事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

紀藤弁護士「宗教法人の名称変更は3年かかる、統一教会の2か月は異例のスピード認証」⇒法律上は受理から三月以内

紀藤弁護士ミヤネ屋

矛盾主張

紀藤弁護士「宗教法人の名称変更は3年かかる、統一教会の2か月は異例のスピード認証」

全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤弁護士が27日に統一教会⇒家庭連合への名称変更の手続に関して「2015年6月2日に変更申請されたものが8月26日に認証されるという、スピード認証」とツイート。引用元の宮本氏は共産党所属の衆議院議員。

また、「認証は通常3年近くかかるのが宗務実務」とも。

同様の認識で28日のミヤネ屋において発言が為されていました。

これらの発言は奇妙です。

宗教法人法14条4項(規則変更の認証に関する28条2項が準用)では3月以内に認証決定しなければならない

宗教法人法

第十四条 ー省略ー

4 所轄庁は、前条の規定による認証の申請を受理した場合においては、その申請を受理した日から三月以内に、第一項の規定による認証に関する決定をし、且つ、認証する旨の決定をしたときは当該申請者に対し認証書及び認証した旨を附記した規則を交付し、認証することができない旨の決定をしたときは当該申請者に対しその理由を附記した書面でその旨を通知しなければならない。

まず、規則変更の認証に関する28条2項が準用している宗教法人法14条4項では「認証の申請を受理した場合においては、その申請を受理した日から三月以内に、第一項の規定による認証に関する決定をし…通知しなければならない」と書かれています。

これに照らすと、申請が受理されてから2か月と24日が経過してから認証されたということが「スピード認証」と評価される謂れは全く無いという事が明らかです。

なので、紀藤弁護士の言う「認証は通常3年近くかかる」については、少なくとも名称変更の申請を受理した後の話とは考えられません。

この規定が訓示規定だとして法的拘束力が無いと解するのは、延期された場合に専ら申請者に不利益であるため、法解釈上は有り得ないと評価されるハズ。もし実態としてそうなっていたなら違法です。

ここで、実際に「3年」が求められるケースがあるのでそれについてみていきます。

宗教法人の設立手続では3年程度の活動実績を求める文化庁の実務実態があるが、申請・受理の前の手続の話

宗教法人の設立手続と名称変更

宗教法人の設立手続 | 文化庁

宗教法人の「設立」の手続では、申請をする前の段階において3年程度の活動実績が必要」と明確に書かれています。

紀藤弁護士のミヤネ屋での説明も、設立手続の話から敷衍して名称変更の場合についても同様に行うのだ、という主張でした。

とすると、「申請を受理してから2か月程度で認証されたのはスピード認証だ」という主張は、成立しないことになります。申請前の話なのだから。

行政実務の実態として、名称変更の場合も「3年様子を見る」ということがあるのかもしれませんが、その場合でも統一教会=家庭連合の場合は、1997年から名称変更を求めていたわけですから、18年間も「様子見」されていたと言えます。

文鮮明死亡の2012年9月からちょうどほぼ3年の2015年8月に名称変更が通ったのも、この期間が「様子見」だったのかもしれませんが、果たして…

名称変更などの規則変更の場合でも法人の同一性や継続性が維持されない場合は新規法人の設立の手続を行うとする宗教法人審議会議事録

ところで、興味深い議事録があります。後半部分が核心。

第160回(平成22年11月25日)宗教法人審議会議事録 | 文化庁

 最後に,対策上の問題点として,特に都道府県の問題点ですが,専任の事務担当者がいない県が多く,認証等の事務がある中で,対策に着手できていない状況があるということや,解散あるいは清算に費用がかかるという意見があります。それから,包括宗教法人の方でございますが,いろいろな形で対策に取り組んでいただいている法人と,そうでない法人があると思っております。なかなか対策が進まない包括宗教法人の御意見を聞きますと,人的協力とか費用負担についていろいろ難しいというお声を聞きます。一方,宗派において対策委員会を設けておるところもございます。不活動宗教法人対策のみならず後継者対策等に論点をあてるなど積極的に取り組んでいただいております。
  また,包括宗教法人がない単立宗教法人の場合には,その実態が十分に分からない上に,対策の効果的な手法・ノウハウが欠如していると思われます。 

 最後に,今後の取組としまして,考えている対策について御説明いたします。
  まず,被包括宗教法人への対策と単立宗教法人への対策に分けてそれぞれ対策を講じます。
  被包括宗教法人につきましては,包括宗教法人の協力が得られるのかどうかによってその対策の進み方が大きく違います。特に,宗派ごとの不活動宗教法人のリストアップ,情報共有,それから対策の進んでいない宗派に対しての個別のお願い,また,都道府県担当者と宗派の情報交換や協議の場が設定できないか等,考えております。単立宗教法人については,不活動宗教法人の法人格が悪用されないように一層厳格な認証事務の実施やその実態把握調査などを行っていきます。
 厳格な認証事務の実施という点につきましては,法人格の譲渡や売買という報道もございましたが,所轄庁では,そういったことがないように,宗教法人の事務所の移転や名称変更などの規則変更の認証に当たっては,宗教活動や礼拝施設の現状や役員等の選任過程など十分に調査を行い,宗教法人の同一性,継続性が維持されているかどうかを確認し,法人格が売買の対象になっていないかどうか慎重に対応しています。仮に法人の同一性や継続性が維持されない場合は,新規法人の設立の手続によることになります

平成22年の宗教法人審議会の議事録では、名称変更などの規則変更の認証に関して、「宗教活動や礼拝施設の現状や役員等の選任過程など十分に調査を行い」とあります。

なので、紀藤弁護士の言う「現地調査をして」には違和感は無いのですが、その理由は、法人の同一性や継続性が維持されているかどうかを確認するためのものだと読み取れます。

そして、仮に法人の同一性や継続性がない場合は,新規法人の設立の手続によることになる、つまりは3年の活動実態などの別途の実態の具備が必要になる、ということを言っているものと考えられます。

このことは裏返せば、法人の同一性や継続性がある場合には、新規法人の設立の手続によらないということであり、要するに「3年の様子見」は不要なのではないか?ということが予測できるのですが…

もしかして、統一教会は2012年前後から大きく3派に分派したので、それをもって同一性や継続性に疑義が生じているために名称変更ではなく新規法人の設立の手続として行われるべきだ、という主張なんでしょうか?

いずれにせよ、申請後の話をスピード認証だと言いながら申請前の手続について説明をしているのは、良く言って混同・勘違いをしていたということになり、一見すると印象操作をしているようにも見えてしまいます。

統一教会は韓国では97年に家庭連合に正式名称変更、2015年までに世界中で同一名称に変更されていたので、このタイミングで名称変更を拒む理由がありません。また、名称変更で実態隠蔽という主張も成り立ちません。宗教法人の正式名称に関係なく、別の信者組織(会社など)において信者らが違法行為を行っていたので。むしろそれが統一教会=家庭連合の厄介なところだということです。

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