事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

「赤い羽根」からColaboに重複助成されていた件についてまとめ

アカい羽根が炎上…

赤い羽根からColaboに2680万円が助成

赤い羽根からColaboに2680万円が助成されていることが知られ、Colabo問題について追及している暇空茜氏も取り上げたところ、炎上状態にあるようです。

それを受けて、赤い羽根を運営している中央共同募金会から声明が出ています。

赤い羽根(中央共同募金会)による一般社団法人Colabo等への助成

 

中央共同募金会による一般社団法人Colabo等への助成について | 赤い羽根共同募金

1月10日には中央共同募金会が赤い羽根のHPで声明を出し、「いわゆる赤い羽根募金」と、Colabo、ぱっぷす等に助成された「赤い羽根福祉基金」は異なるということを明確化しました。

Colaboに対しては、本会が実施する「赤い羽根福祉基金」より2018年度から2020年度までの3か年度にわたり、10代の女性を中心に孤立困窮する青少年の支援活動のための事業費として、計2,680万円を助成いたしました。

社会福祉法の「共同募金」は配分後1年間は事業経営用の寄附募集が禁止

(受配者の寄附金募集の禁止)
第百二十二条 共同募金の配分を受けた者は、その配分を受けた後一年間は、その事業の経営に必要な資金を得るために寄附金を募集してはならない

社会福祉法上の「共同募金」は、配分を受けた後1年間は事業経営用の寄附募集が禁止されています。SNSではこの禁止に引っかかるのでは?という疑問を呈している者も見受けられるので整理します。

「共同募金」とは、以下のものを指します。

(共同募金)
第百十二条 この法律において「共同募金」とは、都道府県の区域を単位として、毎年一回、厚生労働大臣の定める期間内に限つてあまねく行う寄附金の募集であつて、その区域内における地域福祉の推進を図るため、その寄附金をその区域内において社会福祉事業、更生保護事業その他の社会福祉を目的とする事業を経営する者(国及び地方公共団体を除く。以下この節において同じ。)に配分することを目的とするものをいう。

社会福祉法施行規則35条では「厚生労働省告示で定める」とあります。

○令和四年厚生労働省告示第二百八十五号(令和四年度における共同募金の実施期間)

「令和四年十月一日から令和五年三月三十一日まで」とあり、「赤い羽根共同募金」としてHPで公開している時期でこれに該当するものが「共同募金」となります。

対して、「赤い羽根福祉基金」は、このような限定なく別建てで寄付金の募集が為されています。よって、「福祉基金」は、この規制の対象外です

Colaboには新型コロナ下の福祉活動助成も…共同募金ではないのか?

Colaboは「赤い羽根 新型コロナ感染下の福祉活動応援全国キャンペーン助成プログラム」の【居場所を失った人への緊急活動応援助成】(第1回)の助成金も受けていました。

赤い羽根 新型コロナ感染下の福祉活動応援全国キャンペーン助成プログラム | 赤い羽根共同募金

【助成団体決定】居場所を失った人への緊急活動応援助成の第1回助成団体を決定しました | 赤い羽根共同募金

金額はほぼ満額の298万1,000円

これは中央共同募金会の声明に書かれた2018年~2020年度の「計2,680万円」には含まれておらず、なせこの数字は無視されたのか?が気になります。

なお、この助成は【支える人を支えよう! 赤い羽根 新型コロナ感染下の福祉活動応援全国キャンペーン 都道府県においては「赤い羽根 子どもと家族の緊急支援 全国キャンペーン」 | 赤い羽根共同募金】を拡大した助成であると書かれているため、やはり「共同募金」からの助成ではない、ということになりそうです。

重複助成の要件違反?経費の適切な区分が行われているから問題ない?

ところで、この助成には応募要項があります。

公的な補助や他の団体による助成を受けていない活動(事業)を対象とします 
○ただし、他の助成を受けていても、経費の明確な区分が行われることを条件に応募できるものとします

「他の助成」として、Colaboは赤い羽根からだけでも「福祉基金」からの助成を受けていました。2020年度はこれと重複しています

次に、Colaboは平成30年以来、東京都から若年被害女性支援事業(「モデル事業」時代から継続)の委託を受けていましたが、これには国から都へ補助金が支払われており、補助金適正化法の対象となっています。これがここでの「助成」に当たるのかどうか。

また、Colaboは都から令和4年度の「DV補助金」=【東京都配偶者暴力被害者等セーフティネット強化支援交付金】を受け取っていますが、都の当該事業は令和2年度も実施されており、Colaboは受け取っていたのかどうか…

さらには休眠預金活用事業として【コロナ禍の住宅困窮者支援事業】が行われているところ、パブリックリソース財団が配分団体となってColaboが実行団体として助成がなされていました。

1件当たり5,000万円~1億円が助成されていましたが、これが「赤い羽根 新型コロナ感染下の福祉活動応援全国キャンペーン助成プログラム」の【居場所を失った人への緊急活動応援助成】における「他の助成」に当たるのか?

そして、仮に「他の助成」に当たるとしても、【経費の明確な区分が行われる】という条件を満たしていれば何ら問題が無いようなのですが、それがきちんと行われていたのでしょうか?

東京都に対する暇空氏による住民監査請求の結果、監査委員から福祉保健局に対して精算をやりなおせ、という結果が出たことからは、この辺りがどうなっているのかが気になるところです。

※他に募集団体の要件には「非営利の団体」とあるが、一般社団法人は「非営利法人」に分類されるところ、これは社員に剰余利益を分配してはいけないということに過ぎず、営利事業を行ってはいけないということはない。剰余金は翌事業年度に繰越したり事業目的達成のための経費として支払われる。

まとめ:資金が潤沢な団体への重複助成は適切なのか?

そして、これらが不正な助成でなくとも、そもそもColaboのような資金が潤沢な団体(2020年度活動報告書では経常収益が2億円弱、繰越正味財産も2億円弱)への重複助成は適切なのか?という事が言えると思われます。

NPO等の中にはいくら申請をしても助成を受け取れなかった、という所が数知れずあるなかで、Colabo、ぱっぷす、若草プロジェクト、ピースボートなどは助成を受けているという点で、不公平感が生じているようです。

特に、数十もの団体が申請した助成金の採用率が低いものも見受けられ、「応募すればもらえる」ような状況ではなかったことが伺われますから(書類上の記載の不備や・表現が適切でなかったことで対象とならなかったことが赤い羽根側から残念がられている)、この辺りの考え方がどうなっているのかは気になります。

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