さまへ)令和 2 年 6 月 26 日現在 経済産業省、消費者庁、厚生労働省

除菌製品の学校現場での空間噴霧に注意

除菌製品の空間噴霧についての案内は以下のように変遷しています。

6月上旬まで⇒「次亜塩素酸を含む消毒薬の噴霧については、吸引すると有害であり、効果が不確実であることから行わないこと」

参考:社会福祉施設等における感染拡大防止のための留意点について

6月16日⇒事実上、有人空間への次亜塩素酸の空間噴霧をする場面がありうるかのような表現

参考1:学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」 魚拓1 魚拓2

参考2:新型コロナウイルスに有効な界面活性剤を公表します(第二弾) (METI/経済産業省) 魚拓1 魚拓2

6月26日⇒次亜塩素酸水含む、あらゆる除菌製品の空間噴霧の有効性について非推奨と明言

参考1:厚生労働省・消費者庁と合同で、新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について取りまとめました (METI/経済産業省)

参考2:新型コロナウイルスに有効な界面活性剤及び次亜塩素酸水を公表します(最終回) (METI/経済産業省)

「空間除菌」はまったく有効ではないし、学校現場では子どもの生命身体への安全も考えればあり得ないのですが、一時期にせよ、国民に危害を与えかねない案内になっていたことは深く憂慮すべき事態だったと言えます。

次亜塩素酸噴霧を推奨する民間団体が騒いでいるようですが、そういう利益集団に科学が負けてはなりません。

非科学的な「空間除菌」

次亜塩素酸水とは何か 空間除菌は可能なのか - 左巻健男|論座 - 朝日新聞社の言論サイト

「次亜塩素酸水」の普及目指す団体に、噴霧反対の医師や科学者が苦言

「ウイルスに効くなら基本的に人体にとっても有害」「接触感染・飛沫感染ルートの新型コロナ対策に空間除菌というのは手段がずれている」といった指摘が専門家から出ています。

こうした状況で何らかの除菌製品の空間除菌・噴霧を推奨する団体・個人は、非科学的態度であり、PCR検査を無制限に行えとする人間と何ら変わり在りません。

以上

受信契約義務を認めずNHK敗訴、イラネッチケーテレビを「受信設備とは言えない」

イラネッチケーを取り付けたテレビが「NHK放送を受信できる設備とは言えない」として、受信料債権の発生を主張するNHKが敗訴しました。

受信契約義務を認めずNHK敗訴、掛谷英紀教授も歓喜

契約義務認めず、NHK敗訴 視聴不可テレビ設置―東京地裁:時事ドットコム

判決によると、女性はNHKによる受信料の強制徴収に批判的な意見を持っていた。インターネット上で、筑波大准教授がNHKの信号だけを減衰させるフィルターを開発していることを知り、連絡。2018年10月、准教授が代表理事を務めるNPOからフィルターを取り付けたテレビを3000円で購入し、自宅に設置した。
 NHKは、フィルターを取り付けたとしてもテレビの構造上、NHK放送を受信できる機能が備わっており、復元も容易だと主張。女性は受信契約の締結義務を負っていると訴えていた。
 小川裁判長は、女性が設置したテレビを「NHK放送を受信できる設備とは言えない」と指摘。復元するのも困難だとして、NHKの主張を退けた。その上で、「受信契約締結義務を負うと認めることはできない」と結論付けた。

筑波大准教授(掛谷英紀)が開発した「NHKの信号だけを減衰させるフィルター」

これはイラネッチケーという商品名であることは有名な話です。

イラネッチケーテレビを「受信設備とは言えない」と初判断

今回の判決は、【イラネッチケー】を取り付けたテレビを「NHK放送を受信できる設備とは言えない」と初めて判断したという点に重要性があります。

これまでの経緯は以下でまとめていますが、実は同様の判決はこれまで存在していませんでした。次項でも少し解説します。

受信設備の設置の外形的事実が原則

東京地方裁判所平成28年7 月20日 平成27年(ワ)第26582号では以下判示しています。

 放送法及び本件規約が受信設備の「設置」という外形的事実を基準として,これに当てはまる者に放送受信契約の締結を義務付け,その者が原告の放送を実際に視聴するか否かにかかわらず,等しく受信料の支払義務を負担させるものとしていることに照らすと,本件規約9条が定める同契約の解約の要件に当たるか否かについても,同様の外形的事実を基準として判断すべきものと解するのが相当である。

 被告は,本件工事を行ったことにより,本件受信機で原告の放送を受信することはできない状態にあると主張するが,被告の主張によっても,被告の自宅に原告の行う地上系によるテレビジョン放送を受信する機能を有するデジタル放送対応テレビが設置されているという外形的事実に変わりはなく,被告が本件工事の施工を依頼した者に復元工事を依頼するなどして本件フィルターを取り外せば,本件受信機で原告の放送を視聴することができるのであるから,本件フィルターが取り付けられたことにより原告の放送のデジタル信号が遮断されて現に原告の放送を視聴することができない状態にあるとしても,これをもって,被告が「受信機を廃止すること等により,放送受信契約を要しないこととなった」ということはできない。
 したがって,本件解約届の提出によって本件契約が解約されることはなく,被告は平成28年3月分の受信料の支払義務を免れない。

これはあの「NHKから国民を守る党」の立花孝志氏が債務不存在確認訴訟を起こした事例です。

この東京地裁判決は「受信機の設置」の有無という外形的事実を基準に契約義務の発生或いは解約の成立を判断するとして、イラネッチケーを取り付けて現実に視聴できなくても復元できれば視聴可能だから「受信設備の設置」は未だ継続していることになる、と言っています。

逆に言えば、「復元できなければいいんじゃね?」という抜け道が見えた判決でもあるのです。

イラネッチケー設置方法:取り外しが容易か

立花氏もそのように考え、平成28年8月29日に再度、債務不存在確認訴訟を東京簡易裁判所に提起しました。訴状の中で次のように処置を施したと書いています。

原告が、平成28年8月27日に原告現住所に設置した「テレビ2」は、被告の放送だけを遮断する機能を有したカットフィルタ(以下「イラネッチケー」と言う。)が、アンナナ入力端子から取り外し出来ないように、強力な接着剤と、一度締め付けたら緩めることが出来ないボルトで取り付けられていますこの取り付け方法は、もしイラネッチケーをアンテナ入力端子から取り外そうとした場合、「テレビ2」の入力端子がつぶれてしまい、「テレビ2」は、被告の放送も民放の放送も受信出来なくなる(部品取り替え修理をしないとすべての放送の受信が出来ない程度の故障になる)ように取り付けられています。

魚拓:http://archive.is/dd3yA

取り外しが容易か否か」 という基準は、いろんな法律の解釈の場面で登場しますので、このロジックはまともなものであると言えます。

結局この訴訟は平成29年1月19日に債務は不存在であるという判決になったのですが、判示は以下のようになっています。

NHKは裁判で債務が存在しないことを争わないと主張していることをもって、原告(立花)の法律上の地位の危険や不安が終局的に除去され、裁判所が容認判決をせずに訴訟を終了させても、将来に禍根を残すことがないとまでは言えない。よって、原告(立花)の本件訴えは適法である。

これは民事訴訟の構造が分からないと理解できません。

まず、この裁判の中でNHKは立花氏に債務は存在しないことは認めていましたしかし、そもそも裁判をするようなことではないため、訴えは訴訟要件を充たさず却下(門前払い)されるべきだ、と主張していたのです。

上記の判示も、立花氏の訴訟が訴訟要件を充たしているかどうかについての判断をしているだけであり、取り外そうとすると受信機が壊れるようにイラネッチケーを取り付けたことが「受信機の廃止をすること等」にあたるかどうかは判断していません

これはNHKの戦略だったのだろうと思います。

NHKとしては「イラネッチケーを取り外し困難な程度に固定すれば大丈夫か」を争点にすると、その点が認められた上で敗訴する可能性がある、という認識だったことが伺えるからです。

今回の判決は、このようなNHKの逃げも許さなかったという点で、新規性があります。

取り外しが容易でなければ「視聴可能性」なし

さらに言えば、今回の判決は、NHKの受信料債権が生じるための条件についての前提も関係しています。

東京高等裁判所 平成23年(ツ)第221号 放送受信料請求上告事件 平成24年2月29日

受信料債権は、現行法上、私人間の契約に基づく債権と構成されておりー中略ー受信料とは文字どおり受信(視聴可能性)の対価であり、受信と受信料に対価性があることは明白である。

 受信料債権が何によって発生するかを判示した判決ですが、「電波を受信したこと」 でもなく「現実の視聴」でもなく「視聴可能性」との対価であると言っています。

ですから、テレビを設置している世帯自体にNHKの電波が届いていようが、テレビ自体に視聴可能性がなければ=イラネッチケーを取り外しが容易ではない程度に取り付けていれば、受信料債権は発生しないということが予想されていました。

そして、今回はその通りになりました。きわめて論理的な結末であると言えます。

 

次亜塩素酸水の空間噴霧「人が吸入しないように注意」政府が見解

次亜塩素酸水の空間噴霧

次亜塩素酸水の空間噴霧について政府が見解を出しました。

有人環境での空間噴霧は非推奨の立場だということが明確になりました。

次亜塩素酸水の空間噴霧「人が吸入しないように注意」

厚生労働省・消費者庁と合同で、新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について取りまとめました (METI/経済産業省)

新型コロナウイルスに有効な界面活性剤及び次亜塩素酸水を公表します(最終回) (METI/経済産業省)

政府は、経産省・厚労省・消費者庁と合同で新型コロナウイルスに対する消毒方法の有効性評価を行ってきており、このたび、一部の界面活性剤と次亜塩素酸水も有効であることが確認された一方、「次亜塩素酸水の空間噴霧」については非推奨である立場を明確にしました。

次亜塩素酸水は表面塗布は効果あり・空間噴霧は非推奨

6月26日のリリースでは、次亜塩素酸水は、表面塗布する場合には、一定濃度以上(塩素濃度は拭き掃除80ppm以上、かけ流し35ppm以上)かつ十分量を使わないと効かないということ、人がいるところで空間噴霧は吸入するから非推奨である、ということが示されています。

他方で、空間噴霧については非推奨(安全性・有効性の両面からは有人環境・無人環境のいずれも非推奨)である旨が書かれています。

浮遊中のウイルスには空間噴霧ではなく換気が有効

新型コロナウイルスに有効な消毒・除菌方法(一覧)

「次亜塩素酸水」の使い方について(関連資料④

関連資料を添付します。

次亜塩素酸水よりも換気

次亜塩素酸水の販売実態・表示方法に注意喚起

「次亜塩素酸水」の使い方・販売方法等について(製造・販売事業者の皆さまへ)

今回のリリースでは、製造・販売事業者に対して、次亜塩素酸水の販売実態・表示方法に注意喚起しています。

「次亜塩素酸水」という名称で言い表される成分が一様ではなく、中には「次亜塩素酸ナトリウム」という人体有害物質も混ざっている商品が多い中で、曖昧な成分表示をするのは避けるべきであるという旨を指摘しています。

たとえば空中噴霧や直接噴霧の用途での除菌グッズには、以下のような商品が巷に溢れています。

「成分:安定型複合塩素」とは何でしょうか?

このようないいかげんな表記での販売は、人体に有害な影響をもたらす可能性がぬぐえない上に、ウイルス対策にとっても有効ではないので、社会的に有害だと言えます。

文科省の学校における新型コロナウイルス対策にも影響する

文科省は経産省のリリースを参考にして学校現場における新型コロナウイルス対策としての除菌方法として、次亜塩素酸水についても言及していました。

学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」~:文部科学省

経産省のリリースでは6月初頭には次亜塩素酸水の空間噴霧を「禁止」していましたが、6月16日には「空間噴霧の安全性評価は行っていない」として、「有人環境での空間噴霧は注意する事」という旨の、半ば容認する態度でした。

しかし、今般、「空間噴霧は人が吸引しないよう注意する事」「空気中のウイルス対策には消毒剤の空間噴霧ではなく換気が有効」と明示したことで、事実上、次亜塩素酸水の空間噴霧を非推奨することになりました。

よって、学校現場での対策マニュアルも、これに合わせて改訂されることが見込まれます。

以上

「立命館大学の金友子講師が朝鮮学校無償化の嘆願書を書かせた」というデマについて

立命館大学の金友子、嘆願書

出典:駐大阪韓国文化院:https://www.k-culture.jp/info_news_view.php?number=1363

「立命館大学の金友子(キムウジャ)講師が授業中に朝鮮学校無償化の嘆願書を書かせた」「成績に影響する」とする言説についてSNSで何度も拡散されているので、改めて情報を整理しました。

「金友子(キムウジャ)講師が朝鮮学校無償化の嘆願書を書かせた」というデマ

魚拓

この話が広まった発端はこのツイートのようです。

結論から言うと「金友子講師が朝鮮学校無償化の嘆願書を書かせた」というのはデマなのですが、このツイート自体はデマであるという認定はできません。

経緯は以下になります。

立命館大学は金友子講師の行為が不適切だとして指導

授業内における学生団体の要請活動への本学嘱託講師の対応について

 現在、ネット上で取り上げられている標題の件について、事実が確認できましたので、以下の通りご報告いたします。

 2013年12月13日、本学嘱託講師が、授業において朝鮮学校無償化に対するアピールをさせて欲しいとの受講生からの要望を受け、当該受講生が所属する学生団体による説明、嘆願書の配布、回収を許可しました。その際、同講師は嘆願書への署名は任意であること、署名と成績とは無関係であること、そして嘆願書は署名の有無に拘わらず学生団体の担当者が回収することを、受講生に対しアナウンスをしました。なお、学生団体の担当者が回収したため、同講師は嘆願書の提出者や記入内容については関知しておりません。

 しかしながら、結果として受講生に同講師が嘆願書への署名を求めたかのような誤解を与えてしまいました。このことは、大学として不適切であったと考え、講師に対し、指導を行いました。なお、受講生に対しては、授業内において改めて説明いたします。

 多くの方にご心配とご迷惑をおかけしましたことを心からお詫び申し上げます。また、今後、このようなことが再発しないように徹底してまいります。

                                                    立命館大学

2014年1月のニュースリリースによれば、立命館大学は金友子講師の行為が不適切だとして指導したようです。

受講生とは立命館大学の正規の学生なのか」については不明です。

「授業において」というのが、後述のように「授業時間を利用して」という意味であることからは、少し注意するべきだったと言え、大学の指導が行われたのは仕方がないと思います。

出席カードと共に配布したのか」についても、よくわかりませんが、好意的に考えると講義時間の真っ最中ではなく終わり際に配布した可能性があります(出席カードを講義時間中に予め配布して講義の感想を提出させるスタイルの場合など考えられるが)。

受講生が集まっている状況を利用する、というのは良くあることで、それ自体は規制しろとは言いませんが、こういうものは講義の時間外に行うべきだと思いますし、私の経験からしても、講義者とは異なる主体によるチラシやアンケート等の配布は、そのように行われていた記憶があります。

なお、このリリースは何故か現在、見ることができません。

片山さつき議員が文科省に事実関係の確認を求めたが

片山さつき Official Blog : 立命館大学の女性講師が講義を行う際に出席カードと一緒に朝鮮学校無償化の嘆願書を配布し、学生に記入させた件の文科省説明。

本日の文部科学省からの事実関係のヒアリングは、以下の通りです。

 問題になった授業は、昨年12月13日、立命館大学コリア研究センターの女性研究員による、一般教育科目である「東アジアと朝鮮半島」の授業の中で行われました。
 当日の授業は、ゲストスピーカーを招いて、京都朝鮮学校占拠事件について取り上げるものでした。
 授業時間の中で、学生クラブ団体”朝鮮クラブ文化研究会”が、朝鮮学校無償化の嘆願書を配らせてほしいと申し入れ、当該研究員は、これを許可しました。
 その際当該研究員は、「嘆願書への署名は任意であること、署名と成績とは無関係であること、そして嘆願書は署名の有無に拘わらず学生団体の担当者が回収すること」を、受講生に対しアナウンスした、ということでした。

大学リリース後に片山さつき議員が文科省に説明を求めた際のものですが、大学リリースとほぼ同じことしか書いていません。

唯一、「当日の授業は、ゲストスピーカーを招いて、京都朝鮮学校占拠事件について取り上げるもの」だったということくらいでしょうか。

そういう流れでの嘆願書の配布であったため、講義を受けた学生からすれば「講師が書かせた」かのような印象、「成績に影響する」という疑念を持ってしまっても仕方がないと言えます。外部からみても、講義時間内であるということからは、そういう外観を持ってしまっていると言えます。

何らかの研究に利用するなどの類のものではなく、政治活動ですからね。

一般論として、「実は裏で繋がっていて、回収は別でも講師が賛同した学生の名前とかチェックしてるんじゃないの?」などと言われる危険は、その講師自身が引き受けるべきでしょう。それを回避したいなら、自らの講義時間とその影響下での嘆願書の類の配布は避けるべきでしょう。

朝鮮学校差別に反対する在日朝鮮人大学生連絡会・全国協議会の学生が主体

「外国人学校、民族学校の制度的補償を要求する文部科学省へのメッセージ」募集運動にご協力を!! - 朝鮮学校を知ろう!考えよう!応援しよう!キャンペーン魚拓

「朝鮮学校差別に反対する在日朝鮮人大学生連絡会・全国協議会」では、「朝鮮学校を知ろう!考えよう!応援しよう!キャンペーン」の一環としてて外国人学校、民族学校の制度的保障を要求する文部科学省へのメッセージを集めています!!

どうやら嘆願書の出どころと署名を求めた主体は「朝鮮学校差別に反対する在日朝鮮人大学生連絡会・全国協議会」のようです。立命館大学における事案に関しては、実体ある団体としては"学生クラブ団体”朝鮮クラブ文化研究会”の活動として行われていたようです。

一応、講師とは別主体による活動の一環であるという事情が存在していることが分かります。

ネットニュース媒体が「講師が書かせた」と記事化するも削除

ガジェット通信やハムスター速報が記事化したが、削除されたという記録が残っています。ここには載せません。

なお、この件と無償化除外の件について、お決まりのように「差別」の話として論じている者がいます。この件にはそういう側面からの非難があったのは事実ですが、基本的には単なる事実誤認の範囲です。

また、無償化除外については、学校教育法上、朝鮮学校と同じ分類なのは学習塾などがあり、そういう所も無償化にしろ、と言っているのと同じなのでそれを「差別」と言うのは牽強付会もいいところです。

まとめ

  1. 立命館大学の金友子講師の講義中に朝鮮学校無償化の嘆願書が配布されたのは事実
  2. 嘆願書の配布主体は受講生所属の学生団体であり、回収についても金友子講師が関っているという実態は確認できない
  3. 立命館大学は「結果として受講生に同講師が嘆願書への署名を求めたかのような誤解を与え」たため不適切として同講師を指導したとリリースを出しているが、現在はリリースが削除されている

2020年現在でもなぜか何度も拡散されてるので、経緯をまとめました。

以上

蓮舫議員の事業仕分け「2位じゃダメなんですか?」発言が正しいとする評価にもにょる


『蓮舫議員のスパコン事業の事業仕分けにおける「2位じゃダメなんですか?」発言は正しい』という評価がSNSで広まっていますが、何かもにょったのでその原因を書いていきます。

蓮舫議員の「2位じゃダメなんですか?」発言への見解

結論から、私の蓮舫議員の「2位じゃダメなんですか?」発言に関する見解は以下です

  • スパコン事業の事業仕分けに関しては正しい
  • 蓮舫議員の「2位じゃダメなんですか?」発言はやはり不適切
  • メディアの力を利用しようとした自業自得

以下のようなツイートがあり、その評価に引きずられている人が多いのですが…

議事録を読んだ上で、上記評価となりました。 

行政刷新会議ワーキングチーム「事業仕分け」

事業仕分け(平成21年11月)第3会場評価結果・議事概要

行政刷新会議ワーキングチーム「事業仕分け」第3WG 平成 21年度 11月 13日(金)

文科省や理化学研究所の説明では、「10ペタクラスの世界最高性能のスパコンを作る」、ということが強調されていました。

スパコン事業の目的と演算速度世界1位という手段

議事概要の12ページから13ページにかけて、金田康正という円周率計算ソフト「スーパーπ」などを開発した計算機科学の教授の発言が重要だと思います。

スーパーコンピューターというのは物だけを作るのが目的ではなく、スパコンを支える技術が継承される環境、競争させて良いものが作られる環境など、日本のインフラ整備あるいは外国に伍して競争できるような人材を輩出するような土壌を継続的なものにしよう、という趣旨の話をしています。

その中で演算速度についても以下指摘がありました。

○金田評価者 省略
もう一つ複数のセンターをつくるときの問題は、デバッグをやるときに、フルノードを使 わ ざ る を 得 な い わ け で す 。そ の 間 、本 来 の 計 算 が と ま る ん で す 。そ う い う こ と も あ っ て 、複 数 個 あ っ て 、実 際 使 う と き に 10 ペ タ が あ っ た と し て も 、使 う こ と は ま ず な い 。1 ペ タ を10 台に分けてやった方が、よほど皆さん助かるということになるんだと思います。
見ていて、現場というか、こうやれば日本のインフラ整備あるいは外国に伍して競争できるような人材を輩出するような形の構想になっていないような気がするんです。それが私の感じるところです。 

演算速度1位の意義

○金田評価者 長年スーパーを見ていて、今の議論についてかなりおかしなところがいっぱいあるような気がします。
まずベクトル云々という話がありましたけれども、実は地球シミュレーターでIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次報告書を出したときには、基本的にはベクトル構造なんです。ソフトウェアというのは、皆さん、書かれていないからおわかりにならないでしょうけれども、マシンが変わると物すごく大変な作業をするんです。
ちなみに私は円周率の記録を持っていますけれども、1兆桁の記録を出したとき、1年8か月かけて4倍性能が上がる。要するにそれくらいかけないと上がらない。逆に言うとマシンというのは、使い方を一生懸命やると、性能が出るものではあるんです。

つまり、演算速度1位というのはスパコン事業の目的じゃなくて手段の1つだろうと。

刹那的に1位を獲得しても、他国の開発環境・運用環境によってすぐに追い越されるのは目に見えているのに、なぜ演算速度の世界一に固執しているのか?

その理由を問うた際の説明は以下になります。

○泉内閣府大臣政務官 省略

もう一つは、アメリカが 24 年までに同じ 10 ペタのものをつくろうとされているというふうに伺っている中で、日本としてのトップワンでいられる期間は、どれくらいだと考えておられるのか。恐らくアメリカが本気で挑戦をすれば、すぐまた順位が入れ替わるということが想定されるのではないかという中で、果たして一時的にでもトップを取るというこ と の 意 味 が 、本 当 に ど れ く ら い あ る の か と い う こ と も 、併 せ て お 聞 き し た い と 思 い ま す 。

省略

○説明者((独)理化学研究所) 省略
先ほどから、例えば費用対効果の話が出ておりますけれども、サイエンスには費用対効果に馴染まないものもございます。勿論、経済効果とかそういうことも必要でございます 省略

○中村進行役 その一般論は皆さん共通の認識でございますので、これだけのお金をかけてこれを来年度やる必要性について、具体的にお答えください。
○説明者((独)理化学研究所) こうした国民に夢を与える、あるいは世界一を取ることによって夢を与えることが、実は非常に大きなこのプロジェクトの1つの目的でもあります。

こんな調子の説明しかできていなかったというのが実際です。

ですから、当該事業をいったん凍結したというのは、正しかったなと思います。

蓮舫議員の意図は「1位じゃないとダメなんですか?」

蓮舫議員の「2位じゃダメなんですか?」発言はこうした文脈から出てきたものです。

○蓮舫参議院議員 思いはすごくよくわかるし、国民に夢を与えるものを、私たち全員が否定しているものでは全然ありません。ただ、ちょっとわからないのは、今回あと 700 億円を投じて、今回のスパコンができること。この段階で既に 100 億円を超える予算超過をして、今後 700 億円を投じて国民に夢を与えたい。それは本当にこの額が必要なのかどうかというところを、もうちょっと教えていただきたいんですけれども。
国家に必要な最先端IT技術の獲得が目標にあるんです、そして比較参考値で、今日いただいた中には、中国が1ペタを開発していて、アメリカが間もなくで、もう日本はアメリカの後にいるんだと。世界一になる理由は何があるんでしょうか。2位じゃだめなんでしょうか
あるいはアメリカがつくった後に、そこになってある意味ソフトあるいはどこかで共同開発、つまり日本とアメリカが一緒にできるような、何かそういう夢の共有というのは、できないんでしょうか。なぜ1位なんでしょうか。

本人も一番じゃなきゃダメですか?などという書籍にしていますが、要するに、蓮舫議員の発言は【文科省や理研が、スパコン事業において演算速度1位を獲ることに固執する必然性に対する疑問を投げかけた言葉であった】ということです。

「予算をとにかく削ろうとして単に目標を下げる」ということを意図したものではなかったように見えます。

「2位じゃダメなんですか?」は、やはり不適切

それでも、やはり蓮舫議員の発言は不適切だと思うのです。

議事録の前後を見れば、蓮舫議員も演算速度の向上をしつづける事(その結果として世界一の速度を実現すること)それ自体は否定しておらず、ただ、複数ある手段の中で演算速度だけ1位になること(しかもそれ自体は刹那的なもの)に固執する意味は無いだろうという意味で言及しているのが分かります。

しかし、だからこそ、なおさら「2位じゃダメなんですか」というのは出てこないハズの言葉ではないかと思うのです。

本人はたとえ話として発した言葉なのかもしれません。「2位」にその通りの意味はなく、3位だろうが4位だろうが、とにかく「1位以外であってはいけないという国側の説明に対するアンチテーゼ」だったのでしょう。

ただ、「2位じゃダメなんですか」発言は、まるで2位という特定の順位を狙うようにしか聞こえないし、演算速度の向上をしつづける事すらスポイルするような印象を受けます。

そういう意味で、蓮舫議員が議論の本筋を正確に理解していたかどうかに疑問符がつく発言なのです。その場の他の専門家に乗っかって言っているだけなんじゃない?と。

そして次の点も要考慮事項だと思います。

メディアの力を利用しようとした自業自得

「2位じゃダメなんでしょうか?」発言はメディアの報道によって大きく取り上げられ、その後にネットで継続的に話題にされてきたという経緯があります。

ネット民がアーカイブから持ってきて広まった、という拡散経路ではありません。

そもそも民主党政権の「事業仕分け」という演出装置は、マスメディアによる報道を期待して作られたものじゃないですか。

その力を利用しようとしたら、自分がその餌食になってしまった。自らその罠にハマったということでしか無いと思います。

「発言を切り取られた」と言うのは簡単ですが、「いや、あなた方はその手法を(平成21年当時ですら)散々やってきたでしょう?」としか思いません。

以上

桜井誠の上念司への抗議、2018年「日韓断交はバカ右翼」発言が原因「虎ノ門ニュースの時間帯に街宣車で行く、選挙中だから止められない」

f:id:Nathannate:20200624161823j:plain

DHC・虎ノ門ニュース2020年6月24日

桜井誠の上念司への抗議の原因が2年以上前の発言であり、さらには選挙運動に仮託した権利濫用行為の予告も行われていることが分かりました。

桜井誠の上念司への抗議「虎ノ門ニュースの時間帯に街宣車で行く、選挙中だから止められない」

https://www.youtube.com/watch?time_continue=1&v=zl27U84zbFU&feature=emb_logo

https://www.youtube.com/watch?v=DMrhA0c8dwg

2019年12月にUPされたこれらの動画に収められている音声では、桜井誠氏が「虎ノ門ニュースの時間帯に街宣車で行く、選挙中だから止められない」「普段は街宣車が入ることができない区域だが、選挙期間中の選挙カーなら可能」と発言しているのが分かります。

つまり、この時点で選挙運動を利用した番組妨害活動を計画していたということです。

そして、その原因は「日韓断交はバカ右翼」発言を虎ノ門ニュースでしていたから、ということでした。いつの話でしょうか?

2018年の「日韓断交はバカ右翼」発言が原因

上念氏による「日韓断交はバカ右翼」発言がなされたのは2018年の2月が最初のようです。それ以降何度か発言したうちの一つを櫻井氏が認識したのかもしれませんが、少なくともこの時点で発言していたという事実があります。

上念司運営のジムの営業妨害予告も

https://www.youtube.com/watch?v=uTu-hjrUl-o&feature=emb_logo

もし逃げるんだったら逃げていいですよ。その代わり逃げた場合には、秋葉原にあるですね、なんかジムの前でですね、誰がやってるか分からないんですけどね、選挙演説をやると言っているだけなんですよね。何とかっていうジム、上念ジムっていうらしいんですけどね。上念さんという方がやられているジムなんでね、非常にご迷惑がかかるんじゃないかなぁってね思うんですよね。まぁ誰のジムかよく分かりませんけどね。さっぱりまったくわかりませんよね。逃げ出したらどういうことになるかということをよーく理解した方がいいんじゃないでしょうか。

上念司運営のジムの営業妨害予告も行っていました。

これが何らかの刑罰に当たるかと言うと実際に実行されたうえで、その態様を見てみないと分かりませんが(拡声器の音量など)、一応、公職選挙法上は演説内容による制限はありません。

ただ、選挙演説だからという理由で刑罰法規の適用が免除される、などという法規はありません。立候補者だからといって国会議員のような免責特権があるわけでもないので、内容・態様によっては名誉毀損・侮辱・業務妨害とされる可能性があります。

以上