事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

青山繁晴議員が虎ノ門ニュースで旧皇族の男系男子の情報を言わなかったのは妥当なのか

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青山繁晴議員が虎ノ門ニュースで旧皇族の男系男子の情報(宮家名)を言わなかったのは妥当なのか?についての結論です。

  1. 国家機関の協力で得た情報を自身の後援会でのみ伝えるのはよいのか
  2. どの宮家かはプライバシーに関わるのでクローズドの場でも伝えるのは良いのか

この問題について考えていきます。

青山繁晴議員が虎ノ門ニュースで旧皇族の男系男子の情報を言わなかったのは妥当なのか

KAZUYA氏「青山繁晴議員は国政調査権で得た情報で講演会集客した発言は問題」について

こちらでも取り上げましたが、(国政調査権を行使したかどうかという法的な観点は抜きにして)国会議員の立場があることで国家機関の協力を得て入手した情報を、公開番組で敢えて言及せずに自身の有料・クローズドの講演会でのみ伝えるのは、価値判断としてどうなのか?という指摘があります。

ここでの「情報」とは

  1. 旧宮家の男系男子の人数
  2. どの宮家に居る方がたなのか
  3. 年齢等の付随する情報

というふうに分けられます。

青山議員は4月1日のDHC虎ノ門ニュースでは旧宮家の男系男子の人数を「悠仁殿下と同年配(未成年)が少なくとも5人」、さらに放送終了間際に「20代前半の方がたが2名」と言いました。

他方、「どの宮家に居るのかは独立講演会で話す」とも言っていました。

青山議員の質疑における発言

【旧皇族・旧宮家】「15歳以下の男子が5人、20代前半の男子が2人」青山繁晴議員の質疑

令和元年(2019年)5月22日の参議院決算委員会

すなわち、現在の旧宮家の中に皇位継承者となっていただけるような男子は現実にどれほどいらっしゃるかを知らないと議論がこれ以上できないです。したがってこの決算委員会の質問の機会を頂くのはかなり前から、余裕をもって頂きましたので政府機関の協力も得て調べました。

旧宮家の方がたは、もう一度申しますが、現在一般の暮らしをされていますから、たとえばプライバシーの尊重にも十分な配慮を致さねばなりません。

あくまでその範囲で申せば悠仁親王殿下とあまり年代がお変わりない、すなわち15歳以下の男子の方がた5人がいらっしゃると承知しております。さらに20代前半の男子の方がたがお二方いらっしゃって、少なくとも7人の方がたについては、もしも皇統譜にお戻り頂ければ皇位継承者となり得るということが考えられると思います。

政府機関の協力も得て調べました」という表現からは国政調査権の行使であるかは判別しませんが、先日の私の記事で書いたように国政調査権の行使という法的事実と仮に相違があったとしても問題はないと考えているので、この点は無視します。

旧宮家の男系男子には15歳以下が5名、20代前半が2名の少なくとも7人が居らっしゃる」旨の発言について考えます。

旧宮家の男系男子には15歳以下が5名、20代前半が2名の少なくとも7人

明言していませんでしたが、これは「未婚の男子」を指して言っていると思われます。

質疑では男系男子の人数しか言っていませんが、当然、どの宮家に未婚の男子が何名居るのか、彼らの年齢はいくつなのか、ということも把握し、それを独立講演会で話したはずです。

これは、少なくとも4月1日以前の従前のネットで公にされている情報源には無い情報であり、人数や年齢構成も従前の情報とは異なります。

年齢が違うのは単に元から存在して居ることが判明していた方がたが年を重ねたから、ということではなく、新たに把握された人が居るということです。

情報の更新があった

私の認識は、もともと以下のようなものでした。

KAZUYA氏「青山繁晴議員は国政調査権で得た情報で講演会集客した発言は問題」について

これは未確定ですが、仮に国政調査権で得た情報であるとして、それを公ではなくクローズドの有料講演会でのみ話す・集客に用いる、ということが直ちに問題であるとは思いません。

たとえば機密性の高い情報であれば即アウトですが、国会議員をやっていなければ知ることのなかった情報・国家機関の権力行使によって初めて知った情報というのは、何も国政調査権を行使して得た情報に限られません。

講演会ではなく、書籍にまとめて出版・販売した場合はどうでしょうか?

どの宮家に男系男子がどれだけいるのか?という情報を虎ノ門ニュースで話さなかったことの妥当性は、実際に独立講演会で聞いてみて初めて判断できるものだと思います。

平成17年時点で保阪正康氏が作成した系図から大幅に変化があったということであれば妥当性は高いと思いますし、変更がまったくないなら、既にネットでも見れる情報を虎ノ門ニュースでは言わなかったというのは解せない、ということになるでしょう。

商売に利用したから、と受け止めて非難する人も居ますが、それはそれとして私はそうは思っていません。発言の内容によって、行動の妥当性があるかが決まると考えていました。

上記の私が自分で設定した考慮要素に照らしてみると、青山議員の5月22日の質疑における発言には、従前の情報から更新された内容が含まれています。

よって、青山議員がDHC虎ノ門ユースで旧宮家の男系男子の情報を言わなかったということは妥当性があると思います。

次に、「クローズドの場であってもどの宮家に居るのか」ということは旧皇族のプライバシーにかかわるものであり、言うべきではなかったのでは?という観点が別個にあるかもしれません。

どの宮家に男系男子が居るかは議論の前提という信念

【旧皇族・旧宮家】「15歳以下の男子が5人、20代前半の男子が2人」青山繁晴議員の質疑

令和元年(2019年)5月22日の参議院決算委員会

すなわち、現在の旧宮家の中に皇位継承者となっていただけるような男子は現実にどれほどいらっしゃるかを知らないと議論がこれ以上できないです。したがってこの決算委員会の質問の機会を頂くのはかなり前から、余裕をもって頂きましたので政府機関の協力も得て調べました。

青山議員の考えは「皇位の安定的継承にかんする問題については、もはや具体的な議論をする段階であり、議論を加速させるためには特定の宮家名を挙げなければ話がかみ合わない、よって、プライバシーに配慮しつつも旧皇族のどの宮家に何歳の男系男子が何人居るのかということを把握するべきだ」というものでしょう。

国会質疑において、青山議員は旧宮家名は言ってません。それは一議員からの情報ではなく、今後、国会として議論するべきだと考えたのでしょう。

他方で自分のクローズドの講演会であれば許容範囲であると考えている節があります。

プライバシーの観点からも問題ない

プライバシー侵害として民事不法行為となる場合については「宴のあと事件」(東京地方裁判所 昭和36年(ワ)第1882号)において基準が示されており、公開された内容が以下の内容を伴うことを必要としています。

  1. 私生活上の事実または私生活上の事実らしく受け取られるおそれのある事柄
  2. 一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立った場合に公開を欲しない事柄
  3. 一般の人々に未だ知られていないことがらであること

誰の家に何歳の子供が何人居るのか、という情報は、それだけでは私生活上の事実ではありませんし、一般人からして公開を欲しない事柄であるかというと、そうではないでしょう。

したがって、プライバシー侵害としての違法の問題は発生しません。

素朴な価値判断の上でも、誰の家に何歳の子供が何人居るのか、という情報を語ることが直ちに悪いことだとは思いません。それすら語ることが許されないなら、およそ他人について語ることが許されなくなるでしょう。それはおかしいです。

実際、具体的な宮家名をオープンの場で言及している方は百地章教授など既にいらっしゃいます。

まとめ

旧皇族の情報はこれまで「隠されていた」と言ってよいほどでした。

特に酷いのが『「旧皇族」は皇籍離脱当時に皇族だった者を指し、その子孫は含まれないから若い旧皇族は存在しない』というものです。実際にこのような主張をする者は多数居ました。

これからは旧皇族の情報が表に出てくるでしょうが、反面としてプライバシーの保護の問題があります。

週刊誌が鼻を利かせて張り付く、という状況が長年続く可能性もありますから、この話が表に出た以上は、慎重ながらも迅速に議論を煮詰めなければいけないのではないでしょうか。

以上