事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

つるの剛士「パクチー盗まれた、現行犯は日本語わからない」⇒「外国人差別だ!」米山隆一と町山智浩が絡む

 

f:id:Nathannate:20200908135149j:plain

つるの剛士氏、Twitter上の当たり屋に絡まれて可哀想。

つるの剛士「パクチー盗まれた、現行犯は日本語わからない」

つるの剛士氏は農林水産省の農作物の盗難被害についての注意喚起をするツイートを引用リツイートして「うちの畑もパクチーやられた、現行犯だったが日本語わからないの一点張りだった」と書きました。

すると、なぜかこれを「差別だ!」と言う者が出てきました。

町山智浩「ウルトラマンティガがー!」???

映画を観ないで評論できる映画評論家の町山智浩氏が「ウルトラマンティガがー」と言っていますが、いろいろ間違っている上につるの剛士氏に「ウルトラマン関係なし!」と言われています。

米山隆一「豚泥棒が外国人という証拠は無い」???

出会い系サイトで女性と交際してお金を渡していたことをばらされて倫理上の問題であるとして新潟県知事を辞職して室井佑月と婚姻した東大医学部卒の米山隆一弁護士は、「豚泥棒が外国人という証拠は無い!」と引用リツイート。

もう意味不明すぎます。

ここでは有名人による反応を取り上げましたが、つるの剛士氏のツイートのリプライ欄には、同様に意味不明な糾弾、人格攻撃をしているツイートがたくさんあります。

つるの剛士氏を攻撃して「外国人差別」の問題を捏造したい連中

論理的には外国人であっても日本語が堪能な場合もあるし、日本人であっても日本語がわからないフリをして外国人のフリをする場合も考えられますが、「日本語がわからない様子」以外にこのような事情もあるため、確率としては(そこで働いている)外国人である可能性が高いと言えます。

いったいなぜ被害者側が糾弾されなければならないのでしょうか?

それにしても、なんでもかんでも「差別問題」にしたい連中というのは、一定の傾向があるんですよね。

以上

尖閣中国船衝突事件「中国人船長釈放は菅直人が指示」と前原誠二が証言

f:id:Nathannate:20200908094520j:plain

https://twitter.com/maehara2016

みんな指摘していていたこと。

尖閣中国船衝突事件「船長釈放は菅直人が指示」と前原誠二が証言

船長釈放「菅首相が指示」 前原元外相が証言 尖閣中国船衝突事件10年 主席来日中止を危惧 - 産経ニュース

前原誠司元外相が産経新聞の取材に対し、10年前の平成22年9月7日に尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖の領海内で発生した海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件で、当時の菅(かん)直人首相が、逮捕した中国人船長の釈放を求めたと明らかにした。旧民主党政権は処分保留による船長釈放を「検察独自の判断」と強調し、政府の関与を否定してきたが、菅氏の強い意向が釈放に反映されたとみられる。

前原氏によると、国連総会に出席するための22年9月21日の訪米出発直前、首相公邸に佐々江賢一郎外務事務次官ら外務省幹部とともに勉強会に参加。その場で菅氏が公務執行妨害容疑で勾留中の船長について「かなり強い口調で『釈放しろ』と言った」という

尖閣諸島沖での中国船衝突事件について。

「船長釈放は菅直人が指示」と前原誠二が証言しました。

在職時の公式見解と異なる発言をしたと外から評価されるようなことを口走ったという重大事件ですが、産経以外は報じないのでしょうか?

 

当時の前原外務大臣の公式見解

外務省: 外務大臣会見記録(要旨)(平成22年9月)

【フリーランス 岩上氏】先ほど法務大臣の記者会見がありまして、そちらへ参っていたのですけれども、こちらで大臣が今回の中国漁船の拿捕の件、そして中国漁船の船長の釈放の件などに関して、記者の質問に答えて、ご説明がありました。その中で、那覇地検は拿捕、逮捕した後、これを釈放するかどうかの判断に際して外務省から説明を受けて、外交的な観点からも考えて釈放をしたというようなお話がありました。この件について、外務省はどのような説明をされたのか。
また、この判断というものは、検察だけの単独の判断と今まで説明されていますけれども、外務省がどのように影響を与え、政府として、どのような意思を実際には下したのか、あるいは伝えたのかということについて、もう少しご説明願えないでしょうか。

【大臣】検察の要請に応じて、外務省の職員が説明をしたということは事実でございますただ、私(大臣)が報告を受けておりますのは、尖閣の歴史的な経緯、今回の事案に関わる、例えば中国側の一連の動き、そういった事実関係を話をしてきたということでございまして、例えば日中関係全般に関わる今後の在り方とか、そういうことではなくて、現在どのような反応を中国が示しているかということも含め、説明をしてきたと聞いておりますので、私(大臣)はそれを踏まえて、検察が判断をされたものだと認識をしております。

このように、当時の前原外務大臣の公式見解は、検察が判断したもの、とでした。

ただ、「外務省の職員が説明をした」とも言っています。

菅直人⇒外務省職員⇒検察

という伝達経路で、最終的に検察が判断したということは変わらないということなんでしょうか?

中国人船長釈放に関する菅直人政権の答弁書

中国漁船の我が国巡視船への衝突事案に係る中国人船長の釈放及びビデオ記録の取扱等に関する質問主意書提出者  秋葉賢也

 九月二十五日、那覇地検は勾留していた中国人船長を、処分保留のまま釈放した。那覇地検次席検事は、「日中関係を考慮」した結果としているが、本来、検察は法と証拠に基づく職務の執行が本務であり、今回のように外交関係を考慮するというのはまさに越権行為と言わざるを得ない。外交はまさに内閣の専管事項であり、政治主導を掲げて政権交代を果たした民主党政権は、まさに検察庁法第十四条の指揮権を発動して、検察に船長の釈放を指示すべきだったと考えるが、政府の認識を明らかにされたい。

検察庁法

第十四条 法務大臣は、第四条及び第六条に規定する検察官の事務に関し、検察官を一般に指揮監督することができる。但し、個々の事件の取調又は処分については、検事総長のみを指揮することができる。

中国人船長釈放に関する菅直人政権の認識を問うた質問主意書と答弁書があります。

平成二十二年十月二十二日受領 答弁第五一号 内閣衆質一七六第五一号 平成二十二年十月二十二日 内閣総理大臣 菅 直人

について
 御指摘の事件の被疑者を処分保留のまま釈放したことは、検察当局において、犯人の性格、年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び情状に加え、社会情勢の変化や当該事件の処理が社会に与える影響を含む犯罪後の情況を本件事件に関する諸事情の一つとして適切に考慮した結果であると認識している。

菅直人政権は公式に「政治主導ではなく検察の判断である」、としています。

確かに、形式上は釈放は検察庁法14条の指揮権が発動された結果ではないということになります。しかし、菅直人の指示の事実上の影響があったということであれば、それは法の形式を潜脱して検察の独立性を害した行為であるから、非難されてしかるべき政治的な行為でしょう。

外務省職員を噛ましたら指揮権発動では無くなるというのであれば、事実上の指揮権発動なんて、いくらでも出来てしまいますよね?

「仙谷由人官房長官が菅首相の意向を受けた」産経新聞阿比留記者の指摘

産経新聞阿比留記者は2013年の時点で以下記事を書いています。

【阿比留瑠比の極言御免】欺瞞に満ちた民主、菅・仙谷コンビの「中国人船長釈放」(1/3ページ) - 産経ニュース

尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖で、海上保安庁の巡視船に体当たりした中国船の船長が超法規的に釈放されて丸3年となった24日付の本紙を読み、あの日の怒りと失望がよみがえった。当時の仙谷由人官房長官が菅直人首相の意向を受け、船長を釈放するよう法務・検察当局に働きかけたことを明かしていたからだ。

仙谷由人官房長官が、菅直人首相の意向を受けて検察当局に働きかけたことを暴露していることを報じていました。

マスメディアの報道内容

当時のマスメディアはどう報じていたのか?

asahi.com(朝日新聞社):尖閣沖の衝突事件、中国人船長を釈放 「日中関係考慮」 - 尖閣諸島問題

東シナ海の尖閣諸島沖で中国漁船と石垣海上保安部(沖縄県石垣市)の巡視船が衝突した事件で、那覇地検は24日、同保安部が公務執行妨害の疑いで逮捕した中国人船長、せん其雄(せん・きゆう、せんは憺のつくり)容疑者(41)を処分保留のまま釈放すると発表。船長は25日未明に釈放され、チャーター機で離陸した。同地検の鈴木亨次席検事は24日の記者会見で、巡視船側の被害が軽微だったことなどに加え「わが国国民への影響と今後の日中関係を考慮すると、これ以上、身柄の拘束を継続して捜査を続けることは相当でないと判断した」と説明した。一方、仙谷由人官房長官は「検察から釈放するとの報告を受け、了とした」と述べ、政治介入はなかったとの立場を強調した。

 

 仙谷官房長官の弁は当時はこのようなものでした。

中国人船長を釈放へ 那覇地検「日中関係を考慮」 (写真=共同) :日本経済新聞

沖縄県の尖閣諸島沖で中国の漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した事件で、那覇地検は24日、公務執行妨害容疑で逮捕された中国人船長、セン其雄容疑者(41)を処分保留で釈放すると発表した。政府は「検察の判断」と強調するが、検察当局が「今後の日中関係を考慮した」とするように、外交上の配慮による政治決断といえる。

中略

柳田稔法相は同日午後、記者団に「計画性がない、人的被害がない、船長に前科がない、日中関係の重要性などを考慮して処分保留のうえ釈放することにした」と述べ、指揮権の行使ではないことも強調した。馬淵澄夫国土交通相は「検察の判断で、我々は口を挟む立場にない」と表明。今後も海上保安庁による警備を続ける方針を示した。

こうした報道をしてるのですが、 その後、疑義を呈する記事が書かれた形跡は見つけられませんでした。

反中国デモは報道されず

反中国デモ「報道せず」のなぜ 外国主要メディアは次々報道: J-CAST ニュース【全文表示】

この模様は、日本のメディアでなく、海外メディアがなぜか先行して報道した。それも、米CNNや仏AFP通信、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙といった大手だ。さらに、中国・香港やタイのメディアも報じている。

ところが、日本のメディアは、ほとんどなしのつぶてだった。わずかに一部ネットニュースなどが報じたのみだ。これに対し、ネット上では、これだけ大規模なデモなのになぜ報道がないのかと、疑問が噴出。2ちゃんねるでは、スレッドが次々に立つお祭り騒ぎにさえなっている。

なぜ、日本のメディアの多くが報道しなかったのか。

私がこの件で調べているうちに、当時の周辺事情に関する報道の状況も浮かび上がってきました。

反中国デモが行われて海外メディアは報じているのに日本のメディアはほとんど報じなかったという事実。確かに私も当時の憤慨を記憶しています。

以上

IBDネットワークが安倍総理辞任に伴う病気への無理解な言動に声明

IBDネットワークが安倍総理辞任に伴い声明

安倍総理辞任に伴う病気への無理解な言動に対して、ある難病患者会が声明を出しました。

IBDネットワークが安倍総理辞任に伴う病気への無理解な言動に声明

未来を拓く声明 2020 年 9 月 6 日 NPO 法人 IBD ネットワーク

安倍内閣総理大臣の辞任を契機に、病気をもつ人への無理解な言動が SNS を中心に散見されています。それらの言動を見聞きすることで、潰瘍性大腸炎だけではなく、難病を持ちながら働き、一生懸命毎日を生きている多くの人たち、とりわけ若者が傷つき、揺れています。

IBDネットワークが安倍総理辞任に伴い、SNS等で病気に対する無理解な言動が見られたことに苦言を呈しています。

また、難病を持つ者の置かれた状況について、端的に説明して理解を求めています。

IBDネットワーク:クローン病と潰瘍性大腸炎の患者会

クローン病と潰瘍性大腸炎 - IBDネットワーク

IBD(Inflammatory Bowel Disease=炎症性腸疾患)とは通常
潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis)
クローン病(Crohn’s Disease)
のことをさしています。
それぞれ大腸、 または大腸及び小腸に認められる難治性の慢性の腸炎です。

IBDネットワークとは、全国のIBD(炎症性腸疾患)患者会の集まりです。

そうした団体が本件で声明を出したということは重要であり、報道されるべきだと思うのですが、日頃から「社会的弱者の味方」を気取っている人たちやメディアはこれを無視するんでしょうか?

難病でなくとも「医学では正常」な不調を持つ者から

さて、世の中には難病認定されていないが非常に辛い身体の調子の者も居ます。

医学上は「正常」と判断されていても、ストレスやらなんやらで不調を来している者は居ます。

私も、振り返ってみれば「あれは精密検査すれば何らかの病気と認定されていたかもしれない」と思う症状はこれまでありました。

花粉症」だって市民権を得たのはここ最近のことで、それ以前は単に「春の陽気で眠くなってるだけだ、気合が足りない」と言われることがあったんですから。

安倍総理の潰瘍性大腸炎に対するSNS等での非情な言動は、そうした経験を持つすべての人々から反感を買ったと思います。

以上

石破茂が「あつ森」を総裁選に利用するも規約違反の疑いで動画削除又は非公開に

f:id:Nathannate:20200906144141j:plain

自民党の石破茂議員が「あつ森」を総裁選に利用するも規約違反の疑いで動画非公開になりました。

石破茂議員が「あつ森」を総裁選に利用

石破茂議員が「あつ森」を選挙運動或いは政治運動に利用しているという報道。

石破茂議員の他にはアメリカのバイデン大統領候補が居ますが、アメリカでは禁止規定が存在していないということでグレーゾーンとみられていました。

ニンテンドーネットワーク利用規約違反?

ニンテンドーネットワーク利用規約ではユーザーコンテンツの共有または送受信等を行うことができるとしていますが、その6条15項で「政治的な主張を含むもの」がある場合には「この限りではない」としています。

また、13項では「宣伝または商用を目的とした広告、勧誘その他これに類するもの(ただし、任天堂が特別に許可したものを除きます。)」とあります。

よって、任天堂社から特別に許可を貰っていない場合には規約違反になると考えられますが、「政治的な主張」の場合はよくわかりません。

Youtube動画が削除又は非公開に

結局、石破茂議員の「あつ森」Youtube動画が削除又は非公開になりました。

9月6日の14時10分頃までは動画が視聴できたみたいです。

石破茂議員の総裁選特設サイトからも、この動画へのリンクは見当たりません。

これは……

やっちゃったのかもしれません。

以上

朝鮮学校無償化愛知訴訟,最高裁でも原告敗訴:自律的運営の欠如と朝鮮総聯の介入

朝鮮学校と朝鮮総聯の不当な支配と教育内容

愛知朝鮮高校の無償化を求めた訴訟で最高裁でも原告敗訴となりましたが、これに関する報道が少しミスリーディングなので本件の内容を整理します。

朝鮮学校無償化訴訟

朝鮮学校無償化訴訟は東京・大阪・愛知・広島・福岡で提起されていました。

このうち、東京と名古屋と福岡は元生徒ら(卒業生)が原告、広島と大阪は朝鮮学校の運営法人が原告です。

最高裁判決が出ていたのは東京・大阪訴訟で、いずれも原告(朝鮮学校・卒業生側)が敗訴しています。大阪訴訟では地裁で原告が勝ちましたが、高裁で覆りました。

広島・福岡は地裁で原告が敗訴した後、高裁での審理が続いています。

広島高裁では2020年10月16日、福岡高裁では10月30日に判決言渡しの予定です。

朝鮮学校無償化愛知訴訟、最高裁でも敗訴

朝鮮学校の無償化除外 元生徒たちの敗訴が確定 NHK

2審の名古屋高等裁判所は、去年10月、「学校の運営に朝鮮総連=在日本朝鮮人総連合会が介入し、北朝鮮の政治指導者を崇拝しその考えやことばを絶対視するようになっている。教育基本法に規定がある『教育の不当な支配』にあたり、国の判断は違法とは認められない」と指摘し、1審に続いて元生徒らの訴えを退けました。

朝鮮学校無償化愛知訴訟も、最高裁で敗訴が確定しました。

しかし、この記事だけを見ると、「教育内容」だけをもって教育基本法上の「不当な支配」を認定したと理解する者が出てきます。「朝鮮総連の介入」も、「教育内容」にのみかかっている書き方になってます。

 

教育基本法

(教育行政)
第十六条 教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。

「勘違いする者」が出現

NHKの記事を引用する者が、「教育内容」だけのせいで「不当な支配」が認定されたと勘違いしてこのようなツイートをしています。
まぁこのアカウントは確信犯でしょうけど

こういう存在を再生産する報道はやめていただきたい。

教育内容以外の不当な支配

名古屋地裁 平成30年4月27日判決 平成25(ワ)267 平成25(ワ)267

最高裁判決文は手に入っていませんが、名古屋高裁の判決文を見ると、名古屋地裁の判決文を踏襲しており、補充主張に対する追加的判示が為されている部分が多いため、ネットでも見れる名古屋地裁の判示内容から、「教育内容」以外の事情で「不当な支配」を認定したものを示します。

朝鮮総連の傘下団体の教育会が実質的に朝鮮学校の運営をしている疑念

a すなわち,愛知朝鮮学園の理事会は,同学園の業務を決し,理事の職務の執行を監督するとともに理事長を選任する機関であり(私立学校法64条5項,36条2項,35条2項,愛知朝鮮学園寄附行為〔甲全4の10〕5条2項,17条),評議員会は,理事を選任するほか,予算や事業計画など学園の業務に関する重要事項に関する諮問を受ける機関である(私立学校法64条5項,38条,42条1項,愛知朝鮮学園寄付行為〔甲全4の10〕6条1項,22条)等,いずれも愛知朝鮮学園の運営に関して重要な役割を果たすべき存在である。

b しかしながら,前記イ aのとおり,朝鮮総聯のホームページには,平成24年3月まで,「朝鮮学校の管理運営は,朝鮮総聯の協力のもとに,教育会が責任をもって進めている」との記載が存在していたのであり,この記載は,朝鮮学校の運営が朝鮮総聯の傘下団体である教育会において実質的に行われているのではないかとの合理的疑念を生じさせるものである。

朝鮮高校の管理運営をしているとする愛知朝鮮学園については、朝鮮総連と人的に密接な関連を有し、北朝鮮から多額の資金援助を受けていることが認定されましたが、それだけでは「不当な支配」の合理的疑念を認定するべきではなく、一般的関与を超える介入であって、教育本来の目的を歪めるものに至っているかを検討するべきだとしてこのような詳細な認定をしています。

その事情の一つとして、朝鮮総連の傘下団体の教育会が実質的に朝鮮学校の運営をしている疑念が指摘されています。この根拠がホームページ上に「朝鮮学校の管理運営は,朝鮮総聯の協力のもとに,教育会が責任をもって進めている」との記載が存在していたことです。現在は消されていますが、魚拓はこちら

f:id:Nathannate:20200905185439j:plain

愛知朝鮮学園の借入債務が教育会名義で会計上の意思決定が自律的に行われていない疑念

c また,準学校法人が学校の運営費のために行う借入金は,評議員会に諮問した上で(私立学校法64条5項,42条1項1号),理事会において決すべき事項であるところ(同法64条5項,36条2項),前記イ bのとおり,平成23年時点で愛知朝鮮学園がRCCに対して負っていた約14億円の借入債務は,学校運営費のための借入金であるとの説明がされているにもかかわらず,その多くが教育会名義での借入れとなっている。しかも,支援室からの確認に対し,愛知朝鮮高校は,上記借入債務について,理事会・評議員会の意思決定の有無を確認できない旨の回答をしているほか,借入れの詳細が分かる書類も学園内には存在しない旨を回答するなど( イ,同エ),理事会・評議員会において意思決定を自律的に行っている準学校法人とは考え難い回答をしている。

  1. 愛知朝鮮学園の借入金債務が教育会名義
  2. 借入債務について理事会・評議員会の意思決定を確認できない
  3. 借入れの詳細が分かる書類も学園内には存在しない旨

これでは会計上の意思決定が愛知朝鮮学園の自律的判断において行われているとすることは困難でしょう。

他の訴訟の判示でも指摘されていますが、これでは補助金を投入しても教育に使われるのではなく別目的に転用される危険が高いでしょう。

愛知朝鮮学園の理事会開催状況が不存在

そして,上記借入れが行われたのは平成9年から13年頃のことではあるが,愛知朝鮮学園は,現在の理事会の開催状況についても,理事会開催を裏付ける書類(出欠票や欠席者の委任状等)は特に存在しないと回答している上( エ),役員名簿と理事会等の出席者が一部合致していないことも確認されており(乙184),さらには,平成24年3月時点で前記bのとおりのホームページの記載もあったのだから,本件不指定処分時に,愛知朝鮮学園の理事会・評議員会が法令に従って自律的な意思決定を行っていると合理的疑念なく認められる状況ではなかったといえる。

【理事会開催状況が不存在】などという学校の管理運営の母体なんてもはやあり得ないでしょう。別の存在によって実質的に運営されていると考えるのが筋です。

教育内容が朝鮮総聯による不当な支配を基礎づける判示

教育内容についての言及は、これらに加えてのものでした。

改めてここでも紹介します。

次に,愛知朝鮮高校における教育内容について見るに,この点においても,朝鮮総聯が愛知朝鮮学園に「不当な支配」を及ぼしているのではないかとの合理的疑念が存在するといわざるを得ない。

a まず,前記イ aのとおり,朝鮮高校が使用している教科書は,平成22年以前まで朝鮮総聯中央常任委員会に置かれた「教科書編纂委員会」によって編纂されており,総聯中央副議長が責任者になるなど,朝鮮総聯の意向を色濃く反映した教科書編纂がされていたことがうかがわれる。その後,教科書の編纂者は「学友書房 教科書編纂委員会」と改められたが,学友書房も朝鮮総聯の事業体である上,学友書房が朝鮮総聯中央の指導の下で教科書編纂を行っていたことは,「朝鮮新報」の記事から認められる。

b もっとも,前記 のとおり,在日外国人学校が外国本国ないし在日民族団体から教育内容について影響を受けること自体は一般的にもあり得ることであるから,上記aの事実のみをもって「不当な支配」が合理的に疑われることにはならない。しかしながら,朝鮮高校で使用されている教科書には,北朝鮮の最高指導者を絶対視し,これを賛美・礼賛する表現が多数見られるのであって(前記イ b),その内容は,授業内容に対する批判能力が未だ十分とはいえない後期中等教育段階にある生徒に対して,一方的に偏った観念を植え付けるものなのではないかとの疑いを抱かせるものである。

c また,このような教育は,その規約上,北朝鮮の政策を高く奉じ,朝鮮総聯の綱領を固守することを任務としている朝青を通じて,朝青の加盟員である愛知朝鮮高校の生徒に対し,課外でも行われているのではないかとの疑いが存在する(前記イ c)。さらに,朝鮮総聯は,朝鮮学校において,北朝鮮の最高指導者を崇拝し,その考えや言葉を絶対視するような教育を行うべきことを,教職同等を通じて,校長や教員に繰り返し指導していることも認められる(前記イ d)。

  1. 教科書編纂が朝鮮総聯指導の下行われている
  2. 朝鮮高校で使用されている教科書には北朝鮮の最高指導者を絶対視・賛美礼賛
  3. 朝青による課外授業でも上記指導が行われている疑惑
  4. 生徒だけでなく教職員らに対する指導も存在

朝鮮学校は「自律的運営の欠如と朝鮮総聯の介入」が本質

こうしてみると、教育内容に基づく「不当な支配」の認定は、補助的な要素だというのが分かるでしょう。

むしろ、朝鮮学校が自律的運営が為されておらず、会計処理の主体であったり、運営の主体が朝鮮総聯やその傘下組織によるものであるという疑念を生じさせる事情が本丸であるのが見て取れます。
たとえばアメリカ礼賛の日本の私立高校があったとして、その運営においてアメリカの関与がまったく存在せず、自律した管理運営の事実が認められるのであれば、教育内容がアメリカ礼賛だったとしても、「不当な支配」は認められない可能があると考えられます。もっとも、そのような教育内容それ自体が是認しがたいため、ここは立法課題とされるべきだと思います。
逆に礼賛とまではいかないが巧妙なプロパガンダが要所に仕掛けられていた場合、管理運営への他国の介入の程度によって不当な支配が認定されるでしょう。

したがってNHKの報道は少しミスリーディングではないでしょうか?

朝鮮学校側は名古屋高裁において、「教育内容」については不当な支配の考慮要素とするべきではないと主張していましたが、それも退けられています。

朝鮮学校側は「教育内容への日本政府の介入」を強調して報道対応していますが、それはいつもの「差別」「お涙頂戴」の世論戦術なので、それに加担するような報道になってはいけないと思います。

以上

菅義偉議員の「国の基本は自助共助公助」すら言葉狩りする者へ

菅義偉の自助共助公助

NHKニュースウォッチ9:2020年9月2日

菅義偉議員の「国の基本は自助・共助・公助」と発言について、勘違いしている人が多いので、基本的なことを整理しました。

菅義偉議員の記者会見での「自助・共助・公助」

私自身、国の基本は自助・共助・公助であると私は思っている。自分のできる事はまず自分でやる。そして地域や自治体が助けあう、そのうえで政府が責任をもって対応する。当然のことではありますが、このような国の在り方を目指すには国民の皆様から信頼をされ続ける政府でなければならないと思っています。

菅義偉議員は、自民党総裁選出馬記者会見で「国の基本は自助・共助・公助」と語りました。

これに対して「順番がおかしい!」「行政の側が強調するな!」「責任逃れだ!」などと文句を言う者が居ます。

しかし、菅義偉議員は「国は自助・共助を尽くさない者には助け舟を出さない」などとは決して言っていません。そのような見方は非常に狭い理解であり、一種のストローマン論法に過ぎません。

社会保障制度改革推進法の規定

社会保障制度改革推進法

(基本的な考え方)
第二条 社会保障制度改革は、次に掲げる事項を基本として行われるものとする。
一 自助、共助及び公助が最も適切に組み合わされるよう留意しつつ、国民が自立した生活を営むことができるよう、家族相互及び国民相互の助け合いの仕組みを通じてその実現を支援していくこと。

社会保障制度改革推進法の規定に、既に「自助・共助・公助」が定められています。

順番は「自助」が最初で、「公助」が最後です。

菅義偉議員の主張と何ら変わりはありません。

そして、それらは【国民が自立した生活を営む】ために規定されています。

最初から「公助」によってズブズブにし、個人の自立心をスポイルするような環境を作るのではなく、「自助」ができるようにする、と規定しているのです。

「国は公助だけを意識すればいい」というものではないというのが分かるでしょう。

こうした考え方は何も法律によって無理やり作ったとか、近年になって新しい概念を創設したとかいう話ではありません。

米沢藩主上杉鷹山の「三助」

5 防災まちづくりの推進 | 防災情報

(1)「共助」のまちづくり
 序章で見たとおり,阪神・淡路大震災では,災害後の対応で,地域コミュニティの役割が重要であることを多くの国民が認識したところである。しかし,その後の防災意識の風化,都市部における旧来型コミュニティの機能の低下が指摘されている。
省略

コラム 上杉鷹山の「三助」の思想
 米沢藩主上杉鷹山は「民の父母」としての藩主の根本方針を次の「三助」とした。すなわち,
 ・自ら助ける,すなわち「自助」
 ・近隣社会が互いに助け合う「互助」
 ・藩政府が手を貸す「扶助」
 具体的には,「自助」実現のために,鷹山は米作以外の殖産興業を積極的に進めた。また,「互助」の実践として,農民には,五人組,十人組,一村の単位で組合を作り,互いに助け合うこととした。特に,孤児,孤老,障害者は,五人組,十人組の中で,養うようにさせた。一村が,火事や水害など大きな災害にあった時は,近隣の四か村が救援すべきことを定めた。
 天明の大飢饉では,藩政府の「扶助」として,藩士,領民の区別なく,一日あたり,男,米3合,女2合5勺の割合で支給し,粥として食べさせることとした。鷹山以下,上杉家の全員も,領民と同様,三度の食事は粥とし,それを見習って,富裕な者たちも,貧しい者を競って助けたという。
(童門冬二「小説 上杉鷹山」集英社文庫,H8.12より)

「自助・共助・公助」類似の思想は古くは米沢藩(現在の山形県)主の上杉鷹山の「三助」に見て取れます。

「自助や互助」に関して、「民間で勝手にやってろ」などというものではなく、そのような行動が可能になるよう環境整備を藩の側(つまり「公」の側)が実践していたのが分かります。

そして、民間の側(「自助」「共助・互助」)も、「扶助・公助」を見習って行動をしていたという記録があります。

山形県の隣県である秋田県出身の菅義偉議員ですから、このことが念頭にあるのではないでしょうか?

自助・公助・共助は相互連関している

冊子・計画内容(Plan)|都の基本計画|東京都政策企画局魚拓

政策の柱2 自助・共助・公助の連携による防災力の向上魚拓

現代においては例えば東京都のアクションプランにおいて、【(自助・共助の促進による地域防災力の向上)】と【(公助による防災対策の充実強化)】の項目があります。

前者においては地域の消防団員の人員を確保するために都が広報等で積極的に募集したことや、帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設の確保を推進していること、発災時に帰宅困難者が適切に行動できるよう、帰宅困難者に対して災害情報等を的確に提供していく必要などが記述されています。

ここでも都の側(「公」の側)が、自助・共助の環境整備を手伝っている構図が見て取れます。また、想像すれば分かりますが、公助を有効的に機能させるためには個人(「自」の側)が都の政策(「公」の側)について知っていれば役に立つことは論を待たないでしょう。たとえば自治体が作成した土砂災害警戒区域の情報を参照して個人的な避難計画を持っておくことなど。

このように、あらゆる分野において、自助・公助・共助は相互連関しており、切り離して論じることはまったく有益ではありません。

菅義偉議員の国会答弁における自助共助公助

第189回国会 参議院 内閣委員会 第4号 平成27年4月7日

○国務大臣(菅義偉君) 私、日本という国は衣食住、生活の基本であります、衣も食も世界で私、トップクラスだというふうに思っています。ただ、住宅政策、これはやっぱり遅れているというふうに私は思っていました。
 私、秋田から出てきたとき一番びっくりしたのは、住宅の家賃が余りにも高過ぎたんですね。そういう思いの中で、私、今自民党の、これは個人的なことで恐縮ですけれども、公団住宅居住者を守る会の会長というのを実はやっているところであります。
 ただ、やはり基本は自助自立、共助、公助ですか、そこをやはりしっかり行うということがまず基本だというふうに思っています。
 今、国交省と厚労省から所得の低い若年者に対しての対策のお話をさせていただきました。その両省がいわゆる連携を取りながら行っていくということがこれは極めて大事だというふうに思っております。ただ、その比較は、それぞれの国によって事情も違うと思いますので一概には言えないと思いますけれども、とにかくそうした対策をやはりしっかり打ちながらも、しかし、若い人にはやはりまさに自立という思いの中で取り組んでいただければというふうに思っています。

菅義偉議員の国会答弁における「自助共助公助」が出てきたのはこのシーンだけなのですが、やはり「自助自立」が最初に来るべきだということは変わっていません。

それは、「自助自立していない者には何もしない」などというものではなく、自助自立が可能になるような環境を作っていくという意味です。公の側による支援が行き過ぎると、それに依存した生活・思考回路に陥ってしまうからです。

このことは、たとえば「生活保護受給世帯」において常々指摘されてきましたし、改めて論じる必要もないくらい常識的な話です。

菅義偉の「自助・共助・公助」は深い

まず自立する・独立する、ということに意識を向けさせる菅義偉議員の「自助・共助・公助」という標語は、非常に潜勢力のある概念だと思います。

個人においてはどうか?

たとえば青山繁晴議員が「独立総合研究所」という名称の会社を興したのはなぜなのか?私のブログを見ている人は理解している人は多いと思いますが、何が人の根幹たる価値かと言えば、金があることでも名誉を得ていることでもなく、【自立した主体として生きること】であるからです。

国内においてはどうか?

中央集権体制によって霞が関官庁の規制が全国一律に渡って敷かれている現状が制度疲労を起こしていると言われ、地方分権の必要性が叫ばれています(菅議員も会見で言及)。大阪府の泉佐野市が総務省のいじめによってふるさと納税制度の対象外になったことが争われて久しいですが、地方が国の言いなりにならないといけない場面が多すぎ、国力を削いでいる現状があります(泉佐野市は最高裁で勝訴)。実は、安倍晋三議員が道州制の導入について検討を重ねていることはあまり知られていません。

国際社会においてはどうか?

国土・国民・国家主権を守るためには、まず自らの武力を充実させねばなりません。その上で集団的自衛権による補強、国際社会との連帯による抑止力を働かせることも考える。この当たり前を実現させなければならない。しかし、何ら実力の無い国家は蹂躙されてしまいます。現在の香港やウイグルのように。

菅義偉議員の「自助・共助・公助」は、普遍的なメッセージが込められた、含蓄のあるものであると考えます。

以上