事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

「維新が女性宮家を検討」過去記事が拡散⇒女性宮家の創設「等」という附帯決議の文言通り

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  「維新が女性宮家を検討」などという触れ込みで2019年以前の過去記事を拡散するアカウントが多数見受けられますが、維新に対する誤解と女性宮家に対する誤解が混在しているので整理します。

「維新が女性宮家を検討」過去記事が拡散

魚拓

産経新聞のこの記事がなぜか2020年5月9日になってシェアされていますが、中身は2019年5月8日の記事です。

そして、この記事は汚い誤魔化しが入っています

このアカウントは2017年の記事もシェアしてるので、意図的です。

魚拓

皇室典範特例法の附帯決議の文言通りなのに

天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成二九年六月一六日法律第六三号)

○附帯決議(平成二九年六月七日)
一 政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設について、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方の御事情等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること。

2019年の維新の馬場幹事長の発言は、皇室典範特例法の附帯決議の文言通りです。

「等」という文言について、単なるおかざりだと思ってる人がいますが、行政文書や法律文書における意味は「例示列挙」を示す意味で用いられており、「女性宮家の創設」だけを検討するのではないという意味が込められています。

こういう表現になったのは女性宮家の創設はやむを得ないと考える議員らが多いということから、当初は「等」が無かったものについて、「等」が付け加えられたという経緯があります。

それほど、現在の多くの国会議員の考えというのは危ういものなのです。

NHKなど「女性宮家の創設など」

女性宮家など党内で議論開始へ 維新 2019年5月8日 18時10分

皇室をめぐる課題の解決につなげるため、日本維新の会は8日の役員会で、女性宮家の問題などについて党内で議論を始めることを決めました。
今回の皇位継承の特例法を審議した衆参両院の委員会では、安定的な皇位継承を確保するための課題や女性宮家の創設などについて、政府に対し速やかに検討することを求める付帯決議が可決されています。

日本維新の会は8日の役員会で、皇室をめぐる課題の解決につなげるため、女性宮家の問題などについて党内で議論を始めることを決めました。

馬場幹事長は記者会見で「備えあれば憂いなしで、不測の事態に備えてしっかりと議論し、皇室典範などの改正が必要であれば、そうした働きかけも行っていかなければならない」と述べました。

NHKなどは「女性宮家の創設など」 と、附帯決議の文言に触れて維新の馬場幹事長の発言を扱っています。

産経新聞「女性宮家の創設に関する党内議論を開始」

維新が「女性宮家」を検討へ - 産経ニュース 2019.5.8 15:43

日本維新の会の馬場伸幸幹事長は8日の記者会見で、女性皇族が結婚後、宮家を立てて皇室に残り、皇族として活動する「女性宮家」の創設に関する党内議論を開始すると述べた。「不測の事態に備え、きちんと国会で議論し、皇室典範などの改正が必要であれば、そのような働きかけも行っていかなければならない」と強調した。

 「女性宮家」の創設については「過去に例のない女系天皇への道が開ける」として保守派を中心に慎重論が根強い。

産経新聞は「女性宮家の創設に関する」と、「等」を省いて報道しています。

これは恣意的な記事でしょう。

で、維新が「女性宮家の創設を検討してる」と騒いでる人らは、維新は女系天皇に反対していることや、菅官房長官も同様の発言を国会で行っていることについてどう考えているのでしょうか?

菅官房長官も附帯決議の文言通り「女性宮家の創設等」

第201回国会 衆議院 予算委員会 第10号 令和2年2月10日

○菅国務大臣 国会で、附帯決議でありますので、そこは慎重に、そこについてはしっかりと私ども進めていくというのは、これは当然のことだというふうに思っています。
 そういう中で、安定的な皇位継承を確保するための諸課題と女性宮家の創設について、これまで、さまざまな議論の経緯を十分検証し、また最近の議論の動向などを踏まえながら検討を行っているところであります。

菅官房長官も附帯決議の文言通り「女性宮家の創設等」を検討していると何度も名言しています。

昨年も「菅官房長官が女性宮家を推進している」などと騒いだ連中がいましたが、附帯決議の文言について何ら触れずに踊っていましたからね。

安倍総理はどうかというと、菅さんよりは慎重な発言になっていて、国会議事録を「発言者安倍晋三」、検索語「女性宮家の創設等」で検索してもヒットせず、『附帯決議の趣旨を尊重して』という言い回しが見つかります。

第196回国会 衆議院 予算委員会 第5号 平成30年2月5日

○安倍内閣総理大臣 女性宮家の議論については、さまざまな議論があるわけでありますが、政府としては、天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位が国民の皆様の祝福の中でつつがなく行われるよう、全力を尽くしてまいりたいと思います。
 その上で、女性皇族の婚姻等による皇族数の減少等に係る問題については、衆参両院の委員会で可決された附帯決議の趣旨を尊重して対応してまいりたいと思います。

維新は女系天皇に反対している

足立「悠仁親王殿下の廃嫡はしない

藤田 「維新は女系容認という誤解が散見されるが、明確に否定しておきます。」「旧宮家(※旧皇族)の皇籍復帰の選択肢は閉じるべきではないという考え。

維新の要職に居る彼らがこのように発信しているのですから、「女系天皇の賛成」というのは無理があります。そのため、「女性宮家」に関する維新の発信もその観点から理解するべきです。

女性宮家が女系天皇に繋がらない場合

「女性宮家」と呼ばれるものにはバリエーションがあります。

その根幹は【女性皇族が婚姻後も皇室にとどまって公務を担うこと】です。

「女性宮家は女系天皇に繋がる」という危機感は正当なものですが、以下の方策を講じることで一定程度その危険を回避できます。

  1. 配偶者が皇室に入らない
  2. 女性宮家の子孫には皇位継承権を認めない
  3. 女性宮家の配偶者に旧皇族などの限定を付す(皇籍復帰も視野に)

1番なんかは「ちぐはぐな運用になるからどうせ後で皇族に迎え入れざるを得なくなる」とか言われてますし、2番は「結局はあとでなし崩し的に認めることに繋がる」などと言われます。

しかし、3番の発想が無い人が多いです。これは昨年あたりから色んな人がその可能性について言及しだしました。

最初に「女性宮家」と言い出した者が女系天皇容認派であったために、「女性宮家=女系容認」という図式で理解する人が多いのですが(実際、そういう目論見であったのは確か)、論理的に考えれば上記のように男系男子による皇位継承の伝統ルールを毀損しない限りにおいて「女性宮家なる制度」を認めることはあり得ます。

皇族方の減少にどう対応していくか

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※将来時点の描写なので呼称はご容赦を

皇族方が減少していっているという厳然たる事実にどう対応していくべきか?

現在の女性皇族が婚姻した場合、皇籍から離れることになっています。

その場合には数十年後は上図のような状況になります。

悠仁親王殿下とその直系の親族しか皇族が居ないという事態】になってしまう。

女性宮家というのはこのような懸念が出てきた状況下で出てきた議論であり、単に皇統断絶のために繰り出された謬言と非難しているわけにはいかないというのが分かるでしょう。

国会議論も一筋縄ではいかない

私には内情は分からないのですが、青山繁晴議員などが「女性天皇と女系天皇の違いが分からない議員がぼくの所に聞いてきた」旨の発信を何度もしていることを知っている方は、なんとなく察していると思います。

自民党内ですら皇室の議論をまったく理解していないものが多すぎること、「旧皇族の皇籍復帰は無理で、女系天皇でもよいか」と安易に考える者が多いことが伺えます。

「女性宮家」というワードを目の敵にしても何もよいことはありません。その中身を論じる世論を作らないといけません。

以上

ニューヨーク州クオモ知事「川崎病似の症状73人」は差別・ヘイトに繋がらないのか?

ニューヨーク州クオモ知事川崎病

ニューヨーク州クオモ知事が「川崎病似の症状73人」とツイートしましたが、このツイートに違和感を覚える人は居ないのでしょうか?

ニューヨーク州クオモ知事「川崎病似の症状73人」

「ニューヨーク(州)ではこれまで、川崎病と毒素性ショック症候群(※=TSS)に類似した症状で重症化した子どもが73人確認された」

コロナ関連の奇病で男児死亡 米NY、川崎病似の症状73人 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News

このツイートで違和感を覚えなかったでしょうか?

「なぜCOVID-19と言いながら川崎病と言っているのか?」

川崎病の正式名称は小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群(MucoCutaneous Lymph-node Syndrome, MCLS)

川崎病は川崎富作医師が昭和42年に症例報告をしたことから命名されていますが、神奈川県川崎市が風評被害を受けてきた経緯があります。

この病名の正式名称は小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群(MucoCutaneous Lymph-node Syndrome,=MCLS)と呼ぶようです。参考

そうであればそのように呼べば良いのではないでしょうか?

新型コロナウイルスがCOVID-19と呼ばれるようになった理由と経緯について知っていれば、クオモ知事の発信に違和感を持たざるを得ません。

WHOは特定のコミュニティに汚名を着せる事になりかねないとして病名の命名ガイドラインを新たに設定していたからです。

WHOの病名の新しい命名ガイドライン

WHO issues best practices for naming new human infectious diseases魚拓

2015年5月8日から、WHOでは新しい病名の命名ガイドラインを決めました。

それによると、『「豚インフルエンザ」や「中東呼吸器症候群」等の名前は特定のコミュニティ・経済セクターに汚名を着せる事になり意図しない悪影響を与えました』とする福田敬二氏の発言を引用しつつ、今後の病名の命名は病気が引き起こす症状に基づいて、一般的な説明用語で構成する必要があるとしています。

これは「これまでに命名された病気には適用しない」、ということも書かれていますが、「特定のコミュニティにスティグマを与えない」という目的からは理解できません。

病気を最初に発見した国や地域、人というのは先進国の人間が多いですから、彼らに言わせれば必然的にそういった地域への「スティグマ」が永久に残存することになります。

こうしたことから、新型コロナウイルスは既にチャイナのメディアが「武漢肺炎」という表記で報道しており、イギリス政府HPなどでも"Wuhan Coronavirus"と記述されていたものが、病原体と病名の正式名称が発表されてからはやSARS-Cov-2やCOVID-19という表記に変更されていきました。

青山繁晴議員らの「武漢熱」を「ヘイト・差別」と言ってた人はなぜクオモ知事にも言わないのか?

大紛糾 その4 事実のなかに生きる|青山繁晴の道すがらエッセイ/On the Road

中国が陳馮富珍 ( マーガレット・チャン ) という香港衛生局長だった女性医師を西暦2007年1月から2017年6月の10年半にわたり、WHO事務局長に送り込んでから、実質的にWHOは中国支配が続いている。中国国内でヒトからヒトへ感染し死者も出た鳥インフルエンザの情報もろくに出なくなった。WHOは、もはや当てにならない。WHO緊急事態宣言を見送っている(当時)のは、武漢熱が深刻ではないためではない。中国の圧力だ」と述べていました。
 これを部会などで、ぼくから聴いた自由民主党の衆参両院議員は「えっ」と愕然となさる表情になりました。
 そしてぼくは、「やがて武漢熱の深刻さが世界に伝わるようになり、WHOは遅ればせに緊急事態宣言を出すようになるだろう。日本政府は、厚労省をはじめ、WHOを基準にしちゃいけない。WHOを当てにするな」と、不肖ながらずっと警告していました。
 現状は、そのようになっています。

青山繁晴議が新型コロナウイルスを「武漢熱」と呼ぶことをブログで書いた当時(初出は1月24日)、ヘイトだなんだと言って騒がれましたね。

私の立場は、公的機関が用いる正式名称としては地域名などは避けるべきだが、「通称としては事の起こりが分かれば何でもよい」派であって、本質的には名称から連想して差別をするような人間の心に正面から取り組むべきであり、名称の小細工でどうにかしようとは思ってません。

ただ、COVID-19、武漢肺炎、武漢熱においては左右を問わずいろんな人が青山繁晴氏に対して「ヘイトに繋がる、差別的だ」などと言っていたので、クオモ知事の発信に関してはそこの整合性はどうなの?と思うのですよ。

まとめ:偽善に過ぎないWHO命名ルールとサヨク主義者の反差別

WHOの命名ルールは高尚なもので、オフィシャルが倣うものとして採用するのはアリだと思うのですが、そうであるならば過去の名称の変更もしないというのは解せません。結局は偽善に過ぎないんじゃないですかね。

で、通称としての呼び方までそれに倣えと言ってる人たち、だったらその考えを他の病名にまで徹底しないんですか?「膨大な病名をいまさら変更するのは面倒だ」と言ってる人が居ますが、ならば高尚な物言いはやめるべき。

この辺りの立場がブレブレの人が多すぎると思います。

以上

柴咲コウ種苗法改正発言に乗っかる藤井聡と山田正彦のデマ

女優の柴咲コウが種苗法改正案の審議入りに際してツイートしましたが、削除されました。彼女に乗っかってまた変な連中がデマ拡散しているので情報を整理します。

※追記:種苗法改正反対派がよく引用する元農水大臣の山田正彦が捏造と印象操作をしていることが明らかになりました。

柴咲コウ「種苗法改正は自家採取禁止」

柴咲コウ種苗法改正

柴咲コウが「種苗法改正は自家採取禁止」と警鐘を鳴らすようなツイートをしました。

しかし、改正案では一般的に自家採取禁止となるわけではなく、登録品種を使わなければいくらでも自家増殖して良いので、このツイートは不用意です。彼女も現在はこのツイートを削除しています。
 

種苗法については以下の方々が詳細に説明していますのでそちらを読んでください。

種苗法の一部を改正する法律案について:農林水産省 自家採取は一律禁止になりますか。

京大教授の恥さらし、藤井聡が柴咲コウを利用

以下では柴咲コウのツイートを利用して種苗法に関する誤った認識を拡散するレベルの低い連中に対して明らかにおかしな点を指摘するにとどめます。

魚拓

まず「種子法」と「種苗法」はまったく別ものです。

「種子法」は2年前に廃止されましたが、その議論においても藤井聡は種苗法との混同をしており、相変わらず議論資格が無いことを暴露しています。

この議論をまともにしていたらこの間違いは無いでしょう。

「グローバル企業のための改正」もデタラメです。

種子法廃止で「外資ガ―!」「モンサントガー!」はありましたか?

種子法デマについてはhiroさんが何度も記事化してまとめているのが分かりやすいと思います。

藤井聡らTPP亡国論などを喚きたてていた連中が指摘していた「外資ガー!」「モンサントガー!」「日本が売られる~!」という事態ですが、種子法廃止の公布がされて3年、廃止が施行されて2年が経ちましたけど、そういう事例はありましたか?

元農水大臣山田正彦のデマ記事

魚拓 

恥を知らない藤井聡は自分で説明せず元農水大臣の山田正彦の記事に丸投げしているわけなんですが、この記事自体が全体的におかしいので指摘していきますよ。

山田は「農家はすべての種や苗を新たに購入し続けるか、もしくは育成者権者に対価を払って自家採種の許諾を得なくてはなりません。」などというデマの他に、少なくとも法律案を知らなくてもわかるような明らかにおかしいことを言ってます。

「種苗法は国内法ですから、海外での取り締まりはできない」???

山田正彦の種苗法デマ

http://archive.is/PxEHb

「種苗法は国内法ですから、海外での取り締まりはできない」

???

いったい何を言ってるんでしょうか?

「国内法は海外の取り締まりは出来ない」

これ、全ての規制法についても当てはまりますよね。

この理屈で「意味が無い」などと言うなら、たとえば昨年問題になった韓国による半導体製品の輸出管理の強化の問題では「外為法」の領域の話ですが、外為法も意味が無いということになりますよね(棒)
もちろん当該製品には国際的な輸出規制の枠組みも存在している

さて、現行法では種苗法21条4項で育成者権が輸出等で侵害された場合を捕捉しており、10年以下の懲役も可能となる罰則もあります。今般の改正ではこのあたりの規定が拡充されます。(21条の2~4が新設され、所要の整理が為される)

で、シャインマスカットについては(ブドウ品目)韓国 品目別検疫条件一覧表(携帯品):植物防疫所魚拓)や、諸外国に植物等を輸出する場合の検疫条件一覧(早見表):貨物編を見れば分かるように【輸出検査(検疫)なしで輸出可能】な場合もあるので、ここで言われているような方法での取り締まりは機能しません。

中国向けはそもそも検疫条件を設定していないため輸出禁止になっています。

もちろん今般の種苗法の改正で持ち出しが有効的に規制できるのかは議論があるでしょうが、直接的な取り締まり以外の改正による海外流出への対策はたとえば以下が検討されています。

  1. 海外流出時に技術的に困難となっている権利侵害の立証を容易にする
  2. 訴訟において裁判所が証拠書類提出命令を出すか否かを判断する際、裁判官が
  3. 対象書類を実際に確認できる手続を拡充
  4. 海外からの出願者に日本国内の代理人設置を義務づける規定
  5. EPA等において、加盟国間で育成者権の共通の取扱いを規定する場合への対応

「流出させない」ことと「流出した後の国際法的救済」ことは別個の話で、前者が完璧にできなければ意味が無いなどという雑な議論は意味がないどころか単なる誘導でしょう。抑止力というものを完全に無視してますからね。

意匠登録と無関係の事例を持ち出し、現行法を適用すれば済むという欺瞞

藤井聡と山田正彦の種苗法デマ

http://archive.is/PxEHb

「中国や韓国で…意匠登録」と「2019年の種牛の受精卵」の事案は無関係です。

シャインマスカットについて聞かれているのに和牛の種牛の事案を持ちだすのは話をズラしている印象ですし、この事案は『検疫を受けてなかったために中国の現地税関が』拒否し、日本では「家畜伝染病予防法違反」で逮捕された事例です。

つまり知財関係の法律で捕捉したのではなく検疫関係の法律で「たまたま引っ掛けることができた」に過ぎません。検疫が機能しない場合はどうするのか?という問題もありますし、被害を受けた者が民事的な救済を受けるためには一般法に基づくしかなく厄介です。

 

和牛の受精卵の事案の参考:http://archive.is/RCZgT

もちろん現地での意匠登録は可能ならするべきでしょうが、そのための手続きも煩雑でしょうし、何より現地法に依存しなければならないというのは日本国の自律した主体の在り方として本来的に採るべき手段ではありません。

いちいちおかしな点が1つの記事の中にたくさんある時点で、記事中の山田正彦の言を借りて言わせてもらうと「意図は別のところにある」としか思えません。

まとめ:議論するならまともに

オウム真理教への破防法適用に反対した自由法曹団に所属してる弁護士や破防法に基づく調査対象団体の日本共産党が種苗法の改正に反対しているというのは何だか意味深ですね。

以上

パチンコは賭博罪ではないが賭博であり遊技である、という議論

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「パチンコは賭博なのか?」という議論の現在地を整理します。

ここではパチンコ屋の運営形態を分解して法的評価を加えるなどの細かい話は捨象します。

いわゆるパチンコは風営法の範囲内であれば賭博罪ではないという政府答弁

法務省刑事局長の政府参考人が解釈を示しています。

第196回国会 参議院 法務委員会 第17号 平成30年6月14日

○政府参考人(辻裕教君) パチンコにつきまして、個別の事案におきまして、犯罪の成否は個別の事案において収集された証拠に基づいて判断すべきものでありますし、パチンコと一口に申しましてもいろんな形態があるものと思いますので、必ずしも一概にお答えすることは難しい面もございますけれども、いわゆるパチンコ営業につきましては、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の範囲内で適法に行われているというものにつきましては、刑法第百八十五条の賭博に該当する場合であっても、同条ただし書の一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときに該当し、賭博罪には当たらないというふうに理解しております。

政府は「いわゆるパチンコ営業」については「風営法の範囲内」なら「賭博に該当したとしても」「一時の娯楽に供する物を賭けた」にとどまるときに該当するので「賭博罪ではない」という立場です。

この解釈は政府の従来の認識通りであることは以下の答弁書などからも分かります。

答弁書第四五号 内閣参質一八七第四五号 平成二十六年十一月四日 浜田和幸君提出

答弁第一二三号 内閣衆質一九二第一二三号 平成二十八年十一月十八日 緒方林太郎君提出

答弁書第一三号 内閣参質一九六第一三号 平成三十年二月二十日 真山勇一君提出

金銭はその性質上「一時の娯楽に供する物」ではないという判例があります(大審院大正13・2・9)から、いかに少額であっても金銭を対象にした時点で「賭博」になります。

木曽崇氏の「パチンコはグレーでも違法でもない」という指摘について

パチンコは「グレー」ではないし「違法」でもない(木曽崇)

パチンコは法律的にいえば「賭博であり、同時に遊技である」んですよ。

省略

風営法上で定められた「パチンコ遊技」は賭博ではあるけれども、刑法の但書きの規定に則って罰されないサービスであるという事。すなわち、パチンコは賭博であり同時に遊技であるわけです。

国際カジノ研究所所長の木曽崇氏が「パチンコはグレーでも違法でもない」「パチンコは法律的にいえば「賭博であり、同時に遊技である」」という指摘をしていますが、これは現在営業されているような、風営法に適合した大多数のパチンコ屋を念頭に置いた発言であると考えるべきでしょう。

「風営法に適合した」という限定が無い言い方をする場合、実は政府答弁よりは少し踏み込んだ理解になっているのです。

前掲の政府答弁には続きがあるので見ていきましょう。

パチンコは本当に賭博なのか

○櫻井充君 そうすると、この行為そのものは賭博かもしれないと、一般的な国語の辞典に書いてあるような賭博に当たるかもしれないけれど、風営法上認められてきているので賭博罪の適用にはならないと、そういう整理でよろしいんでしょうか。

○政府参考人(辻裕教君) 申し上げましたように、パチンコというのはいろんな形態がございますけれども、賭博罪に該当するということがあるとしても、いわゆる風営法、ただいま申し上げました風営法等の範囲内で適法に行われているものはただし書の阻却事由に該当して賭博罪には当たらないと、こういうふうに解しているところでございます。

○櫻井充君 あの行為そのものは、繰り返しになりますが、この行為そのものは賭博なんでしょうか。

○政府参考人(辻裕教君) 繰り返して恐縮でございますが、パチンコと広くいうものにはいろんな形態があり得るということでありますので、刑法百八十五条の賭博という構成要件に該当し得るものはあるということではないかというふうに考えてございます。

賭博罪に該当するということがあるとしても」という部分は「賭博に該当するということがあるとしても」の言い間違えだというのは後の発言から分かります。

で、政府答弁を見ると分かりますが、パチンコと称されるものの中にも賭博に該当するものと賭博に該当しないものが含まれ得る、という慎重な言い回しをしているのが分かります。

そういう言い方をしている理由として「パチンコというのはいろんな形態」があることを取り上げていますが、実はそうした「事実面」の影響以外に、「法の解釈面」の影響があるのです。

刑法185条但書は構成要件限定なのか可罰的違法性阻却なのか

刑法(賭博)

第百八十五条  賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭かけたにとどまるときは、この限りでない。

法解釈学の領域では、刑法185条但書の法的性質の解釈に争いがあります。

講義刑法学・各論 / 井田良 (507頁)では、同条項の法的性質について以下の見解があると指摘しています。

  1. 構成要件の範囲を制限したもの
  2. 違法ではあるが可罰的違法性阻却が否定される

井田教授自身は「学説の中には、可罰的違法性を阻却するものという見解もあるが(大塚・530頁、大谷・529頁)、そうすると、一時の娯楽に供する物を賭けたときでも、一般的違法性は具備するということになりかねない。185条ただし書にあたる場合の中には、①およそ行為が適法である場合と、②違法ではあるが可罰的違法性を否定されるにとどまる場合の2つがあるというべきであろう。両者の場合を含めて、構成要件該当性が否定されると理解することが最も簡明である。」と書いています。

つまり、185条但書に該当する場面には「賭博であるが違法ではない」という場合と「賭博ではなく違法ではない」場合、がある・或いは混在しているという見解が分かれているのです。

この点について規範性のある判例はありませんし、政府が公権解釈を示した例を私は知りません。

※「可罰的違法性阻却」は刑法学上一般の「違法性阻却事由」とは異なる概念であり裁判所がこの概念を認めているかは定かではない。学者の中でも可罰的違法性に欠ける場合には構成要件該当性が否定されるとする者や構成要件該当性はあるが可罰的違法性が欠けることで刑罰の対象にならないという見解を取る者もおり、ここで論じるには余りにも力不足なため割愛。

※勘違いしている所も多いが、風営法に適合したパチンコ屋であっても、決して法令又は正当な業務による行為だから違法性阻却される(刑法35条)という解釈が示されたことは無い。カジノの場合にはこの規定の話にするべきという議論は政府内にもあるが。

普通のいわゆるパチンコ屋は「賭博であり遊技」 で良い

再度政府の見解を書きますが、「いわゆるパチンコ営業」については「風営法の範囲内」なら「賭博に該当したとしても」「一時の娯楽の供する物を賭けた」にとどまるときに該当するので「賭博罪ではない」です。

法解釈の見解の相違を見た後にこれを見ると、このような言い回しをしていることの裏にある配慮というか苦慮というものが見え隠れしてきませんか?

要するに政府はパチンコが「賭博」であるかは明言してこなかったわけです。
※パチンコはギャンブル等依存症対策における「ギャンブル等」には該当するとしているが、「ギャンブル」であるとは明言されていない。

そして、185条但書が「賭博」という構成要件に該当しないという意味なのか、違法性阻却なのか、可罰的違法性阻却なのかについては更に不明だというわけです。

別の言い方をすると、政府は風営法に適合するパチンコ屋が「賭博であり遊技であり違法ではない」場合を認めていると言えます。

さて、重箱の隅をつつくようなことを書いてきましたが、 木曽崇氏が言及しているような普通のいわゆるパチンコ屋は「賭博であり遊技」 と言って良いでしょう。

実務者としては法的な性質を意識せず賭博と扱われたとしても風営法に適合した運営をすれば権力側からしょっぴかれることはないという了解のもとでパチンコ屋を運営或いはそれに関与してきたわけですから、それをいまさら否定してどうするのか?と思います。

パチンコをギャンブルと認めるべきという議論

ただ、大阪の松井市長や吉村知事などが「パチンコをギャンブル(賭博と同じ意味)と認めるべきだ」ということに対して「パチンコは既に賭博であり遊技である」と言うのは何だかもにょる、という所です。

しかしまぁ、「何らの規制もない」などはちょっと言い過ぎですね。

この辺りは実務者と法解釈学の側がお互いを傷つけないようにしてる場合もあれば、実務者らが強く主張した内容が法的真実になるかもしれない領域なので、木曽氏が業界を一部背負ってそのような発信をしていることについて否定するのも微妙というか建設的ではないというか。

そもそも「現在の政府の見解は間違いで、パチンコは違法にするべきだ」という現状からすれば過激な議論もあるわけですが、それは法解釈ではなく立法政策の議論なわけで、そういう声に対して法解釈の次元から切って捨てるのもどうなの?というのが私の立場です。

まとめ

  1. 政府はパチンコ一般が「賭博」であるかどうかは明言していない
  2. 政府は風営法に適合するパチンコ屋が賭博且つ遊技であり違法ではない場合があることを認めている
  3. 刑法185条但書の法的性質には見解に争いがある
  4. いわゆるパチンコ屋については「賭博であり遊技である」と言っても差し支えない
  5. 「パチンコをギャンブルと認めるべき」という議論があってもそこまでおかしくないが実態はギャンブルとして扱われているため、界隈の人によってはもにょるかもしれないですよ

「遊技だから賭博ではない」は完璧に間違いなのでやめましょう。

あと、この話で「遊戯」と書くなら意識的にしないとダメですよ。そうでなければタイプ・変換ミスと善意解釈してくれる人なら良いですが厳しい人は嫌な顔するかもしれないです。

以上

グッデイで和光葬儀社「肺炎が昨年の3倍」はデマ?情報提供した背景

4月22日のグッデイで和光葬儀社の渡辺社長が「肺炎が昨年の3倍」と言っていたことに対してデマだと評価する人が居ますが、直接メールでやりとりしたのでその結果を整理します。

4月22日グッデイの放送「肺炎が昨年の3倍」

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4月22日直撃LIVEグッディ!

4月22日グッデイの放送では、和光葬儀社の渡辺智史社長へ取材したところ、「肺炎が昨年の3倍」 になったという指摘が取り上げられました。

この件について私も和光葬儀社様に質問しました。

和光葬儀社の渡辺智史社長からの回答

私からは「比較したデータの時期」と「具体的な件数」をお伺いしました。

和光葬儀社の渡辺智史社長からいただいた回答は、「2019年10月.11月.12月(約100件データ)肺炎4件と、2020年1月.2月.3月(約100件データ)肺炎11件」を比較した結果、約3倍と言及したとのことでした。

また、連絡を取り合っている東京の葬儀社の方も「増えている」認識があるとも伝えられました。

この結果を考えてみます。

「前年比」として異なる時期を比較するのは妥当なのか

2019年の10~12月と2020年の1~3月の比較を「前年比」として比較するのは妥当なのでしょうか?

これを判断するために「肺炎死」の統計の取り方まで調べました。

誤嚥性肺炎は2017年に「肺炎」と別枠に:年間13万人の肺炎死

肺炎死亡率が増加、急減した理由【平成の医療史30年◆呼吸器編】|平成の医療史30年|医療情報サイト m3.com

実は「肺炎死」の統計の公表の仕方は変わっています。

2017年には「誤嚥性肺炎」が「肺炎」から独立してデータが公表されるようになりました。それ以前から誤嚥性肺炎の統計は取られていましたが、2016年は4万人弱の数字となっています。 両者合わせて約13万人もの死亡者が出ています。

私から和光葬儀社にこの点も確認したところ、上記の「肺炎」には『誤嚥性肺炎は含まれていない、細菌性肺炎・肺炎でお亡くなりになられた方である』ということでした。

ですので、誤嚥性肺炎以外の肺炎につき、季節による増加傾向があるのかを調べてみました。

「肺炎」は1~3月に3~4割増える傾向

肺炎そのものの月別死亡の統計があります。

以下は「肺炎」と「誤嚥性肺炎」とが独立して計上されている統計になります。

2018年:人口動態調査 人口動態統計 確定数 死亡 5-18  死因(死因簡単分類)別にみた死亡月別死亡率(人口10万対):https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003411662

2017年:人口動態調査 人口動態統計 確定数 死亡 5-18  死因(死因簡単分類)別にみた死亡月別死亡率(人口10万対):https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003214726

これを見ると、「肺炎」は1~3月に多くなっており(次いで12月)、それ以外の月と比べて3~4割増し、10~12月と比べると2~3割増しになっているのが分かります。

他方で「誤嚥性肺炎」は一年を通して発生件数にばらつきがありません。

小括:和光葬儀社の言う「3倍」はデマではないが

和光葬儀社の言う「3倍」はデマではありませんが、「肺炎死」のマクロの統計を見てみると、季節によって数字が上がる時期があるのであって、比較対象として10~12月と1~3月を比べるのは少し不適当な気がします。

ただ、2~3割増しであるはずのところが約3倍(厳密には2.75倍)になっていることは、この標本数だと季節性の誤差の範囲に過ぎない可能性もありますが、現場が注意を向けることはありうることだと思います。

そして、このような発信をした背景が分かりました。

横浜市では新型コロナの御遺体の火葬を断る葬儀社が?

和光葬儀社の渡辺社長からは「横浜市の新型コロナ感染者の御遺体の火葬について「役所」から相談があり、他の葬儀社では請けてもらえないため探している、専門知識がない葬儀社では請けて頂けないとのことなので私たちが請けなくてはと思っている」という現状をお聞きしました。

市営の斎場ではそういった理由での受け入れ拒否は無い・葬儀社に関して何か取りまとめをする部署が無いということを横浜市の健康福祉局の方からはうかがっていますが、民間の葬儀会社においてどういう実態となっているのかについては保健所に確認中です。新たな事情が分かれば追記します。

新型コロナによる死亡者の火葬請負をお断りされる葬儀社もあるというのは、その葬儀社において感染対策の準備が整っていない事が示唆されます。そのため、仮に肺炎死された御遺体が新型コロナに感染していた場合に対策不十分となってしまい、その葬儀社の方が危険に晒されてしまうと思います。

この辺りは別の原因で来院した患者が後に新型コロナ感染者と判明した場合の病院側と同じようなリスクであると言えそうです。

その意味で、肺炎死が増えているという内容が特定業種の方(葬儀関係者等)に伝わることは、彼らに対して行動を促すことになるのだろうと思います。渡辺社長としてはそういう思いで情報提供したのでしょう。

ただ、グッディの番組中でも昭和大学医学部客員教授の二木芳人氏が「新型コロナは空気感染するものではないため、遺体からは体液以外にウイルスが飛び出るということは無く、非透過性納体袋に適切に収めれば問題はない」旨指摘しています。

マクロの肺炎死亡者統計から見る新型コロナ肺炎死亡者数の予測

誤嚥性肺炎を除く9万人の肺炎死亡者の3ヵ月分は2万2500人ですが、昨年(の10~12月)に比べて新型コロナウイルスによる影響で3倍も肺炎による死者が増えているなら、マクロの数字としても7万人弱の肺炎死亡者の増加として表れてこないとおかしいですよね。

国立感染症研究所がインフルエンザ・肺炎死の統計を出しているのですが、それを見ると明らかにそういう傾向は無いです。

インフルエンザ関連死亡迅速把握システム

今冬のインフルエンザについて (2018/19 シーズン)

ということで、少なくとも「約3倍」というのはあくまでも和光葬儀社における数字であって、日本全体でそのような数字で増加しているかどうかは、今の時点からも否定できるでしょう。このデータからでは2~3割の季節性の増加分に十分吸収されていると考えられます。

※国立感染症研究所のデータは「死亡」の定義が異なるため他の統計の数字と比較することができない(どういう定義なのかは不明)。

※なお「東京都は閾値を超えている」ということから新型コロナの影響を仄めかす人が出てきそうですが、東京都は昨年も閾値を超えているし他の新型コロナ流行都市で閾値を超えていない所もあることから、ここからそのように推測することは不可能。

グッデイはなぜ別の情報を取り上げなかったのか

標本数が1社だけであれば誤差がある可能性を考えるものです。

統計の数字などを調べることなく「3倍」だけを取り上げてなんの意味があるのか。

グッデイはなぜ別の情報を取り上げなかったのでしょうか。

まとめ

  1. 和光葬儀社の言う「3倍」は、2019年10~12月と2020年1~3月との比較
  2. 誤嚥性肺炎を除く肺炎は1~3月には2~3割増加するのであり、誤差の範囲内の可能性が高い
  3. いわゆる「隠れコロナ死」に対する他の同業者への注意喚起になればという背景があった
  4. グッデイは1社の話を聞いただけで何も報道の役割を果たしていない

感染症法30条3項では、墓地埋葬法の特例として死亡後24時間以内の火葬が認められていることや、新型インフル等特措法では火葬が間に合わない場合の規定があることから分かるように、感染症に対する社会の対応としては葬儀社の役割もまた大きいものです。

そうした現場の苦労がある反面、別の「現場」では「日本政府は隠蔽している」などという誹謗中傷があり、しかもCNNの記者などがそれを仄めかす発信をしており国際的な情報汚染が起こっています。

グッデイの放送はその観点から無視できないのでここで詳細に取り上げました。 

以上

ひろゆき名言「賭博麻雀屋をやりたい」

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ひろゆき氏が国際カジノ研究所長の木曽崇氏に絡んだ件ですが、お互いが引用リツイートで会話しておりスレッドになってないので両者の会話が断片的にしか認識できていない人が多いので、ここでまとめます。

ひろゆき名言「賭博麻雀屋をやりたい」

魚拓

ひろゆき氏の名言「賭博麻雀をやりたい」はこのツイートです。

引用してる記事は木曽崇氏のパチンコに関する法的概念説明なので、「責任者やってもらえないですかね?」の名宛人は木曽崇氏です。

それに対して木曽氏が以下反応しました。

「賭博麻雀屋をやりたい」が発端という大前提

両者の会話の出発点は「賭博麻雀屋をやりたい」というひろゆき側の発言。

これが大事です。

賭博」の確定的な定義が示されることはありませんが、概ね【偶然性に左右される勝負の結果によって負けた方は財物を失い勝った方は財物を得る仕組みの争い】と言えるでしょう。

「遊技の結果に応じて賞品を提供」しない「賭博」とは?

魚拓 

「遊技の結果に応じて賞品を提供」しない「賭博」とは何でしょうか?

ちょっと想像できませんよね。

だから木曽氏も「イメージが湧かない」と指摘してます。

「プレイ時間に比例して賞品が変わっていく麻雀屋」

魚拓

魚拓

「プレイヤー同士で競技をして飛ぶまでの時間を争う形式とかだと「遊技の結果」として判断されてしまう」という木曽氏の仮定は、「賭博麻雀屋」というひろゆき氏の最初の発言が前提にあるわけです。

ひろゆき氏の言及対象が何なのか会話を成立させるために探りを入れているのであって、「ひろゆき氏の言ってないことを勝手に想定してる」などというものではないというのは会話の発端を見れば明らかですが、途中から見た人にはわかりにくいのかもしれません。

ひろゆき名言「木曽さんは間違い」

魚拓

ここで会話が成立していないのが明確になります。

魚拓

ひろゆき名言「風営法19条」

魚拓

ここでひろゆき氏が反応することを止めています。

で、それ以降は木曽氏以外の一般アカウントに対して返信をしまくっています。

風営法19条がどうの、という話は後述。

信者向けのツイートに走るひろゆき氏

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http://archive.is/iamjR

それまで木曽氏に対する言動に終始していたひろゆき氏ですが、以降はリプライ欄にコメントしていた一般アカウントに対してコメントをしています。

で、その中の一人に私(Nathankirinoha)も居たわけです。

ひろゆき氏の言動がおかしいのは2点あって

  1. 自分から「賭博麻雀屋やりたい」と言っていたことから始まってる会話のすれ違いを相手のせいにしている
  2. 麻雀屋で賞品提供が可能である根拠を風営法19条に求めだした

で、2番はもう専門家からは「議論資格無し」とみなされる話なのです。

風営法23条の議論なのに19条を持ち出して自滅

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 (昭和二十三年法律第百二十二号)令和元年六月十四日公布(令和元年法律第三十七号

(遊技場営業者の禁止行為)
第二十三条 第二条第一項第四号の営業(ぱちんこ屋その他政令で定めるものに限る。)を営む者は、前条第一項の規定によるほか、その営業に関し、次に掲げる行為をしてはならない。
一 現金又は有価証券を賞品として提供すること。
二 客に提供した賞品を買い取ること。
三 遊技の用に供する玉、メダルその他これらに類する物(次号において「遊技球等」という。)を客に営業所外に持ち出させること。
四 遊技球等を客のために保管したことを表示する書面を客に発行すること。
2 第二条第一項第四号のまあじやん屋又は同項第五号の営業を営む者は、前条第一項の規定によるほか、その営業に関し、遊技の結果に応じて賞品を提供してはならない。
3 第一項第三号及び第四号の規定は、第二条第一項第五号の営業を営む者について準用する。

「遊技の結果に応じて賞品を提供してはならない」というのは風営法23条の議論だったのですが、何を考えたのかひろゆき氏が風営法19条を持ち出しました。

しかし、この規定はひろゆき氏の主張をなにも補強しません。

(遊技料金等の規制)
第十九条 第二条第一項第四号の営業を営む風俗営業者は、国家公安委員会規則で定める遊技料金、賞品の提供方法及び賞品の価格の最高限度(まあじやん屋を営む風俗営業者にあつては、遊技料金)に関する基準に従い、その営業を営まなければならない。

19条は「遊技料金に関する基準に従え」と書いてありますが、それは決して『「賞品の提供方法」については麻雀屋が自由に決められる』ことを意味しません。

結局は23条の「遊技の結果に応じて賞品を提供」か否かの話になるということです。

これさえなければ単なる「すれ違い」で収まったものを。

まとめ:ひろゆきの論破力

 「賭博」は概ね【偶然性に左右される勝負の結果によって負けた方は財物を失い勝った方は財物を得る仕組みの争い】と理解されてるが、これが「遊技の結果に応じた賞品提供」ではない場合というのは、いったい全体どういうものなんだ?(反語)

というのがひろゆき氏のツイートに投げかけられた疑問なわけで、そこはついぞクリアーにはなりませんでした。

元々「パチンコ屋」に関する木曽氏の記事に対してひろゆき氏が「麻雀屋」を持ち出して、それとの平仄で「いってることがおかしい」と論破したかったのでしょうが、法規制がパチンコ屋と麻雀屋とで異なることから、最初から成立しない議論をふっかけていた、ということです。

以上