事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

泉佐野市のふるさと納税寄付額が497億円に:メディアが報じない総務省のいじめ

f:id:Nathannate:20190416121808j:plain

泉佐野市のふるさと納税寄付額が497億円に達したようです。

この話、実は重要なことが報道されていません。

大阪府泉佐野市のふるさと納税寄付額497億円の報道

ふるさと納税、497億円=18年度、3.7倍増見通し-大阪府泉佐野市:時事ドットコム魚拓はこちら
ふるさと納税497億円 泉佐野市、アマゾンギフト券影響か :日本経済新聞魚拓はこちら
大阪・泉佐野市のふるさと納税497億円 - 産経ニュース
泉佐野市ふるさと納税497億円|NHK 関西のニュース魚拓はこちら。
大阪 泉佐野のふるさと納税寄付額 497億円 前年度の3.7倍に | NHKニュース魚拓はこちら
泉佐野市、18年度の寄付額497億円の見通し 3.7倍に TBS NEWS魚拓はこちら
泉佐野市、ふるさと納税497億円 前年度トップの3・7倍、アマゾンギフト券影響か - 芸能社会 - SANSPO.COM(サンスポ)魚拓はこちら
泉佐野市2018年度ふるさと納税寄付額は約497億円、前年の3.7倍に | MBS 関西のニュース魚拓はこちら

上記報道は、重要な部分に触れていません。

朝日新聞では以下報じています。

ふるさと納税「高還元」泉佐野へ497億円 市予算並み:朝日新聞デジタル魚拓はこちら

総務省は昨年11月以降に「趣旨に反する方法」で多額の寄付を集めた自治体の参加を認めない方針。

総務省がふるさと納税の指定自治体として許可をする際に、なんと昨年11月以降の行為も考慮すると言っているのです。この不当な決定を報道しているメディアがほとんどないのは、一体どういうことなんでしょうか?

総務省は昨年11月以降の取組も考慮して対象外かどうかを判断

泉佐野市が記者会見:ふるさと納税制度に異論、総務省に対して

上記記事でふるさと納税制度の根拠となる地方税法が改正されたことを受けて泉佐野市が記者会見し、総務省は「姑息で卑怯」と評したことについてその理由を整理しています。

これまではすべての自治体がふるさと納税制度に参加できました。

しかし、改正地方税法では、申告をした自治体のうち、総務省が許可した自治体しか、ふるさと納税制度の対象になりません。その結果、その自治体に住所を持つものが寄附控除を受けられなくなります。

この申告を受けた新制度が施行されるのは6月1日からです。

しかし、総務省は昨年の11月以降のふるさと納税についての自治体の行為も許可の考慮事項とするとしました。

改正地方税法では「11月以降を考慮」が書いていない

法律第二号(平三一・三・二九)
◎地方税法等の一部を改正する法律

第三十七条の二第一項中「第一号に掲げる寄附金」を「特例控除対象寄附金」に、「寄附金の額の合計額が」を「特例控除対象寄附金の額の合計額が」に改め、同項第一号中「特別区」の下に「(以下この条において「都道府県等」という。)」を加え、同項第四号中「第三項」を「第十二項」に改め、同条中第五項を第十四項とし、第四項を第十三項とし、第三項を第十二項とし、同条第二項中「前項」を「第一項」に、「同項第一号に掲げる寄附金」を「特例控除対象寄附金」に改め、同項を同条第十一項とし、同条第一項の次に次の九項を加える。
2 前項の特例控除対象寄附金とは、同項第一号に掲げる寄附金(以下この条において「第一号寄附金」という。)であつて、都道府県等による第一号寄附金の募集の適正な実施に係る基準として総務大臣が定める基準(都道府県等が返礼品等(都道府県等が第一号寄附金の受領に伴い当該第一号寄附金を支出した者に対して提供する物品、役務その他これらに類するものとして総務大臣が定めるものをいう。以下この項において同じ。)を提供する場合には、当該基準及び次に掲げる基準)に適合する都道府県等として総務大臣が指定するものに対するものをいう。
一 都道府県等が個別の第一号寄附金の受領に伴い提供する返礼品等の調達に要する費用の額として総務大臣が定めるところにより算定した額が、いずれも当該都道府県等が受領する当該第一号寄附金の額の百分の三十に相当する金額以下であること。
二 都道府県等が提供する返礼品等が当該都道府県等の区域内において生産された物品又は提供される役務その他これらに類するものであつて、総務大臣が定める基準に適合するものであること。
3 前項の規定による指定(以下この条において「指定」という。)を受けようとする都道府県等は、総務省令で定めるところにより、第一号寄附金の募集の適正な実施に関し総務省令で定める事項を記載した申出書に、同項に規定する基準に適合していることを証する書類を添えて、これを総務大臣に提出しなければならない。
ー省略ー
10 第二項から第八項までに規定するもののほか、指定及び指定の取消しに関し必要な事項は、政令で定める

地方税法の改正条文案については、平成31年の2月8日に国会に提出されました。

成立したのが3月2日で、施行されたのが4月1日です。

少なくともそれ以降の取組についてのみ評価すべきであるのに、総務省は昨年の11月以降からの取組を考慮事項としています。

しかも、その点については法律には書いておらず、総務省令に書いてあります。

総務省令は法律と異なり、国会審議によるチェックを受けずに通りますから、こういう形での恣意的なルール変更は本当に姑息だと思います。

総務省令で勝手に決めた基準による不指定・不許可という「いじめ」

地方税法施行規則及び自動車重量譲与税法施行規則の一部を改正する省令(平成31年総務省令第38号)

この省令の1条の17第2項第四号において「平成三十年十一月一日から申出書等を提出する日までの都道府県等における第一号寄附金の募集の取組の実施状況及びその結果に関する書類」の提出を求めています。

この省令は3月29日に公布されたものなので泉佐野市が気づけるわけがありません。

現に、泉佐野市の記者会見でも、11月からの取組を指定に際して考慮するということについて、総務省側からは何らのほのめかしも受けていないと説明していました。

特別交付税も減額されている

特別交付税からのふるさと納税分減額措置の総務省改正省令

今回の地方税法改正とは別に、これに先だって、特別交付税の総務省令が改正され、それによってふるさと納税分を考慮して特別交付税が減額措置となりました。

減額幅は1億数千万円程度なので、ふるさと納税分の増収が遥かに上回ってますのでざまぁみろと思います。ただ、だからといってこの減額措置が妥当だとも思いません。

問題点は以下にまとめています。

ふるさと納税の減額措置はなぜ悪質なのか

泉佐野市の不屈の精神を称えたい

497億円は泉佐野市の一般会計予算とほぼ同規模ですが、それがそのまま利益になるのではなく、経費が50%以上かかっていますし、職員の努力があってこそですから「儲けすぎ」と評するのはお門違いでしょう。

総務省は自分でふるさと納税を「自治体間の競争」を狙いとしていました。

にもかかわらず、自分らが想定していた金額を超えると、権力がふるえなくなって気に食わないのでしょう。中央集権体制の闇だと思います。

仮に泉佐野市が不指定になれば総務省の違法性を問う訴訟になると思われます。

私はこれからも泉佐野市の判断を支持していきます。

以上