事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

新型コロナウイルスで東洋人レッスン中止のハフポスト記事で皇居内桃華楽堂の写真:イタリア国立音楽院

ハフポストのイタリア国立音楽院で東洋人差別

 

新型コロナウイルスで伊の国立音楽院が「東洋人へのレッスン中止」という記事。

この記事でつかわれていた写真が皇居の音楽堂だということが判明し、ハフポスト側が修正するということが起きました。

新型コロナウイルスで東洋人レッスン中止のハフポスト記事

皇居桃華楽堂

ツイート魚拓

記事魚拓

記事内容は、イタリアのローマにあるサンタチェチーリア国立音楽院が新型コロナウイルスに関連して「東洋人の学生に対するレッスンを中止する」と発表して物議をかもしているということを報じる内容です。

元記事は朝日新聞だが写真なし・時事通信の提供

ハフポストの当該記事は元記事は朝日新聞だが写真なしでした。

また、写真は時事通信の提供でした。

伊の国立音楽院「東洋人へのレッスン中止」 新型肺炎:朝日新聞デジタル魚拓

皇居・東御苑の桃華楽堂であるという指摘

 ユーザから皇居・東御苑の桃華楽堂であるという指摘がありました。

皇居内桃華楽堂の写真であることは間違いない

宮内庁のHP⇒ご鑑賞(音楽大学卒業生演奏会)(桃華楽堂) 魚拓

個人サイトでも⇒桃華楽堂

いちいち画像をここに乗せませんが、時事通信提供・ハフポスト掲載の写真が、皇居内の桃華楽堂の写真だということは確定です。

なぜ違う場所の写真を載せるのか?

現在は画像が修正されています(ツイッターカードの修正は私がやった)

しかし、なぜ違う場所の写真を載せるのでしょうか?

時事通信の腹黒い意図を感じます。

以上

【注意】「新型コロナウイルスにHIVタンパク質が挿入」というインド論文の信憑性

新型コロナウイルスにHIVタンパク質が挿入

Uncanny similarity of unique inserts in the 2019-nCoV spike protein to HIV-1 gp120 and Gag

「新型コロナウイルスにHIVタンパク質が挿入という論文がある」という言説がSNS拡散されています。

この論文・言説の信憑性と理解には注意が必要です。

※論文著者が撤回を表明しました。

「新型コロナウイルスにHIV類似タンパク質が挿入」というインド論文の信憑性

「新型コロナウイルスにHIVタンパク質に似たものが挿入されている」という趣旨の論文のタイトルは"Uncanny similarity of unique inserts in the 2019-nCoV spike protein to HIV-1 gp120 and Gag"です。

インド工科大学の科学者による論文とされていますが、結論部分は以下です。

our findings suggest unconventional evolution of 2019-nCoV that warrants further investigation. Our work highlights novel evolutionary aspects of the 2019-nCoV and has implications on the pathogenesis and diagnosis of this virus.

我々の調査結果は、2019-nCoVの型破りな進化を示唆しており、さらなる調査が必要です。我々の研究は、2019-nCoVの新しい進化的側面を強調しており、このウイルスの病因と診断に影響を与えます。

この論文自体には「人為的に挿入された」とは書かれていません。

唯一、「ウイルスがこのようなユニークな挿入を短時間で自然に獲得することはほとんどあり得ないため、これは驚くべきことです。」と記述している部分が、「人為的挿入」を仄めかしていると見ることも可能なものになっているに過ぎません。

私には科学的な評価はできませんが、この論文の性質として、査読前だということが重要です。

bioRxivの論文は査読前

この論文はbioRxiv(バイオアーカイブ)に投稿されていますが、ここにUPされている論文は査読前の「予稿」の状態です。すなわち、同業者によるクロスチェックが行われておらず、信憑性が定まっていない代物です。

新型コロナウイルスに関する報告がたくさん上がってきて社会的な注目を浴びているので、メディアが勘違いして拡散しないように注意書きのバナーが表示されるようになりました。

zerohedgeという悪質なブログが投稿している

Dave Collumという人は、「決してこの"zerohedge"記事を自分で投稿してはいけない(※このツイートの引用リツイート等で論評しろという趣旨だろう)、そうすれば仮に私が凍結されてもあなた方は生き残ります。」と警鐘を鳴らしています。

要するに信用できないサイトだと言いたいのだと思います。

zerohedgeというのは金融ブログを自称しているサイトですが、ツイッターアカウントである"@zerohedge"は永久凍結されました。魚拓:http://archive.is/F0kyK

理由は以下の記事で最初に報道されていますが、ざっくり言えば個人情報を晒したため、ツイッタールールに違反したということです。

zerohedgeの文章では「HIVウイルスが人工的に挿入されたと研究者らは言っている」という趣旨になっていますが、元の論文ではそういう書き方にはなっていません。
※ここは全てを精査している余裕が無いが、zerohedgeの文章でハイライトしてる部分だけを見るとそのように理解できる。

InDeepという陰謀論サイトがシェアしている

日本語で運営されている"InDeep"という陰謀論サイトでもこの論文が扱われていることが確認できます。

InDeepでも論文の結論は書かれておらず、論文に「人為的挿入」と書かれているとは書いていないが、「人為的挿入」を匂わせる書き方をしています。

ちなみにInDeepについてはこのブログの最初期にちょっとだけ扱っていますがクオリティが低いのでここには貼りません。

HIV類似タンパク質が挿入のインド論文に対して専門家による明確な欠落の指摘

オーストラリア国立大学のGaetan Burgioは、この論文は「噴飯もの」であり、重大な欠陥があると指摘しています。

 

「中国の武漢にSARSやエボラの研究施設を建設」という記事はデマ新聞発

中国の武漢にSARSやエボラの研究施設を建設というデイリーメールの記事

英紙デイリーメール

「中国の武漢にSARSやエボラの研究施設を建設」という記事など、これまでに「生物兵器」 関連の陰謀論がささやかれていたために今回の論文を見て「やっぱりそうだったんだ」と考える人が居ます。

しかし、そもそもそのような内容の記事を出している所は英紙デイリーメールなど、日本で言えば「東京オリンピック中止」というタイトル詐欺をした"Buzzup!"や「なソゲ(なお、ソースはゲンダイ)」と揶揄されている日刊現代、リテラなどのフェイクサイトの類のメディアが出どころであったに過ぎません。

まとめ:HIVタンパク質が「人為的に」挿入された事を直ちには意味しない

  1. 問題の論文は「予稿」であり、査読されておらず科学的に正しいことの担保が取れていない
  2. 論文にはHIVウイルスのタンパク質が人為的に挿入されたとは直接的には書いていない(匂わせる記述は考察部分であり、事実を指し示すものではない)
  3. HIVタンパク質に「似たもの」という表現
  4. 悪質なサイト・陰謀論サイトが引用し、論文に書かれていない意味を付加して拡散している
  5. 論文に書いてあることが正しいとしても「人為的に挿入」された事を直ちには意味しないし、HIVウイルスと似てるに過ぎずHIVウイルスそのものであると直ちには意味しない

医学知識が無い状態での論文の評価はこのようなものです。

以上 

bioRxivに新型肺炎コロナウイルス論文プレプリント300が投稿:査読前のため注意喚起

biorxivに新型コロナウイルス査読前論文

新型肺炎コロナウイルス論文のプレプリントが論文予稿保管サイトに300も投稿されたようです。この論文の扱いは要注意です。

bioRxivに新型肺炎コロナウイルス論文の予稿300が投稿

bioRxiv(バイオアーカイブ:正式にはbioRχiv、エックスがギリシャ文字の「カイ」)とは、生物学のプレプリントリポジトリ、つまり論文の予稿を保管する場所です。

そこに新型肺炎コロナウイルスに関する論文の予稿が313も投稿されているという報告がありました。

bioRxivの論文ページの例

査読されていないため注意喚起

bioRxivにUPされる論文は「査読」が為されていない状態のものです。

つまり、論文の内容が正しいのか、間違い等が無いのかについて、同業者からのクロスチェックが行われていない状態であるということです。

そのため、運営者からこれらの論文予稿は確定した情報としてメディアで流さないようにと注意喚起し、サイト上に注意書きのバナーを表示させる事態になっています。

新型肺炎コロナウイルスに関する新たな誤解・デマの予感

新型肺炎コロナウイルスに関する論文は他にもPubMedやLancetに投稿されますが、どうやら信憑性に乏しい報告も出てきそうです。

「論文を根拠にしてるから正しい」が通用しない場合もあります。

既に陰謀論サイトが論文の内容を日本語訳しており、それがSNSで拡散されています。

その中には医者が信憑性ゼロとしているものもあります。

論文の内容が正しいかを一般人が理解するのは困難ですので、解釈できる能力が無い人は拡散するのを控えてください。

以上

上念司が百田尚樹に謝罪!「新型肺炎を怖がるなら引きこもれ嘘つき」発言動画が不適切と

上念司が百田尚樹に謝罪:新型肺炎とインフルエンザ

上念司氏が百田尚樹氏に新型肺炎コロナウイルスに関する発言が不適切だと指摘され、謝罪しました。

上念司、百田尚樹に新型肺炎コロナウイルスに関する発言が不適切と批判される

上念司氏の発言の内、百田氏が特に問題視しているのは「新型肺炎が怖いなら家に引きこもってろ」「怖いと言ってるのに引きこもってないのは嘘つきだ」という趣旨の発言です。

「新型肺炎を怖がるならインフルエンザも怖がって引きこもれ嘘つき」発言

「新型肺炎を怖がるならインフルエンザも怖がって引きこもれ」「引きこもらないなら嘘つきだ」という趣旨の発言は2020/1/29(水)のDHC虎ノ門ニュースで確認できます。

上念氏は「インフルエンザウイルスの影響で昨年死亡した日本人は3000人(超過死亡含む)を超えている。それに対して新型肺炎コロナウイルスはWHOが信用できないとしても海外の数字はごまかせない。海外では死亡者は0人。日本ではまだ7人しか罹患しておらず、今後、最終的な死亡確率は計算上1名に過ぎない(※放送当時の予想です)。なぜ新型肺炎を怖がる人は、インフルエンザも同様に怖がらないのか」という文脈で上記発言をしました。

上念司チャンネル ニュースの虎側 - YouTubeでも新型肺炎やインフルエンザに関する情報発信をしていますが、虎ノ門と同様の発言をしているかどうかについては、全部見直すことはしません。

上念司、百田尚樹・他の視聴者に対する謝罪動画をUP

上念氏は善意から注意喚起していた百田氏とともに、他の視聴者に対して揶揄してしまう形になり、不快な思いをさせる発言をしてしまったとして謝罪動画をUPしました。

確かに感染症専門家などの医者も、インフルエンザの危険をより重視しているが、コロナウイルスが危険ではないとは言っていないので、発言は多少行きすぎがあったと評価されても仕方がないのでしょう。

上念司の謝罪を百田尚樹が受け入れる

上念氏の謝罪を百田氏は受け入れたようです。

発言に責任を持ち、不適切と思ったら謝罪するという姿勢を示したと言えるでしょう。

以上

「ウイルスにアルコールは効果が無い」というデマはノロウイルスのせいか:新型肺炎コロナウイルス予防

新型肺炎コロナウイルス予防とノロウイルス

ウイルスにアルコールは効果が無い」というデマが拡散されています。

これは基本的に間違いなので注意しましょう。

※「感染者以外はマスクをする必要が無い」については以下

ほぼ全てのウイルスの失活にはアルコールが効果がある

「ウイルスにアルコールは効果が無い」というデマ

WHO手指衛生ガイドライン

 

WHO手指衛生ガイドラインでもほぼすべてのウイルスはアルコールによって消毒可能であると書かれています。70-80%程度の濃度が消毒用エタノールとして最適とされています。

医者も厚生労働省も民間の医療機関も製薬会社も同じ認識です。

アルコールの効き方にはウイルスによって違いがあります。

しかし、ウイルスが効かないと言われるのは今の所ノロウイルスが代表的です。
※A型肝炎ウイルスもアルコール抵抗性が強いとされているが、おそらくそんなに発生してないので話題に上がらないのだと思われる。

ノロウィルスは次亜塩素酸が使われることも

ノロウイルスに対しても効果があるものとして、飲食店のバイト先とかでは、おそらく「次亜塩素酸(じあえんそさん)ナトリウム」水の容器が調理場や手洗い場に置いてあるんじゃないでしょうか?

この際に「アルコールは効果がないから」というような説明を受けたりする人が居て、それが誤解の原因になっているのかな?と推測します。

もっとも、次亜塩素酸ナトリウムは一般人が用意しにくいので、やはり「手洗い」が基本的な対策であることは変わりありません。これは物理的に手指からウイルス・雑菌を取り除くことができます。

ノロウイルスに関するQ&A|厚生労働省

手洗いは、 手指に付着しているノロウイルスを減らす最も有効な方法です。

なお、消毒用エタノールによる手指消毒は、石けんと流水を用いた手洗いの代用にはなりませんが、すぐに石けんによる手洗いが出来ないような場合、あくまで一般的な感染症対策の観点から手洗いの補助として用いてください。

ノロウイルスを完全に失活化する方法としては、次亜塩素酸ナトリウム※や加熱による処理があります。

なお、厳密には「無効」ではないようで、一定の条件下では消毒効果があるという調査をしているところもあります。

健栄製薬 | ノロウイルスにアルコールは有効か? | 感染対策・手洗いの消毒用エタノールのトップメーカー

新型肺炎コロナウイルス予防にもアルコールは効果がある

新型肺炎コロナウイルス予防

WHO

新型コロナウイルスに関するQ&A|厚生労働省

問6 予防法はありますか?
一般的な衛生対策として、咳エチケットや手洗い、うがい、アルコール消毒など行っていただくようお願いします。

アルコールによるウイルス消毒が強く効果を発揮するのは、ウイルスに「エンベロープ」という構造を有するものに対するときです。

新型肺炎コロナウイルスも「エンベロープ」構造があるので、アルコールによる消毒が効くと考えられています。

「未知のウイルス」とは言われていますが、「コロナウイルス」であるとされているのは確かなので、そこを疑っていたらキリが無いでしょう。

それでも疑うなら手洗いを念入りにすれば良いんじゃないでしょうか?

クレベリン等の空間除菌製品には感染予防効果は実証されていない

空間除菌製品には感染予防効果は実証されていないようです。

これは報道もされていますし、健康被害が生じた例もあり行政措置命令が出ています。

まるで効果なかった「空間除菌グッズ」消費者庁が表示変更命令 : J-CASTテレビウォッチ

空間除菌グッズの健康被害事例と行政措置命令|大阪健康安全基盤研究所

もっとも、クレベリン等の空間除菌製品の中には二酸化塩素が含まれているため、それは我が国では消毒薬としては未認可であるという事情があることは注意です。

Q&A 二酸化塩素による除菌等をうたった製品の使用について|感染症|コラム|学校保健ポータルサイト

まとめ:「手洗い」が最強

ネットで検索すると色んな情報が手に入ってしまいます。

新型のウイルスだから何か特別な対策が必要なのかと訝しむ人も居るかもしれません。

しかし、結局は「手洗い」「うがい」などの基本的な対策が最強です。

SNSで「本当はこうである」「WHOは信用ならない」などと拡散されているものがありますが、そういうものを信じる前に「go.jp」を検索窓に入れて検索するなどしましょう。

以上

新型肺炎コロナウイルスを理由に「中国人は入店禁止」は違法なのか

中国人の入店拒否は違法なのか?


新型肺炎を理由に「中国人は入店禁止」は違法なのか。

私は一定の場合には適法だと思います。

箱根の駄菓子屋・ラーメン屋が「中国人お断り」

新型肺炎を理由に「中国人は入店禁止」 箱根の駄菓子店:朝日新聞デジタル

静岡県のラーメン店が新型肺炎理由に中国人観光客を追い出し 中国ネットでは理解の声|ニフティニュース

箱根の駄菓子屋・ラーメン屋が「中国人お断り」としたことがニュースになりました。

静岡のラーメン屋と上記ツイートのラーメン屋(札幌市)は別です。

新型肺炎コロナウイルスという感染症が理由、外国人を理由とした拒否ではない

新型肺炎コロナウイルスを理由とする中国人拒否は、基本的には「外国人であることを理由とした拒否」ではなく、「感染症を理由とした拒否」です。

したがって、中国人であれば新型肺炎の感染者であるということの可能性の高さが問題視されます。

ただし、そういう関係が明らかに認められない場合や、他の事情から本当は別の理由(外国人蔑視など)から拒否をしているとされた場合には、人種差別として違法になるでしょう。

「外国人であることを理由とした拒否」は、近時、以下の2件が問題視されました。

この際に企業が外国人の利用を断った場合の判例などを調べたので、今回のケースにおいて一定の基準を示そうと思います。

店舗には契約締結の自由がある

三菱樹脂事件最高裁判決では思想信条による入社拒否が問題になりましたが、その前段に以下述べています。

憲法は、思想、信条の自由や法の下の平等を保障すると同時に、他方、二二条、二九条等において、財産権の行使、営業その他広く経済活動の自由をも基本的人権として保障している。それゆえ、企業者は、かような経済活動の一環としてする契約締結の自由を有し、自己の営業のために労働者を雇傭するにあたり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについて、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由にこれを決定することができるのであつて、企業者が特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもつて雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできないのである。

この判旨は株主会員制のゴルフクラブの入会に外国人を拒否した事例を適法とした裁判例でも引用されています。

平等の観点から社会的許容性の限度を超えるか

ただし、社会的許容性の限度を超える場合には違法になるとされます。

実際に、外国人であることを理由にゴルフクラブの入会を拒否した事例や、外国人のマナーが一般的に悪いことを理由に公衆浴場の入場を拒んだ事例が違法とされています。

これらの事例では、公衆浴場は公衆浴場法に基づく北海道知事の許可を得て営業していることから「公共性」があるため、安易な外国人排除は認められないとする役割が裁判所から指摘されました。また、ゴルフクラブ事例でもゴルフというスポーツの娯楽としての位置づけから、「社会性」を有するため運営の裁量権に一定の限界があるとされました。

これらの公共性・社会性が認められるかが一つの分水嶺ではないかと思います。

居住空間と一体になっているか、サービス内容が生存に関わるか

店舗が居住空間と繋がっているか、或いは近接しているか

私は、この点は公共性・社会性認定について大きく司法判断を分けると思います。

自営業の店舗の多くは居住空間と連続性のある空間でサービス提供をしている場合があると思います。そのような職場空間は、私的な要素が残っているのであり、感染症のおそれを許容せざるを得ないということになると、安心して生活ができません。

これは店舗側の自己決定権が強く阻害されることになり、妥当ではないと思います。

実際、箱根の駄菓子屋は3階建てで、上階に人が住むことができるように見えますから、実際に人が住んでいたなら感染リスクを恐れるのは人として当然じゃないでしょうか。

さらには提供しているサービスも、食事と駄菓子屋では微妙に重みが変わってくるはずです。たとえば現段階においてホテルが無症状の中国人(無症状病原体保有者は別)の利用を拒否するのは違法です。宿泊は生存に関わる行動だからです。

ゴルフ場の裁判例でも、「ゴルフは趣味的に行われるスポーツの一種であって、これを楽しむ機会が失われたとしても直ちに衣食住のような生活の基盤が損なわれたり、健康で文化的といえる最低限度の生活が困難となったりするような性質のものではない」と指摘されたことがあります(東京地裁平成13年5月31日判決平成7年(ワ)19336号)

この点、ラーメン屋が提供している食事は生存に必要とみることもできますが、駄菓子屋では生存に不必要な商品も売っており、違法と判断される可能性がどちらが高いのかと言えばラーメン屋の方だと思います。

新型肺炎感染症の可能性を理由とした中国人利用拒否は違法ではない場合もあるべき

弁護士ドットコムや他のメディアの記事では、弁護士に「違法ではないか」と言わせるものばかりです。

しかし、実際の店舗の運営実態を見ていけば違法では無い事例もあるハズです。

私は、「居住空間と一体になっている店舗で生存に必須ではないサービスを提供している所」については、新型肺炎を理由に中国人を拒否しても違法では無いとするべきだと思います。

特に、現時点ではもうアメリカが中国人を入国禁止・大使館員も全員引き上げをしているのですから。

以上