事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。リンク切れに備えて魚拓を活用しています。

祝!泉佐野市ふるさと納税訴訟、最高裁で国に逆転勝訴!

泉佐野市ふるさと納税訴訟、最高裁で勝訴判決

祝!泉佐野市ふるさと納税訴訟、最高裁で国に逆転勝訴!

泉佐野市ふるさと納税訴訟、最高裁で国に逆転勝訴、判決確定

ふるさと納税訴訟 大阪 泉佐野市勝訴 市除外を取り消し 最高裁 | NHKニュース魚拓

ふるさと納税の返礼品競争が所轄官庁の総務省が想定していない展開となったために2019年3月に法改正・省令改正され、去年6月から新たな制度となった際、大阪府の泉佐野市が昨年11月以降の実績を斟酌され、多額の寄付金を集めていたことを理由にふるさと納税制度の対象から除外され(当時の総務大臣は石田 真敏)、同市が除外の取り消しを求める訴えを起こしました裁判で、泉佐野市が最高裁で国に逆転勝訴し、判決確定となりました。

(NHKの記事冒頭と文章を見比べてください。印象が変わると思います。)

おめでとうございます。

私はまったく泉佐野市と無関係ながら、総務省の横暴には怒っていたので、今回の結果は非常にうれしいです。泉佐野市の指摘する新制度の問題点は以下でまとめています。

国(総務省)は何が悪かったのか 

元々、ふるさと納税制度は全ての自治体が参入可能でした。

ところが、2019年6月からは総務省がOKを出した自治体しか制度参加が許されなくなりました。

対象外になったのは泉佐野市を含め小山町、高野町、みやき町の4都市で、いずれも「ふるさと納税の返礼品が不適切だ、儲け過ぎだ」などと総務省から指摘されていた都市でした。

これは、新たな法制度の基準に基づいて審査された結果であると、総務省側は主張していました。

しかし、それを言い出したのが法律と省令の改正案が示された2019年からなのに、審査の際に斟酌する事情は、旧制度が施行されている最中の2018年11月以降の事情であるということを省令(国会審議を経ずに総務省が勝手に決められる)で決定したのです。

これは「法の不遡及」に反し、不意打ち・狙い撃ちだとして非難されました。その他、申請のための書類の要求が煩雑で業務妨害的ですらあるという声もありました。

いわば「後だしジャンケン」だということです。

総務省の問題についての詳細はこちら:泉佐野市のふるさと納税寄付額が497億円に:メディアが報じない総務省のいじめ - 事実を整える

既に国の第三者機関「国地方係争処理委員会」(委員長・富越和厚元東京高裁長官)が、昨年9月2日、「新制度開始前の寄付の集め方を除外の理由とすべきではない」とする市の主張を認めた上で、決定書の到達から30日以内に再検討結果を市に通知するよう総務相に求めていました。

参考:総務省による泉佐野市のふるさと納税指定除外に是正勧告! - 事実を整える

泉佐野市の「Amazonギフト券」で矮小化するメディア

「泉佐野市のふるさと納税問題」として、メディアは返礼品となった「Amazonギフト券」を槍玉に挙げていましたが、泉佐野市側を悪役に仕立て、この問題を矮小化するための総務官僚との合作です。

最高裁はそういうものに惑わされないということが確認できてよかったです。

Amazonギフト券を返礼品にすることは本来の在り方としてどうなのかという議論はあり得るかもしれませんが、地場産業が希薄な都市の経営努力をスポイルする国の過剰な規制でしょう。

「外資のアマゾンだから」と叩いてる人が居ますが、これが楽天やメルカリのポイントでも、国の規制に引っかかります。

もう一つのふるさと納税関連訴訟:特別交付税の減額措置

泉佐野市の千代松市長が6月8日に特別交付税の大幅減額措置(2億5700万円⇒6200万円)について、国に決定取り消しを求めて大阪地裁に提訴したとしています。

これは、今回の最高裁で判決がでた訴訟とは別個の争いですが、ふるさと納税制度に関連する一連の事件の一つです。

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総務省令告示13-62結合.pdf - Google ドライブ

総務省自身がふるさと納税によって自治体間の競争が進むことを奨励しておきながら、地方交付税法15条の特別交付税が自治体間の衡平を図る趣旨であるからといって、寄付金が過大であることを減額事由にするのはおかしいでしょう。

このような理由での減額措置は総務大臣の裁量の逸脱濫用だと思われます。

具体的な考慮要素として、市町村に関して上画像のような新規定が設けられたのに、都道府県に関しては同様の規定が無いなど、4都市の狙い撃ちをした跡が伺えます。

特別交付税からのふるさと納税分減額措置の総務省改正省令 - 事実を整える

ふるさと納税の減額措置はなぜ悪質なのか - 事実を整える

既得権益、中央官庁の権力の源泉維持が本質

現在の日本の自治体税収というのは、中央政府(霞が関官僚)が税を徴収して全国の自治体に交付金として配分する割合が大きいです。

しかし、ふるさと納税制度は、一旦税を中央政府が国民から集めて全国に差配する仕組みとは相反しています。いわば、国民から直接自治体に税が供給されるような仕組みとなっています。

ですから、中央官僚としては権力の源泉を失うことになるのです。

この制度の規模が拡大していけば、所管省庁の権力は相対的に小さくなっていきます。

それが気に食わなかったという、既得権益を守る構造が本質だと言えるでしょう。

その観点からはふるさと納税制度自体もあまり良い制度ではないという指摘もありますが、そこはここでは論じません。

そして、過度な中央集権体制による税収格差がより本質的な問題であり、ふるさと納税はそれを是正するための、現行の枠組みにおける一手段に過ぎません。

泉佐野市など、小さな自治体を攻撃するのではなく、現行の国家の枠組み自体を変更するべきではないか、という議論をするべきです。

今後は特別交付税の減額措置、他の自治体の訴訟もあるか

泉佐野市に対する特別交付税の減額措置、他の3自治体のふるさと納税制度の対象外となった措置、これらの争いについても、自治体側が有利となったと言えるでしょう。

制度指定に関しては、高市総務大臣が最高裁判決を受けて行政側に睨みを利かせて適切な措置を行うことを期待したいと思います。

以上