天皇・皇室に関する部分について
- 安倍晋三回顧録「男系男子の旧皇族に現皇族と養子縁組して皇籍復帰してもらうのがいい」
- 「安倍総理は旧皇族の皇籍復帰は考えていない」という言説が誤りであることが改めて明確に
- 安倍元総理「女性宮家は内親王が結婚後も皇女として皇室に残るという意味ではあり得る」
- 天皇の退位特例法附帯決議と旧皇族の皇籍復帰・養子縁組、女性宮家の議論
安倍晋三回顧録「男系男子の旧皇族に現皇族と養子縁組して皇籍復帰してもらうのがいい」
私は、安定的な皇位継承策としては、男系男子の旧皇族に現皇族と養子縁組して、皇籍復帰してもらうのがいいと思います。旧皇族に復帰してもらった最初の男性には皇位継承権はなく、子どもの代から皇位継承権を付与したらどうかと考えていました。多くの人に復帰してもらう必要はありませんが、悠仁親王殿下のそばに、徳川家の御三卿のような存在があってもいいのではないでしょうか。
安倍晋三回顧録では、安倍元総理が「男系男子の旧皇族に現皇族と養子縁組して皇籍復帰してもらうのがいい」という考えを持っていたと書かれていました。
これは従前の話と整合性があるものですが、この話題は常に政治家について懐疑的な印象を抱かせる言説が渦巻いているため、改めて論じる意義があるでしょう。
御三卿とは田安徳川家、一橋徳川家、清水徳川家を指し、将軍家に後嗣がない際は後継者を提供する役割でした。
※御三家の尾張・紀州・水戸とは異なる
「安倍総理は旧皇族の皇籍復帰は考えていない」という言説が誤りであることが改めて明確に
平成31年3月20日の参議院財政金融委員会にて安倍総理(当時)が皇籍離脱をした旧皇族方に関して「GHQの決定を覆すということは全く考えてはいない」と答弁しました。
それによって「安倍総理は旧皇族の皇籍復帰は考えていない」という言説が生まれていたところ、産経新聞が同年4月1日に「私が言ったのは『旧宮家全部の復帰はない』ということだ」とする安倍総理の弁を報道していました。
それが改めて裏付けられたということになります。
現在は政界でも養子縁組案が支持される趨勢にあります。
安倍元総理「女性宮家は内親王が結婚後も皇女として皇室に残るという意味ではあり得る」
安倍晋三 回顧録【電子書籍】[ 安倍晋三 ] 260~261頁
女性宮家は、内親王が結婚後も皇女として皇室に残る、という意味ではあり得ると思いますよ。憲法上、民間人と結婚した人を特別な地位にできるかどうかという論点は残りますが、皇族の減少で、負担が大きくなっているのは事実です。ご結婚されて民間人になった時、プリンセスなどの称号を持って、いろいろな式典に出席していたただくことは十分考えられるのではないでしょうか。英国王室でも、女性は結婚後もプリンセスのままです。
幕末には、孝明天皇の妹の皇女和宮が、公武合体のために14代将軍の徳川家茂に嫁ぎましたが、その前に内親王の地位を与えられ、結婚後も徳川和宮にはならず、和宮親子内親王という地位でした。
ただ、女性宮家は、母方が天皇の血を引く女系天皇につながっていく危険性があるわけです。男系男子に限った皇位継承を世論に流されて変えるべきではありません。何百年、千年という尺度で考えなければいけない話ですから。
安倍元総理は「女性宮家は内親王が結婚後も皇女として皇室に残るという意味ではあり得る」とも言及していました。
【女性宮家の定義とは何か?】という話です。
- 単に女性皇族が婚姻後も皇室に残ること
- 皇位継承権者として皇室に残ること
- 配偶者男性に皇室の身分を与えること
- 配偶者男性やその子孫も皇位継承権者として扱うこと
安倍元総理は①番のみであれば良いだろう、という考えだったということです。
これもネットで切り取りが発生するかもしれないので、文脈を明確にします。
そして、女系天皇への橋頭保となることの懸念についてもしっかりと論じています。
これも従来通りです。
天皇の退位特例法附帯決議と旧皇族の皇籍復帰・養子縁組、女性宮家の議論
…私が当初、摂政を置くことを考えていたのは、一度退位を認めた場合、今後も時の天皇に退位を強要するようなことが起きかねない懸念があったからです。「もっと続けるべきだ」「いや、あの人に交代させた方がいい」といった議論が、宮中、政界、世論と、どこにでも起こり得るようになってしまいますから。
でも、陛下は、摂政を置くことへの忌避感が強かった。
これは皇室の研究者から聞いた話ですが、昭和天皇が摂政になった時、宮中が「大正天皇派」と「摂政派」に割れてしまい、昭和天皇は相当ご苦労なさったという。そういう話を、天皇陛下もご存じだったのかもしれません。
法案では、退位はあくまでも特例だと強調するために、当時の陛下の年齢を入れたのです。「今上天皇」という文言も入れていたのですが、最終的に民進党の要求で削除しました。
上皇陛下が天皇であった時期に譲位の意向を示した際、安倍元総理はもともとは摂政を置くことを考えていたが、大正天皇の頃の宮中の実態を知ったことが退位という方式を採ることに影響したと伺える発言が採録されています。
振り返れば、上皇陛下が譲位の意向を示したことで、現在の安定的な皇位継承のための方策に関する議論が始まったと言えます。
【「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議】が会議名ですから。ここが令和3年12月22日に報 告し、
皇位継承資格の問題とは切り離して、喫緊の課題と考えられる皇族数の確保を図る観点から
① 内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することとすること
② 皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とすることという二つの方策について今後、具体的な制度の検討を進めていくべき
と結論付けています。
この報告書では養子縁組への反対論を展開する有識者も居ましたので、それに対する私論としては以下でまとめています。
【旧皇族の皇籍復帰の憲法問題まとめ】宍戸常寿の養子縁組に関する「違憲の懸念」への反応と反論
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