事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

防衛省まとめ:韓国海軍艦艇によるP1哨戒機への火器管制レーダー照射事件

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韓国海軍艦艇によるP1哨戒機への火器管制レーダー照射事件について。

まとめページが防衛省のHPにあります。随時更新されるでしょう。

日本政府の見解を把握するためにはそちらを見ると良いでしょう。

その他、補足的に情報源を書いていきます。

防衛省の火器管制レーダー照射事案まとめ

こちらのページに経緯・動画・音声・関連ページへのリンクが貼られています。

「火器管制レーダー照射事件 まとめ」などの検索クエリで防衛省のページが上位表示されていないようなので、そちらに誘導するためにここに掲載します。

韓国海軍艦艇のP1哨戒機へのレーダー照射事件の記事

幣ブログでも本件について記事を書いていますので、関連するものを貼ります。

まずは初期のものについて

「P1哨戒機低空威嚇飛行」コラ画像など印象操作まとめ

サムネイル画像にP1哨戒機が韓国艦艇に対して低空でアプローチしているかのような画像が使用されている件の関連記事です。

NHKや共同通信について「この程度で騒ぐのはおかしい」という意見がありますが、これらの報道姿勢が韓国の動画のサムネイルに影響を与えたと考えられ、本件の事案においては少なくとも甚だ不適切だと言えるでしょう。

韓国海軍火器管制レーダー照射事案の報道のまとめ

日韓のメディアの報道内容を分析、検証したものです。

「韓国政府・軍の公式見解は何か?」について、各所で争いがあるようです。

現状では「韓国側は最初はレーダーを照射したと言ったが後で覆した。言ってることが二転三転している」という理解が主流のようです。

しかし、あくまで韓国政府の記者会見・国防部のHPに掲載されている情報ベースだと、(レーダー照射の事実に関しては)言ってることは一貫しているが、それは一貫した嘘である、というのが私の理解です。

この違いは、韓国側で「火器管制レーダー」という用語の使い方が通常とは異なっていることに起因していると思われます。

なお報道等で「国防部の情報筋が…」などと書いてるのは公式見解とは扱ってません。

ただ【当時の日本海海域の気象条件や無線交信の事実】についての見解がどうなっていたか?については検証していません。

韓国側「P1哨戒機が低空威嚇飛行」への反論

国際民間航空条約(ICAO)の適用について誤解があったので整理しました。

重要なのは、軍用機の高度を制限する何らかの国際法規は存在しないということです。

日本の自衛隊機は平時はICAOや航空法に準じて「配慮」しているに過ぎません。

軍用機は安全保障上の必要があればその基準より低い高度で飛行することもあります。

高度のみではなく、飛行パターン等によって威嚇飛行か否かが判断されます。

したがって150mより低い高度だからといってそれだけで威嚇飛行とはなりません。

日本の報道を受けた人の誤解について

ネット上では「政府の対応は生ぬるい」「弱腰だ」という論調があります。

その「あおり」を受けて勘違いが広まっていた例について正しています。

韓国政府の「反論動画」と「論点ずらし」について

韓国政府(ムンジェイン政権)がバカであるという前提に立ってしまうと、韓国側の常軌を逸した言動について理解を誤る可能性があるのではないか?という観点から、一種の予測をしています。

また、SNS上ではトンデモ論によって「日本側が悪い」と思わせる工作が行われている例があるので、そういったものに流されない・騙されないようにするための考え方をまとめています。

その他、事態の推移に合わせて随時更新していきます。

 以上 

「11歳100ミリシーベルト被曝の疑い 福島第一事故」の報道状況

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11歳100ミリシーベルト被曝の疑い福島原発事故で」という報道について。

私が放医研に確認した結果を記事化しましたが、この件がどのように報道されて、どのように受け止められているのかをまとめます。

「11歳100ミリシーベルト被曝の疑い」の初出は東京新聞

東京新聞:11歳少女、100ミリシーベルト被ばく 福島事故直後 放医研で報告:社会(TOKYO Web)魚拓はこちら

1月21日の6時57分に配信されています。紙面でも編集者の意見付きで掲載。

これを共同通信の47Newsが8時00分に配信しています。

地方紙は調べてませんが、その後NHKも20時04分に追随します。

福島の女児 甲状腺に放射線100ミリシーベルト被ばくか | NHKニュース魚拓

11歳100ミリシーベルト被曝の疑い 福島第一事故で:朝日新聞デジタル魚拓。朝日新聞のWEB版は21日の22時02分に配信されていますが、紙媒体では22日の朝刊で同じ内容のものが掲載されています。

yahooニュースやMSNニュースなどで広く拡散されたのは朝日新聞のWEB版です。

東京新聞の記事本文は必要な情報が揃っている

  1. 5万~7万cpmという数値が徳島大学のチームによって把握
  2. しかし、検出機器は本来使用されるべきものではないGM型だったため不正確
  3. その数値をベクレルに試算
  4. ベクレルに試算された数値をさらにミリシーベルトに試算
  5. 「100ミリシーベルト」は最大に見積もった極大値で科学的根拠は無い
  6. 「100ミリシーベルト」は等価線量であり実効線量ではない
  7. 「政府機関等が隠蔽」という評価は成り立たない。

私が放医研に確認した事実は上記1~6で、7がそれらから考えられる結論です。

東京新聞の記事は、上記の5以外の1~6の事実が分かるようになっています。

情報源は情報公開請求で入手したメモや関連文書、放医研です。

これ以降の報道媒体で、追加的な情報があるのはNHKです。

NHKは佐瀬教授や誉田教授、福島県、国にも取材

NHKの記事は情報源に対する取材の数という点では最も行動量のあるものです。

佐瀬教授誉田教授放医研、福島県、国に対して取材した内容をもまとめています。

ただし、21日の時点では国に取材した結果までの記述であり、後に佐瀬教授や誉田教授に対する取材結果や追加情報を追記しています。それにより全体としては放医研よりは佐瀬教授らの認識ベースで書かれていると言えます。

遅くとも22日中には等価線量と実効線量との関係が分かるように追記されています。

GMサーベイメーターやNaIサーベイメーターについては名前が出ていませんが「測定に適した機器が使われていなかった」という点でカバーしていると考えたのでしょう。

ところで、放医研の「100ミリシーベルトは仮試算であり最大に見積もった値」という情報は今のところどの報道にも現れていないのですが、放医研の側が伝えるべき情報について段々と整理がついてきたために私が聴いたタイミングで仰ってくださった、という可能性があると思います。或いはこれは「放医研の認識」に過ぎないので「事実」としては扱うことを躊躇した可能性もあるのではないかと思います。

NHKは福島県が「11万4000人を対象にしたスクリーニング結果の中で、今回のような数値を出した者は居ない」としたことを記事に載せています。

私は、東京新聞やNHKの記事それ自体は非難されるべきものではないと思います。取材担当者の仕事をリスペクトしたいと思います。

東京新聞の「デスクメモ」には底意がある

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東京新聞1月21日特報面

今回、明らかになった「一〇〇ミリシーベルトの女の子」。彼女を不確かな推計結果とみるか、氷山の一角とみるか。事の重大さを考えれば、後者とみて対応すべきではなかったか。

「氷山の一角」というのは事実として存在しているような場合に使う言葉でしょう。

上述のように100ミリシーベルトという値は検出値ではなく推計値です。

しかも、①厳密ではない検査機器での検出値を元に②2度、推計を挟んで、さらに③極大値をとったものが100ミリシーベルトという値です。

このような数字に対して「事が重大だ」と捉えることは一般的に理解不能です。

NHKによれば『誉田教授は「事故直後は混乱していたが、関係者が女の子の測定結果を受け止めていれば子どもたちにより丁寧なフォローができたかもしれない」』ということですが、女の子目線で考えた見解としてはそうなるでしょう。その後彼女に深刻な健康問題が生じたというなら少し話は変わりますが、そうではないでしょう。

科学的・統計的な視点で見れば、福島県が大規模なスクリーニングをした結果からは無視できる話であったということが示されています。

東京新聞の記事本文にある内容を正確に理解したのなら、どうしてデスクメモのような主張が出てくるのか?底意があると思わざるを得ません。

読者がデスクメモの見解に引きずられて記事本文を理解するのが狙いなのでしょう。

内容を薄めて「がんのリスク」を強調した朝日新聞の記事

さて、私が書いた記事では朝日新聞を主に名指ししています。

朝日の記事日を跨いだ後発のものであるにもかかわらず東京新聞やNHKの記事で書かれていた重要な内容が削られています

記事の構成も、事実経過を記述する前に「甲状腺に100ミリシーベルト被曝すると、がんのリスクが増える」『これまで国は「100ミリシーベルト以上被曝した子どもは確認していない」としてきた。』という文が先に来ており、強調されています。

一般の読者は「等価線量」と「実効線量」の存在は分かりませんから、『甲状腺に100ミリシーベルト被曝の疑い」という表現だけで、正確な理解ができるとはまったく期待できません。

私も「何かがおかしいのでは?」と思って調べた結果、等価線量を指しているということに気付いたのですから。

SNSでは「隠蔽」という評価も

プロフィールにそれなりの立場が書かれている者が「隠蔽」と評価する例があります。

魚拓:http://archive.is/PrXJW http://archive.is/YB4Wf

魚拓:http://archive.is/VSa4P http://archive.is/j97o8

魚拓:http://archive.is/ELHFG http://archive.is/9XHo0

それなりの立場がある者ですらこうなのですから、一般人が一読したらどのような評価になるのか、という懸念を持つのは、何ら不思議なことでは無いでしょう。

まとめ:地方紙が報じ、全国紙が乗っかって拡散する構図

今回の報道状況は、東京新聞という地方紙が情報公開請求までして整理した情報について、朝日新聞という全国紙が内容を薄めて拡散していたということです(その間、NHKのように追加取材した所もあるにもかかわらず)。

このような報道のされ方は他にもあり、沖縄県の政治問題についてはよくこのような状況がみられます

こういう報道状況では初出の記事内容よりも後発の大手紙の紙面から生じる認識が世の中に広がります。その記事内の記述に嘘がなくとも、読者の受け取る認識が好ましくないものになる危険性が高い報道は数多くあります。

特に福島第一原発事故関連の報道では、このような報道が繰り返されてきました。

福島の風評被害を継続させかねない構図には注意しなければならないと思います。

以上

放医研に確認:朝日新聞「11歳100ミリシーベルト甲状腺被曝」の実態

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朝日新聞の「11歳、100ミリシーベルト被曝疑い 甲状腺の周囲 福島第一事故」という記事内容について。魚拓はこちら

放射線医学研究所(放医研)に電話取材した結果をまとめます。

朝日新聞の記事は概ね事実を書いてますが、詳細が省かれています。
東京新聞魚拓)が初出のようですが朝日新聞の記事はこれをさらに薄めています。

最初に徳島大学のチームがCPMを計測した

まず、朝日新聞の記事では「5万~7万cpmの値が応援に来ていた徳島大のチームに伝えられた」旨の記述がありますが、違うとのことです。

放医研の広報課長マツハシ氏からは「事実は徳島大学のチームが5万~7万cpmの値を計測し、それが郡山の文部科学省緊急災害対策センター(EOC)に伝えられ、放医研はEOCから情報共有をした」というものであると説明されました。

この5万~7万cpmという値を出したのは放医研ではありません。

その後、この数字をベースに試算がなされますが、後述するようにこの数字自体が科学的な信憑性に乏しいものであると判断されています。

人体用ではない機器で測定した数値

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https://www.env.go.jp/chemi/rhm/kisoshiryo/attach/201510mat1s-01-4.pdf

上記の5万~7万cpmという数値を測定したのは「GM型のサーベイメーカー」を用いて行ったものであるということでした。

これは科学的に正確に人体内部の被曝量を検出するためのものではありません。

空間の線量や物体の表面の線量を検出するために用いられるものです。参考例。 

人体内部の被曝量を科学的に測定するためには、本来は「NaI型」というものを使うのが一般的です。体内にとりこまれたものだけを正確に検出する必要がある際にはこちらを使います。

GM型でもまったく無意味ではありませんが「科学的には無意味」 になります。

放医研の広報課長はこのような機器での検出となった理由について、徳島大学で用意している機器に限りがある中で非常に多い人数の測定をする必要があった結果、サーベイメーカーが不足していたのではないか?と推測されていました。

CPMからBqへの試算、そして等価線量への再試算

このような経緯のある5万~7万cpmという数字について、人体への影響を考えるために当時徳島大学のチームに居た放射線の専門家である佐瀬氏を中心にBq(ベクレル)という数字に試算しました。

それが「十数キロベクレルの可能性がある」という試算結果となりました。

これも試算であり、直接検出したものではありません。

そこからさらに情報がEOC⇒放医研へと渡って、放医研の対策本部会議で情報共有されました。

放医研は放射線医療を専門にしているため、「5万~7万cpm」や「十数キロベクレル」という数字では実態を掴みづらく、放射線医療のための把握に資さないことから「等価線量(※実効線量ではない)になおしてみよう」というレベルの話だったのです。

CPMから直接等価線量(mSv)を計算で出すということは出来ないので、ベクレルから等価線量を試算で出してみたということです。

当然ながらこのような計算は通常は行いません。正確な実態を反映しないからです。

「100ミリシーベルト」は極大値の見積もり

更に100ミリシーベルトという数値は最大限に見積もった数値であるとのことです。

当時の放医研の内部でも「実際上はここまでの数値にはならないだろう」「過大評価だろう」と扱われていただろうとのことでした。

本来は計算しないものを無理やり計算してみたものであり、放射線被害の規模を計算上枠づけるためには最大でどれくらいか?ということは示す必要があったものと思われます。

「政府等の機関が隠蔽していた」との印象は事実と異なる

さて、この数字は計測後に情報共有されましたが、上述の通り科学的根拠のない単なる参考値に過ぎません。

EOCから放医研に「数字を出せ」という依頼があったのではありませんから、放医研としても公表を前提として算出した数値ではありません。

仮に放医研が国から「CPMから等価線量を算出してよ」などという正式な依頼を受けたとしたら、「科学的な根拠のある数値ではないと報告するだろう」ということでした。

こうしたことから、この数値が今出てきたことについて「隠蔽されていた!」と騒ぐのは無理やり過ぎて話にならないということが分かるでしょう。

そして「100ミリシーベルト」という数字自体もネット上では勘違いされています。

100ミリシーベルトは【甲状腺等価線量】

ここでの「100mSv」は【甲状腺等価線量】であり【実効線量】ではありません。

実効線量」は私たちがよく報道等で目にすることのある数字です。

1時間あたり空間被曝線量が〇〇μSv年間の被曝線量が〇〇mSvでよく表現されます。

実効線量は人体全身で受けた被ばく量を表します。

対して「等価線量」は一部位への影響を考慮するために適用される数値です。

ICRP 2007 での甲状腺の組織加重係数は 0.04です。

したがって、100mSvを 0.04 倍した 4 mSv が実効線量ということになります。

もちろん、甲状腺等価線量のスクリーニングレベルはmSv換算で100mSvなので、実際にこの数値が検出されていたということであれば一応は問題です。

しかし、それでも【たった一例に過ぎない】ので、 科学的に意味のある情報かというと疑問符がつきそうです。

まとめ:「11歳100ミリシーベルト被曝」に踊らされるな

  1. 5万~7万cpmという数値が徳島大学のチームによって検出
  2. しかし、検出機器は本来使用されるべきものではないGM型だったため不正確
  3. その数値をベクレルに試算
  4. ベクレルに試算された数値をさらにミリシーベルトに試算
  5. 「100ミリシーベルト」は最大に見積もった極大値で科学的根拠は無い
  6. 「100ミリシーベルト」は等価線量であり実効線量ではない
  7. 「政府機関等が隠蔽」という評価は成り立たない。

朝日新聞の記事はこれらの事情のうち、5番目と6番目については読者が把握できるようになってません。また、東京新聞は6番について確認できますが、実効線量との関係は書かれていません。

現在、数字だけでなく数字の性質までもが独り歩きしかねない状況ですが、正確な理解が広まってほしいと思います。

なお、放医研としては今回の報道によって何かコメントを出すということは、今のところは考えておらず、事態の推移によっては何らかの判断をする可能性があるとのことでした。

以上

【最終見解】防衛省が韓国軍火器管制レーダー照射探知音公開と協議打ち切り

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防衛省:http://www.mod.go.jp/j/press/news/2019/01/21x.html

1月21日夕方、防衛省が韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射の音を公開。

これは一般人でも理解できるものになってますね。

防衛省・自衛隊:韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について

防衛省による韓国軍レーダー照射の最終見解説明概要

  1. 火器管制レーダーの照射について
  2. P-1の飛行について
  3. 通信状況について
  4. 今後の対応について

付属資料がありますが、HTML版として1ページ内でスクロールして見れます。

韓国レーダー照射事案に関する最終見解について(概要版)
韓国海軍駆逐艦による自衛隊機への火器管制レーダー照射に関する防衛省の最終見解について
韓国海軍駆逐艦による自衛隊機への火器管制レーダー照射に関する防衛省の最終見解について【補足説明資料】

図示して説明している補足説明資料が分かりやすいです。

火器管制レーダーと捜索用レーダーの照射の違い

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防衛省:http://www.mod.go.jp/j/press/news/2019/01/21x.html

公開された音は2種類。

火器管制用レーダーのものと捜索用レーダーのものです。

実際に防衛省HPで音声を聞けば分かりますが、火器管制レーダーの場合は音が継続的に聞こえるのに対して、捜索用レーダーは周期的に音が聞こえる(音が無い時間帯がある)のが違いです。

これを訓練を受けた海上自衛隊のP1哨戒機乗員が聞き間違えるはずもなく、ましてやレーダー波形のデータも取ってあるのですから、これを「違う」と言うのは無理があるし、信用されないでしょう。

その他の項目については防衛省のHPを実際に見てください。

防衛省の「協議打ち切り」の対応姿勢について

今回の防衛省の対応は『一般人が見ることを意識している』と言えます。

今回の防衛省のHPには付属資料が3つあり、前回の資料よりも多めの文量です。

それと同じ内容のものをHTML版としてトップ画面に掲載しており、スクロールすることで1ページ内で資料を全て見れるようになっています。

これは、PDFファイルをわざわざクリックして見る人が一気に減るということを意識していると言えます。いちいち画面を戻ったりタブを開いたりするのが面倒に思う人が少なからず居るということを把握しているのでしょう。

一般人が見ることを意識しているというのは「レーダーの波形」ではなく「レーダー検知時の音」を公開したことからも伺えます。

一般人はレーダー波形を見たところで理解できませんから、音を聞かせた方が直截的で理解可能だからです。

同時に、専門家が見聞きしても問題のないクオリティになっているという事でしょう。

防衛省による韓国側の嘘・非礼・検証拒否の指摘

韓国海軍駆逐艦による自衛隊機への火器管制レーダー照射に関する防衛省の最終見解について

防衛省は、本年1 月14 日の実務者協議において、相互主義に基づき、解析結果のもととなる探知したレーダー波のデータやレーダー波を音に変換したデータなど事実確認に資する証拠と、韓国駆逐艦の火器管制レーダーの性能や同レーダーの使用記録などを、情報管理を徹底した上で突き合わせ、共同で検証していくことを提案しましたが、受け入れられませんでした。

なお、昨年 12 月 27 日の実務者協議でも、同趣旨の提案をしています。また、本年1 月14 日の実務者協議では、事実確認に資する証拠の一つとして、探知したレーダー波を音に変換したデータを持参し、その場で韓国側に聴取してもらうことを提案しましたが、韓国側はその提案も拒否しました。

結構重要なことが書かれているのがこの辺だと思います。

12月27日の時点でも1月14日でも、共同検証をする提案をしたが、韓国側が拒否していたという事実。

しかも、音を聴くことすら拒否したという意味不明な韓国側の挙動を暴露しています。

P1哨戒機の飛行についても言及

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防衛省:http://www.mod.go.jp/j/press/news/2019/01/21x.html

韓国海軍駆逐艦による自衛隊機への火器管制レーダー照射に関する防衛省の最終見解について

これまで、海上自衛隊では、警戒監視及び情報収集中に、韓国のみならず外国軍艦等を確認した場合には、今回と同じような飛行を行い、写真を撮影しています。昨年4 月以降、今回写真撮影を行った韓国駆逐艦(「クァンゲト・デワン」)に対しても、今回と同じように3 回の撮影(4 月27 日、4 月28 日、8 月23 日)を行っていますが、その際、韓国側から問題提起を受けたことはありません。

過去に同様の飛行実績があるのに、韓国側から指摘は無かったという事実。

であれば、何故今回だけレーダー照射もし、P1の飛行を非難するのか?

北朝鮮船舶の存在が関係していることは明らかでしょう。

韓国海軍駆逐艦による自衛隊機への火器管制レーダー照射に関する防衛省の最終見解について

防衛省は、実務者協議において、更なる客観的根拠の提示を求めましたが、韓国側からは、そのようなものは示されず、逆に「脅威を受けた者が、脅威と感じれば、それは脅威である」などの全く客観性に欠ける回答を繰り返しています。
こうしたことから、防衛省では、韓国側の主張は、客観的根拠に基づいていない説得力を欠いたものであり、火器管制レーダー照射に関する重要な論点を希薄化させるためのものと言わざるを得ないと考えています。

ありていに言えば「論点ずらししてんじゃねぇよ」ってことを言ってます(笑)

しかし、これはまだ「優しい」表現ですね。

より突っ込んだ言い方であれば「いったい何を隠してるんだい?」となるでしょう。

通信状況について

韓国海軍駆逐艦による自衛隊機への火器管制レーダー照射に関する防衛省の最終見解について

この問題について、韓国側は、現場の通信環境が悪く、同機からの呼びかけをほとんど聞き取れず、「KOREA COAST」と聞こえたために反応しなかったと説明しています。また、3 つの周波数のうち1つについてはそれを聞けるような状態に通信装備をセットしていなかったとも説明しています。
しかし、当日の現場海域は、晴天で雲も少なく、通信環境は極めて良好でした。また、海自 P-1 哨戒機は、韓国駆逐艦に呼びかけた同じ通信機器(この通信機器は飛行前、飛行中及び飛行後に正常に作動していたことを確認済み)を用いて、埼玉県の陸上局と通信を行っていたほか、現場から約 240km離れた位置を飛行していた航空自衛隊の練習機が、この韓国駆逐艦に対する同機の呼びかけを聞き取っていたことも確認しています。

韓国側「あーあー聞こえない聞こえない」

こんな感じですかね。

公海上で聴取するものとされている通信装備をセットしてなかったって、海軍的には赤面な状況を暴露されてるのは防衛省の怒りを感じます。

ちゃんと日本側の機器の故障ではないことを示すために陸上局や航空自衛隊機が聞き取っていたことも説明していますね。

協議打切りと今後の韓国側の「反論」の予想

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防衛省:http://www.mod.go.jp/j/press/news/2019/01/21x.html

日本防衛省が公表した「音」なるものが我が軍からのものである証拠は一切ない

「客観性の欠けるものを証拠であるとして喧伝する無礼を許さない」

まぁ、おおかたこのような「反論」声明が出されるんじゃないでしょうか。

防衛省はそういう反応も見越しているので「協議を韓国側と続けていくことはもはや困難」とまで言い切っているのでしょう。

以上

玉城デニー(沖縄県側)は地方自治法と県民投票条例違反だが

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沖縄県の辺野古移設の是非を問う県民投票について5市が事務の執行拒否をしてる件。

私は【沖縄県側は県民投票条例の制定や執行に際して地方自治法や県民投票条例違反の違法があるが、それは市町村側の県民投票事務の執行拒否を法的に正当化するものではないだろう】という見解です。

その点についての理由をまとめます。

市町村側の執行拒否の裁量の有無については以下参照

4つの問題

  1. 県民投票条例の制定に際する県側の違法によって条例が無効となるか?
  2. 県民投票の執行に際する県側の違法が市側の義務免除の効果を生むか?
  3. 市町村側が県民投票事務の執行拒否をすることは違法か?
  4. 市町村側の県民投票事務の執行拒否が憲法違反か?

これらは互いに関係しないことは無いですが、一応は別々の問題だと思います。

まずは1番目の問題ですが、これは地方自治法252条の17の2第二項の「協議」を県側が怠っているという違法事実についてです。

地方自治法252条の17の2第二項の「協議」

既に上記記事で言及してますが、条例制定に先立って要求されている「協議」は「同意は不要」だが「誠実に協議することが必要」と解されています。

玉城デニー知事は「9月5日に協議した」としか言ってませんので、これが41市町村に対して面会や数度の書面のやりとりではないことは明らかです。よって、「誠実に協議」してないことは明白でしょう。

したがって県側には条例制定に際して地方自治法違反があったということになります。

地方自治法違反があっても条例は無効にならない

しかし、私は県民投票条例制定に際して「協議」を欠いていたとしても、それは条例の無効や市町村の事務執行義務の不発生の効果まで導くものではないと思っています。

それは「協議」が必要とされる趣旨から考えています。

新版 逐条地方自治法 第9次改訂版 [ 松本 英昭 ]

1355頁
八 第二項は、事務処理の特例を定める「条例」を制定し又は改廃する場合においては、あらかじめ市町村の長に協議することを都道府県知事に、義務付ける規定であり、ー省略ー
この場合、都道府県知事は事務を処理することとなる市町村の長と誠実に協議をする必要はあるが、「協議」は、市町村長の同意までを必要としない。これは、条例による事務処理の特例の制度が、住民の身近な事務は地域の実情に即し、市町村の規模能力等に応じて、基礎的な地方公共団体である市町村に対して、可能な限り多く配分されることが望ましいとの考え方に立って設けられたものであり、個々の恣意等によりこの制度の実行が決定的に左右されることとなることは必ずしも適切ではないと考えられることによるものである。

簡単に言えば「住民の身近な事務は市町村に権限移譲するのが合理的だが、キャパシティオーバーになったり政局判断で執行拒否されたら結局無意味なんでそうならないように協議しろ」ということを言っているのだと私は理解しています。

権限移譲について例えば机上で考えると以下のような場合があり得ると思います。

  1. そもそも市町村のマターとして不適切
  2. 時期的に忙しくてマンパワーが足りない
  3. 市町村の予算では不可能

このような問題がある県の条例が、わざわざ県議会を通して制定されるというのは何ともバカバカしいでしょう。だから協議しろ、という理屈は、一般的な感覚からも正当だと思います。

では、今回の沖縄県の県民投票条例の場合はどうでしょうか?

予算は県が確保してる

重要なことは、今回の沖縄の県民投票事務の予算は市町村が「捻出」するようなものではなく、県の予算で行われるということです。それを会計上、配分先の市のものとして扱う決定が必要なだけの話です。

したがって、予算的に不可能であるという理由は成り立ちません。

また、予算が出されても時期的にマンパワーが足りなかったり質的に適任者が不在だったりして執行不可能になる場合も観念できますが、今回の市町村側からはそのような主張はなされていません。客観的に見ても投票事務程度の負担で市町村の機能に支障が出るなどという事態にはならないと言えます。

県民投票事務は市町村が行った方が理に適っているので、市町村のマターではないとは言えません。

政局判断での執行拒否は見解が対立している場合にはどうしようもないので、市町村側に裁量があるか否かの話になります。

したがって、『条例制定前に「協議」が求められている趣旨』に反する事態が発生するということは、今回の場合は想定できないのです。

以上より、「協議」がなかったという地方自治法上の違法があったとしても、それは県民投票条例の成立を無効化するまでの重大な違法であるとは、決して言えないと思うのです。

条例執行に際しての違法と市の違法と憲法違反

玉城知事は辺野古移設反対派の元へ行って投票の意義を述べるなど、県民投票条例11条の中立義務に反した行動をしています。

しかし、条例には罰則が設けられていませんし、この違法によって市町村の県民投票事務の執行拒否を正当化する効果が直ちに発生するということは厳しいのではないかと思います。

ただ、市町村側の主張としてはとても理解できるものではあります。

まとめ:知事の中立義務等の違反が争点か

知事・県側の違法事実がこれ以上あるとすれば、かなり状況は変わってくるでしょう。

今のところは、執行拒否を正当化するには「弱い」と思わざるを得ません。

なお、市の執行拒否の違法が住民からの請求で憲法違反に問われることを直ちに導くものであるかはよくわかりません。請求としては別々に考えることもあり得るので、4つの問題があると一応は整理できるのではないでしょうか。

以上

沖縄辺野古移設の県民投票事務の拒否をする5市の政治的正義

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沖縄県の県民投票条例(辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例)による投票事務を5つの市が拒否している問題。

この件の政治的妥当性について書いていきます。

県民投票に限定した法的な側面からの分析は以下参照

法的妥当性と政治的妥当性、県民投票と辺野古移設の次元

私はこの問題を法的妥当性政治的妥当性という2つの観点に加え、県民投票と辺野古移設そのものの次元を分けて見ています。

法的妥当性とは、法に照らして違法か、或いは適切か否かという話です。

他方、ここでの政治的妥当性はダブルスタンダードではないことであったり、発言の一貫性という観点からの価値判断です。

法的妥当性

県民投票の実施に関して言えば、地方自治法177条2項の解釈や252条の17の2第2項の「協議」の有無に争いがあるものの、私は沖縄県側=県民投票賛成派に理があると考えています。県民投票は全県に跨る事務であり、予算は県が用意してるので市町村が「捻出」するようなものではないから、「できる」という文言になっていることだけで市長村長に拒否する裁量があるとは思えないからです。

県民投票事務に関する立法課題

南部氏が指摘するように、県民投票の事務が地方自治法上の第二号法定受託事務として規定されるようになれば、将来の解釈問題はなくなります。市町村は投開票事務を拒否することができなくなります。

この場合、地方自治法252条の17の2を介するのではなくなるので「協議」の有無は問題にならなくなるでしょう。ただ、仮に改正されたとしても今般の沖縄の事案は旧法に則って行われるとすれば、「協議」の不存在という法的瑕疵が、市町村が選挙事務を行う義務の不発生という効果を生むかどうかという問題は残ります

辺野古移設の賛否の次元での法的妥当性

しかし、これは元々は辺野古移設に賛成するか否かの話です。

県民投票の結果に日本政府が従うべき法的拘束力はありませんし、沖縄県が埋め立て工事の承認を撤回したことに法的な合理性は無いでしょう(だからこそ県民投票で誤魔化そうとしている)。

したがって、県民投票レベルの話では県側(デニー側)に法的妥当性があるが、辺野古移設(埋め立て)の是非というレベルでは、県側(デニー側)に法的妥当性はありません。

県民投票の政治的妥当性「少数者の意見」を盾にする玉城知事

結論から言えば、県民投票の次元で言えば、政治的妥当性は市側=県民投票拒否派にあると考えています。

玉城デニー(康裕)知事は、日本国とアメリカが合意した辺野古移設について「沖縄の民意を聞け」と言ってきました。

「沖縄県の自主性を尊重しろ」「少数派の声にも耳を傾けろ」と言ってきました。

この主張自体がおかしいのですが、仮にその理屈が正当だとします。

であるならば、辺野古の地元である名護市の声を沖縄県は聞くべきであり、普天間基地のある宜野湾市の声を沖縄県は聞くべきである、ということになります。

これは玉城デニー側が勝手に持ち出してきた、法的な問題とは別個の話なので、たとえ市側が県民投票を拒否することが違法だとしても、それは政治的には「少数者の意見」「地元の自主性」を蔑ろにしたということで、玉城デニー側に理が無いということは明らかでしょう。

地方自治法と県民投票条例違反の玉城デニー知事

県側は地方自治法252条の17の2第二項の「協議」を行ってません。 

さらに、玉城デニー知事自身が、辺野古移設反対派の元に行って活動していました。

これは県民投票条例11条違反です。

11条 知事は、県民が賛否を判断するために必要な広報活動を行うとともに、情報の提供に努めなければならない。
2 前項の広報活動及び情報の提供は、客観的かつ中立的に行うものとする。

これらの違反が直ちに県民投票条例の成立を法的に無効にしたり、投票実施の違法性を構成するとは思えませんが、少なくとも価値判断において「正統性」は失われていると言ってしまえるでしょう。

したがって、5市が投票事務の負担を反対していることについては、政治的な正当性があると言えます。「法に基づいた政治」を持ち出したところで、県民投票実施側の玉城デニー知事の側が法に基づいていないのです。

憲法改正の国民投票をにらんだ場合の問題

ところで、憲法改正の国民投票の事務は「第一号法定受託事務」として都道府県や市長村は拒否できません。予算も国が出すことになっています(項目ごとの基準が議員選挙みたいに定められていないという問題はありますが)。

この場合に投票事務を担う自治体が事務の負担を拒絶するということは、法的にはありえません。今現在沖縄で発生している議論は、一応は地方自治法の解釈が問題になっていますが、憲法改正の国民投票の場合は解釈の余地がありません。

ただ、政治的な牽制、揺さぶりとしては、今回の沖縄の5市の動きが引き合いに出されて利用される危険は拭えません。

憲法改正の国民投票について、改正反対派が多い都市の議会議員が「投票事務の予算に反対する」と表明するという事態を誘発しかねません。いや、実際に議員が議会で否決することは無いでしょうが、思わせぶりな発言をしたりすることは考えられます。

また、議員でなくともTVのコメンテーターが今回の沖縄の5市を引き合いに出して「あのときも地方自治を根拠に反対したのだから憲法改正の国民投票事務も同じだ」とか言い出しそうな気がしてなりません。

「そんなバカなことを言うはずがない」と思うなかれ、法的にありえない主張をするというのは、「あちら側」の常套手段でしょう。

改憲議論の呼びかけが「憲法尊重擁護義務に反する」と主張されたくらいですからね。

追記:裁判所が5市を敗訴させた場合

訴訟になって裁判所が5市を敗訴させた場合はどうでしょう?

上記の懸念は『裏返って』国民投票事務を拒否することは益々考えられなくなります。

では、5市は「それ」を狙っているのか?

そんなことはないでしょう。

今回の件で裁判所が5市を敗訴させ、投票事務の拒否はできないような雰囲気が出ようが、反日勢力はそんなことでは怯まないでしょう。関係ない事柄です。

現実に憲法改正の国民投票の時が来れば、いつにも増して発狂ぶりを見せてくると考えた方がいいでしょう。

県民投票で意思表示をするということ

私は、沖縄県の県民投票はやればいいと思います。

「法的拘束力の無いものについて財政が不健全であるなか余計な経費を使ってまでやる必要は無い」と言う主張も分かりますが、「他に予算を回せ」という主張は憲法改正の国民投票でも同じこと言われますよ。

「いや、国民投票は結果に法的拘束力があるから意味があるんだ、沖縄の県民投票とは異なる」という主張はその通り、ぐうの音も出ない反論です。

しかし、大多数の一般国民はそういう違いを理解できないでしょう。

主体性の発揮、意思表示をしたいという欲求は根源的なものです。それを「法的拘束力がないから」と言っても意味がなくて、意思表示の機会があるのであればやれば良い。

その意味がどれだけあったのか?ということは後で沖縄県政の評価をする際に考慮すればいいのではないかと思います。

まとめ:普天間の危険性除去というそもそも論

県民投票で必ず辺野古移設反対派が勝つとは決まってません。

移設反対派が多数でも、埋め立てには法的な意味はありません。

普天間基地の危険性除去という辺野古移設の目的の正統性は、いかなる結果になろうとも失われません。

たとえ県民投票の次元では法的正当性があるとしても、普天間の危険性を固定化・長期化する玉城デニー県政の判断には、法的にも政治的にも正当性はありません。

以上