事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

DHCテレビが青山繁晴議員の出演休止理由に関連して非難

DHCテレビが青山繁晴議員の出演休止理由に関連して非難

https://dhctv.jp/information/2020-03-05-340970/

DHCテレビが青山繁晴議員の出演休止理由に関連して青山議員を非難する声明をDHCテレビ公式上にUPしました。前代未聞です。

※削除されました。

DHCテレビが青山繁晴議員の出演休止についてアナウンス

DHCテレビが青山繁晴議員の出演休止についてアナウンスしましたが、その内容は異例なものでした。

山田晃プロディーサーが青山繁晴議員との確執を暴露

【青山繁晴さんの3月9日出演休止について】 | DHCテレビ魚拓

  1. 3月9日の青山繁晴議員の出演が延期になった
  2. 青山さんのブログに書かれていることで他の出演者に迷惑がかかっている
  3. きっかけは昨年9月23日、青山議員が番組を休んだ際の顛末
  4. 青山議員秘書が「体調不良」を理由に連絡するも、その後のブログに「仕事が多忙であるという旨」の書き込み。その理由も意味不明だった。
  5. 番組スタッフは「青山さんの都合」で振り回されたくないと表明

ざっくりまとめるとこんな感じです。

問題となった9月の青山繁晴ブログの記述

2019年9月21日:みなさん、ごめんなさい !|青山繁晴の道すがらエッセイ/On the Road

9月23日月曜の虎ノ門ニュースには、参加しないことになりました。
ぼくの仕事の都合です。
 ごめんなさい !
 せっかくの連休中の虎ノ門ニュースですから、サテライトスタジオに行こうと、いい感じで決めてらした方も多いと思うのですが、DHCテレビに無理を言って、一回、お休みにさせてもらうことに決しました。
 その次の週は、今もう隔週制が定着しているわけですから、ぼくがそこに割り込むわけにいきません。
 したがって、ぼくの次の虎ノ門ニュースは10月7日月曜の見通しです。

DHCテレビが指摘したブログ記事は上記ですが、24日に当該事案について触れた記述があります。 

2019年9月24日: 虎ノ門ニュースの月曜日について (すこし手を入れました) (さらに手を入れました)|青山繁晴の道すがらエッセイ/On the Road

▼というわけで、きのうの9月23日月曜は、やむを得ない事情で急遽、お休みしましたが、隔週制にて次の出番となる10月7日月曜の虎ノ門ニュースにふつうに参加します。きょう9月24日火曜の夜現在、その予定でいます。

「仕事の都合」 「やむを得ない事情で」という表現になっています。

体調不良なのか仕事が多忙だったのか

さて、青山議員のブログの記述が「仕事の都合」という記述をどう理解するべきでしょうか?

青山議員のブログがメンテナンス中であり、青山議員からの弁明も無いので現時点で分かることから評価していきます。

「体調不良」と矛盾するのか?

「体調不良」と矛盾することになり、嘘を言っていたということになるでしょうか?

私は、これは矛盾は直ちにしないと思います。

確かに第一義的には異なる理由を言っていることになると思います。ただ、体調が悪くても議員としての仕事で抜けられないものはあるでしょうし、自宅で別の仕事はできるからです。

虎ノ門ニュースに出演するということはスタジオに移動する負担、2時間の間、映像に耐えうる話を続けるという負担があるのであって、そうした仕事の特性上、自身の体調と照らし合わせて出演は不適切と判断したということなのかもしれません。

DHC虎ノ門ニュースとの信頼関係を損なう表現なのでは?

【青山繁晴さんの3月9日出演休止について】 | DHCテレビ

出演者にしてみれば、青山さんにとって虎ノ門ニュースは大切な仕事ではなく、他に忙しい仕事があれば平気で休むどうでもいい仕事で、その穴埋めをやらされていると思われても仕方なく、番組スタッフはその片棒を担いで嘘を言っているということになってしまいます。
これでは番組スタッフと出演者の信頼関係は瓦解してしまいます。

実態として体調不良と矛盾しなくとも、結局のところ山田プロデューサーが上記指摘する通り、青山議員のブログ上の説明は、虎ノ門ニュースのスタッフとの信頼関係を損なうものでしょう。

「半年くらいで死ぬ」「体調不良と書けば大変なことになる」は意味不明

【青山繁晴さんの3月9日出演休止について】 | DHCテレビ

当然すぐさま秘書さんに確認したのですが、それに対して青山さんご本人から携帯のショートメールが届きました。
そこには下記のように書かれておりました。
「おやすみの理由は体調不良です。このまま身体を無視するなら半年くらいで死ぬと思います。ブログに体調不良なんて書けば大変なことになります。それで仕事の二文字を入れました。ポイントは、あくまでぼくの都合であることです。」

・・・「半年くらいで死ぬ」「体調不良なんて書けば大変なことになります」

正直呆れました。

 「半年くらいで死ぬ」

「体調不良と書けば大変なことになる」

これは意味不明です。こういう大言壮語をするから「雑に扱われているな」とスタッフが思うのは当然でしょう。

3月9日の青山繁晴議員の出演が休止になった直接の原因は?

DHCの山田プロデューサーの文章を読んでも、3月9日の青山繁晴議員の出演が休止になった直接の原因は書いてありません。

なぜか、きっかけとなった昨年の事案が述べられているだけです。

ここは今後明らかになるのでしょうか?

まとめ:「嘘」かは不明だが

青山議員が「嘘」をついたのかは不明ですが、現にDHC公式で山田プロデューサーが怒りを示しているという事実は重要です。

番組出演者に対してプロデューサーが番組公式で非難するという事自体が、およそ「放送界隈」では前代未聞のはずです。

思えばもっと前からその兆候はあったのかもしれませんね。

以上

患者クラスターの意味とは何か?:新型コロナウイルスCOVID19

患者クラスターの意味、それを把握することの意義について。

患者クラスターの意味とは

患者クラスターの意味とは、国立感染症研究所に一応の定義があります。

新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(暫定版) -患者クラスター(集団)の迅速な検出の実施に関する追加-魚拓

新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2020年2月27日暫定版)

●「患者クラスター(集団)」とは、連続的に集団発生を起こし(感染連鎖の継続)、大規模な集団発生(メガクラスター)につながりかねないと考えられる患者集団を指す。これまで国内では、全ての感染者が 2 次感染者を生み出しているわけではなく、全患者の約 10-20%が 2 次感染者の発生に寄与しているとの知見より、この集団の迅速な検出、的確な対応が感染拡大防止の上で鍵となる。

連続的に集団発生を起こし(感染連鎖の継続)、大規模な集団発生(メガクラスター)につながりかねないと考えられる患者集団

これが患者クラスターの意味とされています。

新型コロナウイルスCOVID19における小規模患者クラスターとは

新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)|厚生労働省3月5日魚拓

※「小規模患者クラスター」とは、感染経路が追えている数人から数十人規模の患者の集団のことをいいます。

新型コロナウイルスCOVID19における小規模患者クラスターとは上記のようです。

感染症の種類によってはその規模が変わるかもしれません。

なぜクラスター対策が重要なのか?

患者クラスターの把握とクラスター対策

大臣レク用 新型コロナウイルス感染症 クラスター対策による感染拡大防止魚拓

新型コロナウイルスの集団感染を防ぐために

スポーツジム、屋形船、ビュッフェスタイルの会食、雀荘、スキーのゲストハウス、密閉された仮設テントなどでは、一人の感染者が複数に感染させた事例が報告されています。
このように、集団感染の共通点は、特に、「換気が悪く」、「人が密に集まって過ごすような空間」、「不特定多数の人が接触するおそれが高い場所」です。

「雀荘」があるなら「パチンコ店」も含めるべきなのにそれをしていないのは業界への「配慮」なんでしょうか?なんだか解せませんね。

なぜクラスター対策が重要なのか?については、これまでの感染事例から上記のような環境での感染が多いため、その集団を把握することで追跡調査が可能であるという考えに基づいているようです。

経験則的な判断であるため、「飛沫感染が主な感染経路なのになぜ空調が関係するのか?」などの疑問にはまったく応えていませんが、それは今後の課題としてまずは現象を捉えたということなのでしょう。

追記:厚生労働省がクラスターマップを作成

全国クラスターマップ:厚生労働省

厚生労働省が全国クラスター マップを作成しました。

これまで各都道府県が個別に公表していたものを全国で一覧できるようになってます。

定期更新するようです。

以上

新型コロナ「心臓肝臓脳にも異常、中国が病理診断」報道⇒通常の感染症でも見られます

新型コロナウイルスについて「中国が病理診断で心臓肝臓脳にも異常」などという報道がなされていますが、相変わらずのインフォデミックです。

新型コロナ「心臓肝臓脳にも異常、中国が病理診断」報道

新型コロナ 心臓、肝臓、脳にも異常 中国が病理診断 - 産経ニュース

中国の国家衛生健康委員会は4日、新型コロナウイルスの感染者では肺のほか脾臓(ひぞう)などのリンパ系器官、心臓や肝臓、腎臓、脳組織などにも異常がみられたとする病理診断の結果を公表した。一部の患者の生体組織診断や遺体の病理解剖を行い、新型肺炎の診療ガイドラインの改訂版に盛り込んだ。

産経新聞は中国の国家衛生健康委員会の4日の発表に触れて、「心臓、肝臓、脳にも異常」とタイトルに盛り込んで報道しました。

どういう意味があるのでしょうか?

中国の国家衛生健康委員会

産経新聞の報道のもとになっているのは、中国の国家衛生健康委員会の新型コロナウイルス肺炎に対する診療ガイドラインの第七版です。

《新型冠状病毒肺炎诊疗方案(试行第七版)》解读

三、增加“病理改变”
  按照大体观、镜下观分别对“肺脏、脾脏及肺门淋巴结、心脏和血管、肝脏和胆囊、肾脏、脑组织、肾上腺、食管、胃和肠管等器官”进行描述。以肺脏和免疫系统损害为主。其他脏器因基础病不同而不同,多为继发性损害。

主に肺および免疫系の損傷が起き、心臓・肝臓・脳など、他の臓器のほとんどは二次的な損傷である、と書かれているに過ぎません。

中国公式の発表からは、産経新聞で報じられているニュアンスのような「通常の感染症とは異なるもの」という要素は何も見出せません。

感染症専門医「通常の感染症の所見で見られるもの」

心臓・肝臓・脳など、他の臓器の損傷が見られた、ということについては、峰宗太郎医師は感染症によって死亡したものを解剖した所見として一般的なものである、という評価です。

サイトカインストームという言葉の独り歩き

サイトカインストームという言葉も独り歩きしているようです。

これまで「新型コロナウイルスは異常だ!他のウイルスと違う!」などと言われているもので、他のウイルスでも当たり前にして起こり得る現象は以下です。

  • エアロゾル伝播
  • 再感染・再陽性
  • ウイルス構造にHIVたんぱく質と類似した構造がある

これらもいろいろ騒がれていますが、すべて新型コロナウイルスに特徴的なものではありません。

関連記事を以下に並べます。

まとめ:インフォデミック

  1. ソースの中国公式は心臓・肝臓・脳など、他の臓器の損傷は、単に二次的な損傷に過ぎないと記述
  2. それは感染症の病理解剖において一般的にみられる所見
  3. それを産経新聞が な ぜ か タイトルに盛り込んで報道
  4. それを見た一般人が「新型コロナウイルスは何か通常の感染症とは違う異常な症状が出る危険なものだ」と誤解

これも一種のインフォデミックですね。

以上

マスク転売ヤー終了のお知らせ:緊急措置法の適用で転売禁止方針

日本政府はようやくマスク転売規制に乗り出すようです。

追記:政令が出たのでの抜け穴等は以下

マスク転売ヤー死亡のお知らせ:転売禁止方針

マスク400万枚売り渡し指示 “緊急事態”北海道に配送へ - FNN.jpプライムオンライン

政府は来週にもマスクの転売を禁止する方針だが、緊急措置法の26条を適用し、懲役5年以下、または、300万円以下の罰金を科すことを検討していることがFNNの取材でわかった。

政府は「企業に対してマスク400万枚売り渡し指示」 とは別に、マスクの転売を禁止する方針であるというFNNの取材内容です。

「緊急措置法」とは

「緊急措置」という語を含む法律で一般国民の生活に関するものは

  • 【生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律】
  • 【国民生活安定緊急措置法】

この2種類があります。

今回は後者の【国民生活安定緊急措置法】の適用が検討されているということです。

なお、前者は「多量に保有」が要件なので、市場における製品の相当程度の割合の物量を差配可能な企業などの大規模組織を対象にすることが念頭にあるようで、今問題になっている「転売ヤー」の規制については適用できないのでしょう。

前者はできることが「市場に製品を流通させようとしない者に対する」「売渡し」とその違反に対する罰則に限られるので、高額転売そのものをダイレクトに規制することができません。

国民生活安定緊急措置法26条

国民生活安定緊急措置法

(割当て又は配給等)
第二十六条 物価が著しく高騰し又は高騰するおそれがある場合において、生活関連物資等の供給が著しく不足し、かつ、その需給の均衡を回復することが相当の期間極めて困難であることにより、国民生活の安定又は国民経済の円滑な運営に重大な支障が生じ又は生ずるおそれがあると認められるときは、別に法律の定めがある場合を除き、当該生活関連物資等政令で指定し、政令で、当該生活関連物資等の割当て若しくは配給又は当該生活関連物資等の使用若しくは譲渡若しくは譲受の制限若しくは禁止に関し必要な事項を定めることができる。
2 前項の政令で定める事項は、同項に規定する事態を克服するため必要な限度を超えるものであつてはならない。

国民生活安定緊急措置法26条では生活関連物資等について「譲渡若しくは譲受の制限若しくは禁止に関し必要な事項を定めることができる。」とあり、かなり広範囲な措置がとれるような規定になっています。

「生活関連物資等」は政令で定めるということになっているようです。

この場合の政令は「国民生活安定緊急措置法施行令(昭和四十九年政令第四号)」 ではなく、今後別途公示される政令となります。

追記:3月11日に公布されました。購入価格を超える金額での転売行為を行うと1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれらの併科となります。

既に経済産業省がオークション自粛要請を通知

マスクや消毒液やトイレットペーパーの状況 ~不足を解消するために官民連携して対応中です~ (METI/経済産業省)

マスク、消毒液等について(3月5日)
マスク及び消毒剤のオークション出品の自粛
経済産業省では、転売目的での買い占めを防止するとともに、既に転売目的で保有しているマスクを市場に供給するため、従来の高値取引の自粛から更に一段取り組みを進め、一定期間後オークションへの出品自体の自粛を求めます。

具体的には、ネットオークション事業者に協力を求め、令和2年3月14日(土)以降当分の間、マスク及び消毒液の出品の自粛を要請します。

この要請を受けて、令和2年3月4日(火)に、3月14日(土)以降当分の間、ヤフオク!におけるオークション形式のマスク出品を禁止することを発表しました。

法律制定・施行前はどうなのか?

既に経済産業省がマスク・消毒液等についてオークション自粛要請を各界に通知しています。

「ヤフオク!ガイドライン細則の改定について(マスク等の出品について)(2)」 -お知らせ - ヤフオク!

ヤフオク!では、日本全国でのマスクや消毒液の品薄状態を受けて、緊急事態に際し、個人間取引が及ぼす社会的影響を鑑み対策を実施してまいりましたが、経済産業省の要請を受けて、本日よりマスクの適切な価格かつ小ロットでの販売推進に関する対策を強化をするとともに、2020年3月14日(土)以降当分の間、ヤフオク!におけるオークション形式のマスク出品を禁止することにいたしました。

経産省の要請を受けてヤフオクはオークション形式のマスク出品を禁止しました。

増産で対応できなかったか

日本政府は当初、マスクの増産によって品薄の解消を図っていました。

しかし、薬局等が入荷しても朝一で転売ヤーが買いに行ったり、医療関連商品の個人輸入代理店の中国人が、医療関係企業に優先販売されるマスクの横流しを受けて転売するなどする事例があり、不十分だと思ったのでしょう。

参考:マスク転売で2000万円 新型コロナでボロ儲けする中国人美女(FRIDAY)

台湾は輸出制限や販売制限などを2月頭には行っていたようであり、日本の対応は遅きに失したと言えますが、やらないよりマシでしょう。おそらく増産したらしたで生産ラインを元に戻すのが大変でしょうから、最初から無理な話だったんだろうと思います。

以上

厚生労働省が羽鳥慎一モーニングショーを名指しで批判

厚生労働省が羽鳥慎一モーニングショーを名指しで批判するツイートをしました。

厚生労働省が羽鳥慎一モーニングショーを名指しで批判

厚生労働省が羽鳥慎一モーニングショーを名指しで批判しました。

要するに「オマエラが言ってるような事は既にやってるんだよ、取材しろ」ということでしょうか。 

「出演者の発言」は岡田晴恵の発言

「出演者の発言」は9時25分頃の岡田晴恵の発言でした。

N95マスクが不足しているという文脈で、厚生労働省のコメントとして「医療機関向けのマスクは都道府県などの備蓄を使うのが基本」というフリップが建てられていました。

これは法律上そうなっているので正しいし、国も備蓄用マスクを使うことは可能、という方針を表明しています。

新型インフルエンザ特措法・災害対策基本法上の備蓄

インフルエンザ特措法

(物資及び資材の備蓄等)
第十条 指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長、地方公共団体の長等並びに指定公共機関及び指定地方公共機関(第十二条及び第五十一条において「指定行政機関の長等」という。)は、政府行動計画、都道府県行動計画、市町村行動計画又は業務計画で定めるところにより、その所掌事務又は業務に係る新型インフルエンザ等対策の実施に必要な医薬品その他の物資及び資材を備蓄し、整備し、若しくは点検し、又は新型インフルエンザ等対策の実施に必要なその管理に属する施設及び設備を整備し、若しくは点検しなければならない。
(災害対策基本法の規定による備蓄との関係)
第十一条 前条の規定による物資及び資材の備蓄と、災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第四十九条の規定による物資及び資材の備蓄とは、相互に兼ねることができる

国会で「備蓄の主体は国になっていると法律に書いている」というデマを言う者が居ますが、マスクの備蓄は新型インフルエンザ特措法・災害対策基本法に基づいて都道府県等がイニシアティブを持っています。

指定行政機関とは同法の2条4号で内閣府や宮内庁などの行政機関を指しますので、国「も」備蓄の主体と言えますが、基本は自治体が数を把握してるはずですしロジスティクスの観点からも自治体が第一義的に対応するのが当然です。

感染研も新型コロナウイルスに関する報道機関の事実誤認について苦言

新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査に関する報道の事実誤認について

3月1日には、国立感染症研究所も報道機関の報道内容に苦言を呈していました。

新型コロナウイルスに関する事実誤認や不当な評価は報道機関、特にテレビの中でも羽鳥慎一モーニングショーの出演者から行われていることが多いです。

ウイルスの感染伝播によるパンデミックよりも、メディアの電波によるインフォデミックの方が深刻です。

以上

新型インフルエンザ特措法をなぜ新型コロナウイルス対策に適用しないのか?

新型インフルエンザ特措法

新型インフルエンザ特措法をなぜ新型コロナウイルス対策に適用しないのか?

無理だから。

これ言ってる人はただの妨害行為です。

新型コロナウイルスの扱いと新型インフルエンザ特措法

新型コロナウイルスの現行法上の扱いは「指定感染症」です。

しかも、2月13日公表・14日施行の政令によって、1類感染症相当の扱いとなり、これによって無症状病原体保有者・疑似症患者に関する規定も適用可能になりました。

それでも、「感染者とまったくかかわりが無い人の人権を制限する」ことはできません。

しかし、新型インフルエンザ特措法にはそうした人の行動を一定程度制限することが予定されています。

新型インフルエンザ特措法を適用するには同法上の「新型インフルエンザ等」でないとダメなのですが、現行法上、インフルエンザ以外に対象となるのは「新感染症」しかありません。(感染症法上の「新型インフルエンザ等」には新感染症は含まれない。)

新感染症の定義と解釈

感染症法

6条

9 この法律において「新感染症」とは、人から人に伝染すると認められる疾病であって、既に知られている感染性の疾病とその病状又は治療の結果が明らかに異なるもので、当該疾病にかかった場合の病状の程度が重篤であり、かつ、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう。

詳解感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律4訂版 [ 厚生労働省健康局 ]によれば、新感染症は人-人感染の伝染性の証明は必要ないですが、「疾病の程度が重篤」であることと「当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの」という要件が要求されています。

詳解感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律4訂版 [ 厚生労働省健康局 ]

これは、新感染症が原因不明の疾病であるにもかかわらず、強権的な措置の対象となることからその範囲を限定すべきであり、また、症状が重篤でなければ、原因を究明した上で指定感染症として指定することで対応が可能だからである。

現在までに現れた新型コロナウイルス=COVID19の症状は、まったくこれに該当しないことが明らかです。

しかも、新感染症という概念は、原因不明の疾病であり病原体が発見されていないものである、ということが前提にありますから、既にコロナウイルスと原因が特定できているものについて適用することは不可能です。

これを新型コロナウイルスに対して無理やり適用しようとするのは法体系の破壊行為に他なりません。それが許されてしまうと、マイコプラズマ肺炎にまで適用できてしまうことにもなりかねません。

新型インフル特措法は隔離ではなく「要請」「指示」までしかできない

「インフル特措法で隔離できる」と言う論者は、既に1類相当の政令指定をしていて患者等の隔離=入院措置ができていることを無視しています。

確かに「病院ではなく自宅など他の場所に軟禁する必要がある場合もあるだろう」という論にはこれは有効な反論ではないです。

ただ、インフル特措法は感染者と全く関係の無い人に対しても外出制限やイベント制限などの広範な制限が可能ですが、基本的に「要請」しかできません。

第二節 まん延の防止に関する措置
(感染を防止するための協力要請等)
第四十五条 特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、当該特定都道府県の住民に対し、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間並びに発生の状況を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間及び区域において、生活の維持に必要な場合を除きみだりに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないことその他の新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力を要請することができる

2 特定都道府県知事は、ー省略ー 学校、社会福祉施設(省略)、興行場(省略)その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者(省略)に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができる

3 施設管理者等が正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないときは、特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため特に必要があると認めるときに限り、当該施設管理者等に対し、当該要請に係る措置を講ずべきことを指示することができる

イベント制限のみ要請に応じない場合には「指示」できますが、これに反したところで罰則はありません。ましてや「強制隔離」はできません。それは1類感染症の患者等に対してのみできることです。
(新感染症も感染症法53条で1類感染症相当の指定を政令ですることは可能。対策を講じる方法が分かればよいので現時点でもこれは可能。)

したがって、既に安倍総理大臣が「任意の要請」をしている現状で、この期に及んでわざわざインフル特措法を適用する意味がどれほどあるのかよくわかりません。

都道府県知事に権限がある

※当初エントリを変更します。元の内容は都道府県知事に権限があるから国の方針が反映されない可能性があるという内容でした。

都道府県は原則的に国の基本方針に従う

訂正理由として、インフル特措法3条の以下の規定を取り上げます。

4 地方公共団体は、新型インフルエンザ等が発生したときは、第十八条第一項に規定する基本的対処方針に基づき、自らその区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施し、及び当該地方公共団体の区域において関係機関が実施する新型インフルエンザ等対策を総合的に推進する責務を有する。
5 指定公共機関及び指定地方公共機関は、新型インフルエンザ等が発生したときは、この法律で定めるところにより、その業務について、新型インフルエンザ等対策を実施する責務を有する。
6 国、地方公共団体並びに指定公共機関及び指定地方公共機関は、新型インフルエンザ等対策を実施するに当たっては、相互に連携協力し、その的確かつ迅速な実施に万全を期さなければならない。

つまり地方公共団体は法的根拠に基づいて国の方針に従うようになってますので、当初エントリの主張は不当ということになります。

ただし、追加で以下の主張を加えます。

新型インフルエンザ等緊急事態の要件をクリアするのか?

住民に対する制限の権限を有するのは「特定都道府県知事」とあります。

「特定都道府県」とはどういう意味でしょうか?

(特定都道府県知事による代行)
第三十八条 その区域の全部又は一部が第三十二条第一項第二号に掲げる区域内にある市町村(以下「特定市町村」という。)の長(以下「特定市町村長」という。)は、新型インフルエンザ等のまん延により特定市町村がその全部又は大部分の事務を行うことができなくなったと認めるときは、当該特定市町村の属する都道府県(以下「特定都道府県」という。)

よって、32条1項を見てみます。

新型インフルエンザ等緊急事態宣言等
第三十二条 政府対策本部長は、新型インフルエンザ等(国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するものに限る。以下この章において同じ。)が国内で発生し、その全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるものとして政令で定める要件に該当する事態(以下「新型インフルエンザ等緊急事態」という。)が発生したと認めるときは、新型インフルエンザ等緊急事態が発生した旨及び次に掲げる事項の公示(第五項及び第三十四条第一項において「新型インフルエンザ等緊急事態宣言」という。)をし、並びにその旨及び当該事項を国会に報告するものとする。
一 新型インフルエンザ等緊急事態措置を実施すべき期間
二 新型インフルエンザ等緊急事態措置(第四十六条の規定による措置を除く。)を実施すべき区域

「政令で定める要件」は以下です。

新型インフルエンザ等対策特別措置法施行令

新型インフルエンザ等緊急事態の要件
第六条 法第三十二条第一項の新型インフルエンザ等についての政令で定める要件は、当該新型インフルエンザ等にかかった場合における肺炎、多臓器不全又は脳症その他厚生労働大臣が定める重篤である症例の発生頻度が、感染症法第六条第六項第一号に掲げるインフルエンザにかかった場合に比して相当程度高いと認められることとする。

つまり「特定都道府県」とされるかどうかは、既存の症例の実態に依存するということです。

季節性インフルエンザより重篤症例の頻度は相当程度高いのか?

重篤である症例の発生頻度が季節性インフルエンザに比して相当程度高いこと

これが新型インフルエンザ等緊急事態の要件ですが、2009年に流行したインフルエンザは当初は新型とされましたが現在は季節性インフルエンザと同じ扱いになっています。

日本における2009年新型インフルエンザ - Wikipedia

2009年の流行におけるインフルエンザA/H1N1型の4か月間の推定受診者 100 人当たりの入院率と重症化率は、それぞれ0.08%、0.005%程度で横ばいに推移しています。また、流行発生から同年12月中旬までの累計で、受診者の 13 万人に 1 人が死亡したものと推計される。というデータがあります。

参考:新型インフルエンザの発生動向 2009 年 12 月 25 日

もっとも、上記は日本国民1500万人が罹患したと推定されるケースであり、軽症者が非常に多く含まれていることから参考にはできません。

感染症法第六条第六項第一号のインフルエンザは「インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)」とあり、5類感染症であるものの、実態は流行期には毎週数百人が死亡しています。

参考:国立感染症研究所:インフルエンザ関連死亡迅速把握システム

こうしたことから、新型コロナウイルスが季節性インフルエンザよりも重篤症例の頻度が相当程度高いと言えるのか、よくわかりません。

COVID19に対する新型インフルエンザ等緊急事態宣言は現時点では無理

したがって、新型インフルエンザ等緊急事態が取られるような状況でない限り、特定都道府県知事からの住民の権利制限はできないという法律の建前と季節性インフルエンザの症例の実態からは、新型コロナウイルス=COVID19に対して新型インフルエンザ等緊急事態宣言をすることは不可能と考えられます。

これは季節性インフルエンザの実態と比較するという「自縄自縛」を法律で行っているせいなのですが、必要性があるからといって法律を無視するわけにはいかないでしょう。

インフル特措法を適用しようとするなら、法改正をして指定感染症をも対象にするとか、新型インフルエンザ等緊急事態宣言の要件を緩和させるとか、そういう形にしないと使えないということです。

インフル特措法の一部適用を狙い新型コロナ特措法を作る

新型インフル特措法適用論者の多くは何故か新感染症の指定が前提にあります。
(たとえば原口一博や玉木雄一郎議員など)

しかし、私は日本維新の会の足立康史議員の提案の通りなら理解できます。

  1. 新感染症指定をして特措法をそのまま適用すれば良いとの考え
  2. 現状に+αで新型インフル特措法に書かれている措置がとれるように改正⇒これが足立議員の言ってること。指定感染症のままで可能。

新型インフル特措法「活用」論者は上記の2パターンありますが、既に「指定感染症モード」で行政は動いているなかで、敢えて新感染症に鞍替えする(先述の通り新感染症指定は法解釈上不可能だが)という面倒なことをする必要性はいったいどこにあるのでしょうか?

発熱外来など具体的運用は現行法上も新型コロナウイルス対策で可能

新型インフルエンザ特措法

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/housei/240626kachoukaigi/siryou2.pdf

第201回国会 参議院 予算委員会 第3号 令和2年1月31日で加藤厚労大臣も述べているように、発熱外来の設置(発熱外来に患者を集中させることで、通常の診療を続ける医療機関の外来がパンクするのを防ぐ)など、新型インフル特措法で書かれている運用についても、実行を検討をしているということです。

別に新型インフル特措法をそのまま適用することでなくとも、そういった具体的な運用で採用するべきは現行法上でも採用すれば良いのです。

新型インフル特措法には重厚長大な行動計画が策定されていますが、これをそのまま新型コロナウイルス対策に適用するのは無理が出てくる部分があるでしょうから、やはり新型コロナ仕様にしたものを実行するべきでしょう。

安倍内閣は新型コロナウイルス特措法の立法へ

新型コロナウイルスの法整備 新型インフル特措法を参考に 首相 | NHKニュース

既に安倍内閣は「新型コロナウイルス特措法」の立法へ舵を切っています。

それは新型インフル特措法に近い内容を想定するとされていますが、要するに「新型インフル特措法はそのままでは使えない」と判断したということです。

まとめ

  1. 新型コロナ対策に新型インフル特措法を適用するためには新感染症指定が必要
  2. 新感染症の定義に新型コロナウイルスは当てはまらない⇒法的許容性の欠如
  3. 実質的にも新型インフル特措法は使いにくい上、既に相当する行為をしている以上、敢えて適用する必要性もない
  4. 新型インフル特措法の行動計画を参考にして同内容を新型コロナ対策に使うことは有効

こういうわけなので、新感染症指定をした上で新型インフルエンザ特措法を新型コロナウイルス対策に適用しようとしている人は、私からすれば「やってる感」を出そうとしているだけの妨害・法体系破壊行為にしか見えません。

以上