事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

「テレビ朝日ワイドスクランブルで「断韓」フリップが出たら韓国語が流れた」⇒河野大臣の通訳の声でした

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「テレビ朝日ワイドスクランブルで「断韓」フリップが出たらすぐに別の話題になり、番組スタッフと思われる者の韓国語が流れて話題が逸らされた」

という指摘がありますが、まったくのデタラメです。

テレビ朝日ワイドスクランブル黒鉄ヒロシの「断韓」フリップ後の韓国語

たしかに、韓国語と思われる音声が不意に流れています。 

しかし、これは単なるミスで流れたようです。

河野大臣の通訳官による発言の声でした

河野大臣が韓国大使と会談をした際の通訳官の韓国語訳の音声でした。

これは産経がノーカット版をYoutubeにあげてます。

『「断韓」を出したらいきなりCM、遮り』もデタラメ

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まず、最初に「断韓」フリップを出したのは11時25分だと分かります。

このときにも一通りの評論を黒鉄氏が行いましたが、より詳しい主張は後回しになりました。

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CMを挟んで番組進行上の説明を行った後、再度黒鉄氏が「断韓」について語りました。この説明が再開してから約2分経ったときに、河野大臣と駐日韓国大使との会談の動画が流れ、そして韓国語が流れたという時系列になります。

このとき11時37分。実に12分の隔たりがあります。

『「断韓」フリップを出したらさえぎられるように話題を変えられた』という事実はありません。

まとめサイトの見出しとコメントにつられる人たち

ここで敢えて晒すことはしませんが、多くの人がまとめサイトの見出しとコメントに釣られているようです。

そういう所で書いてある内容は最初から信用しないというスタンスで居ないと、恥をかきますよ。

以上

NHK WORLDもC4ADS報告書を印象操作:韓国釜山に触れず「日本経由」を強調

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NHKは日本語版以外にも"NHK WORLD-JAPAN"という英語媒体を持っています。

しかし、北朝鮮への密輸について、「韓国の釜山を経由」していたことには触れず、「日本経由」を強調する印象操作がありました。

アメリカC4ADSの報告書とその概要

C4ADS北朝鮮調達網報告書:美濃物流・瑞祥から韓国釜山経由で北朝鮮へ車を密輸

概要は上記でも示していますが、北朝鮮にメルセデスの自動車が輸送された経路が解明されており、オランダのロッテルダム⇒チャイナの大連⇒日本の大阪⇒韓国の釜山⇒ロシアのナホトカという経路で輸送されていたとしています。

また、日本・韓国・チャイナの企業と韓国からナホトカへ輸送する際の船舶の所有者の情報から、すべて同一の主体であることを示唆していました。

その中で、釜山からナホトカに輸送する際に18日間も位置情報が送信されず、途中から石炭が積まれるようになっていたことが示されていますので、本来はここが最も強調されるべき内容です。

NHK WORLD-JAPANも「日本経由」を強調し釜山経由を隠す

Report: N.Korea gets luxury goods amid sanctions | NHK WORLD-JAPAN News魚拓

動画の音声内では最後の方に大阪の会社に取材した内容として「釜山にベンツを積んだコンテナを輸送しただけであり意図的に北朝鮮に送ったのではなく、驚いている」と言っていたことの紹介が入っています。

しかし、本文では「803台の車の輸入のうち、256台が日本製」「西日本の2社が輸送に関わっている」ということが書かれ、まるで日本に問題があるかのように書かれています。

さらに、本文では韓国の釜山やロシアのナホトカを経由した事について触れてません。

英語版だけでなく日本語版のNHKも釜山隠しの印象操作

北朝鮮が制裁逃れ車密輸 日本も経由か 米研究機関が報告書 | NHKニュース魚拓

日本語版はさらに酷いです。

動画ではまったく釜山について触れられていません。

また、本文では大阪の会社が「釜山に送ったはずで、意図的ではない」と言っているものが掲載されていますが、これでは現実に釜山を経由したとは読めず、大阪からダイレクトに北朝鮮に密輸されたかのように読むのが通常の表現になっています。

まとめ:日本政府の英語発信能力も大事だが

日韓問題を中心に、外交面において日本の英語情報発信能力、世界に向けたロビイングの弱さが指摘されることが多いです。

それはその通りなのですが、日本国内のマスメディアですらこの通り日本の国益を害するような発信を続けていては、かなり酷だと思います。

さらに海外メディアには反日思想の日本人記者も多数おり、いくら日本政府が発信に細心の注意を払ったとしても意図的な省略や誇張表現によってフェイクニュースを流されてしまうでしょう。

韓国はさらに、自国に都合の良い解釈しかせず、それを世界に対して告げ口する方針で動いています。

このような状況の中で日本政府の発信について「誤解の無いようにするべきだ」非難する意味がどれほどあるのか疑問に思わざるを得ません。いくらでもメディアは誤解しますから。

もちろん、政府に発信力をつけるように言い続けることは大事ですので、さじ加減は難しいところだなと思います。

以上

安倍首相の街頭演説で朝日新聞がまた印象操作:野次ではなく連呼行為の演説妨害:北海道警見解変えるも

 

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朝日新聞が選挙演説の妨害行為を正当化し、警察叩きに腐心しています。

私たち有権者の演説を聞く自由を無視する新聞という「公器」とは何なんでしょうか?

朝日新聞「北海道警は見解を変えた」

「選挙妨害か確認中」と道警見解変える ヤジの市民排除 - 2019参議院選挙(参院選):朝日新聞デジタル

道警は16日の朝日新聞の取材に「トラブル防止と、公職選挙法の『選挙の自由妨害』違反になるおそれがある事案について、警察官が声かけした」と説明していた。しかし17日には、公選法違反については「事実確認中」とした上で、行為の法的な根拠については「個別の法律ではなくトラブル防止のため、現場の警官の判断で動いている」と説明。対応に問題がなかったのかとの質問には「今の時点ではない」と答えた。

北海道警は当初の説明は公職選挙法を根拠としていたが、後に個別の法律ではないと言ったということです。

何やらこのことを捉えて北海道警は法律に基づかない違法な行為を行ったのだということを言う人も居るようですが、この事案については未だ誤解があるようです。

朝日新聞擁護の選挙演説妨害行為は野次ではなく連呼行為

増税反対!増税には反対ですー!※☆▲!増税反対!自民党反対でーす!

増税反対! (ここで排除され始める)

これ以上は※☆▲

増税はんた~い!

安倍ヤメロ~!カエレ~!安倍カエレ~!カエレ~!カエレ~!安倍カエレ~!安倍ヤメロ~!あ~べヤ~メロ~!あ~べヤ~メロ~!

あ~べヤ~メロ~!(この辺りから排除)

あ~べヤ~メロ~!あ~べヤ~メロ~!あ~べヤ~メロ~!

これは「野次」ではありませんね。

野次は演説者の主張の合間に単発で反論の文言を差し挟んだりすることです。

その言及内容が当意即妙である場合には、逆に支持を得られるでしょう。

しかし、本件の場合にはそうではありません。

一般に、同一の内容を繰り返し叫ぶことを「連呼行為」と言います。

選挙運動のための「連呼行為」は公職選挙法で禁止されている

公職選挙法(連呼行為の禁止)
第百四十条の二 何人も選挙運動のため、連呼行為をすることができない。ただし、演説会場及び街頭演説(演説を含む。)の場所においてする場合並びに午前八時から午後八時までの間に限り、次条の規定により選挙運動のために使用される自動車又は船舶の上においてする場合は、この限りでない。

「選挙運動」の意味は、「特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得又は得させるために直接又は間接に必要かつ有利な行為」ですから、我々一般人も選挙運動を行う事が想定されています。

そのために、投票日当日のSNSの発信には注意しなければならないのです。

ただ、いわゆる「disり」の類である「落選運動」は「何ら当選目的がなく、単に特定候補者の落選のみを図る行為である場合には、選挙運動には当たらない」ということが、総務省の公職選挙法ガイドラインに示されています。

本件の場合、安倍総理は参議院選挙の応援演説をしていますが、彼自身が出馬しているわけでもなく、他の候補者の当選を目的としたものとは考えられないので、「増税反対」「自民党反対」や「安倍ヤメロ」「安倍カエレ」と連呼することは選挙運動ではないため、公職選挙法で禁止されている連呼行為ではないということになります。
※首長選挙で一騎打ち、というような場合でない限り、単に特定の候補に対する落選運動が選挙運動になることはおよそ考えられない。

 

ただ、なぜ選挙運動のための連呼行為が一般的に禁止され、自動車等の移動物体に乗車している間はOKになっているのかを考えると、それは…うるさいからでしょう。

同一の内容を繰り返し叫ぶ人って…

街中で同一の内容を繰り返し叫ぶ人って、どういう人だと思うでしょうか。

ちょっとアタマ大丈夫かな?と思うでしょう。

酒飲んでたりクスリやってたり、暴れて周囲の人とトラブルを起こすような人の可能性が高いということを、警察は経験則で察知してるんじゃないでしょうか。

そもそもトラブルを起こすことが目的の人が連呼行為を行っているということが、奇しくも朝日新聞の報道で明らかになっています。

大津市の安倍首相の街頭演説も朝日新聞が印象操作

ヤジ飛ばした男性、警官に囲まれる 大津で首相の演説中 - 2019参議院選挙(参院選):朝日新聞デジタル

大津市のJR大津京駅前で18日、参院選の自民党公認候補の応援演説をしている安倍晋三首相(自民党総裁)にヤジを飛ばす男性を、警備の警察官らが会場後方で囲んで動けなくする場面があった。15日の札幌市のJR札幌駅前でも、首相演説時にヤジを飛ばした市民が排除されたばかりだ。

「安倍政権支持」の空気
 安倍首相は18日午後5時過ぎ、JR大津京駅前にとめられた選挙カーの上で応援演説を始めた。男性は、首相の演説開始前からヤジを飛ばしており、5人ほどのスーツ姿の警察官によって、会場端の駅高架下のフェンスに押しやられた。男性はこのときも「安倍辞めろ」などと声を上げ、動こうとしたが囲んだ警察官らに止められている。

「公職選挙法で禁止されている演説妨害は肉声に対しては適用されない」 などという学者や弁護士がいるようですが、それは選挙演説の趣旨からして常に正しいとは言えないということは前に示しました⇒安倍首相の街頭演説中のヤジを朝日新聞が擁護⇒民主党時代はプラカードだけで排除

しかも演説開始前から「安倍ヤメロ」と叫んでいたとか、尋常ではありません。

最初からトラブルを起こそうとしてるでしょう。

自分の主張を広めたいなら、今ならYoutubeなどいくらでも手段があるでしょう。

 

まとめ:なぜ朝日は聴衆の権利を無視するのか

動画では既に引き離した後の場面ですが、雑踏の中で叫んでいたなら、演説を聞こうと集まってきた人の演説内容を知覚する自由が侵害されてしまいます。

野次を入れることは自由ですが、それは演説を聞きに来た人の権利を侵害しない範囲でやってもらいたい。同一内容を連呼することは、主張内容を伝えるという目的ではなく、単に演説の聴取を妨害する目的に出ているとしか思えません。

選挙の候補者の情報を伝える演説・応援演説は、投票判断を左右するものであって、民主主義の根幹をなす重要なものです。それを聞き取る有権者の権利こそ手厚く保障されるべきであり、単なる妨害目的の人間の表現の自由よりも優先されるべきでしょう。

以上

Twitterの表示が見づらい・使いづらいので元に戻す方法:PC版

PCブラウザでツイッター表示が見づらくなってるので元に戻したい。

その場合の方法を紹介します。

追記:ここで紹介した方法をするよりもアドオン機能を使った方が便利です↓↓↓参照

Twitterが見づらいので旧UIに戻す方法:GoodTwitterをアドオン 

Twitterの表示が見づらい・使いづらいので元に戻す方法

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画面左側の「」とある部分をクリック。

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「設定とプライバシー」をクリックします。

ちなみに、「表示」をクリックしても別の操作になり、元の画面には戻れません。

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この画面から「Twitterについて」をクリック

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右側に「プロフィール一覧」があるのでクリック。

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この画面に遷移する際に、タブが新たに開かれるはずです。

最上部のタブのどれかをクリックすると、元の表示に戻れます。

自分のアイコンをクリックした場合はもうひと手間かかります。

どこかの画面の状態でブクマすれば、次回以降はここまでの手順をスキップできます。

スマホのウェブブラウザでやるとアプリに誘導される

ちなみにこの操作、スマホのウェブブラウザ版でやると、最後の画像の画面になった後はアプリに誘導されます。

この画面表示は非常に見にくい、使いづらいという人が多いようですが、なぜこうなったのか。

私としては、通知欄でリプライや引用リツイートをクリックすると画面遷移して元に戻りにくいのが嫌ですね。バックグラウンドで通知が表示されていた方が便利だと思います。

ただ、DMを多用する人にとっては、メッセージの相手先一覧とDMの内容が並列表示になっており、便利だと思います。

元に戻しても、また戻される

元の画面に戻しても、再度他人のツイートをクリックして表示しようとすると、また画面遷移して元に戻るということが分かりました。

元の画面表示に固定する方法は見つかっていません。

 

以上

り地域終了:韓国のホワイト国除外でWTO提訴は不発に終わる

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韓国がリスト規制品3品目の輸出手続きを通常の対応に戻された措置について、WTOに提訴すると言っています。

メディアでは「日本側にGATT21条の例外事由があるのか?」という視点だけが報じられていますが、なぜか韓国側の事由はあるのか?という視点がありません。

結論から言うと、韓国側の主張の根拠は、ホワイト国からの除外で空振りに終わると思われます。その根拠を示します。

リスト規制とキャッチオール規制

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最初に安全保障輸出管理制度について簡単におさらい。

安全保障関係の輸出については原則として許可制になっています。

リスト規制」とは政令で定めた品目ごとに規制対象となるものです。

経産省が7月1日に公布し、4日に施行した韓国向けの半導体製造品目3種類に優遇撤廃措置とは、リスト規制の話です。いわゆる「ホワイト国」と呼ばれている国向けの場合には一般包括許可として、輸出申請手続きの大幅な簡略化が行われていますが、そうではない国も多くは特別一般包括許可がなされています。

キャッチオール規制」とはリスト規制品目以外の全品目が対象になりますが、許可が必要となる要件としては上記表のようなおそれがある場合に限定されています。

韓国はまだホワイト国から除外されていませんが、7月24日まで行っているパブリックコメントの結果を受けた後に除外する方向で動いています。政府によればパブリックコメントは98%が除外に賛成だということでした。

リスト規制品の韓国を仕向地とする輸出の優遇廃止

リスト規制品の韓国を仕向地とする輸出について優遇廃止をするとどうなるのか。

これまでは、輸出企業に輸出管理体制の整備を求めその替わりに個別の審査は企業に委ねる方式だったのが、経産省で個別審査をする方式に変わると言う事です。

輸出企業に対する措置であって、韓国に対して直接行う措置ではないということです。

決して「輸出禁止措置」などではありません。

審査の結果、怪しい取引の場合には輸出できなくなる企業が出てくる場合があり得ますが、通常の取引で手続をしっかりと行っている企業であれば何ら問題もなく審査が通るということです。

ホワイト国以外の他の国々を仕向地とするはこの方式で輸出しているのですからね。

標準処理期間は90日

輸出許可・役務取引許可に係る審査期間等について(お知らせ)平成11年6月18日 貿易局安全保障貿易管理課によれば、経産大臣による輸出許可の標準処理期間は90日であるとされています。

他に定められている場合には、より早い処理期間が設定されています。

標準処理期間は、通常、「行政手続法」に基づいて行政庁が定めるものですが、標準処理期間そのものが法令に規定されている場合等は、上記に記載されていない標準処理期間もあります。

リスト規制品の標準処理期間は90日とされています。

これまで韓国向けのフッ化水素・フッ化ポリイミド、レジストは一般包括許可により審査不要だったものが、この処理期間を標準とする審査手続きを要することになります。

ただ、あくまで「標準」なので、元経産省貿易管理部長の細川昌彦氏によれば、これよりも早く許可が降りることが多いようです。一般的に30日、もっと早い場合もあるということです。ただ、確認に時間がかかる案件の場合には90日を超える場合もあるということです。

90日より早く「許可を出さない」処分がなされるのかは不明ですが、90日を超えて輸出許可が降りなければ、企業としては文句を言えるということです。

ここまでの情報を元に韓国のWTO提訴の中身を評価していきます。

韓国はWTOへ提訴予定

WTOで韓国が「政治的報復」と撤回要求 日本は反論 - 産経ニュース

7月10日、WTOの物品貿易理事会で韓国側が日本による半導体材料の優遇停止についてGATT1・11条を根拠に即時撤回を求め、日本側はGATT21条の例外に当たるとしてWTOの規範に違反しないと反論したようです。

これは元々予定していた理事会だったので正式な手続きではないですが、韓国側は23~24日、スイス・ジュネーブで開かれる一般理事会で公式協議をする方針です。

日本の輸出規制措置、WTO一般理事会で協議 | Joongang Ilbo | 中央日報

韓国は日本側には7月3日にWTOの紛争解決協議を要請しましたが、日本側は事務説明会には応じたものの、協議の性質のものではないと一蹴しています。

韓国側「日本政府に『二国間協議』要請」…韓日WTO紛争解決に第一歩 | Joongang Ilbo | 中央日報

さて、韓国側はGATT1条・11条違反だと言ってるのですが、その主張は通るのでしょうか?

GATT1条の最恵国待遇と11条の輸出総量規制

関税及び貿易に関する一般協定(GATT)では、一般最恵国待遇と数量制限の一般的廃止が規定されています。

最恵国待遇は、いずれかの国に与える最も有利な待遇を、他のすべての加盟国に対して与えなければならないというもので、関税を含むすべての規則及び手続に関して原則として適用対象としています。

輸出総量規制とは、「関税その他の課徴金以外のいかなる禁止又は制限も新設し、又は維持してはならない」と一般的禁止を規定しているものです。

それに対してGATT21条では安全保障上の問題である一定の場合には、それらの規定の違反にはならないという例外を定めています。

メディアでは「日本側にGATT21条の例外事由があるのか?」という視点だけが報じられていますが、その前に韓国側の方で「不利な条件」「輸出量制限」の事実を立証しないといけません。

韓国側のあり得る主張

  1. リスト規制品の韓国向け輸出が不許可になった場合、それはGATT11条違反
  2. 韓国をホワイト国から除外した場合、他のホワイト国よりも不利な待遇であるため、日本の輸出管理はGATT1条違反状態になった
  3. 他のホワイト国では優遇されているリスト規制品の輸出許可について、ホワイト国たる韓国だけが差別を受けている状態が違反(1条の問題?)

韓国が日本の違反として主張し得るものは上記3つが考えられます。

しかし、上記1はホワイト国以外の他の国向けの輸出については行われ得る話であって、2は現在も仕向地ごとの「格差」はあります。

これらは文言上はWTOルールに違反しているかのように見えても、国際社会が共通理解を持って受け入れてきたものです(参考)。輸出管理規制の運用は各国の裁量なのが常識になっています。

したがって、上記1と2が仮にWTOにおいて違反だとされたなら、他の世界中で行われている、しかも韓国も行っている措置がWTOルール違反だということになります韓国は世界中から白い目で見られる所の話ではないでしょう、提訴の時点で。

そんな主張が通る訳も無いですし仮に主張してきたとしても日本側がGATT21条の例外事由を示せば足ります。韓国への積荷が安全保障上の懸念になり得る事案が複数発生していますので、それらが世界中に曝されることになるでしょう。例えば以下の事例。

C4ADS北朝鮮調達網報告書:美濃物流・瑞祥から韓国釜山経由で北朝鮮へ車を密輸

そこで、実際上は上記3番の主張を考えていると思われます。これが唯一「韓国だけが被っている被害」と言い得るからです。

しかし、これは不発に終わります。

なぜなら、そのような状況は発生しないことがほぼ確定しているからです。

「り地域」だけが「差別」なのはホワイト国除外までの話

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韓国がホワイト国の中で唯一、リスト規制品の輸出先として一般包括許可の指定から外れたということは、ホワイト国の中で異なる扱いをしていると言えるでしょう。
※それでも特別一般包括許可の対象になっている品目があり、「最底辺の扱い」ではなく、他の国全体からみれば比較的優遇されている。

安全保障貿易管理**Export Control*関係法令:改正情報

包括許可取扱要領

安全保障貿易管理**Export Control*仕向地

しかし、それだけで韓国に何らかの不利益が生じているわけではありません。実際に韓国向けの半導体製造3品目が輸出不許可になって初めて「不利益」が生じたと考えられます。

実際、日本の措置がWTOルールに照らして厳しい、と主張する論者ですら、「仮に輸出不許可になったら」という条件付きで論じています。

しかし、韓国がホワイト国であるままそのような事態が起きる可能性は無いでしょう。

「ホワイト国なのに差別」の事実が無くなる

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リスト規制品の標準処理期間は90日であるという話をしました。

理論上は90日以内に輸出不許可処分がなされる可能性はあるものの、実際上は不許可処分になるようなケースはそれほど早い時期になされることは無いと考えられます。

よって、現実に不許可処分がなされるケースが発生する前に、韓国はホワイト国から除外されるという見立てができます。

すると、韓国の主張としてあり得る「他のホワイト国では優遇されているリスト規制品の輸出許可について、ホワイト国たる韓国だけが差別を受けている」という事態が存在しないことになります。

8月以降は、「既にホワイト国ではない韓国」になるのですから。

また、WTOのルールでは紛争解決のための協議要請をしてから30日以内に協議をしなければならないという規定がありますが、WTOへの提訴をするとすれば、ホワイト国からの除外後になるでしょう。

韓国が主張しようとしていた根拠が無くなることになります。

まとめ:り地域消滅か?

  1. 韓国が事実上主張できる可能性があるのは「ホワイト国の中での差別」
  2. しかし、輸出不許可処分の実害が発生するとしてもホワイト国からの除外後
  3. よって、韓国がWTO提訴時には「ホワイト国の中での差別」は不存在に

経産省の規定上、現在は韓国がホワイト国であるが、ホワイト国(い地域)とは異なる扱いにするために、便宜上「り地域」に分類されています。

ホワイト国から除外された後はその必要もなくなるので、もしかしたら「り地域」という分類は消滅するかもしれませんし、いちいち改正するのも面倒だということであればそのまま残ることになるかもしれません。

以上

 

C4ADS北朝鮮調達網報告書:美濃物流・瑞祥から韓国釜山経由で北朝鮮へ車を密輸

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北朝鮮が制裁を逃れて自動車を密輸していたことについて、米の民間研究機関であるC4ADSが報告書を公表しました。そこでは車(メルセデス)の密輸に関して日本も経由地に入っているのとのことです。

報告書は膨大なので、日本に関係する部分の概要だけ示します。

C4ADS北朝鮮戦略的調達網報告書のメルセデスの密輸ルート

Lux+&+Loaded.pdf

北朝鮮にメルセデス車がどのように密輸出されていたのかが書いてあります。

①オランダのロッテルダム⇒②チャイナの大連⇒③日本の大阪⇒④韓国の釜山⇒⑤ロシアのナホトカ⇒⑥北朝鮮の平壌

大枠でこのようなルートで北朝鮮に密輸されていたと書いてあります。

日本として気になるのは、大連⇒大阪⇒釜山⇒ロシアのルートでは「美濃物流」「미노로지스틱스=ミノロジスティクス」「瑞祥株式会社」が関与していることです。

美濃物流と미노로지스틱스=ミノロジスティクス、瑞祥株式会社

Lux+&+Loaded.pdf

海運会社の代表者はまた、日本の登録商社である瑞祥株式会社が中国、大連到着時にはメルセデス車の荷受人として登録されていることを確認しました。

Lux+&+Loaded.pdf

しかし、日本と韓国の「美濃物流」企業は直接の企業関係を持っているようには見えないが、ミノロジスティクスジャパンの執行役員の居住地は日本の尼崎にあるZuisyo Co.、Ltd.の登録住所と一致している。

この報告書では、大阪の美濃物流株式会社미노로지스틱스=ミノロジスティクス瑞祥株式会社(Zuisyo Co., Ltd.)は実質的に同一運営主体ではないかと指摘しています。

Zuisyoの登録住所は、住宅街にあるアパートのようです。

瑞祥株式会社の情報 国税庁法人番号公表サイト

DN5505のAIS信号(位置情報信号)が消える

Lux+&+Loaded.pdf

韓国の釜山に到着してから1日以内に、メルセデスはトーゴ船籍の一般貨物船であるDN5505に移送されました。 DN5505が釜山からメルセデスを去った直後、そのAIS信号は韓国極海で消え、ロシア極東のナホトカの報告された目的地に向かって航海しました。この積荷の船荷証券によれば、荷送人はZuisyo Co.、Ltd.であり、荷受人はMarshall Islandsに登録されたDo Young Shipping Co.、Ltd.であり、これもDN5505の所有者および船舶管理者です。

Zuisyo Co.、Ltd.(瑞祥株式会社)とDo Young Shipping Co.、Ltd.が、いずれもDN5505という船舶の所有者及び管理者として登録されていたとあります。

美濃物流株式会社の徐正健社長のコメント

美濃物流株式会社・大阪・徐正健

北朝鮮が制裁逃れ車密輸 日本も経由か 米研究機関が報告書 | 魚拓

大阪の物流会社「驚いている」
アメリカの研究機関の報告書で密輸に関わったと指摘された大阪 西区にある物流会社はNHKの取材に対し「中国の大連から韓国のプサン(釜山)にベンツを積んだコンテナを輸送しただけで、それが北朝鮮に運ばれているとは思いも寄らず、驚いている。意図的にしたことではない」と説明しています。

報道にもなっています。

ロッテルダム⇒大連⇒大阪⇒釜山⇒ロシア⇒平壌

How North Korea’s Leader Gets His Luxury Cars - The New York Times

こちらの動画で流れがよくわかるようになっています。

まとめ

この報告書で報告された日本関連の積荷は自動車であること、日本からダイレクトに北朝鮮に車が輸出されたわけではなく、韓国の釜山を経由していたということは認識しておくべきでしょう。

これは日本政府の言う「不適切な事案」に含まれるかというと、品目が自動車なので、たぶん関係ないと思われます。経産省は韓国側に確認しても応答がないことを不適切な事案の中核に捉えているようです。

ただ、日本も含めて輸出入の管理を厳密に行う必要性を再認識させられる事案であることは間違いなく、輸出入国間のより緊密な連携が不可欠であるということは言えるでしょう。

以上