事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

共産党「松野官房長官 公的記録で関東大震災の朝鮮人虐殺質問」民主党政権も「裁判記録等見つからない」を隠蔽

延々とこの話をしてリソースを削ぎたいだけ

共産党「松野官房長官 公的記録で関東大震災の朝鮮人虐殺質問」

朝鮮人虐殺/松野官房長官 公的記録で質問/2011年衆院委 「記録ない」と矛盾2023年9月10日(日)

松野官房長官 公的記録で質問
2011年衆院委 「記録ない」と矛盾
 松野博一官房長官が先月30日の記者会見で、関東大震災当時の朝鮮人虐殺の事実についての記録は政府内に「見当たらない」と述べ、史実の歪曲(わいきょく)だなどの批判を浴びましたが、同長官はいまだに問題の発言を撤回していません。しかし、松野氏が2011年7月27日の衆院文部科学委員会で、朝鮮人虐殺が実際にあったことを示す公的な記録をもとに質問を行っていたことが、同委の会議録からわかりました。

~省略~

朝鮮人虐殺の被害を矮小(わいしょう)化するためとはいえ、松野氏が公式な記録をもとに朝鮮人虐殺の事実があったことを前提とする質問をしていたことは明らかです。「記録は見当たらない」という会見での発言との重大な矛盾についての同氏の説明が求められます。

共産党の機関紙であるしんぶん赤旗が9月10日に「松野官房長官 公的記録で関東大震災の朝鮮人虐殺質問」などと記事を書いていました。

しかし、この話は9月5日あたりの朝日新聞デジタルの記事のコメント欄等で持ち出されたこともあり、6日には東京新聞の望月記者も記者会見で言及、メディア各社も取り上げるなどしていたことです。

詳細は既に以下でまとめていますが、ここでも補足的に言及します。

望月衣塑子「松野氏が朝鮮人虐殺の事実関係を国会質疑してた」⇒民主党政権「裁判記録等が無く把握困難」 - 事実を整える

民主党政権も「裁判記録等見つからないため把握困難」

第177回国会 衆議院 文部科学委員会 第15号 平成23年7月27日

○松野(博)委員 例えば、日本文教出版には、自警団あるいは警察、軍隊が朝鮮人など数千人を殺害しましたという記述があります。清水書院にも、警察、軍隊、自警団によって殺害された朝鮮人は数千人にも上ったという表記があって、警察、軍隊の関与が書いてある教科書が三冊ありますし、数千人を殺害した、殺害された被害者は数千人に上るというふうに書いてある教科書が二冊あります。他は、多数の朝鮮人の方々がこの殺人事件の被害者となったというような表記になっておりますが、この事件で犠牲になった朝鮮半島出身者は、公的な記録、例えば裁判記録、また各担当省庁の調査による記録では何名というふうになっていますでしょうか。

小川(敏)副大臣 裁判の結果からという観点からお答えをさせていただきますが、そうした統計資料がございませんので、わからないというところが事実でございます。
 また、現時点では、やはり裁判記録等がないものが多数でございますので、現時点からそれを把握しようとしましても困難である、このような状況でございます。

共産党が取り上げてる松野氏の質疑に対する当時の民主党政権の答弁がこれ。

結局、当時の民主党政権も「裁判記録等見つからないため把握困難」と答弁しています。平成27年以降からは質問主意書で被殺者数が何度も問われていますが、答弁は一貫しています。

つまり、この事をしんぶん赤旗の記事は隠しているという事です。

国会で質問を行っていたなら当然、答弁もあるわけで、それを外しているのは意図的以外の何物でもありません。

朝鮮人被殺者数という事実を確認したいのか松野氏を個人攻撃したいのか

その姿勢が分かってしまうということです。

そして、この話は「過去に教科書で警察・軍の関与があったとして過大と思われる被殺者数の記載があることを問題視し、政府に対して事実関係の把握を求めていた松野氏ですら、政権の側に立ったら『事実関係の把握は困難』と回答する他なかった」ということでしかありません。

「関連する公式記録の存在」は「事実確認可能な記録」の保有ではない

当たり前の話ですが、「朝鮮人被殺者数に関する公的な記録が存在していること」は、「現在の政府が朝鮮人被殺者数の事実を確認できる記録を保有していること」ではありませんし、事実が無いと言っているということでもありません。

当時、政府による朝鮮人が何人殺されたの調査は、司法省が司法事件として扱った233名の死亡に関する被疑事件と朝鮮総督府の調査による震災関連死も含めた832名があります。

仮に政府として「事実を確定」するのであれば、この範囲内に留めて「少なくともこれくらいは不法に殺された」とする以外にありません。

が、それでも本当に事実を確定しようとしたら刑事裁判記録で有罪が確定しているかを確認する必要があると言えます。それも今となってはできないということでしょう。

もちろん、これ以外の政府側の記録から推測し得る情報はありますが、上掲の832名との重なりがどれくらいあるのかは不明と思われます。

なお、この話の発端となった記者会見での記者の質問は、「関東大震災の記録について伺います。当時被災地ではデマが広がり多くの朝鮮人が軍警察自警団によって虐殺されたと伝えられています」であり、これを政府側は「朝鮮人被殺者数の事実についての質問」と扱っていると言えます。

6000人虐殺説は大韓民国臨時政府の機関紙「独立新聞」調査:政府リソースへの攻撃

追及する側は「少なくとも233人が不法に殺された」と言っても納得するとは到底思えません。彼らは「6000人虐殺説」を唱えているのですから。

6000人虐殺説の中心となっているのは、信憑性に疑義がある、上海に拠点を置いていた大韓民国臨時政府の機関紙である「独立新聞」による調査です。

同胞慰問班調査員・崔承万説の調査や吉野作造調は、これよりも不確かな人数の予測が含まれています。

バイアスがかかっていることが拭えない調査結果に基づいて100年前の事実に関して政府に問うのは、リソース攻撃にしかならないと思います。

以上:SNSシェア,はてなブックマーク,ブログ,note等でのご紹介をお願いします