事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

保守速報管理人の栗田香の名前が大阪市ヘイト条例違反で晒される

保守速報管理人の名前:栗田香

保守速報管理人の栗田香の名前が大阪市ヘイト条例違反で晒されましたが思うところがいくつかあるので書いていきます。

保守速報管理人の栗田香の名前が大阪市ヘイト条例違反で

保守速報管理人の名前:栗田香

大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例に基づくヘイトスピーチの公表(案件番号「平 28-6」)

大阪市のヘイト規制条例にいう「ヘイトスピーチ」該当性についての論評は別稿で改めますが、これは酷いでしょう。

文脈からして政策論ではないということが明らかです。

保守速報の記事は基本的に他のサイトからの記事の転載、5ちゃんねる(2ちゃんねる)のコメントの転載が多かった上に、コメント欄は承認制にすることもできるのに、管理人の栗田香(くりたかおる) 氏は、このようなコメントを容認していたということになります。

なお、管理人の氏名は、保守速報(の運営者)が被告となった裁判を調べている人なら前々から知っていたハズです。

ヘイトスピーチ条例の「立法事実」にされる

保守速報のこの事案もヘイトスピーチ条例の「立法事実」にされるおそれがあります。

しかし、立法事実とは「現実に発生した具体的事件」を指すものではありません。

どうやらこの点が多くの議員や行政職員に誤解されていると思われ、また、朝鮮総聯系の人間が理論捏造をしているので以下でまとめています。

大阪市の氏名公表措置の問題点

ヘイトスピーチした人物の「氏名を公表」 全国で初めて 大阪市が条例に基づき実施(関西テレビ) - Yahoo!ニュース

オーサーコメント篠原修司

今回の公表方法には問題があると考えます。同姓同名の人がヘイトスピーチをした人物だと勘違いされる可能性が高いです。

中略

この公表方法ではデマによる炎上が起こりえます。

大阪市は氏名だけの公表をして、一体何をしたいのだろう?と思います。

確かに条例では「氏名を公表する」とありますが、果たして本来の目的であるヘイトの拡散防止に繋がるのでしょうか?

条例制定の当初から規定や運用の問題点を指摘してきましたが、いよいよ懸念が現実化したという思いです。

保守速報は「匿名で表現活動をする利益」の侵害で法的対抗措置を取るのか?

ちなみに、なぜか私のツイッターアカウントをブロックしてる保守速報ですが、27日の記事では

大阪市から指摘された記事は削除済みです。対応したにもかかわらず本日、措置を受けてしまいました。
保守速報の今後については日をあらためて報告させて頂きます。

などと言っています。

仮に栗田氏がこれを不服として法的措置を検討しているとしても、不法行為で慰謝料請求になるでしょうが、「匿名で表現活動をする利益」が認められるかはともかく(参考資料:アメリカでは認めた例)、この観点からの大阪市の措置は正当化されると思われる上に、氏名そのものだけでプライバシー侵害になることは決して無いので、どうするんでしょうか?

以上

死刑廃止国が犯人を殺害・射殺した人数の統計と日本との比較資料

死刑廃止国の射殺人数と日本との比較

死刑廃止国で犯人が殺害・射殺された人数について整理しました。

何かと参照されるイギリスと日本で死刑執行されると大使館のツイッターアカウントがうるさいフランスについて取り上げます。

欧州各国の公権力執行による殺害と日本の死刑の統計

List of killings by law enforcement officers by country - Wikipedia12月27日魚拓

国家の法執行官による殺害者数リスト」というページによると、2018年の各国の殺害数(死刑は含まれていない)は以下の通りです。

フランス⇒人数:26人、1000万人あたり3.8人

日本⇒人数:2人、1000万人あたり0.2人

イギリス⇒人数:1人、1000万人あたり0.15人

この表は「射殺」以外の原因も含まれているため、出典を参照する必要があります。

フランスとイギリスは死刑廃止国なので、日本はさらに死刑による死亡者も別に調べる必要があります。

フランスの2018年の射殺件数は15件、非武装者が8人

Vingt-six personnes sont décédées à la suite d'une intervention des forces de l'ordre en 2018 - Basta !魚拓

2018年、警察の介入により26人が死亡しました。これらの死者のうち、15人が警察官または憲兵による発砲後に射殺された。これらのうち8人は非武装でした。

フランスの2018年の射殺件数は15件、非武装者が8人でした。

15人というのは2018年の日本の死刑執行人数と同じですね。

そして、43年間の殺害人数を視覚化したのが以下のページ

Morts à la suite d'interventions policières - une enquête de Basta Mag魚拓

これは公式な数値ではありませんが、概ね参考になるものでしょう。

そこでは、43年間のうち、警察の介入の結果または法執行の結果として676人が死亡したとあります。

そのうち、412人が銃器で殺害され、そのうちの235人は非武装であると指摘されています。毎年9.5人が射殺されてる計算になります。

他にも、82人が警察署や憲兵隊で逮捕されたとき又は逮捕されたばかりの移送中に死亡したことや、77人の未成年者が死亡していることが報告されています。

イギリスの射殺事件でも正当防衛事案ではない単独犯・非武装者が含まれる

Fatal police shootings | Inquest魚拓

イギリスでは1990年以降に警察等による射撃によって72名が死亡しています。

毎年約2.5名が射殺されている計算になります。

大まかな射殺時の状況は以下で確認できます。

List of killings by law enforcement officers in the United Kingdom - Wikipedia2019年12月27日魚拓

これを読むと、射殺当時「非武装」だった者や単独犯であった者などが見つかります。

しかもどう見ても正当防衛の事案ではありません。
(正当防衛でなければ警察が発砲できないという日本が特殊過ぎる)

日本の死刑執行人数と射殺事例

日本の死刑執行人数は1993年以降の合計127人です。

他方、警察等が射殺した人数は、戦後の合計で13名です。

2018年は交番に刃物を持って接近した犯人をその場で射殺した事件と、けん銃で警察官らが殺害された現場で駆け付けた警察官が犯人を撃ち、後に死亡した事件があります。武装した単独犯だということが分かります。

これらを合計すると(射殺は戦後からだが)毎年約5.5人が死刑または射殺により殺害されていることになります。

世界とヨーロッパ諸国の射殺数

なお、あくまで上記のWikiによればですが、他に日本よりも殺害率が低い国はデンマーク・アイスランド・スイスのみであり、欧州各国は世界の他の地域よりは低いですが、日本よりは高い殺害率です。

世界とヨーロッパ諸国の射殺数は、総体としてみれば、日本の死刑と射殺数を含む数値よりも遥かに高いレベルにあるということが言えます。

死刑廃止国は死刑の代わりに現場で射殺=簡易処刑"summary execution"してる?

こういう主張に対して『死刑廃止国は死刑の代わりに現場で射殺=簡易処刑"summary execution"してるだろう』と指摘されることがあります。

私は基本的にこういう事は言いたくないですが、日本を野蛮であるとか言ってる者に対して揶揄するために用いる反論としてはありだと思います。

死刑が存在しない国から「非人道的」と言われていることに対して、日本の死刑と比較するには、射殺事例が一番適切だろうということで持ち出されているに過ぎません。

論理的には死刑と射殺の数は無関係ですがこうした非対称な状況なので仕方がない。

死刑の「代わりに」現場で射殺しているという事を示すような証拠はおそらく無いので、因果関係なんて分かりっこないです。死刑制度があった国が、死刑廃止をしてから射殺等の殺害が多くなったという事実があるかを考えるのは、治安の変化等もあって無意味でしょう。イギリスは日本よりも(死刑含めた)殺害については低いですからね。

特に本稿では日本の銃殺も含めて論じているのでここでの意味での比較は無関係という指摘はあたりません。

フランス大使館の主張が受け入れられていないのは、主に次に指摘する点が原因です。

フランス大使館のダブルスタンダードが問題

フランス大使館の主張がおかしいのは、【死刑廃止を日本に迫る理由として「非人道的」等を持ち出しておきながら別の公権力行使の形態で殺害を行ってて、それはあんたらの理屈上は「非人道的」では?】という点です。

要するにダブルスタンダードの問題です。

非武装者が235人射殺されているという点を見ても殺害せざるを得ない状況でも何でもない事案でも殺害が起こっていることが伺え、射殺をする際の手続・基準が(日本との比較で)緩いと考えられるから、簡易処刑と言われても仕方がないと思います。

死刑には犯罪抑止効果が無い?

死刑には犯罪抑止効果が無いと言う人が居ます。

これは「犯罪抑止効果」を1面だけで捉えているのが原因だと思います。

  1. 死刑という刑罰法規が存在することによる一般予防効果
    ※チャイナは死刑が現に行われている事実をもって抑止効果と考えており上記とは異なる意味合い
  2. 死刑がその者に執行されることで「その者による将来の犯罪が無くなる」

犯罪抑止効果」と言うとき、刑法学でも1番の意味で使われますから、それにしか意識が向かないのはある意味で当然だと思います。

刑事政策というある種の定量的な観測の次元では犯罪抑止効果は可視化されない

しかし、2番目の効果は絶対的に存在することが明らかです。

そのような考え方をすることが妥当かはともかく、死刑がその者に執行されることでその者による犯罪は行われなくなるというのは「事実」でしょう。

フランスもそれ以上の犯罪が行われるのを防ぐ目的で現場で射殺しているのではないのでしょうか?それともフランスの警察等は快楽で射殺をやってるんでしょうか?

現場での射殺は非武装・単独犯には為されない?

基本的に軽武装・単独犯ならば射殺ではなく制圧・確保するという運用が為されているというのはその通りだろうと思います。

というか「基本的には確保を第一に試みる」というのは先進国では当たり前でしょう。

しかし、先述の資料でも明らかですが、射殺時に非武装であった単独犯のケースはいくらでもあるのであって、非武装・単独犯は射殺されない、ということにはなりませんし、そういう事案のすべてが違法行為として処罰対象になっていることはないでしょう。

非武装であっても集団で殴り掛かるなど、銃器を使わないといけない状況があるのは確かなので、非武装者・銃火器ではない軽武装者に対する射殺だからといって不当だとか言う気は、私はまったくありません。 

たとえば歴史上も以下のような事例があります。

朝鮮騒擾(三・一運動)平安南道孟山の「住民54名銃殺」の実際

日本では重武装集団による犯行が無いから比較できない?

確かに、フランスの事件を見ても分かりますが、重武装のしかも集団によるテロ行為の鎮圧・阻止の必要がある事件がある所では、どうしても射殺せざるを得ない場面は多くなります。

私を含む多くの人は、その事自体を残虐であるとか非人道的だと言ってるのではない。

あくまでも日本の制度を批判するために「非人道的」などという文言を使っていることとの整合性を問題視してるに過ぎません。

現場の警察官等の負担・巻き添えが少ないこと

忘れてはならないのは、犯行現場で殺害しない・極力犯人に対して有形力を行使しないことによって、数字に表れない警察官らのケガや精神的苦痛があるということですね。

他方で、銃器を安易に使わないことで関係ない国民が巻き添えになることが無いという効用があるというのも確かでしょう。

死刑は証拠に基づく裁判で合理的な疑いを入れない程度の立証を経て行われる

そして、死刑は訴訟手続のもと、証拠に基づく裁判を経て合理的な疑いを入れない程度の立証がなされた場合にのみ行われています。

ですから、死刑が人権軽視であるとか非人道的であるとかを、現場で非武装の人間もバンバン射殺し、未成年も執行中に死亡するような権力行使をしている国が言ってくるというのは、いったい何様なんだと思います。

冤罪の場合に取り返しがつかないから廃止すべき?

それでも「死刑は冤罪の場合に取り返しがつかないから廃止すべき」と言われます。

しかし、それはどの刑にもありえる話です。

刑罰によって法益が侵害されればそれは回復しないのであり、費やされた時間は戻ってこないのであり、「冤罪の場合に取り返しがつかない」のは死刑も無期懲役などの他の刑も一緒です。それを言ったらおよそ全ての刑罰を科すこと自体の是非を論じることになります。

まとめ

死刑を廃止するか否かは人道問題でも合理性の問題でもなく、国の政策としてどう決断するか否かの問題だと思います。

道路を右側通行にするか、左側通行にするかの違いのようなものです。

死刑を無くして国民の税金で犯罪者を養うのか、それとも冤罪の可能性をゼロに限りなく近づけた上で死刑を執行するのか。

正解なんて無いと思います。

以上

政府の秋元容疑者出張記録の提出拒否は捜査に支障があるから当然だと思う

f:id:Nathannate:20191226122211p:plain

政府(内閣府)が26日の野党合同ヒアリングにおいて、秋元司容疑者の出張記録の提出を拒否したという報道が共同通信からありました。

政府の秋元容疑者出張記録の提出拒否

政府、秋元容疑者の出張記録の提出を拒否(共同通信)

これが事実だとして、政府の秋元容疑者出張記録の提出拒否は捜査に支障があるから当然だと思います。

国政調査権の行使でもない、単なる野党議員に資料を渡して証拠隠滅されたら大変だからです。

国政調査権の限界:捜査に支障をきたす調査は不可

野党合同ヒアリングではなく、議会の権限として国政調査権を行使した場合はどうか?

この場合でも、浦和充子事件の教訓からは以下の教訓があります。

  1. 判決確定前後において判決内容を批判したり審理に影響を与える調査をなすことは許されない
  2. 起訴不起訴の判断や公訴の内容、捜査の続行に重大な障害をきたす方法による調査は許されない
  3. ただし、これらに抵触しない限りで事実について裁判所と異なる目的で並行調査することは許される

詳細は以下でまとめていますが、要するに捜査機関の捜査の障害になるような行為は立法府だろうが許されないだろうということが憲法62条の運用になっているということです。

国政調査権ですらそうなのですから、単なる野党議員の要求に応じるべき必然性は無いでしょう。

野党議員に出張記録等が渡れば関係者が証拠隠滅逃亡する可能性が

別に野党議員に限る話ではないですが、他の議員やマスメディアに秋元議員に関する記録が全部渡ってしまうなら、関係者で「ヤバい人」が事前に対処する隙を与えてしまうことになりかねません。

ですから、政府も今の段階では秋元議員に関する資料提出を拒否するものの、捜査が進展した後には資料提出に応じると思います。

以上

TorブラウザではNHKにアクセスできない件

TorブラウザでNHKにアクセスできない

TorブラウザではNHKにアクセスできない件について。
技術的にどうなのかは分かりません。

TorブラウザではNHKにアクセスできない

どうやら"nhk.or.jp"傘下の全てのページはTorブラウザだとエラー表示になるようです。

なのでNHK WorldやNHKの会社概要ページも、Torブラウザだとアクセスできないようになっています。

"k.nhk.jp"では表示可能だが

エラーページから携帯・読み上げ版トップに飛ぶと、こうした表示を見ることができますが、ツイッターの文字制限レベルの文字数のテキストしかない「記事」だけが表示されます。画像なんて当然ありません。

IPによる表示の変更が行われている例

욱일기 내건 리버풀 "공식사과 한적 없다" 비난 여론 고조 - 조선닷컴 - 스포츠 > 축구

리버풀, ‘꼼수’ 사과 하루만에 또 욱일기 사용… “韓 팬 기만 행위” - 조선닷컴 - 스포츠 > 축구

イングランドプレミアリーグのリヴァプールに日本の南野拓実選手が入団した際に旭日旗様のデザインが表示された画像があったとして韓国人が抗議しました。

これについてリヴァプールが公式Facebookで謝罪したとする報道がなされましたが、実際には「韓国人ファンに向けたメッセージ」に過ぎず、韓国IPからアクセスした者にしか表示されていないことが上記の朝鮮日報ハングル版の記事で指摘されています。

実際、日本IPでリヴァプール公式Facebookにアクセスした(ハズ)私からは、そのような謝罪文を見つけることはできませんでした

Facebookはログイン認証にCookieを利用してるのでTorでアクセスできない

FacebookはTorではログインできない

で、このことを調べているうちに、Facebookはログイン認証にCookieを利用してるのでTorブラウザでは(通常の方法では)ログインできない仕様だということが分かりました。

ハッカーさんは上手くやって閲覧してるんでしょうけど。

BBC、チャンネル1は見れるのに

イギリス国営放送のBBCやロシア国営放送のチャンネル1(Первый канал)は、Torブラウザで見ることができます。

同じ公営(日本は国営ではない)の放送局なのに、匿名化したアクセスを弾くNHKと他の放送局の方針の違いは何なんでしょうか?

ハッカー対策なんでしょうか?

以上

立憲民主党安住 IRカジノ禁止法案⇒パチンコ業界の脱税・北朝鮮関係を改善するのが先でしょ

IRカジノ禁止法案とパチンコ北朝鮮

立憲民主党の安住議員が秋元司議員の汚職疑惑を理由にIRカジノ禁止法案提出の方針のようですが、それを言うならパチンコ業界の脱税や北朝鮮との関係を洗い出せと言いたいです。

立憲民主党安住議員、IRカジノ禁止法案提出の方針

 IRカジノについては誤解が多く、意図的な誤解が振りまかれているのが現状です。

立憲・安住氏「多くの国民はIRうさんくさく思っている」 野党でカジノ禁止法案提出の方針 - 毎日新聞

野党、カジノ禁止法案を通常国会提出へ | 共同通信

IR政策についてはテレビ新聞でもネットでも基本中の基本すら理解させない発信が為されているので、以下でIR法案の規定から大まかな構造をまとめています。個人的には木曽崇氏の発信が有益だと思います。

当たり前の話ですが、カジノができて困るのは既存の類似ギャンブルであるパチンコ・スロット業界(ホール運営)であり、IRカジノ政策に反対している人間の多くはパチスロ利権の代弁者です。

パチンコ業界の北朝鮮への利益供与

パチンコ業界の北朝鮮への利益供与があることはいろんな所で言われますが、公式に認定された事案となると、かなり限定されます。

有名なのは、熊谷遊技業協同組合(パチンコ店の協同組合)が「社団法人日本外交協会」という民間NGO団体に対して北朝鮮支援物資を供給したいと申し出た結果、外交協会が45万トンの食糧援助をしたと言う事案です。

詳しくは「パチンコ業界が北朝鮮の資金源として送金」という武藤嘉文外務大臣発言その他のソース でまとめていますが、改めてここでも紹介します。

熊谷遊技業協同組合と日本外交協会による北朝鮮への食糧援助

日本外交協会の北朝鮮食糧援助

日本外交協会HP(2003年当時魚拓)

155 衆議院 安全保障委員会 7号 平成14年12月05日

○渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。
 それでは、早速でございますが、広い意味での安全保障の中で大変重要な問題であります今回の社団法人日本外交協会の米支援、この点につきましてお尋ねをいたします。
 この日本外交協会が、ある団体の要請によって、人道支援の名のもとに東京都の非常食を北朝鮮に送っていたということが明るみに出ました。この問題をぜひただしたいわけでございますけれども、この点につきまして、まず、この社団法人日本外交協会というのはホームページもございまして、見ました。
 これは一体どういう団体なんですかね。これは外務省の委託事業を受けている団体、しかも、この会の会長は衆議院議長綿貫民輔さんが務めていらっしゃった。その点をかんがみますと、これは大変重大な問題なんですが、この日本外交協会というのはどういう団体なのか、外務省、お答えいただけますか。

パチンコ業界から北朝鮮への食糧援助を助けた日本外交協会

熊谷遊技業協同組合の理事長 朴仁作と日本外交協会による北朝鮮への食糧援助問題。

これは小泉内閣時代に拉致問題が取り上げられていた時期に万景峰号を利用してなされたのですが、外務省が認可した団体であるため問題視されました。読売新聞も大きく取り上げました。 

外務省の認可を受けたというだけではなく、歴代の外務大臣が会長を務めているなど、外務省と関係の深い団体であるということが質疑で明らかにされています。

当時は(現在も)、日本から北朝鮮への物資供給はストップされていたので、政府方針と異なる行動を取っているということです。

国連の世界人道統一アピールの影響を受けた

当時の日本外交協会のHPを見ると、国連人道担当事務次長の大島賢三から協会理事長の坂本宛てへ届いた手紙が影響を与えたことが伺えます。

しかし、その内容は噴飯ものです。

手紙では、「国連世界食糧計画(WFP)の北朝鮮食糧支援計画に対する主要な援助国の拠出が今年になり急速に落ち込んできた結果、支援対象を年初の640万人から11月には約300万人に減らし、1月以降には更にそれを半減せざるを得ないかもしれない」ので、北朝鮮人が大量に餓死するおそれがあるため、人道的支援をすることが周辺地域の平和や安定に資する旨が説かれています。

しかし、単に国連が北朝鮮への支援は独裁者支援であると考えたか、世界人道統一アピールをしておきながら国連の負担を他に押し付けようとしているだけであって、何らの義理もありません。

日本外交協会の声明も「ララ物資」を想起させて自己の立場を表明していますが、これはアメリカ政府公認の正規ルートであり、輸出禁止されていたわけでもない当時の日米の関係を日本と北朝鮮との関係に敷衍することにはかなり疑問です。

なお、同じ年(2002年)に小泉純一郎訪朝時の日朝首脳会談の際に北朝鮮が初めて公式に一部の拉致を認めて謝罪し、同年10月15日に拉致被害者の一部(5名)が北朝鮮から日本に帰国していることとの関係については論じない。

パチンコ業界の脱税額は上位にランクイン

パチンコ業界の脱税

こちらは国税庁平成28事務年度法人税等の調査事績の概要の引用です。

約3000万円という脱税額は「第116回衆議院予算委員会5号平成01年10月17日」でパチンコ業界の脱税に関する質疑がされた時期からそれほど変化がないようです。

「IRカジノで日本の富が搾取される」などと言っている者は、現在進行形で行われているパチンコ業界の脱税はどう思っているのでしょうか?

まとめ:立憲民主党はIRカジノよりもパチンコ業界を何とかしろ

 

「立憲民主党はIRカジノよりもパチンコ業界を何とかしろ」

と言いたいところですが、許認可権限に近い政治家がIR事業者と距離を取るべきであるというのはその通りだし、自民党もパチンコ業界との関係が深い議員が居るので、これは政官双方に潜む既得権との闘いでもあるんだと思います(パチンコは警察庁対応、公営ギャンブルはきれいに所管省庁の棲み分けが為されている)。

以上

「そしてどうなるの? 2019池上彰が総まとめ」日韓関係の説明も間違い

「そしてどうなるの? 2019池上彰が総まとめ」での説明について、やっぱり懸念していた通りの内容でした。

 「そしてどうなるの? 2019池上彰が総まとめ」日韓関係の説明に違和感

「そしてどうなるの? 2019池上彰が総まとめ」日韓関係の説明には、間違いである説明と、間違いとは言い切れないものの、不足している説明であったり、非常に違和感のある説明があると思いました。

徴用工問題に関する間違い

「そしてどうなるの? 2019池上彰が総まとめ」徴用工の間違い

番組内では「動員された人たち」と説明されています。

これは朝鮮半島からやってきた労働者がおしなべて意思に反して連れてこられたと受け止められる説明であり、事実に反します。

韓国大法院の原告は「徴用工」ではなく「応募工・募集工」

彼らは「元朝鮮半島出身労働者」と呼ぶべきであり、就労のきっかけとしては「自由意志での渡航」と国家総動員法に基づく「募集」「官斡旋」「徴用」の4種類があります。「徴用」は内地出身者・大和民族も対象になりました。

韓国大法院の原告は「募集」に該当する立場でした。日本における訴訟でも「強制連行・強制動員」の事実は認められていません。
※なお、日本訴訟(旧日本製鉄大阪訴訟)でも過酷な労働環境である「強制労働」の事実は認定されているが、内地出身者・大和民族も同様の環境で働いていた。朝鮮半島出身者も当時は同じ日本人の扱いであり、大和民族が朝鮮半島に行けば半島の憲法下の法体系に従っていたし、朝鮮半島出身者が内地(今の日本国領土内)に行けば大日本国帝国憲法下の法体系に従うことになっていた。

※国家総動員法に基づく「徴用」は、1944 年 10 月頃から 「国民徴用令」に基づいて行われた。当然、内地出身者・大和民族も対象に含まれていた。

※韓国訴訟と日本訴訟では原告が一部変わっているようだが、それでも韓国訴訟では亡訴外人と原告2は「広告を見て応募」したと認定され、原告3と4も上記「徴用」制度の前の時期に「募集」の形式で就労した(朝鮮半島の行政府からの推薦や指示があったという事情が認定されている事は書いておく)。

朝鮮人労働者とされている写真が日本人であることが韓国で指摘されていることも紹介

番組内では、朝鮮人労働者とされている写真が日本人であることが韓国で指摘されていることも紹介されていました。

ここまで紹介しているのに、上記の基本的な事実関係の説明に重大な誤りがあるのはなぜなんでしょうか?

日本政府が求める「話し合い」も日韓請求権協定に基づく仲裁委員会でのものであることを伝えていませんでした。任意の話し合いではなく、協定に基づく話し合いを求めていたことが重要なのに。

輸出管理・ホワイト国除外に関する不十分な説明

輸出管理強化・ホワイト国除外の報道の誤解

CISTEC:http://www.cistec.or.jp/service/kankoku/191101-j.pdf

輸出管理強化・ホワイト国除外に関しては、夏の頃のいいかげんな報道そのままの紹介だったと思います。

韓国向け輸出管理の運用の見直しに関する解説資料| 安全保障貿易情報センター(CISTEC)を読めば、いかにメディアが実態と異なることを報じていたかが分かります。

池上彰の番組内の説明でも、CISTECが指摘している誤解は払拭されないどころか、誤解をベースに理解する人が出るようになっていました。

特に徴用工訴訟の流れで輸出管理強化を論じているところは、日韓のメディアが日韓両国の争いをエンタメ化して消費する延長線上のものといえると思います。

夏にCISTECが解説した資料を紹介した記事を置いておきます。

輸出管理強化後の韓国人旅行客に関する情報が片手落ち

「そしてどうなるの? 2019池上彰が総まとめ」の番組内では、輸出管理強化後に韓国人旅行客が減ったことが観光地の収入減になった、ということを説明していました。

しかし、特に韓国人旅行客が多い大分県のある地域でのロケしか放送されていません。

そして、実は全体で見れば韓国人旅行者が半減したのに旅行収支は黒字・増加になっているという重要な事実には触れられていませんでした。

韓国人旅行客が減っても旅行収支は黒字・増加

番組では韓国人客がピーク時の1割になり、売上が15%減った所もあると指摘していましたが、1割になった=90%減ったのに売上の減少は15%だったというのは、韓国人客の売上への貢献度はそんなに無いということの裏返しだと思います。

韓国人客半減でも旅行収支黒字は過去最高 8月国際収支 - 産経ニュース

記事の事実関係をまとめると以下

  1. 全体の観光客は2・3%減少
  2. 韓国人観光客は前年同月比48%減
  3. しかし旅行収支は8月過去最高の黒字
  4. 1人当たりの消費額が上がった

要するに、1人当たり消費額が低い=客単価が低い韓国からの観光客が減ったものの、それよりも客単価が高い観光客が増えた結果であると言えます。

韓国人旅行客の客単価は低いという事実の統計と分析

以下の記事で統計の整理をしています。

韓国人旅行客の客単価は低い】という事実が、統計から明らかだと言えます。

では、なぜ韓国人旅行客の客単価は低いのか?

確定的な結論を出すための統計が欠落しているのですが、日帰り客が圧倒的に多いからであって、日帰り客が客単価を下げてる要因の一つではないかとフェルミ推定も交えて推論したのが以下の記事です。

欧州シフトしている

韓国人観光客減でも影響限定的 現場はすでに欧米などにシフト - 産経ニュース

そして、12月の報道でも、韓国人観光客が減少しても全体しては影響は限定的であり、観光地の現場は欧米シフトで対応している所もあるということが報道されています。

全体的な印象操作?

番組の全体的に印象操作ではないか?と思われる演出がありました。

  • 日本が「反発」という表現
  • 安倍総理の絵は困り顔だがムンジェインは堂々とした振舞い
  • 安倍総理・日本政府は下側、ムンジェイン・韓国政府が画面上側の構図の絵
  • 韓国のおじいさんの「日本が謝れば…」の部分で音楽が融和的なものに
  • 「日本人ではなく日本政府が嫌いである」という韓国人の主張に?⇒民主国家では国民が選んだ政府が基本的には国民の代表なので、政権批判が国民批判にもなり得る。また、安倍政権以前にも反日をしているので説得力が無い。

まぁ、テレビ朝日らしいと言えばそれまでですね。

まとめ:そしてどうなった?⇒メディアの印象操作が原因で誤解が蔓延した

CISTEC:http://www.cistec.or.jp/service/kankoku/190805setumeishiryo.pdf

「そしてどうなるの? 2019池上彰が総まとめ」の日韓関係の説明は(他もそうですが)、メディアの印象操作が原因で誤解が蔓延したものを、そのまま放送したという意味で「総まとめ」だったと思います。

こうした誤解の影響を受けるのは現場のプロではなく、テレビ新聞を見ている一般人であることを考えると、本当に罪深いと思います。

以上