事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

林景一裁判官の最高裁判決文の反対意見:リツイート画像の自動トリミングで著作者人格権侵害

リツイート画像が自動トリミング表示されたことで著作者人格権侵害となるという最高裁判決が出ましたが、Twitterアカウントのある林景一裁判官の反対意見を見ていきましょう。

リツイート画像の自動トリミングで著作者人格権侵害の最高裁判決文

平成30年(受)第1412号 令和2年7月21日 第三小法廷判決

事案の理解に参考になるのは「RTによる画像トリミングで著作人格権侵害」 知財高裁判決の意味と影響 弁護士が解説 - ITmedia NEWSです。

権利者のHP:http://ynawata.asablo.jp/blog/2018/05/22/8854401

  1. プロカメラマンである画像の権利者がホワイトとピンク色の鈴蘭の花の画像を自己のウェブサイトにUP
  2. 画像上部と下部には権利者の名前と転載禁止の文字が
  3. ツイート者が無断で当該画像をツイートに添付(画像自体を編集はしていない)
  4. リツイート者がツイート者のツイートをリツイート(画像自体を編集はしていない)
  5. リツイート者のタイムライン(プロフィール画面)で画像の上部と下部がトリミングされて表示(権利者のHP上の表現ではマスキングとなってるが、全体表示がされていないという意味において同じ)(画像自体の編集ではなく、あくまで表示の話)
  6. パクツイをしたツイート者は画像の著作権侵害
  7. トリミングされた表示が著作権侵害ではないが著作者人格権侵害とされた
  8. そのため、ツイート者のみならずリツイート者に対する発信者情報開示請求が認容された

リツイート画像の自動トリミングで著作者人格権侵害が認定された最高裁判決の事案はざっくり言うとこの通りです。

単なる画像リツイートやパクツイのリツイートが違法ではない

写真の無断リツイートは著作者の権利侵害 最高裁判決 - 毎日新聞

新聞メディアなどでは「写真の無断リツイート」や「無断転載画像のリツイート」などといった表現で報道されている所が多いですが、単なるパクツイのリツイートが問題なのではありません。

リツイートした画像に対してリツイート者が何ら手を加えていないのに、「表示上、上下部分が見えなくなった」ことが権利侵害とされたのです。しかも、それはTwitterサービス上の仕様によって行われたものなのです。

判決文の反対意見ではその懸念が示されています。

林景一裁判官の最高裁判決文の反対意見

Twitter裁判官林景一の反対意見:リツイート画像の自動トリミングで著作者人格権侵害の最高裁判決

自らもツイッタラーだった林景一裁判官の最高裁判決文における反対意見は以下の通りです。割と短いです。

裁判官林景一の反対意見は,次のとおりである。
私は,多数意見と異なり,本件各リツイート者が本件各リツイートによって本件氏名表示権を侵害したとはいえず,原判決のうち本件各リツイート者に係る発信者情報開示請求を認容した部分を破棄すべきであると考える。その理由は以下のとおりである。

1 原審は,本件各表示画像につき,本件写真画像(本件元画像)がトリミングされた形で表示され(以下,このトリミングを「本件改変」という。),本件氏名表示部分が表示されなくなったことから,本件各リツイート者による著作者人格権(同一性保持権及び氏名表示権)の侵害を認めた。しかし,本件改変及びこれによる本件氏名表示部分の不表示は,ツイッターのシステムの仕様(仕組み)によるものであって,こうした事態が生ずるような画像表示の仕方を決定したのは,上告人である。これに対し,本件各リツイート者は,本件元ツイートのリツイートをするに当たって,本件元ツイートに掲載された画像を削除したり,その表示の仕方を変更したりする余地はなかったものである。

また,上記のような著作者人格権侵害が問題となるのは著作者に無断で画像が掲載される場合であるが,本件で当該画像の無断アップロードをしたのは,本件各リツイート者ではなく本件元ツイートを投稿した者である。

以上の事情を総合的に考慮すると,本件各リツイート者は,著作者人格権侵害をした主体であるとは評価することができないと考える。

2 ツイッターを含むSNSは,その情報の発信力や拡散力から,社会的に重要なインフラとなっているが,同時に,SNSによる発信や拡散には社会的責任が伴うことは当然である。その意味で,画像そのものが法的,社会的に不適切であって,本来,最初の投稿(元ツイート)の段階において発信されるべきではなく,削除されてしかるべきであることが明らかなもの(例えば,わいせつ画像や誹謗中傷画像など)については,その元ツイートはもとより,リツイートも許容されず,何ら保護に値しないことは当然である。しかしながら,本件においては,元ツイート画像自体は,通常人には,これを拡散することが不適切であるとはみえないものであるから,一般のツイッター利用者の観点からは,わいせつ画像等とは趣を異にする問題であるといえる。多数意見や原審の判断に従えば,そのようなものであっても,ツイートの主題とは無縁の付随的な画像を含め,あらゆるツイート画像について,これをリツイートしようとする者は,その出所や著作者の同意等について逐一調査,確認しなければならないことになる。私見では,これは,ツイッター利用者に大きな負担を強いるものであるといわざるを得ず,権利侵害の判断を直ちにすることが困難な場合にはリツイート自体を差し控えるほかないことになるなどの事態をもたらしかねない。そうした事態を避けるためにも,私は,上記1の結論を採るところである。

インラインリンクの自動トリミングとは?

インラインリンクの自動トリミングとは

 

判決文では、「インラインリンク」の形式でタイムライン上に表示されているため、リツイート者が自動トリミングの主体であるとされました。

ここではインラインリンクとは何ぞや?という技術的な説明は置いておいて、具体的にどういう見え方をしているのかだけ説明します。

上記画像は、元ツイートの画像です。

URLはhttps://twitter.com/Nathankirinoha/status/1285526643776212994となっています。

それをリツイートすると、タイムライン(つまりはプロフィール画面)では、以下のような見え方になります。

インラインリンクのリツイート画像

https://twitter.com/NathankirinohaがタイムラインのURLになります。

この画像の場合、画像の上部が隠れてしまっているのが分かるでしょう。
※このことは権利者のHPではマスキングと書かれているが、何か手を加えたわけではなく、表示上の問題だということがわかるだろう。

このツイートをクリック(スマホならタップ)すると、上掲のツイートURLの表示になるわけです。

なお、2015年の際の仕様は、現在よりももっと画像の表示スペースが小さいものでしたが今は映り込む範囲が広くなっています。

Twitter社は仕様変更で対応するべき

一般ユーザがリツイートされた際の表示がどうなるのかを予め予測することは不可能ですから、Twitter社の方で仕様変更して、リツイート時にも画像が全体表示されるようにする以外に、混乱は収まらないと思います。

以上

"シーライオニング"の日本語界隈(Twitter)での拡散の仕方とその経緯

f:id:Nathannate:20200721142524j:plain

「シーライオニング」という用語の日本語圏での広がり方の経緯について。

Google検索とTwitter検索をしても、言及されているタイミングは変わらなかったのでツイートを中心に整理していきます。

シーライオニングの元ネタ漫画は2014年

シーライオニングの元ネタ漫画は、David Malki ! 氏が連載しているWondermarkという単発シリーズにおける"Terrible Sea Lion"という題名の回です。

主に#GamerGate に関連して言及される形で英語圏で拡散されていますが、作者がその議論を意図してシーライオンを書いたのかは定かではありません。

「シーライオニング」という言葉の用語法は、この漫画で決定づけられたのではなく、漫画はきっかけに過ぎません。その後のネット上での用いられ方によって徐々に共通理解が形成されていきました

概ね「誠実に議論をするふりをして、相手の好意に乗じて一方的に情報提供・説明を要求し、負担をかけさせ、時間を浪費させ、しかも説明された内容を曲解したりしながら更なる質問を繰り返す」と理解されていますが、もっと短く「議論をする気も無いのに悪意を持って質問を繰り返す」と言われることがあります。

日本の既存のネットスラングで言えば「荒らし」≒「釣り」であり、「粘着」に近いものなので、対処法はこれまでと変わりません。

日本語界隈での拡散は2020年から

シーライオニングという言葉が日本Twitterで広まったのは、2020年に入ってからです。

厳密に言うと、2019年12月30日にシーライオニングの語義をUrbandictionaryから引用しつつ元ネタ漫画を提示したものが拡散されたのをきっかけに、何度か関連するツイートが拡散されていきました。

その際の言及のされ方にも変化があるので、その点をここでは整理していきます。

2019年までの"Sealioning"の認識と経緯

現存している日本語Twitterにおける最古のシーライオニングに言及しているツイート。

これ以降シーライオニングに言及しているツイートは2019年11月まで隔たりがあります。

そして2019年12月31日になされたこのツイートが日本語Twitterでシーライオニングの語が拡散されたきっかけになります。

翌日には棘(togetter)のまとめが作成されました。

これは1月1日時点ですが、2月に入ってからもとても多く拡散されていました。

リプライや引用リツイートを読む限り、7月に示されたような、作品をストローマンして理解するようないいかげんな論じ方はほぼ無いに等しいです。 

この時点では英語圏での用語法の認識と、元ネタ漫画とそこから意味が派生・発展・形成されていったという認識がきちんとあるのが見て取れます。

日本語訳が出てくるのは先の話で、概ね、英語(と英語圏での文脈)を理解しようとする人たちによって認識されていたと言えそうです。が、7月に拡散されたものと比べると小規模なものにとどまっています。

この頃から「フェミがやってることだよね」「某ネット論客そのまんまじゃん」みたいなツイートはありましたが、ほとんど個人の単発の感想に終わっています。

2月以降から6月までのシーライオニングの広がり方

2月はこの漫画化したツイートが拡散されています。

これは「女性が被害を受けやすい」という事が書かれているので、よりフェミニスト界隈に近い言説なのですが、「これってお前らがやってることだよね」とかその逆で「フェミらが論理的に話せないのを誤魔化すためだ」みたいな言及はあったものの、あまりその事で論争のような事は発生していなかったようです。

むしろ「春風ちゃんがよくやられてる」「現実のカップルでもそう」というように、肯定的なものが多かったです。

また、この漫画の作者がシーライオニングの用語法の出典や元ネタ漫画の出典を示していないので、英語圏での使用のされ方・マルキ氏の漫画の内容についてこのツイートから知った人はほとんどいなかったようです(何人かは特定していた)。

そのためかわかりませんが、1月よりは「論理的に説明できない連中が使う詭弁だ」といった受け止めが増えています

「半年ROMれ」という対処方法を指摘している人、既存の概念での置き換えが可能であることを指摘している人はそれなりにいました。

6月11日には、7月に話題になった際にも多く取り上げられた和訳版がツイートされており、このタイミングでも多く拡散されています。

7月までの「シーライオニング漫画と黒人差別・人種差別」 の言及

このような状況なので、「シーライオニング 黒人」「シーライオニング 差別」などというクエリで検索をしても、まったくヒットしません。

「アシカを黒人などの別人種に置き換えたら差別に繋がる」旨を主張するツイートは、6月31日までで3、4つしかありませんでした(7月21日検索)。

これが、7月の拡散時には非常に多くのツイートがみつかるようになります。

7月以降のシーライオニングの定義・意味の拡散のされ方

「須藤エミニ🕊フェミニストVtuber (@suto_emini)」という方がこのような動画を投稿したことが7月に「シーライオニング」にまつわる言説が拡散したきっかけです。

これに対する反応は2極化しました。

フェミニストを名乗る者が説明したことで「ほらみろ」というような反応が増大、他方でフェミニストであるか否かは別として「あるある、よくある」というような反応も多く、後に某ネット論客が「参戦」していくようになりました。

動画の内容的には宇崎ちゃんポスター事件をモチーフに「こういうポスターが子供の見る場所にあるのはよくないな」とフェミニストが感想を述べたところに、それに対してエビデンスを要求する人(Twitterのツイートを見た人などが念頭にある)の例、次に彼女が体験した具体例(「井の頭公園にアシカは居ない」に対するエビデンスを要求する人→ダイヤモンドオンラインの記事と同じ)を提示。こうした流れでシーライオニングの用語法の説明をしていました。

動画では具体的な言及はしていませんが、動画の概要欄にワンダーマークのHPダイヤモンドオンラインの解説記事が添付、質問の全てがシーライオニングではないという注意事項も説明がありました。

英語圏でのシーライオニングの用語法から説明したものではないのですが(重ねて言うが、マルキ氏の漫画は概念が形成されるきっかけに過ぎず、漫画におけるシーライオンの行為だけがシーライオニングの定義として使用されているのではない)、それと照らしても概ね合致している説明内容です。

あくまでシーライオニングに関する説明についてですが。

この拡散は7月15日にピークになりました。

シーライオニングのTwitterでのトレンド、拡散

yahooリアルタイム検索:http://archive.is/XLmZn

フェミニストvs反フェミニスト+某ネット論客の文脈

ここからは私の私見の要素が強まる内容になっています。

 「フェミニスト」に対する評価ですが、ネガティブなものが多く、「議論をしようとしない、反論されてもそれに対してちゃんと応じない」という評価がネット上では定着しています。

1つリプライで指摘しただけで14分でブロックされた例ですが、こういう例がいくらでも存在しています。

7月の「シーライオニング」の日本Twitterにおける拡散は、フェミニストに対してこういう認識を持っている者が「フェミニストが言っていることだからおかしい言葉だろう」という先入観を持って理解するものと、フェミニストらによる理解が対立する形で論争化しました。

そうした状況もあったためか、「フェミニストがそれを論じていること」に留まらず、6月までにはほとんど見られなかった「シーライオニングという言葉自体」や、「元ネタ漫画の作品自体」を否定的に論じる様子が目立つことになります。

なお、元ネタ漫画を持ち出してきたのはフェミニスト界隈であるが、普段あんたらがやってる論理展開からは、あんたらのような連中が寄ってすがるべき漫画ではなく、逆に足元を掬われないか?という文脈で論じられているのがCDB氏のこのエントリ。その限りでは私も同意。これもフェミvsアンチフェミの文脈での捉え方と言えるでしょう。

某ネット論客とシーライオニングの用語法

同時に、某ネット論客に対する評価から「シーライオニングという言葉、わが意を得たり」という視点で論じられるケースも多く存在しています。

そのため、フェミvsアンチフェミ文脈も相まって、英語圏でのシーライオニングの用語法とは離れた文脈で理解されることが多くなり、「その漫画はシーライオニングを上手く表現できていない」、などの時系列からは間違っている理解も一部見られました。

さらに、自分で英語読解ができない者が他人の単語の説明文を一知半解して和訳の内容を否定する、ということも起きていました。

和訳についてはその意図と作品解釈も含めて私も以下で論じています。

ワンダーマークの表題"The Terrible Sea Lioning"を無視した用語法

そしてこの話になるのですが、7月の拡散の中心となった某ネット論客が和訳されたものだけを参考にし(和訳ツイートを「原典」として物を書いている)、原作の表題"The Terrible Sea Lioning"や漫画HP上のTags: annoyances(=ウザい・苛立たせるもの)を無視したことで、独自理解で「シーライオニングしよう」とまで主張した、という展開になりました。

結局このような用語法は受け入れられるハズもなく、まったく広まらなかったのですが、「フェミが詭弁に利用しようとしている怪しい道具」の先入観や、原作ツイートなりHPではなく原題の誘導が無い和訳が広まったことで(和訳者には責任が無い)、「女性が悪いのであってアシカは悪くない」「アシカを黒人や在日朝鮮人に置き換えることができるので漫画はダメだ」という主張も多くみられるようになりました。

アシカを黒人に置き換えたら…のストローマン論法

先述のように、6月31日までは「シーライオニング 黒人」「シーライオニング 差別」ではほとんど誰も論じていませんでした。

それが、7月の拡散時には相当数のツイートが引っかかるようになり、ツイッターの検索窓で「シーライオニング」と入れると関連に「黒人」が出てくる時期もありました(設定環境によっては違いがある)。

「女性の非難対象がアシカという存在であるのが黒人や在日朝鮮人への代入可能性がある」と言うなら、なぜ5コマ目や6コマ目にも代入しないのでしょうか?

黒人や在日朝鮮人は、5コマ目や6コマ目のように、拒否られた相手の部屋に深夜に侵入したり朝食の時間にも議論を吹っかけて粘着するような人々なのでしょうか?

漫画は6コマあって全体の展開から理解すべきものを、5コマ目以降を無視しているのはストローマン(藁人形)論法ではないでしょうか?

こんなのがありますが、ならばもはや女性が嫌悪するのは正当性があるということになぜ気づかないのだろうか?

なお、2014年に英語圏で拡散された際もこのような難癖は多くつけられたようですが、作者が「そういう読み方は普通しないだろ」と一蹴しています。

嫌悪対象を擬人化する展開を否定するのは表現の自由の観点から危険なのでは?

7月の拡散時に見られた光景は、嫌悪対象を擬人化するという風刺の表現を狭めるような論理を、表現の自由が大事だと言ってる側が、反フェミの文脈で相手を論破できればそれでいいと思って主張している様でした。

それを見るのは何とも言い難い気持ち悪さを覚えますし、誠実さの欠片もないなと思います。

以上

FBI長官演説「中国は悪意に満ちたわいろ、恐喝、裏取引を使った外交をする」

FBI長官演説「中国は悪意に満ちたわいろ、恐喝、裏取引を使っている」

FBI長官が演説で「中国は悪意に満ちたわいろ、恐喝、裏取引を使った外交をする」「中国はアメリカの医療機関、製薬会社、そしてCOVID-19研究を行っている学術機関に危害を加えようと取り組んでいる」などと主張しました。

かなり長文で具体的に「中国の脅威」を論じており、在日アメリカ大使館のアカウントもこれを紹介しています。

FBI長官「中国は悪意に満ちたわいろ、恐喝、裏取引外交をする」

FBIのレイ長官が「中国は悪意に満ちた高度の外交運動を展開し、わいろ、恐喝、裏取引といった手法を使う」と述べました。

全文からの抜粋をまとめます。

米国の経済および国家安全保障に対する中国政府および中国共産党による脅威

Director Wray Discusses Threat Posed By China to U.S. Economic and National Security — FBI

FBIのレイ長官が演説した内容 ー 米国の経済および国家安全保障に対する中国政府および中国共産党による脅威 ー について、いくつか抜粋します。

  • アメリカ人の成人であれば、中国があなたの個人データを盗んだ可能性が高い
  • 中国はアメリカの医療機関、製薬会社、そしてCOVID-19研究を行っている学術機関に危害を加えようと取り組んでいる
  • 彼らは中国の諜報機関だけでなく、国営企業、表向きの民間企業、特定の種類の大学院生や研究者、その他さまざまな幅広い行為者を通じてイノベーション技術を盗むための広範なアプローチを開拓してきた
  • 学界においては「千人タレントプログラム」のような人材採用プログラムを通じて、中国はアメリカの大学の科学者に資金提供をして、知識のイノベーション技術を中国に持ち帰るよう要求している
  • 新型コロナパンデミックへの中国の対応を支持する決議を導入するように要請された上院議員が居る
  • フォックスハント」と呼ばれる習近平が脅威とみなした世界中の国に在住している中国国民を「掃除」するプログラムがあり、その犠牲者となった数百人の多くはアメリカ市民またはグリーンカードホルダー

「千人タレントプログラム」というのはこれまでもたびたび聞いたことのある話で、要するに各界の主要人物を買収して機密情報を盗む動きのことです。

演説中には、アメリカ国内で中国人がスパイ行為に関する犯罪を犯して逮捕起訴された具体的な例も取り上げています。

オブライエン国家安全保障顧問の発言も

The Chinese Communist Party’s Ideology and Global Ambitions | The White House

レイ長官の演説中には、2020年6月24日、アリゾナ州フェニックスでの国家安全保障局顧問ロバートC.オブライエンによる発言が紹介されています。

「中国共産党のイデオロギーとグローバルな野心」と題する演説の文章が、ホワイトハウスHPにUPされています。

具体的な事件が取り上げられているのでポイントを抜粋します。

  • TikTokにおいて、チャイナ共産党のポリシーを批判するアメリカ人アカウントを定期的に排除または削除している
  • ツイッターは香港とCOVID-19に関してプロパガンダをを広めるために作られた、23,000以上のチャイナ共産党にリンクされたアカウントの停止を発表した
  • 3月、中国共産党は、ニューヨークタイムズ、ウォールストリートジャーナル、ワシントンポストで働いていたアメリカ人ジャーナリストを追放し、武漢ウイルスに関する中国国内の独立した報道をほぼ完全に排除した
  • カリフォルニア大学サンディエゴ校が2017年にダライラマを開会講演者として主催したとき、北京政府は中国の学生が政府資金でUCSDを訪問することを禁止しました
  • ヒューストンロケッツ(NBAのチーム)のゼネラルマネージャーが平和的な香港の抗議者に対して彼の支持表明をツイートしたとき、チャイナ共産党はそのチームのゲームが中国のテレビで放映されないことを発表し、スター選手を含むバスケットボール界の人々に圧力をかけた

まだ半分しか読んでませんが、こんな感じで、アメリカはもはや中国の悪意の事例を公にすることをためらっていないのが分かります。

日本はこのままでいいのか?

レイ長官は、「これら脅威に直面しても、中国との取引を禁止すべきではありません。中国の訪問者を受け入れるべきではないという意味ではありません。中国の学生を歓迎したり、世界の舞台で中国と共存したりすべきではないという意味ではありません。しかし、中国が私たちの刑法や国際規範に違反するとき、それを容認するつもりはありません。」と述べています。

これが「毅然とした態度」というものなのでしょう。日本であれば差別だの何だのと騒ぐ連中がメディアを使って声を大きくしそうですね。

日本はというと、習近平の国賓来日を断ろうとする動きをするだけで精一杯のようです。チャイナに関係する国内事案を話すことは、今の状況では考えられません(軍事力や国内法整備の状況からは仕方ないのかもしれないが)。

共同通信周りで、きな臭い報道がなされてますよね…

以上

あいちトリエンナーレの問題点・争点をわかりやすくまとめ

あいちトリエンナーレ問題をわかりやすく

愛知県知事の大村秀章氏のリコール署名が8月から始まります。

その原因となる「あいちトリエンナーレ問題」について、論点がごちゃごちゃに論じられているので、問題点レベルで分かりやすくまとめます(説明している内容が分かりやすいという意味ではない)。

細かい事実関係は愛知県や名古屋市の検証委員会がまとめたものや、本ブログで過去に整理した内容を見てください。

あいちトリエンナーレ・表現の不自由展 カテゴリーの記事一覧 - 事実を整える

あいちトリエンナーレの問題点・争点

あいちトリエンナーレの問題点・争点まとめ

あいちトリエンナーレ2019の問題点・争点は、次元が異なるものが総花的に並べられ、外縁部分の話題に焦点が当てられることが多いですが、それは目くらましであり、大前提となる出発点は、以下の問題です。

「表現の不自由展」において、昭和天皇の御尊影を燃やして灰を踏みつける映像の展示を大村知事が容認した問題

昭和天皇の御尊影を燃やして灰を踏みつける映像の展示を大村知事が容認した問題

メディアでは「慰安婦像が展示されたことに対する抗議」が強調されていましたが、この事はリコールに決定的な影響を与えたものではありません。愛知県民のみならず日本国民が怒りを持っているのは、昭和天皇の写真を焼いた行為に対してです。

天皇コラージュ事件の大浦信行作品があいちトリエンナーレで出展:昭和天皇の御影を焼却 - 事実を整える

細かい事実関係としては、大村知事は作品展示前のタイミングではこの展示があるという事実を知らなかった可能性が高いのですが、いずれにしても展示が問題視された後に大村知事が展示を容認した事実があります。

ただ、「この点が愛知県知事として許されないのはなぜか?」という話になると、それは以下のように法的な視点を抜きに語ることができなくなります。

公的機関が主体的に運営する行事で表現内容を理由に展示拒否する事の法的許容性

そこで、本来出発点となる問題、本質的な問題は

公的機関が主体的に運営する行事で表現内容を理由に展示拒否する事の法的許容性

これが全てです。

「公金支出をすること/しないことの妥当性」などは二の次の話です。

「法律は関係ない、倫理道徳的に問題がある」などと言っても、行政は法律に基づいて運営されていますから、法律上の要請として作品展示しなければならないという規範が仮にあるのであれば、それに反して展示拒否をすれば違法になるのです。

そうすると愛知県知事が大村秀章氏だろうが誰であろうが同じことになっていたので、大村知事個人を責めてリコールをすることの正統性も無くなってしまうのです。

「公的機関が主体的に運営」が重要:表現の自由と検閲

あいちトリエンナーレは「公的機関が主体的に運営」している行事だという事実が最も重要です。ここの認識が間違っている人が多いです。

公的機関が主体的に運営している事実

この点については私が事件の当初から指摘してきましたが⇒津田大介「行政が口を出すのは検閲に当たる」は的外れ:トリエンナーレ表現の不自由展、まとめると

  • トリエンナーレにあてられる補助金である文化庁の2019年度「日本博を契機とする文化資源コンテンツ創成事業(文化資源活用推進事業)」採択一覧では、補助事業者名が「愛知県」となっている
  • 主催はあいちトリエンナーレ実行委員会だが、問い合わせ先は「愛知県県民文化局部文化部文化芸術課トリエンナーレ推進室内」と、愛知県の組織になっている
  • 実行委員会の会長が愛知県知事
  • 展示場所も愛知県が管理する愛知芸術文化センター内
  • 電話で応対している方も基本的には公務員たる愛知県の職員
  • 作品展示の決定権限を持つ芸術監督の津田大輔も実行員会の委嘱を受けていた(つまり実行委員会という公的機関側の人間)

要するに、「表現の不自由展」は行政の努力によってはじめて展示可能になっているものであって、行政が自分らで運営している事業についてどの作品を展示するかを決めるのは法令に抵触しない限りは基本的に行政の裁量の範囲内なのです。

民間の活動に対して補助金が出されるというものとは次元が異なります。

公金支出の問題との関係

「公金支出の問題」は、ここに吸収される話なのです。

「公金を支出するから~」という点を第一義的にすると、公的機関が運営主体である事案と、民間が主体となって運営している行事に行政がお金を出すような事案が混同されて論じられることになります。

その上で「公金を支出する事業としてふさわしいか」を論じるのが筋として良さそうです。この中で「憲法1条で天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であると規定されていることから、その存在を侮辱する政治的表現を公的機関において行って良いのか?」というような話をするのが良いのだと思います。

法的に今回のような表現が禁止されるべきだったかというとよくわかりませんが、最終的には素朴な価値判断のレベルで決着をつけるべきなんだろうと思います。

そして、最終的には議会による責任者=知事の不信任決議、住民によるリコール請求、という道筋になるのだと思います。

憲法上の表現の自由は「公的機関に邪魔されない権利」

憲法上の表現の自由は原則的に「公的機関に邪魔されない権利」です。

「表現する場を提供することを求める権利」ではありません。

本件は、民間が美術館などの公的機関を借りて表現物を展示した事案ではなく、先述のように「公的機関が主体となって運営されている場」での展示です。

あいちトリエンナーレでの展示を認めないとしても、それはそこ以外での私的な運営による展示まで妨げているわけではないのですから、表現の自由の問題にはならないのです。

「憲法21条の表現の自由を侵害する検閲」の誤り

あいちトリエンナーレの問題点・争点、法的問題

https://www.pref.aichi.jp/uploaded/life/259465_883963_misc.pdf

あいちトリエンナーレのあり方検討(検証)委員会 - 愛知県

愛知県のあいちトリエンナーレ検証委員会でも、憲法学の曽我部教授が「理念としての表現の自由」は関係するが、憲法上の権利の話としては「基本的に表現の自由がダイレクトに問題となる事案ではない」「自分の気に入らないことに検閲というレッテルを貼って批判するという局面も見られた」と指摘しています。

他の憲法学者からも同様の指摘があります⇒トリエンナーレ表現の不自由展に横大道聡教授『「表現の自由の侵害」は困難」 - 事実を整える

「憲法21条2項の検閲とは~」と、判例の定義を長々と述べてもいいのですが、それは憲法上の権利たる表現の自由のフィールドに入っている場合の話です。

本件は、そもそもそうではない場合なのですから、「検閲の定義が狭すぎる~」などといった議論をする以前の問題です。

では、表現の自由の領域ではないという把握の仕方をすると、本件ではどうなるのか?

作品展示の前後とで話が変わりますが、愛知県と表現の不自由展側との契約関係と不法行為の可能性の話になります。

また、このときのような作品展示・運営ルールだとどういう問題があるのか?については、説明の仕方が難しいですが、少なくとも『公的機関が展示作品のメッセージにお墨付きを与えているという外観』が存在しているのが問題ですので、そこをどうクリアしていくかが今後の課題です。

自分の事は自分が決められる、自己矛盾を強制されない

「行政の裁量の範囲内」という事をかみ砕いて言うと

自分の事は自分が決められる、自己矛盾行為を強制されない

という話であると言えます。
(明確化:行政法上の「裁量の範囲内」の意味は別の言い方になりますがそこを論じているのではない)

大村知事は「本当は展示したくないけど、表現の自由の許されざる侵害だから展示しなきゃダメなんだぁ違法なんだぁ」なんていう思考回路に陥ったわけですが、そうじゃないということです。

誰でも自分の裁量の範囲であれば、自分に決定権があり、他人がその者の意思に反する事柄を強制することはできない。

この当たり前の、普遍的な価値観の話であると言えます。

あいちトリエンナーレの法的問題・争点をわかりやすくまとめ

あいちトリエンナーレの法的問題点・争点は、上掲の曽我部教授のまとめた図が分かりやすいのですが、愛知県を中心とした法的問題・争点を、一応は上掲の図に倣いつつ箇条書きにすると以下のようになります。愛知県≒あいちトリエンナーレ実行委員会として記述します。「誰と誰との関係で問題となるか?」という視点を持ちましょう。

  1. 愛知県と表現の不自由展実行委員会(そこに参画しているアーティスト)との関係(作品展示許可前とその後の撤回時の問題がある)⇒契約関係或いは不法行為の問題であって、憲法上の表現の自由の問題ではない
  2. 愛知県と名古屋市の公金負担の関係⇒名古屋市はトリエンナーレへの公金支出を撤回、両者の訴訟に発展
  3. 愛知県と協賛企業とのスポンサード契約の関係⇒事件後、HPから協賛企業のロゴが消えた。これが収益やイベントの存続に影響すれば次の4の問題にもなる
  4. 愛知県と愛知県民=住民との関係⇒イベントに対する公金支出によって説明責任が生じる(「知る権利」はここの話か)
  5. 愛知県と津田大輔との契約関係⇒津田大輔は契約違反をしたのか?
  6. 愛知県や協賛企業が被害者となる、電話での過剰な抗議・脅迫などの不法行為・犯罪行為
  7. 愛知県と文科省との関係⇒補助金交付・交付金額の問題
  8. 表現の不自由展・アーティストらによって展示された作品が何らかの法規制に引っかかるか⇒NO
  9. その他本件における愛知県の諸々の態度にみるガバナンスの問題

わかりやすくまとめると、ざっとこんなものでしょうか。

1番は【作品展示「前」の問題】と【作品展示「」の撤回・再開形式の問題】が混在しますが、後者は実行委員会≒愛知県と不自由展側≒アーティストらとの事後処理の問題に過ぎません。本件は愛知県とその知事である大村秀章の、県民・日本国民に対する関係が最も重要ですから、本質的なのは作品展示前の段階で作品の内容に基づいて展示拒否をすることの話です。

特に作品展示許可前の問題について昨年、細かく論じたので以下を見ていただければと思います⇒あいちトリエンナーレ・表現の不自由展 カテゴリーの記事一覧

表現の不自由展の展示とは別の、関連問題のまとめ

表現の不自由展の展示そのものに直結する話とは別の、その関連において発生した事案の問題をまとめます。

  1. 東大法学部卒である愛知県の大村秀章知事が本件で展示を許可しなければ「憲法21条の表現の自由を侵害する検閲にあたる」などと記者会見で何度も発言したことによる社会的な誤謬を拡散した行為
  2. 国民・住民らからの抗議・意見の音声を「電凸」などと表現し、県のHPで音声を公開し、後に削除した行為
  3. トリエンナーレ検証委員会の委員らがSNSで「電凸は犯罪」などと発信したことなどから、適性の問題と組織の公平性の問題
  4. 名古屋市の河村市長の抗議活動が違法行為であると指摘する愛知県側の主張⇒両者が公開質問状によるやりとりを展開している
  5. 愛知県とそれを批判した他の自治体の首長や議員らの発言が自治体の自律権との関係

1番は何ら法的に咎められるべきものではありませんが、法的に誤った説明を繰り返していたので(理念としての表現の自由ではなく、憲法上の権利侵害としての検閲だと論じていた)、人物評価の考慮要素としてリコール運動にとって必要不可欠です。トリエンナーレ事件の本質的な争点とも密接に関係しています。

2番は行政としておよそあり得ない行為をしたのでその「監督責任」を大村知事に問うべき事案です。音声の主に対する権利侵害として訴訟になるかというと厳しいと思われますが、情報の扱い方としてどうなのか、公務員の非違行為ではないか、などの論じ方は可能と思われます。

3番も人選は大村知事に責任があります。

4番は愛知県側が「河村氏の行動は違法である」と言いはするものの、訴訟沙汰にする気はなさそうです。

5番はメディアが政権叩きやゴシップエンタメのために無理やり争点化したものに過ぎません。

その他、細かい問題点を指摘したらキリがないですし、表現の不自由展支持派から指摘される問題点もありますが、それらのほとんどは最初に指摘した本質的問題点で吸収される話なので論じません。

 

まとめ:リコールが成功するかは問題点の把握が必要

「あいちトリエンナーレ問題」は、マスメディアがその事案の一部を隠して報じるケースが多く、「表現の自由」「検閲」といったワードが飛び交い、その観点に終始したまとめ方が横行しました。

他方で表現の不自由展の問題作品に反対する人たちの中にも、「公金支出の問題である」という切り口から説明する人がいました。

それはそれで正しいのですが、既述のように公的機関が運営主体である本件のような事案と、民間が主体となって運営している行事に行政がお金を出すような事案とでは、憲法上の権利が作用する可能性について違いが出てくるのであって、その視点を無視することを誘発しかねません。

自分の事は自分が決められる、自己矛盾行為を強制されない

愛知県を預かるハズの者が、法的主体としての当然の自律的態度を放棄した事案。

こう捉えると、如何に大村知事が下した判断・発信された言動がおかしいか、リコールに値するか、ということが露わになると思うのです。

以上:はてなブックマークをして頂けると助かります。

過去の関連記事:あいちトリエンナーレ・表現の不自由展 カテゴリーの記事一覧

9歳以下の行方不明者が増加している:行方不明者の統計

10歳代の子供を中国人女が誘拐しようとして逮捕

行方不明者の統計を見ると、9歳以下の行方不明者が増加しているのが分かりました。

それ以外の年代の状況についても概観していきます。

9歳以下の行方不明者が増加している統計

9歳以下の行方不明者が増加している

令和元年における行方不明者の状況 警察庁生活安全局生活安全企画課

行方不明者|警察庁Webサイト

令 和 元 年 に お け る 行 方 不 明 者 の 状 況 警察庁生活安全局生活安全企画課

9歳以下の行方不明者数は900⇒1132⇒1198⇒1216⇒1253と増えているのが分かります。

「人口10万人当たり」というのは、その年代における割合なので、人口動態を無視して考えることができます。すると、割合としても行方不明者が増えているのが分かります。

それ以前の数字を見ると、平成18年からの統計が見つかります。

平成2 2年中における行方不明者の状況 警察庁生活安全局生活安全企画課

平成2 2年中における行方不明者の状況 警察庁生活安全局生活安全企画課

平成18年からは9歳以下の行方不明者は794⇒736⇒764⇒765⇒705という推移であり、現在よりも少ない人数だということが分かります。

子供の数はどんどん減少しているので、今よりも子供の数が多かった時代に、現在よりも少ない行方不明者数だったということが言えます。

なお、年代別の数字は分かりませんが、行方不明の届出が出た者は、その多くはその日か次の日には所在が確認されています。

10歳代の行方不明者数が多いが減少している

他の年代に目を向けると、平成18年からの統計では10歳代と20歳代が多く行方不明になっているのが分かります。

ただ、10歳代はこのスパンで見れば行方不明者数が減少しているのが分かります。20歳代は一度1万3000人台まで下がったあとに再度上昇してはいますが、このスパンで見れば減少傾向です。

なお、70歳代以上は昔は統計が無かったので、ここでは無視します。

行方不明の原因と誘拐などの犯罪との関係:高齢者の認知症が多い

行方不明者の原因・動機、犯罪、誘拐

令和元年における行方不明者の状況 警察庁生活安全局生活安全企画課

行方不明者の原因・動機、犯罪、誘拐

平成2 2年中における行方不明者の状況 警察庁生活安全局生活安全企画課

行方不明者の原因・動機や誘拐などの犯罪との関係です。

この統計では、「犯罪関係」は、「会社の金銭使い込みや売上金の持ち逃げ等をいう」とあるように、『居なくなった側の犯罪』を意味しています。

疾病関係、家庭関係の要因が多く、近年の統計からは、特に高齢者の認知症が原因であることが多いのがわかります。

失踪者の内、親の子供の連れ去りは増えたのか?

よく、片方の親による子供の連れ去り事案が指摘されますが、この統計を見ると「家庭関係」の構成比や人数も減っているのが分かります。

これは子供を持つ親世帯、子どもの数の全国的な減少も加味して考える必要があるとは思えますが、少なくとも失踪者の内、そのような事案が顕著に増えているというわけではない、ということは言えそうです。

原因不明の行方不明が増えている

とても気になるのが、「不詳」の比率が増加しているということです。

平成18年には14%だったのが、令和元年が19.2%になっています。

この中には所在が確認できても原因・動機が不明なものと、所在が確認できていないものが含まれています。

令和元年の行方不明者数は86,933人ですが、令和元年中に所在が確認等された行方不明者(確認をした年次以前に受理した届出分を含む。)は84,362人でした。

5年単位で見ると97%は見つかっていますが、約1万2000人が見つかっていないということになります。

年代ごとの所在確認比率、不詳の率は統計では書かれていませんが、9歳以下の年代にこの比率を当てはめると、毎年1桁台の子が見つからないまま、という推計になります。

行方不明者の所在確認状況

令和元年における行方不明者の状況 警察庁生活安全局生活安全企画課

北朝鮮の拉致や中国の人身売買の可能性?

中国国籍の女を逮捕 小学生を誘拐しようとしたか(静岡放送)魚拓 

県西部に住む10代の小学生の女の子を車で連れ去ろうとしたとして、警察は44歳の中国国籍の女を逮捕しました。

 未成年者略取誘拐未遂の疑いで逮捕されたのは、愛知県名古屋市に住む自称、介護士の女(44)です。警察によりますと、容疑者の女は、7月8日の夕方、県西部の道路上で、10代の小学生の女の子を車に乗せて誘拐しようとした疑いがもたれています。女の子は下校途中に容疑者に話しかけられて、手を引っ張られたため走って逃げ、ケガはありませんでした。警察は容疑者の認否を明らかにしていません。防犯カメラの映像や女の子への事情聴取などから逮捕に至ったということで、警察は詳しい動機などを調べています。

北朝鮮による拉致や中国の人身売買の可能性は無いのでしょうか?

つい最近も中国人女による10歳代の女の子の誘拐未遂事件がありました。

拉致事件があったものですからこういう動きには敏感にならざるを得ませんし、何よりチャイナ本土では日常的に幼児の誘拐が頻発し、人身売買に利用されているという事実があります。

拉致被害者と特定失踪者

「拉致被害者」というのは北朝鮮によって拉致されたと日本政府が認定した17人を指すのが通例です。ただ、それ以外にも北朝鮮によって拉致されたとみられる者がおり、そうした人たちを「特定失踪者」と呼んでいます。

特定失踪者問題調査会の定義する「特定失踪者」とは、原則として家族・関係者等から調査依頼があり、「夜逃げをするような理由が全く見あたらないのに突然姿を消した人」で「北朝鮮による拉致の疑いが完全には排除できない人」を指します。

失踪者リスト | 特定失踪者問題調査会

このリストでは平成15年に失踪した方が最も最近のものになっています。

ここまでの話から分かるように、この中には「中国人による拉致」というものは含まれていません。

外国人による誘拐が増加していたのかはすぐに分かる

ここまで主に北朝鮮やチャイナによる誘拐の可能性を論じてきましたが、この見立てが間違っているのかどうかは、すぐに分かると思います。

なぜなら、現在は新型コロナウイルス禍によって、外国人の入国を著しく制限しているからです。

国籍で入国拒否をしているわけではありませんが、基本的にチャイナ全土からの外国人の入国は拒否していますから、現在は国内に居る・訪れる外国人は少なくなっているのです。

つまり、これまでは外国人による誘拐があり、それが増加していたということであれば、今年度の行方不明者の数が著しく減少しているはずで、そうであるなら外国人による誘拐が恒常的に発生していたことを示唆する有力な情報になると言えるでしょう。
(もちろんそれだけで即断はできないが。そもそも子供が外を出歩く頻度も減少しているため)

※令和3年8月追記:令和2年の行方不明者は約1万人も減少、新型コロナ自粛が影響か

令和2年の行方不明者は前年に比べ9,911が減少。

約1万人も減少しているのは、新型コロナウイルスによる自粛によって各世代同士が目の届きやすい所にいることが要因の一つなのかと推測しますが、如何に。

以上:はてなブックマークをして頂けると助かります。