事実を整える

Nathan(ねーさん) ほぼオープンソースをベースに法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

岩屋防衛大臣は罷免するべきか:韓国レーダー照射事件再発防止・「棚上げ」への対応

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岩屋防衛大臣の韓国レーダー照射問題に関する発言等に対して「罷免すべき」だという主張がなされていますが、果たしてそれでいいのでしょうか?

未来志向を「棚上げ」とするメディアの論調

韓国国防相と笑って握手している場合か…岩屋防衛相、韓国レーダー照射を勝手に“棚上げ”で大炎上! 識者「現場の士気は完全に下がっている」 (1/3ページ) - zakzak

日韓防衛相“レーダー照射”後初の非公式会談、問題を事実上棚上げ(TBS系(JNN)) - Yahoo!ニュース

「本当は、真実は1つしかないということだと思うのですが、では話し合えば、どちらかが譲って答えが出てくるのかというと、ちょっとそういう状況ではない」(岩屋毅 防衛相)

「韓国から謝罪がなかったにも関わらず岩屋は許すかのような表現でけしからん」

このような論調が一部でありますが、岩屋大臣の発言を動画で聞くと、「韓国相手にまともな話合いができるとは到底思えない」というニュアンスが伝わってきます(笑)

再発防止は「不問に付す」「棚上げ」ではない

6月1日:韓国、レーダー照射認めず平行線 日韓防衛相が非公式会談 - 産経ニュース

レーダー照射問題をめぐり、岩屋氏は再発防止を要請。鄭氏は「照射はしていない」と否定し、議論は平行線をたどった。

この時点では韓国の鄭防衛相は事実関係そのものを否定しています。

これは従来の韓国軍の態度と同様です。

6月4日:レーダー照射問題“韓国から再発防止の考え引き出せた”防衛相 | NHKニュース

岩屋大臣は閣議のあと、記者団に対し、「レーダー照射問題について、日本政府の見解を改めて伝え、再発防止を強く求めた。残念ながら認識の一致に至らなかったが、会談終了後、チョン国防相も『こういう事案が起こらないようにしたい』と話していた」と述べ、韓国側から再発防止の考えを引き出せたと一定の成果があったという認識を示しました。

「こういう事案が起こらないようにしたい」というのはレーダー照射事案についてのことだと信じたいが、そうだとすれば、再発防止というのはレーダー照射の事実を前提にしているので、日本側としては上出来でしょう。

この話がなぜ「事実上不問に付した」「棚上げ」と言われているのか不思議です。

防衛省は最初から再発防止が狙いで謝罪は求めていない

防衛省・自衛隊:韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案

防衛省としては、韓国駆逐艦による海自P-1哨戒機への火器管制レーダー照射について、改めて強く抗議するとともに、韓国側に対し、この事実を認め、再発防止を徹底することを強く求めます。更に、これ以上実務者協議を継続しても、真実の究明に至らないと考えられることから、本件事案に関する協議を韓国側と続けていくことはもはや困難であると判断いたします。

勘違いしている所があるようですが、日本としては韓国に謝罪など求めていません

最初から、再発防止を求めているのであって、それ以上は期待していません。

そして、実務者レベル(自衛隊ー軍同士)での協議は諦めましたが、文民同士での協議は閉ざしているわけではありません。

日本は韓国だけを相手にするのはとっくにやめている

防衛省のレーダー照射問題の動画が数か国語に翻訳されたことなどからもわかるように、日本国は韓国政府との1対1との関係で韓国が変わることを期待していません。

これは当たり前の話で、相手がレーダー照射の事実そのものを無かったと言い張っていたのですから、当事者同士の話し合いが成立するわけがないのです。

そんな無意味なことをしてる暇なんてありません。

そこで日本は韓国と利害関係を共有していない世界各国に対して、韓国への風当たりが強くなるように振る舞っているのです。

これは徴用工問題においても同様で、だからこそ国際司法裁判所への提訴を前提とした仲裁手続きを行っています。

朝鮮人戦時労働者(徴用工)差押え後の協議要請は請求権協定通り

アジア安全保障会議で各国に呼びかけをしていることからも推し量ることができます。

北朝鮮監視強化に韓国を引きずり込む岩屋防衛大臣

岩屋防衛相 北朝鮮監視強化で中ロに加え韓国にも連携呼びかけ | NHKニュース

「現状に潜む最大のリスクは、昨年来の米朝協議の重要な基礎である国際社会の団結が、北朝鮮の非核化に向けた具体的な取り組みの前に緩むことだ。いわゆる『瀬取り』など、制裁逃れに対する国際的な監視の強化に向けて、日本は、アメリカやオーストラリアなどと協力に乗り出しており、北朝鮮問題に直接的な関わりを持つ韓国、中国、ロシアなどには、国際的な公共の利益を見据えた一層の連帯を呼びかけたい」と述べ、中国やロシアに加え韓国にも連携を呼びかけました

どう考えても韓国が「瀬取り」に加担していることは分かりきっているところに、こうして釘を刺しているところからして、岩屋大臣が韓国だけを相手にする戦略は採っていないというのがわかります。

韓国が勘違いし続ければ真綿で締めるように国際関係での立場が苦しくなるだけです。

実際に今年10月の海上自衛隊の観艦式に韓国を招待しないなど、それ相応の扱いは既に行っているのです。ASEAN+8ヶ国の防衛大臣会合にの韓国におけるセッションには日本だけ不参加ということをしてもシンガポールセッションには参加したように、日本の韓国への扱いは国際的にも受け入れられていると言えるでしょう。

海自観艦式、韓国を招待せず レーダー照射で溝 - 産経ニュース

岩屋大臣:自衛隊がADMMプラス「釜山沖訓練に参加」はフェイクなのか?

レーダー照射問題における安倍総理・河野外務大臣との連携

日韓外相会談、事実上の決裂! 「事の重大性を理解していない!」河野氏が韓国外相を“一喝” G20までに対応策迫る (1/3ページ) - zakzak

また、韓国との懸案事項は何もレーダー照射問題だけではないわけです。

軍事問題以外にも外交問題があり、そちらは強い態度を示しています(当然だが)

何でもそうですが、相手に「逃げ道」を作っておかないと誘導もできません。日本は韓国側に対して、防衛省ルートでは連携の道はあることを示しているんだろうと思います。

実際、軍事関係で連携できなくなったら北朝鮮に対する圧力を高めることはできませんからね。ここでも韓国だけを見て行動しているのではダメであるということが言えます。

この方針は当然、安倍総理の方針でしょう。そうでなければ閣内不一致ですからね。

内閣として安倍総理大臣の方針の元に連携して行動しているということを考えないと、こういう発想になりますよね。。。

韓国メディアの論調

日방위상 "한일 국방장관회담서 레이더 갈등 재발 방지 요구" | 연합뉴스

特に勝ち誇った様子も無く、事実関係を淡々と報じています。

韓国メディアの記事を読んでいて気づくのが、日本メディアがどう報じているのか、日本の世論はどうなのかということも記述されているということです。

岩屋大臣を非難しないというのもどうなのか

岩屋大臣をまったく非難してはいけないとは思いません。

「現実は中和される」ものなので。

日本国内から批判がまったくなくなった場合には、逆に韓国側に誤解を与えるような気がします。なので、各論者がどういう意図で岩屋大臣を非難しているのかということは念頭に置いた方がいいと思っています。

百田氏が安倍総理の任命責任について触れているのはマトモでしょう。

岩屋防衛相の「態度」は誤解を与える

このサムネ画像は「韓国国防省提供」とありますが、韓国にとって都合のいい絵面なんでしょう。

5月30日のDHC虎ノ門ニュースで李相哲氏が言っていたように、韓国人はお辞儀をする際には決して相手よりも深い角度にしないようにしているので、この写真からは日本側が譲歩したような印象を与えるものになっているのでしょう。

そういう意味で岩屋大臣の態度は不用意だと思います。

まとめ:罷免は早過ぎでは?

  1. 日本・防衛省は最初から再発防止を求めており謝罪は求めていない(謝罪は意味がない)
  2. 日本は韓国だけを相手にすることはとっくに諦めている(説得は無理)
  3. 日本は国際社会を巻き込んで東アジアの防衛問題に対応しており、韓国の扱いはその一環に過ぎない
  4. 岩屋大臣を非難する論調が世の中にまったく無いというのもどうかと思う
  5. 岩屋大臣の「態度」は不用意だった

「事実上棚上げ」「事実上不問に付す」

これらはすべて、メディアが追加した評価文言です。

そのような報じ方をしなければスルーしていた人も多いでしょうね。

そういう言葉だけに反応して非難しているのだとすれば、それは間違いです。

以上