事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

ポプテピピック10話元ネタ・パロディ隠しネタ考察、11話12話予測

ポプテピピック第10話:銀座ホステスの隠しネタ考察をしていきます。全てのネタは拾いません。

今回は「探偵・刑事物」のパロディがあからさまでしたね(笑)。この記事ではそれらとは別に「トリック」と「スター」が共通テーマだという事を通じて考察をしていきます。

今回は何か特定の作品のパロディと言うよりは、ミステリーもののテンプレート、サスペンスもののアニメやドラマのお約束的な展開が目立った回だったと思います。そこから、「ポプテピピックのお約束」についても考察していきたいと思います。

トリック-Trick

刑事物、探偵物といえばトリックは欠かせません(銀座ホステスでは凶器が何かさえ明らかにならずに終わりましたが…)残念ながら、あの「Trick」要素は見つけられませんでした。ぶくぶ先生の肩書が「マンガ大好き」というのは、「ドラマの元ネタはほとんど無いですよ」という限定の意味と思われます。

トリックアート

A5黒毛和牛ピピック

A5ランクの黒毛和牛。画像は色を反転しています。この肉の「サシ」(脂のこと)の模様には「PPTP」と「ポプテピ」という文字が隠れているのがわかります。もしかしたら、他の文字も隠れているのかもしれません。

8話の隠しネタ考察でも触れたように、ポプテピピック制作陣はこのように「騙す」行為を行ってくるという事です。

トリックプレー

オーラキャノンとガニメデプロトン

サッカーでは曲芸的なボールコントロールをする選手のプレーに対して「トリックプレー」と形容することがあります。サッカーの試合において両手から放たれる波動でシュートするのはイナズマイレブンの「ガニメデプロトン」を思い出します。

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イナズマイレブン:販売元、レベルファイブ

「オーラキャノン」はファイナルファンタジー6(スクウェアエニックス)のマッシュの「ひっさつわざ」の一つ。

FF6オーラキャノンオーラキャノンマッシュ

「サテライトキャノンは機動新世紀ガンダムX(原作:矢立肇、富野由悠季 製作:テレビ朝日、サンライズ)の兵器

サテライトキャノン 

罠にかけるトリック

ボブネミミッミで店員を罠にかけようとするボブ子。「トリック」を仕掛けています(この場合は「トラップ」が適切かもしれませんが)。

罠を仕掛けるゲームとしては、刻命館、影牢などが有名です。

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影牢II -Dark illusion-:発売元、テクモ

騙すトリック

船場吉兆の女将と小保方

船場吉兆のささやき女将

f船場吉兆ささやき女将

船場吉兆のささやき女将、湯木佐知子氏のこと。高級料亭の吉兆グループのうち大阪界隈で数店舗営業していた「船場吉兆」にて賞味(消費)期限偽装、産地偽装、無許可酒造等が判明。立て直しを図るも後に食べ残しの再提供(使い回し)をしていた事が発覚。更には一連の偽装問題を会社側は「パートによる独自判断」と当初説明していが、後にパートから「店長の指示によるもの」「事故報告書に虚偽の記述を強要された」と暴露。記者会見を開くに至った。客を騙して商売をしていた船場吉兆は自主廃業となった。

野々村竜太郎元議員

野々村竜太郎元兵庫県議員

元兵庫県議会議員(西宮市選挙区)野々村竜太郎。政務活動費の不正使用で兵庫県民を騙し、刑事告発された。謝罪会見の挙動があまりに常軌を逸していたため、MAD素材として活用されている。なお、原作者ぶくぶ先生の出身も西宮市であるが多分関係ない。

小保方晴子

ポプ子の服装は小保方晴子氏の実験時の割烹着。理化学研究所の研究員であったが、STAP細胞の研究データに不正があったとされて博士号を取り消された。日本中が裏切られた気持ちになった。なお、本人は不正を否定。

スター-Star

スター

A5の黒毛和牛は「五つ星」ランクと言えますし、殺された鈴木一郎はイチローという言わずと知れたスーパースター選手の本名です。ガニメデプロトンのガニメデも木星の巨大衛星ということで、スターと言えるかもしれません。

銀座ホステス探偵の場面では、温泉、タイトル表示、崖のクライマックスのシーンで太陽が映り込むなど、スターが表示される場面が複数ありました。

銀座ホステスの女将と新人記録更新

銀座ホステスの女将のピピ美、新人売り上げ記録更新のポプ子。

いずれも「花形」の立場、つまりスターです。

かぐや姫

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引用元:http://www.ghibli.jp/kaguyahime/

銀座ホステス探偵のサブタイトルの元ネタは高畑勲監督の「かぐや姫の物語」。10話冒頭の竹書房彦摩呂はかぐや姫の物語のスタッフでもあった斉藤拓也氏が作画を担当しているのでこれが元ネタ。

日本最古の物語である竹取物語に登場する月の民、天女。スターですね。

かぐや姫の物語は重要です。

落ちゲーの8bitパート

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どうも、顔の両側に顔の向きと合わせた指が揃うと消える仕組みみたいですね。

BGMは「ぷよぷよ」シリーズのラスボス、サタン戦のBGMである「すばやくてゴワイ」をモチーフにしています。背景は「パネルでポン」が元ネタ。太陽などのスターがありますね。

日暮警部

日暮れ警部

」はもちろん恒星の太陽の意味。スターです。ここで、関係する警察官を見ていきましょう。

見た目:逆転裁判シリーズ(販売元:カプコン)の糸鋸(イトノコ)警部?

逆転裁判、糸鋸警部

声と服装:目暮警部

コナン目暮警部

名探偵コナンのメグレ警部

中の人:日暮れ警部=大石蔵人警部

目暮警部の声優である茶風林が演じる大石蔵人警部。「ひぐらしのなく頃に」から。

ひぐらしのなくころに大石警部

なお、こち亀の「日暮熟睡男(ひぐらしねるお)」は無関係と思われます。

ジョースター

ジョースターというのはジョジョの奇妙な冒険シリーズの主人公の家系ですが、再放送版のポプ子を演じた小山力也とピピ美を演じた高木渉はジョジョの奇妙な冒険においても配役があります。

小山力也はゲーム・ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル(吉良吉影 / 川尻浩作)、劇場版アニメ・ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド(ウィル・A・ツェペリ)が配役。画像は吉良。

小山力也、吉良吉影

高木渉は荒木飛呂彦原作のアニメ「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・ジョジョの奇妙な冒険DU製作委員会」の虹村億泰など複数作品で配役があります。画像右が億泰。

高木渉、虹村億泰

声優陣については小山⇒毛利小五郎、高木⇒高木刑事&元太がコナン要素であるのに加え、徳井青空と三森すずこ⇒探偵オペラミルキィホームズと、探偵物の作品で配役がありました。虹村億泰と吉良吉影はジョジョ4部のキャラクターですが、ジョジョ4部も作品全体を通すと連続殺人事件の犯人を捕まえるという目的を持った事件解決物であると言えますね。 

更に、再放送のOPでSE(サウンドエフェクト)がついた演出はアニメ・ジョジョの奇妙な冒険シリーズでもありました。神風動画がジョジョ1~3部の作画担当であったことから、ジョジョで配役のあった声優が登場する再放送バージョンからSE付に変化したのでしょう。

トリックスター

『TRICKSTER -江戸川乱歩「少年探偵団」より-』

さて、コナンと言えば苗字は江戸川なので江戸川乱歩が思い出されます。江戸川乱歩を原案とする探偵物アニメがありましたね。 

特にポプテピピック10話とは無関係ですが、トリックスターという用語が重要。

トリックスター"Trickster"の原義

神話や物語の中で、神や自然界の秩序を破り、物語を展開する者である。往々にしていたずら好きとして描かれる。善と悪、破壊と生産、賢者と愚者など、異なる二面性を持つのが特徴である。

トリックスター - Wikipedia

ポプ子が賢者の描写ってあったっけ?とは思いますが、「神の秩序を破る存在」というのは重要な意味だと思います。

トリックスターと竹取物語

「かぐや姫の物語」の原案である竹取物語では、かぐや姫は5人の貴公子からの求婚を断り、更には帝の誘いにも応じません。帝とは文通の間柄になるのですが、それは帝がかぐや姫の意思を尊重したからでしょう。帝といえば最高権威ですから、そのような立場の人物に対する関係は、ある意味で掟破りです。トリックスターの原型からは離れていると思いますが、月の民という設定は自然界の秩序を破る存在と言えるでしょう。

トリックスターとしてのポプ子と今後の展開考察

冒頭のポプ子がめちゃくちゃ偉い人である殿上人(てんじょうびと)に釘バットで襲いかかるために待ち伏せしている場面。ボブネミミッミでサボ神にダブルフ〇ックした場面。まさに神の秩序を破る存在です。そして、竹書房彦摩呂のシーンがあるため、OPでTVを壊す釘バットはポプ子の行為であることが匂わされています。

殿上人 - Wikipedia

「TV映像の内部の存在であるポプ子が、上位存在に反旗を翻す。」

このような象徴的シーンの間にOPがありましたが、箱庭の中の存在であるポプ子が上位存在であるTVを壊し、現実世界に影響を与えてきた、とも言えるような展開だったと思います。

再放送Verの声優にジョジョの声優を充てたのは、両者の演じるキャラクターの能力に着目すると興味深いです。小山氏演じる吉良吉影は、時間を巻き戻す能力を身に着けます。また、高木氏演じる虹村億泰は、空間を削り取る能力があります。つまり、時空の法則を破る能力を持つ者が揃ったということになります。時空を超えた存在がこの要素で感じられることとなります。

アニメのお約束をとことん破壊してきたポプテピピックが第10話では刑事物、ミステリーもののテンプレート的展開を踏襲しまくることには笑えますが、対照的にポプテピピック内部においては「前後半のOPは同じというこれまでのお約束」を破ってきました。まさにトリックスター的な演出ですね。

アニメ・ポプテピピックでは、前後半の違いと言えば声優が変わることや、声優のアドリブによってセリフ自体が変化するということでした。しかし、エンドレスエイトを抜けた第9話では前半と後半のストーリーパートの言語が異なっていたことから、「お約束を破壊する」という要素は連続しています。この要素は今後、11話と12話でも続くのではないかと推測します。

今後破られる「お約束」の予想

これまで破られてきたポプテピピック内のお約束は以下です。

  • 前後半でセリフは同じ⇒声優のアドリブで崩れる
  • 前後半で使用言語は同じ⇒9話のストーリーパートで英語と沖縄弁
  • 前後半でOPは同じ⇒10話で後半のみSE付
  • 前後半でアイキャッチの声は同じ⇒9話で異なる声が一部あり

では、今後破られるであろうお約束は?可能性のある展開を挙げてみます。

  1. 前後半でエンディングが違う
  2. 前後半でボブネミミッミの内容が違う
  3. 前後半でポプ子とピピ美の声優が一緒
  4. 前後半で所々展開や結論が違う
  5. 前後半ではなく30分1本のストーリーとして完結する

これらの内、1番は最終回であり得そうです。同じ最終回が2回続くというのは退屈だと思います。そんな事をポプテピピックはするでしょうか?

2番は一番可能性としては低いですね。ボブネミミッミは他の制作陣と情報を遮断して作成したとAC部の人が語っているので、前後半別々の作品として放送される事を想定して作ってはいないのではないか?と思われるからです。

3番は、よく「実現しないかな~」と言われている「全部山寺宏一」(前後半のポプ子とピピ美だけ)の希望が叶う結果です。しかし、制作陣はこれまでの配役において、声優のカップリングで遊んでいたのですから、その面白みを削ぐことになります。

4番目は面白そうなので考えてみましたが、あり得るとすれば急展開が予想される11話の後半でしょうか。

5番目は1番とも関係しますが、最終回であり得そうな展開です。そもそも、この展開がふつうなのですが(笑)、最終回を突き抜けて打ち切るにはもってこいの展開だと思います。第一話で登場した「委員会」との決着が何らかの形で図られるのだと思います。

あと、星色ガールドロップについては多分最終話の最後とかに上手くはめ込むんだろうなと思っています。

11話に向けて

 

最終話の1話前というのは、急展開が予想される回です。

実は、これまでポプテピピック内部の意味におけるメタ発言はポプ子とピピ美からは出てきていません。唐突なメタ発言はあるのか?お約束は破られるのか?前後半ともに目が離せませんね。

ポプテピピック9話隠しネタ考察:沖縄琉球時間とシックスセンス

ポプテピピック9話「奇跡とダンスを」の解説です。

今回は「センター」と「時間」「動物」が隠しテーマでした。

それらの関連性を示したうえで、更なる隠しテーマについて考察してきます。

センター(中心)となる場所や要素

場所や要素に「中心」を意味するものが多数含まれていました。

タイムズスクエアとジャパリパーク

世界の中心タイムズスクエアとジャパリパーク

タイムズスクエアと世界の中心

9話の象徴的な場所であるニューヨークの「タイムズスクエア(Times Square)」。シアターディストリクトと呼ばれる区画とほぼ一致するエリアであり、これから映画のパロディを行うぜ、という宣言のようにも思えます。
タイムズスクエア - Wikipedia

ここは「世界の交差点」とも呼ばれる場所です。看板にいろんなネタがありますが、注目すべきは上の写真の左上にある「〇〇〇RI PARK」という看板です。これは明らかにけものフレンズの「ジャパリパーク」を指していますね。
単なるサファリパークの可能性もありますが、ここの風景にはピチューの看板があったり悟空を思わせる風貌の人物が映っているなど、マンガやアニメのネタがたくさんあることからも間違いないでしょう。

ジャパリパークは『世界中の動物を集めることを目的に造られた巨大施設』です。世界中の物が集まるニューヨークでも世界中の広告や企業、観光客が集まる、まさに「世界の中心」と呼んでよい場所にとって、ジャパリパークはふさわしいと言えます。

セントラルパーク

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ジョセフやポプ子らがキャンプをしていたのは、ニューヨーク・マンハッタンのセントラルパークです。まさに都会のど真ん中にある広大な公園です。

ワールドトレードセンター

ワールドトレードセンターと世界の中心

ニューヨークの街に2つ高くそびえたつのは「ワールドトレードセンタービル」です。
2001年9月11日の同時多発テロ事件によって崩壊してからは「グラウンド・ゼロ」又は「ワールドトレードセンター・サイト(跡地)」と呼ばれました。現在は「1 ワールドトレードセンター」が建てられています。

この世界観は2001年以前という事になりますね。

ゲームセンターとゲームセンターCX 

ゲームセンターの腕相撲マシーン

ロボコップとARM-CHAMPS

腕相撲の対戦相手のロボコップは、かつてゲームセンターに置かれていた「ARM CHAMPS」が元ネタ。

ぶくぶの肩書ゲーム実況者

ということで、大川ぶくぶ先生の肩書「ゲーム実況者」は、「センター」繋がりで「ゲームセンターCX」を想起させるものであると考えられます。

ゲームセンターCXとは、フジテレビCSで放送中のゲーム番組ですが、いわゆる「実況ゲーム」の先駆けです。2003年にお笑いコンビ・よゐこの有野晋哉さんによるゲーム操作を番組で扱ったのが最初です。ゲーム実況動画は、2007年にサービス開始したニコニコ動画等の動画配信サービスが活発になってから盛り上がりを見せたものです。

ぶくぶ先生は「クリアするまで止められない」という縛りで実況をしたことがある、ということでしょうか?なんらかの実況をした実績はあるようです。

 「中心」を想起させる心臓など

心臓と手、タイちゃんセンターオブユニバースアンドジアース

冒頭の「バラバラタイちゃん」では心臓が出てきました。人体の枢要部ということで、人間の要となる部位ですね。

また、「センターオブユニバース」「センターオブジアース」もありましたね。

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Center of Universeという題名のMr Childrenの歌がありますが、ミスチルの歌詞はこの場面とは内容が合っていません。「Center of Someone's Universe」という形で「その人の人生において最も大切な」という意味があります。Center of the Universeという題名で無数の海外作品がヒットしますので、その内のどれかなのでしょう。

センターオブジアースはディズニーのアトラクションの名前がありますが、このアトラクションの元ネタはフランスのジュール・ヴェルヌの「地底旅行=Journey to the Center of the Earth」、原題:Voyage au centre de la terreという小説です。度々映画にもなっています。

さて、世界の中心が舞台となった「奇跡とダンスを」ですが、時代錯誤な表現がいくつもあります。それは「時間」を意識させるものでした。

時間にまつわる元ネタ

時間を認識させてくれる要素や、時間を巻き戻す・遡る物語がある元ネタが多数ありました。

バックトゥザフューチャー(Back To The Future)

バックトゥザフューチャーとメトロ

ナイキエアマグナイキ社エアマグ

ジョセフ(後のニューヨーク市長?)の履いている靴はバックトゥザフューチャー(Back To The Future)=BTTFの2作品目で登場した靴です。1985年から2015年の未来に飛んだマーティーマクフライが自動で靴ひもが締まる靴に驚いていましたが、現実世界でもナイキが「エアマグ」の名で発売しています。
ニューヨークの地下鉄は1980年代にはこの画像のように大変汚れており、危険な場所と言われていました。つまり今回のニューヨークは80年代のニューヨークを舞台としているという事ですね。ただ、ジョセフは2015年の靴を履いてますし、ポプ子とピピ美はなぜかスマホを持っています(笑)

http://archive.is/kiCM1

ターミネーター

ゲームセンターの腕相撲マシーン

ロボコップを倒した後に登場するのは「ターミネーターのT-800」。アーノルド・シュワルツェネッガーでおなじみの、未来からジョンコナーを殺すためにやって来たアンドロイドですね。

FFXV(ファイナルファンタジー15)

ファイナルファンタジー15
FF15過去への移動

ポプ子とピピ美が載っている車を押しているのは「ファイナルファンタジー15」のキャラクターです。FF15にも時間を巻き戻す描写があります。

時をかける少女

ポプテピ、時をかける少女f:id:Nathannate:20180305054211j:plain

河川敷のシーンは、時をかける少女のパロディですね。

作中の時間表現:虫食いフィルム再び

奇跡とダンスをCGに昔のフィルム表現

奇跡とダンスをCGに虫食い

第8話「飯田橋の昇竜」で使われた古いフィルムを回しているかのような描写として、「虫食いフィルム」がありました(私が勝手に使用している俗称です)。

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第9話の他のパートと見比べてください。この話にしか、虫食いフィルムの表現は使われていません。これは、見ている映像が昔の物であることを表していると言えます。視覚をフルに働かせる必要がありました。

しかし、冒頭の海の映像はCGなのにフィルムの傷の表現を入れるという暴挙には笑ってしまいますね(笑)

ロレックス、鼓動、川の流れ、うさぎなど

うさぎと時計

タイムズスクエアという名称そのものがに関係しますし、ブログ冒頭の画像には時計のロレックスをもじった広告がありました。アリスのうさぎも時計を強調した上に、実は時計の針が進んでいる音がずっと鳴っていました。また、ばらばらタイちゃんのコーナーでは、心臓の鼓動が鳴っていたことに気付いた方もいると思います(ヘッドフォンでないと聞こえづらいかもしれません)。更に、河川敷の場面では、川の流れる音もしっかりと入っていました。心臓の鼓動や川の流れというのは、時の経過を暗示させる要素ですね。それにしても、聴覚を酷使させる9話ですね(笑)。

また、今回は前半と後半とで音が異なる場面がいくつもありました。バラバラタイちゃんの観客の歓声が前半はあったのに後半はありませんでした。アイキャッチで女性と男性が入れ替わっている箇所もあります。

その他、ピピ美がボタンを押させる場面で「五億年ボタン」を想起した方もいらっしゃるかと思います。さすがにそれはポプテピピックと関連付けることは難しいと私は思うので、ご自身でググってどうぞ。概要としては、5億年をループするというホラーものです。

動物の鳴き声と五感

動物の鳴き声がするアイキャッチ

今回、アイキャッチ(タイトルコール)の場面も耳を休めることはできませんでした。

神城維来などポプピピ以外の人がコール


Aパートの大人ジョセフ役を務めた神城維来とは、"The Anime Man"の名前でユーチューバ―としても活動している方の日本名(本名のファーストネームはJoeyと思われる)。日本人とオーストラリアのハーフ。彼自身クリエイターとして作品制作をしています。バラバラタイちゃんのナレーション、8bitパートのアナウンスも担当していました。前回あれほどユーチューバ―に厳しかったのにこれだよ!

動物の鳴き声

「ポプテピピック」のアイキャッチ時に「動物の鳴き声」がしていた事に気づいているでしょうか?犬、猫、虎、鳥などの鳴き声がしました。これは、冒頭でジャパリパークがあることによると思われます。

※偶然にも、今回初参画の制作者として「ゴリラフィルム」が登場しましたね。進撃の巨人のプロモーションビデオや闇芝居のアニメ制作などを手掛けていました。

また、このように「音」に注意を促すことで、「聴覚」というキーワードを意識させるものだということに気づきました。

ポプテピピック9話は、日本語、沖縄語、英語、フランス語とただでさえ聴覚を酷使するものであるのに、更に聴覚に神経を使わせる要素があったということです。

嗅覚と味覚と触覚:フーチバー親方の新垣正弘

嗅覚を刺戟する食事

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出典:https://twitter.com/kirizaki_charon/status/969975023720054784

動物と言えば、嗅覚と味覚も敏感です。

JAPONーMIGNONでは、臭いがキツイ料理のネタがありました。それが嫌で店を変えたのに今度はラーメン屋というのも皮肉が利いています。また、沖縄語の監修を務めたのは、新垣正弘さんという方でした。沖縄では伝説的な芸人であり、「フーチバー親方」の異名があります。フーチバ―とは沖縄料理にかかせないヨモギのことです。クセの強い料理の「匂い消し」に使われています。

このように、味覚と嗅覚を強く意識させる要素もあったポプテピピック。

バラバラタイちゃん、では「手」が登場していたこと、ポプ子とピピ美がハグするシーンがあったことから「触覚」の要素も垣間見えたところです。

以上、これまで視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚を研ぎ澄ます必要があるネタがこれでもかという程、執拗にありました。五感に意識を向けさせたのはなぜでしょう?他に考えられるものはなんでしょうか?

ジョセフとシックスセンス

ジョセフは奇妙な存在であるということに気づきます。ここから映画のネタバレも含みます。

「奇跡とダンスを」の世界観とジョセフの立ち位置

既に述べたように、この話のニューヨークは1980年代であるにもかかわらず、ジョセフは2015年のシューズを履いています。どう考えても時代錯誤でおかしい。ジョセフはこの世界の住人ではないのではないか?という疑問が湧きます。

時空の交差点。タイムズスクエアは、エンドレスエイトを抜けた先のスタート地点なのでしょうか?

次に疑問なのは、なぜジョセフの語りという形式なのか?という点。実は、ジョセフという名前は作中で明らかになっていないのです。スタッフロールで初めて確認できます。奇妙なことに、作中で誰とも会話をしていないということに気づきます。

「実は会話をしていない」という展開が待ち受けているアメリカ映画として「シックス・センス」が挙げられます。ネタバレなのですが、シックスセンスの設定を思い出してください。

シックスセンスと中心、時間

シックスセンス。見たいものだけが見えるf:id:Nathannate:20180305065146j:plain
製作会社 スパイグラス・エンターテインメント Kennedy/Marshall
配給:ブエナ・ビスタ 、東宝東和

ジョセフはポプ子とピピ美に何ら干渉しておらず、彼女らもジョセフに気付いている描写は皆無です。

ジョセフは自分のみたいものを見ていただけではないだろうか?その理想的な舞台設定として、世界の中心で時間軸も混ざっている世界をみていたのではないだろうか?だからこそ時代錯誤な物や存在が時空の交差点において共存していた。ジョセフがゴーストバスターズによって吸い込まれないのはなぜか?見たいものをみているからではないか。

自由の女神とポプ子らの存在意義

ポプ子が現世の者とコミュニケーションをとれていたのはなぜか?それはジョセフとは異なる存在だからだろう。自由の女神像の上で写真を取っているのは、彼女らがジョセフとは異なる自由な存在という事を暗示しているのではないか?
※「半目」というのは、ポプ子役の中村繪里子さんは写真を撮られるとなぜか半目の確率が異様に高いという中の人ネタでした。

そして、ジョセフが市長になった後のシーンでも、なぜか「虫食いフィルム」の表現が残っていたことが思い出されます。この表現方法は第8回では「昔に作られた映像作品のパロディ」でした。しかし、今回の映像はそのような意味なのでしょうか?今回の「映画」の冒頭を思い出していただきたい。海の描写はCGであったという事を。よって、第9話における虫食いフィルムの表現は「昔に作られた映像作品」とは異なる意味ではないか?

さらに、市長になる前と後の両方のシーンでも「虫食いフィルム」の表現が使われていたことから、市長になる前と後の世界には連続性があるといえます。そうすると、市長の演説シーンは「ジョセフが見たいシーンを見ている」シーンであると言えないでしょうか?

虫食いのようなノイズが入っている理由は、ジョセフは「ニューヨークで夢を見ていた」から。これは深読みし過ぎでしょうか?
ボブネミミッミでは夢落ちが結末である不思議の国のアリスのネタだったのは偶然か?

シックスセンスとの関連性

f:id:Nathannate:20180305065554j:plain4ヒットした攻撃

回、4つ葉のクローバー、4HIT、タイムズスクエア。4と9。そしてバラバラになった人体のパーツと即身仏のおっさん。これは偶然だろうか?

特に格闘シーン。たった4HITで体力ゲージMAXからゼロまで減らされてはたまらない。第8回ではある程度削ってからピピ美の必殺技の9HITでHPを削りきったことと比較すると、これはいささか不自然です。「4HITに合わせなければならなかった」そう考えるのが自然ではないだろうか?

シックスセンスでは「死者」を予感させる場面では必ず「赤」い物が登場していました。物語の中で色がキーファクターになるというのは古今東西変わりなく普遍的なものであるということは8回の隠しネタ考察でも指摘しました。

「赤」のリュックを常に持っていたジョセフ。リュックが映ってないときは背後に「赤電話」。これも偶然でしょうか?もちろん、ポプテピピック9回ではアメリカらしく色が雑多な感じであり、赤の色が殊更多く使われていたと言う前回のようなことはありませんでした。

ただし、先述の「虫食いフィルム」や格闘ゲームのコーナーが第8話に続いて9話でも出現していることからは、第8話をいわば「チュートリアル」のようにして9話の隠しネタに気付かせようとしているとは言えないだろうか?8話と9話は類似性がある、という事は、自由の女神が両話において出現していることからも裏付けられます。

シックスセンスの主演はブルース・ウィルスでした。そう、前回の8話で前髪を揃えたポプピピの前に現れたのは、ブルース・ウィルス扮するダイ・ハードのマクレーンだったことが思い出されます。ポプテピピックは声優が担当している別の作品のキャラクターのパロディを良く行うということからは、今回もその点が意識されているとは言えないだろうか?

このように、ある類のモノに気付くセンサーを訓練をさせておいて、更なる隠しネタを仕込むという手法は第6話でもありました。

しかし、10人中1000人という点も含め、9話の謎は多く残されたままです。

ゴーストとシックスセンス

ショーシャンクの空に、ゴーストろくろ

この場面、ジョセフのポーズは「ショーシャンクの空に」のパロディですが、ポプ子が触れているのは「ろくろ」。意識高い系の会話をしているのは、意識高い系の人物がしゃべるときになぜかろくろを回すかのような手のポーズを取るというのが元ネタ。

ゴーストニューヨークの幻
ニューヨークを舞台にした恋愛映画『ゴースト/ニューヨークの幻』(原題:Ghost)でも、ろくろを回すシーンがあるのでこれが元ネタと思われる。冒頭のゴーストバスターズといい、第9話は「ゴースト」にまつわる映画のパロディが複数あったと言える。

種明かしはDVD,ブルーレイであるのでしょうか?
 

POP TEAM EPIC歌詞制作者視点考察:ポプテピピックOP最終回前考察

アニメポプテピピックの主題歌「POP TEAM EPIC」の考察をしていきます。最終回で何らかのネタバレがあるのではと言われていますので、その前に考えを披歴したいと思います。

まずは考察の前提を規定していきたいと思います。
※この考察は、他の角度・視点からの考察を否定するものではありません。あくまでも見方の一つを提示するものです。

アニメの主題歌というもの

アニメの主題歌の性質には複数の種類がありますが、歌詞が言及している対象という視点からは以下の3つに大別されると考えられます。

  1. 専らアニメ内部の事柄について言及するもの
    例:ガッチャマンなど昔のアニメや、CHA-LA HEAD-CHA-LAなどファンタジー作品の場合
  2. アニメについて言及しているが、現実世界をも意識したもの
    例:おジャ魔女どれみのおジャ魔女カーニバルなど基本的な世界観が現実世界の日常であるもの
  3. アニメとは無関係に作られた楽曲をOPとして採用したもの
    例:るろ剣のそばかす、エウレカの少年ハートやDAYSなど

ポプテピピックOPはどれでしょう?

"POP TEM EPIC"というタイトルと歌手が声優の上坂すみれであることからは、アニメ(原作)を意識していることは明らかです。

ただし、「打ち切り」という単語が気になります。これは物語作品の連載を打ち切るという半ば業界用語化した言葉であり、ポプテピピック原作が、まんがライフWINで打ち切られる度に復活している事を意識していると言えます。

そもそもポプテピピック原作自体が現実世界の時事問題の風刺等も含んだネタで満載ですので、現実世界との繋がりを絶って理解することはもったいない気がします。

よって、POP TEAM EPICは上記の枠で捉えるなら2番目の種類と言えるでしょう。

歌手:上坂すみれ 歌詞・楽曲:吟(BUSTED ROSE)
レーベル: キングレコード

POP TEAM EPIC 【初回限定盤】CD+DVD

歌詞の主体は誰か?

なぜこのような類型分けをしたのか?それは考察範囲を特定するためです。

POP TEAM EPICをアニメについて叙述したものと考え、いわゆる「ループ物」の物語の伏線を張っているとする解釈が多くみられます。それはそれで大変面白い考察で、最終回までの展開でその予想が当たっているのかどうかは興味があります。

ただ、せっかく現実世界と関係を深く持ってしまった作品なので、歌詞の内容は「アニメだけにとどまらない意味づけがなされている」と考えるのも一つの愉しみ方ではないでしょうか?

すると、主体は誰か?(歌っているのは誰か?)という事になります。現実世界での主体として第一に考えられるのは、アニメを見ている者自身、つまり「視聴者」という事になるんじゃないでしょうか。その観点からの考察も一部見られ、深い考察を見てみたいという思いはあります。しかし、仮にそうだとしても、私は単なる無属性の視聴者ではないと考える方が面白いと思います。

なぜか?やはりサビにある「打ち切り」という単語の異質さが際立つので、ここをベースにした方が良いのではと思うのです。

そこで、私はPOP TEAM EPICの主体は「作り手」という観点から考察していきます。ポプテピピックのアニメは既に見てきたとおり、各コーナーの制作者が誰かが冒頭に表示されており、ネット上でも制作者の過去作の発掘がなされるなどしているので、言及することには何らおかしい事は無いと思います。

念頭に置くのは「マンガやアニメの制作者」ですが、世の中全般における「作り手の立場に置かれる人たち」をも含むものと考えています。

 

根本テーマ『作り手による「世界」のリメイク』

 

POP TEAM EPICの歌詞の終盤を見ると以下のフレーズがあります。

キラキラの鏡ぶち壊して

新世界へ!

這い上がれ!

思い描くスピログラフ

一義的ではない用語を使って普遍的なテーマを叙述するというのは歌にはよくあることで、上に示したようなフレーズからは、なんとなく「現状を打破して次のステージに進む」というようなイメージがありますね。

それを「作り手」の文脈としてどう捉えればよいのか?というのがここでの課題です。

ここで、マンガ家は自分の思い通りの「世界」を自由自在に構築し得る存在であることが思い浮かびます。アニメ制作陣も原作の縛りはあれども、ポプテピピックはもはや原作無視でも成り立ってしまう勢いなので(笑)、アニメ制作陣も思い通りの「世界」を作れる存在と言えます。これはとてつもない力です。

『作り手による「世界」のリメイク』

これがPOP TEAM EPICの根本テーマであると決めつけていきます。

実はプロモの中に、そのプロモ自身のドラフトと思われるスケッチが一瞬だけ写っている場面があります。メタな描写がある=作り手を意識させている。そのようなプロモであることは間違いありません。

監視されている「君」は誰?

作り手が世界を作るとき、それは妄想だけに頼っていてはいけません。ファンタジー世界を描く漫画家でさえ、現実世界にあるモノに対する真摯な観察によって、その画風やストーリーを形作っていきます。

「見慣れた景色に潜むイデア」

何気ない物、風景、感覚、会話、音、社会情勢。見逃してしまいがちな「景色」から作品を生み出す要素を抽出する。これが作り手が行っている行為であると考えられます。すると、監視されている「君」は世の中のすべての事象ということになります。プロモーションムービーでも、冒頭に映るのは自然現象、動物、造形物などの森羅万象です。

しかし!作り手は果たして見るだけの存在なのでしょうか?

pixivで投稿しているアマチュア作家でさえ、作品を作って1人で満足している人なんていないのではないでしょうか?そこでは必ず「他者からの目線」を意識し、より面白い漫画、より共感が得られる画風、画力、構図、コマ割り、ストーリーを研究しているはず。

「他者からの目線」は商業的な作品を作る立場であればなおさら意識しなければならず、会社であれば更に同僚や上司、取引先などの目線が加わることになります。

作り手は監視する者でもあり、監視される者でもある

このような状況が、歌詞において苦悩を表す下敷きとなっているのだと思います。プロモでも、上坂すみれが目を動かす場面、PCに映る目、警備員に照らされる場面など、「見る」と「見られる」が同居している様が描かれています。歯磨きをする場面では自分を見ていることになります(一般的に歯磨きはどこでするものでしょうか?)

 

 「世界をリメイク」「隙間の無い狭苦しいお庭」

 

監視されているということは、自分を律する効用がある一方で、自由が利かないということも意味します。Aサビではスピログラフを「思い描く」のですが、直後では「隙間の無い狭苦しいお庭」とあるように、窮屈さがある中での作業のような気がしてなりません。

Aサビはまるで出版社に読み切りを持っていくも受賞できなかったり、連載を勝ち取っても打ち切られてしまうマンガ家が、それでもまた題材を仕入れて(パラレルワールド旅して)新しい作品を生み出して(世界をリメイク)いく姿を想像させます。

パラレルワールドとは、マンガの世界と現実世界という意味でもあり、過去の作品と新しい作品という意味でもあるように思います。打ち切られなければ描き、表現できたであろう作者の願い。それを表現できる日を夢見て新作を作る。そんな心象風景が浮かび上がってくるようです。

打ち切り漫画というとこちらのシリーズが面白いので貼っておきます。

 

世界をリメイクする力がありながら「隙間の無い狭苦しいお庭」というのは、表現者ならだれもが通る道である、「マンネリ化」「陳腐化」の暗喩ではないでしょうか。

既に先駆者達が試行錯誤し尽くした表現方法。それを超える表現や新しい表現を生み出さなければいけないという思いと外部からの要請。それに失敗すれば「つまらない作品」として読者に飽きられるだけ。

ディストピアを越える。ディストピアとは、過剰に管理された窮屈な社会を言い表す語です。読者の評価、編集の介入、そういうものに打ち勝てず、好きな作品を描ききれない。打ち切られた。またお別れね。次の作品で読者に読んでもらうために頑張るから。

打ち切られた漫画なんて読者は覚えていない。私が作った作品の世界観、キャラクターたちも忘れ去られるだけ、思い出もなくなる。それでも私は懲りもせずライトの下で筆を振り、或いはマウスを走らせる。

「またお別れね」の部分のメロディはとても悲しい音になっています。しかし、その次の瞬間には再び力強い音で再始動するかのうように「次の世界で待ってるから」。諦めない精神を象徴するかのようであり、作者の宿命を綴った場面のように思います。Bサビはメロディは力強いですが、歌詞は郷愁すら感じられるものになっています。

「壊さなきゃ」「ミラーシステム」

後半部分からメロディが変調し、変化を予感させます。

自分の殻を破り、観賞用のフラワーアレンジメントと化した自分(或いは作品)を脱する。読者などの外部の評価を過剰に意識し過ぎたあまり、作品に力がなくなってはいないだろうか?予定調和を目指して安定するのではなく、これまでの枠を超える新世界へ! 

こちらの隠しネタ考察でも説明しましたが、ミラーシステムとは、「他の個体の行動を見て、まるで自身が同じ行動をとっているかのように"鏡"のような反応をすること」です。8話でピピがレモンをすすったポプと同じようによだれを垂らすような状態もミラーシステムの一つです。

ただ、このままだと作り手の文脈では不適当ですね。意味が通らなくなります。ここでは「他者の期待を認識して同調すること。その結果、期待や予想に沿う作品を作るよう無意識に妥協してしまう」というような意味だと思います。他者に「監視」されている事の弊害の例ですね。

実際にものを見せてあげるまで、本当のところ、何が欲しいのかが消費者自身にもわからないことが多いんだ

スティーブ・ジョブズ

自由に作っているつもりが、「既存の枠にはめられた期待」によって「作らされている」のではないか?(ハムスターの回し車のように)ミラーシステムは作り手を窮屈な表現手法に縛ることになり、そのような状態に陥っていては、良い作品は作れない。鏡はキラキラしていて居心地はいいけれど、それに安住してはいけない。壊さなきゃ。バイバイ、シャバイパラダイス。

(版権元の権利問題でパロディが出来ない?許可とれ!ギリギリを攻めよう!)

世界をリメイク

これ以降、作者はパラダイムシフトを起こして独自の世界を真に自由な状態で作り出していく。このような意味と捉えるならば、CサビはAサビと同じ言葉を用いているのに、「一周回った」「乗り越えた」者が持ちうる力強さ、希望が感じられます。

ここでの「世界をリメイク」は、作品の世界観を設定し直すという意味であったものから、自分の立ち位置や作品の制作姿勢を作り直すという意味にも取れます。また、自分の作品が世の中の評価基準を変える、文字通り創作物をとりまく世界(業界)をリメイクするという意気込みすら感じられます。

もちろん、「完全な自由」はむしろ迷いを生じさせるためそのような状態ではないでしょう。一定の「縛り」や「規律」の中で試行錯誤、もがき苦しんできた末に壁を破った者こそが持ちうる「真の自由」。その強さを手に入れた作り手には、打ち切り後もまた別の作品であったり、別の形で作品に出会えるでしょう。前作は読み手の記憶に残り続ける。

アニメ・ポプテピピックという作品:最終回前の考察

私はこの作品を見て、初めてアニメーションの制作者に注目したと思います。

声優や音楽担当者は興味を持たれても、制作者はエンドロールで見向きもされない。しかし、ポプテピピックでは各コーナーの制作担当が明確になっており、冒頭に制作者名が表示されます。それによってポプテピピック以外に作られた制作者の作品にも出会うことができました。

素晴らしいサブカル制作者たちによる壮大なクソアニメをきっかけに、新たにクリエイターの道を目指す人も出てくるんじゃないでしょうか?

POP TEAM EPICは終わらない。

to_be_continued. POP_TEAM_EPICは終わらない.