事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

【投稿削除・サイレント修正】中京テレビがオーガニック給食「便秘アトピー改善」と治療・予防効果を暗示

SNSによるスクリーニング機能

中京テレビがオーガニック給食「便秘アトピー改善」と治療・予防効果を暗示

https://x.com/ctv_news_nnn/status/1871871192111649126

中京テレビがオーガニック給食に関して「便秘やアトピーが改善したという報告も」という治療・予防効果を暗示した内容の記事をシェアしていましたが、多方面から突っ込みを受け、コミュニティノートも表示されたためか、シレっとXの投稿を削除していました。

中京テレビNEWS@CTV_NEWS_NNNのXアカウントや関連アカウントで、削除の理由は今のところ発信されていません。最近のX上のメディアアカウントはコミュニティノートが付くとサイレント削除する傾向にあります。

SNS投稿削除・記事がサイレント修正:「化学調味料も使用せず」の記述も削除

SNS投稿削除だけでなく、記事のタイトルと本文も一部削除されていました。

訂正前記事の魚拓 サイレント修正後記事の魚拓

Yahoo!で配信されている記事も修正済みですが、修正した旨の記述はありません。

修正内容は、タイトルから「便秘やアトピー症状が改善したという報告も」という効果の説明が削除され、本文でも「担当者によると、オーガニック給食の導入後に、園児の便秘やアトピー性皮膚炎の症状が改善したという報告があったということです。同じ給食を食べている職員からも、生理痛や肌荒れが落ち着いたという声が上がっているといいます。」という効果に関する説明が削除されています。

さらに、「化学調味料も使用せず」という文言も、削除されていました。

記事の末尾に12月29日が最終更新日となっていることが記述されているだけで、記事冒頭のタイムスタンプは初出の25日そのまま。これでは変更に気づけません。

オーガニックは選択肢の一つ:絶対善という印象をもたらしていた中京テレビ記事

中京テレビでは『化学肥料や農薬に頼らず栽培された農産物や、それを原料にした加工品を使用した「オーガニック給食」』と謳っていました。いわゆる「有機栽培」と言われているものを横文字で表現しただけです。

このような生育過程の農産物だから何か健康に良い、という事が科学的根拠をもって示されているということはなく*1食や農業の専門家からは度々注意喚起されてきたという経緯があります。

幼児ともなれば、家庭での他の食生活や成長過程で症状が改善したという交絡因子の影響が排除できないわけで、記事中にその点を考慮した効果測定をしているといった記述もありません。というか、園児相手にできないでしょう、そんなことは。

記事では『担当者は「子どもたちが大人になったときに、自分で体に良い食べ物を選べるようになってほしい」』とありますが、有機栽培食、オーガニック食を選択肢の一つとして覚えておくということくらいしか、公には意義のあるものとして扱うべきではないでしょう。

「SNSは危険」『マスメディアのスクリーニング機能』という幻想

本件は、SNS上の有識者が注意喚起した結果、コミュニティノートも付けられ、記事の修正にまで至った例です。

新聞・テレビ・出版される書籍では「SNSは偽・誤情報の危険、マスメディアのようなスクリーニング機能が働かない」としきりにネット・SNSの問題として報じますが、本件で現実に起こったのは、逆の現象でしょう。

特に食や医療・農業に関するデマは、出版された本の世界で猛威を振るっています。

SNS上の食や医療・農業のデマ言説は、その影響を受けたものが多いです。

Meiji Seikaファルマがレプリコンワクチンが危険とする書籍の記述の虚偽性を暴き、さらに立憲民主党の原口一博議員を訴えたように、むしろ、デマの打消しの情報はリアル側がダイレクトに発信し、ネット・SNSを通じて直接ユーザーに届くという効用があります。

マスメディアによるSNSへの責任転嫁、「罪」の擦り付けをする論調は、それ自体が現実を歪めて伝えるものであり、改められるべきものでしょう。

繰り返される「ふてほど」=不適切報道:

能登半島地震から間もなく一年ですが、SNSでは虚偽の救助要請が吹き荒れ、確かにSNSの危険は存在します。

が、その一方で、実際に虚偽の救助要請で逮捕に至った例の中には、ネット上の匿名ユーザーが、虚偽発信者が実は埼玉に住んでいることを特定していたり、虚偽の救助要請やそのコピペ発信者の情報を遺していたことが、その後の偽・誤情報対策の参考資料になっています。

こうした姿なき・声なき匿名者による自浄作用は、まったく報じられることがありません。新聞・テレビ・出版社が相互批判によって自浄作用を働かせた例が無いわけがないでしょうが、「エコーチェンバ―」が形成されているでしょう。それはSNSも同様であるというだけです。

さらに言えば、マスメディアが情報災害に加担或いは直接生み出している例など、いくらでもあります。福島原発事故に関連した報道がその典型例であり、そのことが【「正しさ」の商人 情報災害を広める風評加害者は誰か[ 林智裕 ]】では詳述されています。

「ふてほど=不適切報道」という言葉が12月のSNSで話題になりましたが、単に誤報があるというだけでなく、本件のようなサイレント修正が横行していることがそう呼ばれる原因にもなっています。

 

マスメディアもXのアカウントを使って発信する「SNSユーザー」であり、「ネットの危険」の発信源でもあるということが、なぜ無視されるのか?

もっと遡れば、大正12年の関東大震災時に朝鮮人の不法殺害を煽動した主体に在京メディアがあり、特に東京日日新聞(現:毎日新聞)の寄与度が大きいということは東大の論文でも指摘されているのに、その事については触れられず、ひたすら「政府」と「日本国民」にだけ反省を迫る言論空間が形成されています。

マスメディアもまた「アテンションエコノミー」、特定の場合には「レイジエコノミー」によって注意をひきつけ、インプレ稼ぎをしてきたではないか。

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