事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

ヒューマンライツナウ、WAMの慰安婦性奴隷プロパガンダ:杉田水脈の質疑書き起こし

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令和元年5月29日内閣委員会での杉田水脈議員の質疑について、主な内容である昨年3月9日の質疑に関連した部分だけ書き起こしました。

昨年の質疑と同様に議事録の公開が1年以上先延ばしになる可能性があるからです。

膨大な内容なので、項目建てをしながら記述していきます。

令和元年5月29日内閣委員会での杉田水脈議員の質疑

○杉田委員 さて、4月17日の内閣委員会において、立憲民主党の大河原雅子議員より、昨年3月9日の内閣委員会で私が行った質疑について言及がありました。私の質疑の際に名前を挙げたNPO法人ヒューマンライツナウから議事録の削除を求める抗議があったこと、また、その他の民間団体の名称を挙げたとして私が国会議員の免責特権を悪用し、到底許されるものではない質疑を行ったというものでした。質疑を行った昨年3月9日、立憲民主党は審議に応じず、内閣委員会を欠席していました。また、議事録も先日まで未公開にされていたため、あたかもその場にいらっしゃったかのようなご意見には事実誤認もあるようですので質問に入る前に申し上げます。

※杉田議員の昨年の質疑は【第196回 国会 衆議院 内閣委員会 2号 平成30年3月9日】です。
※大河原議員の質疑は【第198回 国会 衆議院 内閣委員会 13号 平成31年4月17日】です。

国会議員の免責特権と大河原議員の「到底許されない行為」発言

日本国憲法では国会議員が議院で行った演説討論評決に院外で責任を問われないことが定められています。大河原議員は何ら根拠に基づかずレッテル張りを行ったと言いますが、根拠がありまして質問をしておりますので、本日は改めてその根拠を示してまいりたいと思います。

また、日本政府の見解と異なる日本の国際的評価を貶める見解を流布する民間団体の言論についてこれも憲法で保障されている言論の自由ですので、日本政府の公式見解はこうですよという指摘は致しますけれども、彼らの言論を封殺するつもりは私はまったくございません。大河原議員につきましては、到底許されない行為だというご認識であったとしても、私は、国内外における事実ではないプロパガンダによって、過去と未来の日本国と日本人の名誉と人権が貶められることは国益を損ねること以外の何者でもないと深く憂慮しており、事実に基づいた正しい認識を流布していくことは日本の国会議員として当然の責務として認識しております。ですので、政府に対して現状を認識し、政府一丸となって、また、官民が連携して正しい認識の普及に取り組んで頂きたいと、国会の場でお願いをしているわけでございます。むしろ議事録の削除を求める行為こそ、国会議員の自由な討論に対する言論の封殺ではないでしょうか。

また、大河原議員は、私が国会において民間団体を名指しして質疑を行ったことが到底許されない行為だと言いましたが、立憲民主党をはじめ、野党の先生方も特定の学園などを名指しして何度も質問を行っておりました。これも到底許されない行為なのでしょうか。国会において認可認定を受けるなど一定の公的要素を持つ団体の行為を議論することが議事録の削除を求められ、質疑の一年後に、到底許されないと非難される対象になるのであれば、(あーこれから全部説明しますからちゃんと聞いてください)、国会において自由な議論をすることはできなくなるのではないでしょうか。

慰安婦と性奴隷に関する日本政府の公式見解

それでは外務省におたずねします。元慰安婦の方々は性奴隷だったのでしょうか。

○外務省大鷹大臣官房審議官 お答え申し上げます。性奴隷という表現でございますけれども、これにつきましては現政府としては事実に反するので使用すべきではない、という扱いでございます。

○杉田委員 はい、私はですね、昨年8月ジュネーブの国連人種差別禁止委員会で、現地で傍聴いたしておりました。

改めてお尋ねいたします。今の答弁は、日本政府の公式見解で間違いありませんね。

○外務省大鷹大臣官房審議官 お答え申し上げます。今申上げた政府の立場はですね、いろいろな場でも申し上げておりますけれども、それは政府の公式な立場と考えてよろしいかと思います。

○杉田委員 はい、この見解は2016年2月女子差別撤廃委員会の対日審査において当時の杉山審議官の発言した内容を踏襲されていると認識しております。たとえば、慰安婦問題に関する本格的な事実調査を行い、軍や官憲による強制連行は確認できるものではなかった。強制連行という見方が広く流布された原因は、吉田清治氏の本を朝日新聞が事実であるかのように大きく報じたことが原因であり、朝日新聞自身も事実関係の誤りを認め、正式に読者に謝罪をしているということ、20万人という数字は具体的な裏付けがなく、女子挺身隊と混同して誤って広まってしまったということ、そして、性奴隷という表現は事実に反するということもはっきり述べられました。昨年、外務委員会で杉山審議官のこの発言は日本政府の正式な見解かと質問したところ、日本政府の正式見解だという御答弁でした。

ソウルで開催された韓中日日本軍慰安婦国際カンファレンスとWAM

昨年の質疑でも触れましたが、2018年2月にソウルで開催された韓中日日本軍慰安婦国際カンファレンスで、慰安婦に対する日本軍による虐殺現場の映像である公開された映像は、今回も前回と同じ資料をお配りしておるんですけれども、その資料をお配りしております通り、実は、アメリカの国立文書記録管理局には、亡くなった日本軍兵士から靴下を脱がしている中国人兵士の映像として記録されているといるもので、この映像が日本軍の慰安婦虐殺の映像というのは虚偽捏造です。

このカンファレンスに日本から参加していた団体の一つが、「女たちの戦争と平和資料館=WAM」という団体です。WAMは日本軍性奴隷制を裁いた女性国際戦犯法廷を発案し、実現に奔走した故松井やよりさんの意思を受け継ぎ会館した資料館です。今説明した内容はお配りしました2枚目の資料にありますように、WAMのHPにハッキリと明記しております。それが自らが連続性を謳っているわけですから、大河原議員の「WAMの設立は2005年なので」というのは、事実誤認であるとのご指摘は適切ではありません。

ヒューマンライツナウとWAMの慰安婦性奴隷プロパガンダ

さらに資料の3枚目をご覧ください。女性国際戦犯法廷とは、日本の慰安婦問題に関する責任追及のため、法廷を模し、昭和天皇及び日本国を強姦及び性奴隷制度について人道に対する罪で有罪という判決を出したイベントです。また、WAMの入り口の横に展示してある「責任者を処罰せよ」と題された絵、このような絵なんですけれども、このような絵なんですが、これは擬似法廷の動機の一つとなったと解説が書かれておりまして、昭和天皇とみられる男性が、目隠しをされて木に縛りつけていくつもの銃口が向けられているのです。私は日本の国会議員として、いえ、1人の日本国民として、このような絵が日本国内で公開されているということに言葉では言い表せない怒りや悲しみを覚えます。一部では2016年ユネスコ世界の記憶遺産に登録申請された日本軍の慰安婦の声にはこのような絵も含まれるのではないかと報じられています。今お配りしておりますWAMのプレスリリース、これ4枚目の資料なんですけれども、これによりますと、ユネスコ記憶遺産共同登録日本委員会の構成団体の一つがWAMであり、ホームページには記憶遺産登録の国際シンポジウムの告知や、登録を実現するための寄附の呼びかけも記載されております。また、ユネスコのホームページで一時的に公開されていた登録申請書のサマリーによると、日本の申請者は、この共同登録日本委員会であり、サマリー内にみられる資料の一部はWAMの出典であることも明記されていました。つまりWAMは、この資料の裏面の方をみなさんご覧いただきたいんですが、裏面に書かれているように、慰安婦を日本軍性奴隷制とし、それをユネスコの記憶遺産に登録申請した団体なのです。とんでもない。はい。このWAMの代表である渡辺美奈氏がニューヨークで2015年3月9日にパネリストとして参加した国連女性の地位委員会、パラレルイベントのタイトルは「慰安婦問題の真実実と正義 第二次世界大戦時の日本軍性奴隷」であり、主催したのがヒューマンライツナウ(HRN)というNPO法人でした。当法人の理事長である申 惠丰(しん へぼん)氏は、先ほど紹介した女性国際戦犯法廷に検事として参加をしておりました。HRNは、平成28年3月にアダルトビデオ出演強要被害に関する調査報告書を公表しており、内閣府は出演強要の状況等についてこの報告書を参考にし、男女共同参画会議の調査会でもヒアリングを行っています。私はAVの出演強要は絶対にあってはならないと思っておりますし、一件でもあってはいけないというふうに思っております。大河原議員は、慰安婦問題とAV出演強要問題は、何ら関係がございませんとおっしゃっておりましたが、私もまったく同じ意見です。大河原議員は私があたかも関係のない慰安婦とAV出演強要問題を結びつけたかのように誤解されているようですが、現にそのようなイベントが開かれています。

AV出演強要と慰安婦問題を結びつけるWAM

2017年11月に渋谷で行われた催しのインターネット上で公開されている動画、「違約金を払え、親にばらす、と言ってまさに性奴隷のように性を搾取する伊藤和子弁護士がAV出演強要問題について訴え」というタイトルがつけられています。このリレートークにはですね、HRN事務局長の伊藤和子弁護士外、日本軍慰安婦問題解決全国行動共同代表、WAMの館長などが参加し、慰安婦問題とAV出演強要被害を結びつけてこのような催しを行っているのです。

また、昨年も紹介させて頂いたように、主催者はHRNやWAMではありませんが、お配りしている5枚目の資料になります。平成28年8月に行われた「語り始めた被害者たち 日本軍慰安婦 AV出演強要 JKビジネス」というイベントのチラシによると、韓国の元慰安婦、キムハクスンさんが慰安婦だったことを告白した後、次々と慰安婦が名乗り出てきた状況と、AV出演強要やJKビジネスの被害者が次々と出てくる状況が酷似していると書かれています。当日委員会にご出席されていたならば、この資料も配布しておりましたので、勘違いされることはなかったのだと思いますが、結びつけているのは私ではないということを改めてお伝えしたいと思います。このことから私はAV出演被害者は現在の性奴隷制だ、日本軍は慰安婦を性奴隷にしていてもおかしくないんじゃないかというプロパガンダが行われることを懸念しております。

ここでHRNが2017年7月24日に国連自由権規約委員会に英語で出した意見書を直訳してご紹介をいたします。いわゆる慰安婦問題、日本は第二次世界大戦中に、日本軍によって性奴隷制を余儀なくされた慰安婦の問題に対処することができなかった。ここに慰安婦のことをはっきり「性奴隷制を余儀なくされた」、英文では"Wemen forced into sexual slavery" と表現されております。外務省にお尋ねします。これは事実でしょうか。

○外務省大鷹大臣官房審議官 お答え申し上げます。今そういった指摘がある中で政府としてきちっと対応しているのかという趣旨と理解して申し上げますと、日本政府といたしましてはですね、元慰安婦の方々の名誉回復、そして、救済措置を積極的に講じてきたということも含めまして、慰安婦問題に対する日本の考え方それから取組に対して国際社会から客観的な事実関係に基づく正当な評価が得られるよう努力してきておりますし、今後とも努力していかなければいないと思っております。なお、その中で性奴隷という表現について改めて申し上げますと、それは事実に反するものとして使用するべきではないという立場も縷々表明してきているところでございます。

○杉田委員 日本政府がこのように努力頂いているにもかかわらず、また、杉山審議官がですね、先ほどご紹介した日本政府の見解を述べた約1年半後に国連に事実と異なる意見書を提出する。私はこれを無かった事実をあったかのように偽ること、つまり捏造であり、日本の国際的評価を貶める行為であると認識しております。大河原議員の質疑やHRNの抗議及び要請書によると、慰安婦問題に関しての見解は、アジア助成基金のHPや国連人権機関からの各種勧告に基づいているとのことです。第一にアジア助成基金については、さきほど紹介した昨年の外務委員会において私から質問いたしましたところ、アジア助成基金はそこに書いてあることが全てが日本政府の公式見解得ではございません、政府は従来から一貫して政府が発見した資料の中には軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述は見当たらなかったということ、答弁を申し上げておりますし、閣議決定した形で示すということも致しております、という御答弁も頂いております。閣議決定されているんですね。

国連の機関ではなく法的拘束力のない勧告

次に、HRNや大河原議員が言う国連人権機関からの勧告というのは、条約に付随する各委員会が出す勧告を指します。みなさん、最後の資料をご覧いただきたいのですが、慰安婦問題に関して勧告を出したと報じられた、たとえば、人種差別撤廃委員会や、女子差別撤廃委員会は、国連から独立して調査を行い、勧告等の見解を出します。これらは国連人権高等弁務官事務所が事務局を担っているためなのか、報道などでは国連の勧告と言われますし、私もさきほど国連に意見書を提出したと申し上げましたが、正しくはこれは国連から独立した機関です。条約加盟国から複数の委員を選出し、委員が個人もしくは団体から申請を受け付け、勧告などの見解を出す機関で、勧告には法的拘束力はありません。また、委員は国連から任命されているわけでもありません。たとえば、人種差別撤廃員会は、人種差別撤廃条約に基づいて成立されている独立した機関で、現在は179か国が条約を締結しています。委員は独自に自国以外の178か国について詳しく調査をすることは困難なので、民間NGOやNPOから出される意見、たとえば先ほど紹介しましたHRNが出した意見書のようなものを参考にします。虚偽にかかわらずです。委員はこれらをそのまま採択することも多く見られ、また、政府が自らの意見を主張する場は無く、質問に答えられる機会しか与えられません。つまり、大河原議員やHRNが言う、国連人権機関からの勧告とは国連が公式の場で日本政府に是正を求めて出した勧告ではないということを明確にしておきたいと思います。

外務省におたずねいたします。国会議員が、私が昨年3月9日に行ったように、民間団体が行い、または公表している事実を元に国会で質疑を行うことは、脅しや報復であり、国連とその代表者及びメカニズムとの人権分野における協力に関する決議に反しているとみなされ、非難や是正を勧告されるべき事案に該当するのでしょうか。

○外務省大鷹大臣官房審議官 お答え申し上げます。国連人権理事会の第24回会期で採択されました、今ご指摘のあった国連とその代表者及びメカニズムと人権分野における協力に関する決議におきましてはですね、個人及び団体が人権分野におきまして、国連をはじめとする国際機関に妨げなく接触し、連絡する権利を再確認しております。また、その決議はですね、加盟国に対しまして、人権分野での国連をはじめとする国際機関との協力を理由とした脅し及び報復措置を予防し、かつ、行わないことを求めているものと承知しております。ご指摘の通りでございます。その上で申し上げますと、2018年に公表されました国連とその代表者及びメカニズムと人権分野における協力と題しましてですね国連事務総長の報告書がございまして、その別添の巻末の方にですね、ご指摘の会議に関しまして、国連事務局が得た情報が記載されているという状況でございます。ただ、当該状況について国連事務局は脅し又は報復措置であると認定したという事実はございません。また、政府に対して具体的な対応を求めている状況ではないというふうに認識しております。

杉田 ありがとうございました。もう一点申し上げたいんですけれども、大河原議員は報告書には、私が昨年の質疑において、NGOの国際的な発言のありかたをコントロールするよう要請したと述べておりましたが、私はNGOの国際的な発言のありかたをコントロールするような要請はしておりません。あくまで日本政府の見解や事実とは異なる情報が国際的に宣伝されていることに対し、政府は政府見解と事実を正しく広報するべきだという意見を申し上げているのであって、事実誤認によるレッテル張りをしているのはどちらでしょうか。また、NGOの発言が先ほど申し上げたような勧告に反映されやすい現状を考えれば、日本政府とNGOの関係はこれからも開発されていくべきであるという先日の大河原議員の意見には私も大いに賛成の立場であります。例えば、間違った慰安婦に関する教育の防止、誤解を招く慰安婦像を未然に防止するための運動、慰安婦についての正しい知識を普及させるための運動、こういったことを官民連携でしっかりと取り組んで頂きたいと思います。またこういったことをしっかりやっているNGOもございますので、ぜひ外務省の方はそういうところと手を組んで国際発信を強めて頂きたいと思っております。

「プロパガンダ」という言葉の意味

私のプロパガンダという発言についても、大河原議員に取り上げて頂きました。プロパガンダとは、特定の主義思想に対する宣伝を指す用語であり、批判的な単語でも差別的な単語でもありません。日本政府の見解に反し、慰安婦は性奴隷であった慰安婦は強制連行されたという主張を日本の国内のみならず、海外でも宣伝をするHRNの行為をプロパガンダであると表現することは私の自由であり、慰安婦は性奴隷ではない、強制連行もないという日本政府の公式見解を宣伝する私の行為をプロパガンダだと表現していただいても大いに結構です。私が挙げているHRNやWAMによる行為は大河原議員の言うように、何の証拠にも基づかないどころか、調査せずとも公表されている事実です。レッテルも貼っていませんし、誹謗中傷も行っていませんし、攻撃を行っているわけでもありません。また、彼らの言論を弾圧したことも、沈黙させようとしたこともありません。国会の場で事実を列挙されることや、議事録が公開されることに何か不都合でもあるのでしょうか。

改めて申し上げますが、日本国憲法では国会議員は議院で行った演説討論評決について院外では責任を問われないことが定められています。レッテルを行ったというご指摘を頂きましたが、行ってもいないレッテル張りにより言論封殺を行ったとのレッテルを張られ、そのレッテルにより国連までも利用して憲法上保障されている国会議員としての言論の封殺を試みられたのは私の方です。私は日頃より尊敬している、当日その場に居なかった大河原議員が事実誤認に基づいて委員会で質疑されたことを到底許されないと意見するような憲法を軽視した不見識な行為を行うつもりはまったくございません。

日本国と日本人を貶める民間団体のプロパガンダへの対抗

冒頭申し上げた通り、日本の国際的評価を貶めるような見解を流布する民間団体のプロパガンダについても、憲法で保障されている言論の自由ですので、日本政府の公式見解をお伝えするだけで、彼らの言論を封殺するつもりもございません。が、日本の国会議員として先ほども申し上げました、過去と未来の日本国と日本国民の名誉と人権が貶められていることを憂い、阻止を試みることは、当然の責務であります。よって、日本政府は、このようなプロパガンダが現に行われていることを認識し、外務省だけではなく政府が一丸となって、また、NGOやNPOと連携して、正しい歴史認識の普及に取り組んで頂きたいと思いますので、大河原議員に到底ゆるされない行為だとご指摘を頂いたとしても私はこの責務を放棄するうことはできません。

最後に、私が行った憲法で保障されている国会質疑が到底許されない行為だというのであれば、立憲民主党さんにおきましては、現行憲法の不備をただすため、憲法改正に向けて前向きに取り組んで頂けるということかと思います。是非、一緒に憲法改正を実現させましょうということを申し上げまして、私の質疑を終わります。どうもありがとうございました。

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まとめ:議事録はいつ公開されるのか

 

今回の議事録は、果たしていつUPされるでしょうか?

一般的な議事録の公開手順については以下を参照。

国会会議録(議事録)が検索できない理由:国立国会図書館に聞いてみた

以上

毎日新聞令和元年5月16日「前の天皇陛下はいつも座ったまま」と安倍総理大臣の発言を捏造して上皇陛下を侮辱する虚偽報道

毎日新聞が上皇陛下に関する安倍総理の発言を捏造しました。

署名記事なので記者の情報も調べました。

安倍総理大臣の発言を捏造して上皇陛下を侮辱する記事

「前の天皇陛下はいつも座ったまま」 宮内庁、毎日報道の首相発言を否定 「上皇さまの尊厳傷つけ、極めて非礼」 - 産経ニュース

宮内庁の西村泰彦次長は20日の定例記者会見で、今月14日に安倍晋三首相が天皇陛下に行った「内奏(ないそう)」について、毎日新聞が16日付朝刊で報じた「前の天皇陛下はいつも座ったままだったが、今の陛下は部屋のドアまで送ってくださって大変恐縮した」とする安倍首相の発言について、「官邸に確認したが、首相はそのような発言をしていないと聞いている」と否定した。

毎日新聞の記事はネットでは15日の21時過ぎ、翌日に紙面でも確認できます。

皇室にまつわる報道や理解については誤った情報が度々報じられています。

つい先日も安倍総理の国会答弁における発言が「旧皇族の皇籍復帰を否定した」と騒ぐメディアをよそに、産経新聞は「旧皇族すべての復帰は考えていないが、一部の方の復帰は否定していない」という趣旨だったことを報道しました。

それは過去の安倍総理の発言と整合性のあるものであったので、信憑性は高いと言えるでしょう。

「安倍総理は旧皇族の皇籍復帰は考えてない」はデマ:安倍晋三首相のGHQ発言

毎日新聞令和元年5月16日「前の天皇陛下はいつも座ったまま」 

 

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毎日新聞:令和元年5月16日朝刊

天皇陛下への「内奏」 野党が写真公表批判 「天皇の政治利用だ」 - 毎日新聞

こちらが「前の天皇陛下はいつも座ったままだった」と書いた捏造記事です。

そもそも「前の天皇」という言い回しが極めて不自然です。

「関係者」から聞いたという最も信憑性の低いソース表示であるのも気になります。

そして、この記事は「東久保逸夫」の名前が書いてある署名記事ですね。

東久保逸夫記者の評判

小沢氏処遇「玉木氏は地獄」 国民民主、お飾り拒否の「壊し屋」を警戒 - 毎日新聞

この記事も「東久保逸夫」の署名記事でした。

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なお、検索結果画面からは上記のような情報が表示されました。

毎日新聞の記事に掲載されている写真のいくつかに「東久保逸夫」とあるので、カメラマンと記者を兼任しているようです。

「天皇の政治利用」をしているのは誰か

天皇・皇室に絡めて政権批判に繋げる記事が後を絶ちません。

「天皇の政治利用」をしているのは一体誰でしょうか?

国民は見抜いていますよ。

以上

「安倍総理は旧皇族の皇籍復帰は考えてない」はデマ:安倍晋三首相のGHQ発言

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安倍総理が「GHQの決定を覆すということは全く考えてはいない」と答弁したことを受けて、「安倍総理は旧皇族の皇籍復帰は考えてない」という言説が振り撒かれています。

これは十中八九デマです。

安倍総理「GHQの決定を覆すということは全く考えてはいない」

安倍総理が平成31年3月20日、旧皇族の皇籍離脱=臣籍降下に関連した質疑に際して、「GHQの決定を覆すことは考えていない」と答弁した質疑は以下になります。

第198回国会 参議院財政金融委員会 第5号 平成31年3月20日 

○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。
 景気動向等についてお伺いする前に、昨日来、この委員会で所得税法等改正案に関連して、皇位の安定継承という観点から、天皇家の所得税や相続税の在り方について、渡辺委員からもるる御質問があって、私も今日も午前中、それに関連した質問をさせていただきました。その観点から先にこの質問をさせていただきます。
 今日、宮内庁に来ていただいていますが、敗戦後、GHQの指示によって皇籍離脱をした宮家及び男性皇族の人数をお聞かせください。
○政府参考人(野村善史君) お答え申し上げます。
 昭和二十二年十月十四日に皇室典範の規定に基づき皇室離脱をされたのは十一宮家であり、男子は二十六方と承知しております。
○大塚耕平君 総理、代表質問でも一度お伺いしたことがあるんですが、総理は、御自身の所信の中で、あるいは予算委員会の答弁の中で何度も戦後政治の総決算ということを言っておられるんですが、GHQの指示に基づいて皇籍離脱をされた宮家や皇族がこれだけいらっしゃるということについて、これを是認するお立場でしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 是認というのは、皇籍を離脱された方々が、言わば皇籍を離脱したということについて、それを認めるかどうかということ、という御質問でございますか。
○大塚耕平君 いや、私がお伺いしたいのは、総理は戦後政治の総決算ということを何度もおっしゃって、もう六年も総理を務めておられる。大変長期間お務めになっておられることに敬意を表したいと思います。
 しかし、戦後政治の総決算というならば、せんだって私は日米地位協定の見直しについて質問をさせていただきました。米軍との関係の問題、それから、我が国にとってポツダム宣言を受諾した後に占領された北方領土の在り方、これらについてるる質問をさせていただいておりますが、総理からは、戦後政治の総決算という決意の割には、それに適合するような御答弁をいただけていないような気がいたしております。
 同様に、このGHQの指示に基づいて十一宮家と二十六人の皇族の方が皇籍離脱をしたという、これをこのままにしておいて本当に戦後政治の総決算ができるというふうにお考えですかという質問をさせていただいております。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 皇籍を離脱された方々はもう既に、これは七十年前の出来事で、七十年以上前の出来事でございますから、今は言わば民間人としての生活を営んでおられるというふうに承知をしているわけでございます。それを私自身がまたそのGHQの決定を覆すということは全く考えてはいないわけでございます。
 他方、恐らく皇位の継承との関係で御質問されているんだろうと、こう思うわけでございますが、同時に、この安定的な皇位の継承を維持することは国家の基本に係る極めて重大な問題であると考えておりまして、男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえながら、慎重かつ丁寧に検討を行う必要があると、このように考えております。

この部分が「安倍総理は旧皇族の復帰を否定」と言われているところです。

しかし、この認識は後に誤りであることが分かりました。

安倍晋三首相「11宮家全部の復帰」を考えていないだけ

【新元号】安定的な皇位継承の確保を検討 男系継承を慎重に模索(1/2ページ) - 産経ニュース 平成31年4月1日

(旧11宮家の皇籍離脱は)70年以上前の出来事で、皇籍を離脱された方々は民間人として生活を営んでいる。私自身が(連合国軍総司令部=GHQの)決定を覆していくことは全く考えていない

 安倍晋三首相は、3月20日の参院財政金融委員会でこう述べた。これが首相が旧宮家の皇族復帰に否定的な見解を示したと報じられたが、首相は周囲に本意をこう漏らす。

 「それは違う。私が言ったのは『旧宮家全部の復帰はない』ということだ

 また、首相が女性宮家創設に傾いたのではないかとの見方に関しても「意味がない」と否定している。

実際には「11宮家すべての復帰」は考えていないという意味のようでした。

検索をかけると、4月1日のこの発言よりも3月20日の「全く考えていない」というものを受けた報道や認識が目につきます。

メディアのほとんどは、「旧宮家全部の復帰はない」と言ったことを、意図的に無視しているかのようです。この点は産経以外に報道している所が見つかりません。

産經の記事の信憑性は、過去の安倍総理の発言からも裏付けられます。

安倍総理は旧皇族の限定的復帰の考えを持っていた

文藝春秋 2012年 02月号 94頁~
軌跡 安倍晋三語録/安倍晋三/海竜社編集部 においても掲載)

旧宮家の復活を

 では将来にわたって「男系」を維持するための方策はあるのだろうか。まず思い出すべきは、かつて敗戦時にGHQによって臣籍降下された旧十一宮家であろう。
 後継者がなく絶家になったところもあるが、少なくとも賀陽家や東久邇家、竹田家などには男子がいらっしゃる。しかもこの方々は、いずれも父方をたどれば天皇家に連なる。歴とした「男系男子」なのだ。
 そうした考えに対して、「旧十一宮家と今の天皇家との共通の祖先は南北朝時代の北朝・崇光天皇まで、六百年もさかのぼらなければならない。あまりに遠いのではないか」との反対意見もある。
 しかし、過去においては、武烈天皇と継体天皇との間には十親等約二百年、称徳天皇と光仁天皇には八親等約百三十年、称光天皇から後花園天皇には八親等約百年の隔たりがあるように、そうした隔たりは決して珍しくないのである。また、天皇陛下の姉にあたられる成子さまが、東久邇家に入られたように、旧十一宮家は天皇家と姻戚関係も含め、密接な関係を築いてきたのである。
 敗戦という非常事態で皇籍を離脱せざるを得なかった旧宮家の中から、希望する方々の皇籍復帰を検討してみてはどうだろうか。
 皇室典範改正とまでいかずとも、占領体制からの復帰という観点からの特別措置法の制定により、皇族・衆参両院の正副議長・内閣総理大臣・最高裁判所長官などからなる皇室会議の議を経て、皇族たるにふさわしい方々に復帰していただくということになろう。
 ただし、敗戦後長きにわたって民間人として過ごされた方々が急に皇族となり、男系男子として皇位継承者となることに違和感を持つ方もおられよう。そうした声が強ければ、皇籍に復帰された初代に関しては皇位継承権を持たず、その次のお子さまの代から継承権が発生するという方法も考えられよう。
 あるいは、すでに国民に広く親しまれている三笠宮家や高円宮家に、旧宮家から男系男子の養子を受け入れ、宮家を継承していく方法もある。現行の皇室典範では、皇族は養子をとることができないことになっているが、その条文だけを特別措置によって停止させればよい。
 一部には、「女性宮家」を創設した上で、旧宮家から男系男子を迎え婚姻させればよい、という意見もあるようだ。女性宮家と男系維持を両立させた案である。そう事が運べば確かに慶事である。しかしながら、男女の自由意思を超えて、婚姻関係を法律で定めることなどできるだろうか。あるいは関係者が働きかけをしたとしても、衆人環視のような環境で婚姻が成立するのだろうか。

この発言からは、安倍総理は以下の考えを持っていたことになります

  1. 皇籍復帰を希望する者の中から皇族に相応しい方の復帰を認める
  2. 反対が強ければ次代から継承権が発生するという方法が考えられる
  3. 或いは現存の宮家の養子として受け入れる
  4. 女性宮家には懐疑的

皇籍復帰を希望する人の中から決めるという方針でしたから、すべての宮家を皇籍復帰させるとなると、希望しない方も皇籍復帰させることになるため、それには反対である、という意味だったと捉えることが可能です。

まとめ:旧皇族・旧宮家の皇籍復帰の形を具体化せよ

いずれにしても、安倍総理が旧皇族の皇籍復帰をまったく考えていないというのは間違いですね。

私は、「希望者を募る」という方法が「国家の側からの打診に対して否定しなかった者を復帰させる」という意味であれば好ましいと思います。最初に希望聴取ではなく、まず国家の側がお願いするべきだと思います。

現段階は具体的な制度論を述べるべきフェーズに移行していると言えます。

そのような意味で、橋下徹氏が主張する「抽象論で終わるな」という指摘は正当だと言えるのではないでしょうか。

以上

 

 

丸山ほだか議員の「戦争発言」は憲法尊重擁護義務違反なのか

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丸山ほだか議員の「戦争発言」は憲法尊重擁護義務に反すると主張する者が居ます。

それはおかしいですよね、という話。 

憲法99条の憲法尊重擁護義務の意味とは

主に共産党系の人間が99条についていいかげんなことを口走っているので、正しく理解していきましょう。

憲法尊重擁護義務の法的性質

憲法尊重擁護義務は法的義務ではなく、道徳的倫理的な義務と解されています。*1

この義務違反の効果は政治の場でその責任が追及されるにとどまり、それだけで何らかの裁判が行われることにはなりません。

地裁判決ですが99条の法的性質についての先例とされるものは以下判示しています。

東京地裁昭和33年7月31日 昭和31年(行)第73号 

日本国憲法第九十九条は公務員に対して憲法を尊重し擁護する義務を負うと規定し、又地方自治法第百三十八条の二は地方公共団体の執行機関は自らの判断と責任においてその事務を誠実に管理し及び執行する義務を負う旨規定しているが、前者は公務員が公務に従事する際における心構を宣言したものにすぎず後者もまた右憲法の規定と同じく普通地方公共団体の執行機関が事務を処理するには自主的にこれを為すべきで、他の執行機関や政治勢力に動かされることのないよう注意すべきことを宣言したものであつて、これらにいう義務とは何れも法律的義務というよりはむしろ道徳的要請を規定したものと解すべきである

憲法尊重擁護義務の内容

クーデター等、憲法の非合法的変革を企てることはこの義務に反すると言われます。

ただし、国務大臣等が憲法改正を主張することはこの義務に原則として反しません。

参考:安倍晋三の改憲議論が憲法違反という主張に対する完全撃退マニュアル

「原則」というのは憲法改正に限界があるか無限界かという憲法学の解釈が絡みます。

憲法改正限界説と無限界説

無限界説はその名の通り、どういう内容の改正でも良いという意味です。

対して限界説は、憲法の定める基本原理は改正することは許されないという立場です。

ここでいうところの基本原理が何なのかは論者によってばらつきがありますが、国民主権・基本的人権の尊重・平和主義がそうであると言われることが通説です。また、それぞれの中身についてもバリエーションがあり得ます。

私も、たとえば「この憲法を改正することは許されない」という条文が改正によって作られようとしているのなら、それは改正の限界を超えるものとして無効であると主張したいです。よって、少なくとも無限界説ではないと言えるでしょう。さらに、天皇の規定を削除することも現時点では改正限界であるという立場を私は採ります。超限定限界説とでも言っておきます。

憲法尊重擁護義務の趣旨「たたかう民主政の放棄」と権限濫用の抑制

憲法99条に「国民」が書いていないのは、国民が憲法を守ることは当たり前だからということ以上に、「自由の敵には自由を与えるべきではない」という「たたかう民主政」の考え方を否定したものであると解されています。*2

ドイツ・イタリアなどは、自由な民主的基本秩序に反する政党や結社を違憲として禁圧することを認めています。これは国民の活動を国家の側が判断することになり、国家の行為を縛るのが主要要素である近代立憲主義の要素を薄めるものです。

しかし、日本国憲法はそうではなかった。「自由の敵にも自由を認める」ことで国民の権利が不当に侵害される可能性を無くそうという思想の現れであると解釈されています。

また、99条に公務員等が規定されているのは、実質的判断権限を認められている者が、その権限を行使することで国民の権利利益や現行法秩序を侵害しないことを求めている、という側面があると言えます。
(先述の東京地裁判決も「公務に従事する際における」と言っている)

その観点からは、「権限内」の物事については単なる発言等であっても99条違反になるといえますが、「権限外」の場合には単なる発言だけでは国民の権利利益や現行法秩序の侵害の可能性は無いのですから、それは立法論と捉えることになり、99条違反と言うためにはより重要な意味合いや具体的な行為を要するではないでしょうか?

丸山穂高議員の「戦争発言」は憲法尊重擁護義務違反なのか

それでは、丸山議員の行為はどういう立場においてなされたのか。

丸山ほだか議員の「戦争発言」と自民党の譴責決議案

議員丸山穂高君譴責(けんせき)決議(案)

 去る五月十一日の国後島訪問中の議員丸山穂高君の平和主義に反する発言は、我が国の国益を大きく損ない、本院の権威と品位を失墜させるもので、到底看過できないものである。

 よって本院は、ここに丸山君を譴責し、猛省を促すものである。

 右決議する。

<理由>

 衆議院議員丸山穂高君は、四島在住ロシア人と日本国民との相互理解の増進を図り、もって領土問題の解決を含む平和条約締結問題の解決に寄与することを目的とする「令和元年度第一回北方四島交流訪問事業」、いわゆるビザなし交流事業に参加し、国後島を訪問した際、五月十一日夜に、ホームビジット先のロシア人島民宅及び宿舎である「友好の家」において飲酒した結果泥酔し、宿舎内で大声を出し他団員と口論をする等の迷惑行為を行い、同行記者団と懇談中の元島民の訪問団長に対し、「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」「戦争しないとどうしようもなくないですか」などの信じ難い暴言を吐いたと報道され、本人も事実関係を認めている。かかる常軌を逸した言動は、元島民の方々のお気持ちを傷つけただけでなく、特に、憲法の平和主義をおよそ理解していない戦争発言は、国民の悲願である北方領土返還に向けた交渉に多大な影響を及ぼし、我が国の国益を大きく損なうものと言わざるを得ない。

 本件事業は、内閣府交付金に基づく補助金を受けた北方四島交流北海道推進委員会の費用負担により実施されているものであり、本院から公式に派遣したものではないにせよ、丸山君は、沖縄及び北方問題特別委員会の委員であるが故に、優先的に参加することができたものであり、他の団員からは、本院を代表して参加したものと受け止められており、また、その後の報道により、我が国憲法の基本的原則である平和主義の認識を欠く議員の存在を国内外に知らしめ、衝撃を与えた事実は否めず、本院の権威と品位を著しく貶(おとし)める結果となったと断じざるを得ない。

 丸山君の発言は、極めて不穏当なものであり、擁護する余地は全くないものであるが、他方で、議員の身分に関わることは慎重に取り扱う必要があり、憲法上、本院が議員の身分を失わせることができるのは、懲罰による除名及び資格争訟裁判の場合に限られ、いずれも出席議員の三分の二以上の賛成を必要としているのに対し、議員辞職勧告決議は出席議員の過半数の賛成により議決されるもので、理論上は多数会派の意思で議決できるものであり、その観点からも慎重に取り扱われてきた経緯があり、これまで、明白かつ重大な違法行為に当たる場合にのみ議員辞職勧告決議を行ってきており、問題発言を理由に議員辞職勧告決議を行ったことはない。また、除名を含む懲罰は、憲法上、院内の秩序をみだした場合に限られており、本院からの公式派遣でもない本件は直ちには懲罰事案には該当しない。そうであるからと言って、議員の発言が自由に保障されている訳ではなく、仮に、院内での発言であれば、院外で責任を問われないという免責特権が与えられている代わりに、不穏当発言の場合は議院において懲罰を課すことはあり得るものであり、実際に、不穏当発言で懲罰を課せられた事例もある。もとより、丸山君の発言は、明らかに一線を越えたものであり、懲罰の対象とならないからと言って、決して許されるものではない。

 議員の出処進退は自ら決すべきことが基本であり、議員辞職するか否かは、最終的には自ら判断することではあるが、丸山君には、有権者の負託を受け、全国民の代表として議員となっている重みを十分に自覚し、常に、言動をよくわきまえ、適切な判断を下すよう、猛省を促したい。

 以上が、本決議案を提出する理由である。

 議員丸山穂高君の議員辞職勧告に関する決議案(第一九八回国会、決議第二号)

本院は、議員丸山穂高君の議員辞職を勧告する。
  右決議する。

     理 由
 衆議院議員丸山穂高君は、四島在住ロシア人と日本国民の相互理解の増進を目的とした、「平成三十一年度北方四島交流訪問事業」、いわゆるビザなし交流に参加した途上で、元島民の方に対し、「戦争でこの島を取り返すことに賛成か」、「戦争しないとどうしようもなくないか」などと信じ難い暴言を吐いた。元島民の方々のお気持ちを傷つけただけでなく、国民の悲願である北方領土返還に向けた交渉の阻害要因ともなる、言語道断の言動であると断ぜざるを得ない。我が国の国是である平和主義に反し、更には、事態は国際問題にも発展しかねない可能性もあり、我が国の国益を大きく損ねる暴言であることも指摘せざるを得ない。
 また、今回の件は一議員の言動としても決して許されないだけでなく、丸山君が、沖縄及び北方問題に関する特別委員会委員として、衆議院、参議院から推薦されるメンバーとして、いわば国会議員を代表する形で、公費で北方四島交流訪問事業に参加した中でなされた言動である。この論外の言動が、国会全体の権威と品位を著しく汚したという事実は拭い難い。
 丸山君は、その所属政党からも一刻も早い議員辞職を求められたにもかかわらず、未だにその職に留まる意思を示しており、事の重大さを全く理解していないと言わざるを得ない。丸山君はこの事態を重く受け止め、直ちに議員の職を辞するべきであると勧告する。
 以上が、本決議案を提出する理由である。

本院から公式に派遣したものではない」という所が重要かと思います。

衆議院規則に「委員の派遣は議長の承認や議院の議決を要する」旨があるので、それによらない方法だったのか、我が国国民の北方領土への訪問の手続き等に関する件(平成10年4月30日 総務庁・外務省告示第1号 ) に基づく派遣だから、ということなのかもしれません。

丸山ほだか議員は国会や議院の代表ではない

丸山議員の発言は国会や衆議院の意思を代表しているわけではありません。

先述のように、外形的には代表しているかのように見えても、代表としての権限を有していたわけではありません。

よって、丸山議員の発言は、一国会議員としてのものでしかありません。

野党の一国会議員である彼の権限内に「戦争を積極的に遂行する」というものは有りえませんから、単なる言動が憲法尊重擁護義務違反であるとは言えないでしょう。

「戦争をする」ではなく「戦争をするのはどうか?」という問いかけ?

また、丸山議員は「戦争をするべきだ」という意思を表明したのではなく、「戦争をするという手段についてどう思うか?」という問いかけをしただけであるという見方も可能です。

そして「戦争をするべきだ」と言っていたとしても、それは立法論として理解すればいいでしょう。なにも現行憲法下においていきなり戦争をしかけると言っているとは到底思えませんからね。

「憲法尊重擁護義務に配慮すべき」は間違いではない

「言論に対する責任があって初めて自由が行使できる。」丸山議員発言に原口国対委員長が苦言 - 国民民主党

原口一博国対委員長らは16日、定例記者会見を国会内で開いた。原口国対委員長は、丸山穂高衆院議員が北方領土返還に関連して戦争に言及した問題について、「国際問題になっている。できるだけ早く決着をつけなければならない。院として選んで派遣した人である。院としてのけじめが求められる」との見解を示した。また、同議員が「言論の自由を奪うものだ」などと発言している点については、「言論に対する責任があって初めて自由が行使できる。特に私たち国会議員は、憲法の尊重擁護義務が課されているので、それについてもはき違えないで」と猛省を求めた。 

これらは慎重にも「憲法尊重擁護義務に反している」 とは明言していません

憲法尊重擁護義務に配慮すべき」 「言論の自由を主張する前に憲法尊重擁護義務に思いを致せ」のような趣旨の発言です。

このようなニュアンスであれば、間違いではないでしょう。

私も、丸山議員が言論の自由を持ち出して被害者面するのは筋違いだと思います。

その他参考:丸山穂高の失言を考える。 - ずいこんの政治・ニュースブログ

志位和夫「国連憲章に違反し」???

魚拓:http://archive.is/1ZXQi

珍説が出ていました。

丸山議員の発言が国連憲章のいかなる条文に違反していると言うのでしょうか?

国連憲章は以下規定します。

国連憲章テキスト | 国連広報センター

第2条 -省略ー

3 すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない。
4 すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。

第39条 安全保障理事会は、平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為の存在を決定し、並びに、国際の平和及び安全を維持し又は回復するために、勧告をし、又は第41条及び第42条に従っていかなる措置をとるかを決定する。

国連憲章は戦争行為を禁止していません。慎めと言ってるだけです。

ただ、それは望ましくない事態なので、戦争が起こった場合にはそれを止めるための国連決議、非軍事的措置、国連指揮下での軍事的措置という手段を講じることが予定されているというだけの話です。

国連憲章が、戦争を行ったことそれ自体に対してペナルティを課す根拠になっているという理解は、完全に誤りです。国連憲章ができてから何回戦争が起こったと思ってるんでしょうか?

そもそも国連憲章の名宛人は国家(加盟国)なので、丸山議員の発言に対して持ち出していいものではありません。

「いや、国連憲章の精神に反しているのがダメなんだ」とか言ってきそうですが、国連憲章そのものとその精神ではまったく違うものなので最初から言いなさい、というのと、「国会議員個人が国連憲章の精神に反し得る内容を発言したとしても何か問題でも?」と思います。そんなもの国益の観点から妥当性を評価すればよろしい。

まとめ:丸山ほだか議員は憲法尊重擁護義務に反しないが

憲法99条にまつわる現実は、「改憲してはいけない」と言う者が金科玉条のように持ち出して、何か大層な根拠があるかのように見せかける道具にしかなっていません

そういう者に利用される事が無いよう、国会議員等は憲法尊重擁護義務を念頭に発言に注意してほしいと思います。

以上

*1:注釈日本国憲法下巻

*2:注釈日本国憲法下巻

朝日新聞霞クラブ@asahi_gaikou:安倍総理が「とうとうトランプ大統領の運転手に」とツイート⇒朝日新聞クオリティが足りません

f:id:Nathannate:20190527161613j:plain

朝日新聞霞クラブというツイッターアカウント(@asahi_gaikou)の印象操作ミス。

朝日新聞霞クラブ@asahi_gaikou「とうとうトランプ大統領の運転手に」

魚拓:http://archive.is/5x90b

明言はしていませんが、この書きぶりは明らかに安倍総理がゴルフカートをの運転手を務めていることについて、否定的な意味を込めていますよね。

これはいろんな意味でアウトです。

招待者が案内をするのは一般常識

まず、ホスト側である安倍総理がゴルフカートを運転する事は当然です。

アメリカ側に運転させろとでも言うのでしょうか?

それは一般常識に反します。

ホスト側だとしても安倍総理ではなく他の関係者が運転すればいい、という声が聞こえてきそうですが普通の自動車の感覚で言ってる人が多くて困ります。

ゴルフカートを運転するのが楽しいという人は多いです。

本人が運転するのが良いのならそれでいいでしょう。

アメリカ訪問の際にはトランプが運転していた

日米首脳、3度目のゴルフ 親密さアピール狙う:朝日新聞デジタル魚拓はこちら

昨年4月に安倍総理が訪米した際の朝日新聞のこちらの記事では、トランプが運転し、安倍総理が隣りに座っている写真が掲載されています。

朝日新聞霞クラブ(の中の人)さん!ちゃんと自社の記事をチェックしましょう!

「運転手」は「下」なのか?

たしかに偉い人が自ら運転するということはあまり無いというイメージがあります。

しかし、だからといって、運転手が「下」だということにはならないはずです。

朝日新聞の記者の中では、運転手を軽く見る風土があるというのでしょうか?

いや、まさか、そんなはずはないですよね?

朝日新聞の写真記者逮捕 タクシー運転手に暴行容疑 :日本経済新聞

朝日新聞霞クラブは非公式アカウント?

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魚拓:https://archive.is/7j17G

朝日新聞の外交・防衛取材班「霞クラブ」のアカウントです。外務省、防衛省を中心に取材しています。わかりやすく、広がりのあるつぶやきで、皆さんの思索や交流の一助になれば。投稿内容は必ずしも朝日新聞を代表するものではありません。リンクやRTは必ずしも内容に賛意を示すものではありません。

確かに公式マークが無いです。

また、ご丁寧に「投稿内容は必ずしも朝日新聞を代表するものではありません」というエクスキューズが付いています。

これは毎日新聞なんかと一緒ですね。

朝日新聞のソーシャルアカウントとして公式HPにも記載

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https://www.asahi.com/sns/account/

魚拓:http://archive.is/eeTHi

ただし、会社の看板を背負ってるんですから、これはお恥ずかしい。

朝日新聞霞クラブの中の人は「朝日新聞クオリティ」が足りません!

魚拓:http://archive.is/5x90b

このツイートですが、「いやいや」が無ければ、印象操作として優秀でしょう。

なぜなら、いろんな意味に捉えることが可能になるからです。

何か言われても「褒めてるんですよ(笑)」という逃げも可能になります。

そのような意味で、朝日新聞のクオリティーとしては低いツイートということに。

ホンモノの朝日ライティングは、こんなものじゃないですよ!

他人が言っているということにしたり、いくらでも「逃げがきく」紙面構成になっているのが通常です。朝日新聞霞クラブの人はもっと朝日新聞の記事を読み込んでください!もっと上手な印象操作を目指しましょう(笑)

まとめ

それにしても、朝日新聞は不動産業で儲けているのですから、ゴルフ接待の常識とか知っていてもおかしくないハズなのですが、何でこんなことになってしまったんでしょうねぇ。

165万円の給料値下げをされるくらいですから、接待や遊びでゴルフをする余裕も無くなってしまったのでしょうか?

まぁ、今回のツイートも「否定的な意味ではない!一部の読者が勝手にそう思っているだけだ。読者の心が汚れているからだ」のような反論をしてきそうではありますが、そんな話は通りませんね(むしろ言ってきて欲しいが(笑))

ちなみに、ゴルフカートを運転してる安倍総理はとっても楽しそうでした☆

以上

月刊WILL 2019年7月号:水間政憲の寄稿文への疑問

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月刊WILL2019年7月号の水間政憲氏の寄稿文について。

ツッコみ所満載なので指摘していきます。

月刊WILL2019年7月号の水間政憲の寄稿文

水間氏の寄稿文は74頁以降の

「悠仁様へのテロ未遂で急浮上!男系男子皇位継承者の存在を隠したのは誰だ!」

というものです。

今上天皇より濃い「天皇の血」? 

MONTHLY WILL 2019年 7月号 76頁

戦後GHQによって皇籍を剥奪された旧皇族十一宮家のうち、七宮家十家族に「男系男子」がおり、旧宮家の東久邇家に、今上天皇より濃い「天皇の血」を受け継いだ方が三人もいらっしゃる
ー中略ー
今上陛下、皇嗣殿下の従兄弟にあたる三名の祖母は明治天皇の聰子内親王のため、より濃い「天皇の血」を受け継いでいるといえるでしょう。

水間氏の言う「三人」とは東久邇家の信彦・眞彦・秀彦氏らです。

これは不敬であると同時に実質的に女系容認論です。

皇室の歴史破壊の不敬極まりない「血が濃い」という評価

水間氏が「血が濃い」と表現する意味を書くのは憚られますが大要以下のようです。

「旧皇族たる東久邇宮家の信彦・眞彦・秀彦らは、明治天皇の皇女である聰子内親王や、昭和天皇の第一皇女である成子内親王の子孫である。それに対して今上天皇は民間出身の女性と天皇との間に生まれた子であるから、血は比較的薄い」

皇室は奈良時代から天皇が民間(公家や華族だが皇族とは一線を画している)から后をもらい受けていた歴史があります。

皇位継承順位についても、民間の后を娶ったからといって左右されることは無かったはずです。基本的に直系優先・長系優先・近親優先でした。

そうした歴史すべてを破壊する言動です。

もちろん、皇族の中で「民間出身はやはり作法がなってない」のような、いじめのような妬みのようなものがまったく無かったかというとそうではないでしょう。

しかし、そのような状況と皇位継承順位は連動していませんでした。

皇女を通して「天皇の血が濃い」と表現することは実質的な女系論

明治天皇や昭和天皇の皇女を通して「天皇の血が濃い」と表現することは、要するに「女系論」を意味します。男性皇族が男系男子であるにもかかわらず、その女性配偶者が皇族か元民間人かを比べているのですから。

もちろん「皇女」による繋がりは、まったく無意味であるということはありません。

歴史上、皇女を迎え入れることで先代天皇との「距離」が離れるのを避けていたと思われる事例はありました。継体天皇が仁賢天皇の皇女である手白香皇女(たしらかのひめみこ)を后に迎え入れ、光格天皇が後桃園天皇の皇女である欣子内親王(よしこないしんのう)を娶ったように。

それをもって「女系にも意味がある」と表現する男系論者も居ますが、それは女系という連綿とした繋がりを意識するものではなく、接点としての皇女の存在が重要であったということを指すだけで十分であり、不用意な用語法だと思います。

東久邇宮家になぜこだわるのか

「天皇の血」にこだわるからなのか、水間氏は旧皇族の中でも東久邇宮家にだけ焦点を当てています。

これでは皇位継承権者・皇籍復帰をする者の候補が狭くなるだけです。

しかも、水間氏は「皇別摂家」も皇位継承権者であるような書きぶりなのです。

論旨が一貫しない皇別摂家の登場

MONTHLY WILL 2019年 7月号 76頁

また現在、旧皇族より皇位継承順位の高い皇別摂家の子孫が五十一名もいらっしゃることもわかっています。「皇別摂家」とは、五摂家のうち江戸時代に皇族が養子に入って相続した後の三家(近衛家・一条家・鷹司家)およびその男系子孫のことで、摂家を相続した皇族は三方です。

しかし、皇別摂家は皇族ではなく、民間人です。旧皇族ですらありません。

「君臣の別」と皇別摂家

皇室には「臣君の別」というルールが存在します。皇族と臣下は明確に分けましょうということです。皇別摂家をそのまま皇位継承権者に含めることはルール違反です。

皇別摂家と皇位継承順位

皇別摂家は皇族ではないのですから、歴史的にも、戦前の法体系上も、皇位継承権を有してはいません。したがって、なぜ皇別摂家の方が旧皇族の方がたよりも皇位継承順位が高いと言えるのか、不思議で仕方がありません。

もっとも、皇別摂家の者が皇籍復帰(これを皇籍復帰と言ってよいかはわからないが)する場合というのは相対的に決まる可能性はあります。皇位継承のために他に男系男子がいない場合、皇別摂家の者に目が向けられるかもしれません。

しかし、旧皇族の男系男子の方がたが存在している以上は、その者らの皇籍復帰が優先的に検討されるべきであって、皇位継承順位が皇別摂家の方が高いということには成り得ません。

壬生伯爵への養子へ出た秀彦氏(壬生基博氏)が「男系男子」に算入

水間氏の系図を見ると、東久邇秀彦氏とそのご子息が男系男子の勘定に入っています。

かっこ書きで(壬生基博)とあるように秀彦氏は壬生伯爵家に養子に出ています。

つまり、いわば皇別摂家のような立場にあるということです。

壬生基博氏にも男子の御子息がいらっしゃいますが、衛藤首相補佐官、百地教授、青山議員らは、壬生基博氏の系統は男系男子の人数に入れていません

それはもはや「旧皇族ですらなくなった」と評価されているからでしょう。

水間氏は殊更に皇別摂家を取り上げて、何か重要な指摘をしているかのように振る舞っていますが、それは識者らが最初から検討の対象外とすべきと考えていたからであって、現在の状況においてクローズアップすべき対象ではありません。

血の濃さと皇別摂家を持ち出すことは論旨が一貫していない

水間氏は一方では「天皇の血が濃い」ことが東久邇宮家の正統性の根拠であると言っている一方、皇別摂家を持ち出して「旧皇族よりも皇位継承順位が高い」と言っています。これは矛盾しています。

しかも、78頁ではホテルマン時代に旧皇族の方がたにサービスした経験から「その品格や振る舞いは我々一般人とは全く異なります」と、皇族としての振る舞いが重要であるという基準に立っています。これも皇別摂家という民間人を前面に出すことと整合性はありません。

また、皇族だからマナーが良くて国民に受け入れられる、という論法は、マナーが良ければだれでも良いということになりかねず、それは皇統の正統性とは無関係です。

水間氏の論旨は、このように一貫していません。

水間「悠仁殿下の又従兄弟の5名の男系男子」は古い情報

76、77頁では悠仁親王殿下の又従兄弟の5人の男系男子がいると書いています。

それは信彦・眞彦・秀彦氏らの息子たちですが、少なくともそのうちの3名は45歳、39歳、38歳です(壬生基博氏の息子の情報が不明確)。

現時点では、さらにその下の世代の子が4名居るということが判明しています。

現在の時点で又従兄弟の世代の方を持ち出す意義はありませんし、そもそも悠仁親王殿下と世系が同じであるか否かはまったく重要なことではありません。

安倍総理は旧皇族の皇籍復帰に否定的?

月刊WILL 2019年7月号 79頁

第二次安倍政権発足前、安倍首相は女性宮家創設に反対し、旧宮家の皇籍復掃を主張していました。しかし現段階で、安倍首相は旧皇族の皇籍復帰に否定的な考えを示しています

国会議事録を見る限り、安倍総理が旧皇族の皇籍復帰を主張していたことはわかりませんが、内々ではそう思っていたのでしょう。

他方、現段階で安倍総理が旧皇族の皇籍復帰に否定的というのは本当でしょうか?

安倍総理「GHQの決定を覆すということはまったく考えていない」

安倍総理が国会で旧皇族の皇籍復帰に触れたことは平成31年3月20日の大塚耕平議員の質疑においてです。

第198回国会 参議院財政金融委員会 第5号 平成31年3月20日 

○大塚耕平君 いや、私がお伺いしたいのは、総理は戦後政治の総決算ということを何度もおっしゃって、もう六年も総理を務めておられる。大変長期間お務めになっておられることに敬意を表したいと思います。
 ー中略ー
 同様に、このGHQの指示に基づいて十一宮家と二十六人の皇族の方が皇籍離脱をしたという、これをこのままにしておいて本当に戦後政治の総決算ができるというふうにお考えですかという質問をさせていただいております。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 皇籍を離脱された方々はもう既に、これは七十年前の出来事で、七十年以上前の出来事でございますから、今は言わば民間人としての生活を営んでおられるというふうに承知をしているわけでございます。それを私自身がまたそのGHQの決定を覆すということは全く考えてはいないわけでございます。 

安倍総理が旧皇族の皇籍復帰を全否定したとは断定できない

歴史的な事実としてはGHQの決定が直接皇籍離脱の効果を発生させたわけではないですし、平成17年の首相官邸の文書である【昭和22年10月の皇籍離脱について】 とも異なる見解であるということになります。

  • GHQが皇籍離脱を直接的に指令したという文書等は残っていない
  • しかし、事実上、GHQの指令が皇籍離脱を引き起こしたと言える
  • 安倍総理が覆さないとした「GHQの決定」は、単に元の皇室財産についての指令なのか、それとも皇籍離脱という結果も含めたものなのかは不明
  • いずれにしても、旧皇族の個人レベルでの皇籍復帰まで否定しているかは定かではない

国会質疑の安倍総理の発言をまとめると、このようになります。

産経新聞:安倍総理は「11宮家全部の復帰」を考えていないだけ

【新元号】安定的な皇位継承の確保を検討 男系継承を慎重に模索(1/2ページ) - 産経ニュース

(旧11宮家の皇籍離脱は)70年以上前の出来事で、皇籍を離脱された方々は民間人として生活を営んでいる。私自身が(連合国軍総司令部=GHQの)決定を覆していくことは全く考えていない

 安倍晋三首相は、3月20日の参院財政金融委員会でこう述べた。これが首相が旧宮家の皇族復帰に否定的な見解を示したと報じられたが、首相は周囲に本意をこう漏らす。

 「それは違う。私が言ったのは『旧宮家全部の復帰はない』ということだ

 また、首相が女性宮家創設に傾いたのではないかとの見方に関しても「意味がない」と否定している。

産経新聞のこの記事が事実であれば、安倍総理は旧皇族の皇籍復帰をまったく諦めたわけではないということになります。

水間氏はこの報道の存在を知っていたのでしょうか?この報道について評価した上で論じてほしいところです。

「女性宮家創設=国体破壊」とは言い切れない

MONTHLY WILL 2019年 7月号 79頁

何としても女性宮家創設=国体破壊の謀略を阻止しなければなりません。

女性宮家創設は女系天皇に繋がりかねないため、みんな反対しています。

逆に言えば、女性宮家を創設しても大丈夫な場合があります。

皇族女子が旧皇族の男系男子と婚姻した場合のみ、女性宮家を創設するという場合。

(もちろん旧皇族の方は皇籍復帰する)

そうすれば、お生まれになる子は正真正銘の男系男子ですから、「女系」に繋がることにはならないのです。

にもかかわらず、旧皇族の男系男子について語っておきながら、女性宮家が創設されれば直ちに国体破壊になると断言するのは、厳密さを欠いているように見えます。

女性宮家」とは皇族女子が婚姻中であっても当主となる場合ですが、女性宮家の定義について、水間氏は民間男性と婚姻した場合のみを想定しているのかもしれません。

ただ、仮に民間男性との婚姻で女性宮家を認めるとしても、それだけでは女系継承がなされることはありませんから(悠仁親王殿下のお子様次第ということになる)、ただちに国体破壊と結びつけるのはやはり厳密に言えば間違いです。

注意喚起のための主張だとしても、ちょっと乱暴に過ぎるのではないでしょうか。

まとめ

  1. 「天皇の血」論は不敬かつ実質的な女系論
  2. 皇別摂家は民間人であり、皇位継承権はない
  3. 悠仁殿下の又従兄弟を出す必要がないし、情報が古い
  4. 安倍総理が旧皇族の復帰に否定的という情報の分析がなされていない
  5. 女性宮家創設=国体破壊というのは厳密さを欠く

水間氏が自身のブログで書き連ねる分においては、そこまで気にしませんが、WILLに掲載されたとあっては看過できない事態です。

勘違いが広まらないようにしてほしいものです。

以上