事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

女系天皇推進のニューズウィーク日本版の長岡義博編集長、算数ができなかった…

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ニューズウィーク日本版の長岡義博編集長が女系天皇を推進したいがために、算数ができないことを暴露してしまいました。

ニューズウィーク日本版の長岡義博編集長、算数ができなかった

10月23日のAbemaTV/『けやきヒルズ』において、ニューズウィーク日本版の長岡義博編集長が以下のような発言をしていました。

「男系継承を維持するとなれば、男子が生まれない可能性が増えるのは予想されたこと。ある夫婦が子どもを2人生むとして、男子が生まれる確率は2分の1。その男子から男子が生まれる確率は4分の1、さらにその先は8分の1と細っていき、それを補完するため以前は側室制度が残っていた。側室は今の時代には合わない、女系天皇も反対となると、旧宮家の復帰、天皇の血を引く男子の婿養子という選択肢しかないのでは」

さんすうをもういちどまなびましょう。

男女の出生率は2人目以降も2分の1

ある夫婦が子供を産むとして、1人目が男子あるいは女子である確率は2分の1です。

では、2人目はどうでしょうか?

この場合も2分の1です。

男子あるいは女子が生まれる確率は、どのような状況でも約2分の1に収束します。

(実は社会全体のスケールで見ると男子の方が若干出生率が高い)

男子が「2人連続して生まれる確率」が25%(4分の1)であり、3人連続⇒12.5%(8分の1)です。女子の連続出生率も同じです。

そして、それは世代間を一緒に見ても基本的に同じです。
(双子などを捨象する。双子は100分の1の確率なので無視してよい)。

長岡氏は、小学生でもわかる初歩的な計算を間違っているのです。

 

皇室で9人連続で女性が生まれたのは約0.2%の奇跡

現在の皇室は、9人連続で女子がお生まれになった後に悠仁親王殿下がお生まれになりました。

参考:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kousitu/dai13/13siryou5.pdf

1回の出産で生まれる子供は1人であるという前提のもと、9人連続で女性が生まれるのは、単純計算で0.2%の確率です。

奇跡的な状況と言ってよいでしょう。

このような事態が生じることを想定した制度設計は期待できないので、明治期に皇室の宮家を限定した判断そのものは間違っているとまでは言えないでしょう。

女系天皇は算数ができない人が推進している

実は、こういう計算をするのは長岡義博氏だけではありません。

小林よしのり氏も、女系天皇を容認する際の根拠として、このままでは男子が生まれない可能性が高いということの根拠の一つとして、同様の計算をしていました。
(その後もブログ等で謎の計算をして誤魔化している)

なぜ「600年」よりも「無限」の隔たりのある女系なのか

女系論者は

「常陸宮さまのように子供を産まない夫婦の存在を考えろ!」

「夫婦が子供を産む数は1人かもしれないじゃないか!」

などと言って女系天皇を容認するよう仕向けますが、その同じ口では

旧皇族の皇籍復帰は600年も隔たりがあるのでありえない!」などと言います。

女系であれば無限に遡っても神武天皇にはつながらないわけで(それ以前の誰かには繋がるかもしれないが)、なぜそのような主張が正統と考えているのか、数を数えることができる私たちにとってはさっぱり理解不能です。

以上 

太田啓子弁護士、環境型セクハラのツイートを削除?⇒削除してませんbotと化す

太田啓子弁護士・環境型セクハラ

太田啓子弁護士が「宇崎ちゃんポスター」について環境型セクハラとしたツイートを見ることができない方が続出しています。

当該ツイートは、削除されたのでしょうか?

太田啓子弁護士、環境型セクハラのツイートを削除?

太田啓子弁護士の宇崎ちゃんポスターツイート削除

普通に太田啓子弁護士のタイムラインから当該ツイート(2019年10月14日)の午後10時00分のツイートを見ようとしても、「このツイートはありません」と出るだけで見ることができません。

そのため、「削除して逃亡を図っているのでは?」と指摘している人もいます。

検索にも引っかからない#環境型セクハラのツイート

#環境型セクハラ

なお、"from:katepanda2 環境型"で検索しても、当該ツイートは出てきません。

削除してませんbotと化す太田弁護士

これだけにとどまりませんが、ここまで執拗に削除してませんと言うからには、削除していないのだろうと思い、いろいろ調べてみました。

そしたら、見つかりました。

環境型セクハラのツイート、実際には削除していない

魚拓はこちら

URLをダイレクトに残している方がいたので、そこから辿ったら見つかりました。

魚拓もありました。

Shadow Banもされていないので、どうして「このツイートはありません」の表示になっているのかは不明です。

なお、「環境型セクハラ」は法律用語になっているので、弁護士が安易に使っていい用語ではありません。

以上

#環境型セクハラ:赤十字社の献血ルームの宇崎ちゃんポスター批判は何が問題なのか?

太田啓子弁護士・環境型セクハラ

 

献血ルームでの宇崎ちゃんポスターが「環境型セクハラ」だという指摘について。

太田弁護士のツイートが炎上していますが、何が問題なのでしょうか?

「宇崎ちゃんポスター」批判の何が問題なのか?

魚拓はこちら

環境型セクハラ」という用語は法律用語であり、安易に用いてはいけないということは以下でまとめています。

太田啓子弁護士のツイート上の発言

太田啓子弁護士は「環境型セクハラしてるようなもの」と書いており、「環境型セクハラである」とは言い切っていないと言えます。

しかし、彼女はまるで一般的に嫌悪感を催すものであるかのように「宇崎ちゃんポスター」を論評しています。

ということは、弁護士という立場を明記したアカウントで規範判断をしている風を装って対外的に発信しているのであり、実質的には「環境型セクハラである」と言っていると捉えられても仕方がありません。

彼女は単に「自分個人が気に入らない表現である」とだけ言えばよかったのです。

法的な意味の「#環境型セクハラ」を用いてはいけなかった

法的な意味合いのある「環境型セクハラ」という言葉を、まったく該当しない事象に対して言及しているということで、ほかの弁護士からも苦言が呈されています。

吉峯耕平弁護士は、弁護士が法的な説明もしないで環境型セクハラという強い言葉を使って批判したこと、血液の安定供給という人命のかかった使命を担っている赤十字社が、少子高齢化が進む中で若者の献血離れの現状において血液を確保するため、体格的に400mlの献血が可能な者が多い健康男性をターゲットにした広報活動をすることは必要性が高いと指摘しています。

当然、環境型セクハラには該当しないので許容性はある=法規には違反しないという前提です。

日本赤十字社は公共機関ではない

太田弁護士は、当初は「主体」が誰か?ということに焦点を当てていました。

そのため、日本赤十字社が公的機関であり、そのような主体の表現としてどうなのか?と言っているかのような印象になっています。

しかし、その後はその点について触れることもなく「公共空間」に置かれていることに焦点を当てたのを見ると、まずいと思って若干方針を修正したように見えます。

日本赤十字社は公共性の強い活動をしていますが、「私人」であることに変わりはありません。

公共団体に向けた埼玉県のガイドラインを参考資料に使う

今度は「公共空間」ではなく「事業の公共性」によって表現が自重されるべきであるという主張になっています。

(結局、いったい何を問題視してるんだろう?)

太田弁護士の論点が定まっていない

結局、太田弁護士は法規制になじむものではないために社会的な議論をして(自分の望む方向に)現実が動くべきである、という話に落ち着いています。

ならば最初からそのように言えばよいのに、「環境型セクハラ」や「埼玉のガイドライン」などを持ち出して規範判断をしている素振りをしているのは、一般人が「ルールとしてダメなものなんだ」と思うように誘導していると捉えられても無理はないでしょう。

なぜ男性をターゲットにするのか?400mlの献血が必要なのか?

400mL 献血が必要な理由|宮城県赤十字血液センター|日本赤十字社

成分献血ではなく、全血献血について言及します。

400ミリリットルの献血需要がある

医療機関からの需要の約95%が400mL献血からの血液という実態があります。

それは、以下のような事情があります。

複数人の血液を合わせると副作用リスクが高い

複数の献血者の血液をあわせて一人の患者に輸血すると、発熱、発疹などの副作用が発生する可能性が高くなります

400mL献血は200mL献血に比べて量が多いことから、少ない献血者からの輸血を可能にし、安全性が向上するということです。

全血献血で400mlの献血ができるのは男性が多い

献血基準|献血の流れについて|献血する|日本赤十字社

400mlの献血をする基準の一つとして、「体重50kg以上」があります。

女性は男性に比して小柄なため、この基準を満たさない人が多いです。

さらに、女性自身が男性に比して貧血のリスクが高いので(生理現象等、わかるでしょ?)、400mlの献血をする女性は少ないです。

数値で見る血液事業|血液事業|活動内容・実績を知る|日本赤十字社をみてもわかるように、10代でも男性の方が多く献血に言っており、20代以降では男性が女性の2倍、高齢層になってくると3倍の開きがあるのがわかります。

実際、かなり健康な男性(体育教師)でも400mlの献血をして貧血になった人を私は知っているので、女性よりも男性をターゲットにした方がより多くの血液を確保できると考えるのは自然だと思います。

若年層の献血は減っている

環境型セクハラ

血液事業の現状とこれから|血液事業とは|血液事業|活動内容・実績を知る|日本赤十字社

若年層(10~30代)の献血数は減っており、高校生の献血実施数についてはグラフを見てもわかるように、減少傾向です。

これは少子化の影響を受けているのでしょうが、主な献血ターゲットとして若年層を据えるのは当然でしょう。

公共空間に掲示された「性的表現ポスター」

太田啓子弁護士の姿態がポスターになっていました。

というか、女性用/男性用下着をモデルが着用している様が広告になって街頭で表示される例もいくらでもあるので、「公共空間」だからといって「宇崎ちゃんポスター」がダメだという理屈は、まったく理解できません。

この辺りの理屈も太田弁護士はまったく説明しておらず、「日本では理解されていない」と海外出羽守と化しています(海外でも許されていないどうか怪しい)。 

まとめ:安定的な血液確保という献血事業に資するか

献血事情を鑑みると、果たして太田弁護士が主張するようなポスター批判は安定的な血液確保という献血事業に資するのかというと、甚だ疑問です。

というか、邪魔してますよね?

対して、このポスターを見て嫌悪感を催す人が居たとして、考慮する価値ってあるんでしょうか?

そういう意味で「宇崎ちゃんポスター」 批判は、いったい何のためにやってるのか?と疑問に思わざるを得ません。

以上

「環境型セクハラ」とは?法的な意味と政府見解のまとめ

環境型セクハラ

日本赤十字社の献血ルームにおいて、「宇崎ちゃんは遊びたい」という漫画のキャラクターのポスターが掲示されていることに対して「環境型セクハラだ」と言っている人がいました。

この言葉は法律用語なのでむやみに使ってよいものではありません。

法的根拠と政府見解を整理します。

厚生労働省の政府見解とセクシュアルハラスメント対策啓発

セクシュアルハラスメント対策に取り組む事業主の方へ |厚生労働省

セクハラについては厚生労働省が定義を作っています。

対価型と環境型のセクシャルハラスメントの意味

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厚労省ではセクシャルハラスメントを「対価型」と「環境型」に分類しています。

対価型セクハラとは

労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応(拒否や抵抗)により、その労働者が解雇、降格、減給、労働契約の更新拒否、昇進・昇格の対象からの除外、客観的に見て不利益な配置転換などの不利益を受けることとされています。

こちらはパワハラに近いニュアンスですね。

環境型セクハラとは

労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどその労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることとされています。

一般的には意に反する身体的接触によって強い精神的苦痛を被る場合には、一回でも就業環境を害することとなり得ると解されています。

身体的接触のみならず言葉によるセクハラも対象になっているといえるでしょう。

典型例として「事務所内にヌードポスターがあることによって…」とあるように、ポスターが対象になり得るということが書いてあります。

このような厚労省の分類は法的な根拠があります。

男女雇用機会均等法上での環境型セクハラ

雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(雇用期間均等法)

第二節 事業主の講ずべき措置
(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置)
第十一条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

いわゆる男女雇用機会均等法の11条に「性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう…」と書かれている部分。

これが環境型セクハラが規制対象になっているということの法的根拠です。

したがって、「環境型セクハラ」という用語をむやみに使うと、法的な意味合いを持ってしまうので気を付けるべきでしょう。

宇崎ちゃんポスターは環境型セクハラなのか?

そもそも男女雇用機会均等法上のセクハラは「職場」でのものが対象なのですが、それを措いておくとして、厚労省の啓発文書ではセクハラに当たるのか否かは「平均的な女性/男性労働者の感じ方」を基準にして判断するべきだとされています。

「宇崎ちゃんポスター」には「その労働者が就業する上で看過できない程度の支障」を生じさせる影響はあるといえるのでしょうか?

ごちゃごちゃ言うまでもなく、無理があります。

男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会の報告書でも、性的な表現とは「わいせつ図画」を念頭に置いており、ヌードポスターはこれに当たるからこそ禁止される例として挙げられているのです。

まとめ:太田啓子弁護士は安易に「環境型セクハラ」と言ってはいけない

太田啓子弁護士は「環境型セクハラしてるようなもの」と書いており、「環境型セクハラである」とは言い切っていないと言えます。

しかし、弁護士という立場を明記したアカウントで、まるで一般的に嫌悪感を催すものであるかのように「宇崎ちゃんポスター」を論評しつつ、法律用語として存在する言葉を使用しているということは、実質的に「環境型セクハラである」と言っているのと同視されるでしょう。

単に「自分個人が気に入らない表現である」とだけ言えばよかったのです。

規範判断をしている風を装って対外的に発信することは誤解を招く行いでしょう。

以上

ウーバーイーツの仕組みを図解でわかりやすく説明

Uber Eats scheme

Uber Eats(ウーバーイーツ)の仕組みはどうなっているのでしょうか?

分かりやすい図解は既にいくつかありますが、改めて整理してみました。

ウーバーイーツの仕組みの図解

ウーバーイーツの仕組みを図解で説明します。

マッチングアプリの役割

ウーバーイーツの仕組みの図解

 

ウーバーイーツはマッチングアプリの役割を果たしています。

  1. 食事を取り寄せたい注文者
  2. 食事の配達をしたいレストラン等の店舗
  3. 配達の仕事で稼ぎたい配達員

この3者のニーズを満たす仕組みを提供していると言えるでしょう。

注文・調理・配達と報酬

ウーバーイーツの仕組みをわかりやすく説明

ウーバーイーツアプリを介してやりとりが行われます。

  1. 注文者がメニューから食事を選択して注文
  2. 注文商品を作っている登録レストランパートナーが調理
  3. 登録配達パートナーがピックアップしてお届け

注文者は食事代を支払い、配達員には配達報酬が支払われます。

レストランに対しては料理代が支払われますが、ウーバーイーツを介して注文を獲得できたことに対するサービス料がかかります。売り上げに対して一定の割合がかかるようになっています。

ウーバーイーツ配達員の証言と「雇用」実態

ウーバーイーツの配達員になるためにはアプリで登録すれば可能です。

ウーバーイーツ配達員の証言でその働き方を見ていきます。

時間的拘束が無い出前

出前サービスは通常、その店舗で働いている人が行います。

しかし、ウーバーイーツは、そもそも好きな時に働けるので、仕事を受けたくない日はまったく何もしなくともよいという自由があります。

時間的場所的拘束が無いということです。

副業としてやってる人もいます。

応答拒否・配達キャンセルが可能

アプリにログインしていても、応答拒否・配達キャンセルが可能です。

応答してみたら直線距離は近いけど、線路を超える必要があるなどで大幅に時間がかかるなど、いろんな事情でキャンセルすることもあるようです。

なお、コミュニティガイドラインでは、配達員の応答率とキャンセル率は、地域の平均よりも大幅に悪化している場合にはアプリへのログイン停止やアカウント停止のペナルティがあると記載されています。

受けたくない場合には「アプリにログインしない」を選択するべきと書かれています。

出前館と異なる配達員の待遇

出前館の仕組みと配達員

出前館 2018年1月 個人投資家説明会資料

UberEatsと同様の事業を行っているところとして「出前館」があります。

ほぼウーバーイーツと同じ仕組みですが、配達員との関係が異なります。

出前館の配達員は現時点では朝日新聞社の配達員であり、出前館の運営会社である「夢の街創造委員会株式会社」と朝日新聞社の業務提携契約で実現されています。

つまり、配達員は朝日新聞と雇用契約を結んでおり、当然にして労働各法上の労働者です。ウーバー社と配達員との関係とはまったく異なります。

配達員の待遇と事故補償

Delivery Partner Support Program | Uber

配達パートナーに対する事故補償については2019年10月1日から新たな規定が適用されているようです。

ウーバーイーツ配達員の事故補償制度

配達パートナー向けサポートプログラム
  • このサポートプログラムは自動的に適用
  • 配達リクエストを受けた時点から配達が完了、またはキャンセルするまでの間に生じた事故に対して適用。

重要なのはこの部分でしょうか。

自分自身のケガに対しても適用されるようになったようです。

配達中以外で事故が起こった際には適用されないので、個人で別途自転車保険・自動車保険に加入するべきでしょう。

まとめ:労働組合法上の労働者として団体交渉できるか?

ウーバーイーツについては配達員の事故補償や配達が杜撰であることが問題になることがありますが、ここにきて労働組合法上の労働者として団体交渉できるのか?という話が持ち上がってきました。

それについては以下でまとめてあります。

以上

ウーバーイーツ配達員の団体交渉が拒否:労働組合法上の労働者性はあるのか

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ウーバーイーツユニオンを名乗る集団がウーバージャパン社に対して団体交渉を求めましたが拒否されました。

これは妥当な結果なのでしょうか?

過去の判例と比較してみます。

Uber Japanがウーバーイーツユニオンの団体交渉を拒否

ウーバーイーツの団体交渉拒否文書

団体交渉=団交というのは、任意の交渉要求ではなく、法的な根拠のある要求です。

労働組合法上の交渉権限

日本国憲法

〔勤労者の団結権及び団体行動権〕

第二十八条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

労働組合法

第二条 この法律で「労働組合」とは、労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。 以下省略

(交渉権限)
第六条 労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する。

労働組合に交渉権限があり、使用者には交渉に応じる義務があるというのは、憲法28条を受けて労働組合法で定めがあるからです。

憲法上の「勤労者」とは「労働者」と同義であり、使用者に対する従属的地位のゆえに、労働基本権の保障なしには経済的地位の向上に実質的に関与しえない者*1などと言われることがあります。

これは労働基準法上の労働者の定義よりも広いとされています。

しかし、ウーバーイーツユニオンは現時点では法律上の労働組合ではないようです。

ウーバーイーツユニオンは現時点では労働委員会の認定を受けていない

労働組合法

(労働組合として設立されたものの取扱)
第五条 労働組合は、労働委員会に証拠を提出して第二条及び第二項の規定に適合することを立証しなければ、この法律に規定する手続に参与する資格を有せず、且つ、この法律に規定する救済を与えられない。但し、第七条第一号の規定に基く個々の労働者に対する保護を否定する趣旨に解釈されるべきではない。

労働組合法を見てもわかるように、労働組合として団体交渉を行うためには「労働者」で組織されていなければならず、且つ、労働委員会に認定を受けなければならないのです。

したがって、今回ウーバーイーツユニオンが団交拒否されたのは、(妥当性は措いておくとして)法的には当然、ということになります。

労働委員会は都道府県に設置されるので、この場合は東京都のページを見てみます。

労働委員会による労働組合の資格審査

労働組合の資格審査|東京都労働委員会

労働組合の資格審査
 労働組合を設立したことを会社や官公署に届け出る必要はありません。
 ただし、以下の場合には、その都度、労働委員会において、労働組合法で定めた要件を備えている労働組合であるかどうかについて、審査を受ける必要があります。
・ 不当労働行為の救済を申し立てるとき
・ 法人として登記するために必要な資格証明書の交付を受けるとき
・ 労働者供給事業を行う許可を申請するとき
・ 労働委員会の労働委員候補者を推薦するとき

不当労働行為」は労働組合法7条で禁止されている行為で、「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと」などが定められています。

ウーバーイーツユニオンは現時点では労働委員会に認定されていませんが、今回の団交拒否が不当労働行為であるとして争う場合に労働委員会に審査を申し出る可能性があります。

さて、ウーバーイーツの配達員らは、「労組法上の労働者」なのでしょうか?

任意の「交渉」=改善要求は妨げられていない

なお、ウーバージャパン社は法律上の根拠のある団体交渉は拒否しましたが、アプリを通じて連絡するように、とは書いてありますが、任意の交渉=改善要求まで妨げられているわけではありません。

労働組合法に関する最高裁判例

労働組合法上の労働者の定義

労働組合法上の労働者の判断指標を提供している最高裁判例としては、新国立劇場事件INAXメンテナンス事件ビクターサービスエンジニアリング事件があります。

これらの判例から導き出される実務上の労働者性判断の指標が厚生労働省の労使関係法研究会報告書で分析されています。

  1. 事業組織への組み入れ
  2. 契約内容の一方的・定型的決定
  3. 報酬の労務対価性
  4. 業務の依頼に応ずべき関係
  5. 指揮監督下での労務提供・一定の時間的場所的拘束
  6. 顕著な事業者性

1~3は基本的判断要素、4,5は補充的判断要素、6は労働者性を否定する特段の事情として扱われています。

では、果たしてウーバーイーツにはこれらが認められるのでしょうか?

ウーバーイーツの仕組みの図解

ウーバーイーツの仕組みを理解しないと始まりません。

マッチングアプリの役割

ウーバーイーツの仕組みの図解

 

ウーバーイーツはマッチングアプリの役割です。

  1. 食事を取り寄せたい注文者
  2. 食事の配達をしたいレストラン等の店舗
  3. 配達の仕事で稼ぎたい配達員

この3者のニーズを満たす仕組みを提供していると言えるでしょう。

注文・調理・配達と報酬

ウーバーイーツの仕組みをわかりやすく説明

ウーバーイーツアプリを介してやりとりが行われます。

  1. 注文者がメニューから食事を選択して注文
  2. 注文に該当する商品を作っている登録レストランパートナーが調理
  3. 登録配達パートナーがピックアップしてお届け

注文者は食事代、配達員には配達報酬が支払われます。

レストランに対しては料理代が支払われますが、ウーバーイーツを介して注文を獲得できたことに対するサービス料がかかります。売り上げに対して一定の割合がかかるようになっています。

ウーバーイーツ配達員の証言と「雇用」実態

ウーバー社と配達員は労組法上の労働者なのか?

時間的拘束が無い出前

出前サービスはその店舗で働いている人が行いますが、ウーバーイーツは、そもそも好きな時に働けるので、仕事を受けたくない日はまったく何もしなくともよいという自由があります。

時間的場所的拘束が無いということです。

応答拒否もキャンセルも可能

アプリにログインしていても、応答拒否・配達キャンセルが可能です。

応答した後に地図上の場所を見てみたら、集荷場所と配達場所が遠方であるとかその他諸々の事情でキャンセルすることがあるようです。

配達員の主観としても応答しないことがありうるということが明らかですから、判例の言う「業務の依頼に応ずべき関係」があると言うのは難しいでしょう。

なお、コミュニティガイドラインでは、配達員の応答率とキャンセル率は、地域の平均よりも大幅に悪化している場合にはアプリへのログイン停止やアカウント停止のペナルティがあると記載されています。

受けたくない場合には「アプリにログインしない」を選択するべきと書かれています。

米労働関係委員会:Uberドライバーは「従業員ではない」

Uberドライバーは「従業員ではない」と米労働関係委員会が裁定 – TechCrunch Japan

「ドライバーは自分の車、作業スケジュール、および作業場所に関する事実上完全な自由を有し、Uberの競合他社で働く自由があり、大きな起業機会も与えられている」と文書に書かれている。「任意の日の任意の空き時間に、UberXドライバーは自らの経済目標に最適な行動を選ぶことができる。アプリ経由で乗車リクエストに答えることも、競合するライドシェアリングサービスに従事することも、まったく異なる事業に挑戦することもできる。Uberが乗客の要求に答えるために利用しているサージプライシングなどの経済的インセンティブは、Uberの「無干渉」なアプローチを反映しているだけでなく、ドライバーの起業機会をいっそう促進するものである」。

アメリカの労働関係委員会は、その働き方の自由さからUberドライバーを「従業員」ではないと認定しました。

裁判になったらどうなるかは未だ読めないですが、日本における判断を予測する上では重要でしょう。

まとめ:配達員の稼働実態は事業者か

細かい検討は抜きにして判例とウーバーイーツ配達員の稼働実態を見ると、労働組合法上の労働者と認定されるかというと、疑問に思わざるを得ません。

配達員の稼働実態は事業者であり、その事が不都合を生じさせているのであれば配達員からの改善要求は妨げられていませんのでどんどん指摘すればいいと思います。

現状では不当な結果になってしまうのであれば、労組法を改正したり特別法を立法するべきではないかと思います。

以上

*1:労働組合法第3版 西谷敏