事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

立花孝志「質の悪い子供を増やしてはダメ、賢い親の子、納税する優秀な子を増やせ」日曜討論で優生思想より凶悪な思想

立花孝志の優生思想?賢い親の子、納税する優秀な子という少子化推進政策

「優生思想」なんかより遥かに凶悪。

立花孝志「質の悪い子供を増やしてはダメ、賢い親の子、納税する優秀な子供を増やすべき」

ー立花さんは子ども子育て教育予算、これをどう充実させていくのか具体策をお願いします。

立花 まず、子どもを増やせばいいというものじゃなくてね、子供の質の問題です。ここは、いわゆる賢い親の子供をしっかりと産んでいく、サラブレッドでもそうです、馬の子供は速い。プロ野球選手の子供も、野球上手いですよね。我々NHK党としては、まず子供を産んだ女性に、これ第一子だけです、1000万円を支給する。そして、いわゆる社会でバリバリ働いて納税されている女性にいったん仕事を休んでいただいて、そして、出産育児に専念していただく。社会保障というのは結局は質の悪い子供を増やしてはダメです。将来納税してくれる優秀な子供をたくさん増やしていくことが、国力の低下を防ぎ、最終的に弱者を守れるというふうに考えております。

2022年7月3日放送のNHK日曜討論において、NHK党の立花孝志 氏がこのように発言。

「質の悪い子供を増やしてはダメ、賢い親の子、納税する優秀な子供を増やすべき」という趣旨の発言です。

発言の直後からSNSではこれを「優生思想だ」とするツイートが複数発生し、1000以上のリツイートが為されるものも存在。

共同通信が12時台に「優生思想につながる発言として批判を招く可能性」と報道してからさらに話題が広まり「優生思想」がTwitterトレンド入りしました。

ところで、「優生思想」とは何でしょうか?

雰囲気だけで「優生思想」という言葉を使い、更にはそれを使った悪性評価をする者が後を絶ちませんが(言論空間全体で従前からの傾向)…

「優生思想」の意味と立花孝志の日曜討論での発言内容に「劣等遺伝子排除・人の排除」は…?

 

「優生思想」の意味とは「何らかの秀でた特質を有する者の遺伝子を保護し、逆に劣った特質を有する者の遺伝子を排除して、優秀な子孫を後世に遺そうという思想」というのが公約数的な理解です。

しかし、伝統的優生学では「劣等遺伝子の排除」と「人の排除」とがほぼ不可避的に結びついており、国家政策による強制性という要素があったものが、技術の進歩により遺伝子治療や産み分けなど、民間における自発的な意思に基づく「優生思想」の実現の途が開かれるようになり、「優生思想」の意味内容に揺らぎが生じてきた(悪い意味が無いものとしても捉えられ得るようになった)、という展開があります。

さて、【日曜討論での立花氏の発言には、「劣等遺伝子排除」や「人の排除」はあったでしょうか?

無いです。

これは政策としてどういう対象に予算を割くかという話ですから、是非はともかく

  • 「優秀な親」の子供を増やす
  • 子供を産んだ女性に1000万円を支給する
  • キャリアウーマンには一旦仕事を休んでもらって出産育児に専念して頂く

こういった内容に過ぎず、そういう親の子供を増やしましょう、というだけで、そうではない子供は処分しましょうとか、そういう話ではない。

これを優生思想と呼ぶにしても、それは「悪い優生思想」なのか?

特定層への税金投入による子育て支援は「優生思想」なのか?

「いやいやいや、特定の優秀な人間に対して税金を投入するという方法が遺伝子排除に繋がるから優生思想だ」

みたいな反論が予想されるが、この論法では子育て政策に関する話では常に政策の対象外の属性者を排除する意味になり、優生思想だと言い得ることになり、明らかにおかしい。

子育て支援政策は極論を言うと原理的には子育てをしない者を排除しているのだから。

子を産み育てる目的の政策は何でもよい、ということではないです。そういう目的が立法者らにあったとしても、的外れで効果が上がらないものはあります。

今の日本社会では異性愛者の婚姻をどう増やすかが最重要課題。

なぜなら、①日本では子供の親は婚姻している率が多く、②婚姻していれば約2人は子供を産みますから。そのボリューム層にターゲットを絞る、あるいはそのボリューム層に到達できるようにするのは当然。

「優生思想」ワードの乱用・濫用と謬論の再生産スパイラル

小田急線車内での無差別刺傷事件について「フェミサイドだ!」と騒ぐ人たちが出現しましたが、不幸中の幸いなことに死亡者は出ておらず、傷害を負った者には成人男性が含まれており、犯人も「誰でもよかった」と供述していることから、そのような評価文言を用いることには慎重になるべきだということを書きました。

「小田急=フェミサイド」というワード・図式が刷り込まれた人が、死亡者が出た事案だったのだ、女性だけが狙われた事案だったのだ、という、誤った事実認識を持っていた例がSNSでは散見されたように、安易なワードの乱用は何も良い展開を生みません。

さて、ここまで、2022年7月3日の日曜討論での立花氏の発言に対して言及してきましたが、実は彼の過去発言では優生思想と評価するのが正当な発言が複数ありました。

が…

立花孝志の過去発言「アホみたいに子供を産む民族は虐殺、ある程度賢い人だけを生かす・子供は減らした方がいい」

立花 ある意味ものすごい大雑把に言うと、アホみたいに子供を産む民族はとりあえず虐殺しようみたいな。いや、やる気は無いけど、それを目指したら結局そういうことになるのかなと。ある程度賢い人だけを生かしておいてあとは虐殺して、ここでよし、もうこっからはコントロールするぞーという賢い人がやらざるを得なくて…

立花 少子化対策はしない方がいいと思ってる。子供をもう少し減らしてもいい。質の悪い子供をいっぱい作ったら全然ダメよ。

結局お金ない人が子供を産む…

これを聞くと、日曜討論での立花氏の発言は、自身の主張を正確に伝えられていなかったということになります。「質の悪い子供」「子どもを産んだ女性に1000万円」という表現もまったく同じです。

これはもはや劣等遺伝子排除の要素もあるため優生思想と言っても間違いではないですが、それにとどまらずジェノサイドを容認する態度だということ、さらには【少子化推進政策】について語っており、その主張の前提として「世界における過大な人口が争いを産んでいる」という問題意識が独自理論として語られているのがわかります。

優生思想だのなんだのと言ってる場合ではないでしょう。

そんなものよりも遥かに凶悪な思想がそこにある中で、「優生思想」という言葉をマジックワードに他人を非難したいだけの人間が多いせいで、本当の問題が隠されている。

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