事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

丸山ほだか議員の糾弾決議案全文・譴責決議案と辞職勧告決議案も:なぜか毎日は有料記事

丸山ほだか議員の糾弾決議案が全会一致で可決されました。

これまで提出された各種決議案の全文リンクを紹介し、議員辞職を求めることについての考えを披歴します。

丸山ほだか議員の糾弾決議案・譴責決議案・辞職勧告決議案

第198回国会 議案の一覧

こちらの最下部に以下の決議案が全て掲載されています。

議員丸山穂高君の議員辞職勧告に関する決議案
議員丸山穂高君譴責決議案
議員丸山穂高君糾弾決議案

丸山ほだか議員の糾弾決議案の全文掲載

議員丸山穂高君糾弾決議案(第一九八回国会、決議第四号)

 議員丸山穂高君は、「令和元年度第一回北方四島交流訪問事業」に参加した際、憲法の平和主義に反する発言をはじめ、議員としてあるまじき数々の暴言を繰り返し、事前の注意にも拘わらず、過剰に飲酒し泥酔の上、禁じられた外出を試みて、本件北方四島交流事業の円滑な実施を妨げる威力業務妨害とも言うべき行為を行い、我が国の国益を大きく損ない、本院の権威と品位を著しく失墜させたと言わざるを得ず、院として国会議員としての資格はないと断ぜざるを得ない。
 よって本院は、ここに丸山君を糾弾し、ただちに、自ら進退について判断するよう促すものである。
  右決議する。

     理 由
 去る五月三十日の議院運営委員会理事会における政府関係者の説明によれば、議員丸山穂高君は、四島在住ロシア人と日本国民との相互理解の増進を図り、もって領土問題の解決を含む平和条約締結問題の解決に寄与することを目的とする「令和元年度第一回北方四島交流訪問事業」、いわゆるビザなし交流事業に参加し、国後島を訪問した際、事前に事業の趣旨や注意事項について十分に知らされていたにも拘わらず、五月十一日に、ホームビジット先のロシア人島民宅で過剰に飲酒し、宿舎である「友好の家」に戻った際、禁じられている外出を強く希望し、そのために、政府同行者に議員が外出しないよう監視させる業務を強いる結果になったほか、食堂内で、コップで机をたたき、大声を張り上げ、団長に対する報道関係者の取材を妨害し、団長に対して、「戦争でこの島を取り返すことに賛成か」、「戦争しないとどうしようもなくないか」などと信じ難い暴言を吐いた。その後も、他の団員ともみ合いになり、自室に戻った後、再び出て騒いで、職員が戻るように促す、ということを翌日午前一時まで続け、その際、「私は会期中は不逮捕特権で逮捕されない」と述べたり、およそ品位のかけらもない卑猥な言葉を発したりするなどの多大な迷惑行為を行い、翌日には団員たちから、最も重要なロシア人島民の方々との交流会への参加の自粛を求められ、参加しなかったとのことである。丸山君の行動は、一歩間違えば日本とロシアの重大な外交問題に発展しかねない問題行動であり、これまで関係者が営々と築き上げてきた北方領土問題の解決に向けた努力を一瞬にして無に帰せしめかねないものであり、国民の悲願である北方領土返還に向けた交渉に多大な影響を及ぼし、我が国の国益を大きく損なうものと言わざるを得ない。また、かかる常軌を逸した言動は、本件北方四島交流事業の円滑な実施を妨げる威力業務妨害とも言うべきものであり、その卑猥な言動に至っては、議員としてというよりも人間としての品位を疑わせるものである。
 本件事業は、内閣府交付金に基づく補助金を受けた北方四島交流北海道推進委員会の費用負担により実施されているものであり、本院から公式に派遣したものではないにせよ、丸山君は、沖縄及び北方問題特別委員会の委員であるが故に、優先的に参加することができたものであり、他の団員からは、本院を代表して参加したものと受け止められており、また、その後の報道により、我が国憲法の基本的原則である平和主義の認識を欠き、およそ品位のかけらもない議員の存在を国内外に知らしめ、衝撃を与えた事実は否めず、本院の権威と品位を著しく貶める結果となったと言わざるを得ず、院として国会議員としての資格はないと断ぜざるを得ない。
 よって本院は、ここに丸山君を糾弾し、ただちに、自ら進退について判断するよう促すものである。
 以上が、本決議案を提出する理由である。

毎日新聞はなぜか有料記事に

「議員としてというよりも人間としての品位を疑わせる」丸山議員糾弾決議案全文 - 毎日新聞魚拓はこちら

毎日新聞は衆議院が公開していてネットで無料で閲覧できるものを、なぜか有料記事内のコンテンツでしか見れないようにしています。本当に姑息ですね。

その辺はBuzz Feed Japanなどはリンクも貼って紹介しており、好感が持てます。

丸山穂高参議院議員は議員辞職をするべきか

丸山ほだか議員の問題は酒のせいではない:ロシアに謝罪の維新批判発言

丸山ほだか議員の「戦争発言」は憲法尊重擁護義務違反なのか

この問題は個人が個人の立場として辞職すべきか否かを論じる分には自由です。

ただ、国会として辞職を促すのであれば、明確な根拠を示すべきだと思っていました。
(憲法99条「違反」という理屈は論外)

たとえば丸山議員の今回のケースは何ら罪に問われたものではありませんが、事実を見ていくと記者の取材を遮っており、業務妨害として不法行為となる可能性を否定できない態様になっていると思います。

また、各種報道では卑猥な言動など、非常識な行為があったとされています。

構成要件には該当していないと思われますが、行為の実質としては軽犯罪法で禁止されているものと、いったいどれほど異なるのかという気がします。

軽犯罪法

五 公共の会堂、劇場、飲食店、ダンスホールその他公共の娯楽場において、入場者に対して、又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、飛行機その他公共の乗物の中で乗客に対して著しく粗野又は乱暴な言動で迷惑をかけた

十四 公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた者

三十一 他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者

この点、糾弾決議案では譴責決議案等に比べて、以下の指摘がありました。

また、かかる常軌を逸した言動は、本件北方四島交流事業の円滑な実施を妨げる威力業務妨害とも言うべきものであり

国会が議員辞職を求める根拠・基準を設定するべきか

ただ、なぜ議員辞職に値するのかというのは基準がないため曖昧になっています。

橋下氏は基準がない中での辞職要請は反対であるという立場ですが、では、基準を設けるべきなのか?ということは考えなければならないと思います。

一定の基準を設けた上で、「衆議院の品位を著しく貶めた者」というような裁量の余地のある基準を設けるのか、そのような裁量の余地のない基準を設定するのか。

いずれも弊害があると思われます。

「院外」の行動?先例に照らしてどうか

「院外」での行為だから関係ないという人も居ますが、懲罰事犯ではあるものの、先例があります⇒target="_blank"懲罰事犯 - Wikipedia

過去にはアントニオ猪木議員が「議院運営委員会に許可なく、無断で朝鮮民主主義人民共和国に渡航・訪問したため」という理由で30日間の登院停止処分を受けています。

院内での言動か否かは決定的な事情ではないと言えるでしょう。

特に今回の丸山氏の立場は「内閣府交付金に基づく補助金を受けた北方四島交流北海道推進委員会の費用負担により実施されているものであり、本院から公式に派遣したものではないにせよ、丸山君は、沖縄及び北方問題特別委員会の委員であるが故に、優先的に参加することができたもの」ですから、否定する理由としては弱いでしょう。

まとめ

丸山議員自身は糾弾決議が可決してもこの通りです。

私は丸山議員が辞職するのはロシア側に変なメッセージを与えると思うので反対です。

ただ、彼自身が「言論の自由」や「不逮捕特権」を取材時の発言や弁明書で振りかざしているのはまったくもって不適切であり、仮に次回の選挙で彼の出馬した小選挙区に私が居り、他に維新の候補者が居る場合には、決して彼には投票はしません。

以上