事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

金山茂樹議員「聯合ニュースには実名報道の是非は論じていない・確認次第修正をかける」

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聯合ニュースでの奈良県桜井市議会議員の金山茂樹議員のインタビュー記事の内容について、金山議員から連絡があったので彼の認識を伝えようと思います。

「在日韓国人の犯罪事件で実名報道は悪いイメージを与えようとしている」と発言と報じられる

"재일한국인 범죄자 일부 언론 실명보도…우려스럽다" | 연합뉴스魚拓はこちら

「日本の犯罪に関する記事で実名報道をするのは珍しいことで、最近、在日韓国人が起こした犯罪事件を報道しながら、いくつかのメディアが加害者の実名を報じることがありました。韓国の悪いイメージを与えようとしているようです。残念に思います。」

在日同胞3世の金山茂樹、奈良県桜井市議会議員は28日、聯合ニュースとのインタビューで、最近、いくつかの日本のメディアが反韓感情を加熱させていると指摘した。

この発言の内容の真実性について、金山議員後援会に昨日問い合わせをしていました。

本日、回答を頂きました。

金山茂樹議員「聯合ニュースには実名報道の是非は論じていない・確認次第修正をかける」

これに関するツイートは10近くに及びますが、私のところにも確認メールへの返信で説明されていました。以下はツイートでも確認できる内容です。

韓国のメディアである、聯合ニュースさんの取材を8月28日に受けたことは事実です。

ただ、私は、韓国語は全くわからないので、通訳を介した取材でした。

取材の中で「在日韓国人の犯罪者の実名報道があった際に、一部メディアで過熱することを懸念している」という意図を私は伝えたつもりです。韓国語の分かる方を通じて、記事を精査し(翻訳ソフトでは意図が変わる場合があるので)、聯合ニュースさんには本日、修正依頼をかけます。

なお私は、犯罪者の実名報道の是非について論じたことはありません。

実名報道は、法や、マスコミの報道ルールに沿って行われるべき性質のものだという認識です。

私には韓国語が分からないので、確認してから修正依頼を掛けさせていただきます。

私は、以下の3点を主に伝えました。

・日本との約束、そして国際法を、韓国は遵守するべきである。

・在日韓国人の方々が、大変肩身の狭い想いをしている。韓国は、日本に対して、どうしてそんな対応をするのかと哀しく思っている。

・時間軸は未来にしか流れないから、未来志向的な時間軸を持って、日韓両国が発展的な関係を築いていくべきだと思う。

なので、私にとっては取材が終わるごろにチラッと話したことが大きく扱われ、戸惑っているというのが正直なところです。

日韓両国がこんな状況だからこそ、韓国のメディアの方にも改めて日本の状況をお伝えするべきだと思い、今回取材をお受けしました。メディアの取材には慣れていませんし、そして言葉が分からない場所での取材のリスクを十分に認識してなかったことは、反省しています。

また、記事の一部が切り取られ、私の意図と違う形で、事実を確認することなく、このように拡散されたことは残念に思っています。

「実名報道があった場合」という趣旨

聯合ニュースの記事では、実名報道そのものを咎めているような記事の構成になっていました。

しかし、金山議員としては「在日韓国人の犯罪者の実名報道があった際に、一部メディアで過熱することを懸念している」という意図だったということでした。

これは聯合ニュースの記事とは明らかに意味が違いますね。

韓国の犯罪報道と聯合ニュースの認識

韓国では犯罪報道時の被疑者の名前は氏名をすべて報道せず、苗字のみを報じるようです。苗字が少ない韓国では、実質的に匿名報道に近い状況になっているということです。

聯合ニュース側としてはそういう頭があったので、金山議員の発言も記事のような内容に変換されたのかもしれません。

聯合ニュースにおける他の金山しげき議員の発言内容について

さて、私は金山議員の後援会に対して、冒頭の発言の事実確認しか求めていません。

この記事内容の他の部分の発言内容の評価は、個々人の価値観の違いという範囲に収まるだろうと思ったからです。

そちらの方も修正をかけるのかは気になるところですが、敢えて問いませんでした。

以上

韓国人旅行者の行動の特徴:日帰り客が他国よりも多く、消費単価が低いと考えられる

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韓国人旅行客が減少してたというニュースがありましたが、それは良くないことなんでしょうか?

韓国人旅行客の行動の特徴として日帰り客が多いと言われますが、それが本当なのか?どう影響しているのかについて調べました。

「日帰り客」の統計は無い・宿泊数と滞在日数3日以内

実は、外国人観光客の統計において「日帰り客」を正確に表す全国的な統計はありません

その代わり、「宿泊数」と「滞在日数3日以内の者」の統計はあります。

ただ、概算であれば日帰り外国人旅行客の数字が分かるものはあります。

都道府県別の日帰り外国人客数の概算推計

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共通基準による観光入込客統計 | 統計情報 | 統計情報・白書 | 観光庁

こちらの【全国観光入込客統計のとりまとめ状況】のエクセルで都道府県ごとの訪日外国人の日帰り旅行客数の概算推計が分かります。

概算というのは、上図のように観光地点を訪れた客数を平均訪問地点数で割った数であるということで、実際の日帰り人数とはかなりズレが生じるようになっているからです。

都道府県同士の傾向の比較においては有効でしょうが、正確な数を測る用途には向いていません。

現に、平成29年の訪日外国人の日帰り客は、北海道、大阪、兵庫、沖縄など、10以上の地域についてのデータが無いにも関わらず、データ上の計算では全国で1381万3,000人の日帰り外国人客が居る事になってしまいます。

また、複数の都道府県をまたがった場合には重複する例もあると思われます。

訪日外国人全体の人数が2018年で3119万人なので、日帰りの人数としては明らかに過剰です。

宿泊客と日帰り客の比率から考える

ただ、宿泊客と日帰り客の比率からある程度推測することはできます。

エクセルの表を見ると、かなりの都道府県が日帰り客のデータが存在していない所がありますし、宿泊客もステータスが「集計中」である都道府県がいくつも存在していますから、注意が必要です。

ただ、複数年のデータを見比べると、外国人旅行者の宿泊客と日帰り客の人数の比率はだいたい2:1~3:1になるんじゃないでしょうか?

そうすると、2018年の訪日外国人旅行客数は約3120万人なので、日帰りの外国人客数は約800万人~約1000万人であると推測されます。

なお、福岡、佐賀、奈良、三重、愛知、新潟など、日帰り客の方が宿泊客よりも多い地域があるのもわかります。たとえば奈良市は2018年には外国人の宿泊客数が32万人であるのに対して、232万人が日帰り客でしたから、都市によって傾向には大きく差があります。

日帰り客の消費額・単価は、宿泊客よりも著しく低い

当たり前の話ですが、日帰り客の消費額・単価は、宿泊客よりも著しく低いです。

これは共通基準による観光入込客統計 | 統計情報 | 統計情報・白書 | 観光庁のエクセルデータから分かります。

だってそうですよね?何日も滞在するような人は、そこで何日間かかけて消費するのですから。

ただし、奈良県は特別で、日帰り客の方が宿泊客よりも消費額・単価が高い傾向にあります。

韓国人旅行者の行動の特徴:日帰り客が他国よりも多い

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観光庁 平成29年訪日外国人消費動向調査【トピックス分析】 訪日外国人旅行者の訪日回数と消費動向の関係について

滞在日数3日以内の比率を見ると、韓国人は他の国と比べて圧倒的に多いということがわかります。

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滞在日数3日以内の旅行者が韓国が約30%なのに対して、香港・台湾・中国は2、3%に過ぎません。

また、訪日外国人全体の滞在日数と比べて韓国人の滞在日数が少ないというのも以下のデータからもわかります。

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https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/jnto_databook_2018.pdf

したがって、日帰り旅行をするのが現実的である国と地域からの旅行者のうち、韓国人の割合が非常に多いであろうという予測ができることになります。

では、具体的に韓国人旅行客の日帰り客はどれくらい居るのか?

大分県別府市の場合

観光客数86万人増 外国人客も過去最多 別府市 - 大分のニュースなら 大分合同新聞プレミアムオンライン Gate 

総観光客数の内訳は日帰り客が626万2548人、宿泊客が254万4330人だった。熊本・大分地震の影響が大きかった16年には800万人を5年ぶりに割り込んでいたが、順調に回復し、地震前の15年を約1万人上回った。
 一方で観光消費額は約892億円と推計。1人当たりの単価の減少で15年の水準(約960億円)には届かず、市観光課は「消費額をいかに増やすかが課題。キャッシュレス化の促進などに力を入れる」とした。

  外国人客の内訳は日帰り客が11万1409人、宿泊客が48万6037人。国・地域別では韓国が32万9680人と約11万6千人増加し、全体の約55%に達した。市観光課によると、大分―ソウル間の定期航空便の増便などが追い風になったという。
 以下は▽台湾(8万9664人)▽香港(6万2598人)▽中国(5万447人)▽タイ(1万8778人)―と続き、アジア地域が全体の約95%を占めた。

2017年の数値ですが、韓国人観光客の割合が台湾、香港、中国と比べても多いというのが分かります。また、外国人旅行客の95%がアジア地域だったということで、日帰り客もこの割合が参考として使えるのだろうと思います。

フェルミ推定してみる

滞在日数のグラフのうち、2~9回目の日本への渡航の数字を利用するのが平均的な旅行者の動向に近いと思われます。

滞在日数3日以内のうち、日帰り客は滞在日数1日です。内訳は3分の1ずつだと仮定します。ここはよく分かりません。

外国人旅行者全体の中で、アジア地域の日帰り客が80%と考え(別府市は東アジア諸国に近く路線もそれらが充実しているため数値が多いと予想)、さらに東アジアの上記4地域を考えると割合は60%だと仮定します。この辺はテキトーです。

その上で、韓国:台湾:香港:中国=34:2:3:2

計算が面倒なので韓国を33にします(笑)

すると、韓国は49.5%、他のアジア3地域は10.5となります。

これを、日帰りの訪日外国人客の推定である800万~1000万人に当てはめると、4地域が60%なので420万人~600万人の49.5%ですから、韓国人旅行者の日帰り客は少なく見積もって約200万人となります。

韓国人旅行客の総数が754万人ですから、そんなにおかしな数値ではないでしょう。

また、2018年の訪日外国人数の全体が約3119万人で、韓国人は753万人と約24%ですから、最初に示した日帰り外国人800万~1000万人という推計ともそんなにズレが無いと言えるでしょう。

まとめ

  1. 日帰り客の消費額・消費単価はとても低い
  2. アジア諸国は日帰り客が世界全体と比べて多い
  3. 韓国人は他の近隣アジア諸国と比べて滞在日数3日以内の人数が10倍程度多い
  4. よって、韓国人は日帰り客がとても多いと考えられる
  5. したがって、韓国人の1人あたりの消費単価(客単価)は低いと考えられる
  6. 概算推定すると、年間200万人の韓国人が日本に日帰り旅行をしている

以下の記事で「1宿泊あたりの消費額を見ると韓国人はむしろ高い」という意見を言ってくる人が多かったのですが、それは韓国人にとっては「嵩上げ」になる(0泊が多いので)ので不適当だと言ってきました。
(他の国は東アジア3国でさえ嵩上げが無視できる程度に少ない)

今回、概算をしてみてその事が正しかったと改めて感じます。

以上

木村真人「死者のプライバシーを守ることにどれほどの意味があるのか」:京アニ犠牲者の実名公表とメディア

 

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在英ジャーナリストの木村真人氏がYahooニュース上で「死者のプライバシーを守ることにどれほどの意味があるのか」と気炎を吐いています。

反論します。

警察の不祥事が絡んだ場合…は関係がない

京アニ犠牲者全員の実名公表「とにかくメディアが最悪だった」英テロ報告書があぶり出した報道の良心とは(木村正人) - 個人 - Yahoo!ニュース魚拓はこちら

米コラムニスト、ウォルター・リップマンも「出版の自由は特権ではなく、偉大な社会における必要不可欠な要件である」という言葉を残しています。それなのに日本では2005年の犯罪被害者等基本計画で犯罪被害者に関するプライバシー保護を図るため、 被害者を実名・匿名どちらで発表するかの判断を事実上、警察に委ねてしまいました。

メディアの自主規制では報道の二次被害やメディアスクラムは防げないと批判されたからです。筆者は1984年から16年間、神戸や大阪で事件報道に携わり、最後は大阪府警のキャップまで務めました。性犯罪などのケースにとどまらず、被害者の実名・匿名発表の判断をすべて警察に任せるのは「報道管制」につながりかねず、非常にまずいと思います。

組織防衛に走った時の警察がどれほど怖いかは、体を張って取材した経験がないと分からないでしょう。桶川ストーカー殺人事件のように警察の不祥事が絡んだ事件の場合、被害者の実名は永遠に闇に葬り去られるでしょう。

事案の異なるものを敷衍する悪い例。

「実名報道をするべきではない」と我々が言っているのは、本件においては遺族の多くが実名公表を拒否する意向を示していたからです。

何もすべての事件報道において一般的に匿名報道の原則にするべきだと言っているのではありません。

ここを勘違いしているので、「組織防衛に走った警察…」の所はまったく関係がない。

その上で、本件で被害者の実名公表をしないことで事件の真相が分かるとか、 犯人の動機が明確になるとか、そういうことはほとんど考えられないため、実名公表する必要性がまったく感じられないから、我々一般人は被害者の遺族の意向を優先して尊重しようとしているのです。

京アニ犠牲者の実名公表されないと遺族らが連絡を取り合えない?

京アニ犠牲者全員の実名公表「とにかくメディアが最悪だった」英テロ報告書があぶり出した報道の良心とは(木村正人) - 個人 - Yahoo!ニュース魚拓はこちら

京アニの代理人を務める桶田弁護士が実名非公開を唱えるのもおかしな話です。第1スタジオの建物が構造上、安全だったのかどうか将来、会社と遺族の間で民事上の争いが生じた場合、どうなるのでしょう。実名が公開されていないと遺族同士が連絡を取って協力するのも難しくなってしまいます。

  • 「第1スタジオの建物が構造上、安全だったのかどうか」については既に間取り図や勤務中の映像などが残っており、報道もなされている。仮に民事上の争いが会社と遺族の間で起こったとしても、これ以上遺族が別個の事実を証明する必要があるのかは疑問
  • 実名公表で建物内部の状況がよりハッキリと分かるという展開があり得るのか疑問
  • 消防法上の点検で問題ないとされていた建物の構造を京都アニメーション側の責任として民事で問えるのかが疑問で訴訟提起の可能性は限りなく低いのでは
  • 遺族が会社と争うとしても他の遺族と連携するメリットがあるとは限らない
  • 複数の遺族らが会社に訴訟提起した場合、裁判所の方で事件の審理を併合する事もあり得るのであって、ある事項の証明問題が生じた際の遺族間の情報格差があったとしても、それが埋められる機会は存在する
  • 以上の状況もあり、本件において会社と遺族の争いという将来の仮定的な状況が生じる可能性は、メディアによる遺族への取材被害が起こる蓋然性よりも遥かに低く、優先して考慮されるべきものではない

私はこう考えますが、どうでしょうか?

木村真人「死者のプライバシーを守ることにどれほどの意味があるのか」

京アニ犠牲者全員の実名公表「とにかくメディアが最悪だった」英テロ報告書があぶり出した報道の良心とは(木村正人) - 個人 - Yahoo!ニュース魚拓はこちら

アルジェリア人質事件でも実名報道の是非が大きな論争を呼びました。人間の「生き死に」は社会の記憶であり、歴史の記録です。死者のプライバシーを守ることにどれほどの意味があるのでしょう。それより被害者が最後の瞬間までどのように生きたのか、その不条理な死は避けることができなかったのかを伝えてほしいと思う遺族もいらっしゃるはずです。

報道の二次被害、メディアスクラムを放置してきたメディアの責任は重く、対応は不可欠ですが、匿名報道が当たり前だという風潮が広がると、日本社会はもっと大切なものを失うことになるでしょう。匿名より実名を公開した方が社会のトランスパレンシーはずっと高まるはずです。

まず、「匿名報道が当たり前になるべき」と言っている人など聞いたことがない。

何度も言うように、本件は「遺族の多くが実名公表を拒否している」から、匿名にするべきだと言っているに過ぎません。匿名報道が原則になるべきなどとは誰も言っていない。

次に「死者のプライバシー」ですが、木村氏は死者の名誉毀損が罪になるということは知っているはず。それは司法レベルで死者の尊厳を一定程度保護するという考えの現れでしょう。

死者の名誉はいわゆる「プライバシー」とは異なり、現時点ではそれを侵しても法的な非難を浴びるものではありませんが、配慮されるべきものであるという認識を持っている人が多いでしょう。

「被害者の実名公表」と「遺族に対する報道被害」は分けて考えるべきだという見解があることは百も承知ですが、両者の事実上の繋がりは否定できるものではないでしょう。

被害者の実名公表は、「遺族のプライバシー」の問題でもあるということが見えていないのだろうか?被害者の生い立ちを探るということは、その家族のプライバシーに一定程度踏み込まざるを得ない場合が多いでしょう。

この指摘に応えない限り、木村氏の文章は無責任です。

まとめ:基本的に意味不明な文章

京アニ犠牲者全員の実名公表「とにかくメディアが最悪だった」英テロ報告書があぶり出した報道の良心とは(木村正人) - 個人 - Yahoo!ニュース魚拓はこちら

私たちは匿名報道よりも、被害者の側に立ったマンチェスター・イブニング・ニューズのような報道を目指すべきではないのでしょうか。

「マンチェスター・イブニング・ニューズのような報道」の具体例がこの記事では書かれていないので、意味不明です。

この記事がパッチワークのように「だれだれが言っていた」というものを貼り付けただけになっているのは、著者自身が何を言っているのか、何を言いたいのかが分かっていないのでしょう。

以上

米国トウモロコシ「250万トン追加輸入」ではなく「前倒し輸入」「全量買い取り義務は発生しない」農水省に確認した2者の紹介

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アメリカのトウモロコシを日本が「追加で輸入する」という報道があり、その件について情報が錯そうしていましたが、農水省に確認したという2者の報告を見ると、以下の記事での見立て通りなんだろうと思いました。

酪農家ツイッターユーザーの農水省への問い合わせ

一連のツイートはこちらでまとまっています⇒輸入トウモロコシの件、農林水産省に問い合わせたよ🌽🐮 - Togetter

重要部分を紹介すると

  • 輸入は農協や他の民間飼料会社がそれぞれ行い、備蓄にかかる倉庫代などを国が一部補助する。
  • ツマジロクサヨトウの行動範囲は広がりを見せているが、今のところそれほど被害が拡大しているわけでもない。飼料会社の前倒し輸入も「不足が無いよう、念のため」という程度。
  • 日 本 が 「 全 量 買 い 取 る 義 務 」 な ど 発 生 し な い (FTA協定外の、単なる個人的発言)。

『日 本 が 「 全 量 買 い 取 る 義 務 」 な ど 発 生 し な い』

この方も行間をあけて強調しているように、これが全てです。

さらに、ある自治体の畜産課への問い合わせ結果も報告していました。

ある自治体の畜産課への問い合わせ

害虫被害のために前倒し輸入するかは今後の事態の推移によって変わる流動的なものに過ぎない、ということでしょう。

サイレージ用とうもろこしの代替にはならないという主張への回答

そもそも牛への飼料はサイレージに限ったものではなく子実タイプのものもあるので、 「サイレージでないと牛は死ぬ」というのはデマですね。そりゃ100%を子実タイプにするわけではなく、配合飼料の割合を増やすといった対応になるに過ぎないでしょ。

「代替性がない」と言いますが、完全に同じ物だったらそもそも「代替」ではないわけです。

J-CASTニュース:追加輸入ではなく前倒し輸入

米国トウモロコシ「250万トン追加輸入」は本当か 農水省に聞くと... : J-CASTニュース

 「3か月分の追加輸入」と、「害虫被害とトウモロコシ輸入の関係」について、J-CASTニュースが29日、農林水産省の担当者に話を聞いた。結論としては、「追加輸入ではなく、害虫被害が広がる可能性を考慮して、前倒し輸入で確保する場合は、最大3か月分、保管料を全額補助する」という趣旨で、「3か月分を年間必用量に追加して輸入する訳ではない」との説明だった。たとえば、先に(19年)10~12月分を確保(契約)しておき、仮に不足が生じなければ、当初予定分の輸入は見送ればよい、というわけだ。

中略

農水省担当者によれば、安倍首相の発言は上記の対応を説明したもので、また、日本が飼料用トウモロコシを輸入する相手国はその約95%が米国なため、仮に前倒し輸入をするならば、米国からの輸入になる可能性が高いとも説明した。そもそも、今回のトウモロコシの話は、9月の署名を目指す日米の貿易交渉とは別枠の話だ。

中略

「粗飼料」と「濃厚飼料」についても、農水省は一部報道を踏まえ、補足解説した。害虫被害も懸念される国内生産分(年間約450万トン)は粗飼料(葉や茎も利用)で、輸入分(同約1100万トン)は濃厚飼料(実を利用)だ。粗飼料用の害虫被害が懸念されるのに濃厚飼料を前倒し輸入しても、両者は用途が異なるため単純に代替できない、との批判もある。これに対し農水省は、粗飼料には、トウモロコシだけでなく牧草なども使うケースがあるが、仮に牧草だけになると栄養価が低くなるため、牧草と濃厚飼料を混ぜて粗飼料用に加工することもできるとしている。

J-CASTでも、決まった量を輸入する事が義務付けられるというわけではないという言質を取っています。9月の日米貿易協定とは別枠だというのも、ロイターやWSJ、NHK等の当初からの報道で確認できる内容です。

完全にとうもろこしサイレージだけ食べてる牛を育てている所なんてほとんどありません。

それに、粗飼料は何もとうもろこしサイレージに限らず牧草(これがサイレージの原義)やイネ、ソルガムなどの粗飼料があるのですから、とうもろこしサイレージが食べられなくなったらダメだ、という論はおかしいのが明らかです。

まとめ

「虫害対策のためだ」と言った安倍総理の発言が多少誤解を生んだのかもしれませんが、間違いではないですし、トランプ大統領がアメリカ国内の農業クラスタに対して成果アピールをするための場だったということで、トランプおじさんが話を盛ったに過ぎないという事でしょう。

農水省のこの説明が本当に正しいのかは今後の展開次第なので(今後の日米の話合いの中でさらにアメリカ側がふっかけてくる可能性はある)、現時点で評価を決めることはできないなぁというのが誠実な態度じゃないでしょうか。

以上

聯合ニュース:金山茂樹、奈良県桜井市議「在日韓国人の犯罪事件で実名報道は悪いイメージを与えようとしている」と報道

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http://kanayama.nara.jp/

奈良県桜井市議会議員である自民党の金山茂樹議員のインタビュー記事が聯合ニュースで掲載されました。

 ※追記:金山議員後援会から返信がありました。

「在日韓国人の犯罪事件で実名報道は悪いイメージを与えようとしている」

"재일한국인 범죄자 일부 언론 실명보도…우려스럽다" | 연합뉴스魚拓はこちら 

「日本の犯罪に関する記事で実名報道をするのは珍しいことで、最近、在日韓国人が起こした犯罪事件を報道しながら、いくつかのメディアが加害者の実名を報じることがありました。韓国の悪いイメージを与えようとしているようです。残念に思います。」

在日同胞3世の金山茂樹、奈良県桜井市議会議員は28日、聯合ニュースとのインタビューで、最近、いくつかの日本のメディアが反韓感情を加熱させていると指摘した。

これは本当であれば物凄いことを言っていますね。

実名報道は珍しいのか

犯罪事件の報道全体の中で「実名報道が珍しい」という事は有りえないはずです。

それともこれは「在日外国人の犯罪においては通名で報じるのが通常のところ、最近は実名が報じられる場合が増えてきた」という意味なのでしょうか?

いずれにしても信じがたいことを言っていることになります。

もしかして韓国の報道を言っている?

実は韓国内の犯罪報道は苗字のみ(「李容疑者」など)を報じているのが原則的のようです。すると、同じ苗字の者が多い韓国では、半ば匿名報道みたいになっています。

もしかして、金山議員の意識では韓国の報道の運用が前提にあって、それが原則だと言っているのでしょうか?(でも日本の犯罪に関する記事でって言ってるし…)

実名報道が韓国の悪いイメージを与える?

上記事件はいずれも被疑者が指名手配されている(いた)事件です。

指名手配事件で実名を報道しないというのはありえないので報道しているのです。

しかし、その中ですら朝日新聞や毎日新聞のように通名だけしか報じないメディアもあるように、「在日外国人犯罪者に対する妙な扱い」 があると言えるでしょう。

このような妙な扱いがあることが、むしろ在日外国人、特に在日韓国・朝鮮人に対して不信感をもたらす原因になっているのではないでしょうか?

外国人の犯罪については、日本人の方が人口が圧倒的に多いので、件数が大幅に低いということは統計でも確認できます。

金山茂樹、奈良県桜井市議の後援会に確認中

現在、弊ブログで金山しげき後援会にメール確認中です。

聯合ニュースの報道が間違いであれば訂正が入るハズです。

※追記:金山議員後援会から返信がありました。

以上

警察広報文を取材協力者に提供 朝日新聞記者を懲戒処分⇒記者の名は?

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朝日新聞が実名報道していませんでした。

警察広報文を取材協力者に提供 朝日新聞記者を懲戒処分

警察広報文を取材協力者に提供 朝日新聞記者を懲戒処分:朝日新聞デジタル魚拓はこちら

朝日新聞社は28日、警察の広報文を取材協力者に送っていたとして、西部本社の記者を停職1カ月とする懲戒処分を決めた。管理責任を問い、同本社の島田耕作・報道センター長と担当次長を譴責(けんせき)、山崎靖・編集局長を戒告とする。

記者の名前が書いてませんね。

西部本社の担当エリアで取材を受ける人・企業等は、誰が漏えいしたのか分からないと疑心暗鬼になるんじゃないですかね?

まぁ、復帰時には異動になっているでしょうけど。

「朝日新聞は事件報道に際して実名で報じることを原則としています」⇒記者の名は?

京アニ犠牲者、25人公表 全35人、「ハルヒ」総作画監督ら:朝日新聞デジタル

朝日新聞は事件報道に際して実名で報じることを原則としています

そうですか。

実名で報じることが原則なら、どうして今回の事件では実名を報じないのでしょう?

被害者の名前は遺族が拒否しているのに実名で報じ、加害者の名前は秘匿するのは何故でしょうか?

例外的に報じないことが妥当であるということなら、その理由を書くべきでは?

例えば今回であれば「協力者との関係について当該記者に対する社内の指示を怠っていたために発生した事案であると認識しており、情報提供元とも協議した結果、管理責任者の名前を掲示するにとどめました」など、いろいろ説明の仕方はあるんじゃないでしょうか?

警察に対する禊に過ぎない

警察広報文を取材協力者に提供 朝日新聞記者を懲戒処分:朝日新聞デジタル魚拓はこちら

広報文は警察から報道機関へ提供される文書。記者は今年2~4月、逮捕された容疑者の名前や住所、職業などが書かれた広報文を撮影した画像を計3回、取材協力者の男性2人に通信アプリ「LINE」で送った。社内調査に対し、記者は「協力者から提供を求められ、深く考えずに送ってしまった」と話している。

今回扱われたのは逮捕された容疑者の情報であり、記者倫理が問題になるに過ぎず、今の所は何らかの法令に反するものではないように思われます。直接的には情報提供元の警察との信頼関係の問題であって、社会的制裁を記者に与えるべき事案ではないと考えられているんでしょう。

朝日新聞としては、警察から情報提供を受けたものを本来の用途以外のために利用してしまったということで、警察への禊が済めばそれで良いと考えているんじゃないでしょうか。

社内論理としては、記者の名前が広く知られたら取材拒否などをされて実質的に仕事にならないから公表しなかったんでしょう。

べつにそういう事ならそれで良いんですが、朝日新聞は京アニ事件の被害者報道を正当化するために「事件報道に際して実名で報じることを原則としています」などと大見得を切っているので、本件の行為との整合性はどうなっているんだろう?と疑問に思うのは当然のことだと思います。

以上