事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。リンク切れに備えて魚拓を活用しています。

報道特注:国民民主党の津村啓介議員の女性天皇・愛子天皇容認論その3

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国民民主党の津村啓介議員の女性天皇容認論の報道特注番組の第三弾。

今回は時系列ごとに発言を要約しながら記述していきます。

国民民主党の津村啓介議員の女性天皇・愛子天皇容認論その1 

国民民主党の津村啓介議員の女性天皇・愛子天皇容認論その2 

旧皇族・伏見宮家と皇別摂家と「君臣の別」

津村「男系男子に拘るのであれば、旧宮家よりも(血が)近い人たちが居る。江戸時代に宮家を作るお金がないから近衛家・鷹司家・一条家など特別な五摂家に皇室から養子に出していた。」

足立「男系男子の子孫の存在は精査すべきで名簿を作らなければならない。宮内庁はそれをやってない」

津村「そこが肝で、皇統譜に載っているのが皇族で、載っていないのは平民というか基本的には下々の者。一旦下々の者になったら宇多天皇とか極短期間での復帰の例外はあるが、基本的には誰の子か分からない世界になっていた。なぜなら戸籍が無いから。宮内庁などは昔は無かったから。皇統譜の管理外は誰が誰というのは自己申告でしかなかった。例えば徳川家は神武天皇の男系男子と、もともと清和源氏の嫡流or傍流と説明しているので。織田信長も桓武平氏の子孫だとか、ルーツを辿れば神武天皇につながるとなっている。しかし、それは自分たちの家系を守るための誇りを維持するための話であって、皇統譜は別。血筋だけ見て神武天皇と近いからといって皇位継承権者とはならない。」

足立「整理できる範囲で整理すればいい。あかんと言ってしまっては分からないけど、客観的に証明できる男系男子の議論はできると思う」

生田「男系男子というのであればそこの議論を大いにすべき」

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「皇統譜に載っているのが皇族、そうでないのは平民」という津村議員の指摘。

これは【君臣の別】という皇室の基本的なルールを指しています。

「特別な五摂家」は【皇別摂家】と呼ばれますが、皇族ではなく民間人です。

さて、皇籍復帰は「君臣の別」に反する話なのか?

という点は一つのポイントだと思います。この点については後日説明します。

津村啓介の指摘するDNA検査と男系男子の皇位継承

津村「今はDNA検査が可能。繋がってないということまでが容易に証明できてしまう世界が来てしまっている。ただ、皇統の世界にそういった科学を持ち込むのは良くない。そういう考えは近づけてはいけないと思う。そういった議論を持ち込むと「本当にそうなのかと」突っ込み所満載の議論になってしまう

生田「皇族は伝統の大元締めみたいなもの。その弥栄を守るための議論をするのに、愛子天皇というのはちょっと突拍子もないのでは?」

津村「我々の論も男系という伝統には反していない。女性天皇は過去にも居たし、その先の子の話はまだしていないから。」

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科学を皇統議論、皇室に持ち込むということの懸念は確かにあります。

男系維持派から唱えられた「Y染色体理論」がその際たるものです。

これについては以下でその誤謬を徹底的に指摘しています。

【男系カルト】「神武天皇のY染色体」理論はなぜトンデモなのか

【皇位継承】Y染色体遺伝子理論という劣化保守擬きのエセ科学が誤りである理由

悠仁親王殿下が居る中での女性天皇・愛子天皇論

足立「悠仁親王殿下がおられる中での愛子皇太子・愛子天皇というのは、作りたい理想、作りたい世界が前提にあって、それを進めようとしていると思ってしまう」

津村「この点については私は結構コンサバティブだと思っている。もう一つポイントがある。我々の案では同じ系統内であれば男子を優先する。今までの伝統からするとどうなんだと言われるが、立憲民主党などはとにかく直系長子だという。しかし、私たちはたとえば愛子さまに弟ができたら皇位継承順位はその弟が1位になる。世論調査で決めることではないが、女性天皇に賛成というのが8割近く居る。」

足立「ちゃんとわかって回答しているかという問題がある」

敬愛の念・敬慕の念と象徴天皇制下での皇統論

足立「敬愛の念・敬慕の念は象徴天皇制の下で語る際に無視できないと思う。皇室典範特例法の際に、上皇陛下は行幸しなくともよいのだと、祈っていればよいんだと、いわば寝ててもいいんだと、そういう議論があった。それに対して上皇陛下はあかんと。私たちが作ってきた象徴天皇の在り方はそういうものじゃないんだと。やはりそれは被災地をまわり、慰霊の旅に出る。そういうものなんだと。そうすると、男系男子一辺倒の議論というのは、象徴天皇制とは違う。」

生田「よくわかんねぇなぁ」

足立「男系男子とともに敬慕の念は必要。だから直系を大事にする。しかし、直系を重視し過ぎると愛子天皇論になるが、そこまでする必要=立法事実がないでしょと。そこで、男系男子と敬慕の念を両立させようとするとプリンセス(内親王世襲制)となる。次の世代の皇族を待つためのもの」

津村「似たような発想は歴史的にもある。旧宮家や藤原の摂関家などは代々そこから后が生まれてきた。」

津村「憲法の話をしようとすると「そんなのは無視して皇室の伝統だ」という声もあるが、現行憲法が敗戦後に天皇の地位を護ってきたということもあるので大切。憲法には「皇位は世襲」と書いてある私は現天皇からの世襲であると言っている。みんなは神武天皇からの世襲だというが、出発点は現天皇だと思う。30親等は「世襲」じゃないよねと。上皇陛下からすると、愛子さまも悠仁さまも直系の2親等。しかし、天皇陛下からすると愛子さまは直系の1親等だけれども悠仁様は傍系の3親等。男系というワールドで言うなら愛子殿下と悠仁殿下では圧倒的にこっち(愛子殿下)が世襲なわけです。これは憲法論の話。」

足立「憲法の話というなら70年前からそうなってなければならないのでは?」

津村「それは逆転したということはないハズ」

足立「皇室典範と憲法がパッケージとしてある。憲法論も立法事実がある範囲内でなければならないのでは?立法事実にこだわらないと合意形成できないから。津村さんの議論としては分かるが国会の総意としてまとまるのか。」

津村「それはこれからの議論。皇室典範特例法で議論するべきとあるので議論はする。自民党からも勉強会が始まってるし議論が出てくると思う。ただ、答えは何が正解とかはないと思う。だんだん収斂していく、その中で分かる話だと思う。

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ここは相当注意が必要なところです。

象徴天皇制「だから」国民の敬愛の念が大切になったのか?

昔は天皇・皇室に対する国民の敬慕の念は無かったのか?

それはどういう価値観・憲法解釈から来てるのか?

動画内では明言されていませんでしたが、憲法1条「日本国民の総意」と現行憲法の8月革命説が下敷きになっていることが透けて見えます。

日本国憲法第一条と皇位継承:天皇の存在は「日本国民の総意に基づく」の誤解と女系天皇・女性天皇

そして憲法2条の「皇位は世襲のもの」も問題になります。 

憲法2条「皇位は世襲のもの」と大日本帝国憲法の「万世一系」の定義・意味とは

さらには「30親等」をどう考えるか。津村議員は憲法論として論じていましたが、伝統から考えた場合の結論は以下。

五世の孫の原則・五世の孫の幻想|Nathan(ねーさん)|note

AAゴールデンエイジの愛子天皇と芦田愛菜総理

AAゴールデンエイジとは、愛子天皇と芦田愛菜総理が存在するという仮定をしたネット上の空想短編小説です。

AAゴールデンエイジ - AAゴールデンエイジ(OjohmbonX) - カクヨム

ツッコみ所はたくさんあるが…と津村議員も言っています(笑)

しばらくこの話が続きます。

生田「これを例に挙げたその云わんとするところは何か?」

これを受けて次の項の話に移ります。

男系天皇と将来の価値観

津村「これから何十年後かには、現在の我々の価値観とは異なる状況が起こることは絶対ないとは言い切れない。イギリス王室だったら外国人の奥さまということもある。たとえば何で民間人が皇室に嫁ぐのか、正田美智子は論外だ、小和田雅子は論外だということがあった。そういう意味で幅広い議論を最初から排除してはいけない。

足立「皇統の議論をする理由に立ち返ると、放っておいたら皇室が途絶えるから。何か理想を実現するためではなく、皇室の弥栄をどう実現していくか。やらんでもええことをわざわざする必要があるのかというのが頭にある。皇室典範を変えようとすれば内閣法制局から必ず立法事実は何かと言われる。」

津村「最初に立ち返ると、皇室典範特例法(の附帯決議)で皇位の安定的継承について議論しましょうとあるから。皇位の安定的継承に不安があると言っている。男系という古来の伝統を維持しつつ女性天皇を認める案もあれば、更に女系も認めようとする案もあって、私たちからすればまだ気が早い、ニーズがないよとは思う、議論をする必要性はないというような論もある。」

足立「僕も女系天皇は無いと思っている」

生田「まずは男系男子をどう継承していくのかその可能性を探る議論するのが最初なんじゃないかなぁ」

津村「いろんな議論を同時並行でやっていくというのが大事

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対立軸が見えることで明確に見えてくる伝統もあると思います。

報道特注でこの企画をしていることは同じような意識があるのだと思いますし、私がこうやってまとめているのも、そういう理由からです。

なお、皇室は奈良時代から民間の后を迎え入れているという歴史があります。

まとめ:報道特注の津村啓介議員特集が完了

足立「これ(皇統の安定的継承のための施策)を今、議論すべきだと言う津村さんの真剣さは我々と共通している。なぜ今日、津村さんを野党で最初の人として呼んだか分かるでしょ?

生田「分かる!」

津村「立憲の山尾さんなども呼んでみんなで議論しましょう」

生田「これはもっと深めていきましょう」

足立「この動画を3回分見てもらって、そのコメントを書いてもらって、そのコメントを拝見しながらやっていきましょう」

生田「今日は非常に建設的なお話になりました。ありがとうございました!」

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たしかに与党系の議員でオープンの場で長尺で皇室論を語るという方はほとんどいないですね。青山繁晴議員や和田政宗議員などごく少数の方が発信しているイメージです。

ただ、男系男子論や女性天皇論や女系天皇論について、滔々と説明したり同じ意見の者同士で確認し合うことはあっても、対立する見解の者と席を同じくして説明するという状況に出てきている方というのは希少です。

この動画内で知らなかった歴史の事実を学びました。

伝統を護ろうとする者は、決まった説明を繰り返して唱えることに留まらず、これを受けてどう説明をしていくかが大切なんだろうと思います。

以上